JP2002533063A - 方 法 - Google Patents

方 法

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JP2002533063A
JP2002533063A JP2000588203A JP2000588203A JP2002533063A JP 2002533063 A JP2002533063 A JP 2002533063A JP 2000588203 A JP2000588203 A JP 2000588203A JP 2000588203 A JP2000588203 A JP 2000588203A JP 2002533063 A JP2002533063 A JP 2002533063A
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フィリップ、コーエン
タカヤス、コバヤシ
マリア、ディーク
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    • C12N9/10Transferases (2.)
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Abstract

(57)【要約】 血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ(SGK)を活性する方法が提供され、そこではSGKがリン酸化される。SGKはPDK1および/またはPDK2活性を含む調製物によってリン酸化され得る。SGKの活性を調整する化合物を同定する方法も提供され、そこでSGKの活性はコンセンサス配列(Arg/Lys;好ましくはArg)−X−(X/Arg)−X−X−(Ser/Thr)−Z(ここで、Xはいずれかのアミノ酸を示し、X/Argはいずれかのアミノ酸、好ましくはアルギニンを示し、Zはアミノ酸が好ましくは疎水性残基であることを示す)に相当するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドのSGKによるリン酸化を測定することによって測定される。SGKはリン酸化により活性化され得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は新規な薬剤またはリード化合物のスクリーニング法に関する。
【0002】背景技術 タンパク質キナーゼB(PKB)(c−AktまたはRACキナーゼとも呼ば
れる)はインスリンの多数の代謝作用の媒介、ならびにインスリン様増殖因子1
(IGF−1)などの生存因子の抗アポトーシス作用([1、2]に概説されて
いる)において鍵となる役割を果たすと考えられている。PKBはインスリンま
たは生存因子に応じてホスファチジルイノシトール(PtdIns)3−キナー
ゼ依存性機構を介して数分内に活性化される[3〜5]。Thr308およびS
er473のリン酸化に起因する活性化、ならびに両残基のリン酸化はPtdI
ns3−キナーゼの阻害剤によって妨げられる[6]。3−ホスホイノシチド依
存性タンパク質キナーゼ1(PDK1)は、in vitroでは触媒ドメインのサブド
メインVIIとVIIIの間の「活性化ループ」中に位置するThr308をリン酸化
し[7〜9]、これはタンパク質キナーゼC関連キナーゼ−2(PRK2)のC
末端配列に相当するペプチドとの相互作用に基づいて、C末端近くに位置するS
er473、ならびにThr308をリン酸化する形態に変換され得る(Balendr
an et al (1999) Curr. Biol. 9, 393-404)。しかしながら、in vivoでPDK1
によってSer473がリン酸化されるかどうかはまだ証明されていない。
【0003】 in vitroでのPDK1によるPKBの活性化はPtdIns(3,4,5)P 、すなわち、PtdIns3−キナーゼ反応の生成物を含有する脂質小胞の存
在下でのみ起こり、これはこの「第2のメッセンジャー」のPKBとPDK1双
方のプレクストリン相同(PH)ドメインとの相互作用に起因する[9、10]
【0004】 PtdIns(3,4,5)Pは原形質膜の内葉と関連している。従って、
PtdIns(3,4,5)PのインスリンまたはIGF−1誘導性増加はサ
イトゾルからそこで活性となる原形質膜へのPKBの補充をともなう[12、1
3]。膜補充はPDK1およびPDK2による活性化を容易にすると考えられて
いる[12]。PDK1はPKBよりもはるかにより強くPtdIns(3,4
,5)Pと結合し[10]、PDK1の、基本条件下で存在する低レベルのP
tdIns(3,4,5)Pとの相互作用により、原形質膜とのその構造的結
合を少なくとも部分的に説明できる。IGF−1またはPDGFに応じたPDK
1のサイトゾルから原形質膜への輸送が起こり得る[14]。
【0005】 PKBのThr308のC末端に隣接するアミノ酸配列は、p70S6キナー
ゼおよびタンパク質キナーゼCなどのシグナル伝達において重要な役割を果たす
その他のタンパク質キナーゼにおいて認められたものと同様である(図1)。P
DK1はin vitroでの同時トランスフェクション実験ではPKBのThr308
に相当する残基をリン酸化することによってp70S6キナーゼ[15、16]
、PKCδおよびPKCζ[17、Chou et al (1998) Curr Biol 8, 1069-1077
]を活性化する。in vitroでのPDK1によるp70S6キナーゼの活性化はP
tdIns(3,4,5)Pの影響を受けない。
【0006】 PKB同様、p70S6キナーゼおよびPKCはPDK2と呼ばれるタンパク
質キナーゼ活性によるリン酸化に関して提案されるコンセンサス配列(Phe−
Xaa−Xaa−(Phe/Thr)−(Ser/Thr)−(Phe/Thr
))を含んでおり、これは常にPDK1リン酸化部位の160〜165残基C末
端に位置している(図1)。これらの観察結果はPDK1およびPDK2と呼ば
れるタンパク質キナーゼ活性はいくつかのタンパク質キナーゼの活性化にともに
関係している可能性があるということを示唆する。PDK2活性はすでに同定さ
れている(Balendran et al (1999) Curr. Biol. 9, 393-404;1999年3月1
9日に出願された英国特許出願第9906245.7号および1999年12月
2日に出願されたAlessi et alの米国特許出願)。
【0007】 血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ(SGK)が糖質コル
チコイド誘導性転写物の発見に向けられたディファレンシャルスクリーニングで
最初に同定された[18]。血清または糖質コルチコイドでの細胞刺激に続いて
、SGKmRNAおよびタンパク質のレベルは双方ともRat2繊維芽細胞にお
いて30分の半分の時間のうちに5〜10倍上昇する[19]。SGKはまた、
卵胞刺激ホルモン[20]、細胞外モル浸透圧濃度の上昇[21]、脳の損傷[
22、23]などのその他の刺激に応じて、ならびにp53を用いる哺乳類上皮
細胞のトランスフェクション[24]によって誘導される。しかしながら、SG
Kの糖質コルチコイド刺激性誘導はRat2繊維芽細胞では野生型p53によっ
て抑制されるが変異p53によっては抑制されない[25]。
【0008】 SGKの構造はPKBと同様であるが、PHドメインを欠いている。SGKの
触媒ドメインはPKBと54%同一であり、p70S6キナーゼと50%同一で
あり、PKCと48%同一である。
【0009】
【発明の概要】
本発明者らは本明細書においてSGKは293細胞中でPtdIns3−キナ
ーゼ依存性経路を介してIGF−1または酸化ストレスによって活性化されると
いうことを証明している。活性化はリン酸化に起因すると考えられる。さらに、
SGKはPKBのThr308に相当する位置にトレオニン残基、Ser473
に相当するセリン残基を保持し、かつ、これらの残基の周囲の配列はPDK1お
よびPDK2活性によってリン酸化される能力と一致する(図1)。活性化はT
hr308およびSer473に相当する残基のリン酸化に起因すると考えられ
、in vitroではPDK1によってThr308に相当する残基がリン酸化されて
SGKが活性化される。SGKは好ましくはArg−Xaa−Arg−Xaa−
Xaa−(Ser/Thr)−モチーフ中に位置するセリンおよびトレオニンリ
ン残基をリン酸化し、in vitroではグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GS
K3)をPKBと同等の速度で不活性化する。
【0010】 本発明者らはSGK2およびSGK3と呼ばれるSGKの新規のイソ型をさら
に同定しており、これらはこれまでに同定されたSGK[18](本明細書では
SGK1と呼ばれる)と同様にして活性化される。SGK2およびSGK3の触
媒ドメインは互いにおよびSGK1と80%のアミノ酸配列同一性を共有してい
る。
【0011】
【発明の具体的説明】
本発明の第1の態様は、血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナー
ゼ(SGK)を活性化する方法であり、ここではSGKをリン酸化する。この方
法によって活性化されるSGKは部分的にまたは完全に不活性化/脱リン酸化さ
れたSGKであり得る。
【0012】 本発明のさらなる態様は、SGKの活性を低下させる方法であり、ここではS
GKを脱リン酸化する。その活性が低下するSGKは部分的にまたは完全に活性
化/リン酸化されたSGKであり得る。
【0013】 「活性化」とはSGKの酵素活性が増大することを意味する。 「活性を低下させる」とはSGKの酵素活性が低下することを意味する。増大
または低下し得る酵素活性はタンパク質キナーゼ活性、好ましくはセリン/トレ
オニンタンパク質キナーゼ活性、すなわち、1個以上のセリンまたはトレオニン
残基でのタンパク質/ポリペプチドのリン酸化である。酵素活性は特定の基質に
ついてのSGKのVmaxまたはK(または双方)の変更によって増大または
低下し得る。例えば、Vmaxを増大するかまたはKを減少させることによっ
て活性が増大し得る。SGKが活性化されているか不活性化されているかを決定
するためにVmaxまたはKのいずれかの値を決定することは必要ではないと
考えられる。脱リン酸化された(不活性化された)SGKはいくらかの酵素活性
を保持し得ると考えられる。
【0014】 活性は所定の時間内にリン酸化された基質量として測定でき、従って、活性の
変化は、実施例1に記載のように、所定の時間内にリン酸化される基質量の変化
(例えば、単一濃度での)として検出できる。基質はコンセンサス配列Arg−
X−(X/Arg)−X−X−(Ser/Thr)−Z(ここで、Xはいずれか
のアミノ酸を示し、X/Argは好ましくはアルギニンであるいずれかのアミノ
酸を示し、かつ、Zはアミノ酸残基が好ましくは疎水性残基であるということを
示す)を含んでなるポリペプチドであり得る。かかるポリペプチドの例としては
、ペプチドクロスチド(Crosstide)(GRPRTSFAEG)がある。下線を
引いた残基がタンパク質キナーゼによってリン酸化され得る。SGKの基質であ
り得るポリペプチドのその他の例は表1および表2に示されている。グリコーゲ
ンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)は実施例1において論じられるようにS
GKの基質であり得る。
【0015】 SGKがすでにリン酸化されている場合には、さらなるリン酸化は起こり得ず
、かつ/または、さらなる活性化をもたらし得ないと考えられる。さらに、SG
Kがすでに部分的に脱リン酸化されている場合には、さらなる脱リン酸化は起こ
り得ず、かつ/または、さらなる不活性化をもたらし得ない。
【0016】 さらに、細胞から単離されたSGK(内在性または組換えポリペプチドのいず
れかとして)はそのリン酸化/活性化状態に関して不均一であり得ると考えられ
る。例えば、完全に活性化された/リン酸化された、完全に不活性化された/脱
リン酸化された、および/または部分的に活性化された/リン酸化されたSGK
の分子が単一細胞または細胞群/培養物中に存在し得る。
【0017】 活性が必要に応じて少なくとも2倍、好ましくは5、10、15、20、25
、30または50倍まで増大するまたは低下することが好ましい。
【0018】 血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ(SGK)はI.M.
A.G.EコンソーシアムクローンID42669(これはヒト血清および糖質
コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼをコードすると同定されるヒト幼児脳ラ
イブラリー由来の全長cDNAを含んでなる)によってコードされるポリペプチ
ド、好ましくはタンパク質キナーゼを包含する。血清および糖質コルチコイド誘
導性タンパク質キナーゼは当業者には十分に公知である(例えば、参照文献18
〜25参照)。ヒト血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ(本
明細書ではSGK1と呼ばれる)のアミノ酸配列はGenbank受託番号Y1
0032である。ラット血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ
のアミノ酸配列はGenbank受託番号L01624である。線虫(カエノル
ハブジチス・エレガンス)血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナー
ゼは受託番号281140の染色体3ゲノムDNA由来の26kbの断片の一部
によってコードされ得る。
【0019】 血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ(SGK)はアミノ酸
配列:
【化1】 または
【化2】 または
【化3】 を有するポリペプチド(SGK2と呼ばれる)をさらに包含する。
【0020】 第1の配列はヒトSGK2αのものであり、第2のものはヒトSGK2βのも
のであり、第2の配列はマウスSGK2のものである。SGK2βはSGKαに
は存在しないN末端の60個アミノ酸を有している。
【0021】 血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ(SGK)は下記アミ
ノ酸配列を有するポリペプチド(SGK3と呼ばれる)をなおさらに包含する。
【化4】 SGK1、2、3およびマウスSGK2の配列のアラインメントは図13に示
されている。 本発明のさらなる態様はアミノ酸配列
【化5】 または
【化6】 または
【化7】 または
【化8】 を含んでなる実質的に純粋なポリペプチドまたはその変異体、断片、融合体、も
しくは誘導体、あるいはその変異体もしくは断片もしくは誘導体の融合物を提供
する。その変異体、断片、融合体、または誘導体は好ましくはタンパク質キナー
ゼ、より好ましくは、さらに以下に論じられるように、共通Arg−X−(X/
Arg)−X−X−(Ser/Thr)−Zを含んでなるポリペプチドをリン酸
化し得るタンパク質キナーゼであり、SGK1、PKBα、PKCδ、PKCζ
、p70S6キナーゼ、MSK1またはMSK2またはその断片もしくは融合体
ではない。そのアミノ酸配列が前記に示されているポリペプチドは血清および糖
質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼであると考えられている。SGK2m
RNAは肝臓、腎臓および膵臓中に高レベルで存在し、また脳中にも存在するが
、他方、SGK1およびSGK3をコードするmRNAのレベルは調べた総ての
組織において同様である(実施例5参照)。
【0022】 本発明者らによれば「実質的に純粋」とはポリペプチドが実質的にその他のタ
ンパク質を含んでいないということを意味する。従って、本発明者らはポリペプ
チドとしてタンパク質含量の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50
%、より好ましくは少なくとも70%、いっそうより好ましくは少なくとも90
%を含むいずれの組成物も包含するが、少なくとも95%のタンパク質含量がポ
リペプチドであることが最も好ましい。
【0023】 従って、本発明はまたポリペプチドおよび70重量%未満の組成物、好ましく
は50重量%未満の組成物、より好ましくは30重量%未満の組成物、いっそう
より好ましくは10重量%未満の組成物および最も好ましくは5重量%未満の組
成物を含んでなる夾雑物を含んでなる組成物を包含する。
【0024】 本発明はまた、ex vivoでその他の成分と結合する実質的に純粋なポリペプチ
ドを包含するが、このその他の成分はポリペプチドが認められる細胞中に認めら
れる成分の必ずしも総てではない。
【0025】 例えば、本発明の前記の方法によって得られるまたは得られ得る活性化された
または不活性化されたSGKは、例えば、以下に示されるものなどのスクリーニ
ング法において有用であり得る。従って、本明細書においてSGKはSGK2も
しくはSGK3の前記に示されたアミノ酸配列またはI.M.A.G.Eコンソ
ーシアムクローンID42669によってコードされるポリペプチド、好ましく
はタンパク質キナーゼまたはその変異体、断片、融合体もしくは誘導体、あるい
はその変異体もしくは断片もしくは誘導体の融合物のアミノ酸配列を含んでなる
、タンパク質キナーゼであるポリペプチドを包含すると考えられる。ポリペプチ
ドは共通Arg−X−(X/Arg)−X−X−(Ser/Thr)−Z(ここ
で、Xいずれかのアミノ酸を示し、X/Argは好ましくはアルギニンであるい
ずれかのアミノ酸を示し、かつ、Zはアミノ酸残基が好ましくは疎水性残基であ
るということを示す)を含んでなるポリペプチドをリン酸化し得るタンパク質キ
ナーゼであることが好ましい。かかるポリペプチドの例としてはクロスチド(G
RPRTSFAEG)がある。下線を引いた残基がタンパク質キナーゼによっ
てリン酸化され得る。タンパク質キナーゼによってリン酸化され得るポリペプチ
ドのその他の例は表1に示されており、実施例1において論じられるようにGS
K3を含み得る。実施例5において論じられるように、SGK2のセリン279
はSGKおよびPKBによるリン酸化のためのコンセンサス配列に一致する配列
中に位置する。従って、SGK2はタンパク質キナーゼ、例えばSGK2によっ
てリン酸化され得る。タンパク質キナーゼはPKB(例えば、PKBα)、p7
0S6キナーゼ、タンパク質キナーゼC(例えば、PKCδまたはPKCζ)、
MAPKAPキナーゼ1(Leihgron et al (1995) FEBS Lett 375, 289-293)また
はMSK1もしくはMSK2ではないと考えられる(例えば、1988年8月1
0日に出願された英国特許出願第9817303.2号、および1998年6月
24日に出願された第9813467.9号参照)。実施例5において論じられ
るように、例えば、SGK3も全長ヒトSGK3のセリン77またはセリン79
と同等のセリン残基をリン酸化し得る。
【0026】 ポリペプチドは、前記で定義されるタンパク質キナーゼ活性を保持しない場合
でさえも、例えば、以下に示されるいくつかのスクリーニングアッセイにおいて
有用であり得ると考えられる。かかるポリペプチドのリン酸化はポリペプチドの
特定のタンパク質キナーゼにおける酵素活性の変化を検出することによるのでは
ない本明細書に記載の手段によって検出され得るということがさらに理解されよ
う。
【0027】 SGKはPDK1によるポリペプチドのリン酸化のためのコンセンサス配列で
あるコンセンサス配列B−−F−C−G−T−(P/I)−(D/E)−Y−
(L/I/M)−A−P−E(ここで、Bは塩基性残基である)、および/また
はPDK2タンパク質キナーゼ活性によるポリペプチドのリン酸化に関して提案
されたコンセンサス配列であるコンセンサス配列Phe−Xaa−Xaa−(P
he/Tyr)−(Ser/Thr)−(Phe/Tyr)に相当するアミノ酸
配列を含んでなるのが好ましい。両コンセンサス配列が存在することが好ましい
。あるいは、いずれかのコンセンサス配列のSer/Thrがアスパラギン酸ま
たはグルタミン酸(すなわち酸性)残基で置換されていてもよく、ポリペプチド
のかかるコンセンサス配列の一方だけがこのように置換されているのが好ましい
。PDK1によるリン酸化のコンセンサス配列におけるSer/Thrこのよう
に置換されていないのが好ましく、実施例1に記載されているようにヒトSGK
1におけるThr256からAspへの置換はSGKの活性化を無効にし得る。
【0028】 ポリペプチドの「変異体」には挿入、欠失および保存的または非保存的いずれ
かの置換が含まれる。特にかかる変化がタンパク質キナーゼの活性を実質的に変
化させないポリペプチド変異体が含まれる。
【0029】 「保存的置換」(conservative substitutions)とはGly、Ala;Val
、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Glu;Ser、Thr;Lys
、Arg;およびPhe、Tyrなどの組合せを意図したものである。
【0030】 SGK変異体がポリペプチド、好ましくはI.M.A.G.Eコンソーシアム
クローンID42669によってコードされるタンパク質キナーゼと少なくとも
65%、より好ましくは少なくとも70%、71%、72%、73%または74
%、いっそう好ましくは少なくとも75%、なおいっそう好ましくは少なくとも
80%、さらに好ましくは少なくとも85%、なおさらに好ましくは少なくとも
90%、最も好ましくは少なくとも95%または97%の同一性を有するアミノ
酸配列を持つならば特に好ましい。
【0031】 SGK2またはSGK3変異体が上記に示されるように適当であればSGK2
またはSGK3のアミノ酸配列と少なくとも65%、より好ましくは少なくとも
70%、71%、72%、73%または74%、いっそう好ましくは少なくとも
75%、なおいっそう好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくと
も85%、なおさらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも
95%または97%の同一性を有するアミノ酸配列を持つことが特に好ましい。
【0032】 SGK変異体はポリペプチド、特にI.M.A.G.Eコンソーシアムクロー
ンID42669によってコードされるタンパク質キナーゼの触媒ドメインのア
ミノ酸配列と少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、71%、7
2%、73%または74%、いっそう好ましくは少なくとも75%、なおいっそ
う好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも83または85%
、なおさらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%ま
たは97%の同一性を有するアミノ酸配列を持つことがなおさらに好ましい。
【0033】 SGK2またはSGK3変異体がその配列が適当であれば上記に示されるSG
K2またはSGK3ポリペプチドの触媒ドメインのアミノ酸配列と少なくとも6
5%、より好ましくは少なくとも70%、71%、72%、73%または74%
、いっそう好ましくは少なくとも75%、なおいっそう好ましくは少なくとも8
0%、さらに好ましくは少なくとも83%または85%、なおさらに好ましくは
少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%または97%の同一性を有
するアミノ酸配列を持つことがなおさらに好ましい。
【0034】 タンパク質キナーゼ関連ポリペプチドの触媒ドメインは、例えば以下に記載の
、またSGKに関して例えばWebster et al (1993) Mol Cell Biol 13(4), 2031
-2040に記載の配列比較を用いて当業者によって容易に同定されると考えられる
。例えば実施例5に記載のように、3つのSGKイソ型のアミノ酸配列はその触
媒ドメインの別のものと約80%同一であるが、短いC末端非触媒ドメインは同
一性は低い(同一性44〜68%)。触媒ドメインの前のN末端の85残基は極
めて同一性が低い。この領域ではSGK1とSGK3との間には約25%の同一
性があるに過ぎず、SGK2とその他のイソ型との間はほとんど同一でない(図
13)。
【0035】 2つのポリペプチド間の配列同一性%は好適なコンピュータープログラム、例
