JP3790425B2 - 異常な細胞増殖を特徴とする病気を治療および予防するための置換11−フェニル−ジベンズアゼピン化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤血球のCa2+活性化カリウムチャンネル(ガルドスチャンネル)および/または哺乳類細胞増殖の特異的で強力かつ安全な阻害剤である芳香族有機化合物に関する。特に、本発明は、鎌状赤血球のガルドスチャンネルおよび/またはマイトジェン誘導性の哺乳類細胞増殖を阻害できる置換11-フェニル-ジベンズアゼピン化合物に関する。この化合物は、鎌状細胞疾患の治療または予防に向けた治療的アプローチとして、インサイチューで、鎌状赤血球脱水を低下させ、および/または赤血球の鎌状化もしくは変形の発生を遅延させるために使用することができる。この化合物はまた、異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療または予防するための治療的アプローチとして、インサイチューで哺乳類細胞の増殖を阻害するために使用することもできる。
【0002】
【発明の背景】
鎌状細胞疾患は、数世紀に亘って西アフリカで認められている。鎌状細胞貧血および鎌状ヘモグロビン(Hb−S)は、分子レベルで理解される最初の遺伝子疾患であった。今日では、それはベータグロブリン鎖の6位におけるグリシンのバリンへの置換による、形態学的および臨床的結果として理解されている(Ingram, 1956, Nature 178: 792-794)。このアミノ酸鎖および疾病状態の起源は、一塩基置換の結果である(Marotta et al., 1977, J. Biol. Chem. 252: 5040-5053)。
【0003】
鎌状細胞疾患を患っている患者の病的状態および死亡の主な原因は、鎌状赤血球により生じる血管閉塞であり、これは急性および慢性の形で繰り返す痛みの発作を生じ、また経時的に進行する器官損傷を生じる。完全な脱酸素の際の鎌状赤血球の変形およ歪みは、鎌状ヘモグロビン、即ちヘモグロビンS(Hb S)の重合および細胞間ゲル化により生じる。この現象は、Eaton and Hofrichter, 1987, Blood 70:1245において十分に検討され、議論されている。Hb Sの細胞間のゲル化および重合は、赤血球が血管を通って移動する際の如何なるときにも生じる。従って、重合したヘモグロビンSを含まない鎌状細胞疾患をもった患者の赤血球は、鎌状になることなく微小循環を通って肺に戻ることもあり、静脈内で鎌状になることもあり、或いは毛細血管内で鎌状になることもある。
【0004】
発生するこれら夫々の事象の可能性は、適切な毛細血管内輸送時間に対する細胞内ゲル化の遅延時間によって定まる(Eaton et al., 1976, Blood 47:621)。次いで、この遅延時間はヘモグロビンの酸素付加状態に依存し、酸素付加は遅延時間を短縮する。従って、細胞内ゲル化を生じることが熱力学的に不可能であれば、或いは、静脈酸素分圧での遅延時間が約15秒よりも長ければ、細胞の鎌状化は起きない。或いは、遅延時間が約1〜15秒であれば、赤血球は静脈内で鎌状化を起こし易い。しかし、遅延時間が約1秒未満であれば、赤血球は毛細血管内で鎌状化するであろう。
【0005】
毛細血管内で鎌状化する赤血球については、輸送時間に何らの影響もないものから、毛細血管の一時的な閉塞、最終的には虚血または周囲細胞の梗塞および赤血球の破壊をもたらし得るより永続的な閉塞までの、多くの可能な事象が存在する。正常な赤血球の原形質は略70%の水を含むことが長年に亘って認められている。水は、数ミリ秒で正常な赤血球膜を横切る。しかし、細胞水の喪失は、細胞の平均ヘモグロビン濃度が約32 g/dlを超えて増大するに伴い、原形質粘度の指数関数的増大を生じる。原形質濃度は赤血球の変形および鎌状化の主要な決定要素であるから、赤血球の脱水は、レオロジー的および病理学的な実質的な結果を有する。従って、正常な赤血球の水含量を維持する生理学的メカニズム、および血液循環の中にある赤血球から水を喪失させる病理学的症状は決定的に重要である。驚くことではないが、赤血球脱水の調節は、鎌状赤血球疾患の治療のための重要な治療的アプローチとして認められてきた。細胞水は、細胞内イオン濃度の如何なる浸透圧変化にも従うから、赤血球のカリウム濃度の維持は特に重要である(Stuart and Ellory, 1988, Brit J. Haematol. 69:1-4)。
【0006】
脱水した鎌状細胞を治療するために(従って、血漿浸透圧を低下することによるヘモグロビンSの重合の減少のために)、下記を含む多くの試みおよびアプローチが試みられてきたが、その成功は限定的なものであった:蒸留水の静脈内輸液(Gye et al., 1973, Am. J. Med. Sci. 266:267-277);高液体摂取および塩分制限と共に、抗利尿剤ホルモンであるバソプレシンの投与(Rosa et al., 1980, M. Eng. J. Med. 303:1138-1143;Charache and Walker, 1981, Blood 58:892-896);鎌状細胞の陽イオン含量を増大するためのモネンシンの使用(Clark et al., 1982, J. Clin. Invest. 70:1074-1080; Fahim and Pressman, 1981, Life Sciences 29:1959-1966);クエン酸セチエジルの静脈内投与(Benjamin et al., 1986, Blood 67:1442-1447; Berkowitz and Orringer, 1984, Am. J. Hematol. 17:2127-223; Stuart et al., 1987, J. Clin. Pathol. 40:1182-1186);およびオキシペンチフィリンの使用(Stuart et al., 1987, J. Clin. Pathol. 40:1182-1186))。
【0007】
