JP3796050B2 - 液晶電気光学装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、表示装置や情報処理装置等に用いられる液晶の電気光学特性を利用する液晶電気光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述のような液晶電気光学装置を構成する液晶電気光学素子の動作モードの一つとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を液晶電気光学素子の基板(以下、単に基板と言う)に垂直に配向させる垂直(ホメイトロピック)配向がある。この垂直配向では、液晶を挟持する基板間に電圧を印加すると、液晶分子は上記基板に対して平行な方向に向かって傾く。
【0003】
ところで、上記垂直配向では、上記液晶分子が傾く方向が不定となり易い。それは、上記基板の面内方向が総て等価となってしまうためである。そこで、電圧を印加しない状態で、液晶分子を基板法線方向から基板面内の一方向に向けて少し傾ける(プレティルトさせる)配向が提案されている。液晶分子が基板法線に対して一定の方向にプレティルト角を持てば、電圧印加時に液晶分子が傾く方向が定まることになる。このように、液晶分子に基板法線方向からある面内方向に向かって一定のプレティルト角を与える方法として、以下のような方法が知られている。
【0004】
(1) 基板表面に、配向制御層として、液晶分子が基板に対して垂直な配向性を有する垂 直配向膜(例えば、JSR社製:JALS-203等の側鎖を持つポリイミド)を塗布 する。その後、ラビング法を用いて上記垂直配向膜でなる配向制御層の表面に一軸 配向処理を行う。これによって、電圧印加時に液晶分子が倒れる方向を一方向に揃 えることが可能である。ところが、ラビング法等の一軸配向処理には、液晶電気光 学素子面内の一軸配向性や基板面から液晶分子が立ち上がるプレティルト角の面内 均一性に多少のばらつきがあり、ラビング筋が生じ易い。
【0005】
(2) 紫外線に感応する垂直配向膜材料(例えば、日産化学工業製:SE-1211)の膜 に斜め方向から紫外線を照射すると、基板法線方向から傾いた方向に一定の指向性 を有する配向膜が得られることが確認されている。また、負の誘電異方性を有する 液晶材料(メルク社製:MLC-2012)および垂直配向膜材料(日産化学工業製: RN-783)を用いた際に、紫外線照射条件と達成されるプレティルト角度とに密 接な関係があることが確認されており、紫外線照射時間・角度等の変化によって所 望のプレティルト角度の設定が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の垂直配向の液晶電気光学素子を有する液晶電気光学装置では、通常、全基板領域において、液晶分子に基板法線方向からある面内方向に向かって一定のプレティルト角を付与した際に、基板面の段差や電極間の横方向電界が液晶の傾斜方向に影響を及ぼして配向ベクトルが不均一になり易い。そのために、配向ベクトルが互いに異なる領域の境界線上に白表示中の画素に黒の部分(ドメイン)が生ずる。
【0007】
したがって、低プレティルト採用時には、液晶分子の基板法線からの傾きが小さいためにドメインとして現れる領域(以下、ドメイン領域と言う)が大きくなって、輝度が低下してしまうという問題がある。一方において、高プレティルト採用時には、液晶分子の基板法線からの傾きが大きいためにドメイン領域が減少して輝度は向上するのではあるが、ラビング筋が目立つことになるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の目的は、輝度の向上とラビング筋の低減化とを共に実現可能な液晶電気光学装置およびその液晶電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、互いに対向して液晶を挟持する2枚の基板上に,少なくとも液晶に電界を印加する電極と配向膜が形成されている液晶電気光学装置において、上記配向膜は垂直配向膜であり,上記液晶分子を同一方向にプレティルトさせて配向させる機能を有すると共に,上記電極上における所定領域に形成されて上記液晶分子の基板法線からのプレティルト角度を0.1度以上20度未満の所定角度にする第1配向膜と,上記電極上における上記所定領域以外の領域に形成されて上記液晶分子の基板法線からのプレティルト角度を0.1度以上20度未満であり且つ上記所定角度とは異なる所定角度にする第2配向膜とで構成されており、上記2枚の電極のうちの一方上に形成されている電極は画素電極であり、上記第1配向膜が形成される上記電極上における所定領域は,上記電極の周囲部のうち , 少なくとも上記液晶分子の上記画素電極に対する傾斜方向の側に位置する周囲部であり、上記第1配向膜が定める上記所定角度は上記第2配向膜が定める上記所定角度よりも大きな角度であることを特徴としている。尚、上記第1配向膜と第2配向膜とは、同一配向膜における異なるプレティルト角度の領域をも含む概念である。
【0010】
