JP3796392B2 - トレーニング衣服 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ライン形成用テープ地が逢着されたトレーニングシャツ又はトレーニングパンツのトレーニング衣服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に衣服は、2枚の生地を逢着線上で縫い合わせて製造されており、この生地の逢着線より端辺側の端地は、デザインの観点から、衣服の内側に配位されている。ところが、今日にあっては、小学校の児童に対する調査では、全児童の約22%が、生後から調査時点までの間にアトピーであると診断されたことがあるとの調査結果も報告されているように、アトピー性皮膚炎等、皮膚の弱い人が増加する傾向にある。特に、肌の弱い児童や学生等が着用することが多いトレーニングパンツやトレーニングシャツ等の皮膚に直接触れる衣服にあっては、生地の縫製端である端地と皮膚との接触により、皮膚に炎症等の障害が発生したり悪化させたりするおそれがある。そのため、皮膚に対して刺激の少ない衣服の開発が望まれるが、現代の衣服である以上、デザイン性を無視することはできず、これを無視することは衣服の商品価値を無くしてしまうと言っても過言ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、本願発明は、皮膚への刺激の減少とデザイン性との両立し難い解決を同時に解決し得るライン形成用テープ地が逢着されたトレーニングシャツ又はトレーニングパンツのトレーニング衣服を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、ライン形成用テープ地が逢着されたトレーニングシャツ又はトレーニングパンツのトレーニング衣服において、ライン形成用テープ地は、トレーニングシャツにあっては前身頃生地及び後身頃生地と袖生地との逢着線、トレーニングパンツにあっては左右夫々の前身頃生地と後身頃生地との外側線上の逢着線に沿って配位されたものであり、これらの生地の逢着線より端辺側の端地が衣服の表側に配位され、ライン形成用テープ地が、2枚の端地の表側に逢着線に沿って配位され、このライン形成用テープ地が2枚の端地の上に被せられた状態で、一方の生地と他方の生地のそれぞれに、2枚の端地の外側で逢着されることにより、衣服の表裏において端地が外部に現れないことを特徴とするトレーニングシャツ又はトレーニングパンツのトレーニング衣服を提供する。
本願発明では、衣服の表裏において端地が外部に現れないため、皮膚への刺激が少ないものとできる。しかも、端地が衣服の表側に配位され、ライン形成用テープ地が2枚の端地の表側に逢着線に沿って配位されているため、衣服の表面側においても、衣服のデザインの一つの手法として用いられるライン形成用テープ地のみが現れ、デザインを向上させることはあってもデザイン性を損なうことはない。
さらに、一部の生地と生地との縫着構造に本願発明の衣服用生地の縫製構造を採用し、縫着線が衣服の裏側に位置する他の全ての生地と生地との縫着構造について、端地の上を糸でカバーリングする縫製構造とすることによって、衣服の裏側には、端地が一切現れることがない衣服を製造し得るものである。この衣服にあっては、本願発明の縫製構造と、糸によるカバーリングの縫製構造とを採用することによって、衣服の裏側には、端地が一切現れることがないようにしたものであり、より完全に着用者の肌を守ることができる。
【0005】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。図1の(A)は本願発明の実施の形態に係る衣服用生地の縫製構造を採用した衣服(トレーニングシャツ)の正面図であり、(B)は同背面図であり、図2の(A)は本願発明の実施の形態に係る衣服用生地の縫製構造を採用した衣服(トレーニングパンツ)の正面図であり、(B)は同側面図である。図3はこれらの衣服の縫製構造を示す一部切欠の斜視図である。
【0006】
