JP3793280B2 - コードレス電話システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にコードレス電話システムに関し、特に25チャネル・コードレス電話システムに関する。
【0002】
なお、本明細書の記述は本件出願の優先権の基礎たるイギリス国特許出願第9509145.0号(1995年4月28日出願)の明細書の記載に基づくものであって、当該イギリス国特許出願の番号を参照することによって当該イギリス国特許出願の明細書の記載内容が本明細書の一部分を構成するものとする。
【0003】
【従来の技術】
米国連邦通信委員会(FCC)は、ごく最近、25のコードレス電話チャネルを収容しうる十分に広い帯域幅の割り当てを行なった。
【0004】
チャネルが10から25に増えるということは、利用可能なチャネルが増えるほど、同じチャネルで隣人が行なっている他の通話との干渉の可能性が少なくなることから、利用者にとっては有益である。しかし、25チャネルを割り当てるには、近代的なコードレス電話の帯域幅を拡大させることが必要になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以下に示すように、帯域幅を拡大させると、ノイズが許容不能なレベルにまで増大してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、連邦通信委員会(FCC)によって割り当てられた25チャネルの帯域幅を2つの別個の帯域に区分して、ノイズ性能の向上をもたらすようにしたコードレス電話システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明によるコードレス電話セットにおけるハンドセット内の受話器回路とベース・ユニット(親機)内の送話器回路との「フロント・エンド」(すなわち入力同調回路)は、各帯域の中心周波数に同調され、受話器はPLLにより所定の帯域内の特定のチャネル周波数に同調される。
【0008】
すなわち、請求項1記載の発明は、ハンドセットのアンテナを介して結合されるRF信号により所定数のチャネルを介してベース・ユニット手段と通話するためのハンドセット手段であって、ハンドセット・コントローラ(130)を有するハンドセット手段と、ベース・ユニット・アンテナを介して結合されるRF信号により前記所定数のチャネルを介して前記ハンドセット手段と通話し、および外部電話ネットワークと通話するためのベース・ユニットであって、ベース・ユニット・コントローラ手段(230)を有するベース・ユニット手段とを具え、前記ハンドセット手段および前記ベース・ユニット手段は、第1の方向および第2の方向に通話するための通話回路を有し、および前記第1の方向に通話するためのチャネルの割り当てには、前記第2の方向の場合よりも大きな帯域幅を必要となし、およびノイズを減少させるために、前記第1の方向に用いられる前記通話回路は、前記通話回路を選択的に第1の周波数帯域の第1の中心周波数または第2の周波数帯域の第2の中心周波数に合わせる帯域切換手段(100、200)を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のコードレス電話システムにおいて、前記第1の方向は前記ベース・ユニットから前記ハンドセットへの方向であり、および前記第2の方向は前記ハンドセットから前記ベース・ユニットへの方向であることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
25チャネルのコードレス電話は、一般に利用可能な10チャネルのコードレス電話と多くの点で類似している。25チャネル・システムは10チャネル・システムより広い帯域幅を必要とするので、米国連邦通信委員会(FCC)は、コードレス電話に割り当てられる周波数スペクトルを増やした。
【0012】
ベース・ユニットに割り当てられた送話器周波数は、当然ながらハンドセットの受話器周波数であり、この周波数を以下の表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
以上と違って、ベース・ユニットの受話器周波数(すなわちハンドセットの送話器周波数)の帯域幅は、新しく追加された15チャネルが既存の10チャネルと隣接しているため、わずか1.23MHz(44.99〜48.76MHz)にしかならない。結果として得られた1.23MHzという帯域幅は、ノイズの問題が起こることを回避できる程度に適度に狭くなっている。しかし、ベース・ユニットの送話器周波数は、3.25MHz(46.97〜43.72MHz)の帯域幅にわたっており、これはノイズ関連の問題が起こりうるのに十分に広い幅である。
【0015】
ハンドセットにおいては、新しく追加された15チャネルは既存の10チャネルと隣接していないので、受話器の方が送話器より大きな帯域幅を有するという点で、正反対の状況になる。したがって、ハンドセットの場合は、別の方法で感度等のFCC要件を満たすことが必要になる。重要なこととして、10チャネルのコードレス電話は、ベース・ユニットの送話器用に360kHzの帯域幅(46.97〜46.61MHz)を、子機の送話器用に320kHzの帯域幅(49.99〜49.67MHz)を占有するという点に注意しなければならない。これに対して、25チャネルのコードレス電話は、ベース・ユニットの送話器用およびハンドセットの受話器用の双方が3.25MHzの帯域幅を必要とする。