上記構成によれば、液晶に電界を印加する電極の周囲部における第1配向膜のプレティルト角度が、上記電極の中央部における第2配向膜のプレティルト角度よりも大きく設定される。その結果、上記ドメインが発生し易い電極周囲部における液晶分子の基板法線からの角度が大きくなり、上記ドメイン領域が狭まって輝度が向上する。一方、上記ドメインが発生し難い電極中央部における上記液晶分子の基板法線からの角度が小さくなって、ラビング筋が目立たなくなる。こうして、輝度の向上とラビング筋の低減化とが図られる。
【0011】
さらに、上記配向膜は、0.1度以上のプレティルト角度を有しているために、液晶分子はプレティルトが与えられている方向に均一に動作する。さらに、20度未満のプレティルト角度を有しているために、コントラスト低下等の表示品位の低下が防止される。
【0012】
さらに、上記第1配向膜は、上記電極の周囲部のうち、少なくとも、上記液晶分子の上記画素電極に対する傾斜方向の側に位置する周囲部に形成されている。したがって、上記ドメイン領域を減少させる機能およびラビング筋を目立たなくする機能が的確に発揮されて、各画素の輝度の向上とラビング筋の低減化とが効果的に図られる。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の液晶電気光学装置において、上記第1配向膜および第2配向膜の少なくとも一方は、紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜であることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、上記第1配向膜および第2配向膜の少なくとも一方におけるプレティルト角度の設定は、ラビング等の物理的処理に因らずに紫外線照射によって簡単に行われる。さらに、上記ラビングによるプレティルト角度の設定と組み合わせることによって、1つの配向膜で複数種のプレティルト角度が設定できる。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の液晶電気光学装置において、上記紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜は、ポリイミド,ポリアミド,ポリアミドイミドもしくはポリシロキサンのうち、少なくとも1種の構造を構成単位に含んでいることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、上記紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な最適な配向膜が容易に得られる。
【0017】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明の液晶電気光学装置において、第1配向膜のプレティルト角度と上記第2配向膜のプレティルト角度とは1度以上の角度差を有していることを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、第1,第2配向膜のプレティルト角の差が1度以上であるために、上記輝度の向上とラビング筋の低減化とが効果的に図られる。
【0019】
また、請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法であって、上記第1配向膜および第2配向膜の少なくとも一方として,紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜を塗布し、この紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜に対するプレティルト角度の設定は,上記電極上における所定領域またはこの所定領域以外の領域に対する選択的な紫外線照射によっておこなうことを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、上記第1配向膜および第2配向膜の少なくとも一方におけるプレティルト角度の設定は、ラビング等の物理的処理に因らずに紫外線照射によって容易に行われる。
【0021】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法において、上記照射される紫外線は自然光の紫外線であることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、上記紫外線照射によるプレティルト角度の設定が、自然光の紫外線によって容易に且つ安価に行われる。
【0023】
また、請求項7に係る発明は、請求項5に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法において、上記照射される紫外線は、直線偏光あるいは楕円偏光した紫外線であることを特徴としている。
【0024】
上記構成によれば、上記配向膜に与えるプレティルトの方向に偏光した直線偏光あるいは楕円偏光の紫外線を照射することによって、紫外線の照射エネルギーが請求項9に比して約半分になる。
【0025】
