JP3792463B2 - 光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法、光学活性メタロセンの製造方法、光学活性アズレニル化合物、架橋光学活性メタロセン、および、αーオレフィンの重合方法 - Google Patents

光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法、光学活性メタロセンの製造方法、光学活性アズレニル化合物、架橋光学活性メタロセン、および、αーオレフィンの重合方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒や医農薬中間体として有用な光学活性シクロペンタジエニル誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
シクロペンタジエニル化合物は種々の触媒や医農薬中間体として有用である。このうち光学活性シクロペンタジエニル誘導体は触媒としての更なる活性や医農薬中間体としての利用が期待されている。
【0003】
光学活性シクロペンタジエニル誘導体の合成法はこれまでいくつかの例が報告されている。例えば光学活性な(−)−メントールをトシル化し不斉を保持したままSN2型でシクロペンタジエニルリチウムと反応させてシクロペンタジエン環に結合する炭素上に不斉を導入する方法(J.Organomet.Chem.1978年162巻297ページ)や2位に不斉点を持つ1−ブロモ−2−置換−ブタンにシクロペンタジエニルナトリウムを反応させる方法(J.Organomet.Chem.1980年95巻291ページ)が知られているが、予め基質上に不斉部位を構築しておく必要がある。
【0004】
また、2当量の2−ブテン−2−イルリチウムと不斉なエステルとを環化付加させる、不斉なシクロペンタジエン環形成反応(Tetrahedron Lett.1983年24巻3087ページ)が知られているが、予め不斉なエステルを用意する必要がある。
【0005】
さらに、ラセミなフェロセンの光学分割(J.Am.Chem.Soc.1970年92巻5389ページ)等も知られているが簡便ではない。
【0006】
一方、フルベンへの求核剤の付加反応は古くから知られている。例えば、リチウムアルミニウムハイドライドとの反応によるアルキルシクロペンタジエンの合成(Annalen der Chemie,Justus Liebig’s1954年 589巻 91ページ)、アルキル(アリール)リチウムとの反応によるアルキルシクロペンタジエンの合成(J.Chem.Soc.1961年4610ページ)等が知られている。また、Organometallics1994年13巻4481ページには6位に不斉なアミノ基を持つフルベンにメチルリチウムが立体選択的に付加し、光学活性アルキルシクロペンタジエンを得る方法が示されているが、基質内の不斉なアミノ基による立体制御反応であり一般性を欠く。
【0007】
ところで、シクロペンタジエニル基を配位子に有する有機金属化合物は従来より様々な有機反応の触媒または試剤として用いられている。シクロペンタジエニル基を配位子に有する有機金属化合物としては金属原子上にシクロペンタジエニル基を一つ有するハーフサンドイッチ型と、シクロペンタジエニル基を二つ有するサンドイッチ型に分類され、後者は特にメタロセンと称される。これらはいずれも触媒分野において重要な役割を果たしている。
【0008】
Kaminskyらはジルコノセン類とメチルアルモキサンとの組み合わせによりエチレン重合に高活性な触媒が生成することを見出した(Adv.Organomet.Chem.1980年18巻133ページ)。Brintzingerらは2個のシクロペンタジエニル基が架橋されたアンサジルコノセンがプロピレンの立体選択重合に有用であることを見出し(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1985年24巻507ページ)、以後プロピレン重合触媒として多くの種類のアンサメタロセン類が合成された。
【0009】
一般にアンサメタロセン類においては、C2対称を有するラセミ体と、分子内に対称面を有するメソ体が生成し、メソ体はプロピレンの重合に関し立体選択性および活性の面でラセミ体に対し大きく劣ることが知られている。そこで従来よりラセミ体のアンサメタロセンのみを選択的に合成する方法が検討されてきた。
【0010】
一方、従来より、不斉炭素中心を有する光学活性メタロセン類が、種々の不斉反応の触媒または試剤として用いられている(Metallocenes,Ed.byA.Togni and R.L.Halterman,Chapter8,Wiley−VCH,1998)。特に有用な例は光学活性フェロセニルホスフィン配位子であり、不斉水素化などの分野で工業的に利用されている。
【0011】
Paquetteらは、エナンチオ的に純粋なカンファーを原料として光学活性なシクロペンタジエニル体を合成し、これから得られるメタロセンが、C2対称異性体を選択的に含むことを見出した(Organometallics 1998年 17巻 4897ページ)。これらのメタロセンはラセミ体が主生成物として得られるが、オレフィンの重合活性は低いものであった。またこの方法では光学活性の由来が天然物であり、R体とS体の作り分けが困難になり反応の一般性を減ずる。
【0012】
我々は、架橋メタロセン類に関して鋭意検討した結果、4位に置換基を有するアズレン類を配位子とするメタロセンが高性能のプロピレン重合触媒になることを見出した。本触媒の製造に当たっても、メソ体の生成を抑制する必要があり、すでにメソ体の選択分解方法(特開平11−259143)、再結晶による精製方法(特願平11−189372)、メソ体の生成抑制方法(特願平11−189333)等を開示してきたが、更なる改良法が望まれてきた。
【0013】
上述のメタロセンの配位子中のアズレンの4位はラセミ錯体では(4R,4’R)または(4S,4’S)の立体を、メソ錯体では(4R,4’S)または(4S,4’R)立体を持つ。従って、4位の置換基が光学活性になるように配位子を合成することで、得られる錯体のラセミ体収量が増加すると考えられる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、触媒や医農薬中間体として有用な光学活性シクロペンタジエニル誘導体を高い光学純度で得ることを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について検討した結果、光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物存在下にシクロペンタジエニル誘導体のアルキル化を行うことによって反応が立体選択的に進行することを見出し本発明を完成させた。
【0016】
具体的には、本発明は、光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物の共存下に下記一般式(1)で表されるシクロペンタジエニル誘導体と炭素求核剤とを反応させて光学活性シクロペンタジエニルアニオンを生成せしめ、得られた光学活性シクロペンタジエニルアニオンを求電子試薬と反応せしめて下記一般式(2)で表される光学活性シクロペンタジエニル化合物を得ることを特徴とする光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法を提供するものである。
【0017】
【化6】
Figure 0003792463
【0018】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに結合して環を形成していてもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示す)
【化7】
Figure 0003792463
(式中、*は不斉炭素を示し、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、前記一般式(1)と同じ意味を表し、R7はR5、R6とは異なる、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、Eは水素原子、無置換もしくは置換された周期表3族から14族の元素、炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、もしくは炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、シリレン基、オリゴシリレン基、ゲルミル基、ゲルミレン基、またはオリゴゲルミレン基を示し、mは1または2の整数を示す)
また、本発明は、上記の方法で得られた光学活性シクロペンタジエニル誘導体を、炭素もしくはケイ素含有基により架橋することにより架橋光学活性シクロペンタジエニル化合物を得ることを特徴とする光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法、および、架橋光学活性シクロペンタジエニル化合物を、更にプロトン引抜剤と反応させ、得られた架橋光学活性シクロペンタジエニルジアニオンを周期表3族から13族の元素の化合物と反応させることによってメタロ化することを特徴とする架橋光学活性メタロセンの製造方法を提供するものである。本発明の方法によれば、例えば下記一般式(4)で表される光学活性アズレニル化合物が得られる。