えばウイスコンシン大学遺伝学コンピューティンググループのGAPプログラム
を用いて決定してもよく、同一性%はその配列は最適に配列されたポリペプチド
に関して計算されると考えられる。
【0036】 あるいはアライメントはClustal Wプログラム(Thompson et al., 19
94)を用いて行ってもよい。用いるパラメーターは次の通りである: 高速対合アライメントパラメーター:K組(ワード)サイズ;1、ウィンドウサ
イズ;5、ギャップペナルティー;3、トップダイアゴナル数;5、スコア表示
方法:xパーセント。マルチプルアライメントパラメーター:ギャップオープン
ペナルティー;10、ギャップエクステンョンペナルティー;0.05。スコア
リングマトリックス:BLOSUM。
【0037】 それらのアミノ酸配列によって上記で定義されたようなSGK2またはSGK
3は上記のようにSGK変異体の例であると考えられる。
【0038】 SGKはI.M.A.G.EコンソーシアムクローンID42669によって
コードされるタンパク質キナーゼ、またはSGK2もしくはSGK3のアミノ酸
配列、上記で示されたアミノ酸配列、またはその天然に存在する対立遺伝子変異
体(スプライス変異体を含む)からなるポリペプチドであるのが好ましい。
【0039】 SGKはまた、以下のもののうちの1つであるのが好ましい。 (1)上記で定義されたような、実施例1に記載のように全長ヒトSGK1の
N末端の60個のアミノ酸に相当するアミノ酸を欠く(例えばΔN−SGK61
−431)、I.M.A.G.EコンソーシアムクローンID42669によっ
てコードされるポリペプチド(SGK1)またはSGK2もしくはSGK3、ま
たは実施例5に記載され、図13に示されるSGKα2; (2)全長SGK、または上記のようにN末端の60個のアミノ酸を欠いたS
GK(ここで、全長SGK1のセリン422に相当する残基がアスパラギン酸ま
たはグルタミン酸(好ましくはアスパラギン酸)で置換され、かつ/または全長
SGK1のトレオニン256に相当する残基がアスパラギン酸またはグルタミン
酸またはアラニンで置換されている); (3)グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)と上記SGKのいず
れかの変異体の融合ポリペプチド、例えば当業者に公知のようにプラスミドpE
BG2TのGST配列によってコードされているGSTを含んでなる融合タンパ
ク質。例としては実施例1に記載のようにGST−ΔN−SGK[S422D]
が挙げられる。
【0040】 全長SGK1のトレオニン256に相当する残基が例えばアラニン、グルタミ
ン酸またはアスパラギン酸残基で置換されているSGKはリン酸化によって著し
く活性化されることはあり得ず、従って本発明のスクリーニング法に用いられる
その他いくつかのSGKより好ましくない。従って実施例1に記載のようにGS
T−SGK[T256D]、GST−SGK[T256E]、GST−SGK[
T256A]はリン酸化によって著しく活性化されることはあり得ず、従って本
発明のスクリーニング法に用いられるその他いくつかのSGKより好ましくない
【0041】 実施例5に記載されるように、SGK1のセリン422に相当する残基はSG
K2αではセリン356であり、SGK3ではセリン419である。SGK1の
トレオニン256に相当する残基はSGK2αではセトレオニン193であり、
SGK3ではトレオニン253である。
【0042】 全長SGK1の422に相当する残基はグルタミン酸もしくはアスパラギン酸
残基(すなわち酸性残基)、または例えばアラニン残基によってリン酸化され得
る残基で置換されていてもよいSGKはリン酸化によって活性化されることはあ
り得ないか、またはセリン422に相当する残基がそのように置換されていない
SGKよりリン酸化によって活性化される可能性が低い。
【0043】 いずれのタンパク質キナーゼ活性も持たない変異型SGK(「キナーゼデッド
」(kinase dead)変異体)はタンパク質キナーゼ活性を有するがタンパク質キ
ナーゼ活性の変化が識別されないSGKと同様にしてリン酸化され得ると考えら
れる。かかる変異型SGKは全長SGK1のリシン127に相当する残基(AT
P結合部位に存在する可能性がある)が実施例1に記載のようにアラニンで置換
されているSGKであり得る。
【0044】 SGK(上記で定義)はホスファチジルイノシトール依存性タンパク質キナー
ゼ1(PDK1)、またはその変異体、断片、融合体もしくは誘導体、あるいは
その変異体、断片もしくは誘導体の融合物によりリン酸化され得る。PDK1と
は当業者に十分公知であり(例えば参照文献7〜9参照)、特に参照文献9およ
び同時係属出願PCT/GB98/00777に記載および表示されたPDK1
が挙げられる。PDK1の変異体、断片、融合体もしくは誘導体、あるいはその
変異体、断片もしくは誘導体の融合物はタンパク質キナーゼ、好ましくはコンセ
ンサス配列B−−F−C−G−T−(P/I)−(D/E)−Y−(L/I/
M)−A−P−Eに相当するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドをリン酸化
し得るタンパク質キナーゼである。かかるPDK1の変異体はPDK1の機能的
変異体であってよく、本願と同日に出願された「スクリーニング法」と題された
米国特許出願に記載されているようなサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyc es cerevisiae)由来のPkh1およびPkh2が挙げられる。
【0045】 SGKはセリン/トレオニンタンパク質キナーゼ、例えばPP1(Berndt et a
l (1987) FEBS Lett 223, 340-346)、PP2C(Mann et al (1992) Biochem et
Biophys Acta 1130, 100-104)またはタンパク質ホスホリラーゼ2A(PP2A; da C
ruz E Silva (1987) FEBS Lett 221, 415-422)またはそのいずれかの変異体、断
片、融合体もしくは誘導体、あるいはその変異体、断片もしくは誘導体の融合物
によってリン酸化され得る。PP1、PP2CまたはPP2Aまたはそのいずれ
かの変異体、断片、融合体もしくは誘導体、あるいはその変異体、断片もしくは
誘導体の融合物はホスホリラーゼaを脱リン酸化し得る。PP1、PP2C、P
P2Aおよびホスホリラーゼaは当業者に十分に公知である。PP2Aは1μM
のミクロシスチンLRによって不活性化され得る。
【0046】 本発明のさらなる態様は、SGKを不活性化および/または脱リン酸化する方
法におけるセリン/トレオニンタンパク質キナーゼ、例えばPP1、PP2C、
PP2Aまたはそのいずれかの変異体、断片、融合体もしくは誘導体、あるいは
その変異体、断片もしくは誘導体の融合物(上記で定義)の使用である。SGK
は上記で論じられたようにリン酸化されたSGKであってよい。
【0047】 本発明のなおさらなる態様は、SGKを活性化および/またはリン酸化する方
法におけるタンパク質キナーゼ、好ましくはPDK1またはその変異体、断片、
融合体もしくは誘導体、あるいはその変異体、断片もしくは誘導体の融合物(上
記で定義)の使用である。SGKは上記で論じられたよう脱リン酸化されたSG
Kであってよい。
【0048】 本発明のさらなる態様はSGKを活性化する方法(上記で定義)であり、ここ
ではSGKが全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基でリン酸化される
。SGK(例えば、全長ヒトSGKおよびΔN−SGK(61−431))はP
DK1により全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基でリン酸化され得
る。SGKは実施例1および実施例5に記載のようにこの残基でリン酸化される
ことで活性化され得る。全長SGK1のセリン422に相とする残基が酸性残基
、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸で置換されているSGKは、セリン
422に相当する残基がそのように置換されていないSGKよりもより容易にリ
ン酸化および/または活性化され得る。例えば、全長SGK1のセリン422に
相当する残基が酸性残基、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸で置換され
ている組換えSGKは、真核細胞、好ましくは哺乳類細胞で発現された場合に全
長ヒトSGK1のThr256に相当する残基で実質的にリン酸化され得る。か
かる組換えSGKは、以下に記載されるように活性化されたSGKが要されるス
クリーニングアッセイにおいて有用であり得る。
【0049】 例えば実施例1に論じられているように、全長ヒトSGK1のThr256に
相当する残基でSGKをリン酸化し得るタンパク質キナーゼは、いずれかの特定
のタンパク質キナーゼがSGKを活性化し得るかどうかを調べる、かつ/または
SGKのいずれかの残基が特定のタンパク質キナーゼによってリン酸化され得る
かどうかを調べることで同定され得ると考えられる。
【0050】 「全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基」とは例えばヒト全長SG
K1の天然の三次元構造においてThr256によって占められている位置に相
当するタンパク質キナーゼの天然三次元構造における位置を占めるアミノ酸残基
を意味するものとする。ヒト全長SGK1のThr256は触媒ドメインのサブ
ドメインVIIとVIIIの間の「活性化ループ」に位置すると考えられる。
【0051】 Johnson et al (1996) Cell, 85, 149-158およびTaylor & Radzio-Andzelm 81
994) Structure 2, 345-355に概説されているように、タンパク質キナーゼは保
存された触媒コアを示す。このコアは主にアンチ・パラレルβシートからなる小
さなN末端ローブおよいび大部分αらせんである大きなC末端ローブに折りたた
まされている。
【0052】 例えば全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基は、配列間の一致を最
大にするように全長ヒトSGK1のそれを含むポリペプチドの配列を配列するこ
とで同定され得る。このアライメントは目視により、かつ/またはポリペプチド
の同一性%を計算できる、例えばウイスコンシン大学遺伝学コンピューティング
グループのGAPプログラムなどの好適なコンピュータープログラムの使用によ
って行えばよい。配列プログラム(Pearson (1994): Methods in Molecular Biol
ogy, Computer Analysis of Sequence Data, Part II (Griffin, AM and Griffi
n, HG eds) pp 365-389, Humana Press, Clifton)。このようにこの方法で同定
された残基も「同等な残基」である。
【0053】 末端切断型のSGKの場合、または単純なアミノ酸置換が占めている場合には
「同等な残基」を同定するのが容易であると考えられる。
【0054】 ヒトSGK1の配列は例えばWebster et al (1993) Mol Cell Biol 13(4), 20
31-2040に示されている。
【0055】 例えばThr256に相当する残基の同定は保存されている残基を取り巻くア
ライメントに依存すると考えられる。
【0056】 本発明のさらなる態様はSGKを活性化する方法(上記で定義)であり、ここ
では全長ヒトSGKのSer422に相当する残基でSGKがリン酸化される。
SGK(例えば全長ヒトSGKおよびΔN−SGK(61−431))は、PD
K2活性を含む調製物によって全長ヒトSGK1のSer422に相当する残基
でリン酸化され得る。実施例1に記載のように、SGKはこの残基でリン酸化さ
れることで活性化され得る。この方法は細胞、例えばIGF−1および/または
過酸化水素によって刺激される哺乳類細胞で行える。この方法はSGKをコード
する組換えポリペプチドまたは複製可能なベクターを含む宿主細胞を培養し、こ
の細胞を例えばIGF−1および/または過酸化水素で刺激し、さらにその宿主
細胞からポリペプチドを単離することを含んでなり得る。宿主細胞を培養して組
換えタンパク質を単離する方法は当技術分野で十分公知である。
【0057】 Ser422に相当する残基または全長ヒトSGK1のその他の残基は全長ヒ
トSGK1のThr256に相当する残基に関して上記されたものと同様の方法
によって同定され得る。ヒト全長SGK1のSer422はポリペプチドのC末
端に近くに位置している。
【0058】 PDK2活性を含む調製物はコンセンサス配列Phe−Xaa−Xaa−Ph
e/Thr−Ser/Thr−Phe/Thrに相当するアミノ酸配列を含んで
なるポリペプチドをリン酸化し得る。
【0059】 SGKは、例えばin vitroにおいてPDK2の生理学的特徴を持たないか、ま
たはPDK2に必要とされると思われるコンセンサス配列を必要としないと考え
られるタンパク質キナーゼによって、全長ヒトSGK1のSer422に相当す
る残基でリン酸化され得る。このようにin vitroにおいてSGKはin vivoでは
生理学的に適当な様式ではリン酸化されず、PDK2として同定される活性に相
当しないタンパク質キナーゼによってリン酸化されると考えられる。これはMA
PKAPキナーゼ−2(Alessi et al (1996) EMBO J 15, 6541-6551)によるSG
KのSer422に相当する部位(Ser473)でPKBαのin vitroリン酸
化と同様である。MAPKAPキナーゼ−2はPDK2に必要とされることが確
認されているコンセンサス配列を必要としない。
【0060】 全長ヒトSGK1のSer422に相当する残基をリン酸化し得るタンパク質
キナーゼは全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基をリン酸化し得るタ
ンパク質キナーゼを同定するための上記および実施例1に記載のものと同様の方
法によって同定され得る。
【0061】 SGKのリン酸化はPtdIns(3,4,5)Pに依存し得る。特に例え
ばPDK2活性を含む調製物によるSer422に相当する残基のリン酸化はP
tdIns(3,4,5)Pに依存し得る。このようにin vivoではSer4
22に相当する残基にリン酸化はPtdIns3−キナーゼの活性に依存し得る
【0062】 全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基におけるSGKのリン酸化は
全長ヒトSGK1のSer422に相当する残基にリン酸化に依存し得る。ある
いは、実施例1および5に記載されているようにセリン422がアスパラギン酸
残基で置換されているばらば例えばPDK1によるThr256に相当する残基
にリン酸化は増強され得る。このようにThr256のリン酸化は(すなわち増
長されるならば)Ser422に相当する残基がリン酸化されているか、または
アスパラギン酸残基で置換されている必要があると考えられる。
【0063】 実施例5に論じられているように、SGK2は残基Ser279および/また
はSer334でリン酸化され得る。Ser279はSGK、例えばSGK2、
またはPKBによってリン酸化され得る。SGK、例えばSGK2、またはPK
Bは例えばPDK1によるリン酸化によって活性化される必要があろう。Ser
334はPDK1によってリン酸化され得る。SGK3は残基Ser77および
/またはSer79においてリン酸化され得る。これらの残基はSGK、例えば
SGK3、またはPKBによってリン酸化され得る。SGK、例えばSGK3、
またはPKBは例えばPDK1によるリン酸化によって活性化される必要があろ
うが、SGK3のSer77およびSer79のリン酸化はPDK1によるリン
酸化なしに起こり得る。
【0064】 本発明のさらなる態様はSGKの融合ポリペプチド、またはその変異体、断片
もしくは誘導体である。この融合ポリペプチドは例えばSGKの断片またはその
変異体もしくは誘導体を含んでなり、ここでヒト全長SGK1のN末端の約20
個、30個、40個尾、50個または60個のアミノ酸に相当する残基が欠失し
ている。この融合ポリペプチドはさらにグルタチオン−S−トランスフェラーゼ
を含んでなり得る。グルタチオン−S−トランスフェラーゼはSGKまたはその
断片、変異体もしくは誘導体のN末端またはC末端に融合させてもよく、例えば
実施例1および5に示されるようにN末端に融合させるのが好ましい。
【0065】 この融合ポリペプチドはクロスチド(GRPRTSSFAEG、実施例1参照
)のリン酸化に対して少なくとも5%、10%、15%、20%、25%または
30%のSGK、例えばSGK1酵素活性を有するのが特に好ましい。この融合
ポリペプチドはクロスチドのリン酸化に対して少なくとも50%、好ましくは少
なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%のSGK酵素活性を有するこ
とがより好ましい。この融合ポリペプチドは全長ヒトSGK1のThr256に
相当する残基および/またはSer422に相当する残基を含んでなることが好
ましい。例えばそれが高い量で発現されるる、または容易に精製もしくは保存さ
れ得るならば高処理量スクリーニングをはじめとする応用には酵素活性の低い融
合ポリペプチドが有用であると考えられる。しかしながら酵素活性を欠いた融合
ポリペプチドも、例えば別のポリペプチドと相互作用させることで、または抗体
作製における抗原としてやはり有用であり、あるいはかかる変異体、融合体、誘
導体もしくは断片のリン酸化を測定してもよい。PKBα、PKCδ、PKCζ
、p70 S6キナーゼ、MSK1およびMSK2の融合体はSGKの総てまた
は一部を含まない限りは本発明のポリペプチドではないと考えられる。
【0066】 本発明のさらなる態様は、全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基が
置換され(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸またはアラニン残基により)か
つ/または全長ヒトSGK1のトレオニン256に相当する残基が置換されてい
る(例えばアラニン残基により)、かつ/または全長ヒトSGK1のリシン12
7に相当する残基が置換されている(例えばアラニン残基により)ヒトSGKの
アミノ酸配列、またはその断片、変異体、誘導体もしくは融合体を含んでなるポ
リペプチドである。全長ヒトSGK1のリシン127に相当する残基はセリン4
22に相当する残基に関して上記されたものと同様にして同定でき、これはAT
P結合部位にあると考えられる。全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残
基は負電荷を有し得る残基(例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸残基)で
置換されていてもよく、これはセリン422のリン酸化の作用を模倣し得る。あ
るいは、全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基はリン酸化され得ず、
負電荷を有し得ない残基、例えばアラニンで置換されていてもよく、セリンまた
はトレオニンと同じ容積のものが好ましい。全長ヒトSGK1のトレオニン25
6に相当する残基も同様に負電荷を有し得る残基(例えばアスパラギン酸または
グルタミン酸残基)で、またはリン酸化され得ず、負電荷を有し得ない残基、例
えばアラニンで置換されていてもよく、セリンまたはトレオニンと同じ容積のも
のが好ましい。全長ヒトSGK1のリシン127に相当する残基は正電荷を有し
得ない残基、例えばアラニン残基で置換されていてもよい。
【0067】 全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基はアスパラギン酸残基で置換
され、かつ、全長ヒトSGK1のトレオニン256およびリシン127に相当す
る残基は変異していない、すなわちそれぞれトレオニンおよびリシンであるのが
好ましい。全長ヒトSGK1のN末端の20個、30個、40個、50個または
60個のアミノ酸に相当するアミノ酸が存在しない、すなわちSGK1、SGK
2αまたはSGK3に関して欠損があるのがさらの好ましい。ヒトSGK2αが
全長ヒトSGK1のN末端の60個のアミノ酸に相当するアミノ酸配列を有して
ないと考えられる。これは細胞成分との相互作用がその他のSGK、例えばSG
K1、SGK2βまたはSGK3に対するものとヒトSGK2αに対するものが
同じでない結果を有すると考えられる。
【0068】 SGK2はSer279およびSer334ならびにThr193においてリ
ン酸化され得る。このように、代わりにまたはそれに加えて全長SGK2のSe
r279および/またはSer334に相当する残基が負電荷を有し得る残基(
例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸残基)で、またはリン酸化され得ず、
負電荷を有し得ず、好ましくはセリンまたはトレオニンと同じ容積である残基、
例えばアラニンで置換されているのが好ましい。
【0069】 SGK3はSer77およびSer79においてリン酸化され得る。このよう
に代わりに、またはそれに加えて全長SGK3のSer77および/またはSe
r79に相当する残基が負電荷を有し得る残基(例えばアスパラギン酸またはグ
ルタミン酸残基)で、またはリン酸化され得ず、負電荷を有し得ず、好ましくは
セリンまたはトレオニンと同じ容積である残基、例えばアラニンで置換されてい
るのが好ましい。
【0070】 Ser334におけるSGK2のリン酸化、あるいはSer77および/また
はSer79におけるSGK3のリン酸化は活性または例えばSGK2もしくは
SGK3の細胞内の局在を調節すると考えられる。
【0071】 全長ヒトSGK1のトレオニン256に相当する残基がアラニン残基で置換さ
れ、かつ/または全長SGK1のリシン127に相当する残基がアラニン残基で
置換されているヒトSGKのアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド、またはそ
の断片、変異体、誘導体もしくは融合体はリン酸化により活性化され得ず、これ
らはそれぞれかつ/またはタンパク質キナーゼ活性を欠き、従って本発明のスク
リーニング法には有用でないと考えられる。
【0072】 本発明のさらなる態様は本発明のポリペプチドをコードする、例えばSGK2
もしくはSGK3をコードする、あるいはSGK2もしくはSGK3の融合体の
変異体、断片、誘導体、あるいはその変異体、断片もしくは誘導体の融合物をコ
ードするポリヌクレオチドである。このポリヌクレオチド変異体に関する好まし
いものおよび例外は、以下の発現配列タグ(EST)も除かれること以外は本発
明の第1の態様と同じである: このポリヌクレオチドは組換えポリヌクレオチドであってもよい。以下の発現
配列タグ(EST)は除かれる: AA130828(IMAGE Consortium, St Louis, MO, USA);AI38636
2;AA790370:AA138663;AA219166(SGK2に関連
);AA219166(SGK3に関連)。
【0073】 ESTは総て実施例1および5に記載のようにGenbank受託番号によっ
て確認される。
【0074】 このポリヌクレオチドは哺乳類/真核細胞での複製および/またはポリヌクレ
オチドの発現に好適なベクターであればよい。
【0075】 本発明のなおさらなる態様は本発明のポリペプチドを発現するのに好適な組換
えポリヌクレオチドである。上記に挙げたESTはいずれも上記で定義されたポ
リヌクレオチドであるとは考えられないが、誤解を避けるため、上記で除かれた
ESTは本発明の本態様からさらに除かれる。
【0076】 このポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドはDNAであってもRN
Aであってもよいが、好ましくはDNAである。ポリヌクレオチドはそのコード
配列にイントロンを含んでもよいし含まなくともよく、好ましくはこのポリヌク
レオチドはcDNAであるか、またはcDNAを含んでなる。
【0077】 1つの好ましい態様では、このポリヌクレオチドは下記のヌクレオチド配列ま
たはその変異体、断片、融合体または誘導体を含む。
【化9】 または
【化10】 第1のヌクレオチド配列はSGK2αをコードし、第2のものはSGK2βを
