JP2003088376A - ヒト・キナーゼmaskとその遺伝子 - Google Patents

ヒト・キナーゼmaskとその遺伝子

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JP2003088376A
JP2003088376A JP2001280364A JP2001280364A JP2003088376A JP 2003088376 A JP2003088376 A JP 2003088376A JP 2001280364 A JP2001280364 A JP 2001280364A JP 2001280364 A JP2001280364 A JP 2001280364A JP 2003088376 A JP2003088376 A JP 2003088376A
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human
kinase
gene
lys
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Ippeita Dan
一平太 檀
Akihiro Kusumi
明弘 楠見
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なヒト・キナーゼとこのキナーゼをコー
ドする遺伝子材料を提供する。 【解決手段】 ヒトX染色体q25-26.3領域に存在し、配
列番号2のアミノ酸配列を有するヒト・キナーゼMASKを
コードするヒト遺伝子と、この遺伝子の発現産物である
ヒト・キナーゼMASK。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ヒトGCK
ファミリーに属する新規キナーゼMASKとその遺伝子に関
するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、
細胞のアポトーシス誘導機能を有する新規ヒト・キナー
ゼMASKとその遺伝子に関するものである。
【0002】
【略語の説明】この出願は、以下の略語を使用して説明
する。GCK:germal central kinase、PAK:p21-activat
ed kinase、Ste20:Sterile 20、SOK1:Ste20-like oxi
dant stress responsible kinase 1、JNK:Jun N-termi
nus kinase、MAPK:mitogen-activated protein kinas
e、YSK1:yeast Ste20-relted kinase、Mst:mammalian
sterile stress response kinase-1、Krs:kinase resp
onsible stress、EST:expression sequence tag、UT
R:untranslated region、PCR:polymerase chain reac
tion、RT:reverse transcription、RACE:rapid ampli
fication of cDNA ends、HA:hemaglutinin、TAK1:tra
nsformation activated kinase、TAB1:TAK 1binding p
rotein 1、MBP:myelin basic protein、ATF:activati
ng transcription factor、EGFR:epidermal growth fa
ctor receptor、IL: interleukin、PAGE:ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動、IP:immunoprecipitate、SLK:
Ste20 like kinase、HPK1:hematopoietic progenitor
kinase 1、OSR1:oxidative stress responsive 1、ER
K:extracellular signal-regulated kinase、MEKK1:M
APK/ERK kinase kinase 1、WB:ウェスタンブロット、
IgG:免疫グロブリンG、WT:野生型。
【0003】
【従来の技術】GCKファミリーは、PAKファミリーと共
に、高等真核生物におけるキナーゼSte20グループを構
成している(文献1)。GCKファミリーは、これまでにヒ
トで同定された20を超えるメンバーを有するプロテイン
キナーゼのかなり大きなファミリーを代表している(文
献1)。これらのキナーゼは細胞骨格転位や形態形成か
らアポトーシスまでの広範な細胞事象に係わっている
(文献1)。特に、こらのキナーゼは、それらの細胞事
象においてJNKまたはp38 MAPKシグナル伝達経路を制御
している(文献1、2、6、7)。
【0004】GCKファミリーメンバーは、C末端ではな
くN末端にキナーゼドメインを有している点において、
C末端にキナーゼドメインを有してPAKファミリーキナ
ーゼと区別される(文献1、2)。事実、キナーゼドメイ
ンはこのファミリーを作用という点から定義している
が、非触媒領域は分子間相互作用する相手を決定してい
ると思われるので、これらファミリーメンバー間の機能
的な差異に寄与している(文献1)。GCKファミリーキナ
ーゼの数が増加し、これら分子の非触媒領域においても
多様性が増加している(文献1)。GCKファミリーは歴史
的には2つのサブファミリーに分類されているが、ヒ
ト、ショウジョウバエおよびC.エレガンスのゲノムに
関する最近の広範な分析によって、これらは系統発生学
的に別異の8個のサブファミリーに分類し直されている
(文献1、2)。ポストゲノム時代における哺乳動物GCK
ファミリーキナーゼに関する研究の最も重要な主題の1
つは、同一サブファミリー内の他のメンバーと比べて、
そしてまた、異なるサブファミリー内のキナーゼとも比
べて、キナーゼの特異的な特徴を確立することである。
この意味で、最も特殊なサブファミリーは2つの哺乳動
物キナーゼSOK1/YSK1とMst3、並びにそれらのショウジ
ョウバエおよびC.エレガンスの対応遺伝子、即ちCG51
69およびT19A5.2からなるGCK-IIIサブファミリーである
(文献1、3〜5)。他のGCKファミリーキナーゼと異なっ
て、SOK1/YSK1やMst3はどれもJNKまたはp38 MAPK経路
を活性化することは示されていない(文献3〜5)。今日
までに証明された唯一の明白な生理学的機能は、酸素ス
トレスおよび化学的酸素欠乏症によるSOK1の活性化であ
る(文献4、36)。GCK-IIIは、アポトーシス中に活性化
されるMst1/Krs2およびMst2/Krs1を含むGCK-IIと密接
に関係しているが、GCK-IIIに関してはアポトーシスと
の係わりはこれまでに報告されていない(文献8〜1
2)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のとおり、プロテ
インキナーゼとそれが介在する細胞情報伝達は、細胞骨
格転位や形態形成、アポトーシス等の広範な細胞事象に
関与しており、当然のことながらそれらの細胞事象の変
調に関連する各種の疾患にも重要な役割を果たしてい
る。従って、新規キナーゼを単離し、その機能を解明す
ることは、様々な細胞事象についての理解を深めるばか
りでなく、各種疾患の原因解明や治療法の開発にも大き
く貢献する。
【0006】この出願の発明は、以上のとおりの従来技
術に鑑みてなされたものであって、新規ヒト・キナーゼ
MASKとその遺伝子を提供することを課題としている。
【0007】またこの出願の発明は、MASKおよび遺伝子
に関する各種の遺伝子操作材料等を提供することを課題
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願は、前記の課題
を解決するための発明として、以下の(1)〜(12)の発明
を提供する。 (1) ヒトX染色体q25-26.3領域に存在し、配列番号2
のアミノ酸配列を有するヒト・キナーゼMASKをコードす
るヒト遺伝子。 (2) cDNAが配列番号1の塩基配列を有する前記発明(1)
のヒト遺伝子。 (3) 前記発明(1)のヒト遺伝子のゲノムDNA、mRNA、cDN
Aまたはそれらの相補配列から精製されたポリヌクレオ
チド。 (4) 前記発明(1)のヒト遺伝子または前記発明(3)のポ
リヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダ
イズするオリゴヌクレオチドプローブ。 (5) 前記発明(1)のヒト遺伝子または前記発明(3)のポ
リヌクレオチドをPCR増幅するオリゴヌクレオチドプラ
イマーセット。 (6) 前記発明(3)のポリヌクレオチドを保有する組換え
ベクター。 (7) 前記発明(6)の組換えベクターによる形質転換体細
胞。 (8) 前記発明(1)の遺伝子の発現産物であって、配列番
号2のアミノ酸配列を有するヒト・キナーゼMASK。 (9) 前記発明(7)の形質転換体細胞によって産生される
前記発明(8)のヒト・キナーゼMASK。 (10) 前記発明(8)または(9)のヒト・キナーゼMASKの変
異体であって、C末端側の1〜142個のアミノ酸残基が