図1のトレーニングシャツは、前身頃生地1と後身頃生地2と袖生地3と衿生地4と胴回り生地5をミシンで逢着したものである。そして、これらの生地の逢着にあっては、逢着線より端辺側の端地は、何らかの構造によって直接人の肌に触れないように配慮されているが、本願発明の対象となる新たな縫製構造は、前身頃生地及び後身頃生地1,2と、袖生地3との逢着に採用されている。
【0007】
図2のトレーニングパンツは、左右の前身頃生地6,7と左右の後身頃生地8,9をミシンで逢着して形成したものである。そして、これらの生地の逢着にあっては、逢着線より端辺側の端地は、何らかの構造によって直接人の肌に触れないように配慮されているが、本願発明の対象となる新たな縫製構造は、左右夫々の前身頃生地6,7と後身頃生地8,9との外側線上の逢着に採用されている。
【0008】
この縫製構造は、図3に示すように、一方の生地1,2,6,7と他方の生地3,8,9とがミシン糸mにより縫製され、このミシン糸mが逢着線mとなる。この逢着線mより端辺側の端地1a,2a,6a,7aと他方の端地3a,8a,9aは、従来の通常の衣服では、衣服の裏側(即ち、肌と接触する側)に配位されるが、本願発明にあっては、衣服の表側fに配位されている。そして、ライン形成用テープ地tが2枚の端地の表側に逢着線に沿って配位されている。このライン形成用テープ地tは、一方の生地1,2,6,7と他方の生地3,8,9との夫々に、ミシン糸nで縫着されている。この一方の端地1a,2a,6a,7aと他方の端地3a,8a,9aは、ミシン糸mによる逢着線mから折り返され、一方の生地1,2,6,7と他方の生地3,8,9の夫々の上に重ねられ、その上にライン形成用テープ地tが被せられている。尚、図4に示すように、一方の端地1a,2a,6a,7aと他方の端地3a,8a,9aとを重ねて、これらの端地を一方の生地1,2,6,7と他方の生地3,8,9との何れか一方の上に重ねて、その上にライン形成用テープ地tを被せるようにしてもよい。図3、図4の何れの形態とするかは、生地やテープ地の種類、縫製の作業性、デザイン等を考慮して適宜選択し得るが、図4の場合には、端地を重ねる分、厚みが大きくなるものであり、これを嫌う場合には図3の構造を採用し、逆に、ラインを立体的に表現したい場合には、図4の形態を採用してもよい。
【0009】
上記の縫製構造により、端地1a,2a,3a,6a,7a,8a,9aが衣服の裏側(即ち、肌と接触する側)に現れることはなく、裏側bには、一方の生地1,2,6,7と他方の生地3,8,9とがミシン糸mのみで連続した状態で現れるため、皮膚への刺激は最も小さい構造を実現し得る。他方、衣服の表側fにあっても、端地1a,2a,3a,6a,7a,8a,9aは、ライン形成用テープ地tで隠されるため、外部から見えず、衣服のデザインを害することもない。逆に、ライン形成用テープ地tは、衣服のデザインの向上させる。例えば、図2のトレーニングパンツでは、ライン形成用テープ地tが、胴部から脚部にかけての外側線上に配位されることとなり、脚部の長さを強調できる。また、図1のトレーニングシャツでは、腕の付け根にライン形成用テープ地tが現れるものであり、力強さを表現し得る。
【0010】
この実施の形態における他の全ての縫着線m1については、図5(A)のような縫製構造を採ることによって、衣服全体において、端地が直接皮膚に接触しない構造となっている。即ち、縫着線m1については、図5(A)に示すように、一方の生地101と他方の生地102とをミシン糸103で縫着し、縫着した端辺側の端地104,105上を、糸106でカバーリングしている。より詳しくは、一方の生地101と他方の生地102と間を交互に連続して渡された糸106の下に、端地104,105を配位して、糸106で端地104,105を隠蔽した構造を採っている。この図5(A)に示す他の部分の縫着線m1の縫製構造は、端地104,105を裏側bに配位し、その裏側から糸106でカバーリングしているものであり、裏側bに端地104,105が来るが、糸106によりカバーリングされているため、直接端地104,105が肌に接触することはない。尚、上記の縫着線m1に代えて、図5(B)に示すような、縫着線m2を採用してもよい。この縫着線m2では、端地104,105を表側に出して縫着し、その表側から糸106でカバーリングしている。従って、裏側には、端地がなく、双方の生地101,102のみがミシン糸103のみで連続した状態で現れるため、皮膚への刺激は最も小さい構造となる。
