JP3797731B2 - 水素化脱硫触媒、その触媒の製造方法及びその触媒を用いる重質油の水素化脱硫方法 - Google Patents

水素化脱硫触媒、その触媒の製造方法及びその触媒を用いる重質油の水素化脱硫方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、間接脱硫装置による減圧軽油(以下、VGOという。)留分又は直接脱硫装置による常圧残油(以下、ARという。)留分の接触水素化脱硫において、コーク劣化がよく抑えられて、上記重質油留分中の硫黄化合物を長期間、高率にて除去することができ、更に、上記重質油留分を軽質化することもできる重質油の水素化脱硫触媒、そのような水素化脱硫触媒の製造方法及びそのような水素化脱硫触媒を用いる重質油の水素化脱硫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
減圧蒸留装置から得られる留出油であるVGOや、原油を常圧蒸留装置で処理したときの塔底油であるAR等の重質油留分中には、硫黄化合物が高濃度に存在するので、これらの重質油留分をそのまま燃料として用いた場合には、硫黄酸化物(SOx)が大気中に大量に排出される。硫黄酸化物は、人体に直接、有害な影響を及ぼし、また、酸性雨の原因物質の一つでもある。
【0003】
そこで、従来、原油から種々の石油製品を製造する工程の一つとして、間接脱硫装置や直接脱硫装置による重質油留分の接触水素化脱硫処理が取り入れられ、これら重質油留分中の硫黄化合物を除去すること、即ち、脱硫処理がなされているが、この脱硫に際して、重質油留分の水素化分解も同時に進行するので、ナフサ、灯油、軽油等のような付加価値のより高い軽質留分も生成する。
【0004】
従来、VGOやAR中の硫黄化合物を除去すると同時に軽質化することを目的とする水素化脱硫処理のための触媒は、周期律表第VIA族の金属と鉄族の金属を活性成分とし、これらをアルミナ、マグネシア、シリカ等の無機酸化物担体に担持させてなる触媒であり、通常、第VIA族金属としては、モリブデンが用いられ、また、鉄族金属としては、コバルトやニッケルが用いられている。ここに、上記第VIA族金属は、脱硫触媒における必須の活性成分であって、これを硫化処理して硫化物とすることによって、水素化脱硫活性が発現すると考えられている。
【0005】
更に、上述したような脱硫触媒の活性を向上させるために、従来、触媒にリン、ホウ素等を添加することが有効であることが知られている(特開昭52−13503号公報)。また、上記担体中にゼオライトを含有させることによって、活性を向上させ得ることも知られている(特開昭56−20087号公報)。
【0006】
重質油留分の接触水素化脱硫処理は、間接脱硫装置や直接脱硫装置の反応器中において、上述したような脱硫触媒の存在下に行なわれるが、実装置での商業運転においては、従来、触媒の劣化が重要な問題とされている。そこで、実運転においては、水素化脱硫反応が高温ほど促進されるという特性を利用して、触媒の劣化を反応温度の上昇によって補うという対処がなされている。しかしながら、反応温度の上昇には、自ずから上限があるので、反応温度がそのような上限温度に到達すれば、上述したような対処によっては、最早、触媒の劣化を補うことができなくなり、かくして、脱硫触媒は寿命を迎えることとなる。上記接触水素化脱硫反応の上限温度は、脱硫を目的とする原料油や用いる装置の種類によって、必ずしも一定しないが、通常、410℃程度であり、商業運転においては、このような上限温度の観点から、通常、一年ごとに触媒が交換されている。従って、従来、初期の脱硫活性が高く、且つ、劣化が小さい水素化脱硫触媒が要望されている。 水素化脱硫処理における触媒の劣化の要因としては、第一には、重質油留分中のニッケル、バナジウム等の含有金属分によるもの(メタル劣化)と、第二には、コーク析出によるもの(コーク劣化)が主たるものとして挙げられる。このうち、メタル劣化は、触媒上へのメタル蓄積量の増加に伴って進行し、不可逆的なものである。これに対して、コーク劣化は、コーク生成と生成コークの水素化との間に平衡が存在するので、可逆的である(化学工学会編「化学工学の進歩」第29集触媒工学)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、従来の重質油の水素化脱硫触媒における上述したような問題を解決するために、コーク劣化をよく抑制すれば、触媒寿命を長くすることができ、かくして、VGOやAR等の重質油留分中の硫黄化合物を長期間にわたって高率で除去することができ、それに伴って、ナフサ、灯油、軽油等の軽質留分の増産も可能となる点に着目して、鋭意研究を行なった。その結果、本発明者らは、周期律表鉄族金属と第VIA族金属を無機酸化物担体に担持させてなる基体触媒の表面に、白金族金属から選ばれる少なくとも1種の金属を無機酸化物担体に担持させてなる白金族触媒をコーティングして、複層構造を有する水素化脱硫触媒とすることによって、VGOやARのような重質油の水素化脱硫において、コーク劣化がよく抑制されて、触媒活性の低下が極めて少ないことを見出して、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
即ち、本発明は、間接脱硫装置によるVGOや直接脱硫装置によるARの接触水素化脱硫において、コーク劣化による触媒活性の低下が極めて少なく、上記重質油留分中の硫黄化合物を長期間、高率にて除去することができ、更に、上記重質油留分を軽質化することができる水素化脱硫触媒を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような水素化脱硫触媒の製造方法とそのような水素化脱硫触媒を用いる重質油の水素化脱硫方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による水素化脱硫触媒は、
(a) 周期律表鉄族から選ばれる少なくとも1種の金属が酸化物換算にて3〜7mass%と周期律表第VIA族から選ばれる少なくとも1種の金属が酸化物換算にて10〜30mass%と残部が無機酸化物担体とからなる基体触媒と、
(b) 周期律表白金族から選ばれる少なくとも1種の金属が金属換算にて0.2〜10mass%と残部が無機酸化物担体とからなる白金族触媒とからなり、
