JP3796986B2 - 燃料噴射ノズル特性の測定方法とその装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のエンジン等の燃料噴射ノズルの性能評価において使用する燃料噴射ノズル特性の測定方法とその装置に関するものである。
【0002】
より詳細には、形状の異なるノズルの試験において、ノズルニードルを押圧するばね力を簡単に所定の値に設定できて、この所定のばね力が作用する時の開弁圧の測定が容易にかつ迅速にできる測定方法とその装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
自動車のディーゼルエンジン等においては、エンジンの各気筒間で、燃料噴射ノズルからの燃料噴射量が不均一になると、各気筒間の爆発圧力に差が生じ、クランク軸の回転速度にムラが発生するため、エンジンの振動が激しくなり、車体振動や騒音の原因となるばかりでなく、エンジン部品の寿命短縮の原因となる。
【0004】
そのため、燃料噴射ノズルの型式別だけではなく、同じ型式においても精密な形状が要求され、特性が微妙に変化し易いので個々の製品における特性の評価及び噴射量の調整も重要事項であり、これらの燃料噴射ノズルの特性の計測及び性能評価においては、さまざまな噴射特性を計測するための計測方法や計測装置に工夫がなされている。
【0005】
この噴射特性のなかでも、最も多く用いられているクローズドタイプの自動開閉型のノズルの開弁圧は、特に重要な項目であり、特に、噴射量および噴射タイミングのバラツキ低減を図ることにより、上記振動を防止でき、また、噴射量の制御を容易にすると共に燃費の改善が図れるという理由から、ノズルニードルを押し付ける押圧ばねのばね力を一定にして開弁圧を測定することが重要となっている。
【0006】
この開弁圧は、ノズルボディに挿入されたノズルニードルを押圧ばねで押圧し閉弁している時に、燃料をノズルに圧送し、ノズル室圧を上昇させて、ノズルニードルがリフトして、ノズルボディに設けられた噴孔から燃料が霧状に噴射される時の圧力である。そして、噴射によりノズル室圧が閉弁圧より低くなるとノズルニードルが下降し着座して噴射が終了する。
また、この開弁圧は、押圧力だけでなく、ノズルニードルとノズルボディのシール性、ノズルニードルの受圧面積の影響を受ける。
【0007】
この開弁圧は、図1、図2に示すように、ノズルボディ11にノズルニードル12を押し付ける押圧ばね(スプリング)13のばね力B1とそれに対抗してノズルニードル12を持ち上げようとする力P1、即ち、ノズルニードル12の受圧面積Aに燃料の液圧pを乗じた力P1(=p×A)とのバランスにより決定される。
【0008】
しかしながら、液圧pの測定は圧力計36等により比較的容易であるが、ノズルの受圧面積Aの測定は、この受圧面積Aがノズルニードル12とノズルボディ11とのシート部の接触線により決まるので、顕微鏡による観察が必要となり、この光学的測定を数多く行なうことは困難である。
【0009】
そのため、この受圧面積Aの測定は、特殊な場合以外は行なわれておらず、このノズルニードル12の受圧面積Aに燃料の液圧pを乗じるこの方法で、開弁圧poを求めることは特殊な例を除いて一般的には行なわれていない。
【0010】
一般的に行なわれている測定方法は、図2に示すように、ノズルニードル12を押し付けるばね力B1が所定の値になるように、標準スペーサと呼ばれる調整シム42を用いて押圧ばね13の長さLsが規定のばね長さになるように調整し、そして、この規定のばね長さの押圧ばね13により、ノズルニードル12に所定のばね力B1を加えた後、燃料油fを燃料供給孔46から送油及び加圧し、燃料噴射ノズルに供給する燃料の圧力pを、燃料が噴射されない低圧領域から徐々に上昇させて、燃料噴射ノズルの噴孔15から燃料噴射が始まる圧力pを測定して開弁圧poとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノズルボディ11に対するノズルニードル12の尾部12bの突き出し量の、ノズル部品の交換に伴う製作誤差などによって生じる僅かな差によって、ノズルニードル12を押圧するばね力B1に差が発生する。
【0012】
そのため、従来技術においては、このばね力B1の差を解消するために、ノズルニードル12の尾部12bの突き出し量を測定して、必要な厚さの調整シム42を選択し、これを図2に示すように押圧ばね13を挿入する収納穴43に配設してばね力B1の調整を行っている。
【0013】
従って、測定対象の燃料ノズルを取り替える毎に、ノズルニードル12の尾部12bの突き出し量の測定を行なう必要がある上に、その突き出し量に見合った調整シム42を選定して、収納穴43に配設する必要があるので、作業性が悪いという問題がある。
【0014】
特に、同一形状のノズルではなく、ノズルボディ11やノズルニードル12等の形状を変更したノズルを次々に取り替えて、ばね力B1一定時の開弁圧の測定を行なう時には、ノズルニードル12の尾部の突き出し量の変動幅が大きくなり、選択すべき調整シム42も多くなるので、著しく作業性が悪くなるという問題がある。
【0015】
また、この開弁圧の測定装置の例としては、特開平7−119585号公報に提案されている燃料噴射弁検査装置があり、この装置では、燃料噴射ノズルの開弁圧を、所定の圧力に設定するために、燃料圧力を所定の圧力に設定した後に、ノズルニードル押し付け力を担う開弁圧調整ばねの長さ、即ち押し付け力を開弁圧調整ねじで調整しながら、流量増加のねじ位置を探し、開弁位置を調整している。