欠失したMASK変異体。 (11) 配列番号2における連続5アミノ酸残基以上のア
ミノ酸配列からなるオリゴペプチド。 (12) 前記発明(8)のヒト・キナーゼMASKを認識する抗
体。
【0009】すなわち、この出願の発明者らは、ヒトゲ
ノム内のSte20グループキナーゼの系統的スクリーニン
グ中に、GCK-IIIサブファミリーの新しいキナーゼMASK
(Mst3 and SOK1-related kinase)を見出した。そし
て、このMASKの全長形態とC末端切断形態は共に、細胞
アポトーシスを誘発することを見出した。
【0010】この出願の発明は、以上のとおりの新規ヒ
ト遺伝子およびその発現タンパク質を基礎とするもので
ある。なお、前記の発明において、「ポリヌクレオチ
ド」および「オリゴヌクレオチド」は特定塩基数の断片
を意味するものでなく、一応の目安として100bp以上の
断片をポリヌクレオチド、100bp未満の断片をオリゴヌ
クレオチドとするが、例外も存在する。同様に、オリゴ
ペプチドについても特定範囲のアミノ酸残基数に限定さ
れるものではない。
【0011】以下、この出願の発明について、実施形態
を詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】発明(1)のヒト遺伝子は、イント
ロン11個とエクソン12個を有し、ヒトX染色体q25-26.3
領域の約52.6 kbのゲノムDNA内に存在し(図1B参
照)、配列番号2のアミン酸配列を有するヒト・キナー
ゼMASKをコードするゲノム遺伝子である。そしてこのヒ
ト遺伝子は、そのcDNAが配列番号1の塩基配列を有して
いる。
【0013】なお、このヒト遺伝子には、それがコード
するタンパク質の発現に対する制御領域(プロモーター
/エンハンサー、サプレッサー等)も含まれる。これら
の発現制御領域は、新規ヒト・キナーゼMASKの更なる機
能や遺伝子の欠失変異等のメカニズムを解明するために
も有用である。
【0014】発明(1)の遺伝子は、例えば、配列番号1
の塩基配列またはその一部配列からなる精製ポリヌクレ
オチドまたはオリゴヌクレオチドをプローブとしてヒト
ゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることによ
って単離するすることができる。得られたゲノム遺伝子
は、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NA
SBN(Nucleic acid sequence based amplification)
法、TMA(Transcription-mediated amplification)法
およびSDA(Strand Displacement Amplification)法な
どの通常行われる遺伝子増幅法により増幅することがで
きる。
【0015】そして、このゲノム遺伝子やこの遺伝子が
転写するmRNA、mRNAから合成したcDNAから、発明(3)の
精製ポリヌクレオチド(DNA断片やRNA断片)を調製する
ことができる。例えば、cDNAはヒト細胞から抽出したポ
リ(A)+RNAを鋳型として合成することができる。ヒト細
胞としては、人体から手術などによって摘出されたもの
でも培養細胞でもよい。cDNAは、公知の方法(Mol. Cel
l Biol. 2, 161-170,1982; J. Gene 25, 263-269, 198
3; Gene, 150, 243-250, 1994)を用いて合成すること
ができる。あるいは、オリゴヌクレオチドをプライマ−
として、ヒト細胞から単離したmRNAを鋳型とするRT-PCR
法を用いて、目的cDNAを合成することもできる。このよ
うにして調製されるcDNAは、具体的には配列番号1の塩
基配列を有している。これらのポリヌクレオチドは、例
えばMASKの遺伝子工学的な製造に使用することができ
る。
【0016】発明(4)のオリゴヌクレオチドプローブ
は、前記のゲノム遺伝子または前記ポリヌクレオチドに
ストリンジェント条件下でハイブリダイズするDNA断片
またはRNA断片である。例えば、配列番号1の塩基配列
における連続10〜100bpのDNA断片等である。ここで、ス
トリンジェント条件とは、前記の遺伝子またはポリヌク
レオチドプローブとの特異的なハイブリッド形成を可能
とする条件であり、ハイブリダイゼーションおよび洗浄
工程における塩濃度、有機溶媒(ホルムアミド等)の濃
度、温度条件によって規定される。詳しくは、米国特許
No. 6,100,037等に詳しく規定されている。
【0017】発明(5)のプライマーセットは、前記の遺
伝子やポリヌクレオチドをPCR増幅するための1対のオ
リゴヌクレオチドである。これらのプライマーセット
は、配列番号1の塩基配列に基づき設計し、合成・精製
の各工程を経て調製することができる。なお、プライマ
ー設計の留意点として、例えば以下を指摘することがで
きる。プライマーのサイズ(塩基数)は、鋳型DNAとの
間の特異的なアニーリングを満足させることを考慮し、
15-40塩基、望ましくは15-30塩基である。ただし、LA
(long accurate)PCRを行う場合には、少なくとも30塩
基が効果的である。センス鎖(5'末端側)とアンチセン
ス鎖(3'末端側)からなる1組あるいは1対(2本)の
プライマーが互いにアニールしないよう、両プライマー
間の相補的配列を避けると共に、プライマー内のヘアピ
ン構造の形成を防止するため自己相補配列をも避けるよ
うにする。さらに、鋳型DNAとの安定な結合を確保する
ためGC含量を約50%にし、プライマー内においてGC-ric
hあるいはAT-richが偏在しないようにする。アニーリン
グ温度はTm(melting temperature)に依存するので、
特異性の高いPCR産物を得るため、Tm値が55-65℃で互い
に近似したプライマーを選定する。また、PCRにおける
プライマー使用の最終濃度が約0.1〜約1μMになるよう
調整する等を留意すうことも必要である。また、プライ
マー設計用の市販のソフトウェア、例えばOligoTM[Nat
ional Bioscience Inc.(米国)製]、GENETYX[ソフト
ウェア開発(株)(日本)製]等を用いることもでき
る。
【0018】発明(6)の組換えベクターはクローニング
ベクターまたは発現ベクターであり、インサートしての
ポリヌクレオチドの種類や、その使用目的等に応じて適
宜のものを使用する。例えば、cDNAまたはそのORF領域
をインサートとしてMASKを生産する場合には、インビト
ロ転写用の発現ベクターや、大腸菌、枯草菌等の原核細
胞や、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞のそ
れぞれに適した発現ベクターを使用することができる。
また、前記のゲノム遺伝子DNAをインサートとする場合
には、BAC(Bacterial Artificial Chromosome)ベクタ
ーやコスミドベクター等を使用することもでき、こられ
らの組換えベクターは、例えば蛍光in situハイブリダ
イゼーション(FISH)による染色体異常を診断するため
のプローブとしても有用である。さらには、発明(3)の
ポリヌクレオチドをウイルスベクター等に組換え、癌細
胞等にアポトーシスを誘導するための遺伝子治療に用い
ることもできる。
【0019】発明(7)の形質転換体細胞は、例えば、前
記発明(6)の組換えベクターを用いてMASKを製造する場
合には、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆虫細
胞、哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができ
る。これらの形質転換体細胞は、電気穿孔法、リン酸カ
ルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公
知の方法によって組換えベクターを細胞に導入すること
によって調製することができる。
【0020】発明(8)は、発明(1)のヒト遺伝子の発現産
物MASKである。具体的には、MASKは配列番号2のアミノ
酸配列を有する精製ポリペプチドである。この精製MASK
は、抗体作製のための免疫原として、あるいはMASKが関
与する各種疾患の治療薬を開発するための標的分子等と
して有用である。また、このMASKは、発明(10)のMASK変
異体と同様に強いアポトーシス誘導作用を有するため、
癌細胞を標的とした治療薬の成分としても有望である。
【0021】この精製MASKは、ヒトの細胞から単離する
方法、配列番号2のアミノ酸配列に基づき化学合成によ
ってペプチドを調製する方法等によって得ることができ
るが、好ましくは、前記発明(7)の形質転換細胞から単
離・精製する方法によって大量に生産することができる
(発明(9))。すなわち、形質転換体細胞を培養し、そ
の培養物から、例えば、尿素などの変性剤や界面活性剤
による処理、超音波処理、酵素消化、塩析や溶媒沈殿
法、透析、遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、SDS-PAGE、
