JP3794057B2 - 壁用伸縮継手装置 - Google Patents
壁用伸縮継手装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3794057B2 JP3794057B2 JP18641396A JP18641396A JP3794057B2 JP 3794057 B2 JP3794057 B2 JP 3794057B2 JP 18641396 A JP18641396 A JP 18641396A JP 18641396 A JP18641396 A JP 18641396A JP 3794057 B2 JP3794057 B2 JP 3794057B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wall
- cover body
- gap
- holder
- joint device
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Building Environments (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相互に間隔をあけて隣接する2つの建物の内壁または外壁として実現される各壁体間の空隙を塞いだ状態に保ち、急激な地震または地盤の不等沈下などに起因する各建物の相対的変位によって前記間隔の変化を伴う各壁体の移動を許容することができる壁用伸縮継手装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、典型的な従来の壁用伸縮継手装置1を示す水平断面図である。鉛直方向である図8の紙面に垂直な方向を上下方向とし、上下方向に垂直な水平面内で図8の左右方向を左右方向とし、上下方向および左右方向に垂直な図8の上下方向を前後方向として以下に説明する。相互に間隔L1をあけて隣接する2つの建物のコンクリート構造体である各壁体2a,2b間には、空隙3が存在し、この空隙3内へ外部4から風雨が侵入することを防止するために、壁用伸縮継手装置1が設けられる。この壁用伸縮継手装置1は、各壁体2a,2bの外部4に臨む壁表面5a,5bおよび相互に対向する対向壁面6a,6bが交わるコーナ部7a,7bに、アンカーボルト8a,8bによってそれぞれ固定される一対の縁材9a,9bと、幅方向(図8の左右方向)両端部10a,10bが各縁材9a,9bよりも外側方に配置され、空隙3を外部4側から塞ぐカバー体11と、カバー体11の空隙3側の裏面12に前記幅方向を長手方向として固定される断面形状が空隙3側に開口した略C字状のホルダ13と、各縁材9a,9bに設けられ、ホルダ13内で前記長手方向に摺動自在に嵌まり込む案内部材である摺動片14a,14bをばね15a,15bによって空隙3の奥行方向Aにばね付勢する一対の伸縮保持手段16a,16bとを有する。
【0003】
カバー体11は、薄いアルミニウム合金の板材から成り、図8の紙面に垂直な上下方向に延びる複数の定尺パネルを連結して構成され、その裏面12には複数の上記のホルダ13が上下方向に間隔をあけて固定される。カバー体11の幅方向両端部10a,10bには、ネオプレンゴムから成るパッキン17a,17bが上下方向に延びて嵌着され、各建物間の相対的変位が生じない状態では先端部近傍は各壁表面5a,5bに弾発的に当接している。またホルダ13は、前記伸縮保持手段16a,16bによるばね力によって各縁材9a,9bに、弾発的に当接した状態で支持される。各縁材9a,9bにはまた、空隙3内において各伸縮保持手段16a,16bよりも奥行方向A側に配置されるゴムから成る止水板18の幅方向両端部が固定されている。
【0004】
このような壁用伸縮継手装置1を設けることによって、空隙3を塞いだ状態で各壁体2a,2bが相互に左右方向および前後方向に変位することを許容し、この空隙3内へ外部4から風雨が侵入することを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術では、各壁体2a,2bが相互に前後方向に大きくずれるように変位した場合には、各ばね15a,15bの許容変位量よりも大きな変位が伸縮保持手段16a,16bに与えられてしまうおそれがあり、これによって、壁用伸縮継手装置1が損傷してしまうおそれがある。
【0006】
したがって本発明の目的は、空隙を塞いだ状態で各壁体間の左右方向および前後方向の相互の大きな変位を許容することができる壁用伸縮継手装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相互に間隔をあけて隣接する2つの建物の各壁体間の空隙を、外部側から塞ぐカバー体を備える壁用伸縮継手装置において、