コードする。ヌクレオチド配列は適切なオープンリーディングフレームの翻訳と
ともに図1に示されている。
【0078】 もう1つの好ましい態様では、このポリヌクレオチドはヌクレオチド配列また
はその変異体、断片、融合体または誘導体を含む。
【化11】 このヌクレオチド配列はSGK3をコードし、適切なオープンリーディングフ
レームの翻訳とともに図2に示されている。
【0079】 引用されることにより本明細書の一部とされるBotstein and Shortle, "Strat
egies and Applications of In Vitro Mutagenesis," Science, 229: 193-210 (
1985)に記載のように、位置指定突然変異誘発またはその他の技術を用いて置換
、挿入、欠失および転座などの単一または複数の突然変異を作り出すことができ
る。例えば実施例1に記載のように当業者に十分公知のポリメラーゼ連鎖反応に
基づく位置指定突然変異誘発法を用いてもよい。
【0080】 「発現に好適な」とはそのポリペプチドが翻訳されてポリペプチド、例えばR
NAとなり得る、または本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(
好ましくはDNA)がペプチドなどの発現ベクターに発現のために適当な方向で
正しい読み取り枠に挿入されているポリヌクレオチドであることを意味する。こ
のポリヌクレオチドはいずれかの所望の宿主によって認識される適当な転写およ
び翻訳調節制御ヌクレオチド配列に連結してもよく、かかる制御を発現ベクター
に組み込めばよい。
【0081】 哺乳類/真核細胞での複製に好適なベクターの特性は当業者に十分公知であり
、以下に例が示されている。ベクター原核細胞と真核細胞の双方における複製に
好適であると考えられる。
【0082】 ポリヌクレオチド、特にDNAを例えば相補的付着端によってベクターに機能
し得る形で連結するために種々の方法が開発されている。好適な方法はSambrook
et al (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor
Laboratory, Cold Spring Harbor, NYに記載されている。
【0083】 本発明のポリペプチドをコードするDNAを改変する望ましい方法としては、
Saiki et al (1988) Science 239, 487-491により開示されているポリメラーゼ
連鎖反応の使用がある。この方法は、例えば好適な制限部位に操作を施すことに
よって好適なベクターにDNAを導入するのに用いられるか、または当技術分野
で公知のその他の有用な方法でDNAを改変するのに用いてもよい。
【0084】 この方法において酵素的に増幅されるDNAはそれ自身増幅されたDNAに組
み込まれた2つの特異的プライマーによってフランクされている。これらの特異
的プライマーは当技術分野で公知の方法を用いて発現ベクターへクローニングす
るのに使用できる制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含んでいてよい。
【0085】 次ぎに、好適な宿主内でDNA(またはレトロウイルスベクターの場合にはR
NA)を発現させて本発明の化合物を含んでなるポリペプチドを生産する。この
ように本発明の化合物を構成するポリペプチドをコードするDNAは、本明細書
に含まれる技術の点で適宜改変された公知の技術に従って使用して発現ベクター
を構築すればよく、次ぎにこれを用いて本発明のポリペプチドの発現および産生
のために適当な宿主細胞を形質転換する。かかる技術には1989年4月3日に
Rutter et alに対して発行された米国特許第4,440,859号、1985年
7月23日にWeissmanに対して発行された同第4,530,901号、1986
年4月15日にCrowlに対して発行された同第4,582,800号、1987
年6月30日にMaek et alに対して発行された同第4,677,063号、19
87年7月7日にGoeddelに対して発行された同第4,678,751号、19
87年11月3日にItakura et alに対して発行された同第4,704,362
号、1987年12月1日にMurrayに対して発行された同第4,710,463
号、1988年7月12日にToole, Jr. et alに対して発行された同第4,75
7,006号、1988年8月23日にGoeddel et alに対して発行された同第
4,766,075号、および1989年3月7日にStalkerに対して発行され
た同第4,810,648号に記載のものが含まれる。なお、これらは総て引用
することにより本明細書の一部とされる。
【0086】 本発明の化合物を構成するポリペプチドをコードするDNA(またはレトロウ
イルスの場合にはRNA)は適当な宿主に導入するためのその他の多様なDNA
配列に連結すればよい。相手のDNAは宿主の性質、宿主へのDNAの導入方法
、およびエピソームとしての維持か組み込みのいずれが望ましいのかによって異
なる。
【0087】 一般に、DNAはプラスミドなどの発現ベクターに発現のために適切な方向で
正しい読み取り枠に挿入される。要すればDNAは所望の宿主によって認識され
る適当な転写および翻訳調節制御ヌクレオチド配列に連結してもよいが、かかる
制御は一般に発現ベクターにおいて得られる。次ぎにこのベクターを標準的な技
術によって宿主に導入する。一般に必ずしも総てではないが宿主はこのベクター
によって形質転換される。従って形質転換した宿主細胞を選択する必要がある。
1つの選択技術は抗生物質耐性など形質転換細胞における選択可能な性質をコー
ドするDNA配列を必要な制御エレメントとともに発現ベクターに導入すること
である。あるいは、かかる選択可能な性質に関する遺伝子は所望の宿主細胞を同
時形質転換するのに用いられるもう一方のベクターにあってもよい。
【0088】 本発明の組換えDNAによって形質転換された宿主細胞を次ぎにポリペプチド
を発現させるため本明細書に開示される教示の点で当業者に公知の十分な時間、
適当な条件下で培養した後、そのポリペプチドを回収する。
【0089】 実施例1または実施例5に記載のような宿主細胞、例えば293細胞などの哺
乳類細胞は例えば過酸化水素のIGF−1を用いて刺激し、こうして宿主細胞中
でSGKポリペプチドがリン酸化および/または活性化されると考えられる。次
ぎに活性化されたSGKポリペプチドを要すれば例えば実施例1に記載のように
ホスファターゼ阻害剤、例えばミクロシスチンの存在下で回収する。実施例1に
記載のように回収にはグルタチオン−セファロース上で精製が必要である。
【0090】 293細胞はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)1
2301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852-1776カタログ参照番号
ATCC CRL1573から得られるヒト形質転換胎児腎一次細胞である。
【0091】 細菌(例えば大腸菌(E. coli)および枯草菌(Bacillus subtilis)、酵母(例え
ばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、糸状菌(例えば
コウジカビ属(Aspergillus))、植物細胞、動物細胞および昆虫細胞をはじめ多
くの発現系が知られている。
【0092】 これらのベクターにはたとえそのベクターが他の非原核細胞種での発現に用い
られるとしても、原核細胞の複製のためのColE1 oriなどの真核レプリ
コンが含まれる。またこれらのベクターにはそれで形質転換された大腸菌などの
細菌宿主細胞中で遺伝子の発現(転写および翻訳)を命令し得る原核プロモータ
ーなどの適当なプロモーターが含まれる。
【0093】 プロモーターはRNAポリメラーゼの結合を可能にし、転写を起こさせるDN
A配列によりなる発現制御エレメントである。例としての細菌宿主に適合したプ
ロモーター配列は典型的には本発明のDNAセグメントの挿入のための便宜な制
限部位を含むプラスミドベクター中の提供される。
【0094】 典型的な原核ベクタープラスミドとしてはBiorad Laboratories(Richmond, CA
, USA)から入手できるpUC18、pUC19、pBR322およびpBR32
9、ならびにPharmacia, Piscataway, NJ, USAから入手できるpTrc99Aお
よびpKK223−3がある。
【0095】 典型的な哺乳類細胞ベクタープラスミドとしてはPharmacia, Piscataway, NJ,
USAから入手できるpSVLがある。このベクターはクローン化された遺伝子の
発現を駆動するためにSV40後期プロモーターを用いるが、COS−1細胞な
どのT抗原産生細胞で最も高いレベルの発現が見られる。
【0096】 誘導性哺乳類発現ベクターの例としてはこれもPharmaciaから入手できるpM
SGがある。このベクターはクローン化された遺伝子の発現を駆動するためのマ
ウス乳癌ウイルスの長い末端反復の糖質コルチコイド誘導プロモーターを用いる
【0097】 有用な酵母プラスミドベクターとしてはpRS403−406およびpRS4
13−416があり、一般にStratagene Cloning Systems, La Jolla, CA 92037
, USAから入手できる。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405
およびpRS406は酵母組み込みプラスミド(YIps)であり、酵母選択マ
ーカーHIS3、TRP1、LEU2およびURA3を組み込んである。プラス
ミドpRS413−416は酵母セントロメアプラスミド(YCps)である。
【0098】 本発明はまた本発明のポリヌクレオチドベクター構築物で形質転換された宿主
細胞に関する。この宿主細胞は原核細胞か真核細胞のいずれかであり得る。細菌
細胞は好ましい原核宿主細胞であり、典型的には例えばBethesda Resarch Labor
atories INc., Bethesda, MD, USAから入手できる大腸菌DH5株およびRockvil
le, MD, USAのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)か
ら入手できるRR1(ATCC31343)などの大腸菌株がある。好ましい真
核宿主細胞としては酵母、昆虫および哺乳類細胞が挙げられ、マウス、ラット、
サルまたはヒト繊維芽細胞系統に由来するものなどの脊椎動物細胞が好ましい。
酵母宿主細胞としてはYPH499、YPH500およびYPH501が挙げら
れ、これらは一般ににStratagene Cloning Systems, La Jolla, CA 92037, USA
から入手できる。好ましい哺乳類宿主細胞としてはヒト胎児腎293細胞(実施
例1参照)、ATCCからCCL61として入手できるチャイニーズハムスター
卵巣(CHO)細胞、ATCCからCRL1658として入手できるNIHスイ
ス、マウス胚細胞NIH/3T3、およびATCCからCRL1650として入
手できるサル腎由来COS−1細胞が挙げられる。好ましい昆虫細胞としてはバ
キュウロウイルス発現ベクターでトランスフェクトされ得るSf9細胞がある。
【0099】 本発明のDNA構築物による適当な宿主細胞の形質転換は典型的には用いられ
るベクターの種類によって異なる十分公知の方法によって達成される。原核宿主
細胞の形質転換については、例えばCohen et al (1972) Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 69, 2110およびSambrook et al (1989) Molecular Cloning, A Laborator
y Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NYを参照。
酵母細胞の形質転換はSherman et al (1986) Methods In Yeast Genetics, A La
boratory Manual, Cold Spring Harbor, NYに記載されている。Beggs (1978) Na
ture 275, 104-109の方法もまた有用である。脊椎動物細胞については、かかる
細胞のトランスフェクションに有用な試薬、例えばリン酸カルシウムおよびDE
AE−デキストランまたはリポソーム製剤はStratagene Cloning Systemsまたは
Life Techmologies Inc., Gaithersburg, MD 20877, USAから入手できる。
【0100】 エレクトロポレーションもまた細胞を形質転換および/またはトランスフェク
トするのに有用であり、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞および脊椎動物細胞を形
質転換するため当技術分野で十分公知である。
【0101】 例えば、多くの細菌種が引用することにより本明細書の一部とされるuchansky
et al (1988) Mol. Microbiol. 2, 637-646に記載の方法によって形質転換され
得る。最大数の形質転換体が25:FDにて6250V/cmを用いる2.5X
【0102】 PEBに懸濁したDNA−細胞混合物エレクトロポレーションの後に一貫して
回収される。
【0103】 エレクトロポレーションによる酵母の形質転換法はBecker & Guarente (1990)
Methods Enzymol. 194, 182に開示されている。
【0104】 上手く形質転換された細胞、すなわち本発明のDNA構築物を含む細胞は十分
公知の技術によって同定できる。例えば本発明の発現構築物の導入から得られた
細胞は増殖させて本発明のポリペプチドを産生させることができる。細胞を回収
して溶解し、Southern (1975) J. Mol. Biol. 98, 503またはBerent et al (198
5) Biotech, 3, 208によって記載されているもののような方法を用いてそれらの
DNA構築物をDNAの存在に関して調べればよい。あるいは、上清中のタンパ
ク質の存在を以下に記載の抗体を用いて検出してもよい。
【0105】 組換えDNAの存在を直接アッセイすることに加え、組換えDNAがタンパク
質の発現を命令し得る場合には形質転換の成功は十分公知の免疫学的方法によっ
て確認できる。例えば、発現ベクターで上手く形質転換された細胞は適当な抗原
性を示すタンパク質を産生する。形質転換されたと考えられる細胞のサンプルを
回収し、適当な抗体を用いてタンパク質をアッセイすればよい。
【0106】 このように形質転換宿主細胞自身に加え、本発明はまた栄養培地中のそれらの
細胞の培養物、好ましくはモノクローナル(クローンとしてホモの状態)培養物
、またはモノクローナル培養物に由来する培養物も意図する。
【0107】 本発明のさらなる態様は本発明のポリペプチドを作製する方法を提供し、その
方法は組換えポリヌクレオチドたはそのポリペプチドをコードする複製可能なベ
クターを含んでなる宿主細胞を培養し、その宿主細胞からポリペプチドを単離す
ることを含む。宿主細胞を培養して組換えタンパク質を単離する方法は当技術分
野で十分公知である。
【0108】 本発明のなおさらなる態様は本発明のポリペプチドを作製および活性化する方
法を提供し、その方法は組換えポリヌクレオチドまたはそのポリペプチドをコー
ドする複製可能なベクターを含んでなる宿主細胞、好ましくは真核細胞を培養し
、例えばIGF−1および/または過酸化水素で細胞を刺激し、その宿主細胞か
らポリペプチドを単離することを含む。宿主細胞を培養して組換えタンパク質を
単離する方法は当技術分野で十分公知である。宿主細胞は例えばIGF−1およ
び/または過酸化水素によって刺激される哺乳類細胞、例えば293細胞であっ
てもよい。
【0109】 本発明のさらなる態様は本発明の上記方法によって得られるポリペプチドであ
る。
【0110】 本発明のなおさらなる態様はSGKの活性を調整する化合物を同定する方法で
あって、ここでは活性化されたSGKが用いられる。 本発明のさらなる態様は薬剤様化合物または薬剤様化合物の開発のためのリー
ド化合物のスクリーニングアッセイにおける活性化SGKの使用である。薬剤様
化合物または薬剤様化合物の開発のためのリード化合物には医薬上有用な化合物
および医薬上有用な化合物の開発に有用な化合物が含まれると考えられる。かか
るスクリーニングアッセイの例としては以下に記載の本発明の方法が挙げられる
【0111】 本発明のさらなる態様はSGKの活性を調節する化合物(上記で定義)を同定
する方法であり、その方法は化合物とSGKとを接触させ、そのポリペプチドの
活性が化合物の不在下でのSGKの活性と比較して変化するかどうかを調べるこ
とを含んでなり、SGKの活性が、好適なリン酸供与体であるコンセンサス配列
(Arg/Lys;好ましくはArg)−X−(X/Arg)−X−X−(Se
r/Thr)−Z)(ここで、Xはいずれかのアミノ酸を示し、X/Argはい
ずれかのアミノ酸を示し(好ましくはアルギニン)、かつ、Zはアミノ酸残基が
好ましくは疎水性残基であるということを示す)に相当するアミノ酸配列を含ん
でなるポリペプチドの存在下でSGKによるリン酸化を測定することによって測
定される。このポリペプチドはクロスチドまたは表1または表2に記載のその他
の好適なポリペプチド、または好ましくはSGKの生理学的基質(GSK3であ
ってもよい)であってよい。SGK2およびSGK3は自己リン酸化し得ると考
えられる。特にSGK2はSer279を取り巻く上記コンセンサス配列に相当
する配列を含んでなり、従ってこのポリペプチドは、SGK2またはSGK3、
あるいは実施例1に記載のように可能性のある自己リン酸化部位、すなわちSG
K2のSer279、またはSGK3のSer77もしくはSer79を含むい
ずれかの断片であってよい。
【0112】 本発明の上記態様に関して記載されるように、ポリペプチドのリン酸化が起こ
り得る本発明の方法では好適なリン酸供与体の存在が必要とされると考えられる
。好適なリン酸供与体は当業者に公知であり、実施例1に記載されるように例え
ばマグネシウム塩としてのATP(MgATP)が挙げられる。
【0113】 本発明の少なくとも上記3つの態様については、SGKが全長ヒトSGKまた
はN末端切断型SGK(例えば全長ヒトSGK、例えば全長ヒトSGK1の20
個、30個、40個、50個または60個のアミノ酸欠失していてよい、例えば
ΔN−SGK(61−431))または全長ヒトSGKの融合体(好ましくはG
ST融合体)または全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基がアスパラ
ギン酸残基で置換され、全長ヒトSGK1のトレオニン256およびリシン12
7に相当する残基が変異していない、すなわちぞれぞれトレオニンおよびリシン
のままであるN末端切断型SGKであることが好ましい。
【0114】 SGKは本発明の方法に従ってリン酸化により活性化されることが好ましい。
SGKが全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基がアスパラギン酸残基
で置換されているSGK、例えば上記の好ましいSGKであるならば、この残基
はリン酸化されないが、SGKは全長ヒトSGK1のトレオニン256に相当す
る残基(好ましくはトレオニン)のリン酸化によって活性化され得ると考えられ
る。
【0115】 SGKは細胞において、例えばIGF−1または過酸化水素で細胞を刺激する
ことによってリン酸化および/または活性化され得ると考えられる。この細胞は
真核細胞、好ましくは組換えSGKが発現される哺乳類の例えば293細胞であ
ってよい。SGKは実施例1に記載のように、例えば上記および実施例1および
5に記載のようにグルタチオンセファロース(GST−SGK融合ポリペプチド
に関して)を用いて回収および精製すればよい。
【0116】 上記方法の態様では、この化合物は本発明のポリペプチドと相互作用して、例
えばPDK1および/またはPDK2活性を含む調製物またはその他の活性化タ
ンパク質キナーゼによりその活性化を阻害または増強することによって作用し得
る。
【0117】 in vivoでポリペプチドの活性を調整し得る化合物を同定することが望ましい
ことが理解されよう。従って本方法に用いられる試薬および条件はSGKとその
活性化タンパク質キナーゼとの間の相互作用がin vivoにおけるヒトSGKとそ
の活性化タンパク質キナーゼ(これはPDK1およびPDK2活性を有するポリ
ペプチドであり得る)との間のものと実質的に同じとなるように選択すればよい
。このように本アッセイで用いられる活性化タンパク質キナーゼはSGKの生理
学的活性化タンパク質キナーゼ、例えばPDK1またはその機能的同等物、およ
び/またはそのSGKと機能的同等物との間の相互作用がヒトSGKとその生理
学的活性化タンパク質キナーゼとの間のものと実質的に同じとなるPDK2活性
を含む調製物であるのが好ましい。この化合物はSGKに結合できるか、または
活性化タンパク質キナーゼに結合できると考えられる。
【0118】 SGKの生理学的活性化タンパク質キナーゼ、例えばPDK1の機能的同等物
とは生理学的活性化タンパク質キナーゼ、例えばPDK1と実質的に同じ基質特
異性を有する(すなわちコンセンサス配列B−−F−C−G−T−(P/I)
−(D/E)−Y−(L/I/M)−A−P−E(ここでBは塩基性残基である
)の下線の残基をリン酸化し、かつ/またはその生理学的活性化タンパク質キナ
ーゼと同じ残基でSGKをリン酸化し得る)タンパク質キナーゼを意味する。
【0119】 in vivoにおいてポリペプチドの活性を調整し得る化合物を同定するのが好ま
しいことが理解されよう。従って本方法で用いられる試薬および条件はSGKと
その基質の間の相互作用がin vivoにおけるヒトSGKとその基質の間のものと
実質的に同じとなるように選択すればよいと理解されよう。従って本アッセイに
用いられる基質はSGKの生理学的基質またはその断片、変異体、誘導体もしく
は融合体、あるいはSGKとその断片、変異体、誘導体もしくは融合体との相互
作用がヒトSGKとその生理学的基質の間のものと実質的に同じその断片、変異
体もしくは誘導体の融合物(SGKに関して上記で示された定義と同じように定
義される)であるのが好ましい。SGK、例えばSGK1の基質の一例としてS
GK3がある。
【0120】 SGKの生理学的基質には、実施例1でPKBの生理学的基質と呼ばれる、例
えば過剰発現研究で同定される基質が含まれる。SGKの活性化および基質特異
性、ならびにPKBの活性化および基質特異性との類似性に関して本明細書に示
される知見は、これまでにPKBの生理学的基質と同定されている基質がさらに
、またはそうではなくSGK、例えばSGK1、SGK2および/またはSGK
3の生理学的基質であり得ることを示唆していると考えられる。
【0121】 PKBはグルコースおよびアミノ酸の取り込み刺激、グリコーゲンおよびタン
パク質合成、心筋の解糖([7、8]に概説)ならびに特異的遺伝子の転写調節
[9、10]をはじめとするいくつかのインスリン作用を媒介すると考えられて
いる。第二に、著しい割合の卵巣癌および膵臓癌でPKBβイソ型が[11、1
2]、またいくつかの乳癌ではPKBαイソ型が過剰発現する[2]。PKBま
たはSGK様々な経路で誘導されるアポトーシスから細胞を保護する生存シグナ
ルを与え得る([8、13]に概説)。従って遺伝子増幅およびその他のメカニ
ズムによるPKBまたはSGKの活性化は細胞内の生存シグナルの不在下で活動
できる悪性腫瘍の形成の一因となる可能性がある。
【0122】 PKBはArg−Xaa−Arg、−Xaa−Xaa−Ser/Thr−配列
にあるセリンおよびトレオニン残基でタンパク質およびペプチドをリン酸化する
[14]。インスリンシグナル伝達においてPKBの2つの生理学的基質はタン
パク質キナーゼ−グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)[15、1
6]およびホスホフルクトキナーゼ−2の心臓イソ型(PFK2)[8、17]
であると考えられる。PKBによるリン酸化はGSK3活性を阻害してグリコー
ゲンシンターゼおよびタンパク質合成阻害因子eIF2Bの脱リン酸化および活
性化をもたらす[18]。発明者らは本明細書でSGKはin vitroでPKB同様
GSK3の不活性化に有効であることを示す。しかしながら適当な組織で検出さ
れたPKBおよびSGKの相対的レベルをはじめとする要因は、PKBはSGK
よりGSKの調節により重要である可能性を示唆するものである。
