JP3791870B2 - 表面実装型電磁発音体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁石で振動板を振動させることにより音を発生させる電磁発音体に関するものであり、特に、複数の磁石を使用すると共にその磁石の間の空間で表面実装用端子とコイルとを接続する構造を有するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の表面実装型電磁発音体は、図5乃至図8に示すような構造からなるものがあった。即ち、図5及び図6に示す表面実装型電磁発音体においては、中央のヨーク2に取り付けられたコイル4の周囲にリング状の磁石6を配置し、この磁石6の周囲に振動板8を支持する振動板支持枠10を配置したものであり、磁石6と振動板支持枠10の下を通してそれらの外側にコイル4の端末4a、4bを引出して、電極12、14の各接続部12a、14aに半田付けされていた。
【0003】
また、図7及び図8に示す表面実装型電磁発音体においては、一部に切欠部16aを有する平面形状が略C形状をなす磁石16を使用しており、この磁石16の切欠部16a内に電極12、14の接続部12a、14aを引出し、これにコイル4の端末4a、4bを半田付けするものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図5及び図6に示すような上記従来の表面実装型電磁発音体においては、コイル4の端末4a、4bと電極12、14の接続部12a、14aとを、磁石6の外側のスペースで接続していたため、この接続スペース分だけケース18が大きくなり、小型化が難しいという課題があった。
【0005】
また、図7及び図8に示す表面実装型電磁発音体においては、磁石16の切欠部16a内でコイル4の端末4a、4bと電極12、14の接続部12a、14aとを接続していたので、図5に示す構造のものに比べて小型化を図ることができるものであった。しかしながら、略C形状の磁石16を用いた場合、その一部に切欠部16aがあってリング状の磁石に比べて磁気回路特性のバランスが僅かに悪いため、電磁発音体の重要特性である周波数特性や音圧レベル等には全く影響を及ぼさない程微々たるものではあるが、振動板8が異常振動を起こすことがあった。特に、切欠部16a内で、2本のコイルの端末を2つの電極の接続部に半田付けすることが必要であるため、2つの接続箇所が必要であると共に半田付作業が可能なスペースが必要であり、切欠部16aを狭めることが難しく、磁気回路特性のバランスを向上させることが難しいという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、大型化することなくコイルの端末と表面実装用の電極との接続部分を確保し、且つ振動板の異常振動の発生がなく更なる性能の向上を図ることができる表面実装型電磁発音体を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の表面実装型電位発音体は、ケースと、該ケース内に収納されるヨークと、該ヨークに取り付けられるコイルと、該コイルの周囲にリング状に配置され、該リングの周上に複数の空間が形成される磁石と、前記ヨークに対向配置される振動板と、前記ケースに一体的に固定され、前記ケースの外部に引き出された接合部と前記複数の空間内にそれぞれ引き出され前記コイルの複数の端末が異なる空間内でそれぞれ接続される接続部とを有する表面実装用の電極と、からなるものである。
【0008】
また、この表面実装型電磁発音体における前記複数の空間は、リングの周上において対称な位置に形成されているものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の表面実装型電磁発音体におけるコイルの端末と電極の接続部は、複数の磁石の間において接続されている。即ち、コイルの周囲には複数の磁石がリング状に配置されており、その磁石の間に形成される空間内に表面実装用の電極の接続部を引出し、この接続部にコイルの端末を接続している。従って、磁石や振動板支持枠とコイルの端末とが重ならず、また、コイルの端末と電極の接続部が磁石の配置スペース内に収められるので、この接続部分を配設するスペースを磁石や振動板支持枠の外側に設ける必要がなくなり、超薄型かつ小型化が可能である。
【0010】
また、複数の磁石をバランス良く配置することにより、振動板の異常振動の発生を防ぐことができ、性能の向上を図ることができる。
【0011】
更に、コイルの2本の端末にそれぞれ対応する電極の接続部を、磁石の間の異なる空間内にそれぞれ引き出して各端末に接続しているので、各空間、即ち磁石の間隔を極力狭めることができ、磁石の磁気回路特性のバランスを良くすることができる。
【0012】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係る表面実装型電磁発音体の構造を示す上ケースと振動板を取り除いた状態の平面図、図2は図1に示す表面実装型電磁発音体のA−A断面図である。図中、20はプラスチック製のケースである。本実施例におけるケース20は、平面形状が矩形をなす箱状の外形を有し、上ケース20aと下ケース20bとから構成されている。
【0013】
22はヨークであり、下ケース20bの中央に適合する円板状の磁気回路板22aとその中心より立ち上がるセンターポール部22bとから構成されている。
【0014】
24はヨーク22のセンターポール部22bの外周に取り付けられるリング状のコイルである。このコイル24からは第1及び第2の端末24a、24bが相反する方向に引き出されている。
【0015】
26はリング状に配置された複数の磁石であり、本実施例においてはリングを半分に切断したような形状をなす第1及び第2の磁石26a、26bで構成されている。この第1及び第2の磁石26a、26bは、コイル24の周囲で且つヨーク22の磁気回路板22aの外周に沿うようにリング状に配置されると共に接着剤等で固定されている。また、この第1及び第2の磁石26a、26bの間には一定の間隔があけられており、コイル24の第1及び第2の端末24a、24bと後述する電極との接続を行うための第1及び第2の空間S1、S2が形成されている。
【0016】
28は中央にオモリ28aが取り付けられた振動板であり、30はこの振動板28の外周を支持し且つ磁石26の周囲に設けられたリング状の振動板支持枠である。
