JP3795535B2 - ホスファチジル3,4,5−トリホスフェイト依存性プロテインキナーゼ - Google Patents

ホスファチジル3,4,5−トリホスフェイト依存性プロテインキナーゼ Download PDF

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Description

この発明は、酵素、酵素をコードするポリヌクレオチド及び酵素とポリヌクレオチドの使用に関する。
プロテインキナーゼB(PKB)[1]又はRACプロテインキナーゼ[2]は、ウィルスガン遺伝子v−Akt細胞ホモログ[3]であり、そのため、c−Aktとも呼ばれてきた。現在のPKBに関する関心は、第一にインスリン及び成長因子の刺激によって急激に活性化されるということとその活性化はホスフォイノシチド−3−キナーゼ[4−6]の阻害因子によって阻害されるという発見によって起こり、第2にPKBのイソ体は卵巣、膵臓[7,8]及び肺がん細胞[2]のかなりの程度において過剰発現されているという発見から起こっている。
PKBは、少なくとも部分的には、インスリンによるグリコーゲンとたんぱく質合成の刺激を助長するグリコーゲンシンターゼ[9]とたんぱく質合成開始因子eIF2のインスリン誘導脱リン酸化と活性化の根底に有ると思われるL6ミオチューブの中のグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)のインスリン誘導阻害とを仲介するらしい。しかしながら、PKBは他の生理学的な基質を持っているらしく、遺伝子導入実験ではp70 S6キナーゼ[5]を活性化すること、グルコーストランスポーターGLUT4の細胞膜への転移を刺激し且つ3T3−L1 adipocytes[11]にグルコースを取り込むことを強化し、そしてアポトーシスに対するニューロン[12]と線維芽細胞[13]のIGF1誘導生存を仲介することが示された。
一つの重要な問題はPI3−キナーゼがPKBの活性化を引き起こす機構に関係している。PKBの活性化は自身のリン酸化[5,14]を伴い、また、我々は最近インスリン又はIGF1による活性化がそのThr308とSer473[15]におけるリン酸化に基づくことを示した。さらに、両残基のインスリン又はIGF1誘導リン酸化は、阻害因子のPI3−キナーゼ[15]であるwortmanninによって抑制された(was abolished)。我々は、Thr308とSer473をリン酸化するプロテインキナーゼは、PI3−キナーゼ反応の生成物であるホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト(PtdIns(3,4,5)P3)によって活性化されるらしいと信じている。ここに示す仕事において、我々はこれがまさにその一例であり、そしてPKBを活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ(PDK1)を精製し且つ分析を行い、PDK1をコードするポリヌクレオチドと、PDK1と前記ポリヌクレオチドの用法を示す。
この発明の第1の側面は、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する実質的に純粋な3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを提供するものである。
“実質的に純粋”という言葉によって、我々は3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼが実質的に他のたんぱく質を含まないということを意図している。このようにして、我々は前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼとして質量でたんぱく質含量の少なくとも30%を含むあらゆる成分構成を含み、望ましくは少なくとも50%、さらに望ましくは少なくとも70%、さらにもっと望ましくは少なくとも90%、最も望ましくは少なくとも95%のたんぱく質含有量が前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼである。
このようにして、この発明は、しかも3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼと混入物を含み、ここで混入物とは重量で70%未満の混合物を含み、望ましくは50%未満の混合物、さらに望ましくは30%未満の混合物、さらにもっと望ましくは少なくとも10%未満の混合物であり最も望ましくは重量で5%未満の混合物である。
この発明はまた、生体外で他の成分と結合した実質的に純粋な前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを含むが、前記他の成分は前記プロテインキナーゼが見られる全ての細胞で見られる全ての成分というわけではない。
実質的に純粋な3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは、実質的に純粋なホスファチジル3,4,5−トリホスフェイト依存性プロテインキナーゼ、又はホスファチジル3,4−ビスホスフェイト依存性プロテインキナーゼであることが望ましい。
“プロテインキナーゼBαをリン酸化する”という言葉は、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼがATPからリン酸基をプロテインキナーゼBαの受容基に転移させることができるということを意味している。望ましくは、受容基はThr308である。
“プロテインキナーゼBα”という言葉は、あらゆるプロテインキナーゼBαまたはそのあらゆる適当な断片、派生物、又はプロテインキナーゼBαの融合体、又はその断片または派生物を含んでいる。たとえば、プロテインキナーゼBαが実施例1に示すようにグルタチオン−S−トランスフェラーゼとプロテインキナーゼBαの間の融合体であることは特に望ましい(GST−PKBα;参照文献27)。
PKBαはヒト由来PKBαであることが望ましい。ある種又は組織由来の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼが他種又は組織由来のPKBαをリン酸化及び活性化できることは十分確かめられるべきである。
“プロテインキナーゼBαの活性化”という言葉に、我々は、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼによるリン酸化において、そのプロテインキナーゼBαの与えられた基質への活性化がそれ程リン酸化されていないプロテインキナーゼBαと比べて少なくとも10倍に上昇するものであり、望ましくは少なくとも20倍そしてさらに望ましくは少なくとも30倍である意味を含ませている。適切には、プロテインキナーゼBαの活性化は合成ペプチドRPRAATF(SEQ ID No1)を用いて測定される。
“3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ”という言葉に、我々は適切な3−ホスフォイノシチド(または3−ホスフォイノシチドの効果を類似した物質)不在下においてこのプロテインキナーゼは実質的にプロテインキナーゼBαの活性化では不活性であることを意味を含ませている。特に、前記プロテインキナーゼは3−ホスフォイノシチドの存在下において少なくともプロテインキナーゼBαに対して3−ホスフォイノシチドの不存在下の活性に比べて10倍の活性を示したが、望ましくは少なくとも100倍であり、さらに望ましくは少なくとも1000倍であり、そしてさらにもっと望ましくは少なくとも10000倍である。
3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼはおそらく、以下でさらに詳しく示される3−ホスフォイノシチドの類似体によって活性化されることも十分に分かってくるであろう。
望ましくは、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼによるPKBαの活性化はD光学異性体のシン−1−ステアトイル−2−アラキドニルホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイトでは実質的に加速されるが、L光学異性体の前記ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェイトでは実質的には加速されない。
望ましくは、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼによるPKBαの活性化はD光学異性体体のシン−1,2−ディパルミトイルホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト又はシン−1,2−ディパルミトイルホスファチジルイノシトール3,4,−ビスホスフェイトでは実質的に活性化されるが、L光学異性体の前記ホスファチジルイノシトール ホスフェイトでは実質的には活性化されない。
望ましくは、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼによるPKBαの活性化はホスファチジルイノシトール3,5−ビスホスフェイト、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスホスフェイト、ホスファチジルイノシトール3−ホスフェイト、又はイノシトール1,3,4,5−テトラキスホスフェイトでは実質的には活性化されない。
このように、特に図6の参照と実施例1のウサギ骨格筋PDK1では、以下の3−ホスフォイノシチドが前記3−ホスフォイノシチド依存性キナーゼを活性化することが分かっている(活性化の程度順;最も効果的なものが最初):
1.脂質5:ラセミ体のシン−1,2−ジリノレオイル−PtdIns(3,4,5)P3
2.(同じ)脂質2:D光学異性体のシン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3
2.(同じ)脂質3:D光学異性体のシン−2アラキドニル−3−ステアロイル−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3
4.(同じ)脂質6:シン−1,2−ジパルミトイル−PtdIns(3,4,5)P3
4.同じ脂質7:シン−1,2−ジパルミトイル−PtdIns(3,4)P2
少なくとも、ウサギ骨格筋PDK1との関係においては、以下のリン脂質は目立った活性化を示さなかった。
6.脂質:L光学異性体のシン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3
7.脂質:L光学異性体のシン−2アラキドニル−3−ステアロイル−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3
8.脂質:PtdIns(4,5)P2
9.脂質:シン−1,2−ジパルミトイル−PtdIns(3,5)P2
10.脂質:シン−1,2−ジパルミトイル−PtdIns−3P
11.脂質:PtdIns4P
12.脂質:Ins(1,3,4,5)P4
我々は、ヒト由来のPDK1が上記の脂質と同様の優先傾向を実質的に持っている事を見つけた。
3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは実質的にwortmanninに影響されないない方が望ましい。
プロテインキナーゼBαをリン酸化し活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼはおそらくプロテインキナーゼBβとプロテインキナーゼBγのような他の形状のプロテインキナーゼBもリン酸化し活性化するだろう。我々は、PDK1がPKBαだけではなくPKBβとPKBγもリン酸化し活性化することを示した。プロテインキナーゼBβは参照7に示す。プロテインキナーゼBγはKonisishi et al(1995)Biochem.Biophs.Res.Comm.216,526−534.に示されている。
プロテインキナーゼBαをリン酸化し活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは、あらゆる都合のよい組織と下記のあらゆる哺乳類から分離されうる。酵素のイソ体は同じ哺乳類の中の異なる組織に存在し、この発明はあらゆる哺乳類の前記イソ体と前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを含んでいると思われる。前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼはヒト由来前記酵素であることが望ましく。ウサギ由来の前記酵素であっても構わない。
前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼはSDS−PAGE電気泳動で決められるように約67kDaであること望ましい。
特に望ましい実施例は、プロテインキナーゼBαをリン酸化し活性化する実質的に純粋な3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼであり、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼはANSFVGTAQYVSPELL、またはAGNEYLIFQK,またはLDHPFFVK、またはこれらの配列のうち2又はそれ以上の配列を含む、又は1から4の保守的置換を有するものである。“保守的置換”が何を意味しているのかは以下で説明する。
特に望ましい実施例は以下のようなアミノ酸配列(SEQ ID No2)を含むポリペプチド、又は変体、断片、派生物、又は融合体である。このアミノ酸配列は人のPDK1をコードするcDNAの塩基配列から決定されたヒトのPDK1のアミノ酸配列である。
Figure 0003795535
この導かれたアミノ酸配列はさらに図10にも記載されている。
少なくともヒトPDK1との関係で、もっと詳しく実施例のなかで議論すると、PDK1とPKBαの何れかのpecstrin相同性(PH)領域が削除された実験で、PtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2のPKBαへの結合がPDK1によるリン酸化及び活性化のためには必要とされていることが分かった。PH領域を欠損しているGTS−PKBα変位体は完全長の天然体GTS−PKBαよりも3倍高活性であり、さらにPDK1によってPtdIns(3,4,5)P3非依存的に活性化され且つリン酸化された。しかしながら、活性化の割合は天然体のGTS−PKBαに比べて、約20倍に減少する。GTS融合体たんぱく質として発現されるC端と推定されるPH領域を欠損しているPDK1変異体はまだGTS−PKBαをPtdIns(3,4,5)P3依存的に活性化できるが、活性化の割合は完全長の天然体GTS−PDK1よりも約30倍に減少する。PDK1によるPKBαの活性化におけるPtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2の効果は、それ故少なくとも部分的に基質支配である。しかしながら、PDK1のPH領域が削除されたときのPDK1によるPKBの活性化率の急激な減少により、PDK1のPH領域の重要性とその結果PDK1によるPKBの活性化におけるPtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2の重要性が示唆される。このようにしてプロテインキナーゼBαをリン酸化し活性化する実質的に純粋な3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは、不活性な酵素(例えば、不活性なPDK1)不活性なPKBαを生体内でリン酸化するためには3−ホスフォイノシチドの存在を要求するという意味で、3−ホスフォイノシチド依存性であってもよい。この発明のプロテインキナーゼはPKBαを3−ホスフォイノシチド依存的な方法でリン酸化し活性化する。
我々は、PDK1がInsPtd(3,4,5)不存在下でP3p70S6キナーゼをリン酸化することを示してきた。PDK1がPtdIns(3,4,5)P3に直接結合することも示してきた。
この発明の第2の側面は、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼをコードする組換えポリヌクレオチドであって、IMAGE clone 526583、又はIMAGE clone 626511に対応するDNAではない組換えポリヌクレオチドを提供するものである。これらのクローンの挿入の少なくとも一部分のDNA配列は、それぞれGenBank Accesion No AA121994とAA186323とで与えられる。前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの選択は本発明の第1の側面と同様である。この発明は3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼをコードする変体、断片、派生物、又は融合体、又は前記断片、派生物の融合体を含む。ESTAA12994は膵臓組織由来であって、ESTAA186323はHeLa細胞由来であった。
特に望ましい本発明の実施例は以下の塩基配列(SEQ ID No3)を含むポリヌクレオチド、又は変体又は変位体である。この塩基配列はヒトのPDK1配列をコードしている配列を含んだ配列である。
Figure 0003795535
このcDNA配列は図10にも示されている。
IMAGE clone 526583、又はIMAGE clone 626511は学術的に知られ且つ一般にもHMGP Resource Cetere,I.M.A.G.E Consortrium,Hinxton,Cambridge CB1 1SB,UKから利用可能である。このクローンは、pBluescript SK−に挿入された一部分長のcDNAである。これらのクローンがプロテインキナーゼをコードするmRNA由来であることは知られていなかった。
このPDK1cDNA即ちH97903(メラノサイト),AA018098(レチナ),AA18097(レチナ),AA019394(レチナ),AA019393(レチナ),N22904(メラノサイト),W94736(胎児心臓),EST51985(胆嚢),N31292(メラノサイト),AA188174(HeLa細胞),AA100210(大腸)及びR84271(レチナ)の部分をコードするいくつかの他のESTは一般にも利用可能である。これらのETSに対応するポリヌクレオチドは実質的には請求されていないが、それらはこの発明のある部分を実行するには役立つかもしれない。これらのクローンがプロテインキナーゼをコードするmRNA由来であったことは示されていない。
また、この発明は、この発明の第2の側面の組換えポリヌクレオチドの断片を含んだヌクレオチドを含む。望ましくは、このポリヌクレオチドは、少なくとも10塩基長であって、もっと望ましくは少なくとも14塩基長であり、そしてさらにもっと望ましくは18塩基長である断片を含んだポリヌクレオチドである。そのようなポリヌクレオチドはPCRのプライマーとして有効である。
このポリヌクレオチドまたは組換ポリヌクレオチドはDNAでもRNAでもよいが、DNAが望ましい。このポリヌクレオチドはコード配列にイントロンを含んでも含まなくてもよい;望ましくはこのポリヌクレオチドはcDNAである。
このポリヌクレオチドの“バリエーション”は(i)前記ポリヌクレオチドによってコードされるたんぱく質に特異的に結合する抗体を用意するのに便利なたんぱく質又はその断片を精製するのに便利なもの、又は(ii)その遺伝子又はちょうど定義された(i)型のバリエーションに対応するアンチセンス配列である。例えば、異なるコドンが置換されても、その元のコドンと同様のアミノ酸をコードするコドンである。他には、その置換コドンがその活性又はそのたんぱくの生体内抗原性に影響を与えない又は向上させても良く、又はしかもその活性や生体内抗原性を制御してもよい異なったアミノ酸をコードしてもよい。例えば、ここで参照によって組み込まている、Bostein and Shortle“試験管内における突然変異生成の戦略と応用”Science,229:193−210(1985),に書かれているような置換、挿入、欠失そして転移のような単一又は複数の突然変異を作るのに位置特異的突然変異又は他の手法が使われている。そこで記載されている指摘に知られている技術を応用することによってそのような修飾ポリヌクレオチドを入手できるので、そのような修飾ポリヌクレオチドは本発明のクレームの範囲に入る。
さらに、その発明のそのポリヌクレオチド配列(又は、その断片)は、高度な厳格な条件下でそれとハイブリダイズした他のポリヌクレオチド配列を入手するために使われるということがこれらの学術的な技術によって認識されるだろう。そのようなポリヌクレオチドはあらゆる遺伝子DNA配列を含む。それ故、もしそのような相同ポリヌクレオチドが以下に記載の方法の少なくともいくつかが使用可能か又はさもなくば有効であるポリペプチドをコードするならば、本発明のポリヌクレオチドは、本発明の方法によって同定されるポリヌクレオチドと少なくとも55%、望ましくは60%、さらに望ましくは少なくとも70%そして最も望ましくは少なくとも90%の相同性を示すポリヌクレオチドを含む。
例えば、相同率はウィスコンシン大学遺伝子機械グループのGAPプログラムによって算出した。
DNA−DNA,DNA−RNA、RNA−RNAハイブリダイゼーションは0.1XSSCから6XSSC含有の水溶液中において、50℃から70℃の間で行って構わない。これより高い温度又は低いSSCの濃度ではハイブリダイゼーション要件が厳格になることが学術的に知られている。“高度な厳格性”とは、我々は2XSSC且つ65度を意味している。1XSSCとは0.15M/0.015Mクエン酸ナトリウムのことである。高度な厳格性でハイブリダイズしたポリヌクレオチドは特許請求の範囲記載の本発明の範囲に含まれる。
ポリペプチドの“変異”は、比較的短い(例えば20から50塩基対)範囲が本発明のポリヌクレオチドと同様の範囲を持つ高度の相同性(少なくとも80%そして望ましくは少なくとも90又は95%)を持ち、たとえその二つのポリヌクレオチドの間の全体の相同性はもっと小さくてもよい。これは、全体的なたんぱく質の構造が異なっていたとしても、重要な活性化又は結合部位はおそらく共有されているからである。
このポリペプチドの“変体”は、その様な変化が実質的には前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性を変えない保守的又は非保守的である、挿入、欠失及び置換を含んでいる。
“保守的置換”とは、それぞれGly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyrの間での置換である。その様な変体は、学術的に良く知られたたんぱく質工学や位置特異的変位導入の手法を使うことによって作り出せる。
望ましくは、同様の分析条件において、天然の前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼのプロテインキナーゼBαに対する活性の少なくとも30%、望ましくは少なくとも50%そしてさらに望ましくは少なくとも70%を有するこの3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼをポリヌクレオチドの変体又は変異がコードする。
“3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの派生物”という言葉に、我々は活性を維持していたり、又はその他の使用に有効な、例えば抗体を検出したり分析物に結合したりするのに役立つ、全ての派生物を含めている。
“3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの融合体”という言葉に、我々はその他の全てのポリペプチドに融合する前記プロテインキナーゼを含めている。例えば、前記プロテインキナーゼに前記プロテインキナーゼ純化を促進するためにグルタチオン−S−トランスフェラーゼやプロテインAのようなポリペプチドを融合したポリペプチドである。
本発明の更なる側面は、プロテインキナーゼBα又は前記プロテインキナーゼの変体、断片、派生物又は融合体、又は前記変体、断片、派生物の融合体をリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼをコードする組換ポリヌクレオチドを含む複製可能なベクターを提供するものである。
例えば、相補的粘着末端を通してベクターにポリヌクレオチド、特にDNAを実施可能に結合するために、種々の方法が開発されてきた。例えば、ベクターDNAに挿入されるDNA分節に相補的ホモポリマー索が加えられ得る。そこで組換DNA分子を形成するための相補的ホモポリマーテイル間での水素結合によってベクターとDNA分節は結合される。
一つ又はそれ以上の制限部位を有する合成リンカーはベクターにDNA分節をくっつける他の方法を提案してくれる。上記のようなエンド型制限消化酵素によって作られるDNA分節は、3’−5’−エキソヌクレオチック活性により突出部を取り除き、それとポリメラーゼ活性により3’末端1本鎖終結部を補うバクテリオファージT4DNAポリメラーゼ又は大腸菌DNAポリメラーゼ1によって処理される。
これらの活性の組み合わせがブルント(不揃い)末端DNA断片を作り出す。このブルント末端DNA分節は、バクテリオファージT4リガーゼのような、ブルント末端DNA分子の接合を触媒できる酵素の存在下、過剰分子量のリンカー分子とともに培養される。したがって、この反応の生成物は、その末端には重合リンカー配列を有するDNA分節である。これらのDNA分節は適当な制限酵素で開裂され、そしてこのDNA分節の終結末端と相補的な終結領域を作る酵素で開裂されている発現ベクターに接合される.