カバー体の前記空隙側の裏面に、カバー体の幅方向に延びるホルダを所定数設けるとともに、一対の索条が個別に巻取方向に弾発的に巻回される中央復帰手段をホルダに設けて、各索条の先端部を各壁体の対向壁面部にそれぞれ係止し、
各壁体の対向壁面部に、前記ホルダに移動自在に嵌まり込み、前記カバー体を各壁体の外部側の壁表面に垂直な方向に変位可能に保持する伸縮保持手段をそれぞれ設けることを特徴とする壁用伸縮継手装置である。
本発明に従えば、カバー体の裏面に、カバー体の幅方向に延びるホルダが所定数設けられ、このホルダに中央復帰手段が設けられている。この中央復帰手段には、一対の索条が弾発的に巻回されており、索条の先端部は、各壁体の対向壁面部に係止されている。これによって、各索条のばね力によって、カバー体の幅方向中央部が空隙の各対向壁面間の中央位置に一致するようにカバー体が中央に復帰する力が与えられるとともに、このばね力によって、カバー体が空隙の奥行方向にばね力を与えられて、カバー体が各壁体の外部側の壁表面によって弾発的に支持される。したがって、カバー体が空隙を塞ぐ上で最も好ましい位置に復帰して空隙を塞ぐことができる。
また、ホルダには、対向壁面部に設けられる伸縮保持手段が移動自在に嵌まり込み、この伸縮保持手段は、カバー体を各壁表面に垂直な方向に変位可能に保持する。さらに伸縮保持手段は、たとえば対向壁面部に固定された挿通孔を有するブラケットの挿通孔にロッドが挿通されて構成され、このような簡単な構成で、各壁体間の相互の空隙の奥行方向と平行にずれる大きな変位に追従することができる。また伸縮保持手段はホルダに移動自在に嵌まり込んでおり、各壁体間の相互に近接/離反する方向の大きな変位に追従することができる。したがって、空隙を塞いだ状態でカバー体によって、各壁体の壁表面に垂直な方向にずれる変位および相互に近接/離反する方向の変位を許容することができる。
【0008】
また本発明は、ホルダの長手方向両端部には、各壁体の外部側の壁表面に当接される端部案内ローラが設けられることを特徴とする。
本発明に従えば、ホルダの長手方向両端部に、端部案内ローラが設けられ、この端部案内ローラを介して、カバー体の幅方向両端部が各壁体の壁表面にそれぞれ支持される。これによって、各壁体が相互に変位する場合に、カバー体の幅方向両端部が、円滑にそれぞれ案内されて、各壁体に対して変位することができる。したがって、カバー体の幅方向両端部が各壁体によって大きな力を受けて不所望に変形してしまうことがない。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態の壁用伸縮継手装置30を示す水平断面図であり、図2は壁用伸縮継手装置30の主要部分を図1の下側から見て示す正面図である。図1および図2において、図解を容易にするためにカバー体などの厚みを省略して示す。鉛直方向である図1の紙面に対して垂直な方向を上下方向D1,D2とし、上下方向D1,D2に垂直な水平方向である図1の左右方向を左右方向D3,D4とし、上下方向D1,D2および左右方向D3,D4に垂直な水平方向である図1の上下方向を前後方向D5,D6として、以下に説明する。
【0010】
相互に間隔L10をあけて隣接する2つの建物のコンクリート構造体から成る外壁である各壁体31a,31b間には、空隙32が存在し、この空隙32内に外部33から風雨が侵入することを防止するために、壁用伸縮継手装置30が設けられる。この壁用伸縮継手装置30は、空隙32が延在する上下方向D1,D2に延び、左右方向D3,D4である幅方向両端部39a,39bが各壁体31a,31bの外部4に臨む壁表面34a,34bおよび相互に対向する対向壁面35a,35bが交わるコーナ部36a,36bよりも外側方に配置され、空隙32を外部33側から塞ぐカバー体40と、このカバー体40の空隙32側の裏面41にカバー体40の幅方向を長手方向として延びて固定される断面形状が空隙3側に開口した略C字状のホルダ42と、ホルダ42に設けられる中央復帰手段43と、各壁体31a,31bの対向壁面35a,35bに設けられ、ホルダ42内でその長手方向に摺動自在に嵌まり込む伸縮保持手段44a,44bとを有する。
【0011】
カバー体40は、薄いアルミニウム合金の板材から成り、上下方向D1,D2に延びる複数の定尺パネルを連結して構成され、その裏面41には、複数の前記ホルダ42が上下方向D1,D2に間隔をあけて、たとえばビスによって固定される。カバー体40の幅方向両端部39a,39bには、上下方向D1,D2に延びるネオプレンゴムから成るパッキン45a,45bが嵌着され、各壁体31a,31b間に相対的な変位が生じていない状態では、先端部近傍は各壁表面34a,34bに弾発的に当接し、風雨を遮断している。また、各壁体31a,31bの対向壁面35a,35bが形成される対向壁面部90a,90bに、両端部46a,46bを固定して、上下方向D1,D2に延びる耐火帯47が、カバー体40よりも空隙32の奥行方向B側に配置されて設けられている。耐火帯47は、耐火材から成り、炎および熱気を遮断することができる。また、各壁体31a,31bの対向壁面部90a,90bに両端部48a,48bを固定して、上下方向D1,D2に延びる止水板49が、耐火帯47の奥行方向B側に配置されて設けられている。止水板49は、たとえばエチレンプロピレンゴムから成り、雨水および結露した水を遮断することができる。