【0123】 グリコーゲンシンターゼおよびタンパク質合成阻害因子eIF2Bの脱リン酸
化および活性化[18]はそれぞれグリコーゲン合成およびタンパク質合成のイ
ンスリン誘導性の刺激に帰因し得る。PKBは心臓のPFK2を活性化し、この
ことは心臓におけるインスリン誘導性の解糖刺激の基礎となると考えられる。ア
ポトーシスからの細胞の保護において、BADはPKBの生理学的基質の1つで
あると考えられる(従ってSGKの生理学的基質でもあり得る)。このタンパク
質はその脱リン酸型でBclファミリーに属するBclXLと相互作用し、それ
によりいくつかの細胞でアポトーシスを誘導する。しかしながらPKBはBAD
をSer136でリン酸化する場合には、それはBclXLから解離し、代わり
に14−3−3タンパク質と相互作用し、アポトーシスが阻害される[19]。
従ってアポトーシスの制御に関わるポリペプチドBADはSGK、例えばSGK
1、2および/または3の生理学的基質であり得る。
【0124】 1つの態様では、この化合物はSGKポリペプチドの活性を低下させる。例え
ばこの化合物は実質的に可逆的にまたは実質的に不可逆的にこのポリペプチドの
活性部位と結合し得る。さらなる例では、この化合物は活性部位でないポリペプ
チドの一部と結合してポリペプチドと基質の結合と相互作用し得る。なおさらな
る実施例では、この化合物はそのポリペプチドの一部と結合してアロステリック
作用によってポリペプチドの活性を低下させ得る。このアロステリック作用は、
例えばPDK1および/またはPDK2(またはPDK2活性を含む調製物)な
どの「上流アクチベーター」によるポリペプチドの活性化においてそのポリペプ
チドの活性の天然の調節に関わるアロステリック作用であり得る。
【0125】 さらなる態様では、この化合物はそのポリペプチドの活性を増強する。例えば
この化合物は活性部位ではないポリペプチドの一部と結合してそのポリペプチド
とその基質の結合を助けることができる。なおさらなる実施例では、この化合物
はそのポリペプチドの一部と結合してアロステリック作用によりそのポリペプチ
ドの活性を増強し得る。このアロステリック作用は、例えばPDK1および/ま
たはPDK2(またはPDK2活性を含む調製物)などの「上流アクチベーター
」によるポリペプチドの活性化においてそのポリペプチドの活性の天然の調節に
関わるアロステリック作用であり得る。
【0126】 便宜には本方法は実施例1に記載のようにSGKがクロスチドをリン酸化する
ということを用いるが、好適ないずれかの基質、例えばSGKの生理学的基質を
使用してもよい。例えばクロスチドのリン酸化は当業者に十分公知の技術を用い
て測定すればよい。
【0127】 便宜には本方法は実施例1に記載のものと実質的に同様のアッセイを用いる。
実施例1では、SGKによるクロスチドのリン酸化が測定される。SGKは組換
えSGKであるのが好ましい。
【0128】 あるいは基質の活性の変化を測定してもよい。これは全細胞系で、または精製
または部分精製された成分を用いて行ってよい。従って基質のリン酸化は基質の
活性の変化を測定することで測定すればよいと考えられる。例えばこの基質はG
SK3であってよく、GSK3のリン酸化は実施例1に記載のようにGSK3の
活性を測定することで測定すればよい。基質活性に対する化合物の作用は例えば
化合物を曝す場合には(1)基質をSGKに曝した後、(2)基質をSGKに曝
す前に、かつ/または(3)SGKに曝さずに基質の活性を測定することで決定
する必要があると考えられる。
【0129】 同様に、SGKの基質によって(直接的または間接的に)調節されるプロモー
ターから転写されるRNAによってコードされているタンパク質の発現を測定し
てもよい。レプチンの発現はPKB(Baethel et al (1997) Endocrinol 183, 35
59-3562)および/またはSGKによって作用を受け得る。脂肪組織におけるob
遺伝子の産物であるレプチンの発現はin vivoおよびvitroにおいてインスリンに
よって調節されることがこれまでに記載されている。PKBの構成的活性型はお
そらく非転写的メカニズムを介して3T3−L1含脂肪細胞においてレプチンの
産生を誘導するものであった。従ってレプチンの発現はPKBおよび/またはS
GKによって制御され得る。
【0130】 IGF−1結合タンパク質の発現はPKBによって作用を受け得る(Cichy et
al (1998) J Biol Chem 273, 6482-6487)。ホスホエノールピルビン酸カルボキ
シキナーゼ(PEPCK)の発現もまたPKBによって作用を受け得る(Sutherl
and et al (1998) J Biol Chem 273, 3198-3204)。このタンパク質はSGKの基
質によって生理学的に調節されるものであるか、または当業者に十分公知のよう
に「リポーター」タンパク質であってもよい(すなわち組換え構築物を用いても
よい)。リポータータンパク質はその活性が容易にアッセイされ得るもの、例え
ばβ−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼま
たはルシフェラーゼであってもよい(例えば、Tan et al (1996)参照)。
【0131】 本発明のなおさらなる態様は、上記で論じたSGKの基質、好ましくは生理学
的基質(例えばGSK3またはBADであり得る)と結合し、SGKによるその
活性化および/またはリン酸化を増強か阻害するかのいずれかの化合物を同定す
る方法を提供し、その方法はその化合物が基質とSGKとの相互作用を増強する
か阻害するかを調べる、あるいはその化合物がSGKによる基質のリン酸化およ
び/または活性化を実質的に阻害するかどうかを調べることを含んでなる。
【0132】 好適なアッセイは上記のものと同様である。
【0133】 本発明のさらなる態様はポリペプチドと相互作用する、好ましくは上記で論じ
たPDK1などのポリペプチド、またはPDK2活性を有するポリペプチド(P
DK2活性を含む調製物として提供され得る)と生理学的に相互作用することに
よりSGKの活性化を調整する(例えば阻害または増強する)化合物を同定する
方法であり、この方法は、化合物が(a)SGKと(b)PDK1、またはPD
K2活性を含む調製物もしくはPDK1もしくはPDK2の機能的同等物などの
相互作用するポリペプチドとの間の相互作用を増強するか阻害するかを調べる、
あるいは化合物がPDK1、またはその機能的同等物またはPDK2活性を含む
調製物もしくはその機能的同等物などの相互作用するポリペプチドによるSGK
の活性化を調整する(例えば増強するまたは実質的遮断を含み阻害する)かどう
かを調べることを含んでなる。
【0134】 PDK1の発現は実施例1に記載されており、PDK1の配列を記載する参照
文献も示されている。
【0135】 本発明のなおさらなる態様は、活性化されたSGKと相互作用するポリペプチ
ドを同定する方法を提供し、その方法は (1)(a)SGKと(b)活性化されたSGKと相互作用するポリペプチド
を含み得る組成物を接触させ、 (2)SGKおよびポリペプチドを含む複合体の存在を検出し、 (3)所望により、タンパク質キナーゼと結合したいずれものポリペプチドを
同定する ことを含んでなる。
【0136】 1つの態様では、その化合物は細胞に由来する材料を含んでなる。特にこれら
の細胞は以下のタイプのものから選択され得る:(1)たとえ刺激されたとして
もSGKを発現しない細胞、(2)刺激に曝された後にSGKを発現するが、そ
のように曝されなかった細胞、(3)刺激に曝された後のタイプ2の細胞および
(4)SGKを活性化する刺激に曝された後(例えば293細胞の過酸化水素ま
たはIGF−1への曝露)のタイプ3の細胞。タイプ1〜4のサブセットだけに
見られるポリペプチドが特に注目され、これをさらに同定すればよい。かかるポ
リペプチドはSGKのアクチベーターであり得る。あるいはそれはSGKのイン
アクチベーターであり得る。
【0137】 本方法は細胞内で、例えば当業者に十分公知の酵母ツー・ハイブリッド系を用
いて行えばよいと考えられる。この例では、上記の3種の細胞タイプに由来する
mRNAからコピーされたcDNAが使用される。
【0138】 さらに、例えばSGKの基質、例えばSGK1、SGK2および/またはSG
K3の基質を同定するにはSGK遺伝子が変更され、かつ/または組換えSGK
遺伝子が存在するトランスジェニック動物、例えば齧歯類、特にマウスが有用で
あると考えられる。各SGK遺伝子が存在するトランスジェニック動物(例えば
少なくともSGK1、SGK2およびSGK3遺伝子が変更されているもの)は
特に有用であると考えられる。総てを含む1以上のPKB遺伝子もまた変更され
、かつ/または組換えPKB遺伝子が存在するトランスジェニック動物も有用で
あると考えられる。
【0139】 便宜には本発明の方法に用いられるSGKは組換えDNA技術によって作製さ
れたもの、すなわち組換えSGKである。同様にPDK1または本方法で用いら
れるその他の「上流アクチベーター」が組換えDNA技術によって作製されたも
のであることが好ましい。同様に必ずしも不可欠ではないが基質、例えばGSK
3またはクロスチドは当業者に公知の組換えDNA技術または自動合成技術によ
って作製するのが好ましい。あるいはGSK3はウサギ骨格筋から精製してもよ
い(実施例1およびそこに記載の参照文献を参照)。
【0140】 アッセイで用いる前にSGKを活性化する必要があると考えられる。好ましい
態様では、実施例1および5に記載されるようにSGKはin vitroにてポリペプ
チドをPDK1およびMgATPで処理することで活性化される。組換え体また
は内生SGKは細胞、例えば293細胞内で例えば実施例1および5に記載のよ
うにIGF−1または過酸化水素で細胞を刺激することで活性化され得る。この
SGKが本発明の方法に従って産生される組換えポリペプチドであれば特に好ま
しい。SGKが全長ヒトAg形質転換1のセリン422に相当する残基がアスパ
ラギン酸残基で置換され、全長ヒトSGK1のトレオニン256およびリシン1
27に相当する残基がそれぞれトレオニンおよびリシンのままであるSGKであ
ればなおさらに好ましい。
【0141】 「好適な」とは本方法の化合物が、SGKまたはSGKもしくはクロスチドも
しくはSGK3の生理学的基質またはその他の基質と実質的に同様の相互作用ま
たは活性を有するもの、あるいはPDK1のようにあり得るがアッセイにおいて
用いるのにより便宜な上流アクチベーターであることを意味するものとする。例
えば、SGKとPDK1の融合体は、その融合体を容易に精製させる部分を含ん
でいると考えられるので特に有用である。
【0142】 記載の方法は細胞において実施されると考えられる。「リポーター遺伝子」構
築物は本明細書の教示を用い当業者に公知の方法によって作製できる。例えばリ
ポーター遺伝子構築物はレプチン遺伝子プロモーター配列またはIGF−1結合
タンパク質遺伝子プロモーター配列またはその他のPKBおよび/またはSGK
依存性プロモーター配列を用いて作製すればよい。この構築物はその親細胞系統
で公知の刺激に応答してレプチンが活性化され、かつ、内生SGK遺伝子(およ
び所望によりPKB遺伝子)が不活性化されている細胞系統にSGK構築物をと
もに導入すればよい。あるいはリポーター遺伝子構築物はSGKおよびSGKの
基質が公知の刺激に応答して活性化される細胞系統に導入すればよい。リポータ
ー遺伝子の発現はSGKの活性に依存するので化合物の作用は測定可能である。
さらなる例では、このリポーター遺伝子は細胞に致死的であってもよく、あるい
はまたその他の致死条件下で細胞を生存させるものであってもよい。次ぎに細胞
の生存は例えばWST−1(Boehringer)の還元のようなミトコンドリア活性に関
する比色アッセイを用いて測定できる。WST−1はコハク酸デヒドロゲナーゼ
を介する受容電子に対して吸光度の変化を受けるフォルモサン色素である。さら
なる態様では酵母ツー・ハイブリッド系が用いられる。
【0143】 SGKと上記に定義された相互作用するポリペプチド、または適当な誘導体、
断片、融合体もしくは変異体との間の相互作用の増強または阻害はin vitroにて
生化学分野で十分公知の方法を用いて測定でき、これにはタンパク質間相互作用
をアッセイするのに使用できるいずれもの方法が含まれる。
【0144】 この相互作用はまた、当技術分野で十分公知であるように例えば酵母ツー・ハ
イブリッド系を用いて細胞内で測定できる。
【0145】 本発明はSGKの活性またはその上流アクチベーターとの相互作用を調整する
、例えば増強するか阻害するかのいずれかに有用であり得る薬剤のスクリーニン
グアッセイを提供すると考えられる。本方法で同定される化合物はそれ自体薬剤
として有用であるか、またはより有効な化合物の設計および合成のためのリード
化合物を提供し得る。
【0146】 高処理量操作が可能なスクリーニングアッセイは特に好ましいと考えられる。
その例としては記載されている細胞に基づくアッセイおよびタンパク質−タンパ
ク質結合アッセイが挙げられる。さらなる例としては、実施例2に記載のような
SPAに基づく系(シンチレーション近接アッセイ)がある。
【0147】 この化合物は薬剤様化合物、または化合物を同定する上記方法の各々のための
薬剤様化合物の開発のためのリード化合物であり得る。これらの方法は当業者に
十分公知なように医薬化合物または薬剤の開発におけるスクリーニングアッセイ
として有用であると考えられる。
【0148】 「薬剤様化合物」(drug-like-compound)とは当業者に十分公知であり、医療
用途に、例えば薬剤中の有効成分として好適とする特徴を有する化合物を意味す
るものとする。従って例えば薬剤様化合物は有機化学の技術、好ましくはないが
分子生物学または生化学の技術によって合成され得る分子であってよく、好まし
くは5000ダルトンより小さい水溶性の小分子である。薬剤様化合物はさらに
特定のタンパク質と選択的に相互作用する特徴を示し、バイオアベラビリティー
があり、かつ/または標的細胞膜を透過するが、これらの特徴は不可欠ではない
と考えられる。
【0149】 「リード化合物」(lead compound)も同様に当業者に十分公知であり、それ
自体薬剤として用いるには適当でないが(例えばその意図される標的に弱い効果
しかなかったり、その作用が非選択性であったり、不安定であったり、溶解度が
不十分であったり、合成が困難であったり、あるいはバイオアベラビリティーが
不十分であったりするため)、より望ましい特徴を有する他の化合物の設計の起
点となり得る化合物を意味するものとする。
【0150】 高処理量操作が可能となるスクリーニングアッセイが特に好ましいと考えられ
る。その例としては細胞に基づくアッセイおよびタンパク質−タンパク質結合ア
ッセイが挙げられる。SPAに基づく系(シンチレーション近接アッセイ; Amer
sham International)を使用してもよい。例えばシンチラントと基質ポリペプチ
ド、例えばクロスチドまたはクロスチドのアミノ酸配列を含んでなるペプチドと
を含んでなるビーズを作製すればよい。これらのビーズを32P−または33
−γ−標識ATP、SGK(上記で定義)を含んでなるサンプルと、また試験化
合物と混合すればよい。便宜にはこれは96ウェル形式で行う。次ぎにこのプレ
ートを好適なシンチレーションカウンターを用い、32Pまたは33P SPA
アッセイに関して公知のパラメーターを用いて計数する。シンチラントに近接し
て存在する32Pまたは33Pだけを、すなわちビーズと結合しているクロスチ
ドと結合しているものだけを検出する。例えば基質ポリペプチドが抗体または抗
体フラグメントを介してシンチラントビーズに固定化されているかかるアッセイ
の変法を使用してもよい。
【0151】 ポリペプチド/ポリペプチド相互作用を検出するその他の方法としてはイオン
スプレー質量分析/HPLC法を伴う限外濾過またはその他の物理的および分析
的方法が挙げられる。例えば当業者に十分公知の蛍光エネルギー共鳴移動(FR
ET)法を用いてもよく、ここでは2つの蛍光標識物質の結合が互いに近接して
いる場合に蛍光標識の相互作用を測定することで測定すればよい。
【0152】 本発明のさらなる態様は例えば本発明のスクリーニング法といった方法を実施
するのに有用な製品キットである。かかるキットはSGK(上記で定義)、PD
K1もしくはその機能的同等物またはPDK2活性を含む調製物もしくはその機
能的同等物および/またはSGKの基質、例えばクロスチドまたはGSK3また
はBADを含んでなってよい。
【0153】 本発明にさらなる態様は本発明の方法によって同定可能なまたは同定される化
合物である。
【0154】 本発明の化合物はPKB、例えばPKBαまたはPDK1の活性または活性化
を調整しないことが好ましい。従ってPKB、例えばPKBαまたはPDK1の
活性または活性化に対する、本発明のスクリーニング法によって同定されるいず
れかの化合物の作用を評価することが望ましいと考えられる。PKBの活性また
は活性化に対するいずれかの化合物の作用を評価する方法は当業者に公知であり
、それは上記でSGKについてSGKと同様に定義されたように、SGKまたは
適当な変異体、断片、誘導体もしくは融合体、あるいは適当な変異体、断片もし
くは誘導体の融合物の置換を有するSGKの活性または活性化に対する化合物の
作用を評価することについて本明細書で記載された方法と同様であり得る。
【0155】 本発明のさらなる態様はSKGの基質を同定する方法であり、ここではSGK
の活性を調整する、例えば阻害するがPKB、例えばPKBβの活性を調整しな
い、例えば阻害しない化合物が用いられる。例えば、この方法は細胞内代謝に対
する、SGKを阻害するがPDK1は阻害しない化合物の作用を評価する方法で
あってよい。従って例えば、実施例1で論じられるように、PKBαの活性化に
よって媒介されると考えられるシグナル伝達に対するかかる化合物の作用を評価
してもよい。かかる方法は全細胞で行っても、部分的または半精製細胞成分に対
して行ってもよいと考えられる。あるいは、PKB、例えばPKBαの活性を調
整する、例えば阻害するが、SGKの活性は調節しない、例えば阻害しない化合
物を上記と同様にしてSGKの基質を同定する方法に用いてもよい。
【0156】 本発明のなおさらなる態様は医療に用いられる本発明の方法によって同定可能
なまたは同定される化合物である。
【0157】 本発明のさらなる態様はSGK、例えSGK1、SGKおよび/またはSGK
3に活性の調整を必要とする患者の治療用医薬の製造における、本発明の方法に
よって同定可能なまたは同定される化合物の使用である。
【0158】 好ましくは患者は哺乳類である。さらに好ましくは患者はヒトである。
【0159】 SGKの活性を低下し得る化合物は癌の治療に有用であり得る。PKBおよび
/またはSGKは種々の経路で誘導されるアポトーシスから細胞を保護する生存
シグナルを与え得る([8、13]に概説)。従ってかかる化合物はアポトーシ
スを助けると考えられる。SGKの活性の低下はアポトーシスを促進し、従って
癌の治療に有用であり得る。アポトーシスを助ける条件は有益であり、それはま
た炎症の消散も含む。
【0160】 SGK2の活性の調整を必要とする患者は肝臓、腎臓および/または脳を侵す
疾病または症状を有すると考えられる。
【0161】 SGKの活性を増強し得る化合物は糖尿病または肥満の治療に有用であり、ア
ポトーシスを阻害するのに有用であると考えられる。PKBおよび/またはSG
Kの活性の増強は上記で論じられたように高レベルのレプチンをもたらし、これ
が体重低下をもたらすと考えられ、従ってかかる化合物は体重低下をもたらす可
能性がある。例えばかかる化合物は細胞アポトーシスを抑制し、細胞損傷過程中
または過程後の細胞の生存を助ける。かかる化合物はアポトーシスが関与する疾
病の治療に有用であると考えられる。かかる疾病の例としては、限定されるもの
ではないが物理的(熱によるものを含む)組織損傷または虚血性疾患、例えば卒
中および心筋梗塞、神経傷害および心筋梗塞が挙げられる。従ってSGKの活性
の調整を必要とする患者とは、癌もしくは糖尿病患者、またはアポトーシスの阻
害を必要とする患者、例えば組織損傷もしくは卒中をはじめとする虚血性傷害患
者であり得る。
【0162】 このように本発明のさらなる態様は虚血性疾患患者を治療する方法を提供し、
その方法は本発明のスクリーニング法によって同定可能な化合物の有効量を患者
誘導体に投与することを含んでなる。
【0163】 なおさらなる発明は患者の虚血性疾患を治療する医薬の製造における本発明の
スクリーニング法によって同定可能な化合物の使用を提供する。
【0164】 従って本発明のさらなる態様は虚血性疾患患者を治療する方法を提供し、その
方法は本発明のスクリーニング法によって同定可能な化合物の有効量を患者に投
与することを含んでなる。
【0165】 患者がアポトーシスの誘導を必要とする患者、例えば癌患者であれば、医薬の
調製に用いられる本発明の化合物がSGKの活性を低下し得ることが好ましい。
患者が糖尿病患者またはアポトーシスの阻害を必要とする患者、例えば虚血性疾
患患者であれば、医薬の調製に用いられる本発明の化合物がSGKの活性を増強
し得るのが好ましい。
【0166】 本発明の化合物はSGK1、SGK2および/またはSGK3の活性を種々の
程度で調整し得ると考えられる。特定の用途に関して上記の形態のSGKに対し
て特定の活性プロフィールを有する化合物を選択することが望ましいと考えられ
る。SGK2 mRNAは肝臓、腎臓、膵臓および脳で最も高いレベルで存在す
るが、SGK1およびSGK3をコードするmRNAは試験した総ての組成物で
同等である。従って虚血性肝疾患を治療する医薬の調製に用いるには、SGK2
の活性を増強し得る化合物を選択することが重要である。
【0167】 本発明の上記化合物またはそれらの製剤は経口および非経口(例えば皮下また
は筋肉内)注射をはじめいずれの便宜な方法によって投与してもよい。この治療
薬は単一用量からなっても一定時間にわたる複用量からなってもよい。
【0168】 本発明の化合物は単独で投与することもできるが、1以上の許容される担体と
ともに医薬製剤として提供するのが好ましい。担体は本発明の化合物と適合し、
かつその受容者に悪影響を及ぼさないという点で「許容」されるものでなければ
ならない。典型的にはこれらの担体は無菌かつ発熱物質を含まない水または生理
食塩水である。
【0169】 従って本発明はまた、本発明のスクリーニング法によって同定可能な化合物と
医薬上許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0170】
【実施例】実施例1: ホスファチジルイノシチド3−キナーゼを活性化するアゴニストによるSGKの 活性化はPDK1およびPDK2によって媒介される 要約: 3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ−1および2(PDK
1、PDK2)によるタンパク質キナーゼB(PKB)のPtdIns(3,4
,5)P依存性活性化はPtdIns3−キナーゼを活性化するシグナルの作
用の媒介において重要な現象である。血清および糖質コルチコイド誘導性タンパ
ク質キナーゼ(SGK)はPKBと最も類似しており(触媒ドメインにおいて5
4%の同一性)、PtdIns(3,4,5)P結合性プレクストリン相同(
PH)ドメインを欠くものの、PDK1によって(Thr308)およびPDK
2によって(Ser473))リン酸化されるPKB中の残基は保持している。
本明細書では、本発明者らはPKB同様SGKは、293細胞がインスリン様増
殖因子−1(IGF−1)で刺激されるかまたは過酸化水素に曝されるとPtd
Ins3−キナーゼP依存性経路を介して活性化されるということを示してい
る。この発見に一致して、PDK1はin vitroで、Thr256、すなわちPK
BのThr308に相当する残基をリン酸化することによりSGKを活性化する
が、活性化の速度はPtdIns(3,4,5)Pの影響を受けない。しかし
ながら、in vitroでのSGKのPDK1誘導性活性化はSer422(PKBの
Ser473に相当する残基)のAspへの変異によって大幅に増強される。こ
の発見に一致して、293細胞において発現されるSGK[Ser422Asp
]は刺激を受けていない細胞においてでさえもリン酸化によって完全に活性化さ
れており、この活性化はPtdIns3−キナーゼの阻害剤の影響を受けない。
PKBとは対照的に、Ser422の変異体はそれ自身ではSGKの活性化を全
く誘導せず、またThr256のAspへの変異体も活性化を無効にする。本発
明者らの結果はIGF−1または過酸化水素によるSGKの活性化がSer42
2をリン酸化するPDK2のPtdIns(3,4,5)P依存性活性化によ
