JP3793753B2 - 漏電遮断器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、零相変流器を貫通する導体の作業性を改善した漏電遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
漏電遮断器の従来技術を図6及び図7に示す。図6及び図7において、ケース1とカバー2とで形成された空間内に、夫々の電源端子3a〜3cに接続される固定接点(図示せず)と、該固定接点に対し開閉する可動接点(図示せず)とが設けられている。その可動接点に接続線4を介し過電流検出手段としてのバイメタル5が接続され、そのバイメタル5と負荷端子6a〜6cとが導体7によって夫々接続されている。各極毎の導体7は板状のものであって零相変流器9を貫通しており、該零相変流器9を貫通した部分においては互いに各極毎に絶縁できるようにするため、図示の如き絶縁チューブ8或いは絶縁テープを装着している。この漏電遮断器は、回路を流れる地絡電流が所定の値に達すると、それを零相変流器9が検出し、該零相変流器9の検出により漏電検出手段10を介し図示しない電圧引外し装置を駆動させることによって図示しないリンク機構部をトリップ動作時のときと同様に動作させることにより、可動接点を固定接点から開離するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記に示す従来技術の漏電遮断器は、零相変流器9を貫通する夫々の導体7が絶縁チューブ8或いは絶縁テープなどの被覆部品で絶縁するので、その部分がそれだけ太くなり、そのため、配線時、導体7が零相変流器9を貫通しにくい問題がある。しかも絶縁チューブ8を用いた場合、零相変流器9の貫通時に絶縁チューブ8自体に傷を付けたりすることがあり、また絶縁テープを用いた場合、巻き付け作業に不良が発生したりすることがあり、従って、被覆部品の装着作業の不良が起こり得るので、大事故を招くおそれがあった。また、導体7自体の形状が大きいので、漏電遮断器内の限られた空間部内に収容することが難しく、遮断器全体が大型化になってしまう問題がある。
【0004】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、複数の極の導体であっても、零相変流器に対する作業性を改善し、しかも遮断器自体の小型化を図り得る漏電遮断器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、それぞれ接点に電気的に接続され且つ零相変流器を貫通して負荷端子に連なる第一の導体と第二の導体と第三の導体とを有する漏電遮断器において、前記零相変流器は円形とし、前記第一の導体,第二の導体及び第三の導体は板状とし、前記第一の導体及び前記第二の導体はコ字形の形状部を有し、前記第三の導体は段差部分を有し、前記零相変流器の内側に、絶縁性樹脂で成形され各導体を絶縁する絶縁バリアを配置し、前記絶縁バリアは第三の導体板を保持する凹部形状の保持部を設け、前記第一の導体板及び第二の導体板を零相変流器に挿通し、前記第一の導体及び前記第二の導体のコ字形形状部の凸部を対称に向き合うように、かつ前記第一の導体及び前記第二の導体のコ字形形状部の凹部を前記零相変流器が通過するように配置し、前記第三の導体板を前記絶縁バリアに保持し、前記第一の導体板と第二の導体板の間に挿通して、前記第三の導体板が前記第一の導体板及び第二の導体板の上方に配置されたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1乃至図5により説明する。図1乃至図4は本発明の漏電遮断器の第一の実施例を示している。
実施例の漏電遮断器は、図1に示すように、ケース11とカバー12とによって空間部が形成され、その空間部に回路を開閉する接点が内蔵されている。
【0007】
