JP3794954B2 - 節水型洗米機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は少ない水で効率よく洗米することができる節水型洗米機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗米機としては、例えば、特開昭62−137020号公報に開示されているように、上部が円筒形で下部が逆円錐形の洗米槽内に回転軸を設け、その回転軸に取り付けた攪拌羽根を回転させることによって、洗米を行うものが知られている。しかしながら、本発明者等が検討したところによれば、この従来の洗米機においては、攪拌羽根が洗米槽中心部に位置する回転軸に取り付けられているため、攪拌羽根の回転時の周速度が洗米槽中心部付近では洗米槽周辺部よりも小さく、洗米槽中心付近に位置する米は、十分に洗米され難いという欠点があることが分かった。このような洗米機を用いて、洗米槽全体の米を所定の洗米の程度にまで洗米すると、必要以上に多量の洗米水を使用することになり、洗米時間も必要以上に長くなるということになる。
【0003】
また、例えば、特開平5−115802号公報においては、洗米水の無駄な消費を抑制するために、洗米を一定のシーケンスで行うのではなく、洗米水の濁度を検出して洗米時間、洗米回数等の洗米条件を決定し、過不足のない洗米を行うようにした洗米機が提案されているが、この洗米機においても、攪拌羽根は洗米槽中心に設けられた回転軸に取り付けられており、洗米槽中心付近に位置する米の洗米に時間が掛かり、必要以上に多量の洗米水を使用することになるという不都合は解消されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の洗米機の問題点を解決するために為されたものであって、より少ない洗米水で効率良く洗米することができる節水型洗米機を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意工夫を重ねた結果、本発明者等は、従来の洗米機のように洗米槽の水平断面積の全体で洗米を行うのではなく、攪拌羽根による洗米が最も効率良く行われる洗米槽の周辺部だけで洗米を行うようにすることによって、効率良く洗米を行うことができ、必要な洗米水を大幅に減らすことができるとともに、洗米時間も短縮できることを見出して本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、洗米槽と、洗米槽内に洗米槽内周面と所定の間隔をあけて配置された中子と、その中子外周面と洗米槽内周面との間の空間に、洗米槽の中心軸を回転軸として回転移動する攪拌羽根を配設してなる節水型洗米機を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0007】
本発明の節水型洗米機においては、上記のように、洗米槽内に中子が設けられ、その中子によって洗米槽の中心部周辺が占有されている。したがって、投入された米や水は、中子外周面と洗米槽内周面との間に入り、そこで、回転移動する攪拌羽根による洗米を受けることとなる。このとき、中子は固定し、攪拌羽根だけを洗米槽中心軸に対して回転移動させるようにしても良いし、中子を洗米槽内に回転自在に軸支し、その中子に攪拌羽根を取り付けることによって、中子とともに攪拌羽根を回転させるようにしても良い。
【0008】
本発明の節水型洗米機においては、米や洗米水が存在し、攪拌羽根によって洗米を受ける領域は、洗米槽の比較的周辺部であるので、攪拌羽根の回転時の周速度は比較的大きく、攪拌羽根を比較的ゆっくりと回転させても米は効率良く洗米されることとなる。したがって、洗米領域全体の容積としては従来の洗米機と変わりがなくても、その全体にわたって効率の良い洗米が可能となるので、給排水の量を大幅に減少させることが可能となり、結果として排出される洗米汚濁水の量が減少し、環境に与える負荷を少なくすることができるとともに、洗米時間を短縮することも可能である。
【0009】
中子の大きさは、洗米効率の悪い回転軸近辺を占有することができ、かつ、中子外周面と洗米槽内周面との間に、米と水を受け入れる空間を保持することができる大きさである限り、特に制限はないが、好ましくは、洗米槽内周の最大径部分の半径をRとして、中子の外周の最大径部分の半径rが、(1/4)R≦r≦(3/4)Rの範囲、より好ましくは、(1/3)R≦r≦(2/3)Rの範囲にあるのが、使用水量を減らし、効率良く洗米を行う上で好都合である。