【0019】
【化8】
Figure 0003792463
【0020】
(式中、*は不斉炭素を示し、R2、R3、R4、R5、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、R7はR5とは異なる、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、Eは水素原子、無置換もしくは置換された周期表3族から14族の元素、炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、もしくは炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、シリレン基、オリゴシリレン基、ゲルミル基、ゲルミレン基、またはオリゴゲルミレン基を示し、mは1または2の整数を示す)
さらに、本発明は、上記の方法で得られた架橋光学活性メタロセンを重合用触媒としてα−オレフィンを重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるシクロペンタジエニル誘導体は公知の方法で合成でき、前記一般式(1)で表される化合物が使用される。
【0022】
上述のシクロペンタジエニル誘導体の具体的な例として、6−メチルフルベン、6−エチルフルベン、6−イソプロピルフルベン、6−t−ブチルフルベン、6−シクロヘキシルフルベン、6−フェニルフルベン、6−ナフチルフルベン、6−トリメチルシリルフルベン、6−p−クロロフェニルフルベン、6−クロロフルベン、1,6−ジメチルフルベン、2,6−ジメチルフルベン、6−シクロヘキシル−1−メチルフルベン、6−シクロヘキシル−2−メチルフルベン、1−メチル−6−フェニルフルベン、2−メチル−6−フェニルフルベン、6−クロロ−1−メチルフルベン、6−クロロ−2−メチルフルベン、6−メチル−1−フェニルフルベン、6−メチル−2−フェニルフルベン、6−シクロヘキシル−1−フェニルフルベン、6−シクロヘキシル−2−フェニルフルベン、1,6−ジフェニルフルベン、2,6−ジフェニルフルベン、6−クロロ−1−フェニルフルベン、6−クロロ−2−フェニルフルベン、1−クロロ−6−メチルフルベン、2−クロロ−6−メチルフルベン、1−クロロ−6−シクロヘキシルフルベン、2−クロロ−6−シクロヘキシルフルベン、1−クロロ−6−フェニルフルベン、2−クロロ−6−フェニルフルベン、1,6−ジクロロフルベン、2,6−ジクロロフルベン、1,2,6−トリメチルフルベン、1,2,3,4,6−ペンタメチルフルベン、1,2,3,4,6−ペンタフェニルフルベン、6−シクロヘキシル−6−メチルフルベン、6−メチル−6−フェニルフルベン、6−シクロヘキシル−1,6−ジメチルフルベン、1,6−ジメチル−6−フェニルフルベン、6−シクロヘキシル−2,6−ジメチルフルベン、2,6−ジメチル−6−フェニルフルベン、1−ブロモ−6−シキロヘキシル−6−メチルフルベンが挙げられる。
【0023】
上記シクロペンタジエニル誘導体としては縮環したシクロペンタジエニル誘導体も使用することができ、例えば4,5−ジヒドロペンタレン誘導体、4H−5,6−ジヒドロインデン誘導体、アズレン誘導体が使用される。
【0024】
上記4−5−ジヒドロペンタレン誘導体の具体的な例としては、4,5−ジヒドロペンタレン、2−メチル−4,5−ジヒドロペンタレン、2−フェニル−4,5−ジヒドロペンタレン、1,2−ジメチル−4,5−ジヒドロペンタレン、2,6−ジメチル−4,5−ジヒドロペンタレン、6−メチル−2−フェニル−4,5−ジヒドロペンタレン、1,2,6−トリメチル−4,5−ジヒドロペンタレン、2−メチル−6−フェニル−4,5−ジヒドロペンタレン、2,6−ジフェニル−4,5−ジヒドロペンタレン、1,2−ジメチル−6−フェニル−4,5−ジヒドロペンタレン、2−クロロ−4,5−ジヒドロペンタレン、2−クロロ−6−フェニル−4,5−ジヒドロペンタレン等が挙げられる。
【0025】
上記4H−5,6−ジヒドロインデン誘導体の具体的な例としては、4H−5,6−ジヒドロインデン、1−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、4−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、5−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、7−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−エチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−イソプロピル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、7−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−トリメチルシリル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−クロロ−4H−5,6−ジヒドロインデン、1,2−ジメチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2,4−ジメチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2,7−ジメチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、4−イソプロピル−2−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、7−イソプロピル−2−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−メチル−4−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−メチル−7−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−メチル−4−ナフチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−メチル−7−ナフチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−クロロ−7−メチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−エチル−4−イソプロピル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−エチル−7−イソプロピル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−エチル−4−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−エチル−7−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−エチル−4−ナフチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−エチル−7−ナフチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2,4,7−トリメチル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2,7−ジフェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、2−クロロ−7−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデン、1,2,ジメチル−7−フェニル−4H−5,6−ジヒドロインデンが挙げられる。
【0026】
上記アズレン誘導体の具体的な例としては、アズレン、2−メチルアズレン、4−メチルアズレン、6−メチルアズレン、2−エチルアズレン、2−イソプロピルアズレン、2−フェニルアズレン、4−フェニルアズレン、1,2−ジメチルアズレン、2,4−ジメチルアズレン、2−メチル−4−t−ブチルアズレン、4,5,6,7−テトラヒドロアズレン、2−クロロアズレン、2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロアズレン、2ーエチル−4,5,6,7−テトラヒドロアズレン、2−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロアズレン、2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒドロアズレン、2−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロアズレン、グアイアズレン、4,6,8−トリメチルアズレン、1,2,3−トリフェニルアズレンが挙げられる。