【0016】
本発明は、以下に説明するように、25チャネルのサービスを提供するために必要とされる帯域幅の要求の拡大がノイズの増加を引き起こすという問題を指向している。
【0017】
温度が17℃の時の整合負荷を50オーム、10チャネルの電話の帯域幅を約300kHzとすると、下記の式(式1)を用いてノイズ電圧(e)を計算することができる。
【0018】
【数1】
e=(R×K×T×B)∧0.5 (式1)
ここで、
R=標準の50オーム・システム・インピーダンス
K=一定の係数:1.38E−23
T=ケルヴィン温度を単位とした温度(すなわち290゜K)
B=Hzを単位とした帯域幅(すなわち約300kHz)
これらの値を式1に代入すると、次のようになる:
【0019】
【数2】
e=(50×1.38E- 23×290×3E5)∧0.5
e=0.245μV(マイクロボルト)
3.25MHzの帯域幅を必要とする25チャネルの電話について同じ計算を行なうと、次のようになる:
【0020】
【数3】
e=(50×1.38E- 23×290×3.25E6)∧0.5
e=0.806μV(マイクロボルト)
結果として得られた0.806μVというノイズ値は、インディアナ州インディアナポリスのThomson Consumer Electronics, Inc.等の会社によって現在製造されている10チャネルの電話の場合よりも10.34dB高いノイズに相当する。
【0021】
したがって、ここで達成すべき目標は、FCCが定めている帯域幅の拡大によって起こるノイズ電圧の上昇を小さくする一方で、25チャネルのサービスを利用者に提供し続けることである。
【0022】
ここで、ノイズ値を低くすることと、25チャネルのサービスを利用者に提供することという両目標は、25チャネルを、各々が全帯域幅の一部分しか必要としない2つの帯域に分割する帯域切換式フロント・エンドを設けることによって実現され得ることが認識される。このようなシステムにおいて、15チャネルを包含する第1の帯域は、43.72MHz〜44.48MHz(表1の一番左の欄に示すように)の周波数範囲を占めるものとすることができ、残りの10チャネルを包含する第2の帯域は、46.61MHz〜46.97MHz(表1の一番右の欄に示すように)の周波数範囲を占めるものとすることができる。
【0023】
フロント・エンド(すなわち入力同調回路)は、各帯域の略中心に各々位置する2つの周波数の一方に合わされる。中心周波数は、幾何学的中心の方が実際の性能をよく反映することから、算術平均ではなく幾何学的方法によって計算される。したがって、低い方の帯域の中心周波数は、下記の式2に示すように計算される。
【0024】
【数4】
【0025】
同様に、高い方の帯域の中心周波数は、下記に示すように計算される。
【0026】
【数5】
【0027】
適正なそれぞれの中心周波数は、いずれの帯域が選択されるかに応じて、制御装置により選択される。
【0028】
図1に、本発明によるハンドセットの受話器回路の一部分を示す。図1において、RF信号は、アンテナにより受信されて、インダクタLINとコンデンサCINとを有する直列LC回路を介して、デュプレックサ(送受切換器)110のANT入力部に結合される。デュプレックサ110は、RF信号を送話器回路(図示せず)からアンテナに結合させ、およびRF信号をアンテナからハンドセットの受話器回路のフロント・エンドに結合させる。フロント・エンドは、変圧器TF1とその内部の20pf(ピコファラド)同調コンデンサとを有した反共振回路と、増幅器トランジスタQ1とを有する。スイッチト電源RX B+ は、抵抗性のpi型フィルタC1、R1およびC2によりろ波されて、変圧器TF1の1次巻線上のタップに印加される。RF信号は、変圧器TF1の2次巻線から、RFおよびIFプロセッサ120内に設けられたミクサM1に結合される。そこで、RF信号が、局部発振器OSCによって生成された信号と混合され、その結果として生成されたものがさらに処理されて、周知の態様で復調される。
【0029】
フロント・エンド帯域切換回路100は、スイッチング・トランジスタQ2およびQ3と、コンデンサC2と、ベース電流制限抵抗R2およびR3と、コレクタ抵抗R4と、並列RC(抵抗−コンデンサ)回路網R5,C3とを有し、以下のように動作する。高い方の帯域が選択されると、トランジスタQ2は非導通(すなわち「オフ」)となる。TF1は、578.5nH(ナノヘンリー)に設定された可変インダクタであり、自身の内部の20pfコンデンサとともに前記46.79MHzの中心周波数に同調される。低い方の帯域の選択が望まれるときは、コントローラ130がベース抵抗R3とR4との接続点に制御信号を印加して、スイッチング・トランジスタQ2およびQ3を導通させる。トランジスタQ2の導通によって、コンデンサC3が変圧器TF1の1次巻線の一部分の間に接続され、これによって共振周波数は、低い方の帯域の中心周波数である44.10MHzにほぼ近い周波数に低下する。
【0030】