上記基体触媒の表面に上記白金族触媒が基体触媒100mass部当りに1〜20mass部の範囲にてコーティングされてなることを特徴とする。
【0010】
本発明によるこのような水素化脱硫触媒は、粒子径が10〜100μmの範囲にある白金族触媒の粒子を水に懸濁させて、スラリーとし、このスラリーを基体触媒にコーティングし、乾燥させ、焼成して、上記基体触媒の表面に上記白金族触媒がコーティングされてなる上記脱硫触媒の製造方法において、好ましくは、上記基体触媒の飽和吸水量に対して、質量比にて、1.5〜5倍であり、且つ、上記白金族触媒の粒子に対して、質量比にて、20〜200倍の範囲の量の水に上記白金族触媒の粒子を懸濁させて、スラリーとすることによって、製造することができる。
【0011】
更に、本発明による重質油の水素化脱硫方法は、水素分圧4〜18MPa、温度320〜410℃及び液空間速度0.1〜4.0hr-1の反応条件下に、重質油を上記触媒と接触させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明による重質油の水素化脱硫触媒は、
(a) 周期律表鉄族から選ばれる少なくとも1種の金属が酸化物換算にて3〜7mass%と周期律表第VIA族から選ばれる少なくとも1種の金属が酸化物換算にて10〜30mass%と残部が無機酸化物担体とからなる基体触媒と、
(b) 周期律表白金族から選ばれる少なくとも1種の金属が金属換算にて0.2〜10mass%と残部が無機酸化物担体とからなる白金族触媒とからなり、
上記基体触媒の表面に上記白金族触媒が基体触媒100mass部当りに1〜20mass部の範囲にてコーティングされてなることを特徴とする。
【0013】
本発明による水素化脱硫触媒は、成形固体触媒である基体触媒と、その表面にコーティングされてなる白金族触媒とからなる複層構造を有する。このような複層構造を有する触媒において、上記基体触媒と白金族触媒における無機酸化物担体は、同じであってもよく、異なっていてもよく、従来、水素化脱硫触媒の担体として用いられているものであれば、適宜のものを用いることができる。従って、このような無機酸化物担体として、例えば、シリカ、アルミナ、ボリア、マグネシア、チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、シリカ−ボリア、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−チタニア、アルミナ−ボリア、アルミナ−クロミア、チタニア−ジルコニア、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア−ジルコニア等を挙げることができ、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
しかし、本発明によれば、これらのなかでも、鉄族金属及び第VIA族金属の脱硫活性を最大限に発揮させる好ましい担体として、アルミナ、シリカ−アルミナ、アルミナ−チタニア、アルミナ−ボリア又はアルミナ−ジルコニアを挙げることができ、特に、本発明によれば、アルミナが好ましく用いられる。
【0015】
また、本発明によれば、必要に応じて、A型ゼオライト、Y型ゼオライト、安定化Y型ゼオライト、超安定化Y型ゼオライト、L型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト等の結晶性アルミノケイ酸塩や、モンモリロナイト、カオリン、ハロサイト、ベントナイト、アダバルガイト、ボーキサイト、カオリナイト、ナクライト、アノーキサイト等の粘土鉱物を単独で、又は2種以上を組み合わせて、上記無機酸化物担体に配合し、これを担体として用いてもよい。
【0016】
本発明において、担体は、その比表面積、細孔容積、平均細孔径等において、特に、限定されるものではないが、VGOやARの水素化脱硫反応を促進させるためには、通常、比表面積は200〜400m2 -1、細孔容積は0.4〜1.2cm3 -1、平均細孔径は50〜130Å(オングストローム)が好ましい。
【0017】
担体に鉄族金属と第VIA族金属とを担持させてなる基体触媒を調製する方法は、特に、限定されるものではなく、従来、知られている適宜の方法によることができ、例えば、鉄族金属と第VIA族金属を従来より知られている含浸法、共沈法、混練法、沈着法等によって、担体に担持させればよい。
【0018】
例えば、含浸法によれば、鉄族金属の化合物と第VIA族金属の化合物との適当の濃度の溶液を担体に含浸させ、乾燥させた後、空気中、350〜700℃、好ましくは、400〜600℃の範囲の温度で、限定されるものではないが、通常、1〜10時間程度、焼成することによって、基体触媒を調製することができる。空気中での焼成温度は約350〜700℃、好ましくは約400〜600℃であり、時間は約1〜10時間である。しかし、必要ならば、担体を先ず、鉄族金属の化合物の適当の濃度の溶液を含浸させ、乾燥させた後、空気中で焼成し、次いで、このように処理した担体を第VIA族金属の化合物の適当の濃度の溶液に含浸させ、乾燥させた後、空気中で焼成してもよい。担体に第VIA族金属を担持させた後、鉄族金属を担持させてもよい。
【0019】
本発明によれば、鉄族の金属としては、鉄、コバルト又はニッケルが用いられるが、好ましくは、コバルト又はニッケルが用いられる。これらの鉄族金属の化合物としては、種々のものを用いることができるが、例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物等が好ましく用いられる。従って、鉄化合物としては、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、シュウ酸第一鉄等を挙げることができ、コバルト化合物としては、例えば、硝酸コバルト、硫酸コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、シュウ酸コバルト、塩化コバルト等を挙げることができ、また、ニッケル化合物としては、例えば、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、塩化ニッケル等を挙げることができる。