【0010】
洗米槽の形状にも特に制限はないが、米や洗米水の受入と、洗米済みの米や洗米汚濁水の排出が効率的に行うという観点からは、洗米槽は、その内周形状として、円筒状部分と、その下部に連なる逆円錐状部分とを有するのが望ましい。また、中子は、洗米槽の逆円錐状部分と実質的に相似形の逆円錐状部分と、その上方に、円筒状部分を介して又は介さずに、円錐状部分を有してなる形状であるのが、洗米槽内周との間に所定の空間を保持する上で好ましい。また、中子の上部を円錐状としておくことにより、洗米槽上部から洗米用の米や、洗米水を受け入れる開口領域を広く取ることができるという利点がある。この中子の上部の円錐状部に水を当てることができるノズルを洗米槽上部に配設しておくと、円錐状部分に付着した米を洗い落とすことができるので、便利である。
【0011】
洗米済みの米や洗米に使用した水の排出経路にも特に制限はないけれども、洗米に使用した水の排出は、洗米槽下部側壁に開口しており、その開口部に固液分離手段を備えた洗米水排出口から行うのが便利であり、洗米済みの米の排出は、洗米槽底部に開口している米及び/又は水排出口から行うのが便利である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明するが、本発明が図示のものに限られる訳ではないことは勿論である。
【0013】
図1は、本発明の節水型洗米機の一例を示した側面図である。図12において、1は、本発明の節水型洗米機であり、洗米槽2と、その洗米槽2内に回転自在に軸支されている中子3を備えている。4は、中子3の回転軸であり、5はモーター、6は駆動ベルト、7a、7bは、それぞれ、モーター6の回転軸及び中子3の回転軸4に取り付けられたプーリーである。8は洗米済みの米の排出部、9は洗米水排水部、10はシャワーリングであり、中子3の円錐状の肩部に水のシャワーを噴射する図示しないノズルが複数、取り付けられている。11は米の貯蔵タンク、12は米の計量排出部、13は米の供給パイプ、14は洗米水の供給パイプである。また、15は、米の排出部8から排出された洗米済みの米を受ける受容器であり、ここには、例えば、炊飯釜を位置させることもできる。
【0014】
図2は、図1の洗米機の部分だけを取り出して、拡大して示した図であり、図1におけると同じものには同じ符号を付してある。図2において、洗米槽2は、上部の円筒状部分2aと、それに連なる下部の逆円錐状部分2bとから構成されている。これに対し、中子3は、洗米槽2の逆円錐状部分2bとほぼ相似形の逆円錐状部分3cと、その上に連なる円筒状部分3b、及び、さらにその上に連なる円錐状部分3aとから構成されている。洗米槽2の円筒状部分2aの内周面と、中子3の円筒状部分3bの外周面との間、及び、洗米槽2の逆円錐状部分2bの内周面と、中子3の逆円錐状部分3cの外周面との間には空間があり、この空間が洗米空間であり、この空間内には、中子3とともに回転する攪拌羽根16a、16cが配置されている。
【0015】
中子3の大きさは、上述のように、洗米効率の悪い回転軸4近辺を占有することができ、かつ、中子3の外周面と洗米槽2内周面との間に、米と水を受け入れる空間を保持することができる大きさである限り、特に制限はないけれども、好ましくは、洗米槽2の内周の最大径部分(図では円筒状部分2a)の半径をRとして、中子3の外周の最大径部分(図では円筒上部分3b)の半径rが、(1/4)R≦r≦(3/4)Rの範囲、より好ましくは、(1/3)R≦r≦(2/3)Rの範囲にあるのが、使用水量を減らし、効率良く洗米を行う上で好ましい。
【0016】
攪拌羽根16a、16cは、図3に拡大して示すように、攪拌羽根の外枠を構成するリブ30、30と、その外枠リブ30、30と中子3とを連結する連結リブ31、31、31・・・とから構成されている。この図示の例では、攪拌羽根16a、16cは、直接中子3に固着されており、中子3を回転させることによって共に回転するようになっているが、中子3と攪拌羽根16a、16cとを別体とし、中子3を洗米槽2内に固定配置し、攪拌羽根16a、16cだけを独自に回転軸4の回りに回転させるようにしても良い。なお、当然のことながら、中子3は、内部に水が浸入しないように水密に作るのが望ましい。
【0017】