該接点は、固定接点台13の一端部に設けられた固定接点14と、可動接点台16の一端部に設けられた可動接点15とからなり、可動接点15が固定接点14に接することによって回路への通電を可能にしている。固定接点台13はケース11に固定されており、該ケース11の外側部に他端部が配置されて電源端子13aを構成している。可動接点台16は軸17によってケース11に軸支され、ばね18により図1において反時計方向に回動可能に付勢され、該ばね18のばね力により可動接点15が固定接点14に対し一定の力で接触するようにしている。また可動接点台16の他端にはリード線19を介し、過電流検出手段としてのバイメタル20が接続され、該バイメタル20は先端部に調整ねじ20aを有し、またリード線19との接続部にはヒータ21を有している。さらに、バイメタル20には導体22を介し負荷端子23が接続されている。
その場合、導体22は各極毎に設けられ(本例では三相に対応して三本)、夫々が零相変流器35を貫通している。零相変流器35は、これと離れた位置にIC等の電子部品を搭載した漏電検出手段及び電圧引外し手段(図1では共に図示せず)を有している。
【0008】
一方、可動接点台16の上方位置には軸24によってフック25が軸支されると共に、該フック25が駆動ばね26によって反時計方向に付勢されている。このフック25と可動接点台16の下部との間には複数本のリンク部材で構成されるリンク機構部40が連結され、該リンク機構40は、フック25が図1に示す位置から反時計方向に動作したとき、そのフック25の動作に連動してトリップ動作することにより、可動接点台16をばね18の付勢力に抗し時計方向に回動させ、可動接点15を固定接点14から開極させるようにしている。
他方、フック25と係合するトリップ金具27はピン28によって軸支され、かつばねによって時計方向に付勢されており、その一端側が引外しレバー29に係止されている。
引外しレバー29はその下部に動作棒30を有し、中央部がピン31によって軸支されている。またこの引外しレバー29は、ばねにより反時計方向に付勢され、ピン31寄りの端部がトリップ金具27の上端部と当接することによってトリップ金具27を係止している。
そして、引外しレバー29のトリップ金具27と反対側には各極共通のリレー軸32が配置され、該リレー軸32は、ケース11に回転自在に軸支され、かつばねにより時計方向に付勢されている。そして、何れか一方の極の回路に流れた過電流によって対応するバイメタル20が彎曲すると、該バイメタル20により調整ねじ20aを介し被押圧板32aが押圧されることにより、反時計方向に作動するようになっている。さらに、リレー軸32はバイメタル32の彎曲動作によって作動したとき、引外しレバー29の動作棒30を押し付け、該引外しレバー29を時計方向に動作させて引外しレバー29とトリップ金具27との係合を解除させるようにしている。
【0009】
図1に示すように固定接点14と可動接点15とが接触することによって回路が通電状態にあるとき、過電流が流れると、ヒータ21が加熱され、その加熱によりバイメタル20が左側に彎曲動作してリレー軸32を反時計方向に作動し、該リレー軸32が引外しレバー29の動作棒30を押し付けて該引外しレバー29を、ピン31を中心に時計方向に応動させ、その応動によって引外しレバー29がトリップ金具27に対する係止を解除し、その解除によってトリップ金具27がばね力により時計方向に回り、これによりトリップ金具27とフック25との係合が解除され、該フック25が駆動ばね26のばね力により反時計方向に動作し、さらにリンク機構部40がトリップ動作して可動接点台16が時計方向に回動することにより、可動接点15が固定接点14から開極するようにしている。
また、回路を流れる地絡電流が所定の値に達すると、それを零相変流器35が検出し、その検出信号を図示しない漏電検出手段で増幅して電圧引外し装置を駆動し、該電圧引外し装置が引外しレバー29の動作棒を押し付けて該引外しレバー29が過電流検出時のときと同様に時計方向に応動し、リンク機構部40がトリップ動作することにより、可動接点15を開離するようにしている。
【0010】
このため、リレー軸32と引外しレバー29とトリップ金具27、フック25とで過電流引外し機構を形成している。従って、この回路遮断器は、固定接点14,可動接点15からなる接点と、可動接点15を固定接点14に対し開閉させるリンク機構部40と、このリンク機構部40をトリップ動作させるための過電流引外し機構と、バイメタル20とを備えて構成されている。なお図1において、41は接点を開閉させるためのハンドルである。
【0011】