【0020】
また、第VIA族金属としては、クロム、モリブデン又はタングステンが用いられるが、特に、モリブデン又はタングステンが好ましく用いられる。これら第VIA族金属の化合物も、種々のものを用いることができるが、モリブデン化合物の具体例として、例えば、モリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、モリブデン縮合酸塩等が挙げることができる。また、タングステン合物の具体例として、例えば、タングステン酸アンモニウム、酸化タングステン、タングステン縮合酸塩等を挙げることができる。
【0021】
上述した鉄族及び第VIA族の金属化合物の溶液としては、通常、水溶液が好ましく用いられる、そこで、これら化合物の水溶液における水溶性を高めるために、水溶液にリン酸を加えてもよい。ここに、リン酸としては、オルトリン酸、メタリン酸、三リン酸、四リン酸等の種々のものを用いることができる。また、上記化合物の溶液のための溶媒として、水以外にも、アルコール類、エーテル類、ケトン類、これらの水溶液、芳香族炭化水素類等、種々の溶媒を単独で、又は2種以上の混合物として用いることもできる。
【0022】
上記鉄族及び第VIA族の金属化合物の溶液におけるそれぞれの金属化合物の量は、得られる基体触媒において、鉄族金属が酸化物換算で3〜7mass%、好ましくは、4〜6mass%、第VIA族金属が酸化物換算で10〜30mass%、好ましくは、13〜23mass%、無機酸化物担体が残部となるように用いられる。
【0023】
上述したように、金属化合物の水溶液にリン酸を配合する場合には、リン酸は、基体触媒中、P2 5 換算にて、0.1〜4mass%、好ましくは、1〜3mass%となるように用いられる。このリン酸の量は、無機酸化物担体の量に含まれるものとるする。
【0024】
本発明において、基体触媒中の鉄族金属成分が3mass%未満であるときは、得られる触媒が所要の脱硫触媒活性において十分でなく、他方、7mass%を越えるときは、その金属成分の使用条件下における化合物(硫化物)の状態では、高い分散状態を維持し難いためとみられるが、著しいシンタリング(焼結)が発生し、触媒活性が低下しやすい傾向がある。同様に、第VIA族金属成分が10mass%未満であるときは、得られる触媒が所要の脱硫触媒活性において十分でなく、他方、第VIA族金属成分は、金属成分の使用条件下における化合物(硫化物)の状態では、前記鉄族金属に比べて、高い分散状態を維持することができるとみられるが、しかし、30mass%を越えるときは、同様に、シンタリング(焼結)が生じ、触媒の比表面積が小さくなって、高い触媒活性を得ることができない。
【0025】
本発明において、基体触媒は、成形固体触媒であって、その形状は、VGOやAR等の重質油留分の触媒層の流通を考慮し、円柱状、三葉柱状、四葉柱状のペレット形状であることが望ましいが、しかし、反応条件下で触媒層の前後で圧力差が発生しないものであれば、その形状は、特に限定されない。同様に、このペレットも、反応条件下で触媒層の前後で圧力差が発生しないように、ペレット径は、1/10〜1/36インチの範囲にあることが好ましい。ここに、ペレット径は、ペレットの形状が円柱であるもの以外は、その最も太い部分の長さとする。
【0026】
本発明による水素化脱硫触媒は、以上のような基体触媒の表面に白金族から選ばれる少なくとも1種の金属を無機酸化物担体に担持させてなる白金族触媒をコーティングすることによって得ることができる。
【0027】
この白金族触媒も、その調製方法については、特に、制限はなく、従来より知られている適宜の方法、例えば、含浸法、共沈法、混練法、沈着法、イオン交換法等、種々の方法にて、調製することができる。無機酸化物担体も、前述したように、種々の無機酸化物を用いることができるが、通常、シリカ、アルミナ、マグネシア等が好ましく用いられる。
【0028】
白金族金属としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム又はオスミウムを挙げることができ、これらのなかでは、特に、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムが好ましい。白金化合物としては、例えば、塩化白金酸、ジニトロジアミン白金等を、パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム、テトラアンミンジクロロパラジウム、テトラアンミンジニトロパラジウム、硝酸パラジウム等を、ロジウム化合物としては、例えば、塩化ロジウム、ヘキサアンミントリクロロロジウム、硝酸ロジウム等を、ルテニウム化合物としては、例えば、塩化ルテニウム、ヘキサアンミントリクロロルテニウム、ヘキサアンミントリニトロルテニウム等を、また、イリジウム化合物としては、例えば、塩化イリジウム、硫酸イリジウム、ヘキサクロロジアミンイリジウム等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
例えば、含浸法によって、白金族触媒を調製するには、白金族金属の化合物の水溶液や、又はアルコール溶液、エーテル溶液、ケトン溶液等、適当な有機溶媒を用いる溶液に担体を含浸させ、乾燥させた後、空気中で焼成すればよい。
【0030】
白金族触媒において、白金族金属の量は、金属換算で、0.2〜10mass%、好ましくは、0.8〜7mass%の範囲である。白金族触媒において、白金族金属の量が金属換算で0.2mass%よりも少ないときは、得られる脱硫触媒において、コーク劣化を抑えて、触媒活性を長期間にわたって高く維持するという所期の効果を殆ど得ることができず、他方、10mass%より多くしても、金属の分散性が低く、多量の添加に見合う効果を得ることができないのみならず、不必要に触媒製造費用を上昇させる。
【0031】
担体に白金族化合物の溶液を含浸させた後、これを空気中で焼成する際の温度は、通常、400〜700℃、好ましくは、450〜600℃の範囲であり、焼成時間は、通常、1〜10時間程度である。焼成後の水素等での還元処理は、行なっても、行なわなくても、触媒性能に大きな差はない。
【0032】