等電点電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、疎水
性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフ
ィー、逆相クロマトグラフィー等によって単離、精製す
ることによりMASKを大量に得ることができる。なお、こ
のような遺伝子工学的手法によって得られたMASKには、
他の任意のタンパク質との融合タンパク質も含まれる。
例えば、グルタチン−S−トランスフェラ−ゼ(GST)
や緑色蛍光蛋白質(GFP)との融合蛋白質などが例示で
きる。さらに、細胞で発現したタンパク質は、翻訳され
た後、細胞内で各種修飾を受ける場合がある。したがっ
て、修飾されたタンパク質もこの発明のMASKの範囲に含
まれる。このような翻訳後修飾としては、N末端メチオ
ニンの脱離、N末端アセチル化、糖鎖付加、細胞内プロ
テア−ゼによる限定分解、ミリストイル化、イソプレニ
ル化、リン酸化などである。
【0022】発明(10)は、C末端側の1〜142個のアミ
ノ酸残基が欠失したMASK変異体である。このMASK変異体
は、そのアポトーシス誘発活性により、例えば癌細胞を
標的とした治療薬成分等として有用である。この変異体
は、全長MASKを分解酵素で切断する方法や、あるいは配
列番号1における3'側の塩基を欠失したポリヌクレオチ
ドを適当な宿主−ベクター系で発現させる方法等によっ
て作成することができる。
【0023】発明(11)のオリゴペプチドは、配列番号2
における連続5アミノ残基以上のアミノ酸配列からなる
ペプチドである。このペプチドは、前記発明(8)または
(9)のタンパク質MASKを適当な分解酵素で分解する方法
や、公知の固相ペプチド合成法によって調製することが
できる。これらのペプチドはMASKに対する抗体作製の抗
原として有用である。とくに、配列番号2のアミノ酸配
列における異なる配列領域のペプチドを複数用いること
によって、エピトープの異なる抗体を作成することがで
きる。
【0024】発明(12)の抗体は、前記のMASKを認識する
ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり、
MASKのエピトープに結合することができる全体分子、お
よびFab、F(ab')2、Fv断片等が全て含まれる。このよう
な抗体は、前記の精製MASKやペプチドを抗原として用い
て動物を免役した後、血清から得ることができる。ある
いは、上記の真核細胞用発現ベクターを注射や遺伝子銃
によって、動物の筋肉や皮膚に導入した後、血清を採取
することによって作製することができる。動物として
は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ニワトリなどが用
いられる。免疫した動物の脾臓から採取したB細胞をミ
エロ−マと融合させてハイブリド−マを作製すれば、モ
ノクロ−ナル抗体を産生することができる。
【0025】以下、この発明の遺伝子クローニングとMA
SKの機能確認について行った実験とその結果を詳しく説
明する。 1. 方法 1.1 cDNAクローニング GCK-IIIサブファミリーの新たなメンバーを同定するた
めに、先ず、MST3またはSOK1/YSK1に類似しているが、
これらと同一ではない幾つかのESTクローン(DDBJ/EMB
L/GeneBank Accession Nos. H03061, N22323, N75199,
R79391, T84469, W16504, AA191319, AA309584, AA313
812, AA649166, AA809779およびAA953567)を同定し
た。その後、より新しいESTクローンAL514122を使用し
て5’UTR領域を延長した。これらのESTクローンの配列
を参照して、MASK cDNAを増幅するために以下のPCRプラ
イマーを設計した。なお、各プライマーの番号は、配列
番号1の塩基配列の位置に対応する。 フォワードプライマー: MASK(1F):5'-GGCATCACTCGAGCCCAGGTCCCA-3'(配列番号
3); MASK(104F):5'-CAGAAAGGCCCCGATCGAA-3'(配列番号
4) MASK(643F):5'-TCACCGAGACATAAAAGCTGCC-3'(配列番号
5) MASK(1112F):5'-GGACACAGTGATGATGAATC-3'(配列番号
6) MASK(1584F):5'-CACTGAAGATTTGGAAGAAGC-3'(配列番号
7) MASK(2640F):5'-CTGAACTGGGGCTGTATTTC-3'(配列番号
8) リバースプライマー: MASK(888R):5'-TGCATATCGGAGTTAGGTGG-3'(配列番号
9) MASK(1935R):5'-CTTATTTACACCTCCCCACCA-3'(配列番号
10) MASK(2732R):5'-AAACCAAACTGTGCAGATCCA-3'(配列番号
11) MASK(3256R):5'-GACTGTGAAATTTAAATATTTAT-3'(配列番
号12) これらのプライマーと、成人ヒト脳から得られたトータ
ルRNAを鋳型として用い、SuperScript IIおよびPlutinu
m Pfx DNAポリメラーゼ(GibcoBRL)を使用した標準的
なRT-PCR法(文献13)を実施した。また、5' RACEおよ
び3' RACE(文献13)によって得られた配列を確認し
た。次に、これらのPCR産物を組合せ、全長MASK cDNAを
得た。1つの全長クローンは完全に両スタンド上の配列
であった。少なくとも3つの別々のクローンを比較する
ことによって、PCRによるアーチファクトは全て排除し
た。 1.2 ノーザンブロット 固定化ポリA+ mRNAを含有するヒト多重組織ノーザンブ
ロット(Ambion, Inc.)を使用した。MASK転写物の3'UT
Rから得られた612 bpフラグメント(配列番号1の位置1
369〜1980)をプローブとして使用した。このプローブD
NAは、ランダムプライム化標識キット(Roche Diagnost
ics)を使用して[α−32P]dCTP(Amersham Pharmaci
a)で標識した。ハイブリダイゼーションと洗浄段階は
製品指示書に従って実施した。次いで、これらのメンブ
レンをベータアクチンプローブを使用して再度ハイブリ
ダイゼーションさせた。 1.3 組換えベクター 先ず、MASK cDNAをGatewayエントリーベクター(Life T
echnologies)にクローン化した。次に、クロナーゼ反
応を使用して、cDNAにFLAGエピトープタグを付加した。
MASKのC末端欠失(C末端の99個のアミノ酸を欠失)も
同様にして作成した。MASKのFLAGエピトープタグ付きK5
3E変異体は、PCR法(文献13)により調製し、pCMVFベク
ター(名古屋大学のMatsumoto博士から提供)に直接サ
ブクローン化した。HAエピトープタグ付きMASKもpCMVH
ベクターにサブクローン化した。また、クロナーゼ反応
を使用してcDNAを酵母bait(pGBKT7)およびprey(pGAD
T7)ベクター(Clontech)に移して酵母ツーハイブリッ
ド系用のベクターを構築した。これらのベクター構築物
は全て配列決定によって確認した。HA-JNK1、HA-p38、F
LAG-TAK1およびTAB1プラスミドは文献(14)の記載のとお
りである。V5-タグ付きJNK1はInvitrogen社。MBPおよび
GST-ATF2はUpstate Biotechnology社から購入した。野
生型EGFRは文献(15)に記載のものを使用した。 1.4 細胞培養及びトランジェントトランスフェクショ
ンアッセイ 293細胞を、10%ウシ胎仔血清と抗生物質含有のダルベ
ッコ修正イーグル培地中で増殖させた。293細胞のトラ
ンスフェクションは文献(16)の記載に従って行った。
単一トランスフェクションアッセイでは、6cmの皿1個
当たり1×106個の細胞を合計5μgのcDNAでトランスフ
ェクションした。 1.5 抗体および増殖因子 抗-FLAG M2モノクローナル抗体(mAB)はSigma社から、
抗-HA mAbはBAbCO社から、抗-V5 mAbはInvitrogenか
ら、抗-p38ウサギ ポリクローナル抗体(pAb)はSantaC
ruz社からそれぞれ入手した。IL-1はPromega社から購入
した。1.5 代謝標識法、免疫沈降法およびウェスタン
ブロット法代謝標識法では、細胞を洗浄し、35S−標識
システインとメチオニンを加えたシステイン/メチオニ
ン非含有DMEM(Translabel)中で一夜インキュベートし
た。免疫沈降試験では、細胞はプロテアーゼインヒビタ
ー(各1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド、Na
3VO4、NaF、各1μg/mlのアプロチニン、ロイペプチ
ン、ペプスタチン)の存在下で50mM トリス、pH 7.6、1
50mM NaCl、1% Nonidet P-40を含有する溶解緩衝液に
溶解させた。この細胞溶解物を15,000 rpmで4分間遠心
し、上清液を細胞溶解物として使用した。これらの細胞
溶解物は、製造者によって推奨されている濃度のエピト
ープタグに対するそれぞれの抗体、およびタンパク質G-