種々の制限エンドヌクレアーゼ部位を有する合成リンカーは商業的にInternational Biotechnologies Inc,ニューヘブン,CN,USAを含むたくさんの原料源から利用することができる。
本発明のポリペプチドをコードするDNAを修飾する望ましい方法は、Saiki et al(1988)Science239,487−491に公開されたようなポリメラーゼチェインリアクションを使うものである。この方法は、例えば適切な制限部位を設計することによって、DNAを適切なベクターに導入する個とに使われても良い、または技術的に良く知られた他の便利な方法においてそのDNAを修飾するために使われても良い。
この方法において、酵素的に増幅されるDNAは、増幅されるDNAに自身が組み入れられる2つの特異的なプライマーによって側部が結合される。前記特異的プライマーは、技術的に知られた方法を使って発現ベクター中にクローニングするために使われうる制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含んでも良い。
このDNA(あるいはレトロウィルスベクターにおける、RNA)は、本発明の物質を含むポリペプチドを生成するための適切な宿主中で発現される。したがって、本発明に係るポリペプチドの発現と生成のための適当な宿主細胞を形質転換させるために使われる発現ベクターを構成するために、本発明記載の物質を構成するポリペプチドをコードするDNAは既知の技術に応じて使われ、ここに記載されている指示の視点から適当に修飾されても良い。このような技術は、1984年4月3日に発行されたRutter等の米国特許4,440,859、1985年7月23日に発行されたWeissmanの米国特許4,530,901、1986年4月15日に発行されたCrowlの米国特許4,582,800、1987年6月30日に発行されたMarks等の米国特許4,677,063、1987年7月7日に発行されたGoeddelの米国特許4,678,751、1987年11月3日に発行されたItakura等の米国特許4,704,362、1987年12月1日に発行されたMurray等の米国特許4,710,463、1988年7月12日に発行されたToole,Jr.等の米国特許4,757,006、1988年8月23日に発行されたGoeddelの米国特許4,766,075、および1989年3月7日に発行されたStalkerの米国特許4,810,648に開示されているものを含み、これらのすべては本明細書の一部に組み入れられる。
本発明に係る物質を構成するポリペプチドをコードしているDNA(あるいはレトロウィルスベクターにおける、RNA)は、適当な宿主への導入のための広い種々のその他のDNA配列と結合されても良い。そのコンパニオンDNAはその宿主の特徴、その宿主へのそのDNAの導入方法、及びエピゾームの保持あるいは集合が望ましいかどうかということに依存するだろう。
一般に、DNAは、プラスミドのような適当な発現ベクター中の発現のための適当な開始部位と正確なリーディングフレームの中に挿入される。もし必要なら、DNAは望ましい宿主に認識される適当な転写及び翻訳制御コントロールヌクレオチド配列に接合されていても良いが、その様なコントロールは一般に発現ベクターにおいて可能である。一般に、このベクターによって形質転換されるのはこの宿主の全てではない。それ故、形質転換された宿主細胞を選ぶことが必要になるだろう。一つの選択技術は、抗生物質のような形質転換細胞中で選択特性をコードするあらゆるコントロールとともに、発現ベクター中にDNA配列を組み込むことを含む。他には、その様な選択特性のための遺伝子は、好適の宿主細胞を共形質転換するために使われる他のベクター上に置いておくこともできる。本発明に係る組換えDNAによって形質転換された宿主細胞は十分な時間と、回復され得るポリペプチドの発現を許容するためにここに公開された指摘の観点から技術的にそれらの熟練者には知られた適当な条件下とにおいて培養される。
バクテリア(例えば、大腸菌(E.coli)や(Bacillusu subtilis))、酵母(例えば、(Succharomyces cerevisiae))、糸状菌(例えば、(Aspergillus))、植物細胞、動物細胞及び昆虫細胞を含む多くの発現系が知られている。
そのベクターが他の非原核的な細胞型において発現するために使われ得るとしても、そのベクターは、原核細胞中において増殖するための例えばCol EI oriのような原核細胞レプリコンを含む。そのベクターは、そこで形質転換されている例えば大腸菌のようなバクテリア宿主細胞の遺伝子の発現(転写及び翻訳)を指示することができる原核細胞プロモーターのような適切なプロモーターを含むこともできる。
プロモーターは、発生するためにRNAポリメラーゼの結合と転写を可能とするDNA配列によって形成される発現コントロール要素である。本発明に係るDNA分節の挿入に対して便利な制限部位を有するプラスミドベクター中で、典型的なバクテリア宿主細胞と互換可能なプロモーター配列は概して供給される。
典型原核細胞ベクタープラスミドは、Biorad Labolatories(Richmond,CA,USA)から利用可能なpUC18、pUC19、pBR322とpBR329、及びファルマシア、ピスカタウェイ、NJ、USAから利用可能なpTrc99AとpKK223‐3がある。
典型哺乳類ベクタープラスミドは、ファルマシア、ピスカタウェイ、NJ、USAから利用可能なpSVLがある。その発現の最高レベルは、COS‐1細胞のようなT抗原生産細胞中において見られるので、クローンされた遺伝子の発現を進行させるためにこのベクターはSV40後期プロモーターを使用する。
誘導性哺乳類発現ベクターの一例はpMSGであり、しかもこれはファルマシア、ピスカタウェイ、NJ、USAから利用可能である。クローンされた遺伝子の発現を進行させるためのマウス乳腺腫瘍ウィルス長終結繰り返しのグルココルチノイド誘導性プロモーターを使っている。
便利な酵母プラスミドベクターは、pRS403‐406とpRS413‐416及び一般的にはStratagene Cloning Systems、LaJolla、CA92037、USAから利用可能である。プラスミドpRS403、pRS404,pRS405,pRS406は酵母集合プラスミド(YIps)でありHIS3,TRP1、LEU2及びURA3の酵母選択マーカーを組み込んでいる。プラスミドpRS413‐416は酵母セントロメアプラスミド(YCps)である。
本発明は、この発明に係るポリヌクレオチドベクター構成物で形質転換された宿主細胞にも関連する。この宿主細胞は原核細胞であるいは真核細胞でありうる。バクテリア細胞は原核宿主細胞であることが好まれ、そして概して例えばBethsda Reserch Laboratories Inc.,Bethsda,MD,USAから利用可能な大腸菌DH5株、及びAmerican Type Culture Collection(ATCC)of Rockvill,MD,USA(NoATCC31343)から利用可能なRP1がある。好まれる神格細胞宿主細胞は酵母、昆虫及び哺乳類細胞を含み、好ましくはマウス、ラット、サル、又はヒトの線維芽及び腎臓細胞系列由来の細胞のような脊椎動物細胞である。酵母宿主細胞は、Stratagene Cloning Systems,LaJolla、CA92037、USAから利用可能なYHP499,YHP500とYHP501とを含む。好まれる哺乳類宿主細胞は、ATCCからCCL61として利用できるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCからCCL1658として利用できるNIHスイスマウス胚細胞NIH/3T3、ATCCからCCL1650として利用できるサル腎臓由来COS‐1細胞及びヒト胚腎臓細胞である293細胞を含む。好まれる昆虫細胞は、バキュロウィルス発現ベクターで遺伝子注入されるSf9細胞である。
本発明に係るDNA構成物での適切な細胞宿主の形質転換は、使用されるベクター型に概して依存する良く知られた方法によって成し遂げられる。原核宿主細胞形質転換に関して、例えばCohen et al(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.USA69,2110及びSamvrook et al(1989)分子クローニング、実験マニュアル、Cold Spring Labolatory,Cold Spring Harbor,NY.酵母細胞の形質転換はSgermanetal(1986)酵母遺伝子における手法、実験マニュアル、Cold Spring Harbor,NYに記載されている。Beggs(1978)Nature275,104‐109の方法も便利である。脊椎動物細胞に関して,例えばリン酸カルシウム及びDEAE−デキストラン又はリポソーム製剤が、Stratagene Cloning Systems、又はLife Technologies Ind.,Geitherburg,MD20877,USAから利用可能である。
電気穿孔(electroporation)はまた、細胞を形質転換及び/又は遺伝子導入するのに便利であり、そして酵母細胞、バクテリア細胞、昆虫細胞及び脊椎動物細胞に遺伝子導入するためとして学術的に良く知られている。
例えば、ここで参照によって組み込まれているLuchansky et al(1988)Mol.Microbiol.2,637‐646において記載されているこの方法で多くのバクテリア種が形質転換されているといえる。2.5XPEB中に懸濁されたDNA‐細胞混合物の25μFDで6250V/cmにおける電気穿孔にしたがって、一致して莫大な形質転換体が得られている。
電気穿孔による酵母の形質転換のための方法はBecker&Guarente(1990)MethodsEnzymol.194,182に開示されている。
上手く形質転換された細胞、すなわち本発明にかかるDNA構成物を含む細胞は良く知られた技術によって同定される。本発明に係る発現構成物の導入の結果の細胞は本発明に係るポリヌクレオチドを生成するために育成される。細胞は回収され、溶菌され、そしてそれらのDNA構成物はSouthern(1975)J.Mol.Biol.98,503又はBerentetal(1985)Biotech.3,208に記載されるような方法を使ってそのDNAの存在について調べられうる。他には、上清中のそのたんぱく質の存在が、以下に記載されるように抗体を使って検出され得る。
組換えDNAの存在に対する直接的分析に加えて、その組換えDNAがそのたんぱく質の発現を指すことができるときには、成功した形質転換は良く知られた免疫学的方法によって確かめられる。例えば、発現ベクターによって上手く形質転換された細胞は、適当な抗原性を示すたんぱく質を生成する。形質転換されたことが疑わしい細胞の試料は回収されそして適切な抗体を使ってそのたんぱく質について分析される。
このようにして、形質転換された宿主細胞自身に加え、本発明はしかもこれらの栄養培地中の細胞の培養、好ましくはモノクローナル(クローン的に相同的な)培養、又はモノクローナル培養由来の培養をも考慮している。
本発明の更なる側面は、プロテインキナーゼBβをリン酸化および活性化する3−ホスフォイノシチド依存性キナーゼ又は、その変体、断片、派生物、又は融合体、又は変体、断片、派生物を作る方法であって、その方法は組換えポリヌクレオチド又は3−ホスフォイノシチド依存性キナーゼをコードしている複製可能ベクターを含む宿主細胞を培養すること、及び前記宿主細胞から前記たんぱく質又はその変体、断片、派生物、又は融合体、又は変体、断片、派生物の融合体を分離することを含む方法を提供している。宿主細胞の培養及び組換えたんぱく質の分離方法は技術的に良く知られている。
本発明のさらに別の側面は、プロテインキナーゼBβをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ分離する方法であって、この方法は、(a)哺乳類から前記3−ホスフォイノシチド依存性キナーゼを含む組織を入手すること、(b)前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを有する前記組織から無細胞抽出液を得ること、(c)前記無細胞抽出液を分画化すること、(d)(c)において、3−ホスフォイノシチド存在下でプロテインキナーゼBβをリン酸化及び活性化することが可能な分画を集めること、のステップを含む方法である。
好ましくは、3−ホスフォイノシチドは本発明の第1の側面に関連において公開されるような選ばれた3−ホスフォイノシチドのどれでも良い;最も好ましくはホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、ホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトである。好ましくは、更なる段階が使われる。都合良くは、ステップ(e)においてステップ(d)の分画がさらに分画されそしてステップ(f)において3−ホスフォイノシチド存在下でプロテインキナーゼBβをリン酸化及び活性化することが可能な分画がステップ(e)から選ばれる。ステップ(e)と(f)は、プロテインキナーゼBβをリン酸化及び活性化することが可能な3−ホスフォイノシチド依存性キナーゼの実質的に純粋な調整物が得られるまで、繰り返されても良い。適切には、この分画ステップは、イオンクロマトグラフィー、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿、ヘパリンクロマトグラフィーの何れか、又はその他のあらゆる分画手段を含む。好ましくは、この方法のステップは実質的に実施例1に記載されるようなものである。
都合良くは、この組織は骨格筋である。その組織はヒトを含むあらゆる哺乳類由来で良い。
本発明の更なる側面は、ここに公開された方法によって入手可能な、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、又はその変体、断片、派生物、又は融合体、又は前記変体、断片、又は派生物の融合体を提供するものである。
本発明のその他の側面は、この発明に係るホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼに対して反応する抗体を提供するものである。
本発明に係る前記ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼに対して反応する抗体は、技術的に良く知られた方法によって作られても良い。特に、その抗体はポリクローナルあるいはモノクローナルのいずれでも良い。
前記プロテインキナーゼに対して反応的な適切なモノクローナル抗体は、例えば“モノクローナル抗体:技術マニュアル”HZola(CRCPress、1988)及び“モノクローナルハイブリドーマ抗体:技術と応用”、SGR Hurrell(CRC Press、1982)に公開されるそれらの技術によって調整されても良い。
好ましい実施例において、その抗体は、ANSFVGTAQYVSPELL(SEQ ID No4)、AGNEYLIFQK(SEQ ID No5),またはLDHPFFVK(SEQ ID No6)ペプチド配列の何れか一つを使って製造される。もし抗ペプチド抗体が作られるならば好ましい。例えばRQRYQSHPDAAVQ(SEQ ID No7)及びLSPESKQARANS(SEQ ID No8)のようなその他のペプチドが、抗体を作るために使われても良い。
そのたんぱく質の機能、生体内での特異的な抗体の生産が実質的に変わらない状態を維持しているならば、そのたんぱく質が合成される後あるいは前にアミノ酸残基のひとつ又はそれ以上が化学的に修飾されているたんぱく質が使われても良い。そのような修飾は、酸塩基特に生理学的に受け入れられる有機的あるいは無機的な酸と塩基で塩を形成、末端カルボキシル基のエステルあるいはアミド形成、及びN‐t‐ブトキシカルボニルのようなアミノ酸保護基の付着を含んでいる。その様な修飾はペプチドを生体内の代謝から保護するかもしれない。そのペプチドは単一複写物あるいは多重複写物として現れる、例えばタンデムリピートである。その様なタンデムあるいは多重リピートは、運搬体の使用を避けるためにそれら自身十分に抗原的である。ペプチドがN末端とC末端とを結合させてループとして形成されること、又は抗原性を増加させるため及び/又はジスルフィルド結合を形成させることを可能とするために一つまたはそれ以上のシステイン残基をある末端に付加することは有利かもしれない。もし、好ましくはポリペプチドであるそのペプチドが、運搬体に共有的に結合されているならば、その配置は好ましくは本発明に係るペプチドはループを形成するようなものである。
現在の免疫学理論によれば、免疫系を刺激する又は刺激を強化するために、あらゆる免疫遺伝的な定式化において運搬体機能は明らかであるべきである。最善の運搬体はT細胞抗原決定基を具体化している(又は、抗原とともに、作り出す)と考えられている。このペプチドは、例えば架橋反応によって、血清アルブミン、ミオグロビン、バクテリアトキソイド及びキーホールツタノハガイヘモシアニンのような分離運搬体に結合しているかもしれない。もっと最近に開発された免疫応答においてT細胞援助(T-cell help)を誘導する運搬体は、Thr−Ala−SerーGly−Val−Ala−Glu−Thr−Thr−Asn−CysのようなT細胞抗原決定基(SEQ ID No9)と推測されるヘパティティス−Bコア抗原(しかもヌクレオキャプシッドたんぱく質と呼ばれている)を含み、ベータガラクトシダーゼ及びインターロイキン−1の163−171ペプチドを含む。後者の物質は広くは運搬体及び免疫増強剤又はその両方と考えられても構わない。その他には、本発明に係るものと同じ又は異なるペプチドのいくつかの複写物は互いに架橋されていても良い。この意味においては、そのような分離運搬体は存在しない、しかしそのような架橋によって運搬体機能は提供されるかもしれない。例えば、グルタルアルデヒド、カルボジイミド及びスクシンイミジル4−(N‐マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレイト、この後者の試薬はシステイン残基(もし存在するならば)C末端上の−SH基を利用している、適切な架橋試薬は、シグマやピアースのカタログなどにおいて記載される試薬を含む。
もしこのペプチドが適切な宿主において適切なヌクレオチド配列の発現によって調整さえれるのならば、運搬体として振舞うペプチド配列との融合産物としてこのペプチドを発現することは有利かもしれない。Kabigenの“Ecosec”システムはそのような装置の一例である。本発明に係るペプチドは2重効果を提供するためにその他の抗原に結合されていても良い。
ペプチドは、Lu et al(1981)J.ORG.Chem.46,3433及びここでの参照によって公開されるような固相ペプチド合成のFmoc‐ポリイミド方式によって合成されても良い。一時的N−アミノ基保護は9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によって行われている。この高度に塩基不安定な保護基の繰り返し開裂は20%ピペリジンのN−Nジメチルホルムアミド溶液を使いながら実行される。側鎖機能は、(セリン、トレオニン及びチロシンの場合)ブチルエーテルとして、(グルタミン酸とアスパラギン酸の場合)ブチルエステルとして、(リジンとヒスチジンの場合)ブチルオキシカルボニル派生物として、(システインの場合)トリチル派生物として、そして(アルギニン場合)4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル派生物として保護されても良い。C末端がグルタミン又はアスパラギンであるところでは、側鎖アミド機能の保護のために4,4‘−ジメトキシベンジドリル基が使われる。この固相支持体は、ジメチルアクアクリルアミド(主鎖モノマー)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋物)及びアクリロイルサルコシンメチルエステル(機能化試薬)の3つのモノマーから構成されるポリジメチル−アクリルアミドポリマー上に配置される。このペプチドと樹脂の開裂可能に結合されている使用試薬は酸不安定4‐ヒドロキシメチル−フェノキシ酢酸派生物である。全てのアミノ酸派生物は、それらの前もって形成された対称無水派生物として加えられる、アスパラギンとグルタミンは例外であり、逆転N、N−ジシクロヘキシル−カルボジイミド/1−ヒドロキシトリアゾール処理結合手法を使って加えられる。全ての結合及び脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸またはイソチン試験法を使って観測される。合成の完成において、50%の除去剤を含んだ95%トリフロロ作酸で処理することによって側鎖保護基を付随的に除去し、ペプチドは樹脂支持体から開裂される。除去剤は一般にエタノジトイル、フェノール、アニソール及び水が使われるが、正確な選択は合成されているそのペプチドの成分アミノ酸に依存している。トリフロロ酢酸を真空エバポレーションで取り除き、その粉末とジエチルエーテルで未精製ペプチドを産生する。あらゆる存在する除去剤は簡単な抽出法で取り除かれ、その方法は水層の凍結乾燥で除去剤の無い未精製ペプチドを産生する。ペプチド合成の試薬は一般にCalbiochem−Novabiochem(UK)Ltd、NottinghamNG72QJ、UKから利用可能である。精製は、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーそして(原理的には)逆相高性能液体クロマトグラフィーのどれか一つまたはその組み合わせによって実行される。ペプチドの分析は、薄相クロマトグラフィー、逆相高性能液体クロマトグラフィー、酸加水分解後アミノ酸分析及び高速原子分裂(FAB)質量分析を使って行っても良い。
本発明の更なる側面は、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性を制御する物質を同定する方法であって、この方法は、前記物質を前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、又はその変体、断片、派生物、又は融合体、又はその変体、断片、派生物の融合体に接触させること、前記物質の存在下での、プロテインキナーゼBのリン酸化及び活性化、又は3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの適切な基質のリン酸化が、前記物質の不存在下で前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、又は前記変体、断片、派生物、又は融合体、又はその変体、断片、派生物の融合体の活性と比べて、変化するかどうかを決定することを含んでいる。