白金族触媒は、これを前記基体触媒の表面にコーティングするには、その粒子径を10〜100μm、好ましくは、30〜80μmの範囲に粉砕して用いることが必要である。白金族触媒を粒子径が10μmより小さい微粒子に粉砕することは困難であり、他方、白金族触媒が100μmより大きい粒子であるときは、コーティング効果、即ち、コーティングされた白金族触媒の粒子と基体触媒との協奏的又は協同的な脱硫活性の向上とコーク劣化防止の効果が低いほか、コーティングされた白金族触媒が基体触媒の表面から剥離しやすい。
【0033】
白金族触媒を基体触媒の表面にコーティングするには、上記白金族触媒の微粒子を水に懸濁させてスラリーとし、このスラリーを基体触媒の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて、この操作を数回繰り返して、得られる水素化脱硫触媒において、基体触媒と白金族触媒とが所定の割合となるようにする。
【0034】
本発明による水素化脱硫触媒において、白金族触媒は、基体触媒100mass部当りに1〜20mass部、好ましくは、1〜10mass部、特に、好ましくは、2〜8mass部である。基体触媒100mass部当りに白金族触媒が1mass部より少ないときは、触媒のコーク劣化を抑えて、触媒活性を長期間にわたって高く維持するという所期の効果を殆ど得ることができず、他方、基体触媒100mass部当りに白金族触媒が10mass部よりも多いときは、白金族触媒が基体触媒をが完全に被覆するので、得られる水素化脱硫触媒は、脱硫活性が著しく低い。
【0035】
本発明によれば、白金族触媒の微粒子を水に懸濁させる際、その白金族触媒の微粒子を懸濁させるために用いる水の量は、前記基体触媒が吸水し得る水の最大質量(以下、単に、飽和吸水量という。)に対して、1.5〜5倍の範囲であり、且つ、白金族触媒の微粒子を懸濁させるために用いる水の質量/コーティングする白金族触媒の質量の比が20〜200の範囲である量とするのが好ましい。
【0036】
例えば、基体触媒50g(吸水量30g)に対して、白金族触媒2.5g(基体触媒100mass部に対して5mass部)をコーティングする場合には、上記の要件を満たす水の量(白金族触媒の微粒子を懸濁させるために用いる水の量)は、50〜150gの範囲である。白金族触媒の微粒子を懸濁させるために用いる水の量をこのように規定する理由は、スラリーの濃度が余りに高いときは、スラリーを基体触媒に均一にコーティングすることができず、反対に、スラリーの濃度が余りに小さいときは、コーティング操作を不必要に多数回、繰り返して行なう必要があるためである。
【0037】
貴金属触媒の微粒子を懸濁させたスラリーは、得られる脱硫触媒において、白金族触媒が基体触媒から容易に剥離しないように、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル等をバインダーとして含んでいることが好ましい。このようなバインダーの量は、スラリー中の水100mass部に対して、通常、2〜20mass部、好ましくは、5〜15mass部の範囲である。スラリー中の水100mass部に対して、バインダーの量が2mass部よりも少ないときは、バインダーとしての効果が十分でなく、他方、20mass部よりも多いときは、白金族触媒のみならず、基体触媒も、バインダーを構成する上記酸化物によって被覆される結果、脱硫活性が低下するのみならず、スラリーの粘度が高く、コーティング操作が困難である。
【0038】
本発明による水素化脱硫触媒を間接脱硫装置や直接脱硫装置の反応器に充填して、重質油の接触水素化脱硫に用いるには、従来と同じく、触媒を充填した反応器に原料油としての重質油を導入して、従来より知られている高温高圧及び相当の水素分圧の条件下で処理すればよい。
【0039】
最も一般的には、本発明による脱硫触媒を固定床として反応器中に維持し、原料油にこの固定床を上方から下方に通過させる。触媒は、単独の反応器に充填して用いてもよく、また、直列に連結した複数の反応器のそれぞれに触媒を充填してもよい。特に、原料油がARの場合には、ARは、高濃度のニッケル、バナジウム等の金属分を含んでいるので、脱硫触媒に脱メタル機能を有した触媒系を組み合わせた多段反応器を用いることが好ましい。
【0040】
反応条件は、特に、限定されるものではないが、例えば、5容量%留出温度が240℃以上、95容量%留出温度が450℃以上である減圧軽油(VGO)留分や、40容量%留出温度が450℃以上の常圧残油(AR)等を本発明による脱硫触媒を用いて接触水素化脱硫する場合、好ましくは、水素分圧4〜18MPa、原料油温度320〜410℃、液空間速度0.1〜4.0hr-1の範囲の条件下で、本発明による触媒と接触させればよい。
【0041】
このような反応条件下で上記重質油を水素化脱硫するとき、本発明による脱硫触媒の劣化は、従来の脱硫触媒の劣化に比べて著しく小さいので、実装置での商業運転における触媒寿命を、従来の1年程度から、1.5〜2年とすることもできる。その理由は、必ずしも明らかではないが、本発明に従って、基体触媒の表面に水素化能の高い白金族触媒をコーティングすることによって、脱硫触媒中でのコーク析出の原因の一つであると考えられている多環芳香族炭化水素類の核水素化(開環)反応が促進されるためであるとみられる。
【0042】
更に、本発明による脱硫触媒は、初期の脱硫活性が従来の触媒よりも高いという効果をも有しているので、触媒劣化が著しくはない90容量%留出温度が250℃以下の灯油留分や、90容量%留出温度が400℃以下の軽油留分に対する水素化脱硫にも有効に用いることができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0044】
(基体触媒Aの調製)
基体触媒A1
(5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナ(円柱状ペレット)の調製)
イオン交換水25g中にモリブドリン酸30水和物10gとオルトリン酸1.85gと酢酸コバルト4水和物8.0gを溶解させた水溶液を円柱状(1/16インチ)アルミナペレット(日本ケッチェン社製、表面積385m2 -1)36gに含浸させ、室温にて乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0045】