脱水した鎌状細胞を治療するためのもう一つのアプローチには、クロトリマゾールのようなイミダゾール、ニトロイミダゾールおよびトリアゾール抗真菌剤の投与が含まれる(Brugnara et al.の米国特許第5,273,992号)。クロトリマゾール、即ち、イミダゾールを含む抗真菌剤は、正常赤血球および鎌状赤血球のガルドスチャンネルの特異的で強力な阻害剤であり、インビトロおよびインビボの両方で、鎌状細胞のCa2+依存性脱水を予防することが示されている(Brugnara et al., 1993, J. Clin. Invest. 92:520-526; De Franceschi et al., 1994, J. Clin. Invest. 93:1670-1676)。Hb Sのオキシ型コンホメーションを安定化する化合物と組合わせると、クロトリマゾールは微細孔フィルターの目詰まり速度における追加の減少を誘導し、不可逆的な鎌状細胞の形成を低下し得る(Stuart et al., 1994, J. Haematol. 86:820-823)。ガルドスチャンネル阻害を介して鎌状赤血球脱水の低減に有用であると思われるヘテロアリールイミダゾール様部分を含む他の化合物には、ミコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール、およびサルコナゾールが含まれる。これらの各化合物は公知の抗真菌剤である。他のイミダゾール含有化合物は、ガルドスチャンネルを阻害してカリウム喪失を防止できないことが分かっている。
【0008】
上記の議論から解るように、ガルドスチャンネルの阻害により鎌状赤血球の脱水を低減することは、鎌状細胞疾患の治療および/または予防のための強力な治療的アプローチである。鎌状細胞の脱水を低減する手段としての、ガルドスチャンネルを阻害できる化合物は非常に望ましいものであり、従って本発明の目的である。
【0009】
細胞の増殖は、その生命のために必要な、哺乳類生存の正常な一部である。しかし、細胞増殖は常に望ましいものではなく、最近になって、癌、ある種の皮膚疾患、炎症性疾患、繊維症およびアテローム硬化症のような生命を脅かす多くの疾患の根源であることが示されている。
【0010】
細胞増殖は、種々の細胞区画を通過するイオン移動の調節に決定的に依存し、またDNAの合成に関連している。増殖が停止している細胞の特定の受容体への特定のポリペプチド成長因子の結合は、有糸分裂事象のカスケードにおいて決定的に重要な初期イオン信号列をトリガーして、最終的にはDNA合成に導く(Rozengurt, 1986, Science 234:161-164)。これらには、(1)殆どは細胞内蓄積物からの迅速なCa2+放出による、細胞質Ca2+の迅速な増大;(2)増大した細胞内Ca2+濃度に更に寄与する、原形質膜中のリガンドが結合した腸分極感受性Ca2+チャンネルの開放に応答した容量性Ca2+流入(Tsien and Tsien, 1990, Annu. Rev. Cell Biol. 6:715-760; Peppelenbosch et al., 1991, J. Biol. Chem. 266:19938-19944); および(3)増大したK+コンダクタンスおよび膜超分極を伴った、原形質膜中のCa2+依存性K+チャンネルの活性化(Magni et ai., 1991, J. Biol. Chem. 261:9321-9327)が含まれる。信号伝達経路における重要な事象と思われるこれらのマイトジェンに誘導された初期イオン性変化は、正常細胞および悪性細胞における細胞増殖を阻害するための強力な治療的標的である。
【0011】
初期マイトジェン性信号に関連したイオン流の変化を介した、望ましくない異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のための一つの治療的アプローチには、クロトリマゾールの投与が含まれる。上記で述べたように、クロトリマゾールは、赤血球のCa2+に活性化されたカリウムチャンネルを阻害することが示されている。加えて、クロトリマゾールは、有核細胞における電圧刺激およびリガンド刺激によるCa2+流入機構を阻害し(Villalobos et al., 1992, FASEB J. 6:2742-2747; Montero et al., 1991, Biochem. J. 277:73-79)、またインビトロおよびインビボでの細胞増殖を阻害する(Benzaquen et al . , 1995, Nature Medicine 1:534-540)。最近、Ca2+活性化カリウムチャンネルを阻害できるクロトリマゾールおよび他のイミダゾール含有抗真菌剤は、アテローム硬化症の治療に有用であることが示され(Halperin et al.の米国特許第5,358,959号)、また望ましくない異常な細胞増殖を特徴とする他の疾患の治療に有用であることが示された。
【0012】
上記の議論から分かるように、初期マイトジェン信号に関連したイオン流の変化を介した哺乳類の細胞増殖を阻害することは、望ましくない異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療および/または予防するための強力な治療的アプローチである。哺乳類細胞の増殖を阻害できる化合物は、極めて望ましいものであり、従って本発明の一つの目的である。
【0013】
【発明の概要】
本発明によって提供されるこれらの目的および他の目的は、その一つの側面において、赤血球、特に鎌状赤血球のCa2+活性化カリウムチャンネルおよび/または哺乳類細胞増殖の、強力で選択的かつ安全な阻害剤である新規クラスの有機化合物を提供する。この化合物は、一般には置換11-フェニル-ジベンズアゼピン化合物である。一つの態様において、本発明に従ってガルドスチャンネルおよび/または哺乳類細胞の増殖を阻害できる化合物は、下記構造式を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩またはその水和物である。
【化5】
【0014】
ここで、