我々は、本発明の前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼがプロテインキナーゼBαだけでなくプロテインキナーゼBβやプロテインキナーゼBγ等の他の形状のプロテインキナーゼBをもリン酸化できると信じている。我々は、PKD1がPKBα、PKBβ及びPKBγをリン酸化することが出来ることを示した。このように、この方法及び以下に記す方法においてこのプロテインキナーゼBは、プロテインキナーゼBα、プロテインキナーゼBβ及びプロテインキナーゼBγのいずれであっても良い。例えばp70 S6のような、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの他の基質が本発明にかかる分析方法において使われても良い。PH領域を含んでいるPKBPが基質として使われるときPtdIns(3,4,5)P3のような適切なリン脂質がそのスクリーン中に概して存在するが、しかし例えばp70 S6キナーゼ又はPH領域を含んでいないPKBが基質として使われるとき3−ホスフォイノシチドがそのような状況に存在していることは必要ではない。p70 S6キナーゼのリン酸化はPtdIns(3,4,5)P3不存在下において起こる。
適切なプロテインキナーゼB又は他の適切な基質の存在下において、この方法は3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、又は前記変体、断片、派生物、又は融合体、又はその変体、断片、派生物の融合体試験管内において実行されうると評価されるだろう。例えばホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼとPKB又は他の適切な基質との間の相互作用を減少又は強化する物質を検出するための2−ハイブリッドシステムを使いながら、それは生体内においても実行されても良いと評価されるかもしれない。
ひとつの実施例において、その物質は3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性を減少させる。
他の実施例において、その物質は3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性を高める。好ましくは、その物質は3−ホスフォイノシチドと競合する。好ましくは、その物質はホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、又はホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトによって実質的に活性を減少する。好ましくは、その物質はホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、又はホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトによって実質的に活性を高める。プロテインキナーゼBがその分析中に存在するとき、この方法が、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ又はプロテインキナーゼBの何れかに結合及びその活性に影響を与える物質を同定するために使われ得ることが理解されるであろう。
本発明の更なる側面は、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼに対する3−ホスフォイノシチドの効果を模倣した物質を同定する方法を提供するものであり、この方法は、それがプロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化し又はあらゆる適当な基質をリン酸化できるように、前記物質が前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、又は適当なその変体、断片、派生物、又は融合体、又はその変体、断片、派生物の融合体を活性化できるかどうかを決定することを含んでいるが、ただし前記物質による活性化は3−ホスフォイノシチドの不存在下においてである。
プロテインキナーゼBの活性はあらゆる適切な基質を使って測定され得る;例えば、ペプチドRPRAATF(SEQ ID No 1)好ましい基質であるが、ミエリン塩基たんぱく質及びあるヒストンもまたPKBの基質である。
好ましくは、3−ホスフォイノシチドは、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、又はホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトである。
我々は、PtdIns(3,4,5)P3又は適切な3−ホスフォイノシチドはPDK1がPKBαのThr308をリン酸化しこのプロテインキナーゼを活性化するためにPKBのPH領域と相互作用すると信じている。我々の情報では、PH領域を持たないPKB分子はPtdIns(3,4,5)P3に依存せず活性化及びリン酸化された。薬品(本発明に係るキナーゼ例えばPDK1及びPKB間の相互作用を妨害する)が働くらしい機構はいくつかある。一つの機構において、PKBに結合しそしてPKBが本発明に係るキナーゼ例えばPDK1によって活性化されることを阻害するかもしれない。もう一つ別の機構では、その薬品は本発明に係るキナーゼ(PDK1のような)に結合しそしてPDK1の活性を阻害するかもしれない。さらに別の機構では、その薬品はPDK1に結合しそしてそれがPKBを活性化することを阻害するのかもしれない。もし本発明に係るスクリーニング試験が完全長PKB分子(例えばGST‐PKB融合体)又は完全長ではないが実質的にPtdIns(3,4,5)P3のような適切なリン脂質に結合することができるPH領域を維持している分子と、そのPKBが実質的にPtdIns(3,4,5)P3のような適切なリン脂質に結合することができないようにPH領域が修飾されてしまっているPKBと、の両方を使って実行されるならば好ましい。適切な修飾にはPH領域の全部又は部分的な欠損又は実質的に適切なリン脂質の結合を阻害するPH領域における突然変異を含む。PtdIns(3,4,5)P3がPKBと相互作用することを阻害する物質はスクリーンにおいて検出され、特に選択されている。
その代りに、本発明に係るスクリーニング分析において機能性PH領域を欠いたPKBを使うことは有用かもしれない、この場合、PDK1がPKBを活性化するために3−ホスフォイノシチド無しで使われる必要がある。
本発明に係るさらに別の側面は、ここに公開されるスクリーニング法によって同定可能な物質を提供するものである。
この方法は、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ又はその3−ホスフォイノシチドと又はプロテインキナーゼBとの相互作用を調節する物質に対するスクリーニング分析である。
このようにして、本発明に係るスクリーニング方法は、3−ホスフォイノシチド(特に3−ホスフォイノシチドはホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、又はホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイト)と競合する及び前記の不活性化又は活性化、又はその酵素活性の他の調節を導く物質を同定するための方法を含む;しかもそれらは、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼに結合し、且つプロテインキナーゼB又はその他の適切な基質(例えば、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼに結合しそしてそれがプロテインキナーゼBと相互作用することを阻害するような)の活性化を減少又は強化する物質についてスクリーニングする方法を含む;しかもそれらは、プロテインキナーゼBに結合し、且つその前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼとの相互作用を減少あるいは強化する物質についてのスクリーニング法を含む。本発明に係るスクリーニング法は、PKBと本発明に係るプロテインキナーゼ(例えば、PDK1)の触媒部位をブロックする物質を同定するための方法を含む。この種のスクリーニング分析を実行するための方法はこの技術分野において良く知られている。
前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼが要求され、且つ特異な基質のリン酸化が3−ホスフォイノシチドの存在を要求するそのような分析において、3−ホスフォイノシチドが存在していることが理解されるであろう。あらゆる適切な3−ホスフォイノシチドは有用であるが、しかし3−ホスフォイノシチドがホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、又はホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトであればより好ましい。しかしながら、前述から明らかなように、いくつかの分析システムはPtdIns(3,4,5)P3のような3−ホスフォイノシチドの存在を要求しない。
この方法において同定された物質はそれ自身薬品として有用であり、又それらは3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性化又はその3−ホスフォイノシチド又はプロテインキナーゼBとの相互作用を調節するより効果のある物質の設計を合成のための先行物質を表しているかもしれない。
このように、本発明に係る別の側面は、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性化又はその3−ホスフォイノシチド又はプロテインキナーゼBとの相互作用を調節することを含む方法を提供するものであり、この方法は上記のスクリーニング分析において同定可能な物質を細胞中に導入することを含む方法を提供する。好ましくは、その細胞はヒト患者のものである。
好ましくは、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、又はホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトである3−ホスフォイノシチドの効果を模倣した、このスクリーニング法において同定可能な物質は、糖尿治療に有用であると考えられている。PKB、PDK1又はPKBのPDK1による活性化を阻害する、本発明に係るこのスクリーニング法において同定可能な物質は、ガン治療に有用であると考えられている。PKBは白血病に関連するv‐aktの細胞相同体である。PKBの2つのイソ体は卵巣ガン、膵臓ガン及び乳ガンにおいてか上に発現されている。PKBは、例えばIGF−1によって引き起こされるアポトーシスへの細胞の防御を仲介すると考えられている。PKBの過剰発現は、アポトーシスを停止することによってガン細胞が増殖することを可能にしているかもしれない。
このスクリーニングに法において見つけられたある物質は有益な方法において細胞増殖を強化することができるかもしれないし、そして例えば神経の再生又は創傷治癒において有用かもしれない。
本発明に係る更なる側面は、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ又はその3−ホスフォイノシチドと又はプロテインキナーゼBとの相互作用を調節する物質に対するスクリーニング分析において、前記プロテインキナーゼの活性と、特にその3−ホスフォイノシチド又はプロテインキナーゼBとの相互作用を制御する物質のスクリーニング分析において、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、又はその変体、断片、派生物、又は融合体、又はその変体、断片、派生物の融合体の使用を提供するものである。この発明は、プロテインキナーゼBをリン酸化及び活性化するためにPDK1のような3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの使用を含み、さらにそれはPDK1のような3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを使いながらPKBを活性化する方法を含む。
本発明に係る更なる側面は、スクリーニング分析を行うのに有用な装備一式を提供する。簡易的には、その装置一式は前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、又は適切なその変体、断片、派生物、又は融合体、又はその変体、断片、派生物の融合体(又はこれらの全てをコードするポリヌクレオチド)及びプロテインキナーゼB、又は適切なその変体、断片、派生物、又は融合体、又はその変体、断片、派生物の融合体(又はこれらの全てをコードするポリヌクレオチドを含む。加えて、使用されるスクリーニングに依存して、プロテインキナーゼBに対する適切な3−ホスフォイノシチド又は適切な基質を含んでも良い。
短縮形: PKB,プロテインキナーゼB(Protein Kinase B);PtdIns(3,4,5)P3,ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト(Phosphatidylinositol3,4,5−trisphosphate);PtdIns(3,4)P2,ホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイト(Phosuphatidylinositol3,4−bisphosphate);PI3−kinase,3−ホスフォイノシチド(Phosphainositide3−kinase);PtdCho,ホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine);PtdSer,ホスファチジルセリン(Phosphatidylserine);PH,プレクストリン相同体(pleckstrin homology)。
本発明は以下の実施例及び図面を参照することによって、さらに詳細に記載されるであろう。
図1.精製されたGST‐PKBαのSDSポリアクリルアミドゲル。293細胞は一時的にGST‐PKBαを発現するpEBG2TDNA構成物を用いて遺伝子導入された、無血清で16時間、そして細胞の後、GST‐PKBαはグルタチオン−セファロースのアフィニティークロマトグラフィーによって精製された。“セファロース”は商標である。グルタチオン−セファロース溶出物(3μgたんぱく質)は10%SDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動され、そしてクマシーブルーで染色された。“クマシー”は商標である。分子質量マーカーの位置は、グリコーゲンホスフォリラーゼ(97kDa)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、オバアルブミン(43kDa)が指示される。
図2.GST‐PKBαを活性化するPtdIns(3,4,5)P3依存性プロテインキナーゼ(PDK1)の同定と精製。続いてPEG沈殿PDK1はSP‐セファロース(A)及びヘパリン−セファロース(B)で順次クロマトグラフされて、そしてその後者のカラムからのピーク2(Peak2)はMonoSでクロマトグラフされた(手順参照)。“MonoS”は商標である。100μMPtdCho、100μMPtdSer、10μMD体のシン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3(開環)を含むリン脂質小胞あるいは100μMPtdCho、100μMPtdSer(閉環)のみを含む小胞の存在下においてPDK1活性は分析された。破線は塩勾配を示しておりそして実線は280nmにおける吸光度を示している。MonoSカラムから流出されたたんぱく質の量は少なすぎて280nmでの吸光度は見られなかった。
図3.PKD1はGST‐PKBαをリン酸化及び活性化する。 (A)GST‐PKBαは、緩衝溶液B中でPDK1(12U/ml)、10mMMg(Ac)2,100μM{γ32P}ATP、及び100μMPtdCho、100μMPtdSer、100μMD体のシン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3を含んだ小胞とともに培養された。様々な時間について、分割量が取り出され、そしてPKB活性(閉環)あるいはPKBα(開環)中へのリン酸塩の組み込みについて分析された。PDK1が反応混合物から取り除かれたコントロール実験に比較して活性は表されている。
SDS‐PAGE後GST‐PKBαのバンドに関連するγ32P放射活性を計測することによりリン酸化は評価された。(B)PDK1、ATP、及びPtdSer/PtdCho、PtdIns(3,4,5)P3を除くこと、PDK1を55度で2分間加熱すること、またはPDK1中において0.5%のトリトンX‐100(質量に関して)を加えることの効果を除いた場合の(A)と同様の分析が研究された。この分析は60分間行われた。裸のバーはGST‐PKBαの活性を示し、ハッチバーはPDK1、ATP、及びPtdSer/PtdCho、PtdIns(3,4,5)P3の存在していたコントロール分析に比較したリン酸化を示している。その結果は、±SEM(2回の独立実験についての6回の測定に対する)の形で表す。
図4.PtdIns(3,4,5)P3に対するPDK1活性の独立性。 GST‐PKBα(0.5μM)が、一定濃度のPtdChoおよびPtdSer(開環ごとに100μM)あるいはPtdSer/PtdCho(閉環)の10モル倍過剰量において、PDK1(12U/ml)、10mMMgAc,100μM{γ32P}ATP及び指示された濃度のMD体のシン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3をとともに培養された。30分後反応(A)及びのリン酸化(B)の程度は材料と手段において記載されるように評価される。その結果は、3測定づつ行われる2回の実験に対して±SEMの形で表す。
図5.Thr‐308でPKBαをリン酸化するPKD1。 (A)GST‐PKBαはPDK1(12U/ml)と、及び100μMPtdCho、100μMPtdSer、10μMD体のシン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3とMg[γ32P]ATP(図3の凡例参照)を含むリン酸小胞とともに60分間培養することによってリン酸化され、そのときアルカリ化されそしてトリプシンで(手法参照)によって消化された。この消化物は0.1%(v/v)トリフロロ酢酸(TFA)水溶液中で平衡化されたVydac218TP54カラム(Separation Group、Hesparia、CA)、に適用された。このカラムはアセトニトリル勾配(対角線状)で0.8ml/分の流率で展開され、0.4mlの分画が回収された。このカラムに用いられた放射活性の35%は26%のアセトニトリルにおける(その放射活性の残存物はたくさんの小さなピークとして流出した)主要な32P含有ペプチドから回収された。Thr‐308とSer‐473を含むトリプシン性たんぱく質の流出位置は印付けされている[15]。(B)Aからの主要な32P含有たんぱく質の一部分はSequelonアリルアミン膜に共有的に結合され、[30]に記載される改良されたプログラムを使ってApplied Biosystems 470A配列読取装置で分析された。32P放射活性は各エドマン分解毎に測定された。
図6.PtdIns(3,4,5)P3とPtdIns(3,4)P2脂質による特異的且つ立体特異的に活性化されるPDK1。 GST−PKBαはMg[γ32P]ATPとともに30分30度でPDK1と、100μMPtdCho、100μMPtdSer、種々のPtdIns脂質(1−11に番号付けられた、以下参照)又はIns(1,3,4,5)P4とを分析中全て10μMの最終濃度において含むリン酸小胞の存在下(実バー)及び不存在下(空バー)において培養された。反応は1%(質量に関して)のトリトンX−100を加えることによって終結されそして(A)においてGST−PKBαの活性は手法の後に記載されるようにして決定された。(B)GST−PKBαのリン酸化はGST‐PKBα(図1)に対応するクマシー染色体のラジオグラフィーによって評価された。その結果はGST‐PKBαの活性の数倍±SEM(3回の独立実験についての6−8回の測定に対する)の形で表す。脂質1と2はそれぞれDおよびL体のシン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−PtdIns(3,4,5)P3であり、脂質3及び4はそれぞれDおよびL体のシン−2−アラキドニル−3−ステアロイル−PtdIns(3,4,5)P3である。脂質5はシン−1,2−ジリノレオイル−PtdIns(3,4,5)P3のラセミ体である。残りの脂質は全てD体である。脂質6はシン−1,2−ジパルミトイル−PtdIns(3,4,5)P3、脂質7はシン−1,2−ジパルミトイル−PtdIns(3,4)P2、脂質8はシン−1,2−ジパルミトイル−PtdIns(3,5)P2、脂質9はPtdIns(4,5)P2である。脂質10はPtdInsP4これらはともに1型脳抽出物フォルク分画由来の精製された脂質である。脂質11はシン−1,2−ジパルミトイル−PtdInsP3である。IP4はIns(1,3,4,5)P4である。
図7.インスリンがPKBαの活性化を誘導する提案機構。 インスリンによるインスリン受容体の活性化はその受容体のいくつかのチロシン残基において自身をリン酸化させる。これはインスリン受容体気質−1(IRS−1)とIRS−2の合体およびインスリン受容体による複数のチロシン残基でのそれらのリン酸化とを導く。PI3キナーゼのp110触媒サブユニットの細胞膜への補充とその活性化[31]とを導きながら、IRS‐1およびIRS−2上のいくつかのリン酸化されたチロシン残基はPI3キナーゼのp85サブユニット上のSH2領域と相互作用する。そこでPI3キナーゼはイノシトール環のD‐3位置でPtdIns(4,5)P2をリン酸化する、結果として第2伝達PtdIns(3,4,5)P3の値(典型的細胞において)は細胞膜[31]おいて0.1%から1−2%の含量である第2伝達PtdIns(3,4,5)P3の構成となる。Thr308でリン酸化することによってPKBαをある程度活性化するPDK1とPtdIns(3,4,5)P3は相互作用しそして活性化する。未知のキナーゼによるSer−473のリン酸化をPKBαの最大限の活性化には必要とする。Thr−308のような、Ser−473のインスリン誘導リン酸化はPtdIns3キナーゼの阻害因子によって阻害される、そして明らかな3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ(PDK2)によりSer−473がリン酸化されるかもしれないということを提起している。しかしながら、Sre−473がこの文章中で議論されている機構によって3−ホスフォイノシチドによって間接的に活性化されるかもしれない。このため、PtdIns(3,4,5)P3からSer−473のリン酸化までの経路は、PDK2以後のクエスションマークをつけた破線によって示されている。骨格筋において、PKBαの活性化はグルコース摂取[9]およびグリコーゲン合成[7]率を上昇させ、且つたんぱく質翻訳[8]をも刺激するかもしれない。ニューロンおよび他の細胞において、PKBαはアポトーシスを抑制[10、11]することによって生存信号を与えるかもしれない。