基体触媒A2
(5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナ(四葉状ペレット)の調製)
基体触媒A1の調製において、円柱状(1/16インチ)アルミナペレットの代わりに、四葉状(1/20インチ)アルミナペレット(日本ケッチェン社製、表面積378m2 -1)を用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0046】
基体触媒A3
(5mass%NiO−15mass質量%MoO3 担持アルミナの調製)
基体触媒A1の調製において、酢酸コバルト4水和物8.0gの代わりに、酢酸ニッケル4水和物8.0gを用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、5mass%NiO−15mass質量%MoO3 担持アルミナを得た。
【0047】
基体触媒A4
(2.5mass%CoO−2.5mass%NiO−15mass%MoO3 担持アルミナの調製)
基体触媒A1の調製において、酢酸コバルト4水和物8.0gの代わりに、酢酸コバルト4水和物4.0gと酢酸ニッケル4水和物4.0gを用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、2.5mass%CoO−2.5mass%NiO−15mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0048】
基体触媒A5
(5mass%CoO−15massMoO3 担持アルミナ−シリカの調製)
基体触媒A1の調製において、円柱状(1/16インチ)アルミナペレットの代わりに、円柱状(1/16インチ)アルミナ−シリカペレット(日本ケッチェン社製、20mass%SiO2 含有、表面積391m2 -1)を用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、5mass%CoO−15massMoO3 担持アルミナ−シリカを得た。
【0049】
基体触媒A6
(5mass%CoO−20mass%MoO3 担持アルミナの調製)
基体触媒A1の調製において、モリブドリン酸30水和物13.3gと円柱状(1/16インチ)アルミナペレット33.5gを用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、5mass%CoO−20mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0050】
基体触媒A7
(2mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナの調製)
基体触媒A1の調製において、酢酸コバルト4水和物3.2gと円柱状(1/16インチ)アルミナペレット37.7gを用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、2mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0051】
基体触媒A8
(8mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナの調製)
基体触媒A1の調製において、酢酸コバルト4水和物12.8gと円柱状(1/16インチ)アルミナペレット34.6gを用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、8mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0052】
基体触媒A9
(5mass%CoO−8mass%MoO3 担持アルミナの調製)
基体触媒A1の調製において、モリブドリン酸30水和物5.3gと円柱状(1/16インチ)アルミナペレット39.4gを用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、5mass%CoO−8mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0053】
基体触媒A10
(5mass%CoO−35mass%MoO3 担持アルミナの調製)
基体触媒A1の調製において、モリブドリン酸30水和物23.3gと円柱状(1/16インチ)アルミナペレット28.7gを用いた以外は、基体触媒A1と同様にして、5mass%CoO−35mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0054】
(白金族触媒Bの調製)
白金族触媒B1
(1mass%白金担持シリカの調製)
塩化白金酸6水和物1gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.6gにイオン交換水1.4gを加えて、8gとした。この水溶液を16〜28メッシュ(1〜0.59mm)に粉砕したシリカ(ダヴィソン社製、表面積335m2 -1)10gに含浸させ、80℃にて減圧乾燥した後、500℃で3時間焼成して、1mass%白金担持シリカを得た。
【0055】
白金族触媒B2
(1mass%パラジウム担持シリカの調製)
テトラアンミンジクロロパラジウム1水和物1gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.2gにイオン交換水1.8gを加えて、8gとした。この水溶液を用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、1mass%パラジウム担持シリカを得た。
【0056】
白金族触媒B3
(1mass%ロジウム担持シリカの調製)
塩化ロジウム3水和物1gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.4gにイオン交換水1.6gを加えて、8gとした。この水溶液を用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、1mass%ロジウム担持シリカを得た。
