JP3797645B2 - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法に関するものであり、特に中高圧用陽極箔材に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造には、純度99.9%以上(例えば純度99.96%以上)の純アルミニウムを常法により熱間、冷間圧延して100μm前後の厚さにし、これを最終焼鈍した後、表面の粗面化処理、所定の化成処理(陽極酸化)が行われる。
上記した粗面化処理はアルミニウム箔の表面積の拡大を目的としたものであり、一般に塩酸を主体とした電解液の中で電気化学的に処理して多数のキャピラリー状ピットを形成させる。この1つずつのピットは箔面に垂直に伸びて箔の表面積の増大をもたらし、未処理のものに比べて高い静電容量をもたらす。この粗面化における表面積拡大率が大きい程、コンデンサの電極に用いる際に使用する箔の量は少なくて済み、小型化及び省資源に寄与することができる。
このため粗面化処理における拡大率を高めるため、コンデンサメーカでは粗面化処理条件の研究がなされており、一方、原箔の供給者である箔圧延メーカでは粗面化処理で高い粗面化率(拡大率)が得られる箔について種々の研究がなされている。
そこで本発明者は先に、高い粗面化率が得られる材料を提供することを目的として、最終焼鈍における雰囲気を従来の真空下または不活性ガス雰囲気から還元性雰囲気に変えて上記粗面化率を改善する方法を提案している(特開平8−222488号)。この方法によれば、粗面化処理に先立ってアルミニウム箔に形成される酸化被膜を適切な厚さ及び結晶化率に調整でき、よって粗面化処理に際し均一なピットが多数形成され、その結果、粗面化率が向上することが期待される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法により得られたアルミニウム箔では、電解コンデンサに用いることにより単位面積あたりの静電容量が向上した電解コンデンサを得ることができる。しかし、その向上の程度は理論的に期待されるものよりも低く、十分な粗面化率が得られていないという問題がある。本発明者はその後、さらに研究を進め、上記における問題の原因を追求したところ、アルミニウム箔を製造する圧延の過程で圧延材(最終的にはアルミニウム箔となる)に付着した潤滑油が最終焼鈍後もアルミニウム箔の表面に留まり、これが粗面化処理に際しピット形成の妨げになること及びそのため酸化皮膜の不均一性が生じ更に、現状の焼鈍条件では、その厚みも厚くなることにより、ピットの形成密度が粗になることなどがあり、粗面化率を低下させていることを解明した。本発明者はかかる知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
すなわち本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、最終焼鈍時にアルミニウム箔の酸化被膜厚を適切に制御するとともに、アルミニウム箔表面に付着した油分を最終焼鈍時に確実に除去し、粗面化処理に際し、高い粗面化率を得ることができる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法のうち第1の発明は、アルミニウム箔に最終焼鈍を行い、その後、粗面化処理を施す電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法であって、最終焼鈍における昇温過程で、0.01〜1.0体積%の酸素を含み、残部が還元性ガスからなる酸素添加還元性雰囲気中で200℃/時間以下の昇温速度で加熱温度が350〜500℃に達するまで前記アルミニウム箔を加熱し、その後、少なくとも、500〜600℃に加熱する保持過程を含む過程で、酸素濃度を0.01体積%未満に規制し、残部が還元性ガスからなる酸素無添加還元性雰囲気中で該アルミニウム箔を加熱して焼鈍を行うとともに前記酸素添加還元性雰囲気から前記酸素無添加還元性雰囲気に移行する際に、酸素濃度を次第に減少させる移行時期を設けることを特徴とする。
【0005】