Sepharose(Amersham Pharmacia)の50%スラリー15μl
と共に2時間〜一夜インキュベートした。これらの混合
物は15,000 rpmで2分間遠心し、ペレットを3回洗浄
し、SDS-PAGEに供した。 1.6 キナーゼアッセイ 免疫コンプレックス中のキナーゼ活性は、MASK用のキナ
ーゼ基質としてミエリン塩基性タンパク質(MBP、Sigma
から入手)を、JNKおよびp38用の基質としてGST-ATF2を
使用して試験した。細胞はキナーゼアッセイ溶解緩衝液
(50mMトリス、pH 7.6、150mM NaCl、1% Nonidet P-4
0、10mMフッ化ナトリウム、5mM β-グリセロホスフェー
ト、1mMオルトバナジン酸ナトリウム+プロテアーゼイ
ンヒビター)中に溶解させた。下流キナーゼは先ず、エ
ピトープの適当な抗体およびProtein A/G-抱合セファ
ロースビーズ(Amersham Pharmacia)の50%スラリー15
μlと共に上記溶解物を4時間インキュベートすること
によって免疫沈降させた。これらの免疫沈降物を溶解緩
衝液中で2回洗浄し、続いてアッセイ希釈緩衝液(AD
B)(20mM MOPS pH 7.2、10mM β-グリセロホスフェー
ト、5mM EGTA、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、1m
Mジチオスレイトールおよび10mMフッ化ナトリウム)中
で2回洗浄した。次いで、5μgのMBPまたは脱リン酸化
GST-ATF2(UpstateBiotechnology)を10μlのATP/MgCl
2ミックス(ADB中500μMの非標識ATP、75mMのMgCl2)お
よび1μlの[γ−32P]−標識ATP(5000Ci/mmol)と
一緒に添加し、総反応容量を50μlとした。試料を30℃
で15分間インキュベートして基質をリン酸化し、次いで
SDS試料負荷緩衝液を添加した。引き続いて、試料を5
分間沸騰させ、SDS-PAGEゲルに入れ、オートラジオグラ
フィーにかけた。 1.7 カスパーゼ3開裂アッセイ HA-MASKまたはpCMVHベクターを293細胞中にトランスフ
ェクションし、上記のとおりに免疫沈降を行った。HA-M
ASKの免疫沈殿物またはベクターでトランスフェクショ
ンした対照の小分別物(6μl)は、カスパーゼ緩衝液
(10mM HEPES pH7.4、100mM NaCl、10mM DTTおよび1mM
EDTA)100μl中でカスパーゼ3−抱合アガロースビー
ズ(Upstate Biotechnology)の25%スラリー10μlと共
に37℃で1時間インキュベートした。対照として、HA-M
ASKの免疫沈降物もカスパーゼ3の不存在下、同一の条
件下でインキュベートした。インキュベーション後、溶
液を15,000 rpmで1分間遠心し、上清液90μlを取り出
し、溶液の残りにSDS-PAGE用の試料緩衝液を加えた。試
料をSDS-PAGEに付し、ニトロセルロース上に移し、抗HA
mAbを使用してウェスタンブロット分析を行った。 1.8 アポトーシスアッセイ アポトーシスアッセイは、基本的には文献(J Biol Che
m. 274:16871-16875,1999)の記載に従って行った。す
なわち、リン酸カルシウム方法によって、6cmの皿中で
ヒトMCF7乳癌細胞にβ−ガラクトシダーゼをコードして
いるプラスミド0.5μgと共に、4.5μgのベクターDNA、M
ASK(WTまたは△C)、またはTNF受容体を一過性にトラ
ンスフェクションさせた。トランスフェクションから約
24時間後、細胞を0.5%グルタルアルデヒドで固定し、X
-Galで染色してトランスフェクションした細胞を視覚化
した。アポトーシス細胞は、アポトーシスを受けている
付着細胞に典型的な形態学的変化によって生存細胞と識
別した。
【0026】DNA断片化アッセイは、文献(Oncogene, 2
0:1913-1922, 2001)の記載に従って293細胞中で実施し
た。すなわち、細胞をPBSで洗浄した後、溶解緩液(50n
MトリスpH 8.0、10mM EDTA、0.5% N-ラウリルザルコシ
ン、および0.5mg/mlのプロテイナーゼK)中に溶解し、
50℃で1時間インキュベートした。次に、RNアーゼを加
えて最終濃度を0.5mg/mlとし、50℃で1時間さらにイ
ンキュベートした。次に、これらの試料をTE緩衝液中で
希釈し、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコ
ール方法によってDNAを抽出し、沈殿したDNAを1.5%ゲ
ルでアガロースゲル電気泳動に供した。 1.9 酵母ツーハイブリッド分析 Clontech Laboratories, Incから入手したMatchmaker G
al4 ツーハイブリッド系を全ての分析に使用した。酵母
株の形質転換と接合に使用したプロトコールは製造者の
指示に従った。すなわち、MASK WTおよびMASK △Cを、G
ateway系を使用してbait(pGBKT7)およにprey(pGADT
7)ベクター中にクローン化した。baitプラスミドは酵
母株P169-2A中に、preyプラスミドは株Y187中に存在し
た。接合反応物を培地(ヒスチジン、トリプトファンお
よびロイシンを含有せず)および高緊縮性選択プレート
(アデニン、ヒスチジン、トリプトファンおよびロイシ
ンを含有せず)上に播種した。陽性コロニーは、X-αGa
lを含有する高緊縮性プレート上での青色コロニーの増
殖と形成の両方によって確認した。 2. 結果 2.1 MASKのクローニング この出願の発明者らは、先に、キナーゼのSte20グルー
プに関する系統発生学的分析において、新規なキナーゼ
遺伝子がヒトゲノム内に存在することを指摘し、そして
GCK-IIIサブファミリーキナーゼの分析から、Mst3また
はSOK1/YSK1遺伝子のどちらからも誘導されない1群の
ESTsの存在を確認している(文献3〜5)。そこで、幾つ
かのオリゴヌクレオチドプライマーを用いたRT-PCRによ
って全長cDNAクローンを単離し、そのインサートDNAの
配列を決定した。このcDNAのヌクレオチド配列は、配列
番号1に示した3256 bpからなり、416個アミノ酸残基か
らなるORFを有していた。また、その翻訳開始メチオニ
ンの上流には、翻訳開始用のKozakコンセンサス配列
(文献17)と良好に一致した配列が存在した。ORF配列
にコードされた推定タンパク質は、Mst3およびSOK1キナ
ーゼと極めて高い相同性を示したため、これをMASK(Ms
t3 and SOK1 related kinase)と命名した(文献3、
4)。 2.2 MASKの配列分析 MASKのN末端領域はSte20様キナーゼドメインをコード
しており、11個のキナーゼサブドメインを含んでいる
(図1A)(文献18)。全てのSteグループキナーゼ中で
高度に保存されているSte20署名配列と呼ばれる保存モ
チーフもMASK中に存在している(文献1)。MASKのキナ
ーゼドメインはGCK-IIIサブファミリーキナーゼMst3(8
9%の同一性)、SOK1/YSK1(87%)、ショウジョウバ
エの推定上のキナーゼCG5169(85%)およびC.エレガ
ンスの推定上のキナーゼT19A5.2(79%)のキナーゼド
メインと最も密接に関係している(文献1、3〜5)。こ
れはまた、GCK IIサブファミリーキナーゼ、例えば哺乳
動物のMst1/Krs2、Mst2/Krs1、ショウジョウバエの推
定上のキナーゼCG11228およびC.エレガンスの推定上
のキナーゼC24A8.4とも54〜57%同一である(文献1、8
〜10)。MASKは、そのキナーゼドメインにおいて他のGC
Kファミリーキナーゼと中程度に関係している(50%未
満)(文献1)。
【0027】GCKファミリーキナーゼの注目すべき特徴
は、これらのC末端の非触媒ドメインにおける広範な配
列多様性である。GCK-IIIサブファミリーは約140個のア
ミノ酸残基からなる短いC末端領域によって特徴付けら
れる(文献1)。このサブファミリーの他のメンバーと
同様に、MASKは142個アミノ酸残基のC末端非触媒領域
を有しており、これは哺乳動物のGCK-IIIサブファミリ
ーキナーゼ間では中程度に保存されている(SOK-1およ
びMst3でそれぞれ約42〜46%の同一性)(文献1、3〜
5)。なお、ショウジョウバエやC.エレガンスの推定
上の対応遺伝子はゲノム配列から推定されているだけで
あり、それらのC末端残基も不明確であるため、比較対
照としていない。MASKのC末端領域は他のサブファミリ
ー中のGCKと高い類似性を示さない(文献1)。従っ
て、MASKは、その哺乳動物の相同体SOK1/YSK1およびMs
t3と共に異なるサブファミリーを形成すべきでると考え
られる。
【0028】さらに、MASKのC末端領域を調べることに
よって、幾つかの特徴的なモチーフの存在が明らかにな
った。C末端の最上流の領域は高度に酸性であり、これ
は他のGCK-IIIメンバーによっても共有されている特徴
である(文献1、3〜5)。しかしながら、MASK中のこの
酸性領域の部分(DESDS)は、カスパーゼ3、即ちアポ
トーシス中に活性化されるエフェクターカスパーゼの推