図8.IMAGE協会クローンID526583の詳細。
図9.IMAGE協会クローンID626511の詳細。
図10.PDK1(SEQIDNo2、SEQIDNo3)の塩基配列及びアミノ酸配列。
図11.ヒトPDK1およびショウジョウバエDSTPK61のアミノ酸配列のアラインメント。 このアラインメントはClustalWプログラム[46]を使って実行された。あすたりすくはPDK1とSTK61間の相同性を示している。この触媒領域はPDK1の83−342残基及びSTK61の165−487残基を含んでいる。推測上のPH領域はPDK1の450−550残基間及びSTK61の581−684残基間にある。
図12.PtdIns(3,4,5)P3又はPtdIns(3,4)P2依存的な方法において、GST−PDK1およびGST−DSTPK61はPKBαを活性化およびリン酸化する。 GST−PKBαは5U/mlGST−PDK1(パネルA、B)又はGST−DSTPK61(パネルC,D)と、Mg[γ32P]ATPと100μMPtdCho、100μMPtdSer、種々のPtdIns脂質(1−5に番号付けられた、以下参照)ただし分析中全て10μMの最終濃度において含むリン酸小胞体とともに30分間30度で培養された。これらの条件下では、PKBαの活性化及びリン酸化の増加は時間に対して線形的だった(手法参照)。パネルAおよびCにおいて、反応は1%(質量に関して)のトリトンX−100(参照Ref21)中で培養することによって終結され,そしてGST−PKBαの特異的活性における増加が決定された。パネルB、Dにおいて、その反応はその溶液を1%のSDS溶液にすることで停止され、その試料はSDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳動に任され、そのリン酸化はGST−PKBαに対応するクマシーブルー染色体のラジオグラフィーによって評価された。その結果はパネルAおよびCにおいてはGST−PKBα(U/mg)の特異的活性におけるGST−PDK1およびGST−DSTPK61が除去されたコントロール培養と比較した増加として表された(±SEMは3回の独立実験についての6−9回の測定に対する)。あらゆる条件下において、GST−PKBαの活性化及びリン酸化における上昇は時間と線形的だった。トラック1、緩衝溶液コントロール;トラック2、シン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−D−PtdIns(3,4,5)P3;トラック3、シン−1,2−ジパルミトイル−D−PtdIns(3,4)P2;トラック4、PtdIns(4,5)P2(フォルク脳分画から精製された);トラック5、シン−1,2−ジパルミトイル−D−PtdIns3P。
図13.PKD1はPKBαをThe308でリン酸化する。 GST−PKBαは25U/mlのGST‐PKD1(A)あるいはGST−DSTPK61(B)とPtdCho、PtdSer、シン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−D−PtdIns(3,4,5)P3、Mg[γ32P]ATP(106cpm/nmol)を含むリン脂質小胞体とともに30分間培養することによって最大限にリン酸化された。30分後、その試料は4−ビニルピリジンでアルキル化され、トリプシン[21]で消化され、そして0.1%(v/v)のトリフロロ酢酸(TFA)で平衡化されたVydac218TP54 C18カラム(Sepapation Group、Hesteria、CA)に適用した。そのカラムは流率0.8ml/分でアセトニトリルの線形勾配(対角線)で展開され、0.4mlの分画が回収された。このカラムに適用された放射活性の38%(パネルA)と45%(パネルB)が26%のアセトニトリルで流出してきた主要な32Pから回収されたが、それはThr308を含んでいる。Ser473を含んでいるトリプシン性のペプチドの流出位置はしかも印付けられている[ref20及び図15参照]。
図14.293細胞においてPDK1での共遺伝子導入によってPKBαは活性化される。 (A)293細胞は、HA−PKBα又はHA−PKBαとMyc−PDK1の両方を発現しているDNA構成物を一時的に遺伝子導入された。その細胞はそこで10分間50ng/mlのIGF1で又はそれなしで刺激され、HA−PBKαは溶菌液から免疫沈澱され、そして分析された。その結果は、刺激されていない293細胞(0.03±0.5U/mg)において天然型HA−PKBαの特異的活性と比較して表された。無PKBα活性は、PCMV5ベクターのみで遺伝子導入された細胞における擬似遺伝子導入において検出された(データは記載しない)。(B)各溶菌液から6マイクロgのたんぱく質が10%SDS/ポリアクリルアミドゲルで電気泳動され、HA−PKBαを検出するためのモノクローナルHA抗体あるいはMyc−PKDを検出するためのモノクローナルMyc抗体を使って免疫ブロットとされた。分子質量マーカーは、グリコーゲンホスフォリラーゼ(97kDa)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、オバアルブミン(43kDa)である。
図15.細胞内のPDK1の過剰発現はThr308でのリン酸化を誘導する。 天然型HA−PKBα(パネルAとC)あるいはHA‐PKBαとMyc−PDK1(パネルBとD)を用いて一時的に遺伝子導入された293細胞は,32P‐オルトホスフェイトを用いて培養され、そして50ng/mlのIGF1無し(パネルAとB)又は有り(パネルCとD)で10分間処理される。32P標識されたHA−PKBαは溶菌液から免疫沈澱され、4−ビニルピリジンで処理され、そして1 10%のポリアクリルアミドゲルで電気泳動された。そのHA‐PBKαはそのゲルから切り取られ、トリプシンで消化され、そしてSer−124、Ser473、Thr308とThr450それぞれの位置[20]でリン酸化されている4つの主要なホスフォペプチドを分離するためにC18カラム(図13の凡例参照)でクロマトグラフされた。それぞれのホスフォペプチドの同一性はリン酸−アミノ酸分析及び固相配列分析によって確定された。類似の結果は2つの別個の実験(パネルAとB)及び別個の3つの実験(パネルBとD)から得られた。
図16.PKBαとPKD1のPH領域の役割。 (A)20μlの実験において、0.5μgのGST−PKBαあるいはGST−ΔPH−PKBαは2.3nMのGST‐PKD1(1−556残基)とMg[γ32P]ATPと100μMPtdCho、100μMPtdSer含むリン酸小胞とともに、10μMのPtdIns(3,4,5)P3の存在下あるいは不存在下において30℃で39分間培養された。この分析は、実施例1のように1%(質量に関して)のトリトンX‐100を加えることによって終結され、GST−PKBαの特異的活性の上昇が決定された。GST−PKBαの基礎活性は2.5U/mgであり、GST−ΔPH−PKBα基礎活性は8U/mgである。この分析に使われたGST−PKBαの高濃度において、天然型完全長GST−PKBαの活性化率は時間と線形的にはならないが、しかしGST−ΔPH−PKBαの活性化は線形的である。GST−PKD1の20倍定濃度においてこの実験が実行されると、2.3nM GST−PKD1対するGST−ΔPH−PKBαについての図において示されるように、天然型GST−PKBαの類似の活性化の程度が達成される。0.5μgのGST−PKBαを除いては(A)と同様に、2.5nMのGST−ΔPH−PDK1(1−450残基)とともに100μMPtdCho、100μMPtdSerと10μMのどちらか;シン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−D−PtdIns(3,4,5)P3(トラック1);シン−1−ステアロイル−2−アラキドニル−L−PtdIns(3,4,5)P3(トラック2);シン−1,2−ジパルミトイル−D−PtdIns(3,4)P2(トラック3);シン−1,2−ジパルミトイル−D−PtdIns(3,4,5)P3(トラック4);PtdIns(4,5)P2(フォルク脳分画から精製された トラック5);シン−1,2−ジパルミトイル−D−PtdIns3P(トラック6)含むリン酸小胞の存在下あるいは不存在下において培養された。この結果は,GST−PDK1が除去されたコントロール培養と比較したGST−PKBα(U/mg)の特異的活性における増加として表される。
図17.PDK1とDSTPK61がペクストリン相同領域を有する証拠。 PH領域の配列アラインメントは、PDK1及びDSTOK61の推測上のPH領域を有する既知の三次元構造をもっている。アラインメントはAMPS(Barton&Sternberg(1990)J.Mol.Biol.212,389‐402)を使い行われ、そしてAMAS(Livingstone&Barton(1993)Comp.Appl.Bio.Sci.9,745−756)を使いながら2次構造領域の一致を確かめるためいくつかの手動調整を用いて初期化された。保存されている残基は緑に着色され、不変トリプトファン(Trp−535)は赤く着色される。2次構造の一般領域は青(ベータストランド)及び緑(αヘリックス)結合によって記載される。プレクストリン相同配列はヒトプレクストリン、PLS;ヒトスペクトリン、SPC;ヒトダイナミンDNY、及びラットホスフォリパーゼC−δ、PLCδにおいて見つかる配列である。(図10)
図18.精製されたGST−PDK1及びGST−DSTPK61のSDSポリアクリルアミドゲル。 52−556残基をコードしているGST−PDK1(レーン1.3μgたんぱく質)及びGST−DSTPK61(レーン2.6μgたんぱく質)は17.5%SDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動され、そしてく、クマシーブルーで染色された。分子質量マーカーは、グリコーゲンホスフォリラーゼ(97kDa)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、オバアルブミン(43kDa)で指示される。この研究で使用されるGST−PDK1構成物は全てレーン1において示されるGST−PDK1調整のように同様の水準の純粋さで発現された。(データは示さない)
実施例1:プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ(PDK1)の精製及び特性分析
要約
背景: c−Aktとしても知られるプロテインキナーゼB(PKB)は、細胞がインスリン及び成長因子で刺激されると、急激に活性化され、そして、この酵素における現在の関心の多くは、この酵素がホスフォイノシチド 3−キナーゼの下流にあるという報告から生じている。最近、私たちは、インスリン又はIGF1が、Thr308及びSer473におけるPKBのリン酸化を引き起こすことを示した。両残基のリン酸化は、PKBを最大限に活性化するために必要とされ、両残基のインスリン又はIGF1誘導リン酸化は、PI−3キナーゼの阻害因子を用いて細胞を培養することによって、阻害される。
結果: プロテインキナーゼは、Thr308のプロテインキナーゼBα(PKBα)をリン酸化し、そのプロテインキナーゼの活性化を30倍より大きく増加される、ウサギ骨格筋抽出物から500,000倍で精製されてきた。そのキナーゼは、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト[PtdIns(3,4,5)P3]あるいはホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイト[PtdIns(3,4)P2]の低マイクロモル濃度での存在下でのみ、活性化し、それゆえ、PtdIns(3,4,5)P3−依存性プロテインキナーゼ−1(PDK1)といわれてきた。sn−1−ステアロイル−2−アラキドニル PtdIns(3,4,5)P3及びsn−2−アラキドニル3−ステアロイル PtdIns(3,4,5)P3のD体光学異性体は、PDK1を強力に活性化したが、これらの誘導体のL光学異性体はほとんど作用しなかった。sn−1,2−ディパルミトイル PtdIns(3,4,5)P3とsn−1,2−ディパルミトイル PtdIns(3,4,)P2では、PDK1は同程度まで活性化されたが、sn−1−ステアロイル−2−アラキドニル及びsn−2−アラキドニル3−ステアロイルの誘導体でよりも、3倍弱の効果しかなかった。PtdIns(3,5)P2、PtdIns(4,5)P2、PtdIns(4)P、PtdIns(3)Pそしてイノシトール1,3,4,5−テトラキスホスフェイトでは、全くPDK1は活性化されなかった。テストされたイノシトールリン脂質のいずれも、PKBαを活性化、あるいは阻害せず、あるいは、同じ状態下では、そのリン酸化を誘導しなかった。PDK1の活性化は、PDK1がPI3−キナーゼの同系族ではないであろうと示しており、wortmanninによって影響を受けなかった。
結論: PDK1は、インスリンと成長因子によるPKBの活性化を仲介するプロテインキナーゼの一つのようである。したがって、PDK1は、PtdIns(3,4,5)P3及び/又はPtdIns(3,4)P2の第2伝達物質の作用のほとんどを仲介する重要な役割を担っているかもしれない。
材料と方法
材料: PtdSer(ブタの脳)は、ドーサン セーダリー(Doosan Serdary) 調査研究所(New Jersey、USA)から入手され、sn−1−ステアロイル2−アラキドニル PtdChoは、シグマ(Sigma)(Poole、UK)から入手された。記述したように、PtdIns 4PとPtdIns(4,5)P2は、ウシの脳(シグマ)[26]のフォルコ分画タイプ1抽出物から精製された。PtdIns(3,4,5)P3、PtdIns(3,4)P2、PtdIns(3,5)P2、そしてPtdIns3Pの合成物質sn−1,2−ディパルミトイル類似体は、記述したように精製された[18]。sn−1−ステアロイル−2−アラキドニル PtdIns(3,4,5)P3、sn−2−アラキドニル3−ステアロイル PtdIns(3,4,5)P3,そしてsn−1−リノレオイル−2−リノレオイル PtdIns(3,4,5)P3の合成物質D及びL光学異性体は、イノシトールから合成された(Gaffney and Reece 1997、公開された報告書)。全リン脂質は、97−98%の純度がある。合成物質ホスファチジルイノシトール ビスホスフェイトは、ジメチル スルフォキシド(DMSO)中に、溶液として−20℃で保存され、ホスファチジルイノシトール トリホスフェイトは、DMSOあるいは水中に保存された。他、全てのリン脂質は、クロロホルム−メタノール溶媒に、保存された。PKBαを分析するために使用されるペプチドは、RPRAATF(SEQ ID No1)[16]とTTYADFIASGRTGRRNAIHD((SEQ ID No 10)PKIといわれる、サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼの特異ペプチド阻害因子)とが、Mr F.Barry Caudwell(MRC Protein Phosphorylation Unit,Dundee)により、Applied Biosystems 431A ペプチド合成装置で、合成された物質である。そして、それらの濃縮液は、定量アミノ酸分析によって測定される。グルタチオン セファロースは、ファルマシア(Milton,UK)から入手され、そして、アルキル化トリプシンは、Promega(Southampton,UK)から入手された。
緩衝溶液:
緩衝溶液A;50mM トリス/HC pH7.5、1mM EDTA、1mM EGTA、1容量% トリトン X−100、1mM ナトリウム オルトバナデイト、10mM ナトリウム β−グリセロホスフェイト、50mM NaF、5mM ナトリウム ピロリン酸、1μM Microcystin(ミクロシスチン)−LR、0.27M 蔗糖、1mM ベンズアミジン(benzamidine)、0.2mM フェニルメチルスルフォニルフロライド(PMSF)、10μg/ml ロイペプチン、0.容量% 2−メルカプトエタノール。
緩衝溶液B;50mM トリス/HCl pH7.5、0.1mM EGTA、0.03容量% Brij−35、0.27M セルロース、0.1容量% 2−メルカプトエタノール。
緩衝溶液C;50mM トリス/HCl pH7.5、2mM EDTA、2mM EGTA、50mM NaF、0.1容量% 2−メルカプトエタノール、0.1mM PMSF、1mM ベンズアミジン。
293細胞でのGST−PKBαの発現。 PKBαをコードしているDNA配列は、EF1αプロモーター下で真核細胞においてGST融合体タンパク質を過剰発現するために使用されてきた、真核細胞発現ベクターPEBG2T内で、サブクローン化された[27]。PCR反応は、ヒトPCMV5−HA−PKBαプラスミドを使って、完全長cNDAを生成するために行われた。その完全長cDNAは、PEBG2TベクターのGST配列及びPKBαのATG開始コドンでフレームにあるcDNAの5’末端にあるBamH1部位そして3’末端にあるKpnI部位を有するPKBα遺伝子をコードしている[15]。BamH1/KpnI cDNA断片のDNA配列は確認されてから、pEBG 2T発現ベクターの特殊なBamH1/KpnI制限部位内でサブクローン化された。GST−PKBαを用意するために、ヒト胚腎臓293細胞の40枚の,10cm径ディッシュを継代した。そして、各ディッシュは、記述したような、293細胞でヘマグルチニン標識されたPKBαを過剰発現のために改良されたリン酸カルシウム法を使って、20μgのGST−PKBα発現構成物を移入された[15]。移入の24時間後、細胞は16時間、無血清であったが、細胞の各ディッシュは、1mlの氷冷緩衝溶液A内に置かれた。40枚分の溶菌液が溜められ、13,000xgで10分間、4℃で遠心分離された。そして、その上清は、緩衝溶液Aで事前に平衡化された800μlのグルタチオン−セファロースで、回転試料台上において、60分間、培養された。懸濁液は3000xgで1分間、遠心分離され、ビーズは0.5MのNaClを含む10mlの緩衝溶液Aで3回洗浄され、そしてそれから、PDK1によってGST−PKBαの活性化を妨げる全てのトリトンX−100を確実に全て取り除くためにさらに10mlの緩衝溶液Bで10回洗浄された(図3B)。GST−PKBαは、周囲の温度で樹脂から溶出された。混合溶出物は分割され、液体窒素中で急速凍結され、そして−80℃で保存された。
リン脂質小胞の調整
1mM PtdCho、1mM PtdSer、そして0.1mM PtdIns脂質を含んでいるリン脂質小胞が、調整され、真空下でフィルムに乾燥され、そして10mMのpH7.3ヘペス中でかき混ぜて再懸濁された。小さな単一ラメラ小胞の透明懸濁液が入手されると、複数ラメラと大きな単一ラメラ小胞の濁った溶液が、20分間、浴槽音波処理された。溶液は、分析で必要とされるよりも10倍高い濃縮状態で、4℃で保存され、そして2日から4日で使用された。
ウサギ骨格筋からのPKD1の精製
第1日。 ニュージーランドホワイトラビットのメスは、ナトリウムペントバルビトンの致死量で殺された。後ろ手足と背中の骨格筋(500g)は、迅速に切り取られ、氷上に移された。全行程は、0−4℃で行われた。筋肉は細かく刻まれ、25mM トリス/HCl pH7.5、4mM EDTA、2mM EGTA、50mM NaF、0.1%(容量に関して)2−メルカプトエタノール、0.1mM PMSF、そして1mM ベンズアミジンの2.5倍量中で相同化され、そして4200xgで30分間円心分離された。上清はガラスウールでろ過され、緩衝溶液Cで平衡化された10gのQAEセファデックスを含んむビュフナー漏斗を通して注がれた。カラムは50mM NaClを含む1リットルの緩衝溶液Cで洗浄され、そしてPDK1を溶出するために、0.2MのNaClを含む700mlの緩衝溶液Cで洗浄された。ポリエチレングリコール(PEG)の50%(質量に関して)溶液は、PEGの4%最終濃縮液を生成するために、溶出液に加えられた。60分間、氷上でかき混ぜると、その懸濁液は、10,000xgで15分間、遠心分離された。その上清をデカントし、さらに50%(質量に関して)PEGの追加によって、PEG中で15%(濃度)にされた。さらに、氷上で60分間、かき混ぜると、その懸濁液は再び、10,000xgで15分間、遠心分離された。その上清はデカントされ、そして、その沈殿物は、50mlの氷冷緩衝溶液に溶解され、0.25μmフィルターでろ過され、そしてそれから緩衝溶液Bで平衡化されたSPセファロースカラム(11×1.6cm)上で、クロマトグラフされた。そのカラムは、流速3ml/minで、0.5MまでのNaClの300ml線形勾配で展開され、その6mlの分画が収集された(図2A)。その活性化分画は貯留され、そして0.1MのNaClを含む緩衝溶液Bで平衡化された5mlのヘパリン−セファロースカラム(HiTrap)に直接加えられた。そのカラムは、流速2ml/minで、0.1MまでのNaClの90ml線形塩勾配溶液で、展開され、1mlの分画が収集された。PDK1活性化は2つのピークとして溶出した。活性化の〜30%を含むピーク1は0.5MのNaClで溶出され、一方、活性化の〜70%を含むピーク2は0.7MのNaClで溶出された(図2B)。
第2日。 ピーク2の活性分画は、限外ろ過によって、0.2mlに濃縮されて貯留され、緩衝溶液Bで2.0mlまで希釈され、そして緩衝溶液Bで平衡化されたMonoSカラム(5cm×1.6mm)に装填された。そのカラムは、流速0.2ml/minで、4.0ml線形塩勾配にしたがって、0.15MのMgC12まで発現され、0.1ml分画は収集された。PKD1を含む分画は分割され、液体窒素中で急速凍結され、そして−80℃で保存された。解凍によって、活性化の重大な低下は起こらなかった。
PDK1の分析。 その分析は2段階で行われた;第1に、GST−PKBαは、GST−PKBαの活性化を許すMgATPとリン脂質小胞の存在下においてPKD1と培養された。第2段階で、溶液はトリトンX100において、Mg[γ32P]ATP及び特異的PKBα基質ペプチドRPRTAAF(SEQ ID No1)とともに、0.5容量% 生成された[16](トリトンX100は、GST−PKBαの活性化に影響することなく、GST−PKBαのリン酸化及び活性化を完全に阻害する。図3B参照)。