【0027】
本発明で用いられる炭素求核剤としては炭素金属化合物が使用される。
【0028】
上述の炭素金属化合物の具体例としては、メチルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、o−メチルフェニルリチウム、p−メチルフェニルリチウム、p−クロロフェニルリチウム、m−クロロフェニルリチウム、p−フルオロフェニルリチウム、p−ブロモフェニルリチウム、p−トリフルオロメチルフェニルリチウム、p−t−ブチルフェニルリチウム、p−フェノキシフェニルリチウム、p−ジフェニルホスフィノフェニルリチウム、p−ジメチルアミノフェニルリチウム、p−クロロ−m−メチルフェニルリチウム、o,p−ジメチルフェニルリチウム、2−フルオロ−4−ビフェニリルリチウム、2−クロロ−4−ビフェニリルリチウム、1−ナフチルリチウム、2−ナフチルリチウム、4−クロロ−1−ナフチルリチウム、4−メチル−2−ナフチルリチウム、4−クロロ−2−ナフチルリチウム、4−(4−クロロフェニル)−2−ナフチルリチウム、6−メトキシ−2−ナフチルリチウム、9−フェナントリルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニルリチウム、メチルナトリウム、エチルナトリウム、フェニルナトリウム、p−クロロフェニルナトリウム、p−フルオロフェニルナトリウム、p−トリフルオロメチルフェニルナトリウム、メチルカリウム、エチルカリウム、フェニルカリウム、p−クロロフェニルカリウム、p−フルオロフェニルカリウム、エチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロライド、ジブチルマグネシウム、ブチルオキシルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルリチウムクプラート、ジフェニルリチウムクプラート、メチルシアノリチウムクプラート、フェニルシアノリチウムクプラート、メチル(トリメチルシリルメチル)リチウムクプラート、フェニル(トリメチルシリルメチル)クプラート等が挙げられる。
【0029】
本発明では光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物が使用されるが、これらは単独であるいは2成分以上の任意の組み合わせによる混合物として使用される。
【0030】
上述の光学活性含酸素化合物と光学活性含窒素化合物は炭素求核剤に対して2座以上の配位子として機能することが好ましく、例えば同一分子内に存在するアルコキシ基、アリールオキシ基及びアミノ基の合計が2つ以上の化合物が使用される。
【0031】
上述の光学活性含酸素化合物と光学活性含窒素化合物の例としては、下記一般式(3)に表される化合物が使用される。
【0032】
【化9】
Figure 0003792463
【0033】
(式中、*は不斉炭素を示し、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してOR10またはNR1112を示し、R8、R9、R10、R11、R12は互いに結合して環を形成していてもよく、それぞれ独立して、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜10の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜10の窒素含有炭化水素基または炭素数1〜10のハロゲン含有炭化水素基を示す)
上記光学活性化合物の具体的な例としては、(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ジエトキシ−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ジイソプロポキシ−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ジ−t−ブトキシ−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ジシクロヘキシルオキシ−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ジメチル−1,2−ジフェノキシエタン、(R,R)−1,2−ジエチル−1,2−ジメトキシエタン、(R,R)−1,2−ジイソプロピル−1,2−ジメトキシエタン、(R,R)−1,2−ジ−t−ブチル−1,2−ジメトキシエタン、(R,R)−1,2−ジシクロヘキシル−1,2−ジメトキシエタン、(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ジイソプロポキシ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ジ−t−ブトキシ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ジシクロヘキシルオキシ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ジフェノキシ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(p−クロロフェニル)−1,2−ジメトキシエタン、(R,R)−1,2−ビス(o−トリメチルシリルフェニル)−1,2−ジメトキシエタン、(R,R)−1,2−ビス(o−トルイルオキシ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(p−メトキシフェノキシ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(o−メトキシフェノキシ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(メトキシエトキシ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(o−ジメチルアミノフェノキシ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−(o−トルイルオキシ)−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−(o−メトキシフェノキシ)−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−(p−メトキシフェノキシ)−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−(メトキシエトキシ)−エタン、(R,R)−1−(o−ジメチルアミノフェノキシ)−1,2−ジフェニル−2−メトキシエタン、(R)−2−メトキシ−1−o−メトキシフェノキシ−1−フェニルエタン、(R)−1−メトキシ−2−o−メトキシフェノキシ−1−フェニルエタン、(R,R)−1−メトキシ−2−o−メトキシフェノキシ−1−メチル−2−フェニルエタン、(R,R)−1,2−ジメトキシ−1−メチル−2−フェニルエタン、(R,R)−1−シクロヘキシルオキシ−1,2−ジフェニル−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ジメトキシ−シクロブタン、(R,R)−1,2−ジメトキシ−シクロペンタン、(R,R)−1,2−ジメトキシ−シクロヘキサン、(R,R)−2,2’−ビテトラヒドロフリルと上記全化合物の対応する鏡像体等が挙げられる。
【0034】