【0016】
しかしながら、この検査装置においても、調整シムの選択と調整シムの配設の作業を開弁圧調整ねじの回動操作に置き換えることができるが、これは流量増加もしくは噴射開始時期の圧力を開弁圧と測定しているため、ノズル毎の開弁圧を一定にすることは可能だが、押し付けばね力を一定にすることは不可能である。よって同一条件での噴射特性を測定してはいない。
【0017】
また、開弁圧の測定ではないが、燃料噴射ノズルの特性の測定方法に関係するものとして、特開昭61−277869号公報において、開弁圧力より高い一定圧力下で燃料噴射量が一定に範囲内になるように、開弁圧力調整手段によって調整する燃料噴射弁の調整方法が提案されており、この調整方法では、ロータメーターの流量計で計測する燃料噴射量を均一にするばね力に設定するために、調整ねじを設けて、この調整ねじの回動によりばね長さ即ちばね力を調整している。
【0018】
しかしながら、この装置では、一定の燃料圧力を加えて開弁し、燃料噴射している状態で、言わば静的な状態で、燃料噴射量が所定の一定の値になるように調整ねじでばね力を調整するものであり、慣性力等の動的な要因を含む開弁圧を対象とする測定とは異なるものである。また、この方法では、微小な量の燃料流量を測定するロータメーターの応答を見ながら調整ねじを調整するので時間が掛かる。いずれにしても、この装置や方法は、開弁圧を測定するものではない。
【0019】
そして、これも開弁圧の測定ではないが、特開平3−222864号公報には、燃料圧(液体の圧力)を所定圧力に維持して、リフト量調整用の調整ねじによって移動するノズルニードル(ニードルノズル)のリフト量と燃料噴射量との関係を測定する噴射ノズル特性測定装置が提案されている。
【0020】
この装置では、ノズルニードルの位置を正確に測定するために押圧ばね(付勢ばね)を除外して構成しており、ロードセルによってノズルニードルのリフト量に応じたニードル推進力、つまり、燃料油がノズルニードルを加圧する力を測定している。
【0021】
この装置においても、燃料圧を所定の圧力に維持した状態で、ノズルニードルのリフト量と燃料噴射量の関係を測定しており、言わば静的な特性を計測している。そして、この装置や方法も、開弁圧を測定するものではない。
【0022】
以上、幾つかの計測装置について説明したが、ノズルニードルと押圧ばねを有した構成で、ノズル先端面積を変化させるようなノズル形状の違いによる開弁圧の差を調査するような場合において、ばね力を迅速に所定の値に設定でき、ばね力設定後の開弁圧を簡単に測定できる計測方法及び計測装置が無く、その出現が待たれていた。
【0023】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、ノズルの開弁圧の測定において、ノズルニードルを押圧するばね力の設定が簡単かつ迅速にでき、高い作業効率で、ノズルの開弁圧を測定できる燃料噴射ノズル特性の測定方法とその装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための燃料噴射ノズル特性の測定方法は、
測定装置のホルダの一端側の装着部に、測定対象のノズルニードルとノズルボディとノズルホルダとからなるノズル組立体を装着し、前記ノズルニードルの尾部を前記装着部の貫通穴に臨ませ、更に、該ノズルニードルの尾部側に押圧ばねと、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部を有するばね力設定手段とを直線状に配備する工程と、
【0025】
前記ばね力検出器により前記押圧ばねに加わるばね力を検出しながら、前記ばね力設定用ねじ部を前記貫通穴の他端側の雌ねじ部に螺合して回動することにより、前記押圧ばねの長さを変化させてばね力を所定の値に設定する工程と、
該ばね力の設定後、供給燃料の圧力を上昇させて、燃料圧の変化に伴う開弁圧を測定する工程とからなることを特徴とする。
【0026】
また、以上のような目的を達成するための燃料噴射ノズル特性の測定装置は、測定装置のホルダに、ノズルニードルとノズルボディとノズルホルダとからなる測定対象のノズル組立体を装着する装着部と、前記ノズル組立体に燃料を供給するための燃料供給孔と、前記装着部に開口し他端側に雌ねじ部を有する貫通穴を設け、
【0027】
該貫通穴に前記ノズルニードルの尾部を臨ませ、該貫通穴内に該ノズルニードルを押圧する押圧ばねと、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部を有するばね力設定手段を直線状に配設し、
更に、前記燃料供給孔の供給口に、燃料圧調整手段と燃料圧計測手段を備えた燃料供給用通路を接続して、前記ノズル部品に燃料供給可能に構成した燃料噴射ノズルの噴射特性を測定する装置であって、
前記ばね力設定手段は、前記押圧ばねに加えるばね力を検出するばね力検出器と、前記雌ねじ部に螺合し、回動により移動して前記押圧ばねの長さを変化させて前記ばね力を設定するばね力設定用ねじ部とを備えていることを特徴とする。
このばね力検出器には歪みゲージ式ロードセルや圧電式ロードセルなどを使用することができる。
【0028】
この測定方法およびその装置によれば、ノズルの形状や種類が異なっても、噴口径、シート面形状等のノズルの形状による影響を受けずに、ノズルニードルを押圧するばね力を、ばね力検出器で検出しながら、ばね力設定用ねじ部を回動して調整することにより、簡単かつ迅速に所定のばね力の値に設定することができ、この所定のばね力の時の開弁圧を容易に測定することができる。