第2の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、第1の発明において、前記酸素添加還元性雰囲気で、50体積%以下の不活性ガスを含むことを特徴とする。
第3の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、第1または第2の発明において、前記酸素無添加還元性雰囲気で、25体積%以下の不活性ガスを含むことを特徴とする。
【0006】
第4の発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記保持過程後の冷却過程で、500℃以上の高温域よりも低い温度で雰囲気を前記酸素無添加還元性雰囲気から不活性ガス雰囲気に移行させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明で用いられるアルミニウム箔には純度99.9%以上、さらに99.96%以上のものが望ましく、その製造に際し、鋳造、圧延については通常のアルミニウム箔と同様の工程を採用することができ、最終厚みに至るまでの製造方法は特に限定されるものではない。なお、本発明としては最終厚みについて特に限定されるものでないことは勿論であるが、通常は0.1mm程度の厚さを最終厚みとしている。
【0009】
上記工程により得られたアルミニウム箔には最終焼鈍が施される。この焼鈍では、還元性雰囲気において昇温過程と保持過程と冷却過程を経るようにして上記アルミニウム箔を加熱するが、その過程で、使用する雰囲気ガスを変えている。すなわち、前記したように昇温過程で、0.01〜1.0体積%の酸素と0〜50体積%の不活性ガスを含み、残部が実質的に還元性ガスからなる酸素添加還元性雰囲気中で前記アルミニウム箔を加熱する。
上記のように還元性雰囲気中に少量の酸素を含むことにより、還元ガスによる還元作用でアルミニウム箔表面に適切な厚さの酸化被膜が形成されるとともに、酸素による酸化作用によってアルミニウム箔表面に付着している油分が酸化される。酸化した油分は高温加熱状態で分解、ガス化し、アルミニウム箔から容易に離脱する。なお、雰囲気中の酸素濃度が0.01体積%以下であると上記作用が十分に得られず、油分を確実にアルミニウム箔表面から除去することが困難になる。一方、あまりに多くの酸素を含有させるとアルミニウム箔表面の酸化作用が過度になり、酸化被膜の厚さが必要以上に厚くなり、後の粗面化処理が良好になされなくなる。
なお、同様の理由で下限0.02体積%、上限を0.3体積%とするのが望ましい。上記の適切な酸素濃度によってアルミニウム箔表面には適切な厚さ(例えば30〜50Å厚)を有し、圧延油の残留がない酸化被膜が形成される。
【0010】
なお、本発明では、上記酸素添加還元性雰囲気は実質的に上記した少量の酸素と還元性ガスとからなるもので構成することができるが、これらの他に不活性ガスを適量含有させたものであってもよい。
また上記不活性ガスは、酸化された油分をアルミニウム箔表面から除去するのに有効に作用し、蒸散した酸化油分がアルミニウム箔に再付着することも有効に防止する作用がある。これら作用を確実に得るため、不活性ガスを含有させる場合には、その含有量を10体積%以上とするのが望ましい。但し、不活性ガスは還元性ガス(特に水素)に比べて熱伝導度が低いため、不活性ガスの含有量が多くなりすぎると雰囲気での熱伝導性が悪くなり加熱効率が低下する。また、不活性ガスの含有量が多くなりすぎると相対的に還元性ガスの含有量が低くなりすぎて還元作用が損なわれる。これらの点から不活性ガス濃度は50体積%を上限とする。なお、同様の理由で上限をさらに25%とするのが望ましい。
なお、本発明で使用される還元性ガスとしては代表的には水素を挙げることができるが、その他にCO、炭化水素等のガスを用いることができる。但し、還元力、熱伝導度の観点から水素が好適である。また不活性ガスとしては、Ar、He等が例示される。一般にN2も不活性ガスとして位置付けられているが本発明では、焼鈍時の高温領域ではアルミニウム箔との反応が起こるおそれがあるため、上記したように不活性度が高い周期表第0属に属するガスを使用するのが望ましい。
なお、雰囲気には微量の水分や不純物の存在は許容されるが、これらはできるだけ少ないものが望ましい。
【0011】