第1段階で、18μl反応混合物は、50mM トリス/HCl pH7.5、0.1mM EGTA、0.1容量% 2−メルカプトエタノール、0.1mM EGTA、2.5μM PKI、1μM ミクロシステイン−LR、10mM Mg(Ac)2、100μM 未標識ATP、0.6μM GST−PKBα、100μM PtdSer、100μM PtdChoを含んで、10μM PtdIns(3,4,5)P3の存在あるいは不在下で、引き起こされた。その分析は、2μlのPDK1を加えることによって開始され、そして30℃での30分間の培養後、分析の第2段階は、50mM トリス/HCl pH7.5、0.1mM EGTA、0.1容量% 2−メルカプトエタノール、0.1mM EGTA、2.5μM PKI、1μM ミクロシステイン−LR、10mM Mg(Ac)2、100μM [γ32]ATP(200−400cpm/pmol)、100μM ペプチド RPRTAAF、そして1.25容量%トリトンX−100を含む、30μlの混合物を加えることによって開始された。30℃で10分後、その反応は、p81ホスフォセルロースペーパー上に反応混合物を点状に置くことによって終結された。そのペーパーは、リン酸で洗浄され、記述したように分析された[28]。GST−PKBαを除外する制御反応は、ブランクとしてみなされ、その活性化の5%より少ない活性化は、いつもGST−PKBαの存在下で測定された。その基礎GST−PKBα活性化は、PDK1の存在下で測定される活性化である。PDK1活性化の1単位は、活性化の1単位によってGST−PKBαの基礎活性化を増加するために必要とされる量として定義された。GST−PKBα活性化の1単位は、1分で1nmolのペプチドPRPTAAF(SEQ ID No1)のリン酸化を触媒するために必要とされる酵素の量であった。その分析は、その分析におけるPDK1活性化の2U/mlの最終濃縮に至る時間の線形であった。
PDK1によるGST−PKBαのリン酸化。 その培養は、[γ32P]ATP(200−400cpm/pmol)が未標識ATPの代わりに使用されたことを除いて、上述した第1段階と同等であった。その反応はSDSにおいて1容量%溶液を生成することによって終結させられた。その試料は、7.5%のSDSポリアクリルアミドゲル上で適用され、クマシーブルーでの染色後、そのゲルはオートラジオグラフされた。GST−PKBαに対応するクマシーブルー染色帯は削除され、各帯に関係する32P放射活性が定量化された。
PDK1によってリン酸化されたGST−PKBαのマッピング部位。 GST−PKBαは、反応スケールが10倍に増加され、[γ32P]ATPの特異活性が1500cpm/pmolまで増加されることを除いて、sn−1−ステアロイル−2−アラキドニル PtdIns(3,4,5)P3のD体光学異性体の存在下でリン酸化された。その反応は、1%(質量に関して)及び1%(容量に関して)の最終濃縮のためにSDS及び2−メルカプトエタノールを加えることによって停止され、そして95℃で5分間、加熱された。周囲の温度まで下がると、4−ビニルピリジンは2.5%(容量対容量)濃縮液に加えられ、その試料はアルキル化システイン残基のため30℃で1時間、攪拌試料台に残された。それからその試料は、7.5%のSDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動され、32P標識GST−PKBαはゲルから抽出され、記述したようにトリプシンで消化された[15]。
結果
293細胞からのGST−PKBαの精製。 PKBαは、N−末端において293細胞にグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現し、グルタチオンセファロースで精製された。標品はGST−PKBαに対応する明白な分子量85kDaの主たるクマシーブルー染色タンパク質バンドを示した(図1)。ゲルの比重分析によって推定された純度は70%を超え、2mgの精製されたGST−PKBαが、293細胞の40、10cmディッシュで作られた各標品で一定に得られた。刺激されない293細胞からのGST−PKBαは非常に低活性であったが、インシュリン、IGF1による293細胞の刺激後は20倍、45倍にそれぞれ活性化されたので(データは示されていない)、これは、生体内でPKBαを活性化する上流プロテインキナーゼによって認識されることを示す。刺激されない293細胞からのGST−PKBαは従って、その上流活性化因子を同定するための基質として利用された。
PKBαを活性化するPtdIns(3,4,5)P3依存性プロテインキナーゼの同定。 骨格筋細胞質中のGST−PKBαの活性化因子を、0.25M塩のQAE−セファデックスから溶出し、そのQAE−セファデックス溶出液からさらに30,000倍に精製して同定した(表1)。活性化因子は完全にPtdIns(3,4,5)P3依存性活性であって、PKBαをリン酸化するので(以下参照)、以下、PtdIns(3,4,5)P3依存性プロテインキナーゼ1(PDK1)という。
PDK1は粘性細胞質には検出できなかったが、QAE−セファデックスでの最初のバッチ状クロマトグラフィーを通じて回収率50%と仮定し、全体の精製は約500,000倍で、完全な精製は36時間以内で完了できた。PDK1はSセファロースから単一のピークとして溶出されたが(図2A)、ヘパリンセファロースで2種に分割された。小さい成分(ピーク1)は0.5M NaClで溶出し、大きな成分(ピーク2)は0.7M NaClで溶出した(図2B)。さらなる実験の全てはその他の点で述べられない限り、ヘパリンセファロースからのピーク2の酵素をMono S(図2C)でさらに精製されたものについて行われた。最終ステップの後、ピーク2の酵素は、PKB活性が欠けていたのだが、明確な分子量85、67、45kDaの3つの主要なタンパク質染色バンドを示した。67kDaバンドのみがMgATPによる培養でリン酸化され、リン酸化はPtdIns(3,4,5)P3存在下で非常に増大した。67kDaバンドからの2つのトリプシンペプチドの配列は、他のプロテインキナーゼの触媒領域の領域と高い相同性であった(データは示されていない)。データは、PDK1は新規な67kDaのプロテインキナーゼを示しており、PKCεやPKCζのようなPtdIns(3,4,5)P3によって活性化されると報告されている他のプロテインキナーゼとは異なる。
Figure 0003795535
PDK1によるGST−PKBαのリン酸化と活性化。 精製されたPDK1はMgATPと、PtdCho、PtdSer、PtdIns(3,4,5)P3を含有するリン脂質小胞存在下でGST−PKBαを0.7molの32P/molタンパク質のレベル近くまでリン酸化した(図3A)。リン酸化は、30倍を超えて増加し80U/mgの比活性に到達した活性化(図3A)と平行していた。これはThr308をアスパラギン酸に変異させることにより一部活性化されているPKBαの活性に類似している[15,16]。反応からのPtdIns(3,4,5)P3、PDK1またはATPのいずれかの除去は、GST−PKBαの活性化とリン酸化を停止した(図3B)。さらに、その分析への0.5%(容量)トリトンX100の添加も55℃で2分間のPDK1の培養と同様に、PDK1によるGST−PKBαの活性化とリン酸化を阻害した(図3B)。PtdCho/PtdSer小胞の非存在下では、PtdIns(3,4,5)P3のPDK1活性化は少なくとも15倍少ない効果となった(図3B)。
PDK1をPtdCho、PtdSer、PtdIns(3,4,5)P3を含有するリン脂質小胞とMgATPの存在下、30℃で30分間培養し、そしてPDK1を55℃で2分間培養したところ、リン脂質小胞はさらにPDK1が添加されない限りGST−PKBαを活性化もしくはリン酸化できなかった(データは示されない)。これらの観察結果は、PDK1はPtdIns(3,4,5)P3をGST−PKBαの自己リン酸化と自己活性化を促進する他の生成物に転換させることによって、間接的にGST−PKBαを活性化しないことを立証している。
PDK1のPtdIns(3,4,5)P3濃度依存性。 次に、PDK1のGST−PKBαに対する活性化能(図4A)とリン酸化能(図4B)におけるPtdIns(3,4,5)P3の濃度変化の効果を調査した。これらの実験は、PtdCho、PtdSerの濃度をともに100μMに維持しつつ、PtdIns(3,4,5)P3の濃度を変化させるか、PtdIns(3,4,5)P3に対して10倍過剰のPtdCho、PtdSerを維持するかのどちらかで行われた。どちらの条件下でも、半最大活性化またはリン酸化に要求されるPtdIns(3,4,5)P3の濃度は1〜2μMであって、10μMで最適効力だった。
PKD1はPKBαのThr308をリン酸化する。 PKD1によってリン酸化されたPKBαの残基を同定するため、0.4〜0.6mol/molのPDK1でリン酸化され、32P標識されたGST−PKBαがトリプシンで消化され、C18カラム[15]のクロマトグラフィーにかけられた。26%アセトニトリルで溶出された1つの主要な32P標識ペプチドが観察された(図5A)。このペプチドは、Thr308[15]を含有する32P標識トリプシンペプチドとともに溶出されたのであるが、ホスフォトレオニンのみを含むことが分かった(データは示されない)。このペプチドが固相配列読み取りされる時、放射性32PはThr308[15]に対応するエドマン分解の最初のサイクルで放出される(図5B)。重要なのは、24%アセトニトリルで溶出する、Ser473を含有するトリプシンペプチドに対応する位置では、32P標識ペプチドは全く溶出しなかったことである(図5A、ref15)。これらのデータは、PDK1は試験管内ではPKBαをThr308のところのみでリン酸化すると立証している。
PKD1の脂質特異性。 次に、PtdCho/PtdSerを含有する小胞バックグラウンド存在下での、PDK1を活性化するためのPtdIns派生物のパネルの能力を研究した。天然に存在するPtdIns(3,4,5)P3の有力な形体は圧倒的にsn1ステアロイル,2アラキドニルDホスファチジルイノシトール3,4,5トリフォスフェート[17](天然PtdInsの構造と脂肪酸組成を基にして)らしい。合成sn1ステアロイル,2アラキドニルD−PtdIns(3,4,5)P3(図6の脂質1)はPDK1活性を13倍に活性し、非常に効果があるとわかった。対照的に、この脂質のL光学異性体はPDK1活性を1.7倍のみしか誘導しないが、これはD光学異性体による微量汚染のためと考えられる。ヘッド基(Head group)の光学異性立体配座はPDK1を活性化するための臨界的な重要性があるが、グリセロール部位のそれにはない。それゆえ、sn2アラキドニル,3ステアロイルD及びL−PtdIns(3,4,5)P3はsn1,2派生物(それぞれ16、2.3倍)と区別できない信号をだす。sn1,2ジリノレオイルD−PtdIns(3,4,5)P3(リノレン酸C18:2)はテストされた脂質では最も効果的でGST−PKBα活性を36倍増大させ、一方、sn1,2ジパルミトイルD−PtdIns(3,4,5)P3(パルミチン酸はC16:0)は5.5倍の活性しか起こさないという事実から、ジアシルグリセロール部位での不飽和脂肪酸の重要性が強力に示される。これらの各実験でGST−PKBαのリン酸化(図6B)は活性化の程度(図6A)と相関した。
おもしろいことに、sn1,2ジパルミトイルPtdIns(3,4)P2(図6、脂質7)とsn1,2ジパルミトイルPtdIns(3,4,5)P3(図6、脂質6)はPDK1を同程度に活性化し、両イノシトールリン脂質はGST−PKBα活性を約6倍に増大した。しかし、PtdIns(3,5)P2(図6、脂質8)、PtdIns(4,5)P2(図6、脂質9)、PtdIns4P(図6、脂質10)、PtdIns3P(図6、脂質11)とIns(1,3,4,5)P4はPDK1を活性化しないか、GST−PKBαのリン酸化を誘導しなかった。PDK1の非存在下では、テストされたPtdIns派生物はどれもGST−PKBαの活性化またはリン酸化を誘導しなかった(図6)。
考察
PDK1の同定と精製はPKBα[16]に対して特異なペプチド基質(RPRAATF)(SEQ ID No 1)の開発によって、非常に促進された。ヒストンH2B、ミエリン塩基性タンパク質、クロスチド(Crosstide)のようなPKBの分析に使用された他の基質は、細胞抽出液内で多くのプロテインキナーゼによってリン酸化されPDK1の検出を見えなくした。免疫沈殿されたHA−PKBはPDK1によって効果的にリン酸化されなかったため、基質としての可溶性GST−PKBαの使用も同様に重要であった。PDK1はPKBαをThr308でリン酸化し、その活性度が30倍を超えるように増大することが分かった。生体内でのインスリンまたはIGF1誘導Thr308のリン酸化は、PtdIns3キナーゼの阻害因子によって阻害され、PDk1はPtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2を絶対必要要件とするので、PDK1は生体内でPKBαをThr308のところでリン酸化する酵素らしい。PDK1活性は2μMまではワートマンニン(wortmannin)の影響を受けないので(データは示さず)、これはPtdIns3キナーゼファミリーメンバーではないことを示している。
試験管内でのPKBαの完全な活性化はThr308と同様にSer473のリン酸化を必要とする[15]。ゆえに、Thr308またはSer473のどちらかのアスパラギン酸への変異はPKBαを約5倍刺激するが、もし両残基がアスパラギン酸に変異させられると活性は18倍に増加する。同様に、Ser473のリン酸化はPKBα活性を7倍に刺激するが、もしSer473のリン酸化がThr308のアスパラギン酸への変異と結びつくと活性は25倍に増大する[15]。Thr308のリン酸化によって、またはこの残基のアスパラギン酸への変異によって部分的に活性化されているPKBαは、試験管内ではPtdIns(3,4,5)P3の存在下でMgATPによる培養ではSer473のところでリン酸化されず([15]、図5)、これはSer473が自己リン酸化せず、PKBα自身で触媒されていることを示す。Ser473は試験管内でMAPキナーゼ活性プロテインキナーゼ2によってリン酸化されることができるが、この酵素はPKBαのSer473におけるインスリンまたはIGF1誘導リン酸化を[15]に述べられた理由により媒介できない。インスリン/IGF1誘導Ser473リン酸化はPtdIns3キナーゼの阻害剤によって阻害されるので、この残基は別の3ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ(図7、PDK2)によってリン酸化されるのかもしれない。しかし、Ser473キナーゼはヘパリンセファロースからのPtdIns(3,4,5)P3依存性ピーク1活性には見えない(図2B)、なぜならこの酵素もまたPKBをThr308のところでリン酸化するからである(データは示されない)。ピーク1はピーク2(またはその逆)のまたはPDK1の別のイソ体のタンパク質分解断片である。PtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2はSer473キナーゼを間接的に活性化することも可能である。例えば、Ser473のリン酸化は、PtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2とPKBのPH領域の結合に依存するだろう[18,21](しかし、以下参照)。あるいはまた、Ser473キナーゼはPDK1によって活性化されるだろう。インスリンがPKBαの活性化を誘導するメカニズムは図7に概略的に示されている。
PtdIns(3,4,5)P3によるPDK1の活性化は、非常に特異的である、なぜならPtdIns(3,4,5)P3のD体光学異性体のみが有効であり、他の多くのPtdInsリン脂質は不活性だからである。グリセロール部位の光学異性立体配座は重要ではないが、1またはそれ以上の不飽和脂肪酸の存在はPtdIns(3,4,5)P3相同体によるPDK1の活性化の程度に非常に影響する(図6)。不飽和脂肪酸は隣接するリン脂質分子のタイトパッキング(ちght packing)を妨げるので、この配置が膜挿入PtdIns(3,4,5)P3とその作用因子間のより効果的な相互作用を可能とすることができ、これはイノシトールリン脂質に特有な脂肪酸組成の生物学的な有意についてのおそらく最初の解明であろう。
PtdIns(3,4,5)P3と/またはPtdIns(3,4)P2は、我々の先の発見と一致する[18]これらのイノシトールリン脂質がPDK1を強力に活性化する(図6)条件下では、PKBαの活性に何ら影響を持たない。この観察は、インスリンまたはIGF1によるPKBαの活性化はThr308とSer474でのそのリン酸化の結果によるものであるという発見とあいまって[15]、生体内でのその活性化のメカニズムとしての3ホスフォイノシチドによるPKBαの直接活性化を除外するように見える。我々の結果は、PKBαはPtdIns(3,4)P2によって直接活性化されると主張している最近の報告と異なる[19〜21]。PDK1活性によるPKBα調整のコンタミがこの矛盾を説明できるかもしれず、サイクリックAMPによるリン酸化キナーゼの活性化は[22]、のちに分離サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼのコンタミの結果であると示された[23]ことを思い出す。PKBαはPtdIns(3,4,5)P3によって阻害されるとも報告されているが[20,21]、我々がテストした4つのPtdIns(3,4,5)P3派生物のどれも基礎PKBα活性を阻害せず、4つすべてがPDK1の活性化が可能であった。[20,21]で使用された合成PtdIns(3,4,5)P3は、PKBαと、またはPDK1を阻害する不純物を含んでいるかもしれない。
PKBはPtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2によって直接活性化はされないが、N末端プレクストリン相同性(PH)領域において分子間力でこれらのイノシトールリン脂質と結合するのである[18,21]。対照的に、PKBはPtdIns(4,5)P2と10倍低い力で結合し、他のテストをしたイノシトールリン脂質とは結合しなかった[18,21]。これらの発見によりいくつかの興味ある可能性がある。1つめは、PtdIns(3,4,5)P3と/またはPtdIns(3,4)P2とPKBの相互作用は、PDK1とSer473キナーゼによるリン酸化を促進するためのような方法でその立体配座を変えるかもしれない。2つめは、細胞膜内でのPtdIns(3,4,5)P3と/またはPtdIns(3,4)P2の生成はこの膜にPKBを補充し、PDK1とSer473キナーゼによるその活性化も促進するかもしれない。しかし、PH領域欠失の変異体でも、少なくとも天然PKBと同様にインスリンに応答して活性化され得るため[24,25]、これらのメカニズムはどちらも生体内でのPKBの活性化に必須要件ではないように見える。そのかわり、細胞膜へのPKBの補充は膜結合PKB基質のリン酸化を促進するメカニズムとなるだろう。しかし、PDK1は骨格筋の細胞質から精製されたことを注意するべきである。PtdIns(3,4,5)P3とPtdIns(3,4)P2の濃度上昇のきっかけとなる作動物質で細胞が刺激される時、PDK1が細胞膜に局在かするのかどうか調べることは明らかに重要であろう。
実施例2:PDK1のクローニング
我々はウサギ骨格筋から精製したPDK1由来の9つのペプチドのアミノ酸配列を得た。これらは以下のとおりであった。
Figure 0003795535
そして、これらの配列をインターネットでBLASTncbiデータベースサーチにかけ、9つのペプチドの配列すべてが2つのEST配列によってコードされていることを我々は発見した。インターネットから入手可能なこれらのEST配列に関する情報は、図8と9に与えられる。そして我々はUK HGMP Resource Centre、I.M.A.G.E.Consortium、ヒンクストン、ケンブリッジ CB1 1SB、UK(メディカルリサーチカウンシルによって資金援助されるコンソーシアムパート)からのESTを求めた。
そして、我々はESTの両DNA鎖の配列読み取りをすることにより、ESTクローンのヌクレオチド配列を決定した。インターネットで入手できるEST配列には多くの間違いがあった。得られたデータからEST配列はPDK1の2つの重複するクローンを表していることが明らかである。PDK1のオープンリーディングフレームのほとんどは、国立生物情報センターでのdbestデータベースの問い合わせによって取り出された。PDK1の完全長cDNAクローンは、ベクターλZAP内で、ヒト乳がん細胞系MCF7(P.Mitchell寄贈、インスティチュートオブキャンサーリサーチ、サットン、UK)から作られたcDNAライブラリーのハイブリッドスクリーニングによって分離された。スクリーニングのためのPDK1プローブは、鋳型としてMCF7cDNAを用い、PDK1配列のヌクレオチド1138−1567に対応するプライマーCTGAGCCAGTTTGGCTGC(SEQ ID No17)とACGTCCTGTTAGGCGTGTGG(SEQ ID No18)を用いたRT−PCRによって発生した。DNA配列読み取りはTaq染色ターミネーターサイクルシーケンスキットを用い、アプライドバイオシステムズ社、373AモデルのDNA自動配列読取装置によっておこなわれた。
PDK1のヌクレオチドとアミノ酸配列(SEQ ID No1と2)は図10に示されている。配列は予想分子量63.1kDaの556残基のタンパク質をコードする。Myc抗原決定基タグを有するPDK1タンパク質を293細胞でので発現させた(以下の実施例参照)、それは68−70kDaバンドとして移動し、できたPDK1抗体は293細胞溶菌液での59kDaバンドとわかる(データは示さず)。この理由と開始メチオニンが良好なコザック(Kozak)コンセンサス配列にあることから、図10に示される配列はPDK1全体を表しているように見える。
PDK1の完全長コード配列を含むポリヌクレオチドは、例えば、図10で与えられるヌクレオチド配列をベースとする適当なPCRプライマーを使い、適当なcDNAライブラリーから、または逆転写されるmRNAからPDK1cDNAを増幅することにより容易に得られる。
PDK1のコード配列を含む1つのポリヌクレオチドもまた、適当な制限エンドヌクレアーゼでの消化に続いてIMAGEクローン626511とIMAGEクローン526583の適当な部分を接合するか、IMAGEクローン526583とIMAGEクローン626511の適当な部分を結合するPCRベースの方法を用いて得られる。
PDK1の完全長コード配列が図10で与えられるプローブを作るための配列情報を用いて適当なcDNAライブラリーから容易に得られて、この方法で得られるどのクローンの配列もサンガージデオキシシーケンス法を用いて決定され得ることは評価されるだろう。