R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R" -C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR" -C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" -C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6) アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26) アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリール置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6) アルキル、(Cl-C6) アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。
【0015】
もう一つの側面において、本発明は、本発明による一以上の化合物を、薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤、または希釈剤との混合物として含有する薬学的組成物を提供する。このような製剤は、本発明の方法で投与することができる。
【0016】
更にもう一つの側面において、本発明は、インサイチューにおいて、鎌状赤血球の脱水を減少させ、および/または赤血球の鎌状化もしくは変形の発生を遅延させるための方法を提供する。この方法は、インサイチューにおいて、鎌状赤血球を、鎌状赤血球の脱水を減少させ、および/または赤血球の鎌状化もしくは変形の発生を遅延させるのに有効な量の、少なくとも一つの本発明の化合物またはその薬学的組成物と接触させることを含む。好ましい態様において、患者の微小循環血管系内にある鎌状赤血球において、鎌状細胞の脱水は減少し、赤血球の変形は遅延する。これにより、鎌状細胞により通常起きる血管閉塞、およびその結果として生じる悪影響を予防または低減する。
【0017】
更にもう一つの側面において、本発明は、ヒトのような患者における鎌状細胞疾患を治療および/または予防するための方法を提供する。この方法は、予防的または治療的に有効な量の少なくとも一つの本発明による化合物を、鎌状細胞疾患に罹患している患者に投与することを含む。この患者は、急性鎌状発症または慢性鎌状細胞症状の発現の何れを患っていてもよい。
【0018】
更にもう一つの側面において、本発明は、哺乳類細胞の増殖をインサイチューで阻害する方法を提供する。この方法は、インサイチューにおいて、哺乳類細胞を、細胞増殖を阻害するのに有効な量の少なくとも一つの本発明による化合物、またはその薬学的組成物と接触させることを含む。この化合物または組成物は、細胞増殖抑制的もしくは細胞障害的に、または両者の機構の組合せにより作用して増殖を阻害する。この方法で治療できる哺乳類細胞には、血管平滑筋細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、種々のタイプの前癌細胞および種々のタイプの癌細胞が含まれる。
【0019】
更にもう一つの側面において、本発明は、ヒトのような患者において、望ましくない異常な細胞増殖を治療および/または予防するための方法を提供する。この方法では、かかる治療を必要としている患者に対して、本発明による少なくとも一つの化合物またはその薬学的組成物を、望ましくない異常な哺乳類細胞増殖を阻害するのに有効な量で投与する。当該化合物および/または組成物は、増殖している細胞に対して局所的に適用すればよく、または患者に対して全身的に投与してもよい。好ましくは、当該化合物および/または組成物は、望ましくない異常な細胞増殖を特徴とする疾患をもった患者に投与される。このような障害には、癌、上皮前癌病巣、非癌性脈管性症状またはアテローム硬化症が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
最後の側面において、本発明は、望ましくない、および/または異常な哺乳類細胞増殖を特徴とする疾患を治療および/または予防するための方法を提供する。この方法は、そのような治療を必要としている患者にたいして、予防的または治療的に有効な量の、本発明による少なくとも一つの化合物またはその薬学的組成物を投与することを含む。当該方法により治療または予防できる異常な哺乳類細胞増殖を特徴とする疾患には、癌、血管増殖性疾患、繊維症疾患およびアテローム硬化症が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
<定義>
ここで使用する下記の用語は、以下の意味を有するものである。
【0022】
「アルキル」とは、飽和の分岐鎖、直鎖または環状の炭化水素基を言う。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル等が含まれるが、これに限定されるものではない。好ましい態様において、アルキル基は(C1-C6)アルキルであり、(Cl-C3)アルキル基が特に好ましい。
【0023】
「置換アルキル」とは、一以上の水素原子がそれぞれ独立に他の置換基で置き換わったアルキル基を言う。限定されるものではないが、典型的な置換基には、-OR、-SR、-NRR、-CN、-NO2、-ハロゲンおよび-トリハロメチルが含まれ、夫々のRは独立に -H、ここで定義するアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアルカリールである。
【0024】
「アルケニル」とは、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の分岐鎖、直鎖または環状の炭化水素基をいう。この基は、二重結合に関してcis-またはtrans-の何れのコンホメーションであってもよい。典型的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、tert-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、該アルケニル基は (Cl-C6)アルケニルであり、(Cl-C3)アルケニルが特に好ましい。
【0025】
「置換アルケニル」とは、一以上の水素原子が夫々独立に他の置換基で置き換わったアルケニル基を言う。典型的な置換基には、-OR、-SR、-NRR、-CN、-NO2、-ハロゲンおよび-トリハロメチルが含まれるが、これらに限定されない。ここで、夫々のRは独立に、-H、ここで定義するアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたは アルカリールである。