【0029】
また、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部との組合わせにより、従来技術で必要とされていた、ノズルニードル尾部のノズルボディに対する突き出し量の測定や、この測定結果に基づいた調整シムの選択及び取り付けが不要になり、作業効率が向上する。
【0030】
更に、この測定方法およびその装置によれば、ノズルの受圧面積(動的有効受圧面積)Aやニードルリフト量ΔXも、A=B1(ばね力)/p(液圧)、ΔX=B1(ばね力)/K(ばね定数)等の計算から容易に求めることができる。
【0031】
その上、この計測方法と計測装置によれば、ばね力と開弁圧の関係の測定以外にも、ばね力検出器の出力を高速でリアルタイム処理することにより、ノズルの動的噴射特性についての情報を得ることもできる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の計測装置に関しては、図1に示すように、測定装置20のホルダ21に、ノズルニードル12とノズルボディ11とノズルホルダ25とからなる測定対象のノズル組立体11,12,25を装着する装着部22と、このノズル組立体11,12,25に燃料を供給するための燃料供給孔26と、装着部22に開口し他端側に雌ねじ部24を有する貫通穴23が設けられる。
【0033】
この貫通穴23は、装着部22側の小径部23aと反対側の大径部23bとから形成される。この貫通穴23の開口部に臨んでノズルニードル12の尾部12bが配置され、小径部23aには押圧ばね13とこの押圧ばね13の後端部の位置決めをする押圧軸31とが挿入され、また、大径部23bには、これに接して設けられたロードセル(ばね力検出器)32と、このロードセル32の後部に接するばね力設定用ねじ部33とが直線状に配設される。
【0034】
そして、この押圧軸31とロードセル32とばね力設定用ねじ部33とでばね力設定手段30を構成する。このばね力設定用ねじ部33は、ホルダ21の貫通穴23に設けられた雌ねじ部24に螺合して、回動により前後移動を行ない、押圧ばね13の長さLsを変化させてばね力を調整及び設定できるように構成される。
【0035】
また、ロードセル32の出力コード32cがばね力設定用ねじ部33を貫通してロードセル32の検出値を表示するばね力表示部34に接続し、ノズルボディ11またはノズルニードル12を交換して試験する際のばね13のばね力B1を、該ばね力検出器32の検出値をモニターしながら、ばね力設定用ねじ部33を回動できるように構成する。
【0036】
つまり、押圧ばね13の後側を押す押圧軸31とばね力設定用ねじ部33との間に、ロードセル32を挟み込み、ロードセル32の検出値をばね力表示部(ロードセル出力表示部)34を見ながら、押圧ばね13のばね力B1を、所定のばね力に手動または自動で設定できるように構成する。
【0037】
このロードセル32には、歪みゲージが組み込まれた円筒状の圧縮型小型高容量ロードセル等の歪みゲージ式ロードセルや圧電式ロードセル等を使用する。この円筒状の圧縮型小型高容量ロードセルの一例を上げると、センサ部分が直径20mmφ、長さ45mm、重量100gで9.8kNのばね力を検出し、静歪用のアンプを使用できるものがあり、これを使用することができる。
【0038】
更に、燃料供給孔26の供給口26aに、燃料圧調整手段35と燃料圧計測手段である圧力計(ピエゾ式高応答性圧力センサ)36を備えた燃料供給用通路27を接続し、ノズルの油溜まり14に燃料供給できるように構成する。また、ノズルの噴孔15とノズルホルダ25の燃料噴出通路25aから噴射した燃料を回収するために、燃料排出通路28、油タンク29、燃料循環通路28aを設けて、燃料供給手段50に接続して構成する。
【0039】
この燃料供給手段50は、図示しないが、簡単なものは、電動又は手動の油圧ポンプであり、作動を続けることで、圧力を上昇できるので、リリーフ用の弁を備えることにより燃料圧調整手段35も兼ねることになる。また、圧力発生用シリンダとピストンとの組合せやアキュムレータと減圧弁やリリーフ弁などの組合せによっても形成できる。いずれにしても、圧力を精密に一定に維持する必要はないので、比較的簡便な装置で形成することができる。
【0040】
そして、この燃料排出通路28に燃料の噴射量測定手段である流量計37を具備し、燃料噴射量を測定できるように構成する。
【0041】
次に、この燃料噴射ノズル試験装置を使用した計測方法を示す。
先ず、最初の工程として、測定対象のノズル部品の測定装置20への装着及び測定準備を行なう。
【0042】
測定装置20のホルダ21の貫通穴23に、測定対象のノズル部品を構成するノズルニードル12の尾部12bを挿入し、このノズルニードル12へノズルボディ11を装着し、ノズルホルダ25をホルダ21に装着する。
【0043】
また、貫通孔23の小径部23a側にノズルニードル12の尾部12bに接して押圧ばね13を挿入し、これに続いて押圧軸31とロードセル32を貫通孔23の大径部23b側から挿入して配置し、更に、ばね力設定用ねじ部33を貫通孔23の雌ねじ部24に螺合する。これにより、ノズルニードル12の尾部12bへ押圧ばね13と、ばね力設定手段30との配備を終了する。
【0044】
次の工程で、ばね力B1の設定を行なう。