PDK1をコードするヒトESTは多くの異なるヒト組織から分離され(以下の表A)、PDK1は偏在的に発現されることを示している。興味あることには、PDK1のヌクレオチド配列は、1型多環式腎臓疾患と2型管硬化疾患に応答し得る遺伝子と近い、ヒト染色体16p13.3の700kb領域に配置いる遺伝子の一部の配列と100%同一性を有していた[23]。この遺伝子は心臓、脳、胎盤、肺、骨格筋、腎臓、膵臓で大きな8kb転写物として発現されることが知られている[23]。
表A。 PDK1遺伝子をコードするデータベースで重複する発現配列タグのリストである。受け入れ番号は遺伝子バンクからのものである。組織は、それからESTが取出された組織である。
受け入れ番号 組織
AA186323 HeLa細胞
H97903 メラノサイト
AA018098 レチナ
AA018097 レチナ
AA019394 レチナ
AA019393 レチナ
N22904 メラノサイト
W94736 胎児の心臓
EST51985 胆嚢
N31292 メラノサイト
AA188174 HeLa細胞
AA100210 大腸
R84271 レチナ
AA121994 膵臓
実施例3:PDK1の代替的なクローニング方法
PDK1に対応する67kDaバンドはトリプシンで切断されその消化物はバイダック(Vydac)C18カラムでクロマトグラフにかけられトリプシンペプチドに分解された。以下の3つのペプチドの配列が立証された。
Figure 0003795535
これらのペプチドは他のプロテインキナーゼの触媒領域で発見された配列と相同である。ペプチド1はサブ領域VIIIの領域と、ペプチド2はサブ領域Xの領域と、ペプチド3はサブ領域XIの領域と相同である。これらの配列は標準的なPCRベースの方法を用いてPDK1のクローニングに用いられる。
ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)はペプチド1と3(またはそのわずかな変種、例えば、位置IがイノシンまたはG、C、A、Tの様々な組み合わせであってもよい)をコードする以下のオリゴヌクレオチドを用いて行われる。
Figure 0003795535
得られるPCR断片はペプチド2をコードする領域を含み、サザンブロットと、以下のペプチド2(またはわずかな変種、例えば、位置IがイノシンまたはG、C、A、Tの様々な組み合わせであってもよい)をコードするオリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーションで解析される。
Figure 0003795535
陽性PCR断片をサブクローンし、骨格筋と他のcDNAライブラリーのスクリーニングに用い、PDK1の完全長クローンを分離する。
PDK1の完全長クローンはサンガージデオキシ法で配列読み取りされる。
ウサギPDK1cDNAがまず得られてもよく、これが完全長ヒトPDK1cDNAを分離するためにヒト骨格筋cDNAライブラリーのスクリーニングに用いられる。用いられた分子生物学的技術は基本的にSambrook et al(1989)、分子クローニング、a laboratory manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New Yorkに述べられている。
実施例4:さらに代替的なPDK1のクローニング法
実施例1で述べられたように精製されたPDK1に対して抗体が発生する。
抗体は、ヒトまたはウサギ骨格筋mRNAから複写されたcDNAから作成されたλgt11発現ライブラリーをスクリーニングするため用いられる。
陽性クローンは同定され、実施例2と同様サンガー法によって挿入断片は配列読み取りされる。
実施例5:ヒトPDK1の発現とPKBαの活性化;ショウジョウバエ(Drosophila)DSTPK61との相同性。
生体内でのPDK1の役割を明らかにし、それがPtdIns(3,4,5)P3とPtdIns(3,4)P2によって調整されるメカニズムを決定するために、まずこの酵素の構造とPtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2がPDK1を刺激してPKBをリン酸化するメカニズムを決定することは明らかに有益であった。この実施例と前の実施例において、ヒトPDK1のクローニング、配列読み取りと発現について述べ、発現した酵素は筋肉から精製されたPDK1と同じ方法でPKBαを生体内で活性化すると実証する。PDK1はまた共移入実験でもPKBαを活性化し、IGF1誘導Thr308のリン酸化を可能とした。驚いたことに、PDK1は、ショウジョウバエの性発達の調整と関係があるショウジョウバエプロテインキナーゼDSTPK61と構造的かつ機能的に相同性であるとわかった。
材料と方法
材料
すべてのリン脂質は、既に述べた原料源[21]から得られた。グルタチオンセファロース、pGEX−3X発現ベクターと1mlヘパリンセファロースカラム(HiTrap)はファルマシア(ミルトン、キーネス、UK)から、モノクローナル抗体12CA5と9E10はボーアリンガーマンハイム(リューエス、UK)から、アルキル化トリプシンとpSP72クローニングベクターはプロメガ(サウスハンプトン、UK)から購入した。GST−PKBαと他の全ての材料のソースは[21]に述べられている。pCR2.1−TOPOクローニングベクターはインビトロゲン(リーク、オランダ)からである。
緩衝溶液。緩衝溶液A:50ml トリス/HCl pH7,5、1mM EDTA 1mM EGTA、1容量% トリトン(Triton)X100、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、10mM βグリセロリン酸ナトリウム、50mM NaF、5mM ピロリン酸ナトリウム、1μM マイクロシスチン(microcystin)LR、0.27M蔗糖、1mM ベンズアミジン(benzamidine)、0.2mM フェニルエチルスルホニルフロライド(PMSF)、10μg/ml ロイペプチン、0.1容量% 2メルカプトエタノール。緩衝溶液B:50ml トリス/HCl pH7.5、0.1mM EGTA、0.03容量% Brij−35、0.27M蔗糖、0.1容量% 2メルカプトエタノール。
GST−PDK1、Myc−PDK1をコードするDNA発現構築物の調整。 PDK1(PDK1(図1)のヌクレオチド98から708と467から1811までに対応するGenバンク 受け入れ番号 AA121994とAA186323)をコードする2つの重複するヒトESTはI.M.A.G.E.コンソーシアム[42]から得られ、配列読み取りされた。この2つの配列は各ESTクローンのScaI制限酵素消化物によって組み合わされ、これらの消化物から得られた適当な制限断片は接合され、ヌクレオチド154〜1670までの連続的なPDK1配列を含むプラスミドが発生した。この構築物はPCR反応の鋳型として使用され、N末端抗原決定基標識Myc−PDK1(アミノ酸残基52〜556)構築物が発生した。これはBglIIサイト(下線部)とKpnIサイト(二重下線部)を取り込むオリゴヌクレオチド
Figure 0003795535
を用いて成功した。得られるPCR断片はpSP72クローニングベクターのBglII/KpnI部位へサブクローンされ、ヌクレオチド配列はDNA配列読み取りで確認された。Myc−PDK1コード配列は、293細胞でGST−PDK1の発現構築物を発生させるため、このベクターからBglII−KpnI断片として真核生物発現ベクターpEBG2T[43]のBamHIとKpnI部位へサブクローニングされた。同じ断片がベクターpCMV5[44]のBglIIとSalI部位へ接合され、293細胞でMyc−PDK1発現構築物が発生した。各構築物の構造はDNAシーケンスで立証され、遺伝子導入プラスミドDNAは製造者プロトコルに従ってキアゲンプラスミドメガキットを用いて精製された。
完全長タンパク質(残基1から556)をコードし、PH領域(残基1から450)欠失であるN末端Myc抗原決定基標識PDK1構築物は、MCF7ライブラリーから分離された完全長完全長PDK1 cDNAを用いてのPCR法によって発生した。これは5’プライマー gcggagatctgccaccatggagcagaagctgatctctgaagaggacttggccaggaccaccagccagctgtatgacg(SEQ ID No24)(完全長とΔPH−PDK1構築物の両方のため)、3’プライマー gcggggtacctcactgcacagcggcgtccgggtg(SEQ ID No23)(完全長PDK1のため)と gcggggtacctcagtgccaagggtttccgccagcctgctt(SEQ ID No25)(ΔPH−PDK1構築物のため)を用いて達成された。得られたPCR断片はpCR2.1−TOPOベクターへクローニングされ、続いて、BglII−KpnI断片としてpEGB−2Tベクターへ、EcoRI−KpnI断片としてpCMV5へサブクローニングされた。中でAsp223がアラニンへ変化した完全長の触媒的に不活性なPDK1構築物は、PCRを基礎とするのメガプライマー方法(Tao&Lee(1994)In:Griffin&Griffin(eds)PCR Technology:Current Innovations,CPC Press,Boca Raton,Florida,pp69−83)によって作り出され、そして、上述したようにpCMV5とpEBG−2Tへサブクローニングされた。各構築物の構造はDNA読み取りで立証され、遺伝子導入プラスミドDNAは製造者プロトコルに従ってキアゲンプラスミドメガキットを用いて精製された。
バクテリア発現ベクターGST−DSTPK61はpBluescriptSK由来のDstpk61cDNAのEcoRI/EcoRV断片をpGEX−3X発現ベクターのEcoRI/SalI部位へ接合することによって調整された。
GST−ΔPH−PKBαをコードするDNA発現構築物の調整。 ヒト骨格筋cDNAライブラリーから分離され、pBluescriptSKベクターへサブクローンされた完全長ヒトPKBα構築物の鋳型として用いるGST−ΔPH−PKBα(118〜479PKBα残基をコードする)構築物の調整にPCRに基づく方法が用いられた。GST−ΔPH−PKBα構築物は5’プライマーcgggatccatggacttccggtcgggctcaを用いて得られ、3’プライマーはpBluescriptSKベクターのT7オリゴヌクレオチドであった。得られたPCR断片はBamHI−KpnI断片としてpBluescriptSKへ、続いて、BamHI−KpnI断片としてpEBG−2Tへクローニングされた。
GST−PDK1、GST−ΔPH−PDK1、GST−D223A−PDK1、GST−ΔPH−PKBα、GST−DSTPK61の発現。 ヒト胎児の腎臓293細胞が直径10cmのデッシュ20枚で培養され、各デッシュに改変したリン酸カルシウム方法[20]を用いてGST−PDK1(52から556残基)、GST−PDK1(1から556残基)、GST−ΔPH−PDK1、GST−D223A−PDK1、又はGST−ΔPH−PKBαのいづれかをコードするDNA20μgが遺伝子導入された。遺伝子導入の24時間後、細胞は16時間の間無血清にされ、各ディッシュの細胞を1mlの氷冷緩衝溶液Aに溶菌した。20個の溶菌液が溜められ、4℃で10分間、13,000xgで遠心分離し、上清を既に緩衝溶液A内で平衡化した1mlのグルタチオンセファロースで、回転試料台の上で60分間培養した。懸濁液を3000xgで1分間遠心分離し、ビーズは0.5M NaClを含む10mlの緩衝溶液Aで3回洗浄し、さらに10mlの緩衝溶液Bで10回洗浄して、PDK1によるGST−PKBαの活性化を阻害する[21]トリトンX100を完全に除去した。室温でpH8.0の20mMグルタチオンを含む緩衝溶液Bの1ml画分で3回、樹脂からGST−PDK1αを溶出した。合わせられた溶出液(0.8mg/mlのタンパク質)を分割量に分割し、液体窒素内で急速冷凍し、80℃で保存した。0.5から2.0mgの各GST融合タンパク質が得られ、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により90%以上の相同性であると判定された。
GST−DSTPK61をコードする発現プラスミドで形質転換された大腸菌はLB培地で37℃において600nmでの吸光度が0.6になるまで培養した。イソプロピルβ−Dチオピラノシドを30μM添加し、バクテリアを25℃で16時間培養し、その後4000xgで10分間遠心分離した。バクテリアを15mlの緩衝溶液Aに再懸濁し、氷冷で4分間の音波処理で溶菌した。懸濁液を30,000xgで30分間遠心分離し、GST−PDK1で上述したように、GST−DSTPK61を1mlのグルタチオンセファロースでアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。これ(0.35mg/ml)から取出されたGST−DSTPK61を分割量に分割し、液体窒素で急速冷凍して80℃で保存した。
GST−PDK1とGST−DSTPK61活性の分析。 GST−PDK1とGST−DSTPK61はウシ血清アルブミン1mg/mlを含む緩衝溶液Bで適度に希釈され、GST−PKBαに対する活性化能及びリン酸化能を分析された[21]。PDK1活性の1単位は、1分間に活性の1単位によってGST−PKBαの基礎活性を増加するために要求される量として定義された。GST−PKBα活性の1単位は、0.1mMのRPRAATF(SEQ ID No1)を含む分析で、1分間に1nmolのペプチドRPRAATF(SEQ ID No1)のリン酸化を触媒するために要求される酵素の量である[45]。時間に対して分析が線形であることを確かめるために、GST−PDK1又はGST−DSTPK61の濃度は2U/ml以下にした。この濃度で、PBKαのリン酸化のレベルは、30分の分析で、0.4モルリン酸塩/タンパク質モルよりも小さかった。
HA標識PBKαとMyc−PDK1を293細胞へ移入。 ヒト胎児腎臓293細胞を直径10cmのディッシュで培養し、HA−PKBα又はHA−PKBα+Myc−PDK1をコードする2μg/mlのpCMV5DNA構築物を移入した[20]。24時間後、細胞はさらに16時間血清から取り出され、そして、100ng/mlのIGF1か緩衝溶液のどちらかで10分間刺激した。細胞を1.0mlの氷冷緩衝溶液Aで溶菌し、溶菌液は4℃、13,000xgで10分間遠心分離し、HA−PKBαを上清(10μgのタンパク質)の分割量から免疫沈殿して[20]、先に述べたように[20]ペプチドRPRAATF(SEQ ID No1)でPKBαの分析をした。
HA−PKBα又はMyc−PDK1を移入された293細胞の32P標識。 これは本質的に既述のように[20]行われた。手短に言うと、293細胞にHA−PKBα、又はHA−PKBα+Myc−PDK1を移入し、リン酸フリーのDMEMで洗浄し、[32P]オルトリン酸(1mCi/ml)で4時間培養し、その後IGF1(50ng/ml)で5分間刺激した。細胞は溶菌され、HA−PKBαが免疫沈殿(細胞の10cmディッシュ毎に10μgの12CAS抗体を用いた)、またはMyc−PDK1が免疫沈殿された(細胞の10cmディッシュ毎に10μgの9E10抗体を用いた)。免疫沈殿されたタンパク質は4ビニルピリジンでアルキル化され、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけられ、トリプシンで消化され、C18カラムでクロマトグラフィーによって分析された(Alessi et al(1996)EMBO J.15、6541−6551)。
結果
PDK1は、ショウジョウバエDSTPK61プロテインキナーゼのヒト相同体(human homologue)である。 PDK1の触媒領域(catalytic domain)は、残基83−342にまでわたり(図10)、すべての古典キナーゼサブ領域(classical kinase subdomains)I−XIを含む[24]。それは、PKA(触媒領域と39%の相同性(identity))と、PKC(ζ(ゼータ)イソ体と35%の相同性)と、PKB(35%の相同性)とを含むプロテインキナーゼのサブファミリー(subfamily)と最も類似している。PDK1触媒領域は、未知の機能(function)を有する2つの酵母プロテインキナーゼ(yeast protein kinases)に今までになくより類似していた。触媒領域は、GenBank受入番号1431588が付与されているS.pombeプロテインキナーゼと53%の相同性を有し、受入番号1078290が付与されているS.cerevisiaeプロテインキナーゼと48%の相同性を有した。しかしながら、PDK1と触媒領域の外部にあるこれら酵母プロテインキナーゼとの間に相同性(homology)がなかった。対照的に、ショウジョウバエセリン/トレオニンプロテインキナーゼ61(DSTPK61,受入番号Y07908参照文献22)と命名されたショウジョウバエプロテインキナーゼは、触媒領域中で54%の相同性を有しただけでなく、非触媒C末端領域の中でも非常に類似していた(図11)。この相同性は、PDK1の残基450から550の間で最も顕著で、DSTPK61との相同性は61%(79%の類似性(similarity))であった。これらの観察から、DSTPK61がPDK1のショウジョウバエ相同体であるかもしれないことが暗示された。しかしながら、DSTPK61はPDK1中では見られない60残基C末端C末端伸長(60 residue C-terminal extension)を含み、そして、PDK1のN末端70残基(N-terminal extension 70 residues)とDSTPK61のN末端150残基(N-temrinal extension 150 residues)との間で相同性がほとんどない(図11)。PDK1には、DSTPK61のN末端(残基120−150)の近くに存在するポリグルタミン挿入配列と、キナーゼ領域(kinase domain)のサブ領域VIIとVIII(残基312から370まで)との間に配置されるさらなる多酸挿入(polyacidic insertion)とが欠けている(図11)。DSTPK61の生理学的な役目は、考察(Discussion)以下でさらに考察されるであろう。
PDK1とDSTPK61は、C末端プレクトリン相同領域(C-terminal Plecktrin Homology domain)を有する。 PDK1の残基450−550(図11)から、PDK1とSTK61との間に存在する高レベルの配列保存(sequence conservation)によって、この領域が重要な機能を有する傾向にあることが暗示された。これらの配列の観察によって、これらがプレクトリン相同(PH)領域の一部を形成する傾向にあることが示唆された。〜100の残基を有するこれらの領域は、他の70以上のプロテイン中で発見されている。また、これらの領域は、類似3次元構造(similar 3-demensional structures)に畳み込んでいると予測され、また、プロテイン−脂質、プロテイン−プロテイン相互作用、あるいは、両方が媒介となっているだろう[25,26]。我々は、決められた三次構造、ペルクトリン、スペクトリン(spectrin)、ダイナミン(dynamin)およびホスフォリパーゼC−δ(phospholipase C-δ)のPH領域からの配列と、他の71の知られているPH領域配列(データ省略)とともに、PDK1とSTK61の両方にある残基450−550の配列アラインメント(sequence alignment)を実行してきた。一般的に両者のPH領域での相同性率(percentage identity)は低いけれども、高レベルの残基型保存(residue type conservation)を示すある決まった位置(positions)がある。PDK1とDSTPKに関して、ある一つの位置(Tryptophan,113番目,PDK1のポジションTrp−535)は、領域ファミリーの至る所で完全な相同性を示す。しかしながら、PH領域の定義された領域で多くの類似したアミノ酸がある(図17)。二次構造予測(secondary structure predictions)によって、531から550までの残基(80−100番目)が伸長されたαヘリックス(extended α-helix)を形成する傾向があるが、PDK1の残基450−530(1−80番目)がβシートの領域を含む傾向があることが示唆された。予測は、他のPH領域の知られた構造と一致している[25,26]。
GST−PDK1とGST−DSTPK61との発現。 PDK1の残基52−556はヒト胚腎臓293細胞(human embryonic kidney 293 cells)内で発現され、DSTPK61の残基1−752は、N末端でグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)とともに融合プロテイン(fusion proteins)として大腸菌内で発現され(以下、GST−PDK1、GST−DSTPK61と呼ぶ)、双方ともにグルタチオンセファロース(glutathione-Sepharose)で精製された。GST−PDK1調製物は、87と85kDaである明白な分子質量(molecular masses)を有する2つのバンドを示し(図18、レーン1)、2mgのGST−PDK1精製プロテインが細胞の20枚の(直径10cm)ディッシュから得られた。GST−DSTPK61調製物は、多くの微量分解生成物とともに、予期された分子質量(105kDa)で拡散バンド(diffuse band)を示した(図18、レーン2)。0.35mgのGST−DSTPK61がバクテリア培養液0.5リットルから得られた。
GST−PDK1およびGST−DSTPK61は、PtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2依存状態でPKBαを活性化、および、リン酸化する。 PtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2が含まれていたという条件で、GST−PDK1とGST−DSTPK61の両方が、ホスファチジルコリン(PtdCho)とホスファチジルセリン(PtdSer)とを含む小胞バックグラウンド(vesicle background)の存在下で、GST−PKBαを活性化およびリン酸化した。GST−PKBαの活性化の広がりはリン酸化の広がりと関連性があり(図12)、もしPtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2がPtdIns(4,5)P2とPtdIns3−Pのうちどちらか一方に置き代われていたならば、活性化またはリン酸化は起こらなかった(図12)。相同性に関する結果(identical results)が、ウサギ骨格筋からの精製されたPDK1と293細胞内で発現された完全長GST−PDK1(残基1−556)とを使用することによって得られた([21]とデータ省略)。Asp223がアラニンに変化した触媒不活性なGST−PDK1変異体は、PtdIns(3,4,5)P3を含むPtdCho/PtdSer脂質小胞の存在下で、リン酸化または活性化しなかった(データ省略)。PtdIns(3,4,5)P3の存在下でGST−PKBαに対するGST−PDK1(残基52から556まで、77800U/mg)とGST−PDK1(残基1から556まで、89000U/mg)の特異的な活性は、ウサギ骨格筋(100000U/mg)から精製されたPDK1に類似しており、バクテリア的に発現されたGST−DSTPK61(280U/mg)のそれより200倍以上高かった。大腸菌内で発現されたとき、この違いがDSTPK61の誤った畳み込みによって生じるのか、または、重要な翻訳後の修飾の欠損(lack)によって生じるのか、または、DSTPK61がヒトPDK1と同様にヒトPKBαを認識しないかどうかを立証するために、さらなる研究が必要とされる。