【0026】
「アルキニル」とは、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和の分岐鎖、直鎖または環状の炭化水素基を言う。典型的なアルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい態様において、該アルキニル基は(Cl-C6)アルキニルであり、(Cl-C3)アルキニルが特に好ましい。
【0027】
「置換アルキニル」とは、一以上の水素原子が独立に他の置換基で置き換わったアルキニル基を言う。典型的な置換基には、-OR、-SR、-NRR、-CN、-NO2、-ハロゲンおよび-トリハロメチルが含まれるが、これらに限定されない。ここで、夫々のRは独立に、-H、ここで定義するアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアルカリールである。
【0028】
「アリール」とは、共役したπ電子系を有する不飽和の環状炭化水素基を言う。典型的なアリール基には、ペンタ-2,4-ジエン、フェニル、ナフチル、アントラシル、アズレニル、インダセニル等が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、アリールは (C5-C20)アリールであり、(C5-C10)アリールが特に好ましい。
【0029】
「置換アリール」とは、一以上の水素原子が他の置換基に置き換わったアリール基を言う。典型的な置換基には、-OR、-SR、NRR、-CN、-NO2、-ハロゲンおよび -トリハロメチルが含まれるが、これらに限定されない。ここで、夫々のRは独立に、-H、ここで定義したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアルカリールである。
【0030】
「アリーレノ」とは、他のアリールと縮環できるアリール基を言う。典型的なアリーレノ基には、ベンゾ、ナフタレノ、アントラセレノ等が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、該アリーレノ基は(C6-C20)アリーレノである。
【0031】
「置換アリーレノ」とは、一以上の水素原子が夫々独立に他の置換基に置き換わったアリーレノ基を言う。典型的な置換基には、-OR、-SR、-NRR、-CN、-NO2、-ハロゲンおよび-トリハロメチルが含まれるが、これらに限定されない。ここで、夫々のR は独立に、-H、ここで定義したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアルカリールである。
【0032】
「アルカリール」とは、末端炭素に結合した水素原子の一つがアリール部分で置き換わったアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を言う。典型的なアルカリール基には、ベンジル、ベンジリデン、ベンジリジン、ベンゼノベンジル、ナフタレノベンジル等が含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、該アルカリール基は (C6-C26)アルカリール、即ち、該アルカリール基のアルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は (Cl-C6)で、アリール部分は (C5-C20)である。特に好ましい実施例において、該アルカリール基は (C6-C13)アルカリール、即ち、該アルカリール基のアルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は (C1-C3)で、アリール部分は(C5-C10)である。
【0033】
「置換アルカリール」とは、アルカリール基におけるアリール部分の一以上の水素原子が夫々独立に他の置換基に置き換わったアルカリール基である。典型的な置換基には、-OR、-SR、-NRR、-CN、-NO2、-ハロゲンおよび -トリハロメチルが含まれるが、これらに限定されない。ここで、Rは独立に、-H、上記で定義したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアルカリールである。
【0034】
「インサイチュー」とは、「インビボ」、「エクスビボ」および「インビトロ」を意味し且つこれらを含むものであり、これら用語は当業者が普通に認識し且つ理解している通りである。更に、ここでは、「インサイチュー」の語句を、その供給源もしくは起源、その条件もしくは状態、または当該部位または位置におけるその継続時間もしくは寿命に関係なく、見られる通りのまたは適所にある実体、細胞または組織を同定するように、最も広い内包的および外延的な意味で用いる。
【0035】
【発明の詳細な記述】
背景の節で述べたように、ガルドスチャンネルを介した鎌状脱水の阻止は、鎌状細胞疾患を治療および/または予防するための強力な治療的アプローチである。研究によって、クロトリマゾールのような抗真菌剤は、インビトロにおいてCa2+活性化K+輸送を阻止し、鎌状赤血球における細胞脱水を低下させ(Brugnara et al., 1993, J. Clin. Invest. 92:S26-526)、また鎌状細胞疾患のトランスジェニックマウスモデルにおいて、インビボで赤血球のガルドスチャンネルを阻害し、赤血球K+含量を増大し、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC)を低下し、赤血球濃度を減少させること(Trudel et al., 1991, EMBO J. 11:3157-3165;De Franceschi et al., 1994, J. Clin. Invest. 93:1670-1676)を示している。更に、経口でのクロトリマゾールを用いた治療はガルドスチャンネルの阻害を誘導し、また鎌状細胞疾患をもったヒト患者における赤血球脱水を低下する(Brugnara et al., 1996, J. Clin. Invest. 97:1227-1234)。インビトロでガルドスチャンネルを阻害する他の抗真菌剤には、ミコナゾール(miconazole)、エコナゾール(econazole)、ブトコナゾール(butoconazole)、オキシコナゾール(oxiconazole)およびサルコナゾール(sulconazole)(Brugnara et al.の米国特許第5,273,992号)が含まれる。これら全ての化合物は、イミダゾール様リング、即ち、2以上の窒素を含むヘテロアリール環を含んでいる。