また、請求項8に係る発明は、請求項5に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法において、上記紫外線の照射は、上記配向膜形成時,あるいは,上記配向膜が形成された上記2枚の基板を対向させて貼り合わせた後に行うことを特徴としている。
【0026】
上記構成によれば、上記配向膜のプレティルト角度を設定する際に行われる紫外線照射を上記配向膜形成時に行うことによって、上記配向膜に対して十分に紫外線が照射される。また、上記配向膜形成後の基板を貼り合わせた後に行うことによって、上記電極上における所定領域とこの所定領域以外の領域とが精度よく設定される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は、本実施の形態の液晶電気光学装置を構成する液晶電気光学素子における画素電極部分の拡大模式図である。尚、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A矢視断面図である。また、図2は、本実施の形態の液晶電気光学装置を構成する液晶電気光学素子の縦断面図である。ここで、図1に示す画素電極はアクティブマトリックス型液晶表示素子の画素電極であり、図2に示す液晶電気光学素子は単純マトリックス型液晶表示素子である。
【0028】
本実施の形態においては、図1に示すように、液晶電気光学素子において、電極の縁等による段差や電極間の横方向電界の影響によって配向ベクトルが不均一であるためにドメインが発生し易い各画素電極1の周囲部1aを、上記ドメイン領域が減少する高プレティルト領域2とする。一方、平坦であって配向ベクトルが均一であるためにドメインが発生し難い各画素電極1の中央部1bを、ラビング筋が目立たない低プレティルト領域3とする。こうすることによって、各画素の輝度の向上とラビング筋の低減化とを図るのである。
【0029】
本実施の形態における液晶電気光学素子の全体は、図2に示すような構造を有している。ガラス基板等の第1透明基板11上に、複数本の平行ストライプ状電極12が形成され、その上が垂直配向膜13で覆われている。同様に、第2透明基板14上に、複数本の平行ストライプ状電極15が形成され、その上が垂直配向膜16で覆われている。そして、両透明基板11,14は、互いに対向され、スペーサ21によって所定間隔を保持し、両電極12,15が互いに交差されて配設されている。尚、17,18はシール材であり、19,20は偏向板であり、22は液晶である。
【0030】
尚、本液晶電気光学素子を上記アクティブマトリックス型液晶表示素子とする場合には、第1透明基板上の電極を1つのコモン電極とする一方、第2透明基板上の電極を画素に対応してマトリックス状に配置された複数の画素電極とする。そして、第2透明基板上には、上記画素電極を駆動するアクティブマトリックス回路を搭載する。
【0031】
図2において、上記垂直配向膜13,16は、液晶分子を垂直に配向させる配向構造を有するものであり、紫外線に感応して液晶分子の基板法線からの傾きを制御する性質を有する。本実施の形態においては、日産化学工業製のRN-783を使用する。この材料はポリイミド構造を有するが、他にポリアミド,ポリアミイミド,ポリシロキサン等の構造を有する材料を使用することも可能である。
【0032】
上記垂直配向膜13,16は次のようにして形成される。尚、以下の説明では第1透明基板11上に垂直配向膜13を形成する場合で代表して説明するが、第2透明基板14上に垂直配向膜16を形成する場合も同様である。先ず、第1透明基板(以下、単に基板という)11上に垂直配向膜13を塗布した後ラビング処理を行って、基板11の全表面に基板11からの傾斜角が88度のプレティルト角度を得る。その後、基板11全体を個々の電極12の周囲に相当する個所に開口部を設けたマスクで覆い、基板11からの傾斜角が85度のプレティルト角度になるように紫外線照射を行う。照射量は約2Jである。その結果、各電極12の周囲部は上記傾斜角が85度の高プレティルト領域2に設定され、中央部は上記傾斜角が88度の低プレティルト領域3に設定されたマルチプレティルト型の液晶電気光学素子23が得られる。
【0033】
尚、本実施の形態においては、簡略化のために無偏光の紫外線を照射するが、プレティルトを与える方向に偏光している直線偏光もしくはそれに近い楕円偏光の紫外線を用いてもよい。その場合には、照射エネルギーを約半分して同じ効果を得ることができ、垂直配向膜13に対するダメージを低減できる。また、上述のように、紫外線に感応してプレティルト角を制御可能な垂直配向膜13を使用すれば、両基板11,14を貼り合わせた後に紫外線を照射することによって非常に容易に照射精度を高めることが可能になる。したがって、マルチプレティルト型液晶電気光学素子の作成上において、かなり有利なものとなる。
【0034】
こうして上記垂直配向膜13,16が形成された第1,第2透明基板11,14の一方には直径4.5μmのスペーサ21を散布し、他方の表示領域周囲にはシール材17,18を塗布し、ラビング方向が互いに逆方向になるように両透明基板11,14を貼り合わせる。そして、両透明基板11,14内に液晶22を注入した後、注入口を封止する。その後、液晶22が等方相になる温度以上まで加熱した後冷却し、両面に偏光板19,20を貼り付けて液晶電気光学素子23が完成する。尚、その場合、偏光板19,20の透過軸がラビング方向に対して略45度の角度になるようにする。