ロードセル32に加わる押圧ばね13からの反力B3の検出値を押圧力表示部34でモニターしながら、即ち、押圧ばね13に加わる押圧力B2(=B3)、即ち、ノズルニードル12への押圧力即ちばね力B1(=B2=B3)を検出しながら、雌ねじ部24に螺合したばね力設定用ねじ部33を手動又は自動で回動し、押圧ばね13の支持位置Sを移動させ、この移動により押圧ばね13の長さLsを変化させてばね力B1を所定の値に設定する。
【0045】
この後の工程で、燃料圧を上昇させていき開弁圧を測定する。
つまり、ばね力B1の設定後に、燃料圧力調整手段35により供給燃料fの圧力を上昇させ、この上昇に伴う開弁圧を燃料圧計測手段である圧力計36で測定する。そして、そのときの燃料の噴射量を流量計37で測定する。
【0046】
そして、最後の工程で、先の工程で計測した供給燃料fの圧力と燃料噴射量の変化とから開弁圧poを算定して、所定のばね力B1の時の開弁圧poの測定を終了する。
【0047】
なお、基準となるノズルのばね力B1、即ち、所定の値の決定は、設計や実験等によって定めることになるが、この所定の値の決定を測定により行なう際には次のようにして行なうことができる。
【0048】
従来の図2の装置で、調整シム(スペーサ)を用いた場合のスプリング長さLsを測定し、この測定後、ノズル部品を本発明の図1の測定装置に装着し、先に測定したスプリング長さLsになるようにばね力設定用ねじ部33を回動する。この時のロードセル32の検出値がばね力B1を示すので、これを基準とし、所定の値として使用することができる。
【0049】
以上の構成の燃焼噴射ノズルの測定方法及びその装置によれば、ノズルの種類・形式や、特定の種類・形式の部品であるノズルボディ11やノズルニードル12を変更した場合でも、ノズルニードル12を押圧するばね力B1をロードセル32でモニターしながら、ホルダ21の雌ねじ部24に螺合したばね力設定用ねじ部33を回動することにより、ばね力B1を簡単かつ迅速に所定の値に設定できる。
【0050】
ばね力設定用ねじ部33の回動は手動でも容易であり迅速に行なうことができるが、ばね力設定用ねじ部33をサーボモーター等で回動し、自動的に設定値にロードセル32の出力がなるように、ロードセル32の検出値を入力とし、ばね力設定用ねじ部33の回動量を出力とするフィードバック制御に組み込むことも容易にできるので、この制御を行なえば、非常に簡単に更に迅速にばね力を設定できる。
【0051】
また、従来技術で必要とされていた、ノズルニードル12の尾部12bのノズルボディ11に対する突き出し量の測定やスペーサ31の選択、取り付けが不要となるので、開弁圧測定の際の作業性が著しく向上する。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料噴射ノズル特性の測定方法とその装置によれば、ノズルの形状や種類が異なっても、ノズルニードルを押圧するばね力を、ばね力検出器で検出しながら、ばね力設定用ねじ部を回動して調整することにより、簡単かつ迅速に所定のばね力の値に設定することができ、この所定のばね力の時の開弁圧を容易に測定することができる。
【0053】
また、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部との組合わせにより、従来技術で必要とされていた、ノズルニードルの尾部のノズルボディに対する突き出し量の測定やこの測定結果に基づいた調整シムの選択及び取り付けを不要とすることができるので、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料噴射ノズル試験装置の実施の形態を示す部分断面図である。
【図2】先行技術の燃料噴射ノズル試験装置を示す部分断面図である。
【符号の説明】
11 ノズルボディ 12 ノズルニードル 12b 尾部
13 押圧ばね 14 油溜まり 15 噴孔
20 測定装置 21 ホルダ 22 装着部
23 貫通穴 23a 小径部 23b 大径部
24 雌ねじ部 25 ノズルホルダ 25a 燃料噴出通路
26 燃料供給孔 26a 供給口 27 燃料供給用通路
28 燃料排出通路 28a 燃料循環通路 29 油タンク
30 ばね力設定手段 31 押圧軸 32 ロードセル
33 ばね力設定用ねじ部 34 押圧力表示部 35 燃料圧調整手段
36 圧力計(高応答性センサ) 37 流量計
38 流量制御弁(絞り弁)
B1 ばね力(ノズルニードルへの押圧力)
B2 押圧ばねへの押圧力
B3 押圧ばねからの反力
f 燃料
Ls 押圧ばねの長さ
P1 開弁力
po 開弁圧
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のエンジン等の燃料噴射ノズルの性能評価において使用する燃料噴射ノズル特性の測定方法とその装置に関するものである。
【0002】
より詳細には、形状の異なるノズルの試験において、ノズルニードルを押圧するばね力を簡単に所定の値に設定できて、この所定のばね力が作用する時の開弁圧の測定が容易にかつ迅速にできる測定方法とその装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
自動車のディーゼルエンジン等においては、エンジンの各気筒間で、燃料噴射ノズルからの燃料噴射量が不均一になると、各気筒間の爆発圧力に差が生じ、クランク軸の回転速度にムラが発生するため、エンジンの振動が激しくなり、車体振動や騒音の原因となるばかりでなく、エンジン部品の寿命短縮の原因となる。