【0036】
また、背景の節で述べたように、初期イオン性マイトジェン信号の調節および細胞増殖の阻害は、異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療および/または予防のための強力な治療的アプローチである。クロトリマゾールは、赤血球のガルドスチャンネルを阻害することに加えて、イオン性マイトジェン信号を調節し、インビトロおよびインビボの両方で細胞増殖を阻害することが示されている。
【0037】
例えば、クロトリマゾールは、インビトロにおいて、不可逆的および濃度依存的に正常細胞および癌細胞株の細胞増殖速度を阻害する(Benzaquen et al., 1995, Nature Medicine 1:534-540)。クロトリマゾールはまた、細胞内蓄積Ca2+を枯渇させて、正常にはマイトジェン刺激に従う原形質Ca2+の上昇を防止する。更に、過酷な複合免疫不善疾患(SCID)をもち、且つMM-RUヒトメラノーマ細胞を接種したマウスにおいてクロトリマゾールを毎日投与すると、観察された肺転移の数の顕著な減少が生じた(Benzaquen et al., supra)。置換11-フェニル-ジベンズアゼピン化合物はまた、赤血球のガルドスチャンネルおよび/または哺乳類細胞増殖を阻害する。従って、一つの側面において、本発明は赤血球、特に鎌状赤血球のCa2+活性化カリウムチャンネル(ガルドスチャンネル)を阻害することができ、および/または哺乳類細胞増殖、特にマイトジェン誘導細胞増殖を阻害することができる、新規クラスの有機化合物を提供する。
【0038】
11-フェニル ジベンズアゼピン化合物がガルドスチャンネルおよび/または哺乳類細胞増殖を阻害するという発見は、全く驚くべきことであった。重要なこととして、本発明の化合物は、イミダゾールまたはイミダゾール様部分を含まない。イミダゾールまたはイミダゾール様部分は、クロトリマゾールおよび上記他の抗真菌剤の抗真菌剤活性および他の生物学的活性の基礎となる不可欠の官能基として認識されている。従って、本発明の11-フェニル ジベンズアゼピン化合物は、ガルドスチャンネルおよび/または哺乳類細胞増殖を阻害することができ、従って鎌状細胞疾患および/または異常な望ましくない細胞増殖に関連した疾患を治療するために有用な、全く新しいクラスの化合物を提供する。
【0039】
もう一つの側面において、本発明は、鎌状細胞疾患を治療するための治療的アプローチとして、インサイチューで、鎌状細胞脱水を低減し、および/または赤血球の鎌状化を遅延させる方法を提供する。その最も広い意味において、この方法は一つのステップのみ、即ち、本発明の少なくとも一つの薬理学的に活性な化合物またはその組成物を、脱水の低下および/または細胞の鎌状化もしくは変形の発生の遅延を生じさせるのに有効な量で、鎌状赤血球に対してインサイチューで投与することを含む。好ましい実施例では、鎌状細胞の脱水が減少し、および/または患者の微小血管内にある鎌状細胞において鎌状化が遅延し、これにより、鎌状細胞により通常生じる血管閉塞が減少または排除される。
【0040】
一部は鎌状細胞疾患の治療における治療目的としてのガルドスチャンネルの推測される重要性に基づき、本発明はまた、鎌状細胞疾患を治療または予防する方法に向けられている。この方法では、本発明による一以上の化合物またはその薬学的組成物の有効量を、鎌状細胞疾患に罹患した患者に投与する。この方法は、予防的に鎌状疾患を処置して、細胞内HbSの濃度および/または重合を減少させ、血液循環における赤血球の鎌状化および血管閉塞の時間および持続を減少させるように使用してもよい。この方法はまた、急性鎌状細胞が発症した患者、および慢性鎌状細胞エピソードの患者において治療的に使用し、発症の頻度および持続を抑制するように使用してもよい。
【0041】
本発明の化合物はまた、哺乳類細胞増殖の強力で特異的な阻害剤である。従って、本発明はもう一つの側面においては、望ましくない異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療または予防のための治療的アプローチとしての、哺乳類細胞増殖を阻害する方法が提供される。その最も広い意味において、この方法は一つのステップのみ、即ち、本発明による少なくともにとつの活性化合物の友好量を、哺乳類細胞に対してインサイチューで投与することを含む。
【0042】
この化合物は、細胞細胞増殖抑制的に、細胞毒性的に、または両者の機構の組合わせにより作用して細胞増殖を阻害し得る。この方法で治療可能な哺乳類細胞には、血管平滑筋細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、種々の前癌細胞および種々の癌細胞が含まれる。好ましい実施例では、望ましくない異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患した患者において、細胞増殖が阻害される。このような疾患については、以下でより完全に説明する。
【0043】
一部は一定の疾患における哺乳類細胞増殖の推測される役割に基づいて、本発明はまた、異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療または予防する方法に向けられている。この方法において、本発明による少なくとも一つの化合物またはその薬学的組成物の有効量が、異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している患者に投与される。如何なる特定の理論にも束縛されるものではないが、患者への適切な量の化合物の投与は、初期マイトジェン信号に関連したイオン流を変更することにより、細胞増殖を阻害すると思われる。このようなイオン流の変化は、本発明の化合物が細胞のカリウムチャンネル、特にCa2+活性化カリウムチャンネルを阻害する能力に起因すると思われる。この方法は、望ましくない又は異常な細胞増殖を防止するために予防的に使用することができ、或いは異常に増殖している細胞の増殖を低下または停止させるために治療的に使用してもよい。この化合物またはその薬学的処方は、所望の時間に増殖を停止または阻害するために、増殖中の細胞に局部的に適用することができ、或いは、細胞増殖を停止または阻害するために、患者に全身的に投与してもよい。