定上の標的化モチーフと類似している(文献19)。カス
パーゼ3の開裂部位は、Mst1、Mst2、SLKおよびHPK1の
ような他のGCKファミリーキナーゼ中にも見られる(文
献11、12、20、21)。マルチコイルプログラムを使用し
て、MASKのC末端中の残基359〜391を予測して、自己会
合に関係のあるコイルドコイルを形成させる(図1A)
(文献22)。これはGCK IIIサブファミリーのどのメン
バーについても予測されていないが、GCK IIサブファミ
リーの2つのメンバーはそれらのC末端のコイルドコイ
ル領域によってホモ二量体化することが知られている。
この出願の発明者らは、このコイルドコイル領域に相当
する領域がMASK、Mst3およびSOK-1間である程度に保存
されており、そしてこれらが全てオリゴマーを形成する
可能性を有していることを見いだしている。
【0029】DNAデータベース検索によって、ヒトMASK
遺伝子はヒト染色体X由来のBACクローンRP6-213H19によ
ってコードされていることが確認された(図1B)。さ
らに、MASK cDNA配列をヒトゲノム配列と比較すること
によって、ヒトMASK遺伝子がゲノムDNAの52.6 kbの範囲
に及んでいることが確認された(図1B)。遺伝子の位
置はXq25〜26.3である。MASK転写物のコード化領域は12
個のエキソンからなっている。エキソン/イントロンの
境界は全てスプライシング用のコンセンサス配列と適合
していた(図1C)(文献23)。 2.3 MASK mRNAの組織分布 多重組織ノーザンブロットを精査することによってMASK
mRNAの発現パターンを調べた結果、約5kbの主要バン
ドと、約3kbの非主要バンドが検出された(図2)。従
って、脳から増幅させた3256 bpのクローンは、約3kb
のMASK転写物に起源を有しているように思われる。より
大きなバンドは代替的なポリアデニル化事象に由来する
可能性がある。いずれにしても、コードされた全長タン
パク質と他のファミリーメンバーとの類似性から判断し
て、単離したクローンはMASKの全ORFを有するクローン
であると考えられる。
【0030】MASK転写物は試験した殆ど全ての組織で検
出された。またヒトESTデータベースの検索によって、E
STデータベース中の殆ど全ての器官から対応するESTが
誘導されることが示されたことは、ノーザンブロット分
析の結果との一致している。この普遍的な発現パターン
はSOK1/YSK1およびMST3(最近報告された脳特異的MST3
イソ体を除く)の発現パターンを連想させる(文献3〜
5、24)。他のGCKサブファミリーにおいては、サブファ
ミリーメンバー間の機能的分離はしばしばディファレン
シャルな発現パターンを示す(文献1)。しかしなが
ら、これは、MASKがSOK1/YSK1およびMST3と同様な広範
な発現パターンを示すことから、GCK-IIIサブファミリ
ーには当てはまらない。 2.4 MASKのキナーゼ活性 MASK cDNAが対応するタンパク質をコードする能力を、F
LAGエピトープタグを付加したcDNAを293T細胞中にトラ
ンスフェクションして試験した。ネガティブコントロー
ルとして、ベクターだけをトランスフェクションした。
抗FLAG抗体を使用したオートラジオグラムによって、推
定分子量47 kDaより僅かに大きな55 kDaのタンパク質が
検出された(図3A)。SDS-PAGEゲル上のこのより大き
な見かけ上の分子量は、他のGCK-IIIサブファミリーキ
ナーゼにも同様に典型的である。例えば、SOK1/YSK1は
推定分子量48 kDaであるが、50または55 kDaで検出さ
れ、推定分子量48 kDaのMst3は52 kDaで検出される(文
献3〜5)。これによって、GCK-IIIキナーゼは全て、未
だ解明されていない転写後修飾を受けそうであることが
示唆される。
【0031】次にMASKのキナーゼ活性を、293細胞内で
のベクターまたは野生型(WT)MASKの過剰発現および抗
FLAG抗体による免疫沈降、続いて外来性基質としてMBP
を使用するインビトロキナーゼアッセイによって試験し
た。キナーゼ活性を失っていると思われるATP結合ポケ
ット中の保存リジン残基に突然変異を有するMASKの突然
変異体(MASK K53E)もこのアッセイに含めた(文献1
8)。MBPに相当する強くリン酸化されたバンドはWT MAS
Kトランスフェクションレーンで検出されたが、ベクタ
ー対照またはキナーゼ失活MASKでは検出されなかった
(図3B)。また、WT MASKに相当するバンドが観察さ
れ、自己リン酸化を受けている可能性が示唆された。以
上の結果から、MASK cDNAが機能的キナーゼをコードし
ていることが確認された。
【0032】MASKのキナーゼ活性に対するC末端の非触
媒領域の寄与を調べるために、MASKのC末端切断体(MA
SK △C)を作成し、そのキナーゼ活性を野生型のものと
比較した。WTと比べて、自己リン酸化並びにMBPリン酸
化値の有意な増加がMASK △Cで観察された(図3C)。
この結果は、C末端領域がMASKのキナーゼ活性を負に制
御する可能性があることを示している。この所見は、キ
ナーゼ活性がC末端領域によって同様に阻害されるGCK-
IIサブファミリーキナーゼと一致する(文献25)。MASKの
C末端領域とGCK-IIのC末端領域間には配列相同性が実
質的に存在していないので、MASK C末端領域のこの阻
害効果は異なるメカニズムによって行われるように思わ
れる(文献8〜10)。 2.5 MASKの自己会合 短いC末端領域の存在は全てのGCK-IIIサブファミリー
キナーゼに共通の構造的特徴である(文献1、3〜5)。
しかしながら、この領域の機能は解明されていない。こ
の領域はしばしば、オリゴマー形成のためのコイルドコ
イルモチーフを含んでいるので、酵母ツーハイブリッド
系を使用してMASKがホモ二量体を形成できるかどうかを
試験した(文献26)。その結果、WT MASKはそれ自身と
結合するが、他の2つの対照タンパク質(p53またはPAK
5)とは結合しなかった(表1)。また、WT MASKとMASK
△C間では相互結合が観察されなかった。以上の結果か
ら、MASKは自己会合することができ、この自己会合には
C末端領域が必要であることが明かとなった。上記で示
した△C-MASKのキナーゼ活性の上昇を前提とすると、M
ASKのキナーゼ活性がそのC末端非触媒領域の自己会合
によって制御されることを示唆している。
【0033】
【表1】
【0034】2.6 MASK過剰発現によるJNK、p38またはE
RK経路の活性化欠如 大部分のGCKはJNKまたは38 MAPK経路のどちらかを活性
化することが報告されているが、GCK-IIIサブファミリ
ーメンバーが、これらの経路を活性化することは未だ報
告されていない(文献1〜7)。これはGCK-IIIサブファ
ミリーの共通した特異な特徴である。そこで、この特徴
がMASKにも当てはまるかどうかを試験した。293細胞を
野生型MASKとV5エピトープタグ付きJNK1またはHAタグ付
きp38でコトランスフェクションした。それぞれのMAPK
を免疫沈降させ、インビトロキナーゼアッセイを行っ
た。野生型MASKによるトランスフェクションではJNKま
たはp38の活性化は生じなかった(図4)が、これらはI
L-1またはTAK1とTAB1のコトランスフェクションによっ
てそれぞれ強力に活性化された。MASKのC末端欠失体は
キナーゼとしてさらに活性が高いので、同様のアッセイ
を行ったが、このMAPK変異体の活性化は全く観察されな
かった(図4)。この結果は、GCK-IIIがMAPK経路を活
性化できないという共通の特徴に一致している。
【0035】GCKファミリーキナーゼのこのような挙動
に対して考えられる1つの説明は、これらが未だ解明さ
れていないシグナル伝達経路で作用するということであ
る。もう1つの可能性は、これらのキナーゼはMAPK経路
を潜在的に活性化することができるが、そのためには何
らかの形態をとる必要があるということである。この点
に関して、MASKの自己会合およびMASKのC末端領域によ
るキナーゼ活性の阻害に関する前記の知見は、MASKがそ
の分子間自己会合によって沈黙させられるという興味あ
る可能性を提示している。これはMASKがその未知のエフ
ェクターと相互作用するのを妨げると思われる。推定上
のカスパーゼ3開裂によってC末端領域が除去される
と、MASKは未だ特定されていないシグナル伝達経路に関
与するようになると思われる。 2.7 カスパーゼ3によるMASKのインビトロでの開裂 上記で提示した配列分析によって、潜在的なカスパーゼ
3開裂部位に相当するアミノ酸配列が明らかにされた
(文献19)。MASKがカスパーゼ3の基質となりうるか否
かを試験するために、MASKに対するインビトロでのカス
パーゼアッセイを行った。293細胞をWT MASKでトランス
フェクションし、一過性に発現されたMASKを免疫沈降さ
せてカスパーゼ3抱合アガロースビーズと共にインキュ
ベートした。このカスパーゼ処理によって47 kDaのバン
ドが出現したが、これは推定上のカスパーゼ認識モチー
フで切断されたC末端を有する突然変異体とほぼ同じ大
きさである(図5)。この結果はMASKが推定上のカスパ