上記した酸素添加還元性雰囲気は昇温過程で採用されるが、昇温過程の全過程でこの雰囲気になることが必須となるものではない。但し、昇温開始当初から該雰囲気として、加熱温度が350〜500℃に達するまで該雰囲気を維持するのが望ましい。なお、上記における加熱温度とは雰囲気温度を示している。
上記の範囲より低い加熱温度で該雰囲気を終了してしまうと、アルミニウム箔表面に付着している油分が十分かつ確実に除去されず、また飛散した酸化油分が再付着しやすいため、該雰囲気を350℃以上の加熱温度まで維持するのが望ましい。一方、相当に高温まで上記雰囲気を維持すると、高温酸化が過度に促進され、酸素を添加している雰囲気にあることも加わってアルミニウム箔表面に所望とする酸化被膜よりも厚い酸化被膜が形成されやすくなる。このため上記雰囲気の維持は500℃以下で終了するのが望ましい。なお、同様の理由で下限は400℃が好ましい。
【0012】
したがって該温度域が昇温過程中途にある場合は、昇温過程途中で酸素添加還元性雰囲気から脱するのが望ましいことになる。
また昇温過程での昇温は、速い速度で行う程効率が良いことになるが、本発明では、昇温速度を200℃/時間以下とするのが望ましい。これは昇温速度が速いと、上記した油分の酸化、除去が十分になされる前に上記したような温度域に達してしまい、そこで酸素添加還元性雰囲気から脱するとアルミニウム箔表面に油分が残ったままになってしまう。またそのまま雰囲気を維持すると温度がさらに上昇して上記したような不具合が生じてくる。したがって昇温速度は、油分が酸化、除去されるのに十分に遅い速度、すなわち200℃/時間以下とするのが望ましい。また、酸素添加還元性雰囲気での加熱を終了した後は、効率を向上させるために昇温速度を上げる(例えば200℃越/時間)ことも可能である。
【0013】
上記した酸素添加還元性ガス雰囲気を終了した後は、保持過程を含む過程において酸素無添加還元性雰囲気で加熱する。これは油分を酸化、除去した後は、アルミニウム箔表面に適切に厚さが調整された酸化被膜を一様に形成するためには酸素を添加していない還元性雰囲気で加熱を行うことが必要になるためである。ここで、雰囲気中に酸素が添加されていると、相当に高温であることも重なって酸化が過度に進み、厚さが適切な酸化被膜を得ることが困難になる。したがって、この雰囲気では、酸素を添加せず、また不純物として含まれる酸素も0.01体積%未満に規制するのが望ましい。さらに、同様の理由で酸素濃度を0.001体積%以下に規制するのが望ましい。
【0014】
また、この雰囲気では、還元性ガスに加えて不活性ガスを含んでいてもよい。少量の不活性ガスは、上記したように飛散した油分がアルミニウム箔表面に再付着するのを防止する効果があるが、その一方で熱伝導度を低下させる。また、この雰囲気では、適切厚さの酸化被膜をアルミニウム箔表面に一様に形成するために、十分な還元作用が必要である。したがって、この雰囲気においては還元性ガス濃度を75体積%以上とし、不活性ガスを添加する場合でもその濃度を25体積%以下とする。なお、同様の理由で還元性ガスの含有量を90体積%以上とし、不活性ガスの含有量を10体積%以下とするのが一層望ましい。なお、還元性ガス、不活性ガスの種別としては前記酸素添加還元性ガス雰囲気で説明したものと同様である。また、酸素添加還元性雰囲気と酸素無添加還元性雰囲気とで還元性ガス、不活性ガスの種別を変えることも可能であるが、通常は、同種のものを用いる。
【0015】
上記した酸素無添加還元性雰囲気は、酸素添加還元性雰囲気から直ちに移行することは難しいので、酸素無添加還元性雰囲気から徐々に酸素濃度を減少させる移行期間を設けることができる。この移行期間はできるだけ短時間が望ましく、加熱温度が500℃を越えるまでに酸素無添加還元性雰囲気に移行させるのが望ましい。これは、移行期間中は酸素濃度が高く、雰囲気が相当に高温になることにより酸化作用が過度になってアルミニウム箔表面への適切な酸化被膜の形成が困難になるためである。上記移行は、雰囲気中、例えば加熱炉内に酸素を添加していない還元性ガスを徐々に導入して全体の酸素濃度を低下させる方法を一例として挙げることができる。また、上記移行では、酸素の濃度に加えて不活性ガスの濃度も徐々に減少させるようにすることも可能であり、この場合にも雰囲気中に不活性ガスを添加していないか不活性ガスの濃度が低い還元性ガスを次第に導入することにより徐々に不活性ガス濃度を減少させることができる。