【0004】
そのため、燃料噴射ノズルの型式別だけではなく、同じ型式においても精密な形状が要求され、特性が微妙に変化し易いので個々の製品における特性の評価及び噴射量の調整も重要事項であり、これらの燃料噴射ノズルの特性の計測及び性能評価においては、さまざまな噴射特性を計測するための計測方法や計測装置に工夫がなされている。
【0005】
この噴射特性のなかでも、最も多く用いられているクローズドタイプの自動開閉型のノズルの開弁圧は、特に重要な項目であり、特に、噴射量および噴射タイミングのバラツキ低減を図ることにより、上記振動を防止でき、また、噴射量の制御を容易にすると共に燃費の改善が図れるという理由から、ノズルニードルを押し付ける押圧ばねのばね力を一定にして開弁圧を測定することが重要となっている。
【0006】
この開弁圧は、ノズルボディに挿入されたノズルニードルを押圧ばねで押圧し閉弁している時に、燃料をノズルに圧送し、ノズル室圧を上昇させて、ノズルニードルがリフトして、ノズルボディに設けられた噴孔から燃料が霧状に噴射される時の圧力である。そして、噴射によりノズル室圧が閉弁圧より低くなるとノズルニードルが下降し着座して噴射が終了する。
また、この開弁圧は、押圧力だけでなく、ノズルニードルとノズルボディのシール性、ノズルニードルの受圧面積の影響を受ける。
【0007】
この開弁圧は、図1、図2に示すように、ノズルボディ11にノズルニードル12を押し付ける押圧ばね(スプリング)13のばね力B1とそれに対抗してノズルニードル12を持ち上げようとする力P1、即ち、ノズルニードル12の受圧面積Aに燃料の液圧pを乗じた力P1(=p×A)とのバランスにより決定される。
【0008】
しかしながら、液圧pの測定は圧力計36等により比較的容易であるが、ノズルの受圧面積Aの測定は、この受圧面積Aがノズルニードル12とノズルボディ11とのシート部の接触線により決まるので、顕微鏡による観察が必要となり、この光学的測定を数多く行なうことは困難である。
【0009】
そのため、この受圧面積Aの測定は、特殊な場合以外は行なわれておらず、このノズルニードル12の受圧面積Aに燃料の液圧pを乗じるこの方法で、開弁圧poを求めることは特殊な例を除いて一般的には行なわれていない。
【0010】
一般的に行なわれている測定方法は、図2に示すように、ノズルニードル12を押し付けるばね力B1が所定の値になるように、標準スペーサと呼ばれる調整シム42を用いて押圧ばね13の長さLsが規定のばね長さになるように調整し、そして、この規定のばね長さの押圧ばね13により、ノズルニードル12に所定のばね力B1を加えた後、燃料油fを燃料供給孔46から送油及び加圧し、燃料噴射ノズルに供給する燃料の圧力pを、燃料が噴射されない低圧領域から徐々に上昇させて、燃料噴射ノズルの噴孔15から燃料噴射が始まる圧力pを測定して開弁圧poとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノズルボディ11に対するノズルニードル12の尾部12bの突き出し量の、ノズル部品の交換に伴う製作誤差などによって生じる僅かな差によって、ノズルニードル12を押圧するばね力B1に差が発生する。
【0012】
そのため、従来技術においては、このばね力B1の差を解消するために、ノズルニードル12の尾部12bの突き出し量を測定して、必要な厚さの調整シム42を選択し、これを図2に示すように押圧ばね13を挿入する収納穴43に配設してばね力B1の調整を行っている。
【0013】
従って、測定対象の燃料ノズルを取り替える毎に、ノズルニードル12の尾部12bの突き出し量の測定を行なう必要がある上に、その突き出し量に見合った調整シム42を選定して、収納穴43に配設する必要があるので、作業性が悪いという問題がある。
【0014】
特に、同一形状のノズルではなく、ノズルボディ11やノズルニードル12等の形状を変更したノズルを次々に取り替えて、ばね力B1一定時の開弁圧の測定を行なう時には、ノズルニードル12の尾部の突き出し量の変動幅が大きくなり、選択すべき調整シム42も多くなるので、著しく作業性が悪くなるという問題がある。
【0015】
また、この開弁圧の測定装置の例としては、特開平7−119585号公報に提案されている燃料噴射弁検査装置があり、この装置では、燃料噴射ノズルの開弁圧を、所定の圧力に設定するために、燃料圧力を所定の圧力に設定した後に、ノズルニードル押し付け力を担う開弁圧調整ばねの長さ、即ち押し付け力を開弁圧調整ねじで調整しながら、流量増加のねじ位置を探し、開弁位置を調整している。
【0016】
しかしながら、この検査装置においても、調整シムの選択と調整シムの配設の作業を開弁圧調整ねじの回動操作に置き換えることができるが、これは流量増加もしくは噴射開始時期の圧力を開弁圧と測定しているため、ノズル毎の開弁圧を一定にすることは可能だが、押し付けばね力を一定にすることは不可能である。よって同一条件での噴射特性を測定してはいない。
【0017】
また、開弁圧の測定ではないが、燃料噴射ノズルの特性の測定方法に関係するものとして、特開昭61−277869号公報において、開弁圧力より高い一定圧力下で燃料噴射量が一定に範囲内になるように、開弁圧力調整手段によって調整する燃料噴射弁の調整方法が提案されており、この調整方法では、ロータメーターの流量計で計測する燃料噴射量を均一にするばね力に設定するために、調整ねじを設けて、この調整ねじの回動によりばね長さ即ちばね力を調整している。
【0018】