ーゼ標的モチーフであり、カスパーゼ3によって開裂さ
れる可能性があることを示唆している。興味深いこと
に、免疫沈降したMASKのフラクションだけがカスパーゼ
3によって開裂された。より長いインキュベーションで
も開裂生成物は増加しなかった。その理由は明かではな
いが、オリゴマー形成または他の何らかの未確認のメカ
ニズムによってMASKタンパク質がカスパーゼによる開裂
から保護されている可能性がある。 2.8 MASK過剰発現によるアポトーシスの誘発 アポトーシスにおけるMASKの関与に直接取り組むため
に、MCF-7ヒト乳癌細胞をベクター、WT MASKまたはMASK
△Cとβ−ガラクトシダーゼでコトランスフェクション
した。図6Aに見られるように、MASK-WTとMASK-△Cは共
に、過剰発現したTNF受容体で観察された効果と類似す
る膿疱形成、核の断片化および培養皿から細胞の分離と
いったアポトーシスに典型的な形態学的変化を誘発した
(文献29)。アポトーシスの誘発は、幾つかの別個の実
験でWTよりMASK-△Cにおいて常に一層顕著であった。キ
ナーゼ失活突然変異体をこれらの細胞中に同様にしてト
ランスフェクションしたときアポトーシス細胞が全く観
察されなかったので、この効果にはMASKのキナーゼ活性
が必要であった。DNA断片化がアポトーシス細胞のもう
1つの特徴であるので、ベクター、MASK △CおよびTNF
受容体でトランスフェクションした細胞からゲノムDNA
を単離し、これらをアガロースゲル電気泳動に供した
(文献27)。図6Bに示されているように、MASK-△Cで
トランスフェクションした細胞から得られたゲノムDNA
は、アポトーシスによる細胞死を確認する特徴的なDNA
断片化ラダーを示した。これらの結果から、WTとMASK
△Cは共に、細胞内の過剰発現によってアポトーシスを
誘発し得ることが確認された。
【0036】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、アポトーシス誘発活性を有する新規ヒト
・キナーゼが提供される。様々な細胞事象のメカニズム
の解明ばかりでなく、細胞事象の変調等が関与する各種
疾患の原因解明や治療法の開発にも有用である。
【0037】
【参考文献】
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Gln Val Val Ala Ile Lys 40 45 50 atc ata gac ctt gag gaa gcc gaa gat gaa ata gaa gac att cag caa 427 Ile Ile Asp Leu Glu Glu Ala Glu Asp Glu Ile Glu Asp Ile Gln Gln 55 60 65 gaa ata act gtc ttg agt caa tgt gac agc tca tat gta aca aaa tac 475 Glu Ile Thr Val Leu Ser Gln Cys Asp Ser Ser Tyr Val Thr Lys Tyr 70 75 80 85 tat ggg tca tat tta aag ggg tct aaa tta tgg ata ata atg gaa tac 523 Tyr Gly Ser Tyr Leu Lys Gly Ser Lys Leu Trp Ile Ile Met Glu Tyr 90 95 100 ctg ggc ggt ggt tca gca ctg gat ctt ctt cga gct ggt cca ttt gat 571 Leu Gly Gly Gly Ser Ala Leu Asp Leu Leu Arg Ala Gly Pro Phe Asp 105 110 115 gag ttc cag att gct acc atg cta aag gaa att tta aaa ggt ctg gac 619 Glu Phe Gln Ile Ala Thr Met Leu Lys Glu Ile Leu Lys Gly Leu Asp 120 125 130 tat ctg cat tca gaa aag aaa att cac cga gac ata aaa gct gcc aat 667 Tyr Leu His Ser Glu Lys Lys Ile His Arg Asp Ile Lys Ala Ala Asn 135 140 145 gtc ttg ctc tca gaa caa gga gat gtt aaa ctt gct gat ttt gga gtt 715 Val Leu Leu Ser Glu Gln Gly Asp Val Lys Leu Ala Asp Phe Gly Val 150 155 160 165 gct ggt cag ctg aca gat aca cag att aaa aga aat acc ttt gtg gga 763 Ala Gly Gln Leu Thr Asp Thr Gln Ile Lys Arg Asn Thr Phe Val Gly 170 175 180 act cca ttt tgg atg gct cct gaa gtt att caa cag tca gct tat gac 811 Thr Pro Phe Trp Met Ala Pro Glu Val Ile Gln Gln Ser Ala Tyr Asp 185 190 195 tca aaa gct gac att tgg tca ttg gga att act gct att gaa cta gcc 859 Ser Lys Ala Asp Ile Trp Ser Leu Gly Ile Thr Ala Ile Glu Leu Ala 200 205 210 aag gga gag cca cct aac tcc gat atg cat cca atg aga gtt ctg ttt 907 Lys Gly Glu Pro Pro Asn Ser Asp Met His Pro Met Arg Val Leu Phe 215 220 225 ctt att ccc aaa aac aat cct cca act ctt gtt gga gac ttt act aag 955 Leu Ile Pro Lys Asn Asn Pro Pro Thr Leu Val Gly Asp Phe Thr Lys 230 235 240 245 tct ttt aag gag ttt att gat gct tgc ctg aac aaa gat cca tca ttt 1003 Ser Phe Lys Glu Phe Ile Asp Ala Cys Leu Asn Lys Asp Pro Ser Phe 250 255 260 cgt cct aca gca aaa gaa ctt ctg aaa cac aaa ttc att gta aaa aat 1051 Arg Pro Thr Ala Lys Glu Leu Leu Lys His Lys Phe Ile Val Lys Asn 265 270 275 tca aag aag act tct tat ctg act gaa ctg ata gat cgt ttt aag aga 1099 Ser Lys Lys Thr Ser Tyr Leu Thr Glu Leu Ile Asp Arg Phe Lys Arg 280 285 290 tgg aag gca gaa gga cac agt gat gat gaa tct gat tcc gag ggc tct 1147 Trp Lys Ala Glu Gly His Ser Asp Asp Glu Ser Asp Ser Glu Gly Ser 295 300 305 gat tcg gaa tct acc agc agg gaa aac aat act cat cct gaa tgg agc 1195 Asp Ser Glu Ser Thr Ser Arg Glu Asn Asn Thr His Pro Glu Trp Ser 310 315 320 325 ttt acc acc gta cga aag aag cct gat cca aag aaa gta cag aat ggg 1243 Phe Thr Thr Val Arg Lys Lys Pro Asp Pro Lys Lys Val Gln Asn Gly 330 335 340 gca gag caa gat ctt gtg caa acc ctg agt tgt ttg tct atg ata atc 1291 Ala Glu Gln Asp Leu Val Gln Thr Leu Ser Cys Leu Ser Met Ile Ile 345 350 355 aca cct gca ttt gct gaa ctt aaa cag cag gac gag aat aac gct agc 1339 Thr Pro Ala Phe Ala Glu Leu Lys Gln Gln Asp Glu Asn Asn Ala Ser 360 365 370 agg aat cag gcg att gaa gaa ctc gag aaa agt att gct gtg gct gaa 1387 Arg Asn Gln Ala Ile Glu Glu Leu Glu Lys Ser Ile Ala Val