【0057】
白金族触媒B4
(0.5mass%ルテニウム担持シリカの調製)
塩化ルテニウム3水和物1gをイオン交換水50gに溶解させた。この水溶液5.6gにイオン交換水を加えて、8gとした。この水溶液を用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、0.5mass%ルテニウム担持シリカを得た。
【0058】
白金族触媒B5
(0.5mass%イリジウム担持シリカの調製)
塩化イリジウム3水和物1gをイオン交換水50gに溶解させた。この水溶液4.2gにイオン交換水を加えて、8gとした。この水溶液を用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、0.5mass%イリジウム担持シリカを得た。
【0059】
白金族触媒B6
(0.5mass%白金担持シリカの調製)
塩化白金酸6水和物0.5gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.6gを用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、0.5mass%白金担持シリカを得た。
【0060】
白金族触媒B7
(2mass%白金担持シリカの調製)
塩化白金酸6水和物2gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.6gを用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、2mass%白金担持シリカを得た。
【0061】
白金族触媒B8
(5mass%白金担持シリカの調製)
塩化白金酸6水和物5gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.6gを用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、5mass%白金担持シリカを得た。
【0062】
白金族触媒B9
(1mass%白金担持シリカの調製)
担体として、アルミナ(水沢化学社製、表面積190m2 -1)10gを用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、1mass%白金担持シリカを得た。
【0063】
白金族触媒B10
(1mass%白金担持ジルコニアの調製)
担体として、ジルコニア(第一希元素社製、表面積27m2 -1)を用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、1mass%白金担持ジルコニアを得た。
【0064】
白金族触媒B11
(0.1mass%白金担持シリカの調製)
塩化白金酸6水和物0.1gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.6gを用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、0.1mass%白金担持シリカを得た。
【0065】
白金族触媒B12
(12mass%白金担持シリカの調製)
塩化白金酸6水和物12gをイオン交換水25gに溶解させた。この水溶液6.6gを用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、12mass%白金担持シリカを得た。
【0066】
白金族触媒B13
(0.5mass%白金−0.5mass%パラジウム担持シリカの調製)
塩化白金酸6水和物1gをイオン交換水25gに溶解させた水溶液3.3gとテトラアンミンジクロロパラジウム1水和物1gをイオン交換水25gに溶解させた水溶液3.1を用いた以外は、白金族触媒B1と同様にして、0.5mass%白金−0.5mass%パラジウム担持シリカを得た。
【0067】
単層構造触媒C1
(1mass%白金−5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナの調製)
イオン交換水25g中にモリブドリン酸30水和物10gとオルトリン酸1.85gと酢酸コバルト4水和物8.0gを溶解させた水溶液を円柱状(1/16インチ)アルミナペレット(日本ケッチェン社製、表面積385m2 -1)36gに含浸させ、室温にて乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0068】
別に、塩化白金酸6水和物5gをイオン交換水25gに溶解させ、この水溶液6.6gにイオン交換水を加えて、25gとした。この水溶液を上記5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナに含浸させ、80℃にて減圧乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、1mass%白金−5mass%CoO−15mass%MoO3 担持アルミナを得た。
【0069】
(原料油)
以下の実施例及び比較例において用いた原料油は次のとおりである。
【0070】
Figure 0003797731
【0071】
Figure 0003797731
【0072】
(反応条件)
以下の実施例及び比較例において用いた反応条件は次のとおりである。
【0073】
反応条件P1
水素分圧 :4.9MPa
反応温度 :400℃
液空間速度:0.66hr-1
水素/油比:422Nm3 kL-1
(注)本反応条件はVGO留分の水素化脱硫処理に対するものである。
【0074】
反応条件P2
水素分圧 :10.3MPa
反応温度 :390℃
液空間速度:0.4hr-1
水素/油比:997Nm3 kL-1
(注)本反応条件はAR留分の水素化脱硫処理に対するものである。
【0075】
(触媒の水素化脱硫活性の評価)
触媒の水素化脱硫活性は、以下に示す算式より導かれた反応速度定数k値にて評価した。ここに、k値が高いほど、触媒活性がすぐれていることを示す。
k=〔(1/生成油のS濃度n )−(1/原料油S濃度n )×液空間速度
ここに、原料油がVGOのとき、n=0.5、ARのとき、n=1である。
【0076】