【0017】
32、34はリードフレーム等からなる表面実装用の第1及び第2電極であり、36、38はダミー電極である。この第1及び第2の電極32、34とダミー電極36、38は、下ケース20bの四隅にそれぞれインサート成形されている。第1及び第2の電極32、34は、それぞれその一方の端部が下ケース20bの外部に引き出されて接合部32a、34aを形成しており、他方の端部がそれぞれ第1及び第2の空間S1、S2内に引き出されて接続部32b、34bを形成している。
【0018】
上記構成からなる本実施例の表面実装型電磁発音体においては、図1において下ケース20b内の図中上下端に第1及び第2の空間S1、S2が形成されており、この第1及び第2の空間S1、S2のそれぞれにおいて、コイル24の第1の端末24aが第1の電極32の接続部32bに半田付けされて接続され、また第2の端末24bが第2の電極34の接続部34bに半田付けされて接続されている。
【0019】
このように、第1及び第2の磁石26a、26bの間に形成された第1及び第2の空間S1、S2にてコイル24の第1及び第2の端末24a、24bを第1及び第2の電極32、34の接続部32b、34bに接続することにより、この接続部分を磁石26の配置領域内に収めることができる。また、コイル24の第1及び第2の端末24a、24bを、各空間S1、S2にてそれぞれ1本ずつ第1及び第2の電極32、34の接続部32b、34bに接続しているので、第1及び第2の空間S1、S2を最小限に留めることができる。
【0020】
また、本実施例における第1及び第2の磁石26a、26bは、第1及び第2の空間S1、S2が対称な位置関係になるように位置付けられているため、磁石26の磁気回路特性のバランスが良く、振動板28の異常振動の発生を防ぐことができる。
【0021】
本実施例における磁石26は、第1及び第2の磁石26a、26bの2つで構成されていたが、図3及び図4に示すように、リングを3分割した第1、第2及び第3の磁石26a、26b、26cで構成したり、あるいはリングを4分割した第1、第2、第3及び第4の磁石26a、26b、26c、26d等で構成することもでき、その数は任意に変更可能なものである。但し、各磁石の間に形成される空間を、それぞれ対称位置に形成するか、あるいは磁石で形成するリングの周上に均等な間隔をもって形成することが磁気回路特性のバランスを保つために必要であり、このようなバランスを保ちつつ第1及び第2の電極32、34との最良な位置関係に設定することが望ましい。
【0022】
また、本実施例においては、磁石26をヨーク22に接着剤で固着しているが、その際の位置決めを目的として、磁石26の形状に一致する僅かな凹部をヨーク22等に形成しておくことにより、迅速かつ確実に位置決めすることができる。更に、簡単な位置決め治具を用いて磁石26を位置決めし、固着することも可能である。
【0023】
また、本実施例における磁石26は、リング状の磁石やC形状の磁石に比べて形状加工が容易なものであるため、成形でもプレスでも形状加工することが可能なものとなっている。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の磁石の間の空間内において、コイルの端末と表面実装用の電極の接続部とを接続しているので、磁石や振動板支持枠とコイルの端末やその接続部分が重ならず、超小型かつ薄型の表面実装型電磁発音体を提供することができる。
【0025】
また、本発明においては、コイルの端末を1本ずつ別個の空間内で接続しているので、磁石の間隔を最小限に留めることができ、磁石の間に空間を設けることによる大型化を防ぐことができる。
【0026】
更に、本発明における磁石の間の空間は、対称位置あるいは均等な間隔に配置されているので、磁石の磁気回路特性のバランスを良好に保つことができ、振動板の異常振動の発生を防ぐことができる。
【0027】
また、磁石の間の空間を様々な位置に移動して形成することができるので、電極の引回しを任意に設定及び変更することが可能となり、電極やダミー電極の位置を自由に設定かつ変更することができる。
【0028】
更にまた、磁石の形状が形成容易であると共に、自動供給機での選別がし易い形状であり、量産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る表面実装型電磁発音体の構造を示す上ケースと振動板を取り除いた状態の平面図である。
【図2】図1に示す表面実装型電磁発音体のA−A断面図である。
【図3】図1に示す表面実装型電磁発音体の一部変更例を示す上ケースと振動板を取り除いた状態の平面図である。
【図4】図1に示す表面実装型電磁発音体の一部変更例を示す上ケースと振動板を取り除いた状態の平面図である。
【図5】従来の表面実装型電磁発音体の構造を示す上ケースと振動板を取り除いた状態の平面図である。
【図6】図5に示す表面実装型電磁発音体のB−B断面図である。
【図7】従来の他の表面実装型電磁発音体の構造を示す上ケースと振動板を取り除いた状態の平面図である。
【図8】図7に示す表面実装型電磁発音体のC−C断面図である。
【符号の説明】
2、22 ヨーク
4、24 コイル
6、26 磁石
8、28 振動板
10、30 振動板支持枠
12、14、32、34 電極
12a、14a、32b、34b 接続部
24a、24b 第1及び第2の端末
26a 第1の磁石
26b 第2の磁石
26c 第3の磁石
26d 第4の磁石
S1 第1の空間
S2 第2の空間
Claims (3)
- ケースと、
該ケース内に収納されるヨークと、
該ヨークに取り付けられるコイルと、
該コイルの周囲にリング状に配置され、該リングの周上に複数の空間が形成される磁石と、
前記ヨークに対向配置される振動板と、
前記ケースに一体的に固定され、前記ケースの外部に引き出された接合部と前記複数の空間内にそれぞれ引き出され前記コイルの複数の端末が異なる空間内でそれぞれ接続される接続部とを有する表面実装用の電極と、
からなることを特徴とする表面実装型電磁発音体。 - 前記複数の空間は、リングの周上において対称な位置に形成されている請求項1記載の表面実装型電磁発音体。
- 前記空間が2つ形成され、この2つの空間がリングの周上において対向する位置関係にある請求項2記載の表面実装型電磁発音体。
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