【0016】
昇温過程後の保持過程では、保持加熱温度を500〜600℃とするのが望ましい。これは、還元性ガス雰囲気下で適切な酸化被膜(厚さ)及びアルミ素材(高立方体方位率組織)を得るには500℃以上の高温にするのが望ましいためである。なお、アルミ素材の立方体方位率が高くなることによっても粗面化処理における粗面化率が向上する。一方、温度が高くなりすぎると、余剰酸素がアルミニウム箔同士の一部焼付きを生じさせるため、保持温度を600℃以下とする望ましい。なお、下限は結晶組織的に立方体方位を高くするため530℃が好ましく、上限は前記の理由で580℃が望ましい。また、保持時間については2〜8時間とするのが望ましい。これは、2時間未満であると立方体方位率が不十分であり、8時間を越えると前述の箔同志が焼付きを生じさせるためである。
【0017】
保持過程中は終始、酸素無添加還元性雰囲気を維持することが望ましく、さらにその後の冷却過程でも高温域(例えば500℃以上)では該雰囲気を維持するのが望ましい。また、焼鈍が終了するまではアルミニウム箔を酸化性雰囲気におかないのが望ましい。したがって上記高温域よりも低い温度では、雰囲気を還元性雰囲気から不活性ガス雰囲気に移行させることが可能である。ただし、この雰囲気でも酸素の含有量は前記と同様に規制する(例えば0.01体積%未満)のが望ましい。なお上記高温域よりも低い温度域では反応性が低くなるので不活性ガスとして例えば窒素ガスの使用も可能になる。また、冷却過程では、この焼鈍が比較的高い温度で保持加熱されることから急冷すると熱応力によってアルミニウム箔にしわが発生しやすくなり、酸化被膜にも微小なひび割れ等が発生して後の粗面化処理での均質性が損なわれやすくなる。したがって、冷却過程では冷却速度が速くなりすぎないように炉冷等により制御するのが望ましく、具体的には平均で200℃/時間以下の冷却速度で冷却するのが望ましい。
【0018】
上記最終焼鈍により得られるアルミニウム箔は、その表面からは油分が確実に除去されており、しかも適度な厚さを有する酸化被膜が均質に表面に形成されている。このアルミニウム箔には、常法により粗面化処理を施すことができ、粗面化処理に際して高密度で均一なキャピラリー状ピットが形成され、高い粗面化率が得られる。高密度で均一なピットが形成されることにより、このアルミニウム箔を用いた電解コンデンサは大きな静電容量を有することができる。
【0019】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
常法により溶製された純度99.99%の純アルミニウムを最終的に冷間圧延し、0.1mm厚のロール上がりの硬質アルミニウム箔を得た。このアルミニウム箔を表1に示す条件で加熱炉にて最終焼鈍した。その際に、発明材(No.1〜12)では酸素添加還元性雰囲気と酸素無添加還元性雰囲気を組み合わせ、比較材(No.13〜17)では、該雰囲気において発明法の条件を外して焼鈍を行った。
なお発明法では、図1に示す一例(供試材No.1)のように昇温過程で酸素添加還元性雰囲気で加熱を行い、その後、炉内に酸素を添加していない水素ガスを導入して徐々に酸素量を減少させて昇温過程中に酸素無添加還元雰囲気に移行させ、保持過程でこの雰囲気を維持させている。また、これら供試材では、保持加熱後に冷却されるが、その冷却途中に加熱温度が200℃または300℃になった状態で徐々に炉内に窒素ガスを導入し、最終的に窒素ガスで炉内を置換した。
【0020】
【表1】
【0021】
上記により得られたアルミニウム箔には、引き続き、以下の条件で粗面化処理および化成処理を行った後、静電容量を測定した。
1.粗面化処理条件
(1)第1段エッチング条件(電解エッチング)
電解液
HCl 1モル/l
H2SO4 3モル/l
AlCl3・6H2O 60g/l
電解条件
温 度 75℃
電流密度 0.8A/cm2
電解時間 40秒
(2)第2段エッチング条件(化学エッチング)
エッチング液(75℃) H2O:HNO3(1:1)
エッチング時間:300秒