って開始されるモデルと一致する。次いで、これにPDK1によって触媒される
Thr256でのPtdIns(3,4,5)P依存性活性化が続き、これが
SGkを活性化する。PKB同様、SGKは好ましくはArg−Xaa−Arg
−Xaa−Xaa−(Ser/Thr)−モチーフ中に位置するセリンおよびト
レオニン残基をリン酸化し、またSGKおよびPKBはin vitroでグリコーゲン
シンターゼキナーゼ−3(GSK3)を同様の速度で不活性化した。これらの発
見により構造的に活性なPKB変異体の過剰発現に基づいてPKBに割り当てら
れるいくつかの生理学的役割はSGKによって媒介され得るという可能性が高ま
る。
【0171】材料および方法 材料: ヒトPDK1は293細胞においてグルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ(GST)融合タンパク質として発現させ、グルタチオン−セファロースで
精製した[9]。V8プロテアーゼ(プロテアーゼGlu−C)および完全プロ
テアーゼ阻害剤反応混液はBoehringer Mannheimから購入した。cAMP依存性
タンパク質キナーゼ(PK1)の特異的タンパク質阻害剤の残基5〜24および
総てのその他のペプチドはDepartment of MRC Protein Phosphorylation Unit,
University of DundeeでMr. F. B. Cauwellによって合成された。その他の材料
の供給源は[6]に示されている。
【0172】バッファー溶液: バッファーAは50mMのTris/HCl pH7.5、
1mMのEDTA、1mMのEGTA、1%(w/v)のTriton X−1
00、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、50mMのNaF、5mMのピロ
リン酸ナトリウム、0.27Mのスクロース、0.1%(v/v)の2−メルカ
プトエタノールとした。溶解バッファーは1μMの微小シスチン−LR、および
完全プロテアーゼ阻害剤反応混液(1錠/50ml)を含有するバッファーAと
した。バッファーBは50mMのTris/HCl pH7.5、1mMのED
TA、0.1%(v/v)の2−メルカプトエタノールとした。
【0173】SGKを発現するプラスミドおよび位置指定突然変異誘発: 幼児脳ライブラリ
ー由来のヒトSGKをコードする全長cDNAはI.M.A.G.Eコンソーシ
アム(クローンID42669)から入手し、オリゴヌクレオチド5’−ACA
CGG ATC CGC CAC CAT GTA TCC ATA TGA
TGT TCC AGA TTA TGC TAC GGT GAA AAC
TGA GGC TGC TAA GGG C−3’および5’−ACA C
GG TAC CGT CGA CTC AGA GGA AAG AGT C
CG TGG GAG G−3’を用いてPCR増幅によって改変して5’末端
のBamHI部位(pEBG2TベクターのGST配列を有するフレームにおい
て)および3’末端のKpuI部位を導入した。PCR産物をBamHIおよび
KpnIで消化しpEBG−2Tのクローニング部位に挿入した。N末端の60
個の残基を欠くSGKの末端切断型(ΔN−SGK)はcDNAの5’のBam
Hi部位と開始コドンから175bpに位置するBglII部位との間の断片を除
去し、次いでKlenowフラグメントでギャップを埋めた後に再連結すること
によって得た。SGK遺伝子中の総ての点変異はPCRを用いるin vitroでの突
然変異誘発によって導入した。
【0174】293細胞におけるSGKの発現 細胞は改変リン酸カルシウムゲル法[6]を用いて10μg(10cmシャー
レ)または3μg(6cmシャーレ)のpEBG−SGK構築物でトランスフェ
クトした。トランスフェクションの24時間後に、細胞から16時間血清を取り
除き、次いで、100nMのウォルトマンニンを含むか含まないで10分間イン
キュベートするか、またはその他の阻害剤を含むか含まないで1時間インキュベ
ートし、次いで50ng/mlのIGF−1または2mMの過酸化水素で刺激し
た。細胞は、PKBについて記載したように[6]、1mlの氷冷溶解バッファ
ー中で溶解し、13,000gで5分間遠心分離し、グルタチオン−セファロー
スでGST−SGKを精製した。グルタチオン−セファロース溶出液はアリコー
トで−80℃で保存した。
【0175】SGKのリン酸化およびアッセイ: リン酸化は30℃にて50mMのTris
/HCl pH7.5、0.1mMのEGTA、0.1%(v/v)の2−メル
カプトエタノール、2.5μMのPKI、1μMの微小シスチン−LR、10m
Mの塩化マグネシウムおよび100μMのATPを含有する50μlのインキュ
ベーション中で実施した。ホスファチジルクロリン(100μM)を含有する脂
質小胞が示されれば、ホスファチジルセリン(100μM)およびPtdIns
(3,4,5)P(1μM)も含まれていた。SGK活性はPKBに関して記
載されるように[6]、基質として30μMでペプチドGRPRTSSFAEG
(「クロスチド」)を用いて正確にアッセイした。1単位の活性(U)は1nモ
ルのクロスチドのリン酸化を1分で触媒する量とした。
【0176】PDK1によってリン酸化されるSGK上の部位のマッピング: Ser422
がAspに変異されているN末端切断型SGK(GST−ΔN−SGK[S42
2D])(26μg)をPP2A(30mU/ml)(ここで、1単位の活性は
1nモルのホスホリラーゼaの脱リン酸化を1分で触媒する量である)とともに
30℃で20分間インキュベートした。PP2Aを不活化するために微小シスチ
ン−LRを1μMまで添加した後、SGKをGST−PDK1(2μg)および
[γ32P]ATP(5,000cpm/pmol)とともに30℃で30分イ
ンキュベーションすることによってリン酸化した。反応は30分後にSDSおよ
び2−メルカプトエタノールをそれぞれ1%(w/v)および1%(v/v)の
最終濃度まで添加し、次いで、95℃で5分間加熱することによって停止させた
。 次いで、サンプルを2%(v/v)の4−ビニルピリシンとともに30℃で1時
間インキュベートしてシステイン残基をアルキル化し、10%SDS/ポリアク
リルアミドゲルで電気泳動に付し、32P標識したSGKをゲルから溶出させ、
トリクロロ酢酸を20%(w/v)まで添加することによって沈殿させた。沈殿
したタンパク質は0.2mlの水で6回洗浄し、0.3mlの50mMのNH HCO(pH7.8)に再懸濁し、結果で記載したようにV8プロテアーゼ(
1μg)で18時間消化し、次いで、Vydac C18カラムでクロマトグラ
フィーに付した。ペプチド画分はマトリックスとして10mg/mlのα−シア
ノ桂皮酸を用いてPerceprive Biosystems(Framingham,
MA)Elite STR MALDI−TOF質量分析計でリニアおよびリフレ
クタ−モードで分析した。ホスホアミノ酸分析は[26]に記載のように実施し
た。
【0177】結果 293細胞におけるSGKの発現 そのN末端に赤血球凝集素タグを有するSGKを発現させる最初の試みは、発
現されたタンパク質が不溶性であったので不成功に終わった。従って、本実施例
で報告される研究は、293細胞において発現された場合に可溶性であるGST
融合タンパク質を用いて実施した。293細胞では全長GST−SGK(図2A
、レーン2)はGST−PKBα(図2A、レーン3)よりもかなり低いレベル
で発現した。この低レベルの発現はSGKのN末端の60個の残基によると考え
られるが、これはそれらの除去により発現レベルが50〜250倍が高まった(
図2B、レーン4および5)からである。通常、10〜50μgの20%の純粋
な全長SGKおよび0.5mgの80%の純粋なΔN−SKG(61−431)
が10枚の直径10cmのシャーレの細胞から得られた。
【0178】in vitroでのPDK1による野生型SGKのリン酸化および活性化 293細胞から精製したGST−SGKの活性はタンパク質ホスファターゼ2
A(PP2A)(図3)、すなわちセリン/トレオニン特異的ホスファターゼと
ともにインキュベーションした後に70%低下し、不活性化は微小シスチン、す
なわち特異的PP2A阻害剤によって阻害された[27]。従って、SGKの基
礎的な活性は1個以上のセリン/トレオニン残基でのそのリン酸化に起因する。
【0179】 GST−SGKはPDK1によってリン酸化され得(図4A)、またリン酸化
は基礎的な活性において10倍まで増加した(図4B)。GST−SGKをまず
PP2Aでの処理によって不活性化し、次いでPDK1でリン酸化した場合にも
ほとんど同一レベルの活性を達成した(示されていないデータ)。しかしながら
、PDK1はGST−SGKをPKBαよりもはるかにより遅くリン酸化し、達
成され得るリン酸化の最大化学量論は、PKBαの0.5モル/モルに比べ0.
05モル/モルであった。さらに、PKBαの活性化とは異なり、SGKのリン
酸化(図4A)および活性化(図4B)はホスファチジルセリンおよびホスファ
チジルコリンを含有する脂質小胞の存在(図4)または不在下(示されていない
データ)でPtdIns(3,4,5)Pの影響を受けなかった。
【0180】Ser422およびThr256の変異のSGKの活性に対する作用 PKBαはThr308のAspへの変異またはSer473のAspへの変
異によって部分的に活性化され(5倍)、両変異が組み合わされるとほとんど完
全に活性化され得る(20倍)。従って。同等の変異のSGKの活性に対する作
用を調べることは興味深いことであった。
【0181】 トランスフェクトした293細胞から精製したGST−SGK[T256D]
、GST−SGK[T256E]またはGST−SGK[T256A]は総て野
生型SGKよりもかなり活性が低く、これらの活性はPP2Aで処理した野生型
SGKと同様であった(図3)。対照的に、293細胞から精製したGST−S
GK(S422D)は野生型酵素のものの10倍を越える高い特異的活性を有し
ていた(図3)。しかしながら、GST−SGK(S422D)の活性はそれ自
体はSer422のAspへの変異に起因するものではなく、PP2Aとのイン
キュベーションによってGST−SGK[T256D]またはGST−SGK[
T256A]と同一レベルまで低下し得たのでリン酸化の増加に起因していた(
図2)。
【0182】 293細胞から精製したGST−SGK[S422A]も、GST−SGK[
T256A]またはPP2Aで処理した後の野生型酵素と同様、極めて低い活性
を有していた。
【0183】Ser422またはThr256の変異のin vitroでのPDK1によるSGKの リン酸化に対する作用 Ser422のAlaへの変異はPDK1によるSGKのリン酸化度に影響を
及ぼさなかった(図5A)が、活性化度は60%低下した(図5B)。対照的に
、Thr256のAlaへの変異(またはThr256とSer422双方のA
laへの変異)はリン酸化を80〜90%減少させ(図5A)、PDK1による
活性化を無効にした(図5B)。
【0184】 Ser422のAspへの変異はPDK1によるリン酸化の速度(図)5C)
および活性化の速度(図5D)を少なくとも6倍に刺激した。対照的に、GST
−SGK[T245A/S422D]二重変異はPDK1によって全く活性化さ
れず、かつ、PDK1によるリン酸化は80〜90%減少した(示されていない
データ)。
【0185】 本発明者らはまた、ATP結合部位においてLsy127をAlaに変異させ
て「キナーゼが働かない」タンパク質を作出した。この変異体は野生型SGKと
同様の速度で、かつ、同程度までリン酸化されたが、予想されたように、PDK
1によって活性化され得なかった(図5B)。
【0186】in vitroでPDK1によってリン酸化されるSGK上の残基としてのThr25 6の同定 前記の結果はPDK1によるSGKの活性化はThr256のリン酸化に起因
するようであるということを示唆した。このことがそうであるかどうかを調べる
ために、本発明者らはそのN末端で末端切断されたSGKの形態(GSt−ΔN
−SGK[61〜431])を用い(これはこの変異体が野生型酵素よりもかな
り高レベルで発現されたからである)、かつ、Ser422もAspに変異させ
てPDK1によるリン酸化を促進した。GST−SGK[S422D](図3)
同様、293細胞から精製したGST−ΔN−SGK(61〜431)[S42
2D]は高い活性を有していたが、これはPP2Aでの処理で実質的に消失し得
た(示されていないデータ)。
【0187】 PP2A処理したGST−ΔN−SGK[S422D]はPDK1によって0
.6モル/モルタンパク質の化学量論までリン酸化され、32P標識した酵素を
V8プロテアーゼで消化し、C18カラムでのクロマトフラフィーに付した。図
6Aに示されるように、32P放射能の主要なピークおよびいくつかの小ピーク
が認められた。MALDI−TOF質量分析計による主要なピークの分析によっ
てその分子量(1923.15)は、1個のリン酸化された残基を含む、SGK
の残基247〜262(NEEHNSTTSTFCGTPE)を含んでなるペプ
チドについて予想されたものと同一であると示された。V8プロテアーゼの特異
性から予想されたように、残基247はグルタミン酸の前に位置する。ホスホア
ミノ酸分析によりこのペプチドはホスホトレオニンのみ(図6Aに挿入された)
を含んでいるということが示された。このリンペプチドを固相シークエンスに付
したところ、32P放射能はエドマン分解の10サイクル目の後に放出され、こ
れはThr256に相当した(図6B)。これらの結果は、Ser256Ala
変異体を用いて得られたものとともに、SGKはPDK1によってThr256
で、すなわちPKBαのThr308に相当する残基でリン酸化されるというこ
とを示す。
【0188】SGKの基質特異性: 本発明者らはSGKとPKBαの「クロスチド」に関連
する数種の合成ペプチドに対する基質特異性を比較した(表1)。PKBα同様
、SGKはリン酸化部位の5残基N末端のアルギニン残基を絶対的に必要とした
が、これは別の塩基性アミノ酸(Lys)への変異でさえ活性をほとんど消失さ
せたからである。
【0189】 リン酸化部位の3残基N末端のArgの存在も重要であったが、PKBαにつ
いてほど非常に重要な意味を持つわけではなかった。PKBα同様、SGKはリ
ン酸化部位のC末端に少なくとも1個の残基を必要とし、PKBαについてほど
重要な意味を持つわけではないが、この位置には疎水性残基が非常に好ましい。
PKBαとSGKとの間のもう1つの重要な相違は後者はリン酸化部位でのセリ
ンのトレオニンでの置換により寛容であるということであった。表1に示された
結果はPDK1によって活性化されたGST−ΔN−SGK[S422D]を用
いて実施したが、同様の結果が全長SGKを用いても得られた。
【0190】 グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK−3)はPKBの生理学的基質であ
ると考えられるタンパク質である[28]。PKBαおよびSGKがクロスチド
に対する活性に関して一致する場合、両酵素はGSK3を同様の速度で不活化す
る(図7)。
【0191】細胞外シグナルによる293細胞におけるSGKの活性化 PKBは293細胞においてインスリンまたはIGF−1などのPtdIns
3−キナーゼを活性化するアゴニストまたは特定の有害な刺激(熱ショック、酸
化ストレス)に応じて活性化される。PKBの活性化はThr308およびSe
r473のリン酸化に起因するので、SGKにおいてこれらの残基およびその周
囲の配列は高度に保存されており(図1)、本発明者らはSGKが293細胞に
おいてこれらおよび/またはその他のシグナルによって活性化され得るかどうか
調べた。
【0192】 GST−SGKを過剰発現する細胞はIGF−1または過酸化水素に曝される
ことで刺激され、2.5〜4倍の活性化を誘導した(図8Aおよび8B)。活性
化は、細胞をまずPtdIns3−キナーゼ阻害剤であるウォルトマンニンとと
もにプレインキュベートした場合には強く抑制された(図8B)。対照的に、p
70S6キナーゼの活性化を阻害する免役抑制薬であるラパマイシンはSGKの
活性化に対して全く影響を及ぼさなかった(示されていないデータ)。SGK[
T256A]はIGF−1または過酸化水素のいずれによっても活性化され得な
かった。
【0193】 IGF−1および過酸化水素誘導性活性化は、基礎的な活性同様、刺激された
活性がPP2Aでの処理によって消失したので(図9)、リン酸化の増加によっ
て起こった。野生型SGKの代わりにSGK[T256A]をトランスフェクト
した場合にも、これらの刺激による活性化以外は認められなかった(図8A)。
IGF−1または過酸化水素により誘導されたGST−SGKの活性化は同様の
条件下でのGST−PKBαの活性化よりもわずかに遅かった(図9)。
【0194】 ホルボールミリスチル酸アセテート(400ng/ml、30分)またはEG
F(100mg/ml、30分)は、293細胞では古典的な分裂促進因子によ
り活性化されるタンパク質(MAP)キナーゼカスケードの、IGF−1よりも
かなり強力なアクチベーターであるが、これらはSGKの活性化を全く誘導しな
かった(示されていないデータ)。
【0195】IGF−1によるSGK変異体の活性化 GST−SGK[S422D]の活性はIGF−1で刺激されていない293
細胞において高く(図3)、かつ、興味深いことに、IGF−1によってさらに
は活性化され得なかった(図10A)。さらに、293細胞の100nMのウォ
ルトマンニンとのプレインキュベーション(30分)はSGKの高い基礎的な活
性に影響を及ぼさなかった(示されていないデータ)。対照的に、SGT−SG
K[S422A]は293細胞において極めて低い活性を有しており、これはI
GF−1によって増大しなかった(図10A)。
【0196】 GST−ΔN−SGKはIGF−1に応じて全長野生型SGKと同様に活性化
された(図10Bおよび10C)が、このことはN末端非触媒ドメインは293
細胞における活性化に必要でないということを示すものである。
【0197】考察 SGKが数種のアゴニストおよび病的条件に応じてそのレベルが1時間以内に
高まる最初期遺伝子の産物であるということは十分に確定されているが(導入を
参照)、SGKはまた可逆的リン酸化によって調節されるという可能性はこれま
でには調べられていない。本実施例では、本発明者らは293細胞において発現
されるSGKの活性が、PtdIns3−キナーゼを活性化するシグナルに応じ
て数分内に増加する(図8および9)そのリン酸化レベルによって決定されると
いうことを確定する(図3)。本発明者らはまたSGK上の重要なリン酸化部位
はThr256およびSer422、すなわちそれぞれPDK1およびPDK2
によって標的とされるPKBα上のものに相当する残基であるという証拠を提供
した。
【0198】 SGKはin vitroでPDK1によってリン酸化され、かつ、活性化され(図4
)、主要なリン酸化部位はThr256である(図6)。Thr256がAla
に変異された場合は活性化は無効にされ、リン酸化は大幅に減少する(図5)。
従って、SGKのPDK1誘導性活性化はThr256のリン酸化によって媒介
されている。しかしながら、リン酸化の作用はThr256を酸性残基に変異さ
せることによって模倣され得ず、かかる変異は実際には活性をPP2A処理した
野生型酵素のレベルにまで低下させた(図3)。このことはp70S6キナーゼ
を用いて認められた観察結果と類似している[28]が、Thr308のAsp
への変異が酵素の部分的な活性化を引き起こすPKBα[6]とは対照的である
。Thr256がAlaに変異された場合にはPDK1によるSGKのリン酸化
は全体的には無効にされないという発見(図4)はPDK1はin vitroでGST
−SGK[T256A]上の別の部位をリン酸化し得るということを示唆するが
、活性化プロセスに関するこの部位の同一性およびその関連性(あるとすれば)
はいまだ評価されていない。PKBαのThr308Ala変異体(野生型酵素
ではない)はin vitorでPDK1によってThr304でリン酸化されるが活性
化は全く引き起こさない(示されていないデータ)。
【0199】 数系統の証拠からSer422のリン酸化に関する1つの役割はPDK1によ
るThr256でのリン酸化、ひいてはSGKの活性化を促進することであると
いうことが示唆される。従って、GST−SGKはin vitroでPDK1によって
PKBαよりもはるかにより遅くリン酸化されるが、このリン酸化および活性化
はSer422のAspへの変異によって大幅に増強される(図5)。Ser4
22のAspへの変異はまた293細胞において発現されるSGKの活性を大幅
に増大させるが(図3および9)、PP2Aでの処理によって消失するので(図
3)またThr256Ala/Ser422AspおよびThr256Asp/
Ser421Aspの二重変異体は不活性であるので、このことはリン酸化(お
そらくはThr256での)の増加に起因する。
【0200】 Ser422Asp変異体がこの残基でのリン酸化の作用を模倣し、またGS
T融合タンパク質が野生型SGKと同様にふるまうと仮定すると、以下のSGK
の活性化モデルは本明細書で得られた結果と一致するであろう。(1)IGF−
1または過酸化水素に応じて生じたPtdIns(3,4,5)PはPDK2
(または密接に関連する酵素)を活性化し、次いで、これがSGKをSer42
2でリン酸化する。(2)Ser422のリン酸化はPDK1(または密接に関
連する酵素)によってSGKがリン酸化され、かつ、活性化される速度を大幅に
上げる。このモデルは何故293細胞におけるSGKのIGF−1誘導性または
過酸化水素誘導性活性化がウォルトマンニンによって抑制されるのか(図8B)
、何故in vitroでのPDK1によるSGKの活性化がPtdIns(3,4,5
)Pに依存するのか(図4)、および何故GST−SGK[S422D]の活
性がウォルトマンニンによって抑制されないのかを説明する。このモデルはp7
0S6キナーゼの活性化に関して提唱される機構[15、16]に類似している
が、確認するためには、PDK2が実際にPtdIns(3,4,5)P依存
性であるかどうか調べ、PDK1の存在および不在下でのPDK2のSGKの活
性化に対する作用を調べる必要があろう。
【0201】 SGKの活性化機構はPKBのものとはいくつかの点で異なっている。第1に
、PtdIns(3,4,5)PのPKBのPHドメインへの結合は何らかの
活性化が起こり得る前に必須である[7]。第2に、PtdIns(3,4,5
)PのPKBのPHドメインとの相互作用は原形質膜へのその補充を引き起こ
し、これが膜結合性PDK1およびPDK2によるその活性化を容易にし得る。
第3に、PDK1はin vitroでは脂質小胞におけるPKBのPtdIns(3,
4,5)P依存性活性化を大幅に促進し、従って、in vivoでの原形質膜での
PKBの活性化にも重要な意味を持ち得る。これらの相違により何故in vitroで
PKBの活性化がPtdIns(3,4,5)Pが高まるまで本質的に起こら
ないのか、および293細胞においてIGF−1または過酸化水素によってPK
Bがより多量により迅速に活性化されるのか(図9)を説明できる。しかしなが
ら、SGKの活性化同様、PKBの活性化もPtdIns(3,4,5)P
PDK2との相互作用に依存し得る。
【0202】 PKBおよびp70S6キナーゼ同様、SGKはペプチドをn−3およびn−
5位置にアルギニン残基およびn+1に大きな疎水性残基を含む配列中(ここで
、nはリン酸化部位)に位置するセリンまたはトレオニン残基でリン酸化する。
SGKの生理学的基質はわかっていない。しかしながら、PKB同様、SGKは
PtdIns3−キナーゼ依存性経路によって活性化され、また(p70S6キ
ナーゼとは異なり)活性は免役抑制薬であるラパマイシンによって阻害されない
。さらに、標準的なペプチド基質であるクロスチドに対する活性が一致した場合
には、SGKおよびPKBαはGSKの不活化を同様の速度で触媒した(図7)
。GSK3はPKBの生理学的基質であると考えられているので[30]、従っ
て、構造的に活性な変異体の過剰発現に基づいてPKBに割り当てられたいくつ
かの生理学的役割([2]に概説された)は実際にSGKによって媒介され得る
可能性がある。PKBおよびSGKはin vivoで同一のタンパク質キナーゼ(P
DK1およびPDK2)によって十分に活性化され得るので、それらの生理学的
役割をドミナントネガティブ変異体の使用によって区別することは不可能であろ
う。PKBを阻害するがSGKを阻害しないおよびその逆の薬剤の開発またはマ
ウス「ノックアウト」の作製がこれらの問題に答えるために必要であろう。