さらに、実施例の漏電遮断器は、零相変流器35を貫通する導体22の夫々が極間絶縁バリア42によって互いに絶縁されている。
ここで、極間絶縁バリア42を詳細に述べる前に、まず導体22について述べると、導体22は、図2に示すように、三相に対応し第一〜第三の導体板221〜223からなっている。このうち、第一の導体板221は折曲げ加工によって形成されており、ヒータ21に接続される一端部221aと、負荷端子23を構成する他端部221bと、コ字形をなす中間部分221cとを有する板体である。第二の導体板222は前記第一の導体板221と対称形状をなしている。第三の導体板223は直線的にかつほぼ階段状に折り曲げられており、一端部223aと他端部223bとの間の中間部分223cが水平方向をなしている。
そして、極間絶縁バリア42は絶縁性の合成樹脂によって成形されたものであって、図2乃至図4に示すように、零相変流器35の内部に配置されるものであって、矩形状の本体42aと、その本体42aの両側に突設され、第一導体板221の中間部221c,第二導体板222の中間部222cを夫々保持する翼部42b,42cと、本体42aの上部に第三導体板223の中間部分223cを保持する対向突起42d,42dと、本体42aの底部に垂下する脚部42eとからなり、第一〜第三導体板221〜223を互いに絶縁させるようにしている。この極間絶縁バリア42は零相変流器35に挿入したとき、図3に示すように、脚部42eの先端が零相変流器35の内側下部に形成された爪35aの凹陥部35bに嵌まり、かつ翼部42b,42cが零相変流器35の内側に突設された支持突起35cに適合することによって零相変流器35の内部に配置される。
【0012】
次に、零相変流器35に導体22及び極間絶縁バリア42を組み込む場合について述べる。
まず、導体22のうち、図2に示すように第一導体板221及び第二導体板222を零相変流器35に貫通させ、夫々の中間部分221c,222cが零相変流器35に位置するようにしておく。次いで、第三導体板223の中間部分223cを極間絶縁バリア42の対向突起42d,42d間に入れて保持し、これを零相変流器35における第一導体板221と第二導体板222との間に挿入し、図3に示すように、極間絶縁バリア42の脚部42eを零相変流器35の凹陥部35bに嵌め込むと共に、対向突起42dを零相変流器35の支持突起35cに適合させる。これにより、第一導体板221の中央部分221cが極間絶縁バリア本体42aの一方の側部に翼部42bによって支持され、かつ第二導体板222の中央部分222cが本体42aの他方の側部に翼部42cによって夫々支持され、第三導体板223の中央部分223cが対向突起42dによって支持されるので、極間絶縁バリア42が第一〜第三導体板221〜223の夫々を互いに絶縁状態で保持させることができる。
【0013】
このように、極間絶縁バリア42を零相変流器35の内側に配置させ、その極間絶縁バリア42により、零相変流器35を貫通する夫々の導体板221〜223を互いに絶縁できるので、従来技術に比較すると、夫々の導体板221〜223をいちいち被覆することが不要になる。このため、導体板が太くなるのを防止でき、そのままの導体板を零相変流器35に貫通するので、零相変流器35に対する貫通作業を容易に行える。しかも、極間絶縁バリア42が第一〜第三導体板221〜223の位置を夫々相対的に確定させるので、零相変流器35自体の性能が安定する。
また、上述の如く、導体板221〜223が絶縁部品を装着することがないばかりか、それらが適宜に折り曲げ加工されることによって全体的に小型に形成することが可能となり、このため、漏電遮断器内の限られたスペースに容易に配置することができる。
【0014】
図5は本発明の漏電遮断器の他の例を示している。
この場合は、零相変流器35を貫通する第一〜第三導体板221〜223が極間絶縁バリア42によって互いに絶縁状態に保持されている。極間絶縁バリア42の構成は前記第一の実施例と同様なので、ここではその説明を省略する。
この実施例において前記実施例と異なるのは、零相変流器35の漏電検出手段が絶縁ケース36に収容され、かつ該絶縁ケース36が零相変流器35に組み込まれた点にある。