【0035】
尚、こうして得られる液晶電気光学素子23は透過型であるが、反射型を採用する場合には図3に示すようにする。すなわち、上述の透過型の液晶電気光学素子23の場合と同様にして、液晶31を注入して加熱冷却して液晶電気光学素子32を形成する。そして、この液晶電気光学素子32における一面側の外側に、光源36からの入射光の偏光軸と出射光の偏光軸とが直交するような偏光ビームスプリッタ33を、上記両偏光軸のうちの何れかが液晶電気光学素子32の一方の透明基板における一軸配向方位角と一致するように配置する。さらに、他面側の外側に、アルミニウム鏡面を利用した反射装置34を配置する。尚、上記構成において、偏光度が不足する場合には、液晶電気光学素子32上における偏光ビームスプリッタ33側に偏光板35を挿入しても差し支えない。
【0036】
上記構成を有する液晶電気光学素子は、以下のような特性を有している。尚、以下の説明はアクティブマトリックス型液晶電気光学素子で説明するが、単純マトリックス型液晶電気光学素子の場合でも同様の特性を有する。表1に、画素電極1の周囲部1aおよび中央部1bのプレティルト角度と、画素電極1の端からの高プレティルト領域の幅aと、透過率(輝度)との関係を示す。尚、表中、「高プレティルト領域設定画素」は、各画素電極1の両側(全周)に高プレティルト領域2を設けるか各画素電極1の片側(半周)に高プレティルト領域2を設けるかを示している。また、「ドメイン暗ピークの位置」は、左側の画素電極1との境界から計測したドメイン暗ピークの位置までの距離である。また、図4には、画素電極部分の断面模式図を示す。尚、図4(a)は画素電極1の両側(周囲部1a)に高プレティルト領域2を設けた場合であり、図4(b)は画素電極1の片側に高プレティルト領域2を設けた場合である。ここで、画素電極1の片側に高プレティルト領域2を設ける場合には、画素電極1の周囲部1aのうち、液晶分子にプレティルトを与える側(液晶分子の画素電極1に対する傾斜方向の側)に位置する周囲部に設けるようにする。
【表1】
【0037】
表1より、上記画素電極1の端部に基板11,14からの傾斜角が85度の高プレティルト領域2を設定することにより、基板11,14の全領域を基板11,14からの傾斜角が88度の低プレティルト領域に設定する場合よりも透過率は上昇傾向を示した。これは、ドメイン領域の減少(4μm→2.1μm)によるものである。また、図4(a)に示すように、画素電極1の両側に高プレティルト領域2を設けた方が、図4(b)に示すように、画素電極1の片側のみに高プレティルト領域2を設ける場合よりも透過率は上昇する。尚、基板11,14の全領域を上記傾斜角が85度の高プレティルト領域に設定した場合には、他の何れの場合よりも高い透過率を示すが、点灯時に最も醜いラビング筋が見られた。
【0038】
尚、上記プレティルト角度は、少なくとも0.1度は必要であり、この角度以下では液晶分子を一定方向に均一に動作させることは困難である。一方、プレティルト角度が20度以上ではコントラスト低下等の表示品位の低下が大きく、現実的ではない。また、低プレティルト領域3と高プレティルト領域2とのプレティルト角度の差は、少なくとも1度程度は必要である。そうでなければ、この発明の明確な効果を得ることは困難である。
【0039】
上述のように、本実施の形態においては、電極の縁等による段差や電極間の横方向電界の影響によって配向ベクトルが不均一であるためにドメインが発生し易い電極1(12,15)の周囲部1aを、高プレティルト領域2とする。一方、平坦であって配向ベクトルが均一であるためにドメインが発生し難い電極1(12,15)の中央部1bを、低プレティルト領域3としている。したがって、電極1(12,15)の周囲部1aでは、液晶分子の基板法線からの傾きが大きいために、ドメイン領域が減少されて各画素の輝度が向上する。一方、電極1(12,15)の中央部1bでは、液晶分子の基板法線からの傾きが小さいために、ラビング筋が入りにくい。その結果、画素の輝度向上とラビング筋の低減化とが図られる。
【0040】
尚、上記実施の形態においては、上記基板11上に紫外線に感応する垂直配向膜13を塗布した後ラビング処理を行って基板11からの傾斜角が88度のプレティルト角度を得る。その後、電極12の周囲に開口部を設けたマスクで覆い、基板11からの傾斜角が85度のプレティルト角度になるように紫外線照射を行って、1層の垂直配向膜における各電極12の周囲部に高プレティルト領域2を設定し、中央部に低プレティルト領域3を設定している。
【0041】