しかしながら、この装置では、一定の燃料圧力を加えて開弁し、燃料噴射している状態で、言わば静的な状態で、燃料噴射量が所定の一定の値になるように調整ねじでばね力を調整するものであり、慣性力等の動的な要因を含む開弁圧を対象とする測定とは異なるものである。また、この方法では、微小な量の燃料流量を測定するロータメーターの応答を見ながら調整ねじを調整するので時間が掛かる。いずれにしても、この装置や方法は、開弁圧を測定するものではない。
【0019】
そして、これも開弁圧の測定ではないが、特開平3−222864号公報には、燃料圧(液体の圧力)を所定圧力に維持して、リフト量調整用の調整ねじによって移動するノズルニードル(ニードルノズル)のリフト量と燃料噴射量との関係を測定する噴射ノズル特性測定装置が提案されている。
【0020】
この装置では、ノズルニードルの位置を正確に測定するために押圧ばね(付勢ばね)を除外して構成しており、ロードセルによってノズルニードルのリフト量に応じたニードル推進力、つまり、燃料油がノズルニードルを加圧する力を測定している。
【0021】
この装置においても、燃料圧を所定の圧力に維持した状態で、ノズルニードルのリフト量と燃料噴射量の関係を測定しており、言わば静的な特性を計測している。そして、この装置や方法も、開弁圧を測定するものではない。
【0022】
以上、幾つかの計測装置について説明したが、ノズルニードルと押圧ばねを有した構成で、ノズル先端面積を変化させるようなノズル形状の違いによる開弁圧の差を調査するような場合において、ばね力を迅速に所定の値に設定でき、ばね力設定後の開弁圧を簡単に測定できる計測方法及び計測装置が無く、その出現が待たれていた。
【0023】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、ノズルの開弁圧の測定において、ノズルニードルを押圧するばね力の設定が簡単かつ迅速にでき、高い作業効率で、ノズルの開弁圧を測定できる燃料噴射ノズル特性の測定方法とその装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための燃料噴射ノズル特性の測定方法は、
測定装置のホルダの一端側の装着部に、測定対象のノズルニードルとノズルボディとノズルホルダとからなるノズル組立体を装着し、前記ノズルニードルの尾部を前記装着部の貫通穴に臨ませ、更に、該ノズルニードルの尾部側に押圧ばねと、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部を有するばね力設定手段とを直線状に配備する工程と、
【0025】
前記ばね力検出器により前記押圧ばねに加わるばね力を検出しながら、前記ばね力設定用ねじ部を前記貫通穴の他端側の雌ねじ部に螺合して回動することにより、前記押圧ばねの長さを変化させてばね力を所定の値に設定する工程と、
該ばね力の設定後、供給燃料の圧力を上昇させて、燃料圧の変化に伴う開弁圧を測定する工程とからなることを特徴とする。
【0026】
また、以上のような目的を達成するための燃料噴射ノズル特性の測定装置は、測定装置のホルダに、ノズルニードルとノズルボディとノズルホルダとからなる測定対象のノズル組立体を装着する装着部と、前記ノズル組立体に燃料を供給するための燃料供給孔と、前記装着部に開口し他端側に雌ねじ部を有する貫通穴を設け、
【0027】
該貫通穴に前記ノズルニードルの尾部を臨ませ、該貫通穴内に該ノズルニードルを押圧する押圧ばねと、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部を有するばね力設定手段を直線状に配設し、
更に、前記燃料供給孔の供給口に、燃料圧調整手段と燃料圧計測手段を備えた燃料供給用通路を接続して、前記ノズル部品に燃料供給可能に構成した燃料噴射ノズルの噴射特性を測定する装置であって、
前記ばね力設定手段は、前記押圧ばねに加えるばね力を検出するばね力検出器と、前記雌ねじ部に螺合し、回動により移動して前記押圧ばねの長さを変化させて前記ばね力を設定するばね力設定用ねじ部とを備えていることを特徴とする。
このばね力検出器には歪みゲージ式ロードセルや圧電式ロードセルなどを使用することができる。
【0028】
この測定方法およびその装置によれば、ノズルの形状や種類が異なっても、噴口径、シート面形状等のノズルの形状による影響を受けずに、ノズルニードルを押圧するばね力を、ばね力検出器で検出しながら、ばね力設定用ねじ部を回動して調整することにより、簡単かつ迅速に所定のばね力の値に設定することができ、この所定のばね力の時の開弁圧を容易に測定することができる。
【0029】
また、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部との組合わせにより、従来技術で必要とされていた、ノズルニードル尾部のノズルボディに対する突き出し量の測定や、この測定結果に基づいた調整シムの選択及び取り付けが不要になり、作業効率が向上する。
【0030】
更に、この測定方法およびその装置によれば、ノズルの受圧面積(動的有効受圧面積)Aやニードルリフト量ΔXも、A=B1(ばね力)/p(液圧)、ΔX=B1(ばね力)/K(ばね定数)等の計算から容易に求めることができる。
【0031】
