JP3790477B2 - フェーズドアレイアンテナのビーム走査方法及びこのビーム走査方法を用いたレーダ装置 - Google Patents

フェーズドアレイアンテナのビーム走査方法及びこのビーム走査方法を用いたレーダ装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、方位方向及び仰角方向に放射ビームを走査するレーダ装置のビーム走査方法の改良及びこのビーム走査方法を用いたレーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空中線の反射面を方位方向に機械的に回転させて目標を捜索する従来のレーダ装置では、放射ビームは仰角方向には幅広く、方位方向には狭い1本のビームを出力する。したがって、ビームがある目標を横切る回数はアンテナの1回転に対して1回であった。単位時間内に目標をビームが横切る回数(結局は回転速度に比例)をデータレートと言い、これが大きいほど目標の位置情報を精度良く、早く取得することができるので、データレートを高めるための発明が種々なされている。
図16は、データレートを高くするために従来のレーダアンテナの回転を単純に早めると何が問題となるかについて説明するための図である。図において1は空中線(フェーズドアレイアンテナ)、2は空中線1の開口面、5Aは開口面2から放射されるビームの密度状態を示すビームポジションの図、5Bは回転速度を上げたときの開口面2から放射されるビームの密度状態を説明するビームポジションの図である。
【0003】
図16の空中線1は方位方向に機械回転できるものであり、方位方向のビーム走査は機械回転、仰角方向のビーム走査は電子走査によって行われる。理解を助けるため図17にビームを放射するタイミングと、電子走査による仰角の切替え状況とを示す。仰角は図に示すようにステップ状に変化させるがこのステップの幅は1ビームポジションの仰角方向の幅に相当する。
1ビームの発射毎に、ビームの仰角方向の幅に相当する角度づつ仰角を変化させることにより、仰角方向には隙間が生じない状態で走査できる。また、空中線1の方位方向の回転速度の早さも適切に(即ち、1ビームの発射毎にビームの方位方向の幅に相当する角度だけ回転する)調整されているので、通常のデータレートによる捜索時にはビームポジション5Aで示すように、捜索空間に縦、横とも隙間なくビームが放射される。しかし、空中線1の回転速度を上げるとビームポジション5Bで示すように方位方向にビームの隙間が生じ、この隙間にたまたま目標が入ったときには目標を検出することができないので、平均して目標検出率が低下し追尾性能が悪くなってしまうという課題があった。
ビームの隙間について、図18によりさらに詳しく説明する。図18は空中線1から一定の距離にある球面上のビームポジションを一部分拡大して示すものである。図に示すようにビームの隙間はもともと高い仰角では小さく、低い仰角では大きくなるものである。その理由は発射されるビームの幅の角度と上下の角度とは、ビームを発射する仰角の変化によっては変わらないのに、単位時間内に走査される方位方向の距離は仰角が大きくなるほど小さくなるからである。したがつて、回転速度を増加したときに生じるビームの隙間も当然、同じように高い仰角では小さく、低い仰角では大きくなるという性質を持っている。
【0004】
以上、レーダ装置が仰角方向の走査機能を持つ3次元レーダについて説明したが、この説明の内、回転速度を高くすることにより方位方向の隙間が増加する話は2次元レーダの場合であっても同じである。図19は2次元レーダの場合に回転速度を高くしたときの同様の問題の発生を示す図である。即ちデータレートを高くしようとして単純に回転速度を高くすると目標検出率が低下する。
【0005】
高データレートを実現し、しかも目標検出率を低下させないようにするためのレーダ装置として、特開昭58−70181号公報に開示されたものがある。以下、図20、図21により、前記公報に開示されたものと類似のレーダ装置について説明する。図20は放射面(アンテナ)を2面持つものの例であり、図21は放射面を3面持つものの例である。
【0006】
図20、図21のものは複数のアンテナを必要とするので、アンテナ全体の大きさが大きくなると言う問題があるが、この問題はひとまず置いて、その動作について説明する。図20において、31は捜索と追尾を行う電波を上下方向に電子走査しつつ送受信する放射面、32は追尾専用の放射面である。23、24、25は放射面31から発射され上下方向に隣接して配置された捜索ビームを示している。放射面31と放射面32は、それぞれ方位方向に機械回転することにより360°の範囲を捜索できる。
28は追尾ビーム、29は追尾目標である。追尾ビーム28は追尾目標29にビーム走査面(放射面21)が向いた時にビームを追尾目標29に指向させ、送受信を行う。