図4は、図2を上から見た平面図であり、洗米槽2、中子3、及び、中子3に取り付けられた攪拌羽根16a〜16dの様子を分かりやすく示した図である。図4に示すとおり、この図の例では、4枚の攪拌羽根16a、16b、16c、16dが、中子3の周囲に90度の間隔をあけて取り付けられている。
【0018】
再び図2に戻って、17はシャワーリング10に取り付けられたノズルであり、図示はしていないけれども、シャワーリング10に沿って、複数取り付けられており、周囲全体から中子3の円錐状部分3aに水シャワー18を当てることができるようになっている。これにより、円錐状部分3aに付着した米などを洗い流すことができる。19は水シャワー18用のコントロール装置である。
【0019】
20はオーバーフロー用の排水口であり、洗米槽2内の水面レベルが所定の水面レベル21を越えないように保つものである。なお、後述する洗米水排水口23と同様に、オーバーフロー用の排水口20にも、その入口側には固液分離手段22が取り付けられている。固液分離手段22としては、例えば、ステンレス製の網を用いることができ、米などが不要に排出されるのを防止するためのものである。
【0020】
23は洗米水排水口で、洗米槽2の下部側面に開口しており、その前面には固液分離手段22が取り付けられている。24は弁であり、その開閉によって、洗米水の排水、停止を制御することができる。なお、25は給水口であり、この給水口25から逆に給水を行って、洗米水排出部9内を洗浄したり、洗米槽2内を逆洗したりすることができる。
【0021】
26は回転軸4の軸受であり、27は洗米済みの米の排出口である。米排出口27と弁24の間の空間には、攪拌櫛28、28が設けられており、この攪拌櫛28、28は、中子3の回転とともに回転して、米排出口27と弁24の間の空間に存在する米を攪拌、洗米するものである。なお、29は、洗米水排出部9におけると同じく給水口であり、この給水口29から給水を行うことにより、洗米槽2内を逆洗し、比重の軽い異物を上方に浮かせて、オーバーフロー用の排水口20から排出したりすることができる。
【0022】
図5は、本発明の節水型洗米機の他の例を示す図であって、これまでと同じものには同じ符号を付してある。図5に示す節水型洗米機の特徴は、中子3が、円筒状部分3bを有さず、逆円錐状部分3cと円錐状部分3aのみから構成されている点である。中子3の形状はこのようなものであっても良く、この場合には、中子3の外周の最大径部分は、逆円錐状部分3cと円錐状部分3aとの境界部となるが、その部分の半径rが、洗米槽2の内周の最大径部分(図では円筒状部分2a)の半径Rに対して、(1/4)R≦r≦(3/4)Rの範囲、より好ましくは、(1/3)R≦r≦(2/3)Rの範囲にあるのが望ましいことは先の例の場合と同じである。
【0023】
以上のような本発明の節水型洗米機によれば、洗米槽内周面と中子外周面との間の空間で洗米を行うので、洗米効率が良く、使用する水量を従来のものに比べて約半分以下に節減することができる。また、同様に、洗米に要する時間も短縮することができる。
【0024】
次に、図1及び図2をもとに、本発明の節水型洗米機1の動作の一例を説明する。まず、米の貯蔵タンク11から所定量の米が計量排出部12によって計量され、米の供給パイプ13から洗米槽2内に供給される。続いて、給水パイプ14から洗米水の供給が行われ、中子3が回転を開始して、それに伴い攪拌羽根16a〜16dも回転し、予備洗米が行われる。このとき、適宜シャワーリング10のノズル17から水シャワー18を中子3の円錐状部分3aに当て、付着している米などを洗い流すようにしても良い。また、このとき、洗米水排水部9の弁24は開状態に保たれる。すなわち、排水を行いながらの洗米が行われる。一方、米排出部8の弁24が閉状態にあることは言うまでもない。攪拌羽根16a〜16dは、連続的に同じ方向に回転を続けても良いが、所定角度回転毎、好ましくは約90度回転毎に、回転方向を逆転する方が洗米効率が高められるので望ましい。
【0025】