【0012】
さらに、カバー体40の幅方向であるホルダ42の長手方向両端部に端部案内ローラ50a,50bがそれぞれ設けられ、カバー体40の幅方向両端部39a,39bが、各端部案内ローラ50a,50bを介して各壁体31a,31bの壁表面34a,34bに当接している。各ガイドローラ50は、上下方向D1,D2と平行な各軸線L11a,L11bまわりに回転自在に設けられており、カバー体40が各壁体31a,31bに対して左右方向D3,D4および前後方向D5,D6に変位することを円滑に許容して支持することができる。
【0013】
図3は図1の伸縮保持手段44a付近を拡大して示す断面図であり、図4は図3の切断面線IV−IVから見た断面図である。伸縮保持手段44aは、基本的に外筒体60と、ロッド61と、一対のガイドローラ62a,62bとを有する。外筒体60は、円筒状の筒部63と、筒部63の両端部を塞ぐように設けられる第1側板64および第2側板65を有する。第1側板64および第2側板65は、円板状であり、筒部63の外径よりも大きな外径を有する筒部63よりも半径方向外方側に突出している。また第1側板64には、中央部分に円形状の挿通孔66が形成されている。このような外筒体60は、壁体31aの対向壁面部90aに固定されたブラケット67に前後方向D5,D6に移動可能に設けられている。ブラケット67は、L字状であって、壁体31aの対向壁面35aから図3の右方となる壁体31bに向けてほぼ垂直に突出する突出部68を有し、この突出部68には挿通孔69が形成されている。この挿通孔69は、円形状であって、その内径が外筒体60の筒部63の外径よりも大きく、かつ第1側板64および第2側板65の外径よりも小さく選ばれており、これによって、外筒体60は、ブラケット67に対して、第1側板64が突出部68の上面に当接する位置と、第2側板65が突出部68の下面に当接する位置との間で前後方向D5,D6に変位することができる。
【0014】
ロッド61は、円柱状であり、その一端部70が第1側板64の挿通孔66を挿通して外筒体60内に挿入されており、その一端部70には係止片71が設けられている。この係止片71は、円板状であり、その外径は第1側板64の挿通孔66の内径よりも大きく選ばれている。これによって、ロッド61は、外筒体60に対して、係止片71が外筒体60の第2側板65に当接する位置と係止片71が第1側板64に当接する位置までの間で前後方向D5,D6に変位することができる。
【0015】
このようなロッド61の他端部72には取付部材73が固定されており、この取付部材73に各ガイドローラ62a,62bが設けられている。ホルダ42は、鋼鉄から成り、前述のように断面形状が略C字状であって、取付片73が開口74を介してホルダ42内に挿入されている。ガイドローラ62a,62bは上下方向D1,D2に平行な軸線L12まわりに回転自在に取付片73に支持された状態で、ホルダ42内に収納されている。これによって、取付片73は、ホルダ42およびカバー体40に対して、角変位することができるとともに、ホルダ42が延びる左右方向D3,D4に変位することができる。
【0016】
このような伸縮保持手段44aを用いることによって、カバー体40が壁体31aに対して左右方向D3,D4および各壁表面34a,34bに垂直な前後方向D5,D6に変位自在に、かつ角変位自在に保持される。伸縮保持手段44bは、伸縮保持手段44aと左右対称の構成を有しており、説明は省略する。
【0017】
本発明の実施の他の形態として、外筒体60を設けずに、ロッド61をブラケット67に対して変位可能に設けるようにして、構成を簡略化してもよく、また外筒体60を2つ以上設けて、各外筒体60同士を前後方向D5,D6に変位可能に設けて、前後方向の変位許容量を大きくするようにしてもよい。また、外筒体60の筒部63は、直円筒状に限られるものではなく、たとえば、断面形状が多角形状の角筒状であってもよく、断面形状が楕円形状、その他の任意の閉じた曲線状の筒状であってもよく、さらに筒状である必要はなく、たとえば1または複数の棒状部材を並べたものであってもよい。また、外筒体60の第1および第2側板64,65ならびに係止片71は、円板状に限られるものではなく、外筒体60の筒部63またはロッド61の形状に対応して、たとえば多角形状や楕円形状または星形などであってもよい。すなわち、第1および第2側板64,65は、ブラケット67の突出部68に係止できる形状であればよく、係止片71は、第1側板64に係止できる形状であればよい。また、ロッド61は、円柱状に限られるものではなく、たとえば、断面形状が多角形状や楕円形状の中実の棒状であってもよく、中空の筒状であってもよい。