追尾ビーム28は例えば、追尾目標29をこのレーダ装置が探知した後に追尾する場合、放射面31から捜索ビーム24、25の走査時間の一部を振向けて追尾目標29にビームを指向させて目標の測角を行う。
【0007】
26、27は追尾ビームであり、方位方向に必要な角度分離して形成されている。さらに、目標29の追尾に入った段階では、追尾専用の放射面32が回転し、追尾ビーム26または27の仰角方向の走査面が追尾目標29に向いた時点で、捜索ビーム23、24、25の走査時間を振り向けて追尾目標29の存在する仰角方向へ追尾ビーム26または27を走査し、目標の測角を行う。
上記のとおり、複数個の追尾専用放射面を有し、目標が検出されるまでは高仰角幅を有する捜索ビーム23、24、25により隙間のない捜索を行うが、目標を検出した後は細い(電波強度が強い)複数の追尾ビーム26、27、28などにより、高データレートの走査を行うものである。即ち、1面の回転型空中線によるレーダ装置よりも高いデータレートを得ることができる。
【0008】
このように、図20、図21のものでは、目標を検出した後は、確かに高データレートとすることはできるが、目標検出以前には高データレートでの運用はできない。即ち、目標の検出を高データレートで行うことは結局のところできないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレーダ装置とそのビーム走査方法は以上のように構成されており、回転速度を上げる方法では目標の検出ミスが増加し、また、複数の空中線を用いる方法の場合は、目標検出以前には高データレートで運用できないとか、空中線全体としての寸法、重量が大きくなるため、艦船搭載あるいは車両搭載など、空中線の規模に制約がある場合には設置が困難であるという問題点があった。
【0010】
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、空中線の規模を増大させることなく、目標検出以前から高データレートを実現し、しかも目標の検出ミスを防止できるビーム走査方法およびこのビーム走査方法を用いたレーダ装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明によるフェーズドアレイアンテナのビーム走査方法は、1つのフェーズドアレイアンテナを方位方向に回転させる回転手順と、
前記1つのフェーズドアレイアンテナを2分割し、前記2分割した各分割部から、同じ方位方向幅と同じ仰角方向幅とを持つビームを、同じ方位方向で、互いに前記ビームの仰角方向の幅だけ異なる仰角方向に向けて、それぞれ、同時に放射する縦放射手順と、
前記2つのビームの仰角方向走査において、前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅の2倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行う仰角走査手順と、
前記方位方向の回転速度を1倍以上2倍以下とする回転上昇手順とを含むものである。
【0012】
また、1つのフェーズドアレイアンテナを方位方向に回転させる回転手順と、
前記1つのフェーズドアレイアンテナをn個に分割し、前記n分割した各分割部から、同じ方位方向幅と同じ仰角方向幅とを持つビームを、同じ方位方向で、互いに前記ビームの仰角方向の幅づつ異なる仰角方向に向けて、それぞれ、同時に放射する縦放射手順と、
前記n個のビームの仰角方向走査において、前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅の2倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行う仰角走査手順と、
前記方位方向の回転速度を1倍以上n倍以下とする回転上昇手順とを含むものである。
【0013】
この発明によるレーダ装置は、1つのフェーズドアレイアンテナを方位方向に回転させる回転手段、
前記1つのフェーズドアレイアンテナをn個に分割し、前記n分割した各分割部から、同じ方位方向幅と同じ仰角方向幅とを持つビームを、同じ方位方向で、互いに前記ビームの仰角方向の幅づつ異なる仰角方向に向けて、それぞれ、同時に放射するビーム縦放射手段、
前記n個のビームの仰角方向走査において、前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅の2倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行う仰角走査手段、