即ち、この絶縁ケース36は、絶縁性の合成樹脂によりほぼコ字形形状に成形されており、中央部の本体36aが零相変流器35と接続される漏電検出手段を収納し得る形状をなすと共に、その本体36aに零相変流器35自体の上部を収納し得る空間部36bを有し、また両側の脚部36c,36dが零相変流器35を貫通した第一導体板221の中央部分221c,第二導体板222の中央部分222cに夫々挿入されるようになっている。そして、絶縁ケース36の一方の脚部36cを、零相変流器35の外部に出ている第一導体板221の中央部分221cに挿入すると共に、他方の脚部36dを零相変流器35の外部に出ている第二導体板222の中央部分222cに挿入し、さらに本体36aの空間部36bに零相変流器35の上部を収納する如く本体36aを零相変流器35に被せると、絶縁ケース36が零相変流器35を取り囲むようにしている。
この実施例によれば、絶縁ケース36が漏電検出手段を収容し、またこれを組み付けたとき、絶縁ケース36が零相変流器35を取り囲むようにしたので、回路に大電流が流れたときの溶着物が零相変流器35や漏電検出手段に付着することを防止でき、従って、零相変流器35や漏電検出手段を保護することができる。
なお本例では、漏電検出手段が絶縁ケース36の本体36a内に収納された例を示したが、本体36aの外側部であっても良く、何れにしろ絶縁ケース36によって周囲に対し絶縁されるように配置されても良い。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、極間絶縁バリアを零相変流器の内側に配置させ、その極間絶縁バリアにより、零相変流器を貫通する夫々の導体を互いに絶縁できるように構成したので、従来技術のように夫々の導体をいちいち被覆することが不要になり、そのままの導体板を零相変流器に貫通するので、零相変流器に対する貫通作業を容易に行え、しかも導体を小型に形成できることによって漏電遮断器内の限られたスペースに容易に配置することができる結果、零相変流器に対する作業性を高め得ると共に遮断器全体の小型化を図り得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の漏電遮断器の第一の実施例を示す全体断面図である。
【図2】夫々の導体板と絶縁バリアと零相変流器との関係を示す分解斜視図である。
【図3】零相変流器に導体板と絶縁バリアとを組み込んだ状態を示す正面図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】本発明の漏電遮断器の他の実施例を示す説明図である。
【図6】従来の漏電遮断器の一構成例を示す一部破断の正面図である。
【図7】同じく一部破断の側面図である。
【符号の説明】
11…ケース、12…カバー、14…固定接点、15…可動接点、22…導体、221…第一導体板、222…第二導体板、223…第三導体板、25…フック、27…トリップ金具、29…引外しレバー、30…動作棒、32…各極共通のリレー軸、35…零相変流器、36…絶縁ケース、40…リンク機構部、42…極間絶縁バリア。

Claims (1)

  1. それぞれ接点に電気的に接続され且つ零相変流器を貫通して負荷端子に連なる第一の導体と第二の導体と第三の導体とを有する漏電遮断器において、
    前記零相変流器は円形とし、前記第一の導体,第二の導体及び第三の導体は板状とし、
    前記第一の導体及び前記第二の導体はコ字形の形状部を有し、前記第三の導体は段差部分を有し、
    前記零相変流器の内側に、絶縁性樹脂で成形され各導体を絶縁する絶縁バリアを配置し、
    前記絶縁バリアは第三の導体板を保持する凹部形状の保持部を設け、
    前記第一の導体板及び第二の導体板を零相変流器に挿通し、前記第一の導体及び前記第二の導体のコ字形形状部の凸部を対称に向き合うように、かつ前記第一の導体及び前記第二の導体のコ字形形状部の凹部を前記零相変流器が通過するように配置し、
    前記第三の導体板を前記絶縁バリアに保持し、前記第一の導体板と第二の導体板の間に挿通して、前記第三の導体板が前記第一の導体板及び第二の導体板の上方に配置された
    ことを特徴とする漏電遮断器。
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