【0022】
2.化成条件(270V)
化成液
硼 酸 100g/l
硼酸アンモン 1g/l
条 件
温 度85℃
電流密度0.1A/cm2
到達電圧270V
【0023】
さらに供試材について、ブロム−メタノール液でAlを溶かし、シャーレ上に浮上した酸化被膜を透過型電子顕微鏡で観察した。また、島津製作所の光電子分光装置(ESCA)を用い、次式により酸化被膜厚を測定した。
酸化被膜厚み(Å)=23.7ln(1÷IM/IT)
IM:金属Alのピークの積分強度
IT:金属及び酸化Alのピークの積分強度
上記した、各測定結果は表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】
表2に明らかなように、最終焼鈍を適切な雰囲気で行うことにより、アルミニウム箔の静電容量が明らかに増大することがわかる。これに対し、酸素添加還元性雰囲気と酸素無添加還元性雰囲気とを適切に組み合わせないものでは、高い静電容量が得られなかった。また、本発明の供試材の中でも昇温速度、酸素濃度、不活性ガス濃度、雰囲気移行温度を適切に調整したものは、それ以外のものに比べて静電容量の増加が一層顕著になっていた。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法によれば、アルミニウム箔に最終焼鈍を行い、その後、粗面化処理を施す電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法であって、最終焼鈍における昇温過程で、0.01〜1.0体積%の酸素と0〜50体積%の不活性ガスとを含み、残部が実質的に還元性ガスからなる酸素添加還元性雰囲気中で前記アルミニウム箔を加熱し、その後、少なくとも保持過程を含む過程で、0〜25体積%の不活性ガスを含み、残部が実質的に還元性ガスからなる酸素無添加還元性雰囲気中で該アルミニウム箔を加熱して焼鈍を行うので、焼鈍時にアルミニウム箔表面の油分が確実に除去されるとともに、その表面に適切な酸化被膜が一様に形成され、粗面化処理に際し高い粗面化率が得られ、結果として単位面積あたりの静電容量を顕著に増大させる効果があり、電解コンデンサの小型化、省資源化が達成される。また、最終焼鈍時に油分が除去されるため、特別な洗浄工程が必要とされることがなく製造効率が向上する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例における、最終焼鈍時の酸素含有量の変化を示すグラフである。
Claims (4)
- アルミニウム箔に最終焼鈍を行い、その後、粗面化処理を施す電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法であって、最終焼鈍における昇温過程で、0.01〜1.0体積%の酸素を含み、残部が還元性ガスからなる酸素添加還元性雰囲気中で200℃/時間以下の昇温速度で加熱温度が350〜500℃に達するまで前記アルミニウム箔を加熱し、その後、少なくとも、500〜600℃に加熱する保持過程を含む過程で、酸素濃度を0.01体積%未満に規制し、残部が還元性ガスからなる酸素無添加還元性雰囲気中で該アルミニウム箔を加熱して焼鈍を行うとともに前記酸素添加還元性雰囲気から前記酸素無添加還元性雰囲気に移行する際に、酸素濃度を次第に減少させる移行時期を設けることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
- 前記酸素添加還元性雰囲気で、50体積%以下の不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
- 前記酸素無添加還元性雰囲気で、25体積%以下の不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
- 前記保持過程後の冷却過程で、500℃以上の高温域よりも低い温度で雰囲気を前記酸素無添加還元性雰囲気から不活性ガス雰囲気に移行させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
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