【0018】
図5は図1の各中央復帰手段43a,43bの一部を拡大して示す断面図であり、図6は図5の下側から見て示す正面図である。図3および図4をも参照して、各中央復帰手段43a,43bは、カバー体40の幅方向中央の裏面41に設けられる一対のハウジング80a,80b内で、基端部81a,82b付近が、巻ばね状に弾発的に巻回される一対の索条82a,82bをそれぞれ有する。各ハウジング80a,80bは、ホルダ42に固定部材76を介して固定されるブラケット83に保持されてカバー体40の裏面41に保持されている。
【0019】
各索条82a,82bは、たとえば鋼鉄から成るワイヤであって、各基端部81a,81b付近が各ハウジング80a,80b内に収納された状態で、左右方向D3,D4と平行な軸線L13まわりの巻取方向に渦巻状に弾発的に巻回されている。各索条82a,82bは、下方D2方向に各ハウジングから引出されて、前後方向D5,D6に平行な軸線L14a,L14bまわりに回転自在な滑車84a,84bに巻掛けられて各壁体31a,31bに向けて左右方向D3,D4にほぼ平行にそれぞれ引延ばされている。
【0020】
伸縮保持手段44aのロッド61と取付部材73との間には、取付片91が固定されており、この取付片91に滑車85が上下方向D1,D2と平行な軸線L15まわりに回転自在に設けられている。また壁体31aの対向壁面部90aには、滑車85の後方D6側となる位置に、上下方向D1,D2に平行な軸線L16まわりに回転自在な滑車86が設けられ、さらに各滑車85,86間の中間部に係止片87が固定されている。索条82aの他端部83aは、滑車85に巻掛けられた後、S字を描くように滑車86に巻掛けられて係止片87に係止される。索条82bの他端部83b付近の構成は、索条82aの他端部83a付近と左右対称の構成を有しており、説明は省略する。
【0021】
このようにそれぞれ構成される各中央復帰手段43を設けることによって、索条82a,82bの一端部81a,81bが弾発的に巻回される部分によって、各索条82a,82bを各ハウジング80a,80b内にそれぞれ巻取ろうとするばね力によって、カバー体40の幅方向中央が空隙32の幅方向中央に配置されるように、中央に復帰させることができ、カバー体40によって空隙32を塞いだ状態を維持することができる。また、この索条82a,82bのばね力によって、カバー体40に空隙32の奥行方向となる後方D6へのばね力を与えることができる。また、各索条82a,82bの他端部83a,83bを各滑車85,86に巻掛けた後、係止片87に係止することによって、索条82a,82bのばね力による引張力を広い面積で受止めることができ、各索条82a,82bの他端部83aを係止片87から容易に外れてしまうことなくしっかりと係止することができる。
【0022】
このように構成される壁用伸縮継手装置30を用いて、そのカバー体40によって空隙32を塞ぐことによって、図7(1)または図7(2)に示すように、各壁体31a,31bが左右方向D3,D4に相対的に変位しても、空隙31を塞いだ状態で各壁体31a,31bの変位を許容することができる。さらに詳しく述べると、図7(1)または図7(2)に示すように各壁体31a,31bが相互に近接した場合に、各伸縮保持手段44a,44bのガイドローラ62a,62bが、ホルダ42に沿って変位し、カバー体40に大きな力を作用させることなくカバー体40を保持することができる。
【0023】
また、各中央復帰手段43a,43bの各索条82a,82bのばね力によって、カバー体40を空隙32の奥行方向Bに付勢してしっかりと保持することができる。またカバー体40の幅方向両端部39a,39bは、端部案内ローラ50a,50bを介して各壁体31a,31bの各壁表面34a,34bにそれぞれ支持されるので、前述のように各壁体31a,31bが左右方向D3,D4に変位しても、その変位を円滑に許容し、カバー体40に不所望に大きな力がかかることを確実に防止することができる。
【0024】