インダクタL1とコンデンサC5とは、局部発振器OSCを同調させて高い方の帯域内で動作させる共振回路を構成する。低い方の帯域の選択が望まれる場合は、コントローラ130がベース抵抗R3とR4との接続点に制御信号を印加して、スイッチング・トランジスタQ2およびQ3を導通させる。トランジスタQ3の導通によって、発振器の同調回路にコンデンサC4が付加されて、発振器OSCが25チャネルの発振器周波数全体に対応できるようになる。
【0031】
次に、図2に示すベース・ユニットの送話器回路においては、送話器出力増幅回路220の一部分しか示されておらず、残りの部分(図示せず)は周知であるという点に注意されたい。動作時において、送られるべきRF信号は、増幅器220内で増幅されて、結合コンデンサC201を介してデュプレックサ210に印加された後に、直列LC構成LIN、CINを介してアンテナに印加される。
【0032】
以下に説明するように、L201,C202,C203およびC201を有する反共振回路は、スイッチング・トランジスタQ202が非導通状態(すなわちオフ)のときには、46.79MHzの中心周波数に同調し、そしてスイッチング・トランジスタQ202が導通状態(すなわちオン)のときには、44.10MHzの中心周波数に同調する。
【0033】
Q201は、送話器の終段のトランジスタ増幅器である。そのコレクタ負荷は、高い方の帯域に対して、L201,C201およびC202を有する同調回路である。低い方の帯域に対しては、コントローラ230の制御出力端子(C)に生じる高レベルの信号によりスイッチング・トランジスタQ202をオンにすることによって、C203がC202と並列に加えられる。C202は、好ましくは、39pfの値を有し、およびC201(18pf)とデュプレックサ210の内部の470pfのキャパシタンスとが直列に組み合わさったものと並列に結合される。この構成によって、結果として56.33pfの容量が生じる。得られた56.33pfの容量は、インダクタL201(205nHの公称値に設定される)と同調して、46.835MHzの並列共振周波数(これは実用化するためには、高い方の帯域の中心周波数である46.79MHzに十分に近い)を示す。低い方の帯域に同調させることが望まれる場合には、(たとえば帯域エッジ付近でのチャネル切換命令に応答して)コントローラ230によってQ202がオンとなり、それによってC203(7pf)が先に計算された容量値と並列に接続されて、結果として63.33pfという新しい値が得られる。この新しい容量値が、インダクタL201(205nH)と同調して、44.17MHzの新しい共振周波数(これは全ての実用的目的のためには、低い方の帯域の所望の中心周波数である44.1MHzに十分に近い)を示す。実際の値は、迷容量と構成部品の値と、電線の長さとによって若干異なるかもしれない。
【0034】
図1および図2に示した実施例は、25チャネルのコードレス電話を例にとって説明したが、当業者は、所望の場合には、本発明を、よりチャネル数の多いコードレス電話に適用しうることを理解されよう。
【0035】
ここで使用した「コントローラ」という用語は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、専用カスタム・ロジックとを包含するものであり、全てが添付の特許請求の範囲に含まれるものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコードレス電話のハンドセットの一部分を示す略図である。
【図2】本発明によるコードレス電話のベース・ユニットの一部分を示す略図である。
【符号の説明】
100,200 帯域切換手段
110,210 デュプレックサ
120 RFおよびIFプロセッサ
130 ハンドセット・コントローラ
220 増幅器
230 ベース・ユニット・コントローラ手段
Claims (2)
- ハンドセットのアンテナを介して結合されるRF信号により所定数のチャネルを介してベース・ユニット手段と通話するためのハンドセット手段であって、ハンドセット・コントローラを有するハンドセット手段と、
ベース・ユニット・アンテナを介して結合されるRF信号により前記所定数のチャネルを介して前記ハンドセット手段と通話し、および外部電話ネットワークと通話するためのベース・ユニットであって、ベース・ユニット・コントローラ手段を有するベース・ユニット手段と
を具え、
前記ハンドセット手段および前記ベース・ユニット手段は、第1の方向および第2の方向に通話するための通話回路を有し、および前記第1の方向に通話するためのチャネルの割り当てには、前記第2の方向の場合よりも大きな帯域幅を必要となし、および
ノイズを減少させるために、前記第1の方向に用いられる前記通話回路は、前記通話回路を選択的に第1の周波数帯域の第1の中心周波数または第2の周波数帯域の第2の中心周波数に合わせる帯域切換手段を有することを特徴とするコードレス電話システム。 - 請求項1記載のコードレス電話システムにおいて、前記第1の方向は前記ベース・ユニットから前記ハンドセットへの方向であり、および前記第2の方向は前記ハンドセットから前記ベース・ユニットへの方向であることを特徴とするコードレス電話システム。
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