【0044】
本発明により治療または予防できる異常な細胞増殖を特徴とする疾患には、血管増殖性疾患、繊維症、アテローム硬化症および種々の癌が含まれる。血管の形成および広がり、または脈管形成および血管新生は、胚発生、黄体形成、創傷治癒および器官再生のような種々の生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たす。それらはまた、癌発生において中枢的な役割を果たす。血管増殖製疾患の他の例には、新たな毛細血管が関節に侵入して軟骨を破壊する関節炎、網膜の新たな毛細血管がガラス体に侵入して出血し、失明および無血管性緑内障を起こす糖尿病性網膜症のような眼疾患が含まれる。
【0045】
異常な新生血管形成のもう一つの例は、固形腫瘍に関連するものである。現在では、腫瘍の無制限の増殖は血管新生に依存すること、また脈管形成因子の放出による血管新生の誘導は発癌の重要な重要な段階であり得ることが確立されている。例えば、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)は、幾つかの癌細胞によって放出され、癌血管新生において決定的な役割を果たす。血管新生が阻害されると一定の動物腫瘍が退行することの立証は、腫瘍増殖における血管新生の役割について最も説得力のある証拠を提供している。血管新生に関連する他の癌には、血管内皮腫、血管腫およびカポシ肉腫が含まれる。
【0046】
内皮および血管平滑筋細胞の増殖は、血管新生の主要な特徴である。本発明は、このような増殖の阻害において有用であり、従って全体的または部分的にこのような血管新生に依存する血管新生症状の進行を、総じて阻害または停止することにおいて有用である。本発明は、血管新生に必然的に関連する内皮もしくは血管平滑筋細胞の増殖を有する症状に対して、特に有用である。例えば、乾癬は追加的に、血管新生に関連した内皮細胞増殖に依存する内皮細胞増殖を含む可能性がある。同様に、継続的な増殖のために血管新生を必要とする固形腫瘍もまた、内皮もしくは血管平滑筋細胞の腫瘍である可能性がある。この場合、腫瘍細胞自身の増殖は、血管新生と同様に、ここに記載する化合物によって阻害される。
【0047】
本発明はまた、繊維症疾患、例えば、結合組織炎および全体的または部分的に繊維芽細胞の増殖から生じる他の結合組織炎の医学的合併症の治療に有用である。結合組織炎を含む医学的症状(下記で述べるアテローム硬化症以外)には、手術または創傷から生じる望ましくない組織癒着が含まれる。
【0048】
本発明により治療できる他の細胞増殖性疾患には、動脈効果症が含まれる。動脈硬化症は、動脈壁の肥厚および硬化を記述するために使用される用語である。ここで用いる動脈硬化症は、古典的なアテローム硬化症、加速アテローム硬化症、アテローム硬化病巣、および望ましくない内皮および/または血管平滑筋細胞の増殖を特徴とする他の動脈硬化症状(糖尿病血管合併症を含む)を意味する。
【0049】
血管平滑筋細胞の増殖は、古典的アテローム硬化症の主要な病理的特徴である。内皮細胞からの増殖因子の放出は内膜下平滑筋の増殖を刺激し、次いで、これは管腔径を低下させ、最終的には動脈を閉塞する。本発明は、このような増殖の阻害において有用であり、従って、このような増殖および関連のアテローム硬化症の発症の遅延、その進行の阻害、またはその停止において有用である。
【0050】
血管平滑筋細胞の増殖は加速アテローム硬化症を生じ、これは心臓移植の拒絶されない失敗の主な理由である。この増殖はまた、成長因子によって媒介され、最終的には冠動脈の閉塞をもたらし得ると思われる。本発明は、このような閉塞の阻止に有用であり、またかかる不全のリスクを低減し、更に予防する上で有用である。
【0051】
血管の損傷は、内皮および血管平滑筋細胞の増殖をも生じ得る。この損傷は、血管手術およびバルーン血管形成を含む多くの外傷性事象または介入によって起こり得る。再狭窄は、成功裏に行われた冠状動脈バルーン血管形成の主な合併症である。これは、冠動脈をライニングしている内皮細胞に対する機械的損傷の結果としての、成長因子の放出によって生じると思われる。従って、望ましくない内皮および平滑筋細胞増殖を阻害することによって、ここに記載する化合物は、再狭窄の開始を遅延し、更に回避するために使用することができる。
【0052】
本発明により治療または予防できる他のアテローム硬化症には、内皮および/または血管平滑筋細胞の増殖を含む動脈壁疾患、例えば糖尿病性合併症、糖尿病性糸球体硬化症および糖尿病網膜症が含まれる。
【0053】
ここに記載する化合物はまた、強力な抗腫瘍剤であり、従って、種々のタイプの腫瘍性疾患の治療または予防に有用である。本発明により治療できる腫瘍性疾患には、胆管癌;グリア芽細胞腫および髄芽腫を含む脳腫瘍;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;急性および慢性のリンパ球性および骨髄性白血病、多発性骨髄種、AIDS関連白血病および成人T細胞白血病骨髄種を含む血液原性新生物;ボーエン病およびパジェット病を含む上皮内新生物;肝臓癌;肺癌;ホジキン病およびリンパ球性リンパ種を含むリンパ腫;神経芽細胞種;扁平上皮癌を含む口腔癌;上皮細胞、間質細胞、生殖細胞および間葉細胞から生じるものを含む卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、繊維肉腫および骨肉腫を含む肉腫;メラノーマ、カポシ肉腫、基底細胞癌(basocellular cancer)および有棘細胞癌を含む皮膚癌;胚性腫瘍(精上皮腫、非精上皮腫(奇形腫、絨毛癌))、間質腫瘍および生殖細胞腫瘍を含む精巣癌;甲状腺腺癌および髄様癌を含む甲状腺癌;および腺癌およびウィルムス腫を含む腎癌が含まれる。