前記方位方向の回転速度を1倍以上n倍以下とする回転速度上昇手段を備えたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1のレーダ装置を図により説明する。なお、以下の各図に於いて従来の図に記載のものと同一または相当する部分には同符号を付してその詳細な説明は省略する。図1において、1はフェーズドアレイアンテナ(以下空中線とも言う)であり、その面は2つに分割されている。1Aは空中線1の分割開口面1A、1Bは空中線1の分割開口面1B、6Aは分割開口面1Aから放射されるビームポジション、6Bは分割開口面1Bから放射されるビームポジション、8は分割開口面1Aと1Bから放射される総合ビームポジションである。
【0015】
空中線1は方位方向に図示しない機械式の回転手段により機械的に回転させる(回転手順という)ものであり、方位方向のビーム走査は機械回転、仰角方向のビーム走査は電子走査(仰角走査手段により行う仰角走査手順という)によって行われる。
図1の空中線1は、図13に示した従来のアンテナ1の方位方向の回転速度を2倍にあげるとともに、空中線1の開口面を1A,1Bの2つに分割し、かつ、各開口面から放射される仰角方向のビームポジションの数を半分(図では1個おきに1個省く)にしている。ビームポジション数が1/2になることによって1回の仰角走査時間が短縮されるため、方位方向の回転による走査速度が2倍(2倍以下)に早くなってもビームの方位方向には隙間が発生しない。
【0016】
理解を助けるため、図2に同時に発射される2つのビーム1a,1bの配列を示す。2つのビーム1a,1bは図のように仰角方向に並べて発射される。また、図3にビームを放射するタイミングと、電子走査による仰角方向の切替え状況とを示す。図において、21は分割面1Aの仰角の変化、22(点線)は分割面1Bの仰角の変化を示す。23は分割面1Aのビーム出力タイミング、24は分割面Bのビーム出力タイミングである。仰角は図に示すようにステップ状に変化させるがこのステップの幅は1ビームポジションの仰角方向の幅の2倍に相当する。ビームの仰角方向の幅の2倍に相当する仰角づつ変化させることにより仰角方向には隙間が生じ、ビームポジション6A、6Bで示すように、捜索空間に縦方向だけ隙間が生じたビームが放射される。この隙間はビームポジション6A、6Bが互いに埋め合うように(図2に示したように)1ビームポジションに相当する仰角だけずれて配置されることにより、総合ビームポジション8に示すように縦、横とも隙間のないビームポジションが得られる。このような制御は図示しないビーム縦放射手段により実行される。
【0017】
図1では、分割開口面から放射されるビームポジションを半分にする方法として、仰角方向には1ビームポジション毎に間引いている(間引き手順という)。そしてビームポジション6Aの仰角方向の位置と、ビームポジション6Bの仰角方向の位置とは、1ビームポジション分だけ仰角方向にずらせている。そして開口面1Aと1Bとは時間的に並行して、同じ方位方向に同時にビーム放射することにより、総合ビームポジション8で示すようにビームの隙間を互いに補完することができる。ここで同時と説明したが、レーダ装置として受信に支障のない程度の時間ずれ、例えば、1つの開口面から送信しているとき他の開口面が受信状態となるような大幅なずれ以外は許される。
【0018】
図4は本実施の形態のビーム走査方法を、さらに詳しく説明するフローチャートである。
図においてステップS31は1つのフェーズドアレイアンテナを、方位方向に回転させる回転手順、ステップS32はフェーズドアレイアンテナを2分割し、2分割した各分割部から、同じ方位方向幅と同じ仰角方向幅とを持つビームを、同じ方位方向で、互いに前記ビームの仰角方向の幅だけ異なる仰角方向に向けて、同時に放射する縦放射手順、ステップS33は2つのビームのそれぞれの指向方向を仰角方向に走査する仰角走査手順、ステップS34は方位方向の回転速度を1倍以上2倍以下にする回転速度上昇手順である。
【0019】
上記説明に置いて、アンテナを2分割すると説明したが、図1に示すように左右に分割するものに限る必要はない。もともとアレーアンテナは多素子で構成されているので、素子の一部の指向方向と他の部分の指向方向とを異なる方向に指向させさえすればよい。即ち、分割とは多素子を2つのグループに分離するという程度の意味である。
分割した2つのアンテナに給電する送信機については特に図示しないが、1台の送信出力を2分割して用いても良いし(単位空間あたりの電力密度は半分になる)、同期して動作する同じ周波数の2台の送信機を用いても良い。一方、目標で反射した電波を受信する受信手段は同時に2つの信号を受信して処理する必要があるため2台用いる必要がある。
回転速度の増加は例えば可変速電動機を用いた図示しない回転速度上昇手段により行われ回転上昇手順という。
【0020】
実施の形態2.