【0203】表1:クロスチドに関連する合成ペプチドに対するSGKおよびPKBαの活性 の比較 この実験は293細胞から精製し、PDK1によって活性化されたGST−Δ
N−SGKおよびGST−PKBαを用いて実施した。活性はペプチド1(クロ
スチド)と比較して示されている。各ペプチドの濃度は30μMとした。アミノ
酸置換に下線が引いてある。PKBによってリン酸化されるクロスチド中のセリ
ン残基はアスタリスクで印を付けた。
【0204】
【表1】
【0205】実施例2:代替のアッセイ シンチレーション近接アッセイ(SPA)系(Amersham International)を用
いてクロスチドへの32P放射能の組み込みを評価した。この系では、サンプル
(PDK1によって活性化されたGST−ΔN−SGKまたはPDK1によって
活性化されたGST−ΔN−SGK[Ser422Asp]を含有する)、調べら
れる化合物および[γ−32P]ATPまたは[γ−33P]ATPをシンチラ
ントおよびクロスチドと結合する抗体を含んでなるビーズと混合する。便宜には
、これは96ウェル形式で行う。次いで、プレートを32Pまたは33PSPA
アッセイの公知のパラメーターを用いて、好適なシンチレーションカウンターを
用いてカウントする。シンチラントに近接する32Pまたは33Pのみ、すなわ
ち、クロスチドと結合したもののみが、次いで抗体によって結合され、検出され
る。
【0206】実施例3:SGK活性を調整する化合物のアッセイ アッセイは実施例1または実施例2に記載のようにクロスチドを用いて構成さ
れている。化合物をこのアッセイで試験し、SGKの阻害または活性化を引き起
こすものをさらなる研究のために選択する。化合物をPKBに対する作用につい
てさらに調べ、PKBαによるクロスチドのリン酸化に影響を及ぼさないものを
選択する。
【0207】 調べる化合物は公知の特性、例えば、PKBαなどのその他のタンパク質キナ
ーゼを阻害する能力を基に選択された化合物であってよく、また種々のスクリー
ニング、例えば、「リード化合物作製」スクリーニングプログラムで調べるため
に集められた化合物のライブラリーの一部であってよい。化合物は天然のもので
あっても合成のものであってもよく、また当業者に公知の組合せ化学によって作
製されてもよい。
【0208】 選択された化合物は構造活性相関(SAR)を開発することを目的とした、製
造または試験のためのさらなる化合物の設計に用いることができる。
【0209】実施例4:SGKと相互作用するポリペプチドのアッセイ 酵母二重ハイブリッドアッセイ系は転写の活性化が起こるのに十分に安定な方
法でSGKと結合し得るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定する
よう構成されている。ポリヌクレオチドは(別個の実験で)SGKの発現を刺激
し得る刺激の前後の、発現されたSGKを活性化し得る刺激の前後の、SGKを
発現し得る細胞からの、およびSGKを発現しない細胞からのmRNAからコピ
ーされたcDNAである。これらの細胞種のみの集団に認められる相互作用は特
に注目される。
【0210】 ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは実施例1に記載のおよ
び当業者に十分に公知のサンガー法による挿入部分を配列決定によって決定し、
予想されるアミノ酸配列を得る。
【0211】参照文献
【化12】
【0212】実施例5:血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼの2種の新規 のイソ型の構造および調節の特性決定 略語:SGK、血清および糖質コルチコイド調節性タンパク質キナーゼ;PK
B、タンパク質キナーゼB;PDK1、3−ホスホイノシチド依存性タンパク質
キナーゼ1;タンパク質キナーゼC関連タンパク質キナーゼ2(PRK2)、P
I、ホスファチジルイノシトール;IGF1、インスリン様増殖因子−1;GS
K3、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3;GST、グルタチオンS−トラン
スフェラーゼ;PMA、ホルボールミリスチル酸アセテート;PP2A、タンパ
ク質ホスファターゼ2A;PCR、ポリメラーゼ鎖反応。
【0213】 本発明者らは実施例1および[18]において、その後他の人物が[19]、
PKB同様、SGKも細胞がインスリン、インスリン様増殖因子−1(IGF1
)または血清で刺激されると、あるいは酸化ストレスに曝されるとリン酸化機構
を介して数分内に活性化されると示している。
【0214】 本明細書では、本発明者らは別個の遺伝子の産物であるSGK2およびSGK
3と呼ばれる2種の新規なSGKのイソ型を同定しており、またそれらの組織分
布、血清および糖質コルチコイドによる誘導、リン酸化による活性化および基質
特異性をSGK(以後、SGK1と呼ばれる)と比較している。それらはSGK
1と高度の配列類似性があるが、SGK2およびSGK3のレベルおよび活性を
調節する機構はSGK1とはいくつかの点でかなり異なっている。
【0215】 SGK1同様、SGK3をコードするmRNAは調べた総ての組織中で発現さ
れているが、SGK2mRNAは肝臓、腎臓および膵臓にかなりのレベルで、脳
に低レベルで存在するのみである。H4IIE細胞におけるSGK2mRNAお
よびRat2繊維芽細胞におけるSGK3mRNAのレベルは血清またはデキサ
メタゾーンでの刺激によって上がらないが、他方、SGK1mRNAのレベルは
片方のまたは両アゴニストによって大幅に上がる。SGK2およびSGK3はin
vitroでSGK1よりもより遅くではあるがPDK1によって活性化され、それ
らの活性化はそれぞれThr193およびThr253、すなわちPDK1によ
って標的とされるPKBの「活性化ループ」中のThrに相当する残基のリン酸
化によって達成される。SGK1同様、PDK1により触媒されるSGK2およ
びSGK3のリン酸化および活性化は、PKBのC末端リン酸化部位に相当する
、Ser356およびSer419をそれぞれAspに変異させることによって
大幅に増強される。SGK1同様、SGK2およびSGK3は、細胞が過酸化水
素に曝されるとリン酸化機構を介して4倍活性化されるが、SGK1とは対照的
に、活性化はPI3−キナーゼの阻害剤によって部分的にしか抑制されない。S
GK2およびSGK3はIGF1によってSGK1よりも(5倍)より低い程度
に(2倍)活性化される。PKBおよびSGK1同様、SGK2およびSGK3
は好ましくはArg−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−Ser/Thrモチー
フ中に位置するSerおよびThr残基をリン酸化する。このことにより、構造
的に活性な変異体酵素を用いる過剰発現研究に基づいてPKBに割り当てられた
いくつかの生理学的役割はSGKのイソ型によって媒介され得るという可能性が
高まる。
【0216】材料および方法 材料: ヒトPDK1は293細胞中でグルタチオンS−トランスフェラーゼ(
GST)融合タンパク質として発現させ、グルタチオン−セファロースでのアフ
ィニティークロマトグラフィーによって精製した[5]。デキサメタゾーン、ウ
ォルトマンニンおよびLY294002はSigma(Poole, U.K.)から購入した。総
てのペプチドはGraham Blumberg(Department of Biochemistry, University of
Bristol, U.K.)によって合成された。SGK1の発現プラスミドおよびSGK1
のN末端切断型であるΔN−SGK1[61〜431]は実施例1および[18
]に記載されたpEBG−SGKおよびpEBG−ΔN−SGK[61〜431
]と同一であった。pEBG−2T−2ベクターはpEBG−2TのBamHI
とKpnI部位の間に5’GAT CTC GGA TCC ACT AAC
GGT AC−3’および5’−CGT TAG TGG ATC CGA−3
’を挿入することによって作製した。これにより最初のpEBG−2Tベクター
とは異なるリーディングフレームに位置する新規のBamHI部位を導入した。
【0217】バッファー溶液: バッファーAは50mMのTris/HCl pH7.5、
1mMのEDTA、1mMのEGTA、1%(w/v)のTriton X−1
00、1mMのオルトバナジン酸ナトリウム、50mMのNaF、5mMのピロ
リン酸ナトリウム、0.27Mのスクロース、および0.1%(v/v)の2−
メルカプトエタノールを含んでなっていた。バッファーBは50mMのTris
/HCl、pH7.5、1mMのEDTA、0.1%(v/v)の2−メルカプ
トエタノールを含んでなっていた。バッファーCは50mMのTris/HCl
pH7.5、150mMのNaCl、0.1mMのEGTA、0.5mMのジ
チオスレイトールおよび1mg/mlのウシ血清アルブミンを含んでなっていた
。細胞溶解バッファーは1μMの微小シスチン−LR、0.2mMのフッ化フェ
ニルメチルスルホニルおよびプロテアーゼ阻害剤反応混液(1錠/500ml)
を含有するバッファーAとした。
【0218】SGKイソ型のクローニング: ヒトSGK2をコードする全長クローンは以下
のように得た。発現された配列タグ(EST)AA130828(IMAGEコ
ンソーシアム、St. Louis, MO, USA)の分析によりヒトSGK1と相同な新規の
キナーゼをコードしているということが示された。次いで、最初のATGの上流
に終結コドンがなかったので、ヒト腎臓cDNA(Marathon−Read
y cDNA, Clontech, CA, USA)を鋳型として用いて5’−RACEを実施
した。SGK2の5’−RACEに用いたプライマーは5’−GCT CTG
GAC TTG GGG TCC CAG CTG GGC−3’、5’−GT
T GAT GTT CCC ATT GGC CCT GGA GGG−3’
および5’−GCT GGG CAT TTG GGT TGG CTG AA
G GCC−3’であった。3種の場合総てで200〜220bpの断片が得ら
れ、PCR産物をpCR−2.1−TOPOベクター(Introgen, USA)にクロ
ーニングした。分析した10個のクローンのうちの8個のクローンが200bp
の断片を保持しており、配列解析によりこれらはEST AA130828の5
’部分に相当するということが示された。本発明者らはこのタンパク質キナーゼ
をSGK2αと呼んだ。2個のその他のクローンはより長い断片(500および
600bp)を含んでいた。配列解析によりこれらのクローンはN末端にさらな
る60個のアミノ酸残基および異なる5’非コード領域を含むSGK2の別の型
に相当すると示された。この酵素はSGK2βと呼んだ。マウスクローン(受託
番号AI 386362)もヒトSGK2αの配列でNCBI ESTデータベ
ースを検索することによって同定され、これはマウスSGK2αの全長タンパク
質をコードすると予測された。本発明者らはまた、クローンAA790370(
これは最初の1240個のヌクレオチドをコードする)およびAA138663
(ヌクレオチド1140から始まりポリA末端で終わる)を用いて全長ネズミc
DNAを構築した。
【0219】 ヒトSGK3をコードする全長クローンは以下のように得た。EST AA2
19166(IMAGEコンソーシアム)の分析により、SGK1およびSGK
2と相同な新規のタンパク質キナーゼの部分配列をコードするということが示さ
れた。このcDNAは中央部分にギャップを含んでいたので、鋳型としてヒト骨
格筋ライブラリーを用いてPCR反応を実施した。PCRに用いたプライマーは
5’−AACATCCGTTTTTGGTTGGATTGC−3’および5’−
GGGTAGATGTTAGTGTAAAC−3’であった。このクローンは開
始ATGコドン含んでいなかったので、5’−RACEはヒト腎臓cDNAを鋳
型として用いて実施した。5’−RACEに用いたプライマーは5’−ATA
AAG TTC TGG ATA CCT AAC TGA G−3’、5’−
GAA GGA ATG CTC TGA CAT CTG GAT GG−3
’および5’−GAT CTG ACT GGT GTT TTG GAC T
GT CC−3’であった。アガロースゲルで分析した場合にPCR産物の鮮明
なバンドを示したSGK2の5’RACEとは異なり、SGK3のそれでは不鮮
明なものが生じた。従って、本発明者らはこれらの異種産物をpCR2.1−T
OPOベクター(Invitrogen, USA)に連結し、分析して20個のクローンを得
た。配列分析により12個のクローンが新規SGK配列の見つかっていない部分
を含んでいることが示され、これを本発明者らはSGK3と呼んだ。
【0220】 pEBG−2T−2ベクターのGST配列とインフレームの5’末端にBam
HI部位、および各オープンリーディングフレームの3’末端にNotI部位を
導入するために、PCR増幅を以下のプライマー:SGK2α:5’−GGA
TCC AGC TGC CTG ATC ATT GCT AC−3’および
5’−GCG GCC GCC TAG CAA TCC AAG ATG T
CA TC−3’;SGK2β:5’−GGA TCC CAG GGG TT
G CTT ACC TCG GG−3’および5’−GCG GCC GCC
TAG CAA TCC AAG ATG TCA TC−3’;全長SGK
3:5’−GGA TCC AAG CCC TGA AGA AGA TTC
CTG CC−3’および5’−GCG GCC GCT CAC AAA
AAT AAG TCT TC−3’;N末端の52個の残基を欠いているSG
K3(ΔN−SGK3[53〜429]):5’− GGA TCC TGG
ACA GTC CAA AAC ACC AG−3’および5’−GCG G
CC GCT CAC AAA AAT AAG TCT TC−3’を用いて
実施した。PCR産物はpCR−2.1−TOPOベクター(Invitrogen)にク
ローニングし、配列決定した。各断片をBamHIおよびNotIで消化し、p
EBG−2T−2のクローニング部位に挿入した。SGK2αのSer356お
よびSGK3のSer419はPCRを用いるin vitro突然変異生成によってA
spに変異させた。
【0221】293細胞におけるSGKイソ型の発現: 直径6cmおよび10cmのシャー
レの細胞各々は改変リン酸カルシウム法[3]を用いてそれぞれ10μまたは3
μgのpEBG−SGK構築物でトランスフェクトした。トランスフェクション
の24時間後に、細胞から16時間血清を取り除き、次いで以下の方法の1つで
刺激した:50ng/mlのIGF−1(10分)、400ng/mlのホルボ
ールミリスチル酸アセテート(PMA)(30分)、10%のウシ胎児血清(3
0分)、1μMのデキサメタゾーン(60分)、2mMのH(25分)、
5μg/mlのアニソマイシン(30分)、0.4μMのソルビトール(30分
)、30分の低浸透圧ストレス(水で4mlに希釈した3mlのDMEM)およ
びUV−C照射(200J/m)。各処理の後に、細胞を溶解し、またSGK
イソ型の活性は、SGK1に関してこれまでに記載したように[18]、GST
融合タンパク質をグルタチオンセファロースでアフィニティー精製した後に測定
した。
【0222】in vitroでのSGKイソ型の脱リン酸化、リン酸化およびアッセイ 各GST−SGKイソ型(0.4μg)を20mMのTris/HCl、pH
7.5、0.1%(v/v)の2−メルカプトエタノール、0.1mMのEGT
Aおよび1mg/mlのウシ血清アルブミンを含有する10μlのインキュベー
ション中でタンパク質ホスファターゼ2A(PP2A、30mU/ml)ととも
に30℃にて20分間インキュベートした。微小シスチン−LRを1μMまで添
加してPP2Aを不活化した後、SGK(0.4μg)を50mMのTris/
HCL、pH7.5、10mMのMgCl、0.1%(v/v)の2−メルカ
プトエタノール、0.1mMのEGTA、バッファーCに希釈したGST−PD
K1(0.03〜300ng)および100mMの未標識ATPを含有する混合
物(20μl)中で30℃にて30分間リン酸化した。SGKアッセイは30μ
lの50mMのTris/HCl、pH7.5、10mMのMgCl、0.1
%(v/v)の2−メルカプトエタノール、0.1mMのEGTA、100μM
の[γ−32P]ATP(500c.p.m/pmol)、50μMのペプチド
基質クロスチド(GRPRTSSFAEG)および4.2μMのアデノシン3’
5’環状モノホスフェート依存性タンパク質キナーゼの特異的タンパク質阻害剤
の残基5〜24を含有する混合物の添加によって開始した。30℃にて10分後
、アリコートをP81ホスホセルロース紙にスポットし、直後に、75mMのリ
ン酸に浸漬することによって反応を終結させた。この紙を洗浄し、乾燥させて分
析した[3]。1単位(U)のSGKは1nモルのクロスチドを1分でリン酸化
する量とした。
【0223】RNAの調製およびノーザンブロッティング: Rat2繊維芽細胞またはH4
IIE肝癌細胞(10細胞)を10cmシャーレにプレーティングし、10%
のウシ胎児血清(FBS)を含有するダルベッコの改変イーグル培地(DMEM
)で24時間インキュベートした。培地を血清を含まないDMEMに変更して細
胞をさらに24時間インキュベートした。10%のFEBおよび1μMのデキサ
メタゾーンで刺激した後、RNeasy Miniキット(QIAGEN, West Susse
x, UK)を用いて細胞から総RNAを単離した。RNA(5μg)を0.67M
のホルムアルデヒドの存在下で1.2%アガロースゲルで電気泳動し、Hybo
nd−N+(Amersham Pharmacia Biotech, UK)にトランスファーし、紫外線光
下(UV stratalinker, Stratagene, La Jolla, CA, USA)で架
橋させた。32P標識したプローブはSGKイソ型のオープンリーディングフレ
ームをマルチプライムDNA標識キット(Amersham Pharmacia Biotech)を用い
て[γ−32P]dATPで標識することによって作製した。ハイブリダイゼー
ションはRapid−hybバッファー(Amersham Pharmacia Biotech)中で
65℃にて2時間実施した。メンブレンは2×SSC/0.1%SDSで室温に
て30分間、次いで65℃にて15分間洗浄し、さらに0.2×SSC/0.1
%SDSで65℃にて15分間洗浄して−70℃にて3〜5日X線フィルム(H
yperfilm, Amersham)に曝露した。
【0224】結果 新規のSGKイソ型のクローニング: SGKは糖質コルチコイドおよび浸透圧
ストレス応答性遺伝子として最初に同定された(導入を参照)。新規のSGKイ
ソ型を求めて、SGKの配列でNCBIデータベースを検索した。この調査によ
り、最初の遺伝子にかなりの類似性を示す2種のヒトESTが同定された。これ
らのESTの配列分析により、それらはSGK遺伝子ファミリーの2種の新規の
イソ型を表すと示され、それらを本発明者らはSGK2およびSGK3と名づけ
た。従って、最初のSGKイソ型はSGK1と名づけた。
【0225】 これらのESTのうち全長クローンであるものはなかったので、5’RACE
およびPCR反応を実施して配列の見つかっていない部分を得た(方法を参照)
。これによりSGK2の2種のスプライシング種を同定し、これらをSGK2α
およびSGK2βと名づけた(図11)。SGK2αは368個の残基からなり
、41.1kDaの予想分子量を有するタンパク質をコードしており、SGK2
βは428個のアミノ酸からなり、47.6kDaの予想分子量を有するタンパ
ク質をコードしている。ネズミSGK2αをコードするESTも同定した(図1
3)。ヒトSGK2αとは異なり、ネズミcDNAは開始Metの直前にインフ
レームの終結コドンを含んでいる。このことは最も短いスプライシング種は実際
にはこの位置で開始しないということを確証する。
【0226】 SGK3のヌクレオチド配列は2種のインフレームのATGコドンを含んでい
た(図12)。第2のATGの周囲の配列は開始コドンを取り巻くことの多いコ
ンセンサスとより厳密に一致している。さらに、終結コドン(TAA)が第1の
ATGのすぐ上流に存在している(図12)。これらの理由のために、開始部位
は第2のATGであると考えられる。これは430個の残基からなる49.0k
Daのタンパク質をコードするであろう。第1のATGが開始に用いられれば、
62個のアミノ酸分長いポリペプチドが生じるであろう。
【0227】 3種のSGKイソ型のアミノ酸配列は触媒ドメインにおいてお互いに約80%
同一であるが、他方、短いC末端非触媒ドメインはあまり類似していない(44
〜68%の同一性)。触媒ドメインの前に位置するN末端の85残基はいっそう
類似していない。この領域には、SGK1とSGK3との間で約25%の同一性
しか認められず、またSGK2とその他のイソ型との間にはほとんど同一性がな
い(図13)。
【0228】SGKイソ型mRNAの組織分布: 他の人物によってこれまでに報告されたよ
うに[13]、SGK1mRNAのレベルは調べた総ての組織で同様であり、主
要な2.6kbの転写物および微量の7kbの転写物を含んでいた。最高レベル
の両転写物は膵臓で認められた。SGK3mRNAのレベルも各組織において同
様であり、各場合において主要な5kbの転写物を含んでいた。対照的に、SG
K2αおよびSGK2βを認識するプローブとハイブリダイズするmRNAはは
るかにより限定された組織分布を示し、2.1kbおよび4.0kbの転写物が
肝臓、腎臓、膵臓および脳に存在していた(図14)。SGK2β特異的プロー
ブもまた肝臓および腎臓において転写物を認識したが、そのレベルははるかに低
く、かつ、シグナルはいく分か拡散していた。
【0229】Rat2繊維芽細胞およびH4IIE肝癌細胞におけるSGKイソ型mRNAの レベルに対する血清およびデキサメタゾーンの作用: SGK1は最初期遺伝子
であり、数種の細胞系統ではそのmRNAは血清および糖質コルチコイドでの刺
激の1時間以内に大幅に増加する[11]。従って、本発明者らは3種のSGK
イソ型の総てをコードするmRNAに対するこれらの刺激の作用を調べた。Ra
t2繊維芽細胞では、SGK1mRNAは予想されたように2時間後には血清ま
たはデキサメタゾーンによって強力に誘導されたが、SGK3mRNAのレベル
はこれらのアゴニストの影響を受けなかった。SGK2mRNAはRat2繊維
芽細胞では発現しなかった(図15A)。ラットH4IIE肝癌細胞では、血清
ではなくデキサメタゾーンがSGK1mRNAの形成を誘導したが、SGK2m
RNAのレベルはいずれかのアゴニストの影響を受けなかった。SGK3mRN
AはH4IIE細胞では発現しなかった(図15B)。
【0230】293細胞におけるSGKイソ型の発現: 3種のイソ型の総ては293細胞中
でSGT融合タンパク質として発現させた。GST−SGK2α(70kDa)
、GST−SGK3(75kDa)およびGST−ΔN−SGK3(70kDa
)の大きさはそれらの予想分子量と一致していた(図16)。しかしながら、ほ
とんど総てのGST−SGK2βはGSTを含まないで(25kDa)発現した
が、これはおそらく全長融合タンパク質のタンパク質分解のためであろう(図1
6、レーン3)。SGK3のN末端領域の欠失によりその発現レベルが改良され
た(図16、レーン5および6)が、SGK1と同程度(図16、レーン1およ
び2)ではなかった。典型的には、それぞれ400μg、100μgおよび15
0μgの90%の純粋なGST−ΔN−SGK[61〜431]、80%の純粋
なGST−SGK2αおよび90%の純粋なGST−ΔN−SGK3[53〜4
29]が10枚の直径10cmのシャーレの細胞から得られた。
【0231】PDK1によるSGKイソ型のリン酸化および活性化: PKBαの残基Thr
308およびSer473[3]に相当する2つの重要なリン酸化部位がSGK
2(SGK2α中のThr193およびSer356)およびSGK3(Thr
253およびSer419)、ならびにSGK1(Thr256およびSer4
22)中に保存されている。本発明者ら(実施例1および[18])、その後他
の人物[19]はPDK1はin vitroでThr256をリン酸化することによっ
て野生型SGK1を活性化すると示している(図17Aおよび17Dも参照)。
野生型SGK2αおよびSGK3はまたin vitroでPDK1によっても活性化さ
れるが、特にSGK2に関しては、活性化(図17Bおよび17C)およびリン
酸化(図17Eおよび17F)には高濃度のPDK1が必要であった。総てのS
GKイソ型について1.5μg/mlのPDK1との30分間のインキュベーシ
ョン後に最大の活性化が認められた(図17A、17Bおよび17C)。この濃