上記光学活性化合物の他の具体的な例としては、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジエチルアミノ)−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジ−t−ブチルアミノ)−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジシクロヘキシルアミノ)−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジフェニルアミノ)−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1,2−ジエチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1,2−ジイソプロピルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1,2−ジ−t−ブチルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1,2−ジシクロヘキシルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジエチルアミノ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジ−t−ブチルアミノ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジシクロヘキシルアミノ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジフェニルアミノ)−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(p−クロロフェニル)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−エタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1,2−ビス(o−トリメチルシリルフェニル)−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1,2−ジ−(N−ピロリル)−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1,2−ジ−(N−ピロリジル)−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1,2−ジ−(N−ピリジル)−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1,2−ジ−(N−ピペリジル)−エタン、、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−1−メチル−2−フェニルエタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−シクロブタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−シクロペンタン、(R,R)−1,2−ビス(ジメチルアミノ)−シクロヘキサンと上記全化合物の対応する鏡像体等が挙げられる。
【0035】
上記光学活性化合物の更に他の具体的な例としては、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジメチル−2−メトキシエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジメチル−2−エトキシエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジメチル−2−イソプロポキシエタン、(R,R)−1−t−ブトキシ−2−ジメチルアミノ−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1−シクロヘキシルオキシ−2−ジメチルアミノ−1,2−ジメチルエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジメチル−2−フェノキシエタン、(R,R)−1,2−ジエチル−1−ジメチルアミノ−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ジイソプロピル−1−ジメチルアミノ−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ジ−t−ブチル−1−ジメチルアミノ−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ジシクロヘキシル−1−ジメチルアミノ−2−メトキシエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−メトキシエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−エトキシエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−イソプロポキシエタン、(R,R)−1−t−ブトキシ−2−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1−シクロヘキシルオキシ−2−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニルエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−フェノキシエタン、(R,R)−1−ジエチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−メトキシエタン、(R,R)−1−ジイソプロピルアミノ−1,2−ジフェニル−2−メトキシエタン、(R,R)−1−ジ−t−ブチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−メトキシエタン、(R,R)−1−ジシクロヘキシルアミノ−1,2−ジフェニル−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−ジフェニルアミノ−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ビス(p−クロロフェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ビス(o−トリメチルシリルフェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メトキシエタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−N−ピロリル−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−N−ピロリジル−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−N−ピリジル−エタン、(R,R)−1,2−ジフェニル−1−メトキシ−2−N−ピペリジル−エタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1−メチル−2−メトキシ−2−フェニルエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−2−メトキシシクロブタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−2−メトキシシクロペンタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−2−メトキシシクロヘキサン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−p−メトキシフェノキシ−エタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−o−メトキシフェノキシ−エタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−o−トルイルオキシ−エタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−1,2−ジフェニル−2−メトキシエトキシ−エタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−2−o−ジメチルアミノフェノキシ−1,2−ジフェニルエタン、(R)−2−ジメチルアミノ−1−o−メトキシフェノキシ−1−フェニルエタン、(R)−1−ジメチルアミノ−2−o−メトキシフェノキシ−1−フェニルエタン、(R,R)−1−ジメチルアミノ−2−o−メトキシフェノキシ−1−メチル−2−フェニルエタン、(R,R)−2−(ジメチルアミノフェニルメチル)−テトラヒドロフランと上記全化合物の対応する鏡像体等が挙げられる。
【0036】
上記光学活性化合物の更にまた別の例としては、光学活性含酸素化合物または光学活性含窒素化合物が使用される。
【0037】
上記化合物の具体的な例としては、(−)−スパルテイン、(R)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、(S)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、(R)−3,3’−ビス(トリメチルシリル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、(S)−3,3’−ビス(トリメチルシリル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、(R)−3,3’−ビス(メトキシプロピル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、(S)−3,3’−ビス(メトキシプロピル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、(R,R)−2,2−ビス(2−メチル−1,3−オキサゾリニル)プロパン、(S,S)−2,2−ビス(2−メチル−1,3−オキサゾリニル)プロパン、(R,R)−2,2−ビス(2−イソプロピル−1,3−オキサゾリニル)プロパン、(S,S)−2,2−ビス(2−イソプロピル−1,3−オキサゾリニル)プロパン等が挙げられる。