その上、この計測方法と計測装置によれば、ばね力と開弁圧の関係の測定以外にも、ばね力検出器の出力を高速でリアルタイム処理することにより、ノズルの動的噴射特性についての情報を得ることもできる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の計測装置に関しては、図1に示すように、測定装置20のホルダ21に、ノズルニードル12とノズルボディ11とノズルホルダ25とからなる測定対象のノズル組立体11,12,25を装着する装着部22と、このノズル組立体11,12,25に燃料を供給するための燃料供給孔26と、装着部22に開口し他端側に雌ねじ部24を有する貫通穴23が設けられる。
【0033】
この貫通穴23は、装着部22側の小径部23aと反対側の大径部23bとから形成される。この貫通穴23の開口部に臨んでノズルニードル12の尾部12bが配置され、小径部23aには押圧ばね13とこの押圧ばね13の後端部の位置決めをする押圧軸31とが挿入され、また、大径部23bには、これに接して設けられたロードセル(ばね力検出器)32と、このロードセル32の後部に接するばね力設定用ねじ部33とが直線状に配設される。
【0034】
そして、この押圧軸31とロードセル32とばね力設定用ねじ部33とでばね力設定手段30を構成する。このばね力設定用ねじ部33は、ホルダ21の貫通穴23に設けられた雌ねじ部24に螺合して、回動により前後移動を行ない、押圧ばね13の長さLsを変化させてばね力を調整及び設定できるように構成される。
【0035】
また、ロードセル32の出力コード32cがばね力設定用ねじ部33を貫通してロードセル32の検出値を表示するばね力表示部34に接続し、ノズルボディ11またはノズルニードル12を交換して試験する際のばね13のばね力B1を、該ばね力検出器32の検出値をモニターしながら、ばね力設定用ねじ部33を回動できるように構成する。
【0036】
つまり、押圧ばね13の後側を押す押圧軸31とばね力設定用ねじ部33との間に、ロードセル32を挟み込み、ロードセル32の検出値をばね力表示部(ロードセル出力表示部)34を見ながら、押圧ばね13のばね力B1を、所定のばね力に手動または自動で設定できるように構成する。
【0037】
このロードセル32には、歪みゲージが組み込まれた円筒状の圧縮型小型高容量ロードセル等の歪みゲージ式ロードセルや圧電式ロードセル等を使用する。この円筒状の圧縮型小型高容量ロードセルの一例を上げると、センサ部分が直径20mmφ、長さ45mm、重量100gで9.8kNのばね力を検出し、静歪用のアンプを使用できるものがあり、これを使用することができる。
【0038】
更に、燃料供給孔26の供給口26aに、燃料圧調整手段35と燃料圧計測手段である圧力計(ピエゾ式高応答性圧力センサ)36を備えた燃料供給用通路27を接続し、ノズルの油溜まり14に燃料供給できるように構成する。また、ノズルの噴孔15とノズルホルダ25の燃料噴出通路25aから噴射した燃料を回収するために、燃料排出通路28、油タンク29、燃料循環通路28aを設けて、燃料供給手段50に接続して構成する。
【0039】
この燃料供給手段50は、図示しないが、簡単なものは、電動又は手動の油圧ポンプであり、作動を続けることで、圧力を上昇できるので、リリーフ用の弁を備えることにより燃料圧調整手段35も兼ねることになる。また、圧力発生用シリンダとピストンとの組合せやアキュムレータと減圧弁やリリーフ弁などの組合せによっても形成できる。いずれにしても、圧力を精密に一定に維持する必要はないので、比較的簡便な装置で形成することができる。
【0040】
そして、この燃料排出通路28に燃料の噴射量測定手段である流量計37を具備し、燃料噴射量を測定できるように構成する。
【0041】
次に、この燃料噴射ノズル試験装置を使用した計測方法を示す。
先ず、最初の工程として、測定対象のノズル部品の測定装置20への装着及び測定準備を行なう。
【0042】
測定装置20のホルダ21の貫通穴23に、測定対象のノズル部品を構成するノズルニードル12の尾部12bを挿入し、このノズルニードル12へノズルボディ11を装着し、ノズルホルダ25をホルダ21に装着する。
【0043】
また、貫通孔23の小径部23a側にノズルニードル12の尾部12bに接して押圧ばね13を挿入し、これに続いて押圧軸31とロードセル32を貫通孔23の大径部23b側から挿入して配置し、更に、ばね力設定用ねじ部33を貫通孔23の雌ねじ部24に螺合する。これにより、ノズルニードル12の尾部12bへ押圧ばね13と、ばね力設定手段30との配備を終了する。
【0044】
次の工程で、ばね力B1の設定を行なう。
ロードセル32に加わる押圧ばね13からの反力B3の検出値を押圧力表示部34でモニターしながら、即ち、押圧ばね13に加わる押圧力B2(=B3)、即ち、ノズルニードル12への押圧力即ちばね力B1(=B2=B3)を検出しながら、雌ねじ部24に螺合したばね力設定用ねじ部33を手動又は自動で回動し、押圧ばね13の支持位置Sを移動させ、この移動により押圧ばね13の長さLsを変化させてばね力B1を所定の値に設定する。
【0045】
この後の工程で、燃料圧を上昇させていき開弁圧を測定する。
つまり、ばね力B1の設定後に、燃料圧力調整手段35により供給燃料fの圧力を上昇させ、この上昇に伴う開弁圧を燃料圧計測手段である圧力計36で測定する。そして、そのときの燃料の噴射量を流量計37で測定する。
【0046】
そして、最後の工程で、先の工程で計測した供給燃料fの圧力と燃料噴射量の変化とから開弁圧poを算定して、所定のばね力B1の時の開弁圧poの測定を終了する。
【0047】