Ala Glu 375 380 385 gcc gcc tgt ccc ggc atc aca gat aaa atg gtg aag aaa cta att gaa 1435 Ala Ala Cys Pro Gly Ile Thr Asp Lys Met Val Lys Lys Leu Ile Glu 390 395 400 405 aaa ttt caa aag tgt tca gca gac gaa tcc ccc taa gaaacttatt 1481 Lys Phe Gln Lys Cys Ser Ala Asp Glu Ser Pro 410 415 attggcttct gtttcatatg gacccagaga gccccaccaa acctacgtca agattaacaa 1541 tgcttaaccc atgagctcca tgtgcctttt ggatctttgc aacactgaag atttggaaga 1601 agctattaaa ctattttgtg atggcgttta tcattttata ttttgaaagg attattttgt 1661 aaggaataac ttttaatact atagtttcac ctgtattcta gtaaatgttg agacaccgtt 1721 ttgcttttaa gtatccctat ttcttaagtt acgaggatga atacctttca cattttgatc 1781 tttagttgac tctacagtca tgaaacatac aggtctttca aagtcattct caatattcag 1841 cttttgtaaa ttatcaagct tcaaaaagct ttttttttaa aaaaaaaaac atgcatattc 1901 taaaaatgac tattggtggg gaggtgtaaa taagtcatac cttcttaaaa cagaaaattt 1961 aagtaaagtc ttttaaatga aacctgtaaa agtattgact cttctaccaa gttggtatga 2021 tattccaggc agctcaatga ttatcacatt tgagaccctg tgtttgaagc atttacaggc 2081 aatgtacagc aacagaggta cctcttggtg tatagtattt acattctctt ttaggtagaa 2141 gaggcaattt tacccttatt tcacatggtt agaaatttaa agcaagatca tttacccaag 2201 gataggtgtt tggtaatgtt gaaggagtta gtctggcttc atgttttaca tcttcaacta 2261 aaatcccata ctatctgctt ggatttggag agccaaaaaa taaagctgat tgtcatgtga 2321 ttaaatatct gatcaacagg tatgaatata acttaaatca gcatattttt gccatggtaa 2381 taaattgtcc tataaactat ttatatattt ttgttcttca taattatcac taataagcat 2441 cagtttgttg tttttaaaag gatatttaag tgagcatttt ctagttcata tgaaaataac 2501 catagtacag gatgatttct gtccacacaa aggttaaatt agattgcaca gttaattttc 2561 acttatattt atggtactat tatgtgggtg atgccttttt cttttaagcc cagtacatat 2621 attatgcctg cctaagttct gaactggggc tgtatttcag tagttgtaga attattgata 2681 tttagttttg atagctaatg tttaattgtt tggatctgca cagtttggtt tttgcacaaa 2741 agtcatttaa aaaaatctga gtaattgtca aatattaaaa gaaagatatt cttcctgtaa 2801 ggaatacagt ttttagtcaa agtggccatt acatcctctt tttaatttac ataatacaga 2861 tacttgagaa agttgttgtg gtgttgtatg ccaagaaaat tctttttatt ggtgcctata 2921 ttgtaacaat tatttttaat gcattgtatt ttgaagtaac ggttcagtta aatttttcac 2981 ctgctgtgta actgaagcac aattacagtt tataatcatc tgtagaagtc tggagataat 3041 tttgcaactc atgttatggg ttaaatgaat atttttgtaa aagtaaaagc aacaaattta 3101 taaattgatt atttgaaact ttacaacaca attgcatccc aaatacaaat tgtattgctt 3161 attcattata gctattcgtc ctgtaatctg tttctaggtg aagcatactc cagtgtttta 3221 ggggttttga aaataaatat ttaaatttca cagtcaaaaa aa 3263 <210> 2 <211> 416 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Met Ala His Ser Pro Val Ala Val Gln Val Pro Gly Met Gln Asn Asn 1 5 10 15 Ile Ala Asp Pro Glu Glu Leu Phe Thr Lys Leu Glu Arg Ile Gly Lys 20 25 30 Gly Ser Phe Gly Glu Val Phe Lys Gly Ile Asp Asn Arg Thr Gln Gln 35 40 45 Val Val Ala Ile Lys Ile Ile Asp Leu Glu Glu Ala Glu Asp Glu Ile 50 55 60 Glu Asp Ile Gln Gln Glu Ile Thr Val Leu Ser Gln Cys Asp Ser Ser 65 70 75 80 Tyr Val Thr Lys Tyr Tyr Gly Ser Tyr Leu Lys Gly Ser Lys Leu Trp 85 90 95 Ile Ile Met Glu Tyr Leu Gly Gly Gly Ser Ala Leu Asp Leu Leu Arg 100 105 110 Ala Gly Pro Phe Asp Glu Phe Gln Ile Ala Thr Met Leu Lys Glu Ile 115 120 125 Leu Lys Gly Leu Asp Tyr Leu His Ser Glu Lys Lys Ile His Arg Asp 130 135 140 Ile Lys Ala Ala Asn Val Leu Leu Ser Glu Gln Gly Asp Val Lys Leu 145 150 155 160 Ala Asp Phe Gly Val Ala Gly Gln Leu Thr Asp Thr Gln Ile Lys Arg 165 170 175 Asn Thr Phe Val Gly Thr Pro Phe Trp Met Ala Pro Glu Val Ile Gln 180 185 190 Gln Ser Ala Tyr Asp Ser Lys Ala Asp Ile Trp Ser Leu Gly Ile Thr 195 200 205 Ala Ile Glu Leu Ala Lys Gly Glu Pro Pro Asn Ser Asp Met His Pro 210 215 220 Met Arg Val Leu Phe Leu Ile Pro Lys Asn Asn Pro Pro Thr Leu Val 225 230 235 240 Gly Asp Phe Thr Lys Ser Phe Lys Glu Phe Ile Asp Ala Cys Leu Asn 245 250 255 Lys Asp Pro Ser Phe Arg Pro Thr Ala Lys Glu Leu Leu Lys His Lys 260 265 270 Phe Ile Val Lys Asn Ser Lys Lys Thr Ser Tyr Leu Thr Glu Leu Ile 275 280 285 Asp Arg Phe Lys Arg Trp Lys Ala Glu Gly His Ser Asp Asp Glu Ser 290 295 300 Asp Ser Glu Gly Ser Asp Ser Glu Ser Thr Ser Arg Glu Asn Asn Thr 305 310 315 320 His Pro Glu Trp Ser Phe Thr Thr Val Arg Lys Lys Pro Asp Pro Lys 325 330 335 Lys Val Gln Asn Gly Ala Glu Gln Asp