さらに壁用伸縮継手装置30を用いた場合には、図7(3)または図7(4)に示すように各壁体31a,31bが前後方向D5,D6方向に相互にずれるように変位した場合にも、その変位を許容することができる。さらに詳しく述べると、図7(3)または図7(4)に示すように壁体31aが壁体31bに対して前方D5へずれるように相対的に変位した場合、または壁体31bが壁体31aに対して前方D5へずれるように変位した場合に、各ガイドローラ62a,62bがホルダ42に沿って変位するとともに、ガイドローラ62a,62bの作用によって、ホルダ42、すなわちカバー体40に対してロッド61が角変位可能である。さらに、ブラケット67に対して外筒体60が変位可能であり、外筒体60に対してロッド61が変位可能であるので、ガイドローラ62a,62bが各壁体31a,31bに対して前後方向D5,D6に大きく変位することが許容され、さらに各端部案内ローラ50a,50bのうちの各壁表面34a,34bに当接したままの状態にある方の端部案内ローラ50aまたは50bが壁表面34aまたは34b上を回転移動することができ、カバー体40の幅方向両端部39a,39bが前後方向D5,D6に大きく円滑に変位することが可能である。このように、各壁体31a,31bが前後方向D5,D6に相互にずれるように大きく変位した場合にも、その変位を許容することが可能である。
【0025】
また、各中央復帰手段43a,43bの各索条82a,82bのばね力によって、カバー体40を空隙32の奥行方向Bに付勢してしっかりと保持することができる。また、前述のようにカバー体40の幅方向両端部39a,39bが端部案内ローラ50a,50bを介して各壁体31a,31bの各壁表面34a,34bに支持されており、カバー体40の両端部39a,39bが各壁体31a,31bによって大きな曲げ力を受けて変形することが確実に防止される。
【0026】
図1〜図7に示される上述の実施の形態では、各壁体31a,31bが建物の外壁である場合について説明したけれども、本発明の実施の他の形態として、各壁体31a,31bが建物の内壁である場合にも本発明を好適に実施することができる。この場合にも、相互に間隔L10をあけて隣接する2つの建物の各壁体31a,31b間の空隙32を、外部33側から塞ぐカバー体40を備え、カバー体40の空隙32側の裏面41に、カバー体40の幅方向に延びるホルダ42を所定数設けるとともに、一対の索条82a,82bが個別に巻取方向に弾発的に巻回される中央復帰手段43a,43bをホルダ42に設けて、各索条82a,82bの先端部83a,83bを各壁体31a,31bの対向壁面35a,35bにそれぞれ係止し、各壁体31a,31bの対向壁面部90a,90bに、ホルダ42に移動自在に嵌まり込み、空隙32の奥行方向Bと平行な方向にカバー体40を変位可能に支持する伸縮保持手段44a,44bをそれぞれ設けて構成される。また、カバー体40の幅方向両端部39a,39bには、各壁体31a,31bの外部側の壁表面34a,34bによって支持される端部案内ローラ50a,50bが設けられる。
【0027】
このように構成することによって、ホルダ42に伸縮保持手段44a,44bが移動自在に嵌まり込み、各伸縮保持手段44a,44bは、カバー体40の空隙32の奥行方向Bに平行な方向に変位可能に支持することができる。つまり、各壁体31a,31bの対向壁面35a,35bに固定されたブラケット67に対して外筒体60およびロッド61を介してガイドローラ62a,62bが変位可能に設けられ、このガイドローラ62a,62bがホルダ42に移動自在に嵌まり込んでおり、このような簡単な構成で、各壁体31,31b間の相互の空隙32の奥行方向Bと平行な方向および各壁体31a,31bが相互に近接/離反する方向の大きな変位にそれぞれ追従することができる。
【0028】
また、カバー体40の裏面41側には、ホルダ42に固定される中央復帰手段43a,43bが設けられ、この中央復帰手段43a,43bには、一対の索条82a,82bが弾発的に巻回されており、その先端部83aが各壁体31a,31bに係止される。各索条82a,82bのばね力によって、カバー体40の幅方向中央と空隙32の中央とが一致するようにカバー体40が中央に一致される。さらに、各索条82a,82bのばね力によって、カバー体40が空隙32の奥行方向にばね力を与えられており、カバー体40が各壁体31a,31bによって弾発的に支持される。したがって、カバー体40が理想的な状態で空隙31を塞いで保持されて、外部33から空隙32へ風雨が侵入することが防がれた状態で、前述の大きな変位を許容することができる。
【0029】