実施の形態1の場合、分割した2つの面1A,1Bから同時に発射される2つのビームは、縦方向に並んで発射された。しかし、2つのビームの配列方法はこれに限られると言うものではない。即ち、2つのビームは横方向(方位方向)に並べて発射しても良い。図5はこの実施の形態に於けるビームポジションを説明する図である。2つの分割面1A,1Bのそれぞれからは、同じ仰角で電波が放射される(横放射手順という)。このような制御は図示しないビーム横放射手段により実行される。そして仰角方向には従来と同様の周期で走査される。ただし、分割面1Aと分割面1Bとは方位方向に1ビームポジションずれて設置されている。図6は同時に方位方向に並べて放射される2つのビーム1a,1bの配列を示している。この結果、それぞれの面から放射されるビームは方位方向には隙間が生じるが、この隙間に他の面から放射されるビームが丁度はいることとなり、2倍の回転速度で回転させても総合ビームポジション8には隙間が生じない。
【0021】
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2では空中線の開口面を2分割するものを示したが、これに限るというものではない。例えば図7に示すように、空中線の開口面を4分割し、4個の分割面から同時に4つのビームを放射することによって、方位方向の回転速度を4倍または4倍以下とし、最大4倍のデータレートを実現できる。ここで4つのビームは実施の形態1のように仰角方向に並べることにより、ビームポジションを1/4に間引きして(4ポジションの内、3ポジションを間引く)、仰角方向の走査周期を早くすることにより方位方向に隙間を作らない方法でも良いし、4つのビームを実施の形態2で説明したように方位方向に並べて放射することにより回転速度増加によって生じる隙間をそれぞれのビームが埋めるようにしても良い。
【0022】
図では示さないが3分割も可能であることは言うまでもない。要するに、空中線の開口面をn分割し、同時に発射するn個のビームを方位方向に並べるか、あるいは仰角方向に並べて仰角方向に走査するビームポジションの数を1/nに間引きすることにより、方位方向に隙間が生じないようにするかいずれかを行えばよい。これにより、n倍以下のデータレートを実現することができる。
尚、上記の説明では、ビームは仰角又は方位方向に並べると説明したが、4個の場合には方位方向に2個を、仰角方向に2個を並べるようにしても良い。
n個のビームを縦方向に並べて放射する場合を縦放射手順、横方向に並べて放射する場合を横放射手順という。また、これらに伴い方位方向の回転速度を1倍以上n倍以下にする手順を回転上昇手順という。
【0023】
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、同時に放射するビームの数を増やすことによって、単位時間内に放射されるビームの放射回数を増やすことによって、回転速度を上げても方位方向にビームの隙間が生じないようにしたが、この場合受信手段が複数個必要になる。本実施の形態では、回転速度を上げたときに方位方向に隙間が生じないようにする他の方法であって、受信手段を増やす必要がない方法として、アンテナ面を分割することなく、図8に示すように、放射ビームの水平方向(方位方向)のビーム幅を広げることによって回転速度増加により生じるビームの方位方向の隙間を補間する。尚、フェーズドアレイアンテナから放射されるビームの幅を広げる方法については詳細な説明を省略するが、多素子の内の一部の指向方向と、他の部分の指向方向とを僅かにずらせることによって容易に達成できる。図8において、20は放射ビームの形を幅広に変形するように制御された放射面、10は方位方向の回転速度を上げて、かつ、ビームの水平方向幅を拡幅した場合のビームポジションを示す(ビーム横拡幅放射手順と言い、図示しないビーム横拡幅制御手段により行う)。
実施の形態1〜3の場合には、開口面1A,1Bなどは時間的に同時に放射するため、反射信号を受信する受信機は分割した面の数だけ必要だったが、本実施の形態の場合には1台でよいというメリットが得られる。
【0024】
実施の形態5.
実施の形態4ではビームの水平方向幅を拡幅することによって、1つの仰角走査におけるビームポジション数を変えずにビームの隙間を補間したが、図9に示すように垂直ビーム幅を広げることによって、1つの仰角走査におけるビームポジション数を減少させ、もって仰角走査時間を短縮することによって、回転速度増加にともなうビームの横方向の隙間が生じないようにしても同様の効果を奏する(ビーム縦拡幅放射手順と言い、図示しないビーム縦拡幅制御手段により実行する)。図において11は縦方向のビームの幅を広げたビームポジションを示す。
【0025】
実施の形態6.
実施の形態1から5の説明は、3次元のレーダ装置を例として説明している。しかし、3次元レーダ装置に限らず、図10に示すように、仰角方向の電子走査をしない2次元のフェイズドアレイレーダにおいて開口面を2分割し、各分割開口面1A,1Bの指向角度を方位方向に1ビーム幅だけずらせて配置し、両面から同時にビームを放射することにより、回転方向に並んだ2つのビームを形成して、回転速度増加にともなう隙間を補間することもできる。
図11は理解を助けるため図10の分割した各面から、同時に出力される2つのビームの位置関係を説明する図であり、91は分割面Aのビーム、92は分割面Bのビームである。αはビーム91とビーム92の方位角の差を示し、両ビームの間に隙間が生じないようにビームの幅の角度と同じか、それ以下の角度に設定されている。
【0026】
実施の形態7.