Leu Val Gln Thr Leu Ser Cys 340 345 350 Leu Ser Met Ile Ile Thr Pro Ala Phe Ala Glu Leu Lys Gln Gln Asp 355 360 365 Glu Asn Asn Ala Ser Arg Asn Gln Ala Ile Glu Glu Leu Glu Lys Ser 370 375 380 Ile Ala Val Ala Glu Ala Ala Cys Pro Gly Ile Thr Asp Lys Met Val 385 390 395 400 Lys Lys Leu Ile Glu Lys Phe Gln Lys Cys Ser Ala Asp Glu Ser Pro 405 410 415 <210> 3 <221> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 3 ggcatcactc gagcccaggt ccca 24 <210> 4 <221> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 4 cagaaaggcc ccgatcgaa 19 <210> 5 <221> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 5 tcaccgagac ataaaagctg cc 22 <210> 6 <221> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 6 ggacacagtg atgatgaatc 20 <210> 7 <221> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 7 cactgaagat ttggaagaag c 21 <210> 8 <221> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 8 ctgaactggg gctgtatttc 20 <210> 9 <221> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 9 tgcatatcgg agttaggtgg 20 <210> 10 <221> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 10 cttatttaca cctccccacc a 21 <210> 11 <221> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 11 aaaccaaact gtgcagatcc a 21 <210> 12 <221> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Artificial Sequence: Synthesized Oligonucleotide <400> 12 gactgtgaaa tttaaatatt tat 23
【図面の簡単な説明】
【図1】MASKの配列分析の結果である。AはMASKの推定
アミノ酸配列。キナーゼドメインには下線、Ste20ファ
ミリー署名配列はボックスで囲まれている。MASKのC末
端の推定上のコイルドコイル領域は灰色で陰影が付けら
れている。BはMASK遺伝子のゲノム機構の概略図であ
る。ヒト染色体XおよびMASKを含有するBACクローン(R
P6-213H19)の位置が示されている。MASK遺伝子座は右
側に加えられている。上記した連続ゲノムクローンのヌ
クレオチド位置が示されている。垂直線はMASK遺伝子を
表し、そして水平方向の棒印はエクソンを表す。CはMAS
Kのイントロン/エクソン境界である。
【図2】MASK mRNAの発現分析の結果である。MASKの多
重組織ノーザンブロット分析は上部パネルに示されてい
る。
【図3】MASKのキナーゼ活性の試験結果である。A:ベ
クターまたは野生型MASK(MASKWT)cDNAでトランスフェ
クションした293T細胞の発現産物のブロット結果であ
る。B:FLAGエピトープタグ付きMASK WT、K53→E突然変
異体(MASK K53E)およびベクターをベクターでトラン
スフェクションした293細胞からの発現産物のブロット
結果である。c:各ベクターコンストラクトをトランス
フェクションした293細胞の発現産物をBと同様にしてキ
ナーゼアッセイした結果である。
【図4】MASKによるJNKまたはp38経路の活性化を試験し
た結果である。A:各ベクターおよびV5エピトープタグ
付きJNK1でコトランスフェクションした293細胞から得
られた溶解物を抗V5抗体で免疫沈降させ、基質として
[γ−32P]ATPおよびGST-ATF2を使用してインビトロキ
ナーゼアッセイを行った結果である。B:各ベクターお
よびHAエピトープタグ付きp38でコトランスフェクショ
ンした293細胞から得られた溶解物を抗HA抗体で免疫沈
降させ、基質として[γ−32P]ATPoyobiGST-ATF2を使
用してインビトロキナーゼアッセイを行った結果であ
る。
【図5】カスパーゼ3によりインビトロでMASKを開裂し
た結果である。HA-MASKまたはベクターでトランスフェ
クションした293細胞の溶解物から得られた免疫沈降物
をカスパーゼ3抱合アガロースビーズと共にインキュベ
ートし、試料をSDS-PAGEに付し、ニトロセルロース上に
移した後に抗HA mAbを使用してウェスタンブロット分析
によって視覚化した。
【図6】MASKのアポトーシス誘発活性について試験した
結果である。A:MCF-7乳癌細胞を発現ベクターとβ−ガ
ラクトシダーゼプラスミドでコトランスフェクション
し、グルタルアルデヒドで細胞を固定し、基質としてX-
Galを使用して染色した結果である。B:ベクタープラス
ミド、MASK △CまたはTNF受容体でトランスフェクショ
ンした細胞におけるDNA断片化の結果である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12Q 1/68 A 9/12 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/68 5/00 A Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA10 CA04 CA07 CA09 CA12 CA20 DA03 EA04 GA11 HA13 HA14 4B050 CC01 CC03 DD11 EE01 LL01 LL03 LL05 4B063 QA01 QQ53 QR32 QR35 QR40 QR56 QS34 QX07 4B065 AA01X AA58X AA72X AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 BB01 BC01 CA29 CA44 CA46 4H045 AA11 CA40 DA75 EA20 EA50

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトX染色体q25-26.3領域に存在し、配
    列番号2のアミノ酸配列を有するヒト・キナーゼMASKを
    コードするヒト遺伝子。
  2. 【請求項2】 cDNAが配列番号1の塩基配列を有する請
    求項1のヒト遺伝子。
  3. 【請求項3】 請求項1のヒト遺伝子のゲノムDNA、mRN
    A、cDNAまたはそれらの相補配列から精製されたポリヌ
    クレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項1のヒト遺伝子または請求項3の
    ポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリ
    ダイズするオリゴヌクレオチドプローブ。
  5. 【請求項5】 請求項1のヒト遺伝子または請求項3の
    ポリヌクレオチドをPCR増幅するオリゴヌクレオチドプ
    ライマーセット。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドを保有する
    組換えベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6の組換えベクターによる形質転
    換体細胞。
  8. 【請求項8】 請求項1の遺伝子の発現産物であって、
    配列番号2のアミノ酸配列を有するヒト・キナーゼMAS
    K。
  9. 【請求項9】 請求項7の形質転換体細胞によって産生
    される請求項8のヒト・キナーゼMASK。
  10. 【請求項10】 請求項8または9のヒト・キナーゼMA
    SKの変異体であって、C末端側の1〜142個のアミノ酸
    残基が欠失したMASK変異体。
  11. 【請求項11】 配列番号2における連続5アミノ酸残
    基以上のアミノ酸配列からなるオリゴペプチド。
  12. 【請求項12】 請求項8のヒト・キナーゼMASKを認識
    する抗体。
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