以下に、前記基体触媒の表面に白金族触媒をコーティングしてなる脱硫触媒Mを用いて、上記原料油を上記反応条件にて水素化脱硫した実施例を比較例と共に示す。
【0077】
実施例1
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M1を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0078】
実施例2
55〜73μmに整粒した白金族触媒B2(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量32g)にコーティングして、脱硫触媒M2を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0079】
実施例3
55〜73μmに整粒した白金族触媒B3(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M3を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0080】
実施例4
55〜73μmに整粒した白金族触媒B4(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M4を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0081】
実施例5
55〜73μmに整粒した白金族触媒B5(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M5を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0082】
実施例6
55〜73μmに整粒した白金族触媒B6(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M6を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0083】
実施例7
55〜73μmに整粒した白金族触媒B7(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M7を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0084】
実施例8
55〜73μmに整粒した白金族触媒B8(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M8を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0085】
実施例9
55〜73μmに整粒した白金族触媒B9(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M9を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0086】
実施例10
55〜73μmに整粒した白金族触媒B10(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M10を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0087】
実施例11
55〜73μmに整粒した白金族触媒B13(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M11を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0088】
実施例12
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒M11を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R2を反応条件P2にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0089】
比較例1
55〜73μmに整粒した白金族触媒B11(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒K1を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0090】
比較例2
55〜73μmに整粒した白金族触媒B12(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒K2を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0091】
比較例3
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(0.25g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒K3を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0092】
比較例4
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(14g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A1(50g、飽和吸水量30g)にコーティングして、脱硫触媒K4を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表1に示す。
【0093】
実施例13
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A2(50g、飽和吸水量32g)にコーティングして、脱硫触媒N1を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0094】
実施例14
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A3(50g、飽和吸水量29g)にコーティングして、脱硫触媒N2を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0095】