従来例の図15で説明したように、空中線1の回転速度上昇により生じるビームの隙間は高仰角になるほど小さくなる。したがって、例えば実施の形態1で説明したような仰角方向の走査周期を2倍にする場合、高仰角から低仰角まで、同じような比率でビームを走査する必要はない。図12はこのような考察によって2回の仰角走査こどに、1回の仰角走査の高仰角方向のビーム出力を間引いて走査させた分割面1Aと1Bのビームポジション60A、60Bと、これらを合わせた総合ビームポジション80とを示すものである。両分割面の仰角方向指向角が1ポジションだけずらせてあり、両分割面から同時に放射させる点も実施の形態1と同じである。1周期毎に、全仰角を全走査する周期と、中〜低仰角域のみを補間する周期とを設ける(高仰角間引き手順という)ことによって、平均の走査周期がさらに短くなり、実施の形態1の効果に比して、その分だけ回転速度をさらに高めることができる。また回転速度が2倍のままなら、1ポジションあたりの受信時間を長くすることができ探知性能がより改善される効果が得られる。
【0027】
理解を助けるため、図12のアンテナ1の仰角走査のタイミングを図13に示す。図において111(実線)は分割面1Aの仰角の変化、112(点線)は分割面1Bの仰角の変化を示す。図13に示すとおり2周期目毎に高仰角の走査を行わないことにより平均の走査周期が短縮される。
【0028】
実施の形態8.
実施の形態4ではビームの水平方向の幅を広げることにより、隙間を埋めた。しかし、前述したとおり、空中線の回転速度上昇により生じるビームの隙間は高仰角になるほど小さくなる。したがって図14の14に示すように、高仰角になるほどビーム幅の拡幅を抑えるようにする(低仰角だけビームの幅を広げると言っても良い、横ビーム幅制御手順という)ことによって発明の実施の形態4と同様の効果以外に、ビーム幅拡幅に伴う空中線利得の低下をより少なくすることができ,探知性能が改善される効果が得られる。
【0029】
実施の形態9.
実施の形態1〜8では、方位方向は空中線の機械回転によってビーム走査を実施するレーダとして説明したが、方位方向の回転手段がいかなるものであるかはこの発明の本質に関係しない。即ち、機械的回転機構を持たず、方位、仰角方向とも電子走査でビームを走査する空中線に実施の形態1〜8の発明を適用しても、同様の効果を奏することは言うまでもない。全て電子走査の場合には、データレートの切替に要する時間が機械式回転機構を用いている場合に比べて大幅に短縮できるので、高データレートの運転と従来のデータレートでの運転とを、必要なとき瞬時に切替えることができるというメリットも生じる。
【0030】
実施の形態10.
実施の形態1の説明に於いて説明した、開口面を2分割したときの、開口面1A,1Bのずらせ方は仰角方向に1ポジション、仰角方向走査の間引き方は図1に示す1ポジションごとに1つとする方法は、ビームポジションの見かけの移動(走査による移動)がスムースになるといういう点で好ましいが、このような走査方法に限るというものではない。例えば、図15に示すように分割面1A,1B間で2ポジションずらせて、2ポジション毎に2ポジションづつ間引く場合、ビームポジションはスムースには移動しないで、1ポジションの移動と2ポジションの移動とを交互に繰り返すこととなるものの、類似の動作を得ることはできる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、この発明はレーダ装置の空中線の方位方向の回転速度を上げることによって生じるビームの隙間を、2分割した開口面から仰角方向に並べたビームを同時に発射し、かつ前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅の2倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行うことによりビームの仰角方向の走査周期を早くしたことによって埋め、よって、目標検出率を低下させることなく、また空中線の規模を増加させることなくデータレートを高くすることができる。
【0032】
また、レーダ装置の空中線の方位方向の回転速度を上げることによって生じるビームの隙間を、n分割した開口面からビームを仰角方向に並べて同時に発射し、かつ前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅の2倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行うことによりビームの仰角方向の走査周期を早くしたことによって埋め、よって、目標検出率を低下させることなく、また空中線の規模を増加させることなくデータレートを高くすることができる。
【0033】