GST−PKBαの活性化およびリン酸化は、PtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2が存在しない状態で、超高濃度のGST−PDK1またはGST−DSTPK61を使用することによって得られた。しかしながら、PDK1の活性は、これらイノシトールリン脂質の存在下で約1000倍に強められた。PtdIns(3,4,5)P3の存在下で、さらに、高GST−PDK1およびGST−DSTPK61濃度の条件下で、GST−PKBαのリン酸化は0.75モルリン酸毎モルプロテイン(mol phosphate per mol protein)に達し、活性度の35倍の増加に匹敵した。これは、ウサギ骨格筋からのPDK1を使用することによって得られたGST−PKBαの最大の活性化(maximal activation)に類似していた[21]。
発現されたPDK1とDSTPK61は、Thr308でPKBαをリン酸化する。 GST−PDK1(図13A)またはGST−DSTPK61(図13B)の一方を用いて最大限リン酸化された32P標識GST−PKBαがトリプシンで消化され、そして、C18カラム上でクロマトグラフされた。ある重要な32P標識ペプチドがそれぞれのケースで得られた。このペプチドは、Thr308を含む32P標識トリプシンホスフォペプチド(32P-labelled tryptic phosphopeptide)と同じ位置に存在し25%アセトニトリルによって抽出され[20,21]、ホスフォトレオニンを含み、さらに固相配列読み取りが行われたとき、32P放射能がエドマン分解(Edman degradation)の第1サイクルの後に放出された(released)。これらからこのペクチドは実にThr308でリン酸化されたPKBαのペプチドであることが確認された(データ省略)。
PKBαは、293細胞内にPDK1とともに共移入(cotransfection)されることによって活性化され、Thr308でリン酸化される。 PDK1が細胞コンテクスト(cellular context)内でPKBαを活性化させることが可能であるかどうかを確定するために、我々は、293細胞内に赤血球凝集素抗原決定基標識PKBα(haemaglutinnin epitope-tagged PKBα)(HA−PKBα)を単独で、または、Myc抗原決定基標識PDK1(Myc-epitope tagged PDK1)(Myc−PDK1)とともに移入した。以前に報告されたように、HA−PKBαのみが293細胞内に移入されたとき、HA−PKBαは低い基底活性度(basal activity)を有するが、それは、IGF1によって刺激された後40倍に増加した(図14、[20])。しかしながら、293細胞がHA−PKBαとMyc−PDK1の両方を移入したとき、HA−PKBαの活性度は刺激されていない細胞の中で20倍に増加し、IGF1によって刺激された後には70倍に増加した(図14)。293細胞内にHA−PKBαと触媒不活性なPDK1の変異体(Myc−D223A−PDK1)の両方が移入されたとき、意味深いことに、HA−PKBαは活性化されなかった(図14)。
293細胞内のPDK1の過剰発現がPKBαの活性化を誘導するメカニズムを確立するために、細胞が32Pリン酸塩(32P-phosphate)で培養され、緩衝溶液またはIGF1で刺激され、そして、32P標識HA−PKBαが溶菌液から免疫沈殿された。トリプシンで消化後、生じたペプチドは、C18クロマトグラフィーによって分析された(図15)。以前に観測されたように、HA−PKBαが刺激されていない細胞の中でSer−124とThr−450でリン酸化され、IGF1による刺激がThr308とSer473のリン酸化を誘導する(図15Aおよび図15C)。対照的に、PDK1とともに共移入されたとき、HA−PKBαが刺激されていない293細胞の中で一部リン酸化され、HA−PKBαのみが移入されたIGF−1刺激細胞(IGF1-stimulated cells)内で観測されたレベルの70%に達した。このThr308のリン酸化は、IGF1の応答によってさらに4倍に増加した(図15)。重大なことに、HA−PKBαとMyc−PDK1との共移入によって、刺激されていない細胞の中においてSer473でのHA−PKBαのリン酸化が誘導されず、さらに、IGF1による刺激後にもSer473のリン酸化のレベルが高くならなかった(図15)。
PDK1によるPKBαの活性化におけるPH領域の役目。 変異体PH領域を欠いているGST−PKBα変異体(a mutant GST-PKBα mutant lacking the PH domain)(GST−ΔPH−PKBα、残基118−479)は、完全長天然型GST−PKBαより3倍高い基底活性度を有し、PtdIns(3,4,5)P3独立状態でPDK1によって活性化され(図16A)、リン酸化された(データ省略)。しかしながら、活性化速度(rate of activation)は天然型GST−PKBαと比較して約20倍に減少した(図16A)。ウサギ骨格筋抽出物から精製されたPDK1もまた、PtdIns(3,4,5)P3独立状態で活性化され、そして、リン酸化された(データ省略)。
推定C末端PH領域(putative C-terminal PH domain)を欠いているPDK1変異体が、293細胞内でGST融合プロテインとして発現された(GST−ΔPH−PDK1、残基1−450)。我々は、このPDK1の形状がいまだPtdIns(3,4,5)P3依存状態でGST−PKBαを活性化することが可能であるが、しかし活性化速度が完全長天然型GST−PDK1と比較して約30倍に減少したことが分かった(図16B)。ウサギ骨格筋から精製されたPDK1(実施例1参照)または完全長GST−PDK1(データ省略)とともに観測されたように、GST−ΔPH−PDK1は、sn−1,2−ジパルミトイルD−PtdIns(3,4,5)P3のD−光学異性体よりも、sn−1−ステアロイル,2−アラキドニルPtdIns(3,4,5)P3のD−光学異性体によって効果的に活性化され、さらに、sn−1−ステアロイル,2−アラキドニルPtdIns(3,4,5)P3のL−光学異性体によって、活性化は誘導されなかった(図9B)。対照的に、完全長GST−PDK1(データ省略)とウサギ骨格筋から精製されたPDK1(実施例1参照)のうちどちらか一方によるGST−PKBαの活性化の刺激に関してsn−1,2−ジパルミトイルD−PtdIns(3,4)P2がsn−1,2−ジパルミトイルD−PtdIns(3,4,5)P3と同じぐらいの効果があるという条件下で、sn−1,2−ジパルミトイルD−PtdIns(3,4)P2は、GST−ΔPH−PDK1によるGST−PKBαの活性化の誘導性に乏しかった(図9B)。
PDK1は、IGF1によって活性化またはリン酸化されない。 293細胞は16時間無血清培養され(serum starved)、IGF1で刺激され、溶解され、さらに、細胞溶菌液(cell lysates)中に存在する内因性PDK1活性度が、ヘパリン−セファロースのクロマトグラフィー後に決定された(方法参照)。10分間行われた細胞のIGF1刺激によって、PDK1の活性化または阻害が起こらなかった(データ省略)。
IGF1刺激がPDK1のリン酸化を誘導したか否かを確かめるために、293細胞内に(残基52から556までをコードする)Myc−PDK1が移入され、32Pリン酸塩で培養され、5分間緩衝溶液またはIGF1で刺激され、さらに、32P標識Myc−PDK1が溶菌液から免疫沈殿された。トリプシンで消化後、生じたペプチドは、C18クロマトグラフィーによって分析された。これら実験によって、PDK1が刺激されていない細胞内で4つのトリプシン性ペプチド(tryptic peptides)(セリン残基上のみ)でリン酸化され、さらに、IGF1がこれらどのペプチドのリン酸化を変化させない(データ省略)ことが実証される。高濃度セリン/トレオニン特異的プロテインホスファターゼ2A(serine/threonine-specific protain phosphatase 2A)と高濃度プロテインチロシンホスファターゼ1Bとを用いてウサギ骨格筋から精製されたPDK1の処理によって、活性度に対して効果が現れなかった(データ省略)。PDK1上にある生体内でリン酸化される部位のうちの一つが、キナーゼ領域内のPKBのThr−08と同位置にあるSer−241であると同定された。
考察(Discussion)
骨格筋から500,000倍精製されたPDK1[21]は、85kDaと67−69kDaと45kDaである明白な分子質量を有する3つのプロテインを含み、さらに、この実施例の中で、我々は、67−69kDa成分がPDK1であり、さらに、それがゲルろ過(gel filtration)で70kDaの明白な質量分子とともに移動するので(データ省略)、それが単量体プロテイン(monomeric protein)であるらしきことを立証した。このプロテインがクローンされ、さらに293細胞内で発現されたとき、このプロテインがPKBαを活性化しおよびThr308でそのリン酸化を誘導し、活性化とリン酸化の両方がPtdIns(3,4,5)P3またはPtdIns(3,4)P2に依存していた。PDK1はまた、共移入実験でPKBαを活性化し、IGF1によるThr−308のリン酸化力を強化した。これら観察と、PKBのように、PDK1をコードするmRNAが検査されたすべての組織(表A)内で発現されるという研究結果は、PDK1が生体内でPKBの”上流”に存在するという見解と一致する。
PKBαは、インスリンまたはIGF1に応答して生体内でThr−308と同様にSer473でリン酸化される。さらに、Ser−473のリン酸化は、PKBαの完全活性化(full activation)に必須であり、さらに、Thr−308のリン酸化のように、wortmanninによって予防される[20]。重要なことに、PDK1とともに共移入されたとき、PKBαはSer−473でリン酸化されず、さらに、PDK1の移入が、IPF1による刺激後のSer−473リン酸化のレベルに影響しなかった。これら実験によって、Ser−473でPKBαをリン酸化するプロテインキナーゼがPDK1によって活性化されず、細胞内でのPKBαのThr−308のリン酸化によってPKBαがSer−473でリン酸化せず、さらに、Ser−473のリン酸化の引き金となるPtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2の必要性は異なったメカニズムによって比較される(conferred)ことが実証される。
PDK1がPKBと同一のプロテインキナーゼのサブファミリーに属することは興味深い。さらに、PKBとは対照的に、PH領域がC末端から触媒領域の間に位置づけられるけれども[13]、PKBのようにPDK1はPH領域を含む。PKB内のPH領域は、マイクロモル濃度(micromolar concentrations)でPtdIns(3,4,5)P3およびPtdIns(3,4)P2と結合することが可能である。このことによって、信号複合体(signalling complex)を形成するためにIGF1[29]またはEL4−IL−2細胞のインターロイキン−2刺激[30]に応答して発生する細胞膜(plasma membrane)への移動が促進されるであろう。しかしながら、PDK1がIGF1によって活性化されず、さらに、PH領域を欠いているPKBαの変異体がPtdIns(3,4,5)P3から独立して活性化およびリン酸化される(図16A)というこの論文(paper)に記述されている研究結果より、PDK1によるPKBαのPtdIns(3,4,5)P3誘導性活性化は少なくとも部分的には基質指向性(substrate directed)であることが実証される。PtdIns(3,4,5)P3とPKBαのPH領域との結合によって、Thr−308がPDK1によるリン酸化に対して影響されやすくするようにPKBαのコンホメーションを変化させることが可能になる。このモデルとの一致、PDK1のPH領域の欠失によって、PtdIns(3,4,5)P3依存状態でPKBαを活性化およびリン酸化させることが可能な酵素が生じる(図16B)。
しかしながら、PDK1のPH領域が欠失するとき、PDK1によるPKBαの活性化速度が30倍に減少する。したがって、PDK1のPH領域がPtdIns(3,4,5)P3と結合し、さらに、このことによってPKBαの活性化速度がかなり大きくなることがいまだ可能な状態にある。PtdIns(3,4,5)P3がホスファチジルコリンとホスファチジルセリンとを含む脂質小胞の中に存在するとき(実施例1)、PtdIns(3,4,5)P3が唯一PDK1によるPKBαの活性化を刺激することができ、さらに、PH領域を欠いているPDK1変異体が脂質と相互作用することができず、それゆえ、効率的にこれら小胞に浸透する(penetrate)ことができない。このことによって、PH領域を欠いているPDK1がPKBαを活性化する速度がかなり減少することが説明されるだろう。PH領域を欠いているPKBαは恐らく脂質小胞に浸透することができず、さらに、このことによって、完全長PKBαよりも20倍の低速度でこの変異体がGST−PDK1によってリン酸化される理由が説明できる(図16A)。
293細胞内へのPDK1の共移入によってPKBαが活性化されるけれども、PDK1の過剰発現によって、IGF1によるPKBαの活性化が強化されない(図14)。この理由として、PKBαの活性化にはSer−473のリン酸化が要求され、さらに、Thr−308とSer−473とのリン酸化が活性化に対して相乗効果をもたらすからである(Alessi et al (1996) EMBO J. 15, 6541-6551)。現在の研究の中から分かった重要な所見は、PDK1とともに共移入されたときPKBαがSer−473でリン酸化されず、さらに、PDK1の移入が、IFG1による刺激後に成し遂げられたSer−473のリン酸化のレベルに影響を及ぼさないことである。これらの実験によって、Ser−473でPKBαをリン酸化するプロテインキナーゼがPDK1によって活性化されず、さらに、細胞コンテクスト内におけるThr−308でのPKBαのリン酸化によってPKBαがSer473で自己リン酸化しないことが実証される。Thr−308のリン酸化のように、Ser−473リン酸化は、インスリンまたはIGF1による刺激前にwortmanninで細胞を培養することによって予防される。Ser−473キナーゼがPtdIns(3,4,5)P3によって活性化されるかどうか、または、PtdIns(3,4,5)P3とPKBαとの結合がSer−473キナーゼによるリン酸化を許容するようにコンホメーションを変化させるかどうかを知ることは興味深いことになるだろう。
PDK1は、ショウジョウバエ(fruit fly)の性分化、卵子生成(oogenesis)および精子生成(spermatogenesis)の制御に関連しているショウジョウバエプロテインキナーゼであるDSTPK61と相同性を有することが分かった[22]。PDK1とDSTPK1との相同性は、触媒領域内で54%であったが、推定PH領域(図11)ではさらに大きく(61%の相同性)、このことによって、PDK1のPH領域に関する重要な機能的役目が暗示された。大腸菌内で発現されたDSTPK61が、PtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2依存状態で、ヒトPKBαを活性化し、さらに、特異的にThr−308でそれをリン酸化した(図12)。これら研究結果によって、DSTPK61がPDK1のショウジョウバエ相同体であることが示唆され、その役目の一つが数年前に同定されたPKBのショウジョウバエ相同体(DPKBと呼ばれる)を活性化させることであることが暗示される[31,32]。フライ内でのDSTPK1の生理学的役目が何であるかがいまだ知られていないけれども、この論文に記述されている研究結果より、DPKBが性分化および卵子生成を制御する信号経路中でDSTPKの下流に位置しているだろうと暗示される[22]。PtdIns3キナーゼが哺乳類細胞の中でPKBの活性化に重要な役目を果たすことが知られているので[4−6,13]、ショウジョウバエホスフォイノシチド3キナーゼ(PtdIns3キナーゼ)もまたDPKBの活性化に重要な役目を果たすであろう。これもまた、フライ内でのPtdIns3キナーゼの役目についてほとんど知られていない[33]。Dp110と呼ばれるショウジョウバエPtdIns3キナーゼの触媒サブユニット(catalytic subunit)が、通常、構成性アクティブ、および、ドミナントネガティブ(優性陰性)形態(in a normal, a constitutively active and a dominant negative form)で、ショウジョウバエの羽および眼成虫原基(eye imaginal dises)内に過剰発現されたというこの論点に日付を付与するためにおよびこの論点に関して講演するために(to date to address this issue)、唯一の研究が出版された[34]。これら研究の結果によって、PtdIns3キナーゼが、細胞成長を制御する中で役目を果たす傾向にあることが示された[34]。興味深いことに、インスリン受容体のショウジョウバエ相同体内における機能の損失変異体(loss of function mutations)、Inrもまた眼成虫原基内で細胞成長を阻害し、その結果、天然型フライよりかなり小さくなった[35]。ひとまとめに考えてみると、これらの結果によって、ショウジョウバエPtdIns3キナーゼはインスリン受容体の重要なターゲットであり、恐らくは細胞成長を調整するだろうDPKB全体に作用したことによって上記の結果になることが暗示された。
DSTPK61遺伝子はショウジョウバエ[22]のオスとメスとでは異なるスプライシングをされる。全て同じオープンリーディングフレームを持つたくさんの異なる転写産物を生み出し、したがって同様のたんぱく質を産生するが、しかしそれらの5‘および3’非翻訳領域においてかなり異なる。ショウジョウバエ[22]のオスとメスとではDSTPK61たんぱく質の発現レベルが異なるという結果になるかもしれない。哺乳類細胞におけるアポトーシスの制御におけるPKBの役割の観点から見ると(導入部参照)、卵子生成、精子生成期中及び成人メスにおける性決定に関連におけるDSTPK61の機能は細胞の生存又は細胞死の決定に関連しているかもしれないということも可能である。ある人は、DSTPK61の性別非特異的転写産物の低水準が細胞[34]中におけるDp110の過剰発現の役割と一致した一般的成長に大きな役割があり、女性の死体(carcasses)と子宮及び男性の精巣において見られる特異的にスプライシングされた構造が特異的な時期にたんぱく質の高レベルの生成を翻訳的に導きながら操作されていることを想像できるかもしれない。MAPキナーゼカスケードの活性化の程度と期間は、ある信号がPC12細胞の増殖又はそれらの表現型のような交感神経ニューロンへの分化を誘導するかどうかを決定するのに重要である[36,37]。同様に、DSTPK61の発現の異なる程度はその程度と期間に影響を与えるらしい。生体内におけるPKBの活性化の程度と期間に影響を与えるようであり、それ故このキナーゼカスケードの正確な機能を決定するかもしれない。そのような状況が働くかもしれない性分化において取り込まれる2つの信号経路がある。一つめは交尾の間メスのハエを押さえておくために必要とされている腹部の成人オス特異的筋肉の発育が含まれる[38]。この筋肉は、隣接する神経細胞によって生産される未知の信号に応答してオスの中でのみ発育する。メスのハエのその領域における筋肉細胞をアポトーシスさせる信号経路だが、オスのハエにおいてはこれらの筋肉細胞の成長が促進される[38]。第2の経路は、体細胞由来の信号が生殖系列細胞の細胞生存を促進しそれらの精子と卵子への分化を誘導する信号経路を開始するオス及びメスの生殖腺における体細胞と生殖細胞の間で働く未知の信号機構を含む[39,40]。これらの信号経路の両方の仲介因子は現在のところ知られていない、しかしこの論文において表される発見の中においてその未知の信号がPtdIns3‐キナーゼ、DSTPK及びDPKBの活性化を導きこと、そしてこの経路の役割がアポトーシスを阻害することによって細胞生存の仲介をすることだろうと言いと得る。これらの信号経路の機能を理解するための将来の仕事はこれらの経路を切り替える特異的信号を同定することだけでなく、ショウジョウバエDSTPK61、PKB及びPtdIns3‐キナーゼ遺伝子の変異体を得ることに集中しなければならくなるだろう。卵子生成、精子生成及び性特異的筋肉分化の間のInr,Dp110,DSTKP61及びDPKBの本質的な活性と優勢陰性体発現の効果を比較することはかなり面白いだろう。
要約
背景。 (PKB、しかもc‐Aktとして知られる)プロテインキナーゼの活性化はインスリン又は成長因子によって刺激されてから数分以内に引き起こされ、Thr‐308及びSer‐473でのリン酸化の結果である。PKBの活性化及びその両残基におけるリン酸化はホスフォイノシチド3−キナーゼの阻害因子によって阻害される、そして我々は最近Thr‐308でPKBをリン酸化するプロテインキナーゼを同定及び精製した。この酵素は、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイトPtdIns(3,4,5)P3又はホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトPtdIns(3,4)P2を含んだ脂質小胞の存在下においてのみ活性化し、それ故PtdIns(3,4,5)P3依存性プロテインキナーゼ‐1(PDK1)と名づけられた。