【0038】
本発明で用いられる求電子試薬としてはが周期表1族および3族から14族の元素の化合物が使用される。
【0039】
上記求電子試薬の具体的な例としては、周期表1族の元素の化合物が使用され、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸などが挙げられる。
【0040】
上記求電子試薬の別の例としては、周期表3族から13族の元素の化合物が使用され、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四塩化チタン、三塩化チタン、四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウム、三塩化クロム、四塩化モリブデン、三塩化バナジウム、四塩化バナジウム、三ヨウ化バナジウム、四フッ化バナジウム、四塩化ニオブ、四塩化タンタル、三塩化セリウム、四塩化トリウム、四塩化ウラン、二塩化鉄、三塩化ルテニウム、二塩化コバルト、二塩化亜鉛、二塩化マンガンが挙げられる。
【0041】
上記求電子試薬の更に別の例としては、周期表14族の化合物が使用される。
【0042】
上述の周期表14族の化合物は、例えば少なくとも1つの脱離基を含有する炭素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物が使用される。
【0043】
上述の脱離基の例としてはハロゲン原子、無置換または置換されていてもよいアルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0044】
上記炭素化合物の具体的な例としては、クロロメタン、ブロモメタン、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジブロモエタン、2,2−ジクロロプロパン、2,2−ジブロモプロパン等が挙げられる。
【0045】
上記ケイ素化合物とゲルマニウム化合物の例としては、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、フェニルトリブロモシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロ−ジ−n−プロピルシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジクロロジシクロプロピルシラン、ジクロロジシクロヘキシルシラン、ジクロロジフェニルシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジクロロシラン、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ジクロロシラン、ジクロロメチルフェニルシラン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロブタン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロペンタン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロヘキサン、1,1−ジクロロ−2,3,4,5−テトラメチル−1−シラシクロペンタ−2,4−ジエン、ジブロモジメチルシラン、ジブロモジエチルシラン、ジブロモ−ジ−n−プロピルシラン、ジブロモ−ジ−t−ブチルシラン、ジブロモジシクロプロピルシラン、ジブロモジシクロヘキシルシラン、ジブロモジフェニルシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジブロモシラン、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ジブロモシラン、ジブロモメチルフェニルシラン、1,1−ジブロモ−1−シラシクロブタン、1,1−ジブロモ−1−シラシクロペンタン、1,1−ジブロモ−1−シラシクロヘキサン、1,1−ジブロモ−2,3,4,5−テトラメチル−1−シラシクロペンタ−2,4−ジエン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロトリフェニルシラン、t−ブチルクロロジメチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、ブロモトリメチルシラン、ブロモトリエチルシラン、ブロモトリフェニルシラン、ブロモ−t−ブチルジメチルシラン、ブロモジメチルフェニルシラン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、t−ブチル−ジメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、ジエチルイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルノナフルオロ−1−ブタンスルフォネート、ジイソプロピルシリルビス(トリフルオロメタンスルフォネート)、ジ−t−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルフォネート)、トリメチルシリルメタンスルフォネート、トリメチルシリルベンゼンスルフォネート、ジメチルシリルビス(トリフルオロメタンスルフォネート)、トリメチルシリル−p−トルエンスルフォネート等のケイ素化合物または対応するゲルマニウム化合物が挙げられる。
【0046】
上記スズ化合物の例としては、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、ジフェニルスズジクロライド、ジクロロスズ、ジブロモスズが挙げられる。
【0047】
上記求電子試薬として架橋剤を用いれば、2つのシクロペンタジエニル誘導体を結合することができ、架橋光学活性シクロペンタジエニル誘導体を得ることができる。
【0048】
上記架橋剤は分子内に2つ以上の脱離基を持つ炭素、ケイ素もしくはゲルマニウム化合物である。
【0049】
上記炭素化合物の具体的な例としては、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジブロモエタン、2,2−ジクロロプロパン、2,2−ジブロモプロパン等が挙げられる。
【0050】
上記ケイ素化合物とゲルマニウム化合物の具体的な例としては、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロ−ジ−n−プロピルシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジクロロジシクロプロピルシラン、ジクロロジシクロヘキシルシラン、ジクロロジフェニルシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジクロロシラン、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ジクロロシラン、ジクロロメチルフェニルシラン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロブタン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロペンタン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロヘキサン、1,1−ジクロロ−2,3,4,5−テトラメチル−1−シラシクロペンタ−2,4−ジエン、ジブロモジメチルシラン、ジブロモジエチルシラン、ジブロモ−ジ−n−プロピルシラン、ジブロモ−ジ−t−ブチルシラン、ジブロモジシクロプロピルシラン、ジブロモジシクロヘキシルシラン、ジブロモジフェニルシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジブロモシラン、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ジブロモシラン、ジブロモメチルフェニルシラン、1,1−ジブロモ−1−シラシクロブタン、1,1−ジブロモ−1−シラシクロペンタン、1,1−ジブロモ−1−シラシクロヘキサン、1,1−ジブロモ−2,3,4,5−テトラメチル−1−シラシクロペンタ−2,4−ジエン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、ジイソプロピルシリルビス(トリフルオロメタンスルフォネート)、ジ−t−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルフォネート)、ジメチルシリルビス(トリフルオロメタンスルフォネート)等のケイ素化合物または対応するゲルマニウム化合物が挙げられる。
【0051】