【0011】
上記の各縫着線の縫製構造は、衣服における縫着線の位置等によって複数種類を選択して併用し得るものであり、特に、図3に示したライン形成用テープ地tを用いた縫製構造は、トレーニングシャツの前身頃生地1と後身頃生地2との逢着に採用する等、他の部分について適宜選択して採用してもよい。また、トレーニングシャツは、長袖タイプを図示したが、半袖タイプのものとして実施することもでき、トレーニングパンツは、長ズボンタイプを図示したが、半ズボンタイプのものとして実施することも当然可能である。また、上記の糸106等、縫製に際して用いる糸については、綿糸や、合成繊維の表面を綿で被覆したカバリング糸等、肌優しい素材を採用することが望ましい。さらに、他の肌に優しい衣服としての構造としては、品質表示のタグ10を、衣服の表側に配位したり(図1,図2参照)、衣服の裏側に配位する場合には、柔らかい素材を用いている。また、衿生地4については、裏側を綿100%の素材にしているものである。
【0012】
以上のように、この実施の形態における衣服は、何れも肌面に刺激が少なく、アトピー対策に極めて有効な構造を備えたものである。この実施の形態では、体操服として実施しているが、体操服に限らず、広く種々の衣服の縫製構造に使用し得るものである。
【0013】
【発明の効果】
以上、本願発明では、皮膚への刺激の減少とデザイン性との両立させたトレーニングシャツ又はトレーニングパンツのトレーニング衣服を提供することができたものであり、この衣服用生地の縫製構造によって、トレーニングシャツ又はトレーニングパンツという肌に直接触れる衣服にあっても、肌面に刺激が少なく、アトピー対策にも有効な衣服を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本願発明の実施の形態に係る衣服用生地の縫製構造を採用した衣服(トレーニングシャツ)の正面図であり、(B)は同背面図である。
【図2】(A)は本願発明の実施の形態に係る衣服用生地の縫製構造を採用した衣服(トレーニングパンツ)の正面図であり、(B)は同側面図である。
【図3】本願の衣服の縫製構造を示す一部切欠の斜視図である。
【図4】本願の衣服の縫製構造の変更例を示す一部切欠の斜視図である。
【図5】(A)は本願の衣服用生地の縫製構造と組み合わせて実施するのに適した縫製構造を示す一部切欠の斜視図であり、(B)は同縫製構造の変更例を示す一部切欠の斜視図である。
【符号の説明】
1 前身頃生地
2 後身頃生地
3 袖生地
4 衿生地
5 胴回り生地
6,7 前身頃生地
8,9 後身頃生地
m ミシン糸(逢着線)
t ライン形成用テープ地

Claims (1)

  1. ライン形成用テープ地が逢着されたトレーニングシャツ又はトレーニングパンツのトレーニング衣服において、
    ライン形成用テープ地は、トレーニングシャツにあっては前身頃生地及び後身頃生地と袖生地との逢着線、トレーニングパンツにあっては左右夫々の前身頃生地と後身頃生地との外側線上の逢着線に沿って配位されたものであり、
    これらの生地の逢着線より端辺側の端地が衣服の表側に配位され、
    ライン形成用テープ地が2枚の端地の表側に逢着線に沿って配位され、
    このライン形成用テープ地が、2枚の端地の上に被せられた状態で、一方の生地と他方の生地のそれぞれに2枚の端地の外側で逢着されることにより、衣服の表裏において端地が外部に現れないことを特徴とするトレーニングシャツ又はトレーニングパンツのトレーニング衣服。
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