度のPDK1で、リン酸化の化学量論はSGK1およびSGK3に関しては1m
ol/mol近く、またSGK2に関しては0.2mol/molであった(示
されていないデータ)。PDK1濃度が10倍高い場合には、SGK2およびS
GK3のリン酸化レベルはかなり上がったが、さらなる活性化はともなわなかっ
た(図17D、17Eおよび17F)。このことはPDK1は、SGK2および
SGK3上の、活性に直接影響を及ぼさないその他の部位をリン酸化し得るとい
うことを示唆する。
【0232】 本発明者らはSer422(PDK2部位)がアスパラギン酸に変異されてい
るSGK1変異体は、293細胞において発現された後に野生型酵素のものより
も10倍高い特異的な活性を有するということを証明した(実施例1および[1
8])。この高い基礎的な活性はThr256でのリン酸化の増加に起因し、P
P2Aでの処理によって無効にされ得る(実施例1および[18])。本研究で
は、本発明者らはPP2A処理したSGK1[Ser422Asp]はPP2A
処理した野生型SGK1よりもかなり速い速度で再活性化され(図17A)、リ
ン酸化される(図17D)ということを見出した。
【0233】 SGK1のSer422に相当するセリンがアスパラギン酸に変異されている
SGK2およびSGK3の相当する変異体(SGK2[Ser356Asp]お
よびSGK3[Ser419Asp])も293細胞において発現された後に高
い活性を有していた(示されていないデータ)。PP2Aでの処理後、SGK2
αは不活性化され、SGK1に関してと同様、SGK2[Ser356Asp]
はPDK1によって野生型SGK2αよりもはるかにより効率的に活性化され(
図17B)、リン酸化された(図17E)。対照的に、SGK3[Ser419
Asp]はPP2Aによって不活性化されず、PDK1およびMgATPとのイ
ンキュベーションによって活性がさらに増大することはなかった(図17C)。
しかしながら、SGK3[Ser419Asp]はPDK1の不在下でさえ、M
gATPとのインキュベーション時にリン酸化型となったが(図17F)、これ
はおそらくは自己リン酸化の結果としてであろう。免役ブロッティングによって
調製物中にPDK1が検出されなかったので、リン酸化は夾雑物として存在する
PDK1によって触媒されるのではないと考えられた(示されていないデータ)
【0234】 SGK2[Ser356Asp]変異体および野生型SGK3は1.5μg/
mlのPDK1およびmolタンパク質当たりそれぞれ1.2および1.3mo
lのリン酸塩の組み込みをもたらすMgATPとともに30℃にて30分間イン
キュベートした。反応を終結させ、トリプシンで消化し、実施例1および[18
]においてのようにリンペプチドをC18カラムでクロマトグラフィーに付した
(図18)。SGK2由来の主要なホスホトレオニン含有ペプチドおよびSGK
3消化物(図18Aおよび18B中のペプチドP2およびP5)をN−Aspプ
ロテイナーゼで半消化してMALDI−TOF質量分析および固相エドマン配列
決定[20]に付してリン酸化部位を同定した。これらの実験によりSGK2由
来のリンペプチドはThr193でリン酸化された残基189〜207に相当し
、他方、SGK3リンペプチドはThr253でリン酸化された残基249〜2
67に相当するということが示された。これらの実験はPDK1は実際にSGK
2およびSGK3をSGK1のThr256に相当する部位でリン酸化するとい
うことを確証するものである。
【0235】 ホスホセリン含有トリプシンペプチドP1、P3およびP4(図18)もMA
LDI−TOF質量分析およびエドマン配列決定によって分析した。これらの実
験により、ペプチドP1はSer279でリン酸化された残基277〜287に
相当し、他方、ペプチドP3はSer334でリン酸化された残基334〜36
7を含んでなるということが示された。ペプチドP4は残基73〜99に相当し
、Ser75またはSer77のいずれかでリン酸化されており、後者がリン酸
化の主要部位であった。これらの発見は考察でさらに考慮されている。
【0236】 PDK1によるSGK2およびSGK3の活性化はホスファチジルセリンおよ
びホスファチジルコリンを含有する脂肪小胞の影響を受けず、また10μMのP
I3,4,5三リン酸をさらに含有することでわずかに阻害された(示されてい
ないデータ)。これらの結果はこれまでにSGK1に関して得られたものと同様
である。
【0237】SGKイソ型の基質特異性: 本発明者らはSGK1およびPKBは一群の合成
ペプチドに対して同様の特異性を有し、好ましくはArg−Xaa−Arg−X
aa−Xaa−Ser/Thrモチーフ中に位置するセリンおよびトレオニン残
基をリン酸化するということを示している(実施例1および[18])。本実施
例では、SGK2αおよびSGK3の特異性必要条件も同様であると認められた
(表2)が、SGK3はn−3位置(nがリン酸化部位である場合の)でのアル
ギニンの代わりのリシンの存在をSGK1またはSGK2αよりもわずかにより
許容すると考えられた(表2)。
【0238】表2:クロスチドに関連する合成ペプチドに対するSGKイソ型の活性の比較 この実験は293細胞から精製したGST−ΔN−SGK1[S422D]、
GST−SGK2α[S356D]およびGST−ΔN−SGK3[S419D
]を用いて実施した。活性はペプチド1(クロスチド)と比較して示されている
。各ペプチドの濃度は30μMとした。ペプチド2へのアミノ酸置換に下線が引
かれている。示された結果は、各々±10%まで一致する2回の実験の平均であ
る。
【0239】
【表2】
【0240】293細胞におけるSGKイソ型の活性化: 各SGKイソ型を293細胞にお
いて発現させ、それらの種々の刺激によって敏感に活性化される能力を調べた。
これまでに報告されたように(実施例1および[18、19])、IGF1での
刺激はSGK1活性の4〜5倍の増大を誘導し(図19)、これは10分後に最
大に達した(示されていないデータ)。対照的に、SGK2αおよびSGK3は
IGF1によって2倍にしか活性化されなかった(図19)。活性化は5分後に
最大となり、少なくとも20分間持続した(示されていないデータ)。SGK2
αおよびSGK3(5倍)の強力な活性化を生じるアゴニストはSGK1に関し
て認められたものと同様に過酸化水素であった(図19)。血清も3種のイソ型
総ての弱いアクチベーターであった。しかしながら、SGK1を強力に阻害する
浸透圧ショック(0.4Mのソルビトールでの処理)はSGK2αまたはSGK
3の活性に影響を及ぼさなかった(図19)。
【0241】 過酸化水素によって誘導されたSGK2およびSGK3の活性化は、細胞を過
酸化水素での刺激に先立ってウォルトマンニンまたはLY294002(PI3
−キナーゼの2種の阻害剤)とともにプレインキュベートしても部分的にしか阻
害されなかった。対照的に、SGK1の活性化は無効にされた(図20)。
【0242】考察 本実施例では、本発明者らはSGK2およびSGK3と呼ばれるSGK1の2
種の新規なイソ型を同定しており、それらはその触媒ドメインにおいてSGK1
と80%の同一性を共有している。しかしながら、この類似性にもかかわらず、
SGK2およびSGK3はいくつかの点で互いにおよびSGK1とかなり異なっ
ている。第1に、SGK1およびSGK3をコードするmRNAは広範に発現さ
れるが、SGK2をコードするものはより限定された分布をしており、肝臓、腎
臓および膵臓で高く発現され、また脳で低レベルで発現されている(図4)。第
2に、SGK2mRNAおよびSGK3mRNAは血清または糖質コルチコイド
での細胞刺激によって増加しない(図15)が、他方、SGK1mRNAレベル
はこれらのアゴニストへの曝露の1時間以内に大幅に上がる([11]、図15
)。
【0243】 SGK2およびSGK3はSGK1よりも遅くではあるがin vitroでPDK1
によって活性化され(図17)、かつ、活性化はキナーゼサブドメインVIIとVII
Iとの間の「活性化ループ」中の同一の残基(SGK1中のThr256、SG
K2中のThr193、およびSGK3中のThr253)のリン酸化によって
達成される。さらに、SGK1(実施例1および[18])およびp70S6キ
ナーゼ[9]同様、in vitroでのSGK2およびSGK3のPDK1によって触
媒されるリン酸化および活性化はC末端Ser(SGK1中のSer422、S
GK2中のSer356およびSGK3中のSer419)のAspへの変異に
よって大幅に増強されるが、このことはこの残基のリン酸化は活性化ループTh
rのPDK1によって触媒されるリン酸化にとって必要条件であるということを
示唆する。これらの観察結果からSGKイソ型をC末端Serでリン酸化するタ
ンパク質キナーゼの同定という問題が生じる。PDK1はPRK2のC末端配列
に相当するペプチドと相互作用することによって、PKBをSer473ならび
にThr308でリン酸化する形態に変換される[6]。PDK1が異なるタン
パク質と相互作用することによってSGKイソ型を両部位でリン酸化する形態に
変換され得るのか、あるいはin vivoではこの残基が別個のタンパク質キナーゼ
によってリン酸化されるのかはまだ確認されていない。
【0244】 PDK1によって1つの主要な部位(Thr256;実施例1および[18]
)でリン酸化されるSGK1とは対照的に、SGK2およびSGK3はPDK1
およびMgATPとともにインキュベートすると2つのさらなるセリン残基でリ
ン酸化型となる(図18)。SGK2はSer279およびSer334、なら
びにThr193でリン酸化される。Ser334の周囲の配列(Ser−Il
e−Gly−Cys−Thr−Pro−Asp−Thr−Val−Ala)はT
hr193の周囲のもの(Thr−Phe−Cys−Gly−Thr−Pro−
Glu−Tyr−Leu−Ala))と類似しており(図13)、このことはS
er334がPDK1によってリン酸化されるということを示唆し、PDK1の
生理学的基質はキナーゼではないタンパク質を包含し得るという可能性が高まる
。Ser334に相当するセリンはSGK1およびSGK3中に存在している(
図3)が、PDK1によってかなりリン酸化されるわけではない[18](図1
8)。この理由は明らかではないが、この残基の付近に生じる特定のアミノ酸置
換に関連している可能性がある。
【0245】 興味深いことに、Ser279はSGKおよびPKBによるリン酸化のための
最適コンセンサス[18、22]に一致するArg−Xaa−Arg−Xaa−
Xaa−Ser配列中に位置する(図13)。このことはSer279リン酸化
はPDK1によって活性化された後のSGK2自身によって触媒される自己リン
酸化現象であるようであるということを示唆する。この発見からもSer279
はin vivoで別のSGKイソ型またはPKBなどの別のタンパク質キナーゼによ
ってリン酸化され得るという興味深い可能性が高まる。Ser279リン酸化が
細胞および組織において生じるのか、またそれがSGK2の特性を触媒的に変更
し調節するのかを調べることがかなり興味深いことであるのは明らかであろう。
Ser279はSGK1またはSGK3のいずれにも保存されていない(図13
)。
【0246】 SGK3もまた、PDK1およびMgATPとともにインキュベーションした
際に2個のセリン(Ser77およびSer79)でリン酸化型となったが、こ
れらもSGK1またはSGK2中には保存されていない(図13)。これらの残
基はSGKまたはPDK1のいずれかの最適コンセンサス配列中に位置しないが
、それらは2つの理由のためにおそらくはSGK3によって触媒される自己リン
酸化現象である。第1に、活性化されたSGK3はPDK1の不在下で自己リン
酸化する(図17F)、第2に、これらのインキュベーション中のSGK3濃度
は最適ペプチド基質とともに用いるものと比較して極めて高い、第3に、塩基性
残基(Lys74およびHis76)がSer77およびSer79の3残基N
末端に存在するが、これはSGKによるリン酸化の必要条件の1つである。
【0247】 アゴニストに対するSGK2およびSGK3の応答もまたいくつかの点でSG
K1と異なっている。例えば、SGK2およびSGK3はIGF1によってSG
K1よりも低い程度に(同様に迅速にではあるが)活性化される(図19)。過
酸化水素に応じた活性化は3種のイソ型総てに関して同様である(5倍)が、P
I−3キナーゼの阻害剤はSGK2およびSGK3の活性化を部分的にしか抑制
しないが、SGK1の活性化は無効とされる(図20)。さらに、SGK2およ
びSGK3活性は浸透圧ストレスに対する曝露の影響を受けないが、SGK1(
図19)およびPKB[23]活性は実質的に消失する。SGK2およびSGK
3の細胞下局在化はSGK1のものに匹敵し得る。これらのイソ型はSGK1と
同様にして核または別の細胞小器官を異なるアゴニストに応じて輸送し得る[1
9]。SGK2およびSGK3の内生レベルを検出するために十分に感受性のあ
るイソ型特異的抗体の開発はSGK2およびSGK3の細胞下位置を決定するの
に有用であり得る。
【0248】 構造的に活性な変異体の過剰発現によって得られた結果に基づいていくつかの
生理学的役割がPKBに割り当てられている([1、2]に概説されている)。
しかしながら、SGKイソ型はPKBと同様の特異性を有しており(表2)、か
つ、in vivoで同一の刺激によって活性化される。さらに、SGK1はPKBのi
n vitroおよび同時トランスフェクション実験(実施例1および[18])でグ
リコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)を不活性化する能力を模倣し得る
。従って、PKBによって果たされると考えられているいくつかの生理学的役割
はSGKイソ型によって媒介されることが可能である。逆に、アフリカツメガエ
ル卵母細胞におけるSGK1との同時発現によって生じた上皮ナトリウムチャン
ネルの活性化[16]は別のSGKイソ型によってまたはPKBによって実際に
媒介され得る。
【0249】実施例5の参照文献
【化13】
【図面の簡単な説明】
【図1】 PKB、p70S6キナーゼ、およびPKCζにおける活性化リン酸化部位周
辺のアミノ酸配列ならびに対応するSGKの領域とのそれらの類似点。それらを
太字で表し、PKBおよびp70S6キナーゼにおけるリン酸化残基に下線を付
けている。リン酸化部位は各酵素の160〜165残基で識別される。
【図2】 293細胞におけるSGKおよびPKB融合タンパク質の発現および精製。2
93細胞において発現されたGST融合タンパク質を細胞溶解タンパク質200
μgからグルタチオンセファロースで精製し、5〜20%(パネルA)または1
0%(パネルB)SDS−ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動に付し、クマシ
ーブルーで染色した。細胞を次の構築物:レーン1、GSTを発現するpEBG
2T;レーン2および4、全長SGKを発現するpEBG−SGK;レーン3、
全長PKBαを発現するpEBG−PKBα;レーン5、N末端切断型SGKを
発現するpEBG−ΔN−SGK(61−431)でトランスフェクトした。ま
たマーカータンパク質(レーンM)およびそれらの分子量も示す。
【図3】 非刺激293細胞から精製したGST−SGK融合タンパク質の活性。指示し
た野生型SGKおよび変異体を293細胞において発現させ、グルタチオンセフ
ァロースで精製した。各融合タンパク質(1μg)を50mM Tris/HC
l pH7.5、0.1mM EGTA、0.1%(v/v)2−メルカプトエ
タノール50μl中のタンパク質ホスファターゼ2A(30mU/ml)を加え
て30℃で20分間インキュベートした。(+)を示した場合、PP2Aを加え
る前にミクロシスチン−LR(1μM)を加えた。別のインキュベーション(−
)では、ホスファターゼによる処理後にミクロシスチン−LRだけを加えた。次
いで基質として「クロスチド」を用い、SGK活性を測定した。
【図4】 in vitroにおけるPDK1によるSGKのリン酸化および活性化。(A)方法
で記載したように、GST−PDK1(0.1μg)および[γ−32P]AT
P(500cpm/pmol)を用いてGST−SGK(0.3μg)をリン酸
化した。(+)を示した場合、ホスファチジルセリン(100μM)およびホス
ファチジルコリン(100μM)(PS/PC)を含有する脂質小胞中の1μM
PtdIns[3,4,5]Pも加えた。SDSを2%まで加えて反応を停
止させ、95℃で5分間加熱した後にサンプルを10%SDS/ポリアクリルア
ミドゲルでの電気泳動に付し、クマシーブルーで染色し、次いでオートラジオグ
ラフを撮影した。分子量マーカーの位置も示した。(B)[γ−32P]ATP
の代わりに非標識ATPを用いたことを除いて、(A)と同様である。30℃で
10分間インキュベートした後、基質として「クロスチド」を用い、10μlア
リコートをSGK活性についてアッセイした。結果は異なる3回の試験の±SD
で示されている。
【図5】 in vitroにおけるPDK1によるSGKのリン酸化への突然変異の影響。(A
)図3の説明で記載したように、野生型(WT)GST融合タンパク質または変
異体GSK(0.3μg)をPP2Aを加えてインキュベートし、PP2Aを不
活性化するミクロシスチン−LR(1μM)を加えた後、SGKタンパク質をP
DK1(0.1μg)を加え(+)および加えず(−)、[γ−32P]ATP
(500cpm/pmol)を加えてインキュベートし、SDS−PAGEに付
し、クマシーブルーで染色し、次いでオートラジオグラフを撮影した。Lys1
27Ala突然変異により触媒的に不活性な変異体が生じる。(B)[γ−32 P]ATP(500cpm/pmol)の代わりに非標識ATPを用いたことを
除いて、(A)と同様である。30℃で10分間インキュベートした後、基質と
して「クロスチド」を用い、10μlアリコートをSGK活性についてアッセイ
した。結果は異なる3回の試験の±SDで示されている。(C)(A)の場合の
ように野生型SGKのGST融合タンパク質またはS422D変異体(1μg)
をPP2Aを加えてインキュベートし、PDK1(0.2μg)および[γ− P]ATPによりリン酸化し、次いでSDS−PAGE、続いてオートラジオ
グラフィーに付した。(D)[γ−32P]ATPの代わりに非標識ATPを用
いたことを除いて、(C)と同様である。30℃で10分間インキュベートした
後、アリコートの反応物をSGK活性についてアッセイした。結果は異なる3回
の試験の±SDで示されている。
【図6】 SGKにおけるPDK1リン酸化部位のマッピング。(A)方法で記載したよ
うに、GST−ΔN−SGK[S422D](26μg)をPDK1によりリン
酸化し、V8プロテアーゼで消化した。消化物を0.1%(v/v)トリフルオ
ロ酢酸(TFA)中で平衡状態にしたVydac C18カラムに加えた。カラ
ムを0.1%TFA中の直線勾配のアセトニトリルにより流量0.8ml/分で
展開し、0.4mlの画分を回収した。32P−放射能を実線で、アセトニトリ
ル勾配を対角線で示す。挿入図は主要な32P標識ペプチドのホスホアミノ酸解
析を示している。(B)パネルAの1アリコートの主要なリンペプチドをApplie
d Biosystems 470A シーケンサー[29]における固相配列決定により解析し、
エドマン分解の各サイクル後に放出される32P−放射能を測定した。
【図7】 SGKおよびPKBαはGSK3を同程度に不活性化する。ウサギ骨格筋から
精製したGSK3(50mU)をペプチドの代わりにしたことを除いて、ペプチ
ドリン酸化に関して記載したようにインキュベーションを行った。GSK3活性
の単位を[30]に記載する。MgATP単独(△)およびSGK(○)または
PKBα(●)のいずれかを加えてインキュベーションした後の種々の時点にア
リコートを取り、[30]の場合のようにGSK3活性についてアッセイした。
【図8】 293細胞におけるSGKの活性化。 (A)細胞を野生型GST−SGK(SGK−WT)またはGST−SGK[T
256A]を発現するDNA構築物で一時的にトランスフェクトし、次いで50
ng/ml IGF−1により10分間または2mM過酸化水素にとり25分間
刺激し、続いて氷冷溶解バッファー中に溶解した。グルタチオンセファロース5
μlを細胞溶解タンパク質50mgに加え、40℃で30分間のエンド・オーバ
ー・エンド・ローテーション(end over end rotation)の後、懸濁液を13,0
00×gで1分間遠心分離した。上清を廃棄し、ビーズを0.5M NaClを
含むバッファーA 1mlで4回、次いでバッファーBで3回洗浄した。60m
M Tris/HCl pH7.5、0.12mM EGTA、0.12%(v
/v)2−メルカプトエタノール、3.0μM PKI、1.2μMミクロシス
チン−LR、12mM塩化マグネシウムおよび36μM「クロスチド」の404
lをビーズに加えた。氷上に10分間置いた後、ビーズに1mM[γ−32P]
ATP(500cpm/pmol)5μlを加えてSGK活性について30℃で
アッセイした。SDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳動、続いてクマシーブル
ーでの染色(データは示さず)によりわかるように、293細胞における野生型
および変異体SGKの発現は類似していた。結果は異なる3回の試験の±S.D
.で示されている。(B)IGF−1または過酸化水素により刺激する前に細胞
を100nMウォルトマンニンで10分間前処理したことを除いて、(A)の場
合のように野生型GST−SGK(SGK−WT)について試験を行った。
【図9】 293細胞におけるSGKの活性化の時間経過。293細胞をpEBG−SG
K(○)またはpEBG−PKBα(●)で一時的にトランスフェクトし、次い
で50ng/ml IGF−1(A)または2mM過酸化水素で(B)により刺
激した。示された時間に細胞を溶解し、GST−SGKまたはGST−PKBα
を図8の場合のようにグルタチオンセファロースで精製してアッセイした。△は
図3の説明で記載したように、PP2A(30mU/ml)を加えてインキュベ
ーションした後のGST−SGK活性を示す。結果は1回の試験の+S.D.で
示されている。この試験では各時点に異なる3枚のディッシュの細胞を用いた。
同様の結果が別の独立した試験でも得られた。
【図10】 293細胞におけるSGKの活性化へのSer422における突然変異の影響
。293細胞をpEBG−SGK、pEBG−SGK[S422A]またはpE
BG−SGK[S422D]で一時的にトランスフェクトし、次いで50ng/
ml IGF−1を加え(+)または加えず(−)に10分間刺激した。細胞を
溶解し、GST−SGKを図8の場合のようにグルタチオンセファロースで精製
してアッセイした。細胞溶解タンパク質50μgを野生型SGKおよびSGK[
S422A]のアッセイに、および25μgをSGK[S422D]のアッセイ
に用いた。SDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳動、続いてクマシーブルーで
の染色(データは示さず)によりわかるように、各タンパク質は同程度の量発現
された。(B、C)293細胞を指示したpEBG−SGK(B)またはpEB
G−ΔN−SGK(C)で一時的にトランスフェクトし、50ng/ml IG
F−1を加えて10分間刺激したことを除いて、(A)と同様である。細胞溶解
タンパク質50μgを野生型SGKのアッセイに、および10μgをN末端切断
型酵素のアッセイに用いた。
【図11】 ヒトおよびマウスSGK2のヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列。A、SG
K2α。キナーゼ触媒ドメインに対応する残基33〜329。終結コドンに▲の
印をつけている。B、SGK2β;SGK2αとは異なるSGK2βの5’領域
。SGK2αの配列を開始する開始メチオニンにアスタリスク(*)の印をつけ
ている。この残基の後のSGK2αおよびSGK2βの配列は同一である。
【図12】 ヒトおよびSGK3のヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列。A、SGK2α
。キナーゼ触媒ドメインに対応する残基93〜389。終結コドンに▲の印をつ
けている。***で5’ATGコドンのだいたいの位置を示し、直前にある終結
コドンに下線を付けている。
【図13】 SGKイソ型のアミノ酸配列アラインメント。Clustal Wプログラム
(Thompson, J. D., Higgins, D. G. and Gibson T. J. (1994) Nuc. Acids Res.