本発明は(i)光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物存在下、シクロペンタジエニル誘導体と炭素求核剤とを反応させ、(ii)得られる光学活性シクロペンタジエニルアニオンと求電子試薬とを反応させることにより実施される。
【0052】
先ず(i)の段階について説明する。
【0053】
反応溶媒は、上記の反応に実質的に不活性であれば特に制限はない。反応溶媒の具体例としては、石油エーテル、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒およびこれらの溶媒の任意の組み合わせによる混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中で好ましくはトルエンが用いられる。
【0054】
炭素求核剤の使用量は、シクロペンタジエニル誘導体1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは0.5〜2モル、更に好ましくは0.9〜1.2モルである。
【0055】
光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物の使用量は炭素求核剤1モルに対して0.001〜5モル、好ましくは0.1〜1モルである。
【0056】
各成分の接触手段は特に制限はなく、合目的である限りいかなる手段もとることができる。例えばシクロペンタジエニル誘導体と光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物の反応溶媒溶液に炭素求核剤を添加する方法が実施される。このとき添加する炭素求核剤は反応に不活性な溶媒で希釈することもできる。
【0057】
上述の接触手段の別な例としては、炭素求核剤と光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物の反応溶媒溶液にシクロペンタジエニル誘導体を添加する方法が実施される。
【0058】
上述の接触手段の別な例としては、光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物の反応溶媒溶液にシクロペンタジエニル誘導体と炭素求核剤を同時に添加する方法が実施される。
【0059】
上述の接触手段の更に別な例としては、炭素求核剤と光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物とシクロペンタジエニル誘導体との反応溶媒溶液を反応が進行しない、もしくは充分遅く進行する温度下で調整し、反応混合物を該反応温度まで加熱し、反応を開始する方法が実施される。
【0060】
反応温度は通常−100℃から使用する溶媒の沸点までで選択されるが、好ましくは−70℃〜100℃、更に好ましくは−60℃〜30℃である。反応時間は5分〜500時間、好ましくは30分から200時間である。反応圧力は特に制限されないが通常は常圧とされる。反応雰囲気は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0061】
次に(ii)の段階について説明する。
【0062】
反応溶媒は、前記の反応に実質的に不活性であれば特に制限はない。反応溶媒の具体例としては、石油エーテル、ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒およびこれらの溶媒の任意の組み合わせによる混合溶媒が挙げられる。
【0063】
求電子試薬の使用量はシクロペンタジエン誘導体1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは0.2〜5モルである。
【0064】
各成分の接触手段は特に制限はなく、合目的である限りいかなる手段もとることができる。例えば前記(i)段階の反応液に、求電子試薬を添加する方法や求電子試薬の反応溶媒溶液に(i)段階の反応液を添加する方法が実施される。求電子試薬との接触については反応をより効率的に行うために触媒を使用してもよい。
【0065】
反応温度は通常−100℃から使用する溶媒の沸点までで選択されるが、好ましくは−20℃〜100℃、更に好ましくは−10℃〜80℃である。反応時間は5分〜10時間、好ましくは10分から3時間である。反応圧力は特に制限されないが通常は常圧とされる。反応雰囲気は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0066】
上記反応で得られた光学活性シクロペンタジエニル誘導体は更に別の反応に供することができる。例えば光学活性シクロペンタジエニル誘導体とプロトン引き抜き剤とを反応させ、得られるシクロペンタジエニルアニオンと求電子試薬とを反応させ新たなシクロペンタジエニル誘導体を生成することができる。この場合、光学活性シクロペンタジエニル誘導体はカラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留等により精製してもよいし、そのまま用いてもよい。
【0067】
上述の求電子試薬としては周期表3族〜14族の元素化合物が使用される。
【0068】
上記求電子試薬の具体的な例は前述した求電子試薬と同様の化合物が挙げられる。
【0069】
上記求電子試薬として、特に、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四塩化チタン、四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウム、二塩化鉄等を用いれば光学活性メタロセンを得ることができる。
【0070】
上記求電子試薬として、周期表14族の元素化合物として架橋剤を用いれば、2つのシクロペンタジエニル誘導体を結合することができ、架橋光学活性シクロペンタジエニル誘導体を得ることができる。
【0071】
上記架橋剤の具体的な例は前述した求電子試薬の架橋剤と同様の化合物が挙げられる。
【0072】
前述あるいは上述の反応で得られたいずれの光学活性シクロペンタジエニル化合物も更に別の反応に供することができる。例えば架橋光学活性シクロペンタジエニル誘導体とプロトン引抜剤とを反応させ、得られる架橋シクロペンタジエニルアニオンと周期表3族〜13族の元素化合物、特に好ましくは周期表4族〜6族の元素化合物とを反応させることによって、一般式(5)に示す架橋光学活性アズレニル化合物を配位子とするような架橋光学活性メタロセンを生成することができる。この場合、架橋光学活性シクロペンタジエニル誘導体はカラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留等により精製してもよいし、そのまま用いてもよい。
【0073】
【化10】
Figure 0003792463
【0074】
(式中、*は不斉炭素を示し、R3、R4、R5、R13、R14、R15、R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、R7はR5、R6とは異なる、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、Eは炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、もしくは炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、シリレン基、オリゴシリレン基、ゲルミル基、ゲルミレン基、またはオリゴゲルミレン基を示し、Mは無置換または置換された周期表3族から13族の元素を示す)
上記周期表3族〜13族の元素化合物の具体的な例としては、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四塩化チタン、四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウム、二塩化鉄等が挙げられる。
【0075】
上記反応で得られる架橋光学活性メタロセンは配位子のシクロペンタジエン環に直接結合した炭素が光学活性であるために、光学活性でない配位子を使用した場合に比べてラセミ体/メソ体比が大きい特徴を持つ。
【0076】
架橋光学活性メタロセンのラセミ体/メソ体混合物から、再結晶等の操作により、所望のラセミ体またはメソ体のみを単離できる。
【0077】
本発明の方法で製造された光学活性架橋メタロセンを重合用触媒として用いて、α−オレフィンを重合することができる。溶媒を用いる溶液重合に適用されるのはもちろんであるが、実質的に溶媒を用いない液相無溶媒重合、気相重合、溶融重合にも適用される。また、連続重合、回分式重合いずれにも適用される。
【0078】
溶媒重合の場合の溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素の単独あるいは混合物が用いられる。
【0079】
重合温度は−78〜200℃程度、好ましくは−20〜100℃である。反応系のオレフィン圧には特に制限がないが、好ましくは常圧〜50kg/cm2・Gの範囲である。