しかしながら、上記マルチプレティルト型の液晶電気光学素子は、以下のような方法によっても形成可能である。すなわち、基板11からの傾斜角が88度のプレティルト角度が得られる第1垂直配向膜を基板11上に塗布した後、その上に基板11からの傾斜角が85度のプレティルト角度が得られる第2垂直配向膜を塗布して、2層構造の垂直配向膜を形成する。そうした後、第2垂直配向膜における電極12の中央部に相当する位置に開口部を設けて、この開口部から第1垂直配向膜を露出させる。そして、全体をラビングするのである。こうすることによって、上記第2垂直配向膜とこの第2垂直配向膜の開口部から露出している第1垂直配向膜とは、同じ方法にラビングされるが、電極12の周囲部には高プレティルト領域2が形成され、中央部には低プレティルト領域3が形成されるのである。
【0042】
また、以下のような方法でも形成可能である。すなわち、紫外線に感応して液晶分子の基板法線からの傾きを制御する性質を有する垂直配向膜を基板11上に塗布する。そして、先ず、電極12の中央部に相当する領域に開口部を有する第1マスクを使用してラビングを行う。次に、第1マスクと相補的な開口部(つまり、電極12の周囲部に相当する領域に開口部)を有する第2マスクを使用してラビングを行う。こうして、1層の垂直配向膜における電極12の周囲部と中央部とで異なるプレティルト角を有するマルチプレティルトを形成するのである。
【0043】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1に係る発明の液晶電気光学装置は、液晶分子を同一方向にプレティルトさせて配向させる垂直配向膜を有すると共に、上記垂直配向膜は、電極上における周囲部に形成されてプレティルト角度を所定角度にする第1配向膜と、上記電極上における上記周囲部以外の領域に形成されてプレティルト角度を上記所定角度よりも小さな所定角度にする第2配向膜とで構成されているので、上記電極の周囲部における第1配向膜のプレティルト角度を中央部における第2配向膜のプレティルト角度よりも大きくすることができる。したがって、上記ドメインが発生し易い電極周囲部における液晶分子の基板法線からの角度を大きくし、上記ドメイン領域を狭くして画素の輝度を向上できる。一方、上記ドメインが発生し難い電極中央部における上記液晶分子の基板法線からの角度を小さくして、ラビング筋を目立たなくできる。こうして、輝度の向上とラビング筋の低減化とを図ることができる。
【0044】
さらに、上記配向膜は、0.1度以上20度未満のプレティルト角度を有するので、表示品位を低下させること無く総ての液晶分子をプレティルト方向に均一に動作させることができる。
【0045】
さらに、上記第1配向膜は、上記電極の周囲部のうち、少なくとも、上記液晶分子の画素電極に対する傾斜方向の側に位置する周囲部に形成されるので、上記ドメイン領域を減少させる機能とラビング筋を目立たなくする機能とを的確に発揮でき、上記輝度の向上とラビング筋の低減化とを効果的に図ることができる。
【0046】
また、請求項2に係る発明の液晶電気光学装置における上記第1配向膜および第2配向膜の少なくとも一方は、紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜であるので、ラビング等の物理的処理に因らずに紫外線照射によって簡単にプレティルト角度を制御できる。さらに、上記ラビングによるプレティルト角度の設定と組み合わせることによって、1つの配向膜で複数種のプレティルト角度を設定できる。その場合には、上記第1配向膜と第2配向膜とを同じ配向膜で構成することができる。
【0047】
また、請求項3に係る発明の液晶電気光学装置における上記紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜は、ポリイミド,ポリアミド,ポリアミドイミドもしくはポリシロキサンのうち、少なくとも1種の構造を構成単位に含んでいるので、上記紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な最適な配向膜を容易に得ることができる。
【0048】
また、請求項4に係る発明の液晶電気光学装置における上記配向膜は、上記第1配向膜のプレティルト角度と上記第2配向膜のプレティルト角度とが1度以上の角度差を有しているので、上記各画素の輝度の向上とラビング筋の低減化とを効果的に図ることができる。
【0049】
また、請求項5に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法は、請求項1に係る発明の液晶電気光学装置における上記第1,第2配向膜の少なくとも一方の配向膜として、紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜を塗布し、この紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜に対するプレティルト角度の設定は、上記電極上における所定領域またはこの所定領域以外の領域に対する選択的な紫外線照射によっておこなうので、ラビング等の物理的処理に因らずに紫外線照射によって容易にプレティルト角度を設定できる。
【0050】
また、請求項6に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法における上記照射される紫外線は自然光の紫外線であるので、上記紫外線照射によるプレティルト角度の設定を自然光の紫外線によって容易に且つ安価に行うことができる。