結果。 我々は、ヒトPDK1の配列を読み取りそしてクローンした。その556残基、63.1kDaの酵素は、PKA、PKB及びPKCを含むプロテインキナーゼのサブファミリーに最も類似している触媒部位(83−344残基)を有し、そしてC末端プレクストリン相同(PH)領域(450‐550)を有する。PDK1をコードするその遺伝子はヒト染色体16P13.3に位置し、ヒト組織において偏在的に発現する。性分化、卵子生成及び精子生成の制御において、触媒領域において54%の相同性があり、PH領域において61%の相同性を有することで暗示されるように、ヒトPDK1はショウジョウバエプロテインキナーゼDSTPK61に高度に相同的である。293細胞で発現されたGST‐PDK1及び大腸菌で発現されたGST‐DSTPK61はグルタチオンセファロースクロマトグラフィーによって精製され、そしてそれらの特性はウサギ骨格筋から分離されたPDK1から区別できないことで発見された。PtdIns(4,5)P2又はPtdIns(3)PではなくPtdIns(3,4,5)P3又はPtdIns(3,4)P2の存在下において、GST‐PDK1及びGST‐DSTPK61両方はGST‐PBKαをThr‐308でリン酸化し、試験管内におけるその活性を化学量論的に35倍に増加した。Myc抗原決定基標識ヒトPDK1は、293細胞における共遺伝子導入実験においてHA標識PKBαを20倍に活性化し、Thr‐308でのHA標識PKBαのIGF‐1誘導リン酸化を可能に(potentiate)した。
刺激しない293細胞においてのPDK1の過剰発現はPKBアルファの20倍の活性化をもたらしそしてThr‐308でのPKBαのIGF‐1誘導リン酸化を可能にした。PDK1あるいはPKBαいずれかのPH領域が欠失される実験は、PtdIns(3,4,5)P3あるいはPtdIns(3,4)P2のPKBαへの結合がPDK1によるリン酸化及び活性化に対して必要とされることを示した。293細胞のIGF1活性化はPDK1の活性化又はリン酸化状態に影響を与えなかった。
結論。 PDK1は、インスリン又は成長因子によるPKBの活性化を仲介するらしい。DSTPK61はPDK1のショウジョウバエ相同体である、そして及びPtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2又はこの生物内の性分化においてまだ特定されていない役目として振舞っているらしい。PKBαの活性化におけるPtdIns(3,4,5)P3/PtdIns(3,4)P2の効果は少なくとも部分的には基質指向(directed)である。
Figure 0003795535
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実施例6:PDK1を活性化する物質についての分析
3−ホスフォイノシチドなしで、PDK1、GST‐PKBα及びその基質RPRAATF(SEQIDNo1)(実施例1に記載されるように)とともに実験を行った。PKBαの活性は見られなかった。物質はこの分析で試験され、PDK1を通したPKBαの活性化を引き起こす物質は更なる研究について選別される。ホスファチジルイノシトール−3,4,5‐トリホスフェイトはポジティブコントロールとして使われる。
実施例7:PDK1を不活性化する物質についての分析
分析がホスファチジルイノシトール−3,4,5‐トリホスフェイトを含むこと以外は上記と同様に行われる、そしてそれ故PDK1は、PKBαをリン酸化することに関して活性である。
物質はこの分析で試験され、PDK1を通したPKBαの不活性化を引き起こす物質は更なる研究について選別される。
実施例8
この分析は、PKBαがPKBβによって置き換えられていること以外実施例6と同様である。
実施例9
この分析は、PKBαがPKBγによって置き換えられていること以外実施例6と同様である。
実施例10
この分析は、PKBαがPKBβによって置き換えられていること以外実施例7と同様である。
実施例11
この分析は、PKBαがPKBγによって置き換えられていること以外実施例7と同様である。
実施例12:PDK1のホスファチジルイノシトール−3,4,5‐トリホスフェイト結合に対して競合する物質についての分析
PDK1は、試験物質の存在下放射標識されたホスファチジルイノシトール−3,4,5‐トリホスフェイトとともに培養される。その試験物質の存在下でのリン脂質のPDK1への結合はその試験物質の不存在下における結合と比較される。
その結合を減少あるいは強化する物質は更なる研究のために選ばれる。
その実験は、放射標識されていないPtdIns(3,4,5)P3を用いて実行されても良い。
実施例13:PDK1を活性化する物質についての分析
実験は、PDK1とp70S60キナーゼを用いて実行される。3−ホスフォイノシチドは存在しないことが必要である。この分析において物質は分析され、そしてPDK1(及びp70S6キナーゼのリン酸化の向上を導く)を活性化する物質が選別される。
実施例14:PDK1を活性化する物質についての分析
機能性PH領域を欠失するPDK1及びPKBαを用いて分析は行われる。3−ホスフォイノシチドは存在しないことが必要である。この分析において物質は分析され、そしてPDK1(及び機能性PH領域を欠失するPKBαのリン酸化の向上を導く)を活性化する物質が選別される。
Figure 0003795535
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Claims (38)

  1. プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼであって、
    (1)前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは、それぞれ0から4残基の保守的置換を含むペプチド配列ANSFVGTAQYVSPELL(SEQ ID No.4)、AGNEYLIFQK(SEQ ID No.5)、LDHPFFVK(SEQ ID No.6)のうちの2以上を有し、前記保守的置換とは(G,A)、(V,I,L)、(D,E)、(N,Q)、(S,T)、(K,R)もしくは(F,Y)の間での置換である、または
    (2)前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは、塩基配列SEQ ID No.3によりコードされる、
    3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  2. ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(SDS−PAGE)により決定される分子量が67kDaである、請求項1に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  3. 0から4残基の保守的置換を含む前記ペプチド配列ANSFVGTAQYVSPELL(SEQ ID No.4)はプロテインキナーゼサブドメインVIIIの一部であり、および/または、0から4残基の保守的置換を含む前記ペプチド配列AGNEYLIFQK(SEQ ID No.5)はプロテインキナーゼサブドメインXの一部である、請求項1または2に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  4. ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェイト依存性プロテインキナーゼである、請求項1から3のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  5. プロテインキナーゼBαのThr−308をリン酸化する、請求項1から4のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  6. D体のsn−1−ステアロイル−2−アラキドニル−ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイトの存在下においてPKBを活性化する作用を有するが、L体のsn−1−ステアロイル−2−アラキドニル−ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイトの存在下ではPKBは活性化されない、請求項1から3のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  7. D体のsn−1,2−ディパルミトイル−ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイトまたはsn−1,2−ディパルミトイル−ホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトによって活性化されるが、L体のsn−1,2−ディパルミトイル−ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイトまたはsn−1,2−ディパルミトイル−ホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトによっては活性化されない請求項1に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  8. ホスファチジルイノシトール3,5−ビスホスフェイト、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスホスフェイト、ホスファチジルイノシトール4−ホスフェイト、ホスファチジルイノシトール3−ホスフェイト、またはイノシトール1,3,4,5−テトラキスホスフェイトによって活性化されない請求項1から7のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  9. ワートマニンによって活性が影響されない請求項1から8のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの断片、融合ポリペプチド、または前記断片の融合ポリペプチドであり、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化するプロテインキナーゼであって、
    前記断片は下記のアミノ酸配列のうち、1から450番目、52から556番目、または83から342番目のアミノ酸配列を有する断片である、プロテインキナーゼ。
    Figure 0003795535
  11. ウサギの骨格筋から単離された請求項1から10のいずれか1項に記載のプロテインキナーゼ。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の組み換えプロテインキナーゼ。
  13. プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する請求項1から10及び12のいずれか1項に記載の組み換え3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼであって、
    下記のアミノ酸配列を有する、前記組み換え3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ。
    Figure 0003795535
  14. 請求項13に記載のアミノ酸配列のうち、1から450番目、52から556番目、または83から342番目のアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの断片、または前記断片の融合ポリペプチド。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に規定されるプロテインキナーゼをコードする、または請求項1に記載の塩基配列のポリヌクレオチドによりコードされるプロテインキナーゼをコードする組み換えポリヌクレオチドであって、
    前記組み換えポリヌクレオチドは、HGMP Resource Cetere,I.M.A.G.E Consortrium,Hinxton,Cambridge CB1 1SB,UKより市販されるIMAGEクローン526583またはIMAGEクローン626311、H97903、AA019098、AA18097、AA019394、AA019393、N22904、W94736、EST52985、N31292、AA188174、AA100210、R84271と一致するDNAではない、組み換えポリヌクレオチド。
  16. イントロンを含まない、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
  17. 請求項15または16に規定されるポリヌクレオチドを有する複製可能なベクター。
  18. 請求項15または16に規定される組み換えポリヌクレオチドまたは請求項17に規定される複製可能なベクターを有する宿主細胞。
  19. 請求項15に記載の組み換えポリヌクレオチドの断片を有するポリヌクレオチドであって、前記断片は少なくとも10塩基長であるポリヌクレオチド。
  20. プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの調製方法において、
    前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを発現する請求項18に規定される宿主細胞を培養することと、
    前記宿主細胞の培養物から前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを単離すること、を有する調製方法。
  21. プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する請求項1から14のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを単離する方法において、
    (a) 前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを含む原料を得る工程と、
    (b) 前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼを含む組織から無細胞抽出液を得る工程と、
    (c) 前記無細胞抽出液を分画する工程と、
    (d) 前記(c)工程から、D−sn−1−ステアロイル−2−アラキドニルホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェイト、D−sn−2−アラキドニル−3−ステアロイルホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェイト、sn−1,2−ジリノレオイルホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェイトのラセミ体、D−sn−1,2ジパルミトイルホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェイト、及びD−sn−1,2−ジパルミトイルホスファチジルイノシトール−3,4−ジホスフェイトからなる群から選ばれる少なくとも1の化合物の存在下でプロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化することが可能な画分を選択する工程、を有する方法。
  22. 請求項20または21の方法により得られるプロテインキナーゼであって、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの融合ポリペプチドまたは請求項15に規定されるポリヌクレオチドによりコードされるプロテインキナーゼ。
  23. 請求項1から14及び22のいずれか1項に記載のプロテインキナーゼに反応する抗体。
  24. プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性を制御する物質を特定する方法において、
    3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの融合ポリペプチドもしくは下記のアミノ酸配列のうち、1から450番目、52から556番目、または83から342番目のアミノ酸配列を有する断片、または前記断片の融合ポリペプチドを特定しようとする前記物質に接触させることと、
    Figure 0003795535
    前記物質の存在下における、プロテインキナーゼBのリン酸化及び活性化または前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの基質のリン酸化が、前記物質の不存在下におけるプロテインキナーゼBのリン酸化及び活性化または前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの基質のリン酸化と比較して変化するかどうかを決定すること、を有する方法。
  25. 前記物質が、プロテインキナーゼBのリン酸化及び活性化または3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの基質のリン酸化を減少させる、請求項24に記載の方法。
  26. 前記物質が、プロテインキナーゼBのリン酸化及び活性化または3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの基質のリン酸化を増加させる、請求項24に記載の方法。
  27. 前記物質は、前記3−ホスフォイノシチドと競合する請求項24から26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記物質は、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェイト、またはホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェイトによる3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性化を阻害する請求項27に記載の方法。
  29. 前記物質は、プロテインキナーゼBに結合する、請求項24から28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 請求項1から12のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼに対する3−ホスフォイノシチドの効果と同じ効果を持つ物質を特定する方法であって、
    特定しようとする前記物質が前記3−ホスフォイノシチド依存型プロテインキナーゼを活性化するかどうかを決定するために、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼがプロテインキナーゼBをリン酸化及び活性化する能力または基質をリン酸化する能力について、前記能力を前記物質の存在下及び不存在下において3−ホスフォイノシチドの不存在下で比較することを有する方法。
  31. 前記3−ホスフォイノシチドは、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェイトまたはホスファチジルイノシトール−3,4−ビスホスフェイトである請求項30に記載の方法。
  32. プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する請求項1から9及び11〜13のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ活性を有するその融合ポリペプチド、請求項10もしくは14に記載の断片、または前記断片の融合ポリペプチドの使用方法であって、
    前記使用方法は、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性または3−ホスフォイノシチドもしくはプロテインキナーゼBとの相互作用を制御する物質のスクリーニングアッセイにおける使用方法であって、
    前記スクリーニングアッセイは、前記物質を前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ活性を有するその融合ポリペプチド、前記断片、または前記断片の融合ポリペプチドに接触させることと、前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ、3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼ活性を有するその融合ポリペプチド、前記断片、または前記断片の融合ポリペプチドの活性または相互作用を制御する物質を選択することを有するスクリーニングアッセイである、使用方法。
  33. プロテインキナーゼを活性化させるための、請求項1から14及び22のいずれか1項に規定される3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの使用方法。
  34. 前記プロテインキナーゼはプロテインキナーゼBである請求項33に記載の使用方法。
  35. プロテインキナーゼBを活性化する方法であって、請求項1から14及び22のいずれか1項に規定される3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼに前記プロテインキナーゼBを接触させることを有する方法。
  36. 3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼの活性を制御する物質を特定するためのキットであって、
    請求項1から9、11〜13及び22のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼもしくはその融合ポリペプチド、請求項10もしくは14に記載の断片、または前記断片の融合ポリペプチドと、
    請求項24から31のいずれか1項に規定される方法を実行するための手段、を有するキット。
  37. 請求項24から31及び33のいずれか1項に記載の方法において、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する前記3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する請求項1から14及び22のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼである方法。
  38. 請求項32から34のいずれか1項に記載の使用において、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼは、プロテインキナーゼBαをリン酸化及び活性化する請求項1から14及び22のいずれか1項に記載の3−ホスフォイノシチド依存性プロテインキナーゼである使用方法。
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