【0080】
重合に際しては公知の手段、例えば温度、圧力の選定あるいは水素の導入により分子量調節を行うことができる。
【0081】
本発明におけるメタロセン化合物を用いて重合するα−オレフィン(エチレンも包含する)は炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィンである。
【0082】
具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等、また好ましくは3〜10のα−オレフィンで、特に好ましくはプロピレンである。これらのα−オレフィンは2種以上混合して重合に供することができる。
【0083】
本発明におけるメタロセン化合物を用いて重合する場合、上記α−オレフィンとエチレンとの共重合も可能である。さらには、上記α−オレフィンと共重合可能な他の単量体、例えばブタジエン、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等のような共役および非共役ジエン類、またはシクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等のような環状オレフィンの共重合にも有効である。
【0084】
また、本発明におけるメタロセン化合物を用いて重合する際には助触媒として、例えばアルミニウムオキシ化合物(メチルアルモキサン等)、粘土鉱物(モンモリロナイト、雲母等)、メタロセン化合物をカチオンに変換することが可能な化合物、例えばルイス酸(トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリエチルアルミニウム等)、イオン性化合物(N,N−ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等)と組み合わせて使用される。
【0085】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0086】
全ての反応は窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施した。全ての溶媒は予め脱水したものを用いた。
【0087】
以下の例中の収率とは特記しない限り全ての異性体の合計収率である。光学純度は主生成物の光学活性体について、光学活性カラムを使用した高速液体クロマトグラフィーにより算出した。
【0088】
実施例1
次の操作によって図1に示す反応式[1]の合成を行った。
【0089】
2−メチルアズレン(100mg,0.70mmol)と(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン(187mg,0.77mmol)とのトルエン(5mL)溶液に−78℃でフェニルリチウムシクロヘキサン−ジエチルエーテル溶液(0.86M,830μL,0.71mmol)を加え、−45℃で56時間攪拌した。溶媒を留去した後、テトラヒドロフラン(5mL)と[RhCl(cod)]2(cod=1,5−シクロオクタジエン)(173mg,0.70mmol/Rh)とを加え、室温で11時間攪拌した。溶媒を留去し、アルミナカラムで精製し、2−メチル−4−フェニルアズレニルロジウム(シクロオクタジエン)を得た。収率78%、exo/endo=27/1、exo体の光学純度は43%eeであった。
【0090】
実施例2
実施例1の反応式1に示した反応を行った。
【0091】
2−メチルアズレン(50mg,0.35mmol)と(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン(17mg,0.07mmol)とのトルエン(3mL)溶液に−78℃でフェニルリチウムシクロヘキサン−ジエチルエーテル溶液(0.86M,415μL,0.36mmol)を加え、−45℃に昇温で54時間攪拌した。溶媒を留去した後、テトラヒドロフラン(3mL)と[RhCl(cod)]2(86mg,0.36mmol/Rh)とを加え、室温で11時間攪拌した。溶媒を留去し、アルミナカラムで精製し、2−メチル−4−フェニルアズレニルロジウム(シクロオクタジエン)を得た。収率67%、exo/end=27/1、exo体の光学純度は38%eeであった。
【0092】
実施例3
図2に示す反応式[2]の反応を行った。
【0093】
2−メチルアズレン(100mg,0.70mmol)と(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン(187mg,0.77mmol)とのトルエン(5mL)溶液に−78℃でフェニルリチウムシクロヘキサン−ジエチルエーテル溶液(0.86M,825μL,0.71mmol)を加え、−45℃で44時間攪拌した。溶媒を留去した後、テトラヒドロフラン(5mL)と二塩化鉄(44mg,0.35mmol)とを加え、還流下で1時間攪拌した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムで精製し、ビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)アイアンを得た。収率93%、dl(exo−exo)体選択率65%、dl(exo−exo)体の光学純度は73%eeであった。
【0094】
実施例4
(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタンの代わりに(−)−スパルテイン(180mg,0.77mmol)を用い、−45℃での反応時間を8時間とした以外は実施例3と同様に反応を行い、ビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)アイアンを得た。収率85%、dl(exo−exo)体選択率54%、dl(exo−exo)体の光学純度は25%eeであった。
【0095】
実施例5
(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタンの代わりに(R)−3,3’−ビス(トリメチルシリル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル(353mg,0.77mmol)を用い、−45℃での反応時間を182時間とした以外は実施例3と同様に反応を行い、ビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)アイアンを得た。収率82%、dl(exo−exo)体選択率57%、dl(exo−exo)体の光学純度は47%eeであった。
【0096】
実施例6
フェニルリチウムの代わりに2−ナフチルリチウム(0.71mmol)を用い、−45℃での反応時間を30時間とした以外は実施例1と同様に実験を行い、2−メチル−4−(2−ナフチル)−アズレニルロジウム(シクロオクタジエン)を得た。収率47%、exo/endo=>30/1、exo体の光学純度は36%eeであった。
【0097】
実施例7
フェニルリチウムの代わりに1−ナフチルリチウム(0.71mmol)を用い、−45℃での反応時間を42時間とした以外は実施例1と同様に実験を行い、2−メチル−4−(1−ナフチル)−アズレニルロジウム(シクロオクタジエン)を得た。収率66%、exo/endo=>30/1、exo体の光学純度は38%eeであった。
【0098】
実施例8
フェニルリチウムの代わりにo−メチルフェニルリチウム(0.71mmol)を用い、−45℃での反応時間を110時間とした以外は実施例1と同様に実験を行い、2−メチル−4−(o−トリル)−アズレニルロジウム(シクロオクタジエン)を得た。収率38%、endo体は生成しなかった。exo選択率>98%、exo体の光学純度は33%eeであった。
【0099】
実施例9
2−メチルアズレンの代わりに6−シクロヘキシル−6−メチルフルベン(0.70mmol)、−45℃での反応時間を90時間とした以外は実施例1と同様に実験を行い、1−シクロヘキシル−1−フェニルエチルシクロペンタジエニルロジウム(シクロオクタジエン)を得た。収率28%、光学純度は9%eeであった。
【0100】
実施例10
図3に示す反応式[3]の反応を行った。
【0101】
p−クロロフェニルリチウム(7.2mmol)と(R,R)−1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン(1866g,7.7mmol)とのトルエン(50mL)溶液に−45℃で2−メチルアズレン(995mg,7.0mmol)を加え、−45℃で48時間攪拌した。反応液にN−メチルイミダゾール(0.07mmol)とジクロロジメチルシラン(3.5mmol)とを加え、0℃まで徐々に昇温した後、0℃で1.5時間攪拌した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムで精製し、ビス(4−p−クロロフェニル−2−メチル−1,4−ジヒドロアズレニル)ジメチルシランを得た。収率52%、dl(exo−exo)体選択率47%、dl(exo−exo)体の光学純度は68%eeであった。