なお、基準となるノズルのばね力B1、即ち、所定の値の決定は、設計や実験等によって定めることになるが、この所定の値の決定を測定により行なう際には次のようにして行なうことができる。
【0048】
従来の図2の装置で、調整シム(スペーサ)を用いた場合のスプリング長さLsを測定し、この測定後、ノズル部品を本発明の図1の測定装置に装着し、先に測定したスプリング長さLsになるようにばね力設定用ねじ部33を回動する。この時のロードセル32の検出値がばね力B1を示すので、これを基準とし、所定の値として使用することができる。
【0049】
以上の構成の燃焼噴射ノズルの測定方法及びその装置によれば、ノズルの種類・形式や、特定の種類・形式の部品であるノズルボディ11やノズルニードル12を変更した場合でも、ノズルニードル12を押圧するばね力B1をロードセル32でモニターしながら、ホルダ21の雌ねじ部24に螺合したばね力設定用ねじ部33を回動することにより、ばね力B1を簡単かつ迅速に所定の値に設定できる。
【0050】
ばね力設定用ねじ部33の回動は手動でも容易であり迅速に行なうことができるが、ばね力設定用ねじ部33をサーボモーター等で回動し、自動的に設定値にロードセル32の出力がなるように、ロードセル32の検出値を入力とし、ばね力設定用ねじ部33の回動量を出力とするフィードバック制御に組み込むことも容易にできるので、この制御を行なえば、非常に簡単に更に迅速にばね力を設定できる。
【0051】
また、従来技術で必要とされていた、ノズルニードル12の尾部12bのノズルボディ11に対する突き出し量の測定やスペーサ31の選択、取り付けが不要となるので、開弁圧測定の際の作業性が著しく向上する。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料噴射ノズル特性の測定方法とその装置によれば、ノズルの形状や種類が異なっても、ノズルニードルを押圧するばね力を、ばね力検出器で検出しながら、ばね力設定用ねじ部を回動して調整することにより、簡単かつ迅速に所定のばね力の値に設定することができ、この所定のばね力の時の開弁圧を容易に測定することができる。
【0053】
また、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部との組合わせにより、従来技術で必要とされていた、ノズルニードルの尾部のノズルボディに対する突き出し量の測定やこの測定結果に基づいた調整シムの選択及び取り付けを不要とすることができるので、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料噴射ノズル試験装置の実施の形態を示す部分断面図である。
【図2】先行技術の燃料噴射ノズル試験装置を示す部分断面図である。
【符号の説明】
11 ノズルボディ 12 ノズルニードル 12b 尾部
13 押圧ばね 14 油溜まり 15 噴孔
20 測定装置 21 ホルダ 22 装着部
23 貫通穴 23a 小径部 23b 大径部
24 雌ねじ部 25 ノズルホルダ 25a 燃料噴出通路
26 燃料供給孔 26a 供給口 27 燃料供給用通路
28 燃料排出通路 28a 燃料循環通路 29 油タンク
30 ばね力設定手段 31 押圧軸 32 ロードセル
33 ばね力設定用ねじ部 34 押圧力表示部 35 燃料圧調整手段
36 圧力計(高応答性センサ) 37 流量計
38 流量制御弁(絞り弁)
B1 ばね力(ノズルニードルへの押圧力)
B2 押圧ばねへの押圧力
B3 押圧ばねからの反力
f 燃料
Ls 押圧ばねの長さ
P1 開弁力
po 開弁圧
Claims (2)
- 測定装置のホルダの一端側の装着部に、測定対象のノズルニードルとノズルボディとノズルホルダとからなるノズル組立体を装着し、前記ノズルニードルの尾部を前記装着部の貫通穴に臨ませ、更に、該ノズルニードルの尾部側に押圧ばねと、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部を有するばね力設定手段とを直線状に配備する工程と、
前記ばね力検出器により前記押圧ばねに加わるばね力を検出しながら、前記ばね力設定用ねじ部を前記貫通穴の他端側の雌ねじ部に螺合して回動することにより、前記押圧ばねの長さを変化させてばね力を所定の値に設定する工程と、
該ばね力の設定後、供給燃料の圧力を上昇させて、燃料圧の変化に伴う開弁圧を測定する工程とからなることを特徴とする燃料噴射ノズル特性の測定方法。 - 測定装置のホルダに、ノズルニードルとノズルボディとノズルホルダとからなる測定対象のノズル組立体を装着する装着部と、前記ノズル組立体に燃料を供給するための燃料供給孔と、前記装着部に開口し他端側に雌ねじ部を有する貫通穴を設け、
該貫通穴に前記ノズルニードルの尾部を臨ませ、該貫通穴内に該ノズルニードルを押圧する押圧ばねと、ばね力検出器とばね力設定用ねじ部を有するばね力設定手段を直線状に配設し、
更に、前記燃料供給孔の供給口に、燃料圧調整手段と燃料圧計測手段を備えた燃料供給用通路を接続して、前記ノズル部品に燃料供給可能に構成した燃料噴射ノズルの噴射特性を測定する装置であって、
前記ばね力設定手段は、前記押圧ばねに加えるばね力を検出するばね力検出器と、前記雌ねじ部に螺合し、回動により移動して前記押圧ばねの長さを変化させて前記ばね力を設定するばね力設定用ねじ部とを備えていることを特徴とする燃料噴射ノズル特性の測定装置。
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