さらに、ホルダ42の長手方向両端部に、ガイドローラ50が設けられ、このガイドローラを介して、カバー体40の幅方向両端部39a,39bが当接されるので、各壁体31a,31bが相互に変位するときに、カバー体40の幅方向両端部39a,39bが各端部案内ローラ50a,50bによって案内されて滑らかに各壁体31a,31bに対して変位することができる。したがってカバー体40の幅方向両端部39a,39bが各壁体31a,31bによって大きな力を受けて、不所望に変形してしまうことがなく、各壁体31a,31bの変位を滑らかに許容することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、カバー体の裏面に、カバー体の幅方向に延びるホルダが所定数設けられ、このホルダに中央復帰手段が設けられている。この中央復帰手段には、一対の索条が弾発的に巻回されており、索条の先端部は、各壁体の対向壁面部に係止されている。これによって、各索条のばね力によって、カバー体の幅方向中央部が空隙の各対向壁面間の中央位置に一致するようにカバー体が中央に復帰する力が与えられるとともに、このばね力によって、カバー体が空隙の奥行方向にばね力を与えられて、カバー体が各壁体の外部側の壁表面によって弾発的に支持される。したがって、カバー体が空隙を塞ぐ上で最も好ましい位置に復帰して空隙を塞ぐことができる。
【0031】
また、ホルダには、対向壁面部に設けられる伸縮保持手段が移動自在に嵌まり込み、この伸縮保持手段は、カバー体を各壁表面に垂直な方向に変位可能に保持する。さらに伸縮保持手段は、たとえば対向壁面部に固定された挿通孔を有するブラケットの挿通孔にロッドが挿通されて構成され、このような簡単な構成で、各壁体間の相互の空隙の奥行方向と平行にずれる大きな変位に追従することができる。また伸縮保持手段はホルダに移動自在に嵌まり込んでおり、各壁体間の相互に近接/離反する方向の大きな変位に追従することができる。したがって、空隙を塞いだ状態でカバー体によって、各壁体の壁表面に垂直な方向にずれる変位および相互に近接/離反する方向の変位を許容することができる。
【0032】
また本発明によれば、ホルダの長手方向両端部に、端部案内ローラが設けられ、この端部案内ローラを介して、カバー体の幅方向両端部が各壁体の壁表面にそれぞれ支持される。これによって、各壁体が相互に変位する場合に、カバー体の幅方向両端部が、円滑にそれぞれ案内されて、各壁体に対して変位することができる。したがって、カバー体の幅方向両端部が各壁体によって大きな力を受けて不所望に変形してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の壁用伸縮継手装置30を示す水平断面図である。
【図2】壁用伸縮継手装置30の主要部分を図1の下側から見て示す正面図である。
【図3】図1の伸縮保持手段44a付近を拡大して示す断面図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た断面図である。
【図5】図1の各中央復帰手段43a,43bの一部を拡大して示す断面図である。
【図6】図5の下側から見て示す正面図である。
【図7】各壁体31a,31bが変位した状態の壁用伸縮継手装置30を示し、(1)は各壁体31a,31bが相互に近接した状態を示し、(2)は各壁体31a,31bが相互に離反した状態を示し、(3)は壁体31aが壁体31bよりも前方D5へ変位した状態を示し、(4)は壁体31bが壁体31aよりも前方D5へ変位した状態を示す。
【図8】従来技術の壁用伸縮継手装置1を示す水平断面図である。
【符号の説明】
30 壁用伸縮継手装置
31a,31b 壁体
32 空隙
33 外部
34a,34b 壁表面
35a,35b 対向壁面
38a,38b 縁材
39a,39b カバー体の両端部
40 カバー体
41 裏面
42 ホルダ
43a,43b 中央復帰手段
44a,44b 伸縮保持手段
50a,50b ガイドローラ
60 外筒体
61 ロッド
62a,62b ガイドローラ
80a,80b ハウジング
82a,82b 索条
84a,84b;85;86 滑車
Claims (2)
- 相互に間隔をあけて隣接する2つの建物の各壁体間の空隙を、外部側から塞ぐカバー体を備える壁用伸縮継手装置において、
カバー体の前記空隙側の裏面に、カバー体の幅方向に延びるホルダを所定数設けるとともに、一対の索条が個別に巻取方向に弾発的に巻回される中央復帰手段をホルダに設けて、各索条の先端部を各壁体の対向壁面部にそれぞれ係止し、
各壁体の対向壁面部に、前記ホルダに移動自在に嵌まり込み、前記カバー体を各壁体の外部側の壁表面に垂直な方向に変位可能に保持する伸縮保持手段をそれぞれ設けることを特徴とする壁用伸縮継手装置。 - ホルダの長手方向両端部には、各壁体の外部側の壁表面に当接される端部案内ローラが設けられることを特徴とする請求項1記載の壁用伸縮継手装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18641396A JP3794057B2 (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 壁用伸縮継手装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18641396A JP3794057B2 (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 壁用伸縮継手装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1030279A JPH1030279A (ja) | 1998-02-03 |