実施例15
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A4(50g、飽和吸水量33g)にコーティングして、脱硫触媒N3を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0096】
実施例16
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A5(50g、飽和吸水量36g)にコーティングして、脱硫触媒N4を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0097】
実施例17
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A6(50g、飽和吸水量25g)にコーティングして、脱硫触媒N5を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0098】
実施例18
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A2(50g、飽和吸水量32g)にコーティングして、脱硫触媒N1を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R2を反応条件P2にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0099】
比較例5
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A7(50g、飽和吸水量34g)にコーティングして、脱硫触媒L1を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0100】
比較例6
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A8(50g、飽和吸水量28g)にコーティングして、脱硫触媒L2を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0101】
比較例7
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A9(50g、飽和吸水量22g)にコーティングして、脱硫触媒L3を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0102】
比較例8
55〜73μmに整粒した白金族触媒B1(1.0g)をイオン交換水90gとシリカゾル10gを含むシリカゾル含有イオン交換水100gに懸濁させ、これを基体触媒A10(50g、飽和吸水量18g)にコーティングして、脱硫触媒L4を調製した。この脱硫触媒10gを用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫を行なった。結果を表2に示す。
【0103】
比較例9
単層触媒C1を10g用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫した。結果を表2に示す。
【0104】
比較例10
基体触媒A1を10g用いて、原料油R1を反応条件P1にて接触水素化脱硫した。結果を表2に示す。
【0105】
【表1】
Figure 0003797731
【0106】
【表2】
Figure 0003797731
【0107】
【発明の効果】
以上のように、本発明の水素化脱硫触媒は、これを用いて、VGOやAR等の重質油留分を脱硫するとき、コーク劣化がよく抑えられて、触媒活性を高く維持しながら、長期間にわたって、減圧軽油(VGO)留分や常圧残油(AR)中の硫黄化合物を高率にて除去することができる。

Claims (4)

  1. (a) 周期律表鉄族から選ばれる少なくとも1種の金属が酸化物換算にて3〜7mass%と周期律表第VIA族から選ばれる少なくとも1種の金属が酸化物換算にて10〜30mass%と残部が無機酸化物担体とからなる基体触媒と、
    (b) 周期律表白金族から選ばれる少なくとも1種の金属が金属換算にて0.2〜10mass%と残部が無機酸化物担体とからなる白金族触媒とからなり、
    上記基体触媒の表面に上記白金族触媒が基体触媒100mass部当りに1〜20mass部の範囲にてコーティングされてなることを特徴とする水素化脱硫触媒。
  2. 鉄族から選ばれる少なくとも1種の金属がコバルト又はニッケルであり、第VIA族から選ばれる少なくとも1種の金属がモリブデンであり、白金族から選ばれる少なくとも1種の金属が白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム又はイリジウムである請求項1に記載の水素化脱硫触媒。
  3. 請求項1又は2に記載の水素化脱硫触媒を製造する方法であって、白金族触媒の粒子を水に懸濁させてスラリーとする際に、基体触媒の飽和吸水量に対して、質量比にて1.5〜5倍であり、且つ、白金族触媒の粒子に対して、質量比にて20〜200倍の範囲の量の水に粒子径が10〜100μmの範囲にある白金族触媒の粒子を懸濁させてスラリーとし、このスラリーを基体触媒にコーティングし、乾燥させ、焼成することを特徴とする水素化脱硫触媒の製造方法。
  4. 水素分圧4〜18MPa、温度320〜410℃及び液空間速度0.1〜4.0hr-1の反応条件下に、重質油を請求項1又は2に記載の触媒と接触させることを特徴とする重質油の水素化脱硫処理方法。
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EP1052015A4 (en) * 1997-10-14 2002-04-17 Japan Energy Corp CATALYST FOR HYDROTREATING HEAVY OIL, CARRIER FOR THE CATALYST, METHOD FOR PRODUCING THE CATALYST

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