【0102】
実施例11
実施例10で得たビス(4−p−クロロフェニル−2−メチル−1,4−ジヒドロアズレニル)ジメチルシラン(1000mg,1.77mmol)のジイソプロピルエーテル(3.9mL)溶液に5℃でn−ブチルリチウムn−ヘキサン溶液(1.57M,2.25mL,3.54mmol)を加え、30分攪拌した。トルエン(7.6mL)とテトラヒドロフラン(0.29mL,3,54mmol)を加え、−10℃で更に四塩化ジルコニウム(402mg,1.72mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液を濃縮し、析出した固体をG4フリットで濾取し、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−p−クロロフェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収率30%、ラセミ体/メソ体=2.92。
【0103】
比較例1
p−クロロフェニルリチウム(100mmol)のn−ヘキサン(100mL)−ジイソプロピルエーテル(100mL)溶液に15℃で2−メチルアズレン(13.9g,98mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液をデカンテーションした後、n−ヘキサン(200mL)とテトラヒドロフラン(100mL)とを加え、更に0℃でN−メチルイミダゾール(0.98mmol)とジクロロジメチルシラン(49mmol)とを加え、0℃で1時間攪拌した。溶媒を留去し、ビス(4−p−クロロフェニル−2−メチル−1,4−ジヒドロアズレニル)ジメチルシランを得た。収率87%。
【0104】
比較例2
比較例1で得たビス(4−p−クロロフェニル−2−メチル−1,4−ジヒドロアズレニル)ジメチルシランを使用した以外は実施例11と同様に反応を行い、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−p−クロロフェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリドを得た。収率28%、ラセミ体/メソ体=1.98/1。
【0105】
【発明の効果】
本発明の方法を用いれば触媒や医薬中間体として有用な光学活性シクロペンタジエニル誘導体を製造することができる。本発明の方法で製造された架橋光学活性シクロペンタジエニル誘導体を配位子として製造した架橋光学活性メタロセンは、シクロペンタジエン環に直接結合した炭素が光学活性であるために、光学活性でない配位子を使用した場合に比べてラセミ体/メソ体が大きい特徴を持つ実用性の高いシクロペンタジエニル化合物およびそのメタロセンをえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の反応を示す説明図
【図2】実施例3の反応を示す説明図
【図3】実施例10の反応を示す説明図

Claims (12)

  1. 光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物の共存下に下記一般式(1)で表されるシクロペンタジエニル誘導体と炭素求核剤とを反応させて光学活性シクロペンタジエニルアニオンを生成せしめ、得られた光学活性シクロペンタジエニルアニオンを求電子試薬と反応せしめて下記一般式(2)で表される光学活性シクロペンタジエニル化合物を得ることを特徴とする光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
    Figure 0003792463
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに結合して環を形成していてもよく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示す)
    Figure 0003792463
    (式中、*は不斉炭素を示し、R 1、R2、R3、R4、R5、R6は、前記一般式(1)と同じ意味を表し、R7はR5、R6とは異なる、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基、または炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、Eは水素原子、無置換もしくは置換された周期表3族から14族の元素、炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、もしくは炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、シリレン基、オリゴシリレン基、ゲルミル基、ゲルミレン基、またはオリゴゲルミレン基を示し、mは1または2の整数を示す)
  2. 求電子試薬が、少なくとも2つの脱離基を有する炭素、ケイ素またはゲルマニウムの化合物であり、2つのシクロペンタジエニル環を架橋する請求項1記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  3. 求電子試薬が、四塩化ジルコニウム、四塩化ハフニウム、二塩化鉄、四塩化チタンおよびジクロロジメチルシランから選ばれた化合物からなる請求項1又は2記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  4. 求電子試薬が、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸および酢酸からなる群から選ばれる化合物である、請求項1記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  5. シクロペンタジエニル誘導体がアズレン誘導体である請求項1〜4のいずれかに記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  6. 光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物が、アルコキシ基、アリールオキシ基およびアミノ基から選ばれた基を合計で2個以上含有する請求項 〜5のいずれかに記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  7. 光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
    Figure 0003792463
    (式中、*は不斉炭素を示し、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立してOR10またはNR1112を示し、R8、R9、R10、R11、R12は互いに結合して環を形成していてもよく、それぞれ独立して、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜10の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜10の窒素含有炭化水素基、または炭素数1〜10のハロゲン含有炭化水素基を示す)
  8. 光学活性含酸素化合物が、置換されていてもよい2,2’−ジアルコキシ−1,1’−ビナフチルまたは2,2’−ジアリールオキシ−1,1’−ビナフチルである請求項6に記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  9. 光学活性含酸素化合物もしくは光学活性含窒素化合物が、1,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン、(−)−スパルテイン、2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチルまたは3,3’−ビストリメチルシリル−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチルから選ばれた化合物である請求項6に記載の光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  10. 請求項4記載の方法で得られた光学活性シクロペンタジエニル化合物を、炭素もしくはケイ素含有基により架橋することにより架橋光学活性シクロペンタジエニル化合物を得ることを特徴とする光学活性シクロペンタジエニル化合物の製造方法。
  11. 請求項2または請求項10で得られた架橋光学活性シクロペンタジエニル化合物を、更にプロトン引抜剤と反応させ、得られた架橋光学活性シクロペンタジエニルジアニオンを周期表3族から13族の元素の化合物と反応させることによってメタロ化することを特徴とする架橋光学活性メタロセンの製造方法。
  12. 請求項11記載の方法で得られた架橋光学活性メタロセンを重合用触媒としてα−オレフィンを重合することを特徴とするα−オレフィンの重合方法。
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