【0054】
本発明の化合物は、ホルモン依存性癌に関して有用であり、非ホルモン依存性癌についても有用である。それらは前立腺癌および乳癌についても有用である。更に、それらは多剤耐性株の癌についても有用である。
【0055】
上記で列挙した特定の疾患に加えて、本発明は、ケロイド、過形成性瘢痕、脂漏性皮膚病、パピローマウイルス感染(例えば、尋常性ゆうぜい、足底ゆうぜい、扁平ゆうぜい、コンジローム等)を含む皮膚科疾患、湿疹および光線角化症のような上皮前癌病巣;増殖性球体腎炎のような他の炎症性疾患;紅斑性狼瘡;硬皮症;一過性関節炎;閉塞性血栓性血管炎;皮膚粘膜リンパ節症候群、および子宮平滑筋腫を含む成長因子により媒介される他の病理学の治療または予防にも有用である。
【0056】
本発明の化合物および方法は、鎌状細胞疾患および/または細胞増殖性疾患の治療に通常使用されている薬剤および方法を凌駕する極めて多方面の利点を提供する。本発明の化合物および方法はまた、クロトリマゾールまたは他の抗真菌剤を用いた鎌状細胞疾患および/または細胞増殖性疾患の治療を凌駕する多方面の利点を提供する。例えば、本発明の多くの化合物は、インビトロ試験においてクロトリマゾールよりも強力であり、従って、臨床的設定において必然的な治療的利点を提供し得る。
【0057】
最も顕著なこととして、本発明の化合物はクロトリマゾールおよび他の抗真菌剤と比較して毒性が低い。クロトリマゾールの場合、イミダゾール部分が広範囲のチトクロームP-450アイソザイム触媒反応を阻害する原因であることが周知であり、これがそれらの主要な毒性学的効果を構成する(Pappas and Franklin、1993、Toxicology 80:27-35;Matsuura et al., 1991, Biochemical pharrnacology 41: 1949-1956)。クロトリマゾールの類縁体および代謝物は、チトクロームP-450を誘導せず(Matsuura et aJ.、1991, Biochemical pharmacology 41:1949-19S6)、従ってクロトリマゾールの毒性を共有しない。
【0058】
<化合物>
ガルドスチャンネルおよび/または哺乳類細胞増殖を阻害できる本発明による化合物は、一般に、置換11-フェニル ジベンズアゼピン化合物である。一つの例示的態様において、ガルドスチャンネルおよび/または哺乳類細胞増殖を阻害できる本発明の化合物は、下記の構造式を有する化合物である。
【化6】
【0059】
ここで、
R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R" -C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR" -C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" -C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリール置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。
【0060】
本発明の好ましい態様において、当該化合物は、カルコゲンが夫々酸素である構造式(I)の化合物である。
【0061】
もう一つの好ましい態様において、当該化合物は、ハロゲンが夫々独立に -F、-Cl、-Brまたは -Iである化合物である。
【0062】
もう一つの好ましい態様において、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは夫々独立に(Cl-C3) であり、および/またはアリールはフェニルであり、および/またはアリーレノはベンゼノである。
【0063】
もう一つの好ましい態様において、R5、R6、R7、R9、R10、R11 およびR13 は、それぞれ独立に -R'である。
【0064】
もう一つの好ましい態様において、置換アリールおよびアルカリールはモノ置換である。
【0065】
もう一つの好ましい態様において、R15 はR"、-C(O)R" -C(O)OR"、-C(O)N(R")2、-C(O)C(O)R"、-C(O)C(O)OR" または -C(O)C(O)N(R")2 である。
【0066】
本発明のもう一つの好ましい態様において、当該化合物は、
Rl が -R'または(C6-C10)アリールであり;
R2 が -R'または-OR'であり;
R3 が -R'または-OR'であるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C10)アリーレノであり;
R4 が -R'または-OR'であるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C10)アリーレノであり;
R5、R6およびR7が夫々 -Hであり;
R8が -R'、-F、-Cl、-Br または -Iであり;
R9、R10およびR11が -Hであり;
R12 が-R'、-F、-Cl、-Br または-Iであり;
R13 が-Hであり;
R14 が-R'、-F、-Cl、-Br または-Iであり;
R15 が-R"、-C(O)R"、-C(O)OR"、-C(O)N(R")2、C(O)C(O)R" -C(O)C(O)OR" または-C(O)C(O)N(R")2であり;
夫々のR'が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル および(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択され;
夫々のR" が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル、(Cl-C3)アルキニル、(C6-C10)アリール、置換(C6-C10)アリール、(C6-C13)アルカリールまたは置換(C6-C13)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基が、-OR'、-NO2、-NR'R'、-F、-Cl、-Br、-I、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニルおよび(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択される、式(I)の化合物である。