所定の予備洗米が終わると、一旦、洗米水を全て排水し、洗米水排水部9の弁24を閉状態とし、再び、給水パイプ14から洗米水が供給される。このとき、適宜シャワーリング10のノズル17から水シャワー18を中子3の円錐状部分3aに当て、付着している米などを洗い流すようにしても良いことは予備洗米のときと同じである。洗米水排水部9の弁24が閉じているので、給水は、オーバーフロー用の排水口20から排水が始まると停止させる。続いて、中子3が回転し、それに伴い攪拌羽根16a〜16dが回転して、洗米が行われる。所定の洗米が終了すると、洗米水排水部9の弁24が開き、排水を行う。以上のような、洗米水の給水、洗米、排水を所定回数繰り返し、洗米を終了する。なお、それぞれの洗米工程の途中で、随時、給水口29から給水を行うことにより、洗米槽2内を逆洗し、比重の軽い異物を上方に浮かせて、オーバーフロー用の排水口20から排出させることができる。
【0026】
以上のようにして、洗米が終了すると、給水パイプ14から新たに所定量の水を給水し、米排出部8の弁24を開状態として、洗米済みの米と新たに給水された水とを共に、受容器15中に排出する。なお、受容器15は炊飯釜であっても良く、その場合には、給水パイプ14から新たに給水された水を炊飯水として利用できることは言うまでもない。
【0027】
なお、以上のような動作は、全て予め定められたシーケンスに従って自動的に行うようにしても良いし、洗米水の濁度などをモニターしながら、洗米の程度を検出し、その検出信号に基づいて、制御するようにしても良い。また、以上説明した本発明の節水型洗米機の動作は一例であって、種々の変形が可能であることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の節水型洗米機によれば、洗米は、洗米槽内周面と中子外周面との間の空間で行われるので、洗米槽内において洗米ムラがなく、全体的に均一に洗米が行われ、結果として、洗米効率が良く、使用する水量を従来のものに比べて約半分以下に節減することができるという優れた効果が得られるものである。その結果、排出される洗米汚濁水の量を減少させることができ、環境に与える負荷を小さくすることができるものである。また、洗米効率が高まるので、洗米に要する時間も短縮することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の節水型洗米機の一例を示す側面図である。
【図2】 図1の一部を拡大して示した図である。
【図3】 図2の一部を拡大して示した図である。
【図4】 図2を上から見た平面図である。
【図5】 本発明の節水型洗米機の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 節水型洗米機
2 洗米槽
3 中子
4 回転軸
5 モーター
6 駆動ベルト
7a、7b プーリー
8 米排出部
9 洗米水排水部
10 シャワーリング
11 米貯蔵タンク
12 米計量排出部
13 米供給パイプ
14 洗米水供給パイプ
15 受容器
16a〜16d 攪拌羽根
17 ノズル
18 水シャワー
19 コントロール装置
20 オーバーフロー用排水口
21 水面レベル
22 固液分離手段
23 洗米水排水口
24 弁
25、29 給水口
26 軸受
27 米排出口
28 攪拌櫛
30、31 リブ
R 洗米槽内周の最大径部分の半径
r 中子外周の最大径部分の半径
Claims (6)
- 上部から米を供給することができる洗米槽と、洗米槽内に洗米槽内周面と所定の間隔をあけて配置された中子と、洗米槽底部に開口している米及び/又は水排出口と、その排出口を開閉する、中子とは別体に設けられた弁とを備え、中子外周面と洗米槽内周面との間の空間に、洗米槽の中心軸を回転軸として回転移動する、外枠を構成するリブを備えた攪拌羽根を配設してなる節水型洗米機。
- 洗米槽内周の最大径部分の半径をRとして、中子の外周の最大径部分の半径rが、(1/4)R≦r≦(3/4)Rの範囲にある請求項1記載の節水型洗米機。
- 中子が洗米槽内に回転自在に軸支されており、攪拌羽根が中子の回転とともに回転する請求項1又は2記載の節水型洗米機。
- 洗米槽が、その内周形状として、円筒状部分と、その下部に連なる逆円錐状部分とを有し、中子が、洗米槽の逆円錐状部分と実質的に相似形の逆円錐状部分と、その上方に、円筒状部分を介して又は介さずに、円錐状部分を有してなる、請求項1、2又は3記載の節水型洗米機。
- 中子の円錐状部分に水を当てることができるノズルを、洗米槽上部に配設してなる請求項4記載の節水型洗米機。
- 洗米槽下部側壁に開口しており、その開口部に固液分離手段を備えた洗米水排出口を有している請求項1、2、3、4又は5記載の節水型洗米機。
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