【0051】
また、請求項7に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法における上記照射される紫外線は、直線偏光あるいは楕円偏光した紫外線であるので、上記配向膜におけるプレティルト方向に偏光した直線偏光あるいは楕円偏光の紫外線を照射することによって、紫外線の照射エネルギーを請求項9に比して約半分にできる。したがって、この発明によれば、上記配向膜に対するダメージを低減できる。
【0052】
また、請求項8に係る発明の液晶電気光学装置の製造方法における上記紫外線の照射は、上記配向膜形成時、または、上記配向膜が形成された上記2枚の基板を対向させて貼り合わせた後に行うので、上記配向膜形成時に行う場合には、上記配向膜に対して十分に紫外線を照射できる。また、上記配向膜が形成された基板を貼り合わせた後に行う場合には、上記電極上における所定領域とこの所定領域以外の領域とを精度よく設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の液晶電気光学装置における画素電極部分の拡大模式図である。
【図2】 この発明の液晶電気光学装置を構成する液晶電気光学素子の縦断面図である。
【図3】 反射型の液晶電気光学素子の縦断面図である。
【図4】 画素電極部分の断面模式図である。
【符号の説明】
1…画素電極、 1a…周囲部、
1b…中央部、 2…高プレティルト領域、
3…低プレティルト領域、 11,14…基板、
12,15…電極、 13,16…垂直配向膜、
17,18…シール材、 19,20,35…偏光板、
21…スペーサ、 22,31…液晶、
23,32…液晶電気光学素子、 33…偏光ビームスプリッタ、
34…反射装置。
Claims (8)
- 互いに対向して液晶を挟持する2枚の基板上に、少なくとも液晶に電界を印加する電極と配向膜が形成されている液晶電気光学装置において、
上記配向膜は垂直配向膜であり、上記液晶分子を同一方向にプレティルトさせて配向させる機能を有すると共に、上記電極上における所定領域に形成されて上記液晶分子の基板法線からのプレティルト角度を0.1度以上20度未満の所定角度にする第1配向膜と、上記電極上における上記所定領域以外の領域に形成されて上記液晶分子の基板法線からのプレティルト角度を0.1度以上20度未満であり且つ上記所定角度とは異なる所定角度にする第2配向膜とで構成されており、
上記2枚の電極のうちの一方上に形成されている電極は画素電極であり、
上記第1配向膜が形成される上記電極上における所定領域は、上記電極の周囲部のうち、少なくとも、上記液晶分子の上記画素電極に対する傾斜方向の側に位置する周囲部であり、
上記第1配向膜が定める上記所定角度は、上記第2配向膜が定める上記所定角度よりも大きな角度である
ことを特徴とする液晶電気光学装置。 - 請求項1に記載の液晶電気光学装置において、
上記第1配向膜および第2配向膜の少なくとも一方は、紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜である
ことを特徴とする液晶電気光学装置。 - 請求項2に記載の液晶電気光学装置において、
上記紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜は、ポリイミド , ポリアミド , ポリアミドイミドもしくはポリシロキサンのうち、少なくとも1種の構造を構成単位に含んでいる
ことを特徴とする液晶電気光学装置。 - 請求項1に記載の液晶電気光学装置において、
第1配向膜のプレティルト角度と上記第2配向膜のプレティルト角度とは1度以上の角度差を有している
ことを特徴とする液晶電気光学装置。 - 請求項1に記載の液晶電気光学装置の製造方法であって、
上記第1配向膜および第2配向膜の少なくとも一方として、紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜を塗布し、
この紫外線照射によってプレティルト角度が制御可能な配向膜に対するプレティルト角度の設定は、上記電極上における所定領域またはこの所定領域以外の領域に対する選択的な紫外線照射によっておこなう
ことを特徴とする液晶電気光学装置の製造方法。 - 請求項5に記載の液晶電気光学装置の製造方法において、
上記照射される紫外線は、自然光の紫外線である
ことを特徴とする液晶電気光学装置の製造方法。 - 請求項5に記載の液晶電気光学装置の製造方法において、
上記照射される紫外線は、直線偏光あるいは楕円偏光した紫外線である
ことを特徴とする液晶電気光学装置の製造方法。 - 請求項5に記載の液晶電気光学装置の製造方法において、
上記紫外線の照射は、上記配向膜形成時、あるいは、上記配向膜が形成された上記2枚の基板を対向させて貼り合わせた後に行う
ことを特徴とする液晶電気光学装置の製造方法。
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