JP3794057B2 true JP3794057B2 (ja) | 2006-07-05 |
Family
ID=16187993
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18641396A Expired - Fee Related JP3794057B2 (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 壁用伸縮継手装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3794057B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4714552B2 (ja) * | 2005-10-17 | 2011-06-29 | 不二サッシ株式会社 | 建造物同士の間の隙間を塞ぐパネル装置 |
CN112814179B (zh) * | 2020-12-30 | 2022-07-15 | 南充职业技术学院 | 一种土木工程伸缩缝防水结构 |
-
1996
- 1996-07-16 JP JP18641396A patent/JP3794057B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1030279A (ja) | 1998-02-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0999335B1 (en) | Screen device | |
EP0753642B1 (en) | Screen apparatus | |
RU2107798C1 (ru) | Система с передвижным элементом | |
JP3794057B2 (ja) | 壁用伸縮継手装置 | |
JP5620312B2 (ja) | 閉鎖維持装置および建具 | |
JP3794058B2 (ja) | 天井用伸縮継手装置 | |
EP1598516B1 (en) | Door arrangement | |
JPH0750484Y2 (ja) | 伸縮継手装置 | |
JP4132537B2 (ja) | 伸縮継手装置の補助カバー構造 | |
JP4101404B2 (ja) | 伸縮継手の連結構造 | |
JP2828619B2 (ja) | 伸縮継手装置 | |
JP4158974B2 (ja) | 養生器具 | |
JPS6133801Y2 (ja) | ||
JP2827172B2 (ja) | 建築物の屋根に連設されたサッシの変位吸収機構 | |
JP3756990B2 (ja) | 伸縮継手装置 | |
JP2001032427A (ja) | 壁体パネル支持構造 | |
JP5264414B2 (ja) | 壁用伸縮継手装置 | |
JP4460386B2 (ja) | 床用伸縮継手装置 | |
JP2005155073A (ja) | 伸縮継手装置 | |
JPH0960129A (ja) | 伸縮継手装置 | |
JP4761820B2 (ja) | 開閉体装置 | |
JPH09256481A (ja) | 渡り廊下の伸縮継手構造 | |
JP2606692Y2 (ja) | レール連結具 | |
JP2005146752A (ja) | カーテンウォール | |
JP3378130B2 (ja) | エキスパンションジョイント |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20050816 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060328 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Effective date: 20060404 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090421 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100421 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110421 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |