JP3793330B2 - ヒートポンプ式自動車用空気調和装置 - Google Patents

ヒートポンプ式自動車用空気調和装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒の循環過程において取入れ空気などから回収した熱を利用して自動車の車室内を暖房するようにしたヒートポンプ式自動車用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒートポンプ式自動車用空気調和装置は、ユニット内にサブコンデンサと称する室内熱交換器を設け、コンプレッサにより圧縮された高温高圧の冷媒を熱源として利用するようにしたシステムであり、冷媒の循環過程(冷凍サイクル)において低温の外気から熱を汲み上げて車室内を暖房することから、ヒートポンプ式の自動車用空気調和装置と称されている。
【0003】
このヒートポンプシステムには、暖房性能を向上させるため、エンジン冷却水を熱源として利用するヒータコアシステムを併用したものがあり、また、通常は除湿機能を織り込んで(除湿暖房の実現)、フロントガラスの曇りを防止して、安全運転を確保しうるようにしている。
【0004】
ところが、この種の装置で暖房運転をする場合、例えば、冬季の朝のように外気温度が低いときには、起動時にエンジン冷却水や冷媒の温度が低く、かつ、冷媒の温度の上昇速度も俊敏でないため、運転開始と同時に暖かい空気が吹き出されるような状態になりにくく、いわゆる即暖性が不十分となり、また、暖房性能も不足気味となるおそれがある。特に、ディーゼルエンジンを搭載した車室内空間の大きいワンボックスカーなどでは、通常のガソリンエンジン車と比べてエンジン冷却水の温度上昇が遅く、しかも広い空間を暖房しなければならないことから、即暖性、暖房性能ともに不足する傾向がある。さらに、最近では、排気ガス対策および省エネルギー対策として効率の良い直噴エンジン(ガソリン、ディーゼル)や稀薄混合気燃焼(リーンバーン)エンジンが開発中で、すでに一部は実用化されているところであるが、このような直噴エンジンやリーンバーンエンジン搭載車の場合には、放熱量の低下に伴うエンジン冷却水の温度の低下(低水温化)によって、利用可能なエンジン冷却水の熱量が最初から少ないため、慢性的に暖房不足を来すおそれがある。
【0005】
そこで、本出願人は、サブエバポレータと称する室外熱交換器を設け、このサブエバポレータにおいてエンジン冷却水の熱を利用してコンプレッサへの帰還冷媒を加熱し、エンタルピーが増加したより高温の冷媒を用いて、より高い暖房性能を発揮するようにしたヒートポンプ式自動車用空気調和装置を提案した(例えば、特願平7−271621号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなサブエバポレータを備えたヒートポンプ式自動車用空気調和装置においては、エンジン冷却水の熱を利用して冷媒を加熱することにより、従来のヒートポンプ式に比べ、即暖性、暖房性能ともに著しく向上するが、それでもなお極低温地域などで暖房を行う場合には、冷凍サイクルの立ち上がり自体が遅く冷凍サイクルがなかなか成立しないため、サイクル温度(冷媒温度)の上昇に時間がかかり、即暖性に欠けるおそれがある。
【0007】
そこで、暖房初期時に早急に温度上昇させようとブロアファンの風量を上げると、多量の冷風によりサブコンデンサの温度が低下し、そのためサイクル温度も下がり、かえって冷媒を効率的に温度上昇させることが困難となる。したがって、冷凍サイクルの早期立ち上げの観点からは、外気導入での使用は好ましくない。しかし、フロントガラスの曇り防止の観点からは、低温・低湿度の外気を導入するのが好ましい。
【0008】
一方、今日、カーエアコン(自動車用空気調和装置)に対する省動力ニーズおよびコンプレッサのON−OFF制御時の吹出し温度変化や乗員に伝わるショック低減といった快適性ニーズにこたえるため、可変容量形のコンプレッサ(可変容量コンプレッサ)が広く普及しつつある。容量を変化させる制御方式としては、コンプレッサの吸入圧力を使い、コンプレッサ本体の弁(コントロールバルブ)で制御する内部可変制御方式が一般的である。
【0009】
このような圧力感知による可変容量コンプレッサでは、例えば斜板式のものを例にとると、吸入圧力(低圧側圧力)がコントロールバルブの設定圧力よりも高い場合にはクランクケース内の圧力が吸入圧力とほぼ同等になり、斜板の傾き角が最大となって(ピストン最大ストローク)、冷媒の吐出量が最大となるが、吸入圧力(低圧側圧力)がコントロールバルブの設定圧力以下になるとクランクケース内の圧力が吐出圧力に近づき、斜板の傾き角が小さくなり、ピストンストロークも小さくなって、冷媒の吐出量が減少し、吸入圧力は上昇する(このため、斜板は圧力のバランスのとれた位置で平衡状態となる)。よって、一般的には、低速走行時、外気温が高いときなどには低圧側圧力が上昇するのでフルストローク(最大容量)になり、高速走行時、外気温が低いとき、車室内温度が低いときなどには低圧側圧力が低くなるので容量制御が行われる。
【0010】
したがって、サブエバポレータを備えたヒートポンプシステムのコンプレッサとして、吸入圧力(低圧側圧力)が上昇していないとフルストローク(最大容量)にならない圧力感知型の可変容量コンプレッサを使用した場合には、外気温度が低い環境の下で暖房運転を開始しても、フルストローク(最大容量)にならず、圧力の立ち上がりが悪いため、即暖性に欠けるおそれがある。さらに、場合によっては、冷凍サイクルが立ち上がらず、システム自体が機能しないおそれさえある。
【0011】
このことは、実験によっても確認された。すなわち、例えば、外気温度(エバポレータ吸気温度)が−20℃、コンプレッサ回転数が730rpm、サブエバポレータ入口の温水温度が50℃、温水流量が550リットル/h、ブロアファンがONの条件の下でシステムをONしたところ、サイクル圧力(吐出圧力、吸入圧力など)は立ち上がらず、吐出圧力と吸入圧力との差はほとんど生じず、システムは機能しなかった。
【0012】
本発明は、本出願人が現在開発中のヒートポンプ式自動車用空気調和装置における上記課題に着目してなされたものであり、圧力感知型の可変容量コンプレッサを使用した場合におけるサイクルの立ち上がりの容易化と即暖性の向上とを図ることができるヒートポンプ式自動車用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、インテークドアにより選択された内外気をブロアファンにより空気通路内に導入し、冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して前記空気通路内に導入された取入れ空気を加熱することにより、車室内の暖房を行うヒートポンプ式自動車用空気調和装置において、前記冷凍サイクルを構成し、吸入圧力により内部的に吐出容量が可変制御される可変容量コンプレッサと、前記冷凍サイクルを構成し、エンジン冷却水との熱交換により前記可変容量コンプレッサに帰還する冷媒を加熱する室外エバポレータと、前記冷凍サイクルの圧力を検出するサイクル圧力検出手段と、暖房運転開始時に前記インテークドアを内気導入位置に前記ブロアファンをOFF状態にそれぞれ設定した後、前記サイクル圧力検出手段の出力が所定値以上になると前記インテークドアを外気導入位置に前記ブロアファンをON状態にそれぞれ設定する制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の構成によると、制御手段は、まず暖房運転開始時にインテークドアを内気導入位置にブロアファンをOFF状態にそれぞれ設定する。インテークドアを内気導入位置に設定することで、加熱された空気が再度空気通路内に導入されるので、室内エバポレータの吸気温度が上昇し、可変容量コンプレッサに吸入される冷媒の温度・圧力が上昇しやすくなる。また、ブロアファンをOFF状態に設定することで、暖房初期の十分に暖まっていない冷風により室内コンデンサの温度が低下することがなくなり、可変容量コンプレッサに吸入される冷媒の温度・圧力が上昇しやすくなる。したがって、両者相俟って、さらには室外エバポレータの作用(エンジン冷却水との熱交換による帰還冷媒の加熱)とも相俟って、冷凍サイクルの立ち上がりが容易かつ迅速となり、可変容量コンプレッサは吸入圧力の上昇に伴ってフルストローク(最大容量)となり、最大流量が実現されるので、最大性能が発揮され、即暖性が向上する。その後、サイクル圧力検出手段の出力(冷凍サイクルの圧力)がサイクルの立ち上がり可能な所定値以上になると、窓曇りの防止を考慮してインテークドアを外気導入位置に設定し、かつ、加熱された空気を車室内へ吹き出すためブロアファンをON状態に設定する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を使って、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は本発明を適用したヒートポンプ式自動車用空気調和装置の一例を示す概略構成図である。ここでは、サブエバポレータと称する室外熱交換器を備えたヒートポンプ式の自動車用空気調和装置のうち、冷媒を利用して暖房を行うヒートポンプシステムとエンジン冷却水(温水)を利用して暖房を行うヒータコアシステムとを併用したものを例示している。
【0017】
この自動車用空気調和装置は、車室内外の空気(内外気)を選択的に取り入れて空気調和した後車室内の所定の場所に向かって吹き出す空調ユニット1を有する。
【0018】
この空調ユニット1は、その空気通路2内に、白抜き矢印で示す空気の流れ方向の上流側から順に、内気取入口3および外気取入口4を選択的に開閉するインテークドア5と、インテークドア5により選択された内外気を空気通路2内に導入し下流側に向かって圧送するブロアファン6と、冷媒を蒸発させて取入れ空気を冷却するエバポレータ7(室内エバポレータ)と、エンジン冷却水(温水)を利用して取入れ空気を加熱するヒータコア8と、冷媒を凝縮液化させて取入れ空気を加熱するサブコンデンサ9(室内コンデンサ)とを有する。なお、図示しないが、サブコンデンサ9の下流側には、温度調節された空気を車室内の所定の場所に向かって吹き出すための各種吹出口が形成されている。
【0019】
空調ユニット1の外部には、エンジン10により図示しないベルトを介して回転駆動されるコンプレッサ11と、メインコンデンサ12とが配設されている。コンプレッサ11は、吸入圧力により内部的に吐出容量が可変制御される圧力感知型の可変容量コンプレッサであって、その作動原理は前述したとおりである。冷凍サイクルは、これら可変容量コンプレッサ11(以下、単にコンプレッサという)およびメインコンデンサ12、ならびに上記のサブコンデンサ9およびエバポレータ7、ならびにリキッドタンク13および膨脹弁14を、配管により連結し、その中に冷媒を封入して構成されている。
【0020】
メインコンデンサ12の入口側には四方弁15が設けられている。この四方弁15は、密閉ケースに一つの入口ポートと三つの出口ポートを設けるとともに、同ケース内に前記三つの出口ポートのうち二つの出口ポートを連通するスライド部材を設け、このスライド部材によって選択された出口ポート以外の出口ポートが入口ポートと連通するように構成されている。したがって、スライド部材の位置によって入口ポートと連通される出口ポートが選択されることになる。ここでは、四方弁15の入口ポートはコンプレッサ11の吐出側と接続され、四方弁15の三つの出力ポートは、それぞれ、メインコンデンサ12の入口、コンプレッサ11の吸入側(冷媒回収通路16)、メインコンデンサ12の出口(バイパス通路17)と接続されている。この四方弁15により、コンプレッサ11から吐出された冷媒をメインコンデンサ12に導く冷房用回路と、コンプレッサ11から吐出された冷媒をメインコンデンサ12のバイパス通路17に導く暖房用回路とが切り換えられる。なお、図1では、暖房運転時の四方弁15の状態を示している。
【0021】
また、空調ユニット1の外部には、ヒートポンプによる暖房性能を高めるため、コンプレッサ11の吸入側とエバポレータ7の出口との間の低圧側冷媒通路に、室外エバポレータ(室外熱交換器)として機能するサブエバポレータ18を設けている。このサブエバポレータ18は、内部を流通する冷媒をエンジン冷却水(温水)との熱交換により加熱する機能を有しており、いわば温水−冷媒熱交換器ともいうべきものである。
【0022】
このようなサブエバポレータ18を設けることで、たとえ低温のため空気と熱交換してもただちに暖房用として使用できないエンジン冷却水であっても、当該サブエバポレータ18において流入した冷媒と熱交換させることにより、その冷媒はエンジン冷却水が保有する熱を有効に取り込んで加熱された(つまり、エンタルピーが増加した)後、コンプレッサ11に帰還し、再度コンプレッサ11で圧縮、加圧されることになるので、コンプレッサ11から吐出される冷媒はより高温の冷媒となって、サブコンデンサ9に供給されることになる。その結果、サブコンデンサ9の放熱性能が高まり、そこで熱交換された空気はより高温となるため、より高い暖房性能が発揮され、即暖性も向上することになる。なお、図示しないが、膨脹弁14の感熱部をサブエバポレータ18の出口に設けた場合には、サブエバポレータ18で加熱された後の冷媒の温度によって冷媒の流量が調整されるため、サブエバポレータ18の作動時により多量の冷媒が循環するようになり、より一層の暖房性能アップが図られ、好ましい。
【0023】
暖房運転時、コンプレッサ11から吐出された冷媒は、通常、次の暖房用回路を循環する。つまり、暖房運転時、コンプレッサ11から出た冷媒は、四方弁15→バイパス通路17→サブコンデンサ9→リキッドタンク13→膨脹弁14→エバポレータ7と流れた後、サブエバポレータ18を流れて、コンプレッサ11に帰還する。
【0024】
一方、冷房運転時、コンプレッサ11から吐出された冷媒は、通常、次の冷房用回路を循環する。つまり、冷房運転時、コンプレッサ11から出た冷媒は、四方弁15→メインコンデンサ12→サブコンデンサ9→リキッドタンク13→膨脹弁14→エバポレータ7→サブエバポレータ18と流れて、コンプレッサ11に帰還する。
【0025】
また、エンジン冷却水が循環する温水回路については、ヒータコア8とサブエバポレータ18とは並列に接続され、これらの温水入口には、例えば、ON−OFF制御可能なウォータバルブ19、20がそれぞれ設けられている。ウォータバルブ19を開けるとエンジン冷却水がヒータコア8に導入され、ウォータバルブ20を開けるとエンジン冷却水がサブエバポレータ18に導入される。よって、暖房運転時においてサブエバポレータ18を作動させる場合には、ウォータバルブ20を開いて(ON)、エンジン10から流出した温水(エンジン冷却水)をサブエバポレータ18に導入することになる。
【0026】
また、上記構成の冷媒回路の高圧側、例えば、コンプレッサ11の出口側配管には、コンプレッサ11の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ21が設けられ、同冷媒回路の低圧側、例えば、コンプレッサ11の入口側配管には、コンプレッサ11の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ22が設けられている。吐出圧力センサ21および吸入圧力センサ22はともに、検出した圧力を電圧値に変換する圧力トランスデューサである。後述するように、吐出圧力センサ21または吸入圧力センサ22の出力によってサイクルの立ち上がり状況が判断される。なお、サイクル圧力検出手段は、吐出圧力センサ21および吸入圧力センサ22によって構成されている。
【0027】
なお、上記したように四方弁15の出口側(出口ポートの一つ)とコンプレッサ11の吸入側との間には冷媒回収通路16が設けられているが、この冷媒回収通路16は、外気温度が低く、エンジン冷却水をただちに暖房用熱源として使用できない場合に、メインコンデンサ12などに滞留しているいわゆる寝込み冷媒をコンプレッサ11に戻し、多量の冷媒を用いて性能の高い暖房ができるようにするためのものである。
【0028】
また、図1中、23はメインコンデンサ12を冷却するための電動ファンであり、24、25、26はそれぞれ反対方向の流れを阻止するための逆止弁である。
【0029】
図2は暖房運転初期に機能する制御系の要部を示すブロック図である。
【0030】
制御手段として機能するオートアンプ30はマイコンを内蔵しており、その入力側にはシステムスイッチ31、エアコンスイッチ32、コンプレッサ吐出圧力を検出する吐出圧力センサ21、コンプレッサ吸入圧力を検出する吸入圧力センサ22などが接続され、その出力側にはインテークドア5を駆動するモータ内蔵のインテークドアアクチュエータ33、ブロアファン6を回転駆動するブロアファンモータ34への印加電圧を制御するファンコントロールアンプ35、コンプレッサ11(のマグネットクラッチ)、サブエバポレータ18用のウォータバルブ20などが接続されている。システムスイッチ31は、サブエバポレータ18を用いた暖房システムを作動させるための操作スイッチであり、エアコンスイッチ32は、サブエバポレータ18を使用しない通常の冷暖房システムとして作動させるための操作スイッチである。オートアンプ30は、システムスイッチ31がONでかつエアコンスイッチ32がOFFであるとき、サブエバポレータ18を用いた暖房システムを作動させ、その中で、後述する暖房運転起動時の立ち上げ制御を実施する。
【0031】
図3はその暖房運転起動時の立ち上げ制御の内容を示すタイミングチャートである。
【0032】
暖房運転が起動されると、オートアンプ30は、ただちに、インテークドアアクチュエータ33を介してインテークドア5を内気導入位置(REC)に設定するとともに、ファンコントロールアンプ35を介してブロアファンモータ34をOFFしてブロアファン6をOFF状態に設定する。このように、インテークドア5を内気導入位置に設定することにより、サブコンデンサ9(および/またはヒータコア8)で加熱された空気が再度内気取入口3から空気通路2内に導入されるので、エバポレータ7の吸気温度が上昇し、コンプレッサ11に吸入される冷媒の温度や圧力(Ps )が上昇しやすくなる。また、ブロアファン6をOFF状態に設定することにより、暖房初期の十分に暖まっていない冷風によりサブコンデンサ9の温度が低下することがなくなり、この点からもコンプレッサ11に吸入される冷媒の温度や圧力(Ps )が上昇しやすくなる。したがって、両者相俟って、さらには上記したサブエバポレータ18の作用(エンジン冷却水との熱交換による帰還冷媒の加熱)とも相俟って、冷凍サイクルの立ち上がりが容易かつ迅速となり、可変容量コンプレッサ11は吸入圧力の上昇に伴ってフルストローク(最大容量)となり、最大流量が実現されるので、最大性能が発揮され、即暖性が向上する。
【0033】
その後、吐出圧力センサ21および吸入圧力センサ22によって検出されるサイクルの圧力(吐出圧力Pdと吸入圧力Ps)が上昇してサイクルの立ち上がり可能な所定値(例えば、Pdが10kg/cm2G 、Psが3kg/cm2G )以上に達すると、窓曇りの防止を考慮してインテークドア5を外気導入位置(FRE)に変更するとともに、加熱された空気を車室内へ吹き出すためブロアファン6をON状態に変更する。
【0034】
すなわち、暖房運転開始時において外気温度が低い場合には、エンジン冷却水の温度も低く、これをただちに暖房用として使用することはできない(ヒータコア8の場合)。また、冷媒もメインコンデンサ12などの内部に寝込んでおり、コンプレッサ11にはあまり存在していない。この状態で車室内を暖房する場合には、例えば、ヒータコア8用のウォータバルブ19を閉じ、サブエバポレータ18用のウォータバルブ20を開き、四方弁15を図1に示す状態に設定する。
【0035】
この状態でコンプレッサ11をONすると、主としてメインコンデンサ12の内部に寝込んでいる冷媒が、四方弁15および冷媒回収通路16を通ってコンプレッサ11の吸入側に導かれ、回収される。
【0036】
これにより、コンプレッサ11は多量の冷媒を吐出しうる運転状態となり、コンプレッサ11から吐出された高温高圧の冷媒は、前述のように、四方弁15→バイパス通路17→サブコンデンサ9→リキッドタンク13→膨脹弁14→エバポレータ7→サブエバポレータ18と流れて、コンプレッサ11に帰還する。この循環過程において、サブエバポレータ18に流入した低温低圧の冷媒は、エンジン冷却水との熱交換により加熱され、より高温となってコンプレッサ11に吸入され、再度圧縮される。これにより、コンプレッサ11に帰還し再度圧縮された冷媒は、エンタルピーが増加して(つまり、サイクルバランスが上昇して)より高温高圧となって吐出されることになる。しかも、膨脹弁14の感熱部をサブエバポレータ18の出口に設けた場合には、上記のごとくサブエバポレータ18出口の冷媒温度がエンジン冷却水との熱交換により上昇すると、膨脹弁14の開度が大きくなり、より多量の冷媒が循環するようになる。サブコンデンサ9の暖房能力(放熱性能)は冷媒の温度と流量に関係するため、このように吐出冷媒の温度が上昇しかつ流量も増加することで、より高い暖房性能が発揮されることになる。また、このような傾向は時間の経過につれて増幅されることから、このようにエンジン冷却水からの熱の回収をいわばトリガーとすることで冷媒温度の迅速かつ効率的な上昇が可能となり、いわゆる即暖性も大幅に向上することになる。
【0037】
さらに、このようなサブエバポレータ18を備えたヒートポンプシステムであっても、圧力感知型の可変容量コンプレッサ11を使用した場合には、前述のごとく、外気温度が低い環境の下で暖房運転を開始しても、フルストローク(最大容量)になりにくく圧力の立ち上がりが悪い場合があるため、上記した立ち上げ制御を実施する。つまり、サイクル圧力(吐出圧力、吸入圧力)を早く上昇させ最大流量を出すために、運転初期のインテークをRECにしかつブロアファン6をOFFにして最大性能を発揮させ、エバポレータ7の吸気温度を上昇させる。その後、エバポレータ7の吸気温度が上昇してコンプレッサ11の吐出圧力Pdまたは吸入圧力Psがそれぞれ10kg/cm2G 以上または3kg/cm2G 以上に達すると、窓曇り防止を考慮してインテークをFREに変更し、かつ、加熱された空気を車室内へ吹き出すためブロアファン6をONする。
【0038】
このようにして冷凍サイクルが立ち上がりサイクル圧力・温度が上昇すると、空調ユニット1内に取り込まれた空気は、エバポレータ7で除湿(冷房)され、さらにサブコンデンサ9(および/またはヒータコア8)で加熱された後、流下し、所定の吹出口から車室内に吹き出される。これにより、除湿した空気を加熱する除湿暖房が実現される。
【0039】
なお、実験によれば、外気温度(エバポレータ吸気温度)が−20℃、コンプレッサ回転数が730rpm、サブエバポレータ入口の温水温度が50℃、温水流量が550リットル/hの条件の下でも、圧力上昇の対策として運転初期にブロアファン6をOFFして吐出圧力Pdを上昇させた後ブロアファン6をONすれば、コンプレッサ11はフルストロークとなり、可変容量コンプレッサでも使用可能であることがわかった。
【0040】
また、外気温度(エバポレータ吸気温度)が−10℃の場合には、サブエバポレータ入口の温水温度を30℃以上に確保すれば、運転初期にブロアファン6をOFFしなくても可変容量コンプレッサは使用可能(吹出し温度45℃以上)であることがわかった。これは、外気温度(エバポレータ吸気温度)が−10℃の場合にはそれが−20℃の場合よりも起動時の圧力が高く、したがってフルストロークになりやすいためである。よって、運転初期のインテークをRECにしてエバポレータ吸気温度を上昇させれば、外気温度が−20℃のときにも可変容量コンプレッサの使用は可能であると考えられる。ただし、この場合には、実験によると、吐出圧力Pdの立ち上がりが容量固定のコンプレッサに比べて遅いので、実用的には起動時にブロアファン6をOFFする制御が必要である。つまり、本発明のように、暖房運転初期にインテークドア5を内気導入位置(REC)に設定しかつブロアファン6をOFFするといった内容の立ち上げ制御が必要である。
【0041】
したがって、本実施の形態によれば、サブエバポレータ18を備えたヒートポンプシステムにおいて圧力感知型の可変容量コンプレッサ11を使用した場合において、暖房運転初期にインテークドア5を内気導入位置(REC)に設定しかつブロアファン6をOFFするようにので、冷凍サイクルの立ち上がりが容易かつ迅速となり、可変容量コンプレッサ11は吸入圧力の上昇に伴ってフルストローク(最大容量)となり、最大流量が実現される。よって、最大性能が発揮され、即暖性が向上する。
【0042】
そしてその後、エバポレータ7の吸気温度が上昇しサイクルの圧力(吐出圧力Pd、吸入圧力Ps)が上昇してサイクルの立ち上がり可能な所定値(例えば、Pd=10kg/cm2G 、Ps=3kg/cm2G )以上に達すると、インテークドア5を外気導入位置(FRE)に変更しかつブロアファン6をONするようにしたので、窓曇りの発生を防止しつつ車室内の暖房を行うことができる。
【0043】
なお、上記した実施の形態では、空調ユニット1内に二つの熱源、つまり冷媒利用のサブコンデンサ9と温水利用のヒータコア8とを設けたシステムを例にとって説明したが、これに限定されるわけではなく、本発明は、サブエバポレータを備えたヒートポンプ式の自動車用空気調和装置において圧力感知型の可変容量コンプレッサを使用したシステムであれば、どのようなタイプのものにでも適用可能である。よって、ヒータコアは必ずしも必須の構成要素ではない。
【0044】
また、上記した実施の形態のようにサブコンデンサとヒータコアとを併用したシステムにおいて、例えば、エバポレータの下流側にヒータコアおよびサブコンデンサを通過する空気の割合を調節するエアミックスドアを設け、かつ迂回用の空気通路を形成したシステムであってもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、室外エバポレータと可変容量コンプレッサとを組み合わせたヒートポンプ式自動車用空気調和装置において、暖房運転開始時にインテークドアを内気導入位置にブロアファンをOFF状態にそれぞれ設定するので、冷凍サイクルの立ち上がりが容易かつ迅速となり、可変容量コンプレッサは吸入圧力の上昇に伴ってフルストローク(最大容量)となり、最大流量が実現される。よって、最大性能が発揮され、即暖性が向上する。そしてその後、エバポレータの吸気温度が上昇しサイクルの圧力が上昇してサイクルの立ち上がり可能な所定値以上になると、インテークドアを外気導入位置に変更しかつブロアファンをON状態に設定するので、窓曇りの発生を防止しつつ車室内の暖房を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したヒートポンプ式自動車用空気調和装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】 暖房運転初期に機能する制御系の要部を示すブロック図である。
【図3】 暖房運転起動時の立ち上げ制御の内容を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…空調ユニット
2…空気通路
5…インテークドア
6…ブロアファン
9…サブコンデンサ
11…可変容量コンプレッサ
18…サブエバポレータ(室外エバポレータ)
21…吐出圧力センサ(サイクル圧力検出手段)
22…吸入圧力センサ(サイクル圧力検出手段)
30…オートアンプ(制御手段)

Claims (1)

  1. インテークドア(5) により選択された内外気をブロアファン(6) により空気通路(2) 内に導入し、冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して前記空気通路(2) 内に導入された取入れ空気を加熱することにより、車室内の暖房を行うヒートポンプ式自動車用空気調和装置において、前記冷凍サイクルを構成し、吸入圧力により内部的に吐出容量が可変制御される可変容量コンプレッサ(11)と、
    前記冷凍サイクルを構成し、エンジン冷却水との熱交換により前記可変容量コンプレッサ(11)に帰還する冷媒を加熱する室外エバポレータ(18)と、
    前記冷凍サイクルの圧力を検出するサイクル圧力検出手段(21,22) と、
    暖房運転開始時に前記インテークドア(5) を内気導入位置に前記ブロアファン(6) をOFF状態にそれぞれ設定した後、前記サイクル圧力検出手段(21,22) の出力が所定値以上になると前記インテークドア(5) を外気導入位置に前記ブロアファン(6) をON状態にそれぞれ設定する制御手段(30)と、
    を有することを特徴とするヒートポンプ式自動車用空気調和装置。
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