この発明のレーダ装置は、レーダ装置の空中線の方位方向の回転速度を上げることによって生じるビームの隙間を、n分割した開口面からビームを仰角方向に並べて同時に発射し、、前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅のn倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行うことによりビームの仰角方向の走査周期を早くしたことによって埋め、よって、目標検出率を低下させることなく、また空中線の規模を増加させることなくデータレートを高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係るビーム走査説明図である。
【図2】 図1のビームの並べ方の説明図である。
【図3】 図1の動作を説明するタイムチャートである。
【図4】 図1の動作を説明するフローチャートである。
【図5】 実施の形態2のビーム走査説明図である。
【図6】 図5のビームの並べ方の説明図である。
【図7】 実施の形態3のビーム走査説明図である。
【図8】 実施の形態4に係るビーム走査説明図である。
【図9】 実施の形態5に係るビーム走査説明図である。
【図10】 実施の形態6に係るビーム走査説明図である。
【図11】 図10の動作を説明するためのビームの位置関係を示す図である。
【図12】 実施の形態7に係るビーム走査説明図である。
【図13】 図12の動作を説明するタイムチャートである。
【図14】 実施の形態8に係るビーム走査説明図である。
【図15】 実施の形態10に係るビーム説明図である。
【図16】 従来のフェーズドアレイアンテナのビーム走査説明図である。
【図17】 図16の動作を説明するタイムチャートである。
【図18】 図16の高仰角でのビームの状態を説明する図である。
【図19】 従来の2次元フェーズドアレイアンテナのビーム走査説明図である。
【図20】 従来の2面型の空中線装置説明図である。
【図21】 従来の3面型の空中線装置説明図である。
【符号の説明】
1 空中線(フェーズドアレイアンテナ)、 1a、1b ビーム、
1A 分割開口面、 1B 分割開口面、
4 空中線の分割開口面B、
6A 分割開口面1Aから放射されるビームポジション、
6B 分割開口面1Bから放射されるビームポジション、
8 総合ビームポジション、
10 ビームの水平方向幅を拡幅した場合のビームポジション、
11 ビームの縦方向幅を拡幅した場合のビームポジション、
20 幅を変化させたビームを出力する放射面、
21 分割面1Aの仰角、 22 分割面1Bの仰角、
23 分割面1Aの出力タイミング、
24 分割面1Bの出力タイミング。

Claims (3)

  1. 1つのフェーズドアレイアンテナを方位方向に回転させる回転手順と、
    前記1つのフェーズドアレイアンテナを2分割し、前記2分割した各分割部から、同じ方位方向幅と同じ仰角方向幅とを持つビームを、同じ方位方向で、互いに前記ビームの仰角方向の幅だけ異なる仰角方向に向けて、それぞれ同時に放射する縦放射手順と、
    前記2つのビームの仰角方向走査において、前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅の2倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行う仰角走査手順と、
    前記方位方向の回転速度を1倍以上2倍以下とする回転上昇手順とを含むことを特徴とするフェーズドアレイアンテナのビーム走査方法。
  2. 1つのフェーズドアレイアンテナを方位方向に回転させる回転手順と、
    前記1つのフェーズドアレイアンテナをn個に分割し、前記n分割した各分割部から、同じ方位方向幅と同じ仰角方向幅とを持つビームを、同じ方位方向で、互いに前記ビームの仰角方向の幅づつ異なる仰角方向に向けて、それぞれ、同時に放射する縦放射手順と、
    前記n個のビームの仰角方向走査において、前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅のn倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行う仰角走査手順と、
    前記方位方向の回転速度を1倍以上n倍以下とする回転上昇手順とを含むことを特徴とするフェーズドアレイアンテナのビーム走査方法。
  3. 1つのフェーズドアレイアンテナを方位方向に回転させる回転手段、
    前記1つのフェーズドアレイアンテナをn個に分割し、前記n分割した各分割部から、同じ方位方向幅と同じ仰角方向幅とを持つビームを、同じ方位方向で、互いに前記ビームの仰角方向の幅づつ異なる仰角方向に向けて、それぞれ、同時に放射するビーム縦放射手段、
    前記n個のビームの仰角方向走査において、前記各分割部それぞれが前記ビームの仰角方向幅のn倍の走査ごとに1ビームを発射する走査を行う仰角走査手段、
    前記方位方向の回転速度を1倍以上n倍以下とする回転速度上昇手段とを備えたことを特徴とするレーダ装置。
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