22, 4673-4680)を用いてヒト(h)SGK1、hSGK2、ネズミ(m)SG
K2およびhSGK3のアラインメントを行った。それらに黒で影を付け、SG
K2αおよびSGK2βの開始コドンを矢で示す。2つの重要なリン酸化に*で
印をつけている。
【図14】 種々のヒト組織におけるSGK1、SGK2およびSGK3をコードするmR
NAの発現。ポリ(A)+RNA2μgを含むノーザンブロットを32P標識S
GK1、SGK2およびSGK3cDNAプローブでハイブリダイズした。次い
でメンブランを3〜5日間X線フィルムに露光した。SGK2のプローブはSG
K2αおよびSGK2βと共通のものである。特異なSGK2βに関して得られ
た結果を別のパネルに示す。キロベース(kb)の規定サイズをもつ標準RNA
マーカーの位置に印をつけている。
【図15】 種々のアゴニストによるSGKイソ型をコードするmRNAの導入。(A)血
清の機能を24時間失わせたラット2繊維芽細胞を10%胎児ウシ血清(血清)
または1μMデクサメタゾン(Dex)を加えてまたはさらなる添加剤を加えず
に(対照)2時間インキュベートした。各ディッシュの細胞(5μg)から抽出
される全RNAを電気泳動に付し、ノーザンブロッティングによるSGKイソ型
転写物について解析した。サンプルの添加が等量であること証明するために、メ
ンブランを32P標識グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ
(GAPDH)DNAで再びプロービングした(パネル下)。標準RNAマーカ
ー18Sおよび28SリボゾームRNAの位置を示す。H4IIE肝癌細胞を用
いる、Aと同様の試験。
【図16】 293細胞におけるGST融合タンパク質としてのSGKイソ型の発現。GS
T融合タンパク質を293細胞において発現させ、細胞溶解タンパク質200μ
gからグルタチオンセファロースにおけるクロマトグラフィーにより精製した。
15mMグルタチオンで溶出したタンパク質を10%SDS/ポリアクリルアミ
ドゲルでの電気泳動に付し、クマシーブルーで染色した。細胞を次の構築物:レ
ーン1、全長SGK1を発現するpEBG−SGK1;レーン2、N末端切断型
SGK1を発現するpEBG−ΔN−SGK1;全長SGK2βを発現するpE
BG−SGK2β;レーン4、全長SGK2αを発現するpEBG−SGK2α
;レーン5、全長SGK3を発現するpEBG−SGK3;レーン6、N末端切
断型SGK3を発現するpEBG−ΔN−SGK3;レーン7、GSTを発現す
るpEBG−2Tでトランスフェクトした。またマーカータンパク質(レーンM
)およびそれらの分子量も示す。
【図17】 PDK1による野生型および変異体SGKイソ型のリン酸化および活性化。A
、BおよびC;材料および方法で記載したように、精製したGST融合タンパク
質(0.4μg)をPP2Aを加えてインキュベートし、次いでミクロシスチン
−LR(1μM)を加えてPP2Aを不活性化した。次いで指示した量の精製G
ST−PDK1を用いてSGKイソ型(20μg/ml)をリン酸化した。30
℃で30分後、基質として「クロスチド」を用い、SGK活性を測定した。結果
は3回の試験の±SDで示されている。●は野生型SGKについての結果および
○はそのPKBのSer473と等しい残基がAspに変化した変異体SGKに
ついての結果を示す。D、EおよびF;非標識ATPの代わりに100μM[γ
32P]ATP(500c.p.m./pmol)を用いたことを除いて、A
、BおよびCと同様である。SDSおよび2−メルカプトエタノールをそれぞれ
最終濃度1%(w/v)および1%(v/v)まで加えて反応を停止させ、95
℃で5分間の加熱、10%SDS/ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動および
オートラジオグラフィーを続けた。パネル上は野生型(wt)SGKイソ型につ
いての結果およびパネル下は変異体SGKついての結果を示す。ゲルにおける各
SGKイソ型およびPDK1の位置に印をつけている。
【図18】 PDK1によるリン酸化後のSGK2αおよびSGK3からのトリプシンリン
ペプチドの分離。GST−SGK2α(パネル上)またはGST−SGK3(パ
ネル下)をPP2Aによる処理で不活性化し、PDK1(1.5μg/ml)お
よびMg[γ−32P]ATP(5000cpm/pmol)によりリン酸化し
、SDSにおいて変性し、4−ビニルピリシンによりアルキル化し、図17の説
明で記載したように、SDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳動に付した。SG
K2αおよびSGK3に相当するバンドを削り取り、ゲルから溶出し、トリクロ
ロ酢酸で沈殿させて、従前に記載したようにトリプシンで消化した(Cuenda et a
l (1996) EMBO J 15, 4156-4164)。消化物を0.1%トリフルオロ酢酸中で平衡
状態にしたVydac C18カラムに加え、32P−ペプチド(P)を0.1
%トリフルオロ酢酸中の直線アセトニトリル勾配を用い、流量0.8ml/分で
分離した。0.4mlの画分を回収し、32P−放射能(実線)について分析し
た。アセトニトリル勾配を破線の対角線で示す。
【図19】 293細胞におけるSGKイソ型の活性化。 細胞を(A)GST−SGK1、(B)GST−SGK2αおよび(C)GST
−SGK3を発現するDNA構築物で一時的にトランスフェクトした。トランス
フェクション24時間後、細胞を血清の機能を16時間失わせ、次いで50ng
/ml IGF−1(10分)、400ng/mlホルボールミリステートアセ
テート(PMA)(30分)、10%血清(30分)、1μMデクサメタゾン(
Dex、60分)、2mM H(25分)、5μg/mlアニソマイシン
(AN、30分)、0.4Mソルビトール(30分)、低張ストレス(DMEM
3mlに加える水1ml、30分)、UV照射(200J/m2への照射後30
分)に曝すまたは未処理状態(対照)とした。各処理後に細胞を氷冷溶解バッフ
ァー中に溶解し、細胞溶解タンパク質100μgのSGK活性を測定した。SD
S/PAGE、続いてクマシーブルーでの染色(結果は示さず)によりわかるよ
うに、それぞれのトランスフェクションにおいて各イソ型の発現は類似していた
。結果は異なる3回の試験の±S.D.で示されている。
【図20】 293細胞における過酸化水素によるSGKイソ型の活性化へのPI3−キナ
ーゼ阻害剤の影響。細胞を(A)GST−SGK1、(B)GST−SGK2α
および(C)GST−SGK3を発現するDNA構築物で一時的にトランスフェ
クトした。トランスフェクション24時間後、細胞を血清の機能を16時間失わ
せた。次いでトランスフェクト細胞を100nMウォルトマンニンで10分間ま
たは100μM LY294002で1時間前処理し、次いで2mM H により25分間刺激した。結果は異なる3回の試験の±S.D.で示されている
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 C07K 19/00 4B065 C07K 19/00 C12N 1/15 4C084 C12N 1/15 1/19 4H045 1/19 1/21 1/21 9/12 5/10 C12P 21/02 C 9/12 C12Q 1/48 Z C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/48 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),JP,US (72)発明者 マリア、ディーク イギリス国ダンディー、フォース、プレイ ス、18 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB24 BB46 BB50 CB01 DA13 DA36 FB01 FB02 FB08 4B024 AA01 AA11 BA10 CA04 CA07 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 GA11 HA01 HA11 4B050 CC03 CC04 CC05 DD07 HH01 KK18 LL01 LL03 4B063 QQ27 QQ95 QR07 QR48 QR57 QS24 QX07 4B064 AG01 CA01 CA19 CC24 DA01 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 BA01 CA29 CA44 4C084 AA17 ZA542 ZB262 ZC202 ZC352 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA89 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血清および糖質コルチコイド誘導性タンパク質キナーゼ(SGK)をリン酸化
    し、SGKを活性化する方法。
  2. 【請求項2】 SGKを脱リン酸化する、リン酸化されたSGKの活性を低下させる方法。
  3. 【請求項3】 SGKを、PDK1またはその変異体、断片、融合体もしくは誘導体、または
    前記の変異体、断片もしくは誘導体の融合物によってリン酸化する、請求項1に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 SGKを、PP1、PP2C、PP2Aまたはそれらの変異体、断片、融合体
    もしくは誘導体、または前記の変異体、断片もしくは誘導体の融合物によって脱
    リン酸化する、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 SGKを不活性化および/または脱リン酸化する方法における、PP1、PP
    2C、PP2Aまたはそれらの変異体、断片、融合体もしくは誘導体、または前
    記の変異体、断片、もしくは誘導体の融合物の使用。
  6. 【請求項6】 SGKを活性化および/またはリン酸化する方法における、PDK1またはそ
    の変異体、断片、融合体もしくは誘導体、または前記の変異体、断片もしくは誘
    導体の融合物の使用。
  7. 【請求項7】 SGKを全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基においてリン酸化す
    る、SGKを活性化する方法。
  8. 【請求項8】 SGKを全長ヒトSGK1のSer422に相当する残基においてリン酸化す
    る、SGKを活性化する方法。
  9. 【請求項9】 SGKを全長ヒトSGK1のThr256に相当する残基においてさらにリン
    酸化する、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 SGKを、PDK2活性を含む調製物によって活性化および/またはリン酸化
    される、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 ヒトSGKまたはその変異体、断片もしくは誘導体を含んでなる、融合ポリペ
    プチド。
  12. 【請求項12】 グルタチオン−S−トランスフェラーゼを含んでなる、請求項11に記載の融
    合ポリペプチド。
  13. 【請求項13】 ヒト全長SGK1のN末端の約20個、30個、40個、50個もしくは60
    個のアミノ酸に相当する残基が存在しない、ヒトSGKまたはその変異体もしく
    は誘導体の断片を含んでなる、請求項11または12に記載の融合ポリペプチド
  14. 【請求項14】 全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基が置換されており、かつ/ま
    たは全長ヒトSGK1のトレオニン256に相当する残基が置換されており、か
    つ/または全長ヒトSGK1のリシン127に相当する残基が置換されている、
    ヒトSGKまたはその断片、変異体、誘導体もしくは融合体のアミノ酸配列を含
    んでなるポリペプチド。
  15. 【請求項15】 全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基がアスパラギン酸、グルタミ
    ン酸、アラニンまたはその他のリン酸化できない残基で置換されており、かつ/
    または全長ヒトSGK1のトレオニン256に相当する残基がアラニンまたはそ
    の他のリン酸化できない残基で置換されており、かつ/または全長ヒトSGK1
    のリシン127に相当する残基がアラニン残基で置換されている、請求項14に
    記載のポリペプチド。
  16. 【請求項16】 全長ヒトSGK1のセリン422に相当する残基がアスパラギン酸残基で置換
    されており、かつ、全長ヒトSGK1のトレオニン256およびリシン127に
    相当する残基がそれぞれトレオニンおよびリシンのままである、請求項15に記
    載のポリペプチド。
  17. 【請求項17】 全長ヒトSGK1のN末端の20個、30個、40個、50個または60個の
    アミノ酸に相当する残基が存在しない、請求項16に記載のポリペプチド。
  18. 【請求項18】 請求項11〜17のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする、ポリヌ
    クレオチド。
  19. 【請求項19】 請求項11〜17のいずれか一項に記載のポリペプチドを発現させるのに好適
    な、組換えポリヌクレオチド。
  20. 【請求項20】 請求項18または19に記載のポリヌクレオチドを含んでなる、宿主細胞。
  21. 【請求項21】 請求項11〜17のいずれか一項に記載のポリペプチドを作製する方法であっ
    て、 組換えポリヌクレオチドまたはポリペプチドをコードする複製可能なベクター
    を含んでなる宿主細胞を培養し、宿主細胞からポリペプチドを単離することを含
    んでなる、方法。
  22. 【請求項22】 ポリペプチドが活性化および/またはリン酸化されるように宿主細胞を処理す
    ることをさらに含んでなる、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 宿主細胞をIGF−1および/または過酸化水素に曝することによって処理す
    る、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法によって得られる、ポリペプチ
    ド。
  25. 【請求項25】 活性化されたSGKが用いられる、SGKの活性を調整する化合物を同定する
    方法。
  26. 【請求項26】 SGKの活性を調整する化合物を同定する方法であって、 化合物をSGKと接触させ、SGKの活性が化合物の不在下でのSGKの活性
    と比較して変化するかどうかを調べることを含んでなり、SGKの活性が、好適
    なリン酸供与体であるコンセンサス配列(Arg/Lys;好ましくはArg)
    −X−(X/Arg)−X−X−(Ser/Thr)−Z)(ここで、Xはいず
    れかのアミノ酸を示し、X/Argはいずれかのアミノ酸を示し(好ましくはア
    ルギニン)、かつ、Zはアミノ酸残基が好ましくは疎水性残基であることを示す
    )に相当するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドの存在下でSGKによるリ
    ン酸化を測定することによって測定される、方法。
  27. 【請求項27】 SGKまたは活性化されたSGKが、全長ヒトSGK1のセリン422に相当
    する残基がアスパラギン酸残基で置換され、かつ、全長ヒトSGK1のトレオニ
    ン256およびリシン127に相当する残基がそれぞれトレオニンおよびリシン
    のままであるSGKである、請求項25または請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 SGKがリン酸化によって活性化されるSGKである、請求項25〜27のい
    ずれか一項に記載の方法。
  29. 【請求項29】 SGKの活性が化合物の存在下で低下する、請求項24〜28のいずれか一項
    に記載の方法。
  30. 【請求項30】 SGKの活性が化合物の存在下で増大する、請求項25または26に記載の方
    法。
  31. 【請求項31】 BADもしくはGSK3のようなSGKの生理学的基質に結合し、かつ、SG
    Kによるその活性化および/またはリン酸化を増強するかまたは阻害するかのい
    ずれかである化合物を同定する方法であって、 化合物が基質のSGKとの相互作用を増強するかまたは阻害するかを調べる、
    あるいは化合物がSGKによる基質のリン酸化および/または活性化を実質的に
    阻害するかどうかを調べることを含んでなる、方法。
  32. 【請求項32】 PDK1のようなポリペプチド、またはPDK2活性を有するポリペプチドと
    相互作用することによりSGKの活性化を調整する化合物を同定する方法であっ
    て、 化合物が(a)SGKと(b)PDK1などの相互作用するポリペプチド、ま
    たはPDK1の機能的同等物またはPDK2活性を含む調製物との間の相互作用
    を増強するかまたは阻害するかを調べる、あるいは化合物がPDK1などの相互
    作用するポリペプチド、またはPDK2活性を含む調製物またはその機能的同等
    物によりSGKの活性化を調整するかどうかを調べることを含んでなる、方法。
  33. 【請求項33】 活性化されたSGKと相互作用するポリペプチドを同定する方法であって、 (1)(a)SGKと(b)活性化されたSGKと相互作用するポリペプチド
    を含み得る組成物を接触させ、 (2)SGKおよびポリペプチドを含む複合体の存在を検出し、 (3)所望により、タンパク質キナーゼと結合したいずれものポリペプチドを
    同定する ことを含んでなる、方法。
  34. 【請求項34】 請求項25〜33のいずれか一項に記載の方法を実施するのに有用な、製品キ
    ット。
  35. 【請求項35】 SGK、PDK1もしくはその機能的同等物、PDK2活性を含む調製物もし
    くはその機能的同等物および/またはSGKの基質、例えば、クロスチドもしく
    はBADもしくはGSK3を含んでなる、請求項34に記載の製品キット。
  36. 【請求項36】 SGKの基質を同定する方法における、SGKを阻害するがPKBを阻害しな
    い化合物の使用。
  37. 【請求項37】 請求項25〜33のいずれか一項に記載の方法によって同定可能なまたは同定
    される化合物。
  38. 【請求項38】 医薬に用いる、請求項37に記載の化合物。
  39. 【請求項39】 SGKの活性の調整を必要とする患者の治療のための医薬の製造における、請
    求項37に記載の化合物の使用。
  40. 【請求項40】 有効量の請求項37に記載の化合物を患者に投与する、SGKの活性の調整を
    必要とする患者の治療方法。
  41. 【請求項41】 薬剤様化合物または薬剤様化合物の開発のためのリード化合物のスクリーニン
    グアッセイにおける活性化されたSGKの使用。
  42. 【請求項42】 患者が癌を患っている、請求項39に記載の使用、または請求項40に記載の
    方法。
  43. 【請求項43】 患者が糖尿病または虚血性疾患を患っている、請求項39に記載の使用、また
    は請求項40に記載の方法。
  44. 【請求項44】 SGKがSGK1、SGK2α、SGK2βまたはSGK3である、請求項1
    〜17、25〜33、35、39〜43のいずれか一項に記載の方法、使用、融
    合ポリペプチド、ポリペプリドまたは製品キット。
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