【0067】
更にもう一つの好ましい態様において、該化合物は、
R1 が-R'またはフェニルであり;
R2 が-R' または-OR'であり;
R3 が-R' または-OR'であるか、或いはR4と一緒になるときはベンゼノであり;
R4 が-R' または-OR'であるか、或いはR 3 と一緒になるときはベンゼノであり;
R5、R6 およびR7 の夫々は-Hであり;
R8 が-R'、-Clまたは-Brであり;
R9、R10およびR11 の夫々が-Hであり;
R12 が-R'、-Fまたは-Clであり;
R13 が-Hであり;
R14 が-R'または-Clであり;
R15 が-R"、-C(O)R"-、C(O)OR"-、C(O)NHR"、-C(O)C(O)R" または-C(O)C(O)OR"であり;
夫々のR'が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル および(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択され;
夫々のR" が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル、(Cl-C3)アルキニル、(C6-C10)アリール、モノ置換(C6-C10)アリール、(C6-C13)アルカリールまたはモノ置換(C6-C13)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基が、-OR'、-NO2、-NR'R'、-Cl、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニルおよび(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択される、式(I)の化合物である。
【0068】
更にもう一つの好ましい態様において、本発明の化合物は下記の通りである。
【化7】
【0069】
【化8】
【0070】
【化9】
【0071】
【化10】
【0072】
更にもう一つの好ましい態様において、当該化合物は、R1およびR15 が夫々-R'であるときに、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも一つは-R'以外であり、R8は-R'以外またはハロゲンであり、またR2、R3、R4およびR5の少なくとも三つは-OR'以外であるとして、構造式(I)の化合物である。
【0073】
更にもう一つの好ましい態様において、当該化合物は、R1およびR15 が夫々-Hであるときに、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも一つは-H以外であり、R8は-H以外または-Clであり、またR2、R3、R4およびR5の少なくとも三つは-OCH3以外であるとして、構造式(I)の化合物である。
【0074】
最後の好ましい態様において、本発明の化合物は、11-フェニル-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン、11-フェニル-9-ハロ-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン、11-フェニル-9-クロロ-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン、11-フェニル-5,6-ジヒドロ-1,2,3-トリアルコキシ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン、11-フェニル-5,6-ジヒドロ-1,2,3-トリメトキシ-11H-ジベンズ [b, e]アゼピン、11-フェニル-5,6-ジヒドロ-2,3,4-トリアルコキシ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン および/または11-フェニル-5,6-ジヒドロ-2,3,4-トリメトキシ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピンではない。
【0075】
ここで参照する化学式は、互変異性、配座異性、立体異性または機械性の現象を示し得る。この明細書中に書かれた式は、可能な一つの互変異性形、配座異性形、エナンチオマー形または幾何異性形しか表すことができないので、本発明は、ここに記載する生物学的または薬理学的活性を示す如何なる互変異性形、配座異性形、エナンチオマー形または幾何異性形をも包含することが理解されるべきである。
【0076】
本発明の化合物は、遊離塩基、またはそれらの薬学的に効果的な塩の形態であることができる。このような塩は、当該化合物を適切な酸で処理することにより、容易に調製することができる。このような酸には、例えばハロゲン酸(塩酸、臭酸など)硫酸、硝酸、燐酸等のような無機酸;および酢酸、プロパン酸、2−ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、プロパンジオイックアシッド、ブタンジオイックアシッドなどの有機酸が含まれるが、これらに限定されない。逆に、この塩はアルカリで処理することにより、遊離塩基に変換することができる。
【0077】
上記化合物およびそれらの薬学的に許容可能な塩に加えて、本発明では、適切であれば、該化合物の該化合物の非溶媒和形ならびに溶媒和形(例えば水和形)を用いてもよい。
【0078】
ここに記載した化合物は、化学的化合物の調製に適用可能であることが知られている如何なる方法によって製造してもよい。好ましい方法は、代表的な実施例によって例示される。更に別の方法は、本願と同時に出願された「11-アリール-5、6-ジヒドロ-11H[b, e]アゼピン類の合成」と題する同時継続出願第 号(代理人事件No. PEL97-06)に記載されており、これは本明細書の一部をなす参照として本願に援用される。必要な出発物質は商業的に得ることができ、或いは有機化学の標準的方法により調製すればよい。更に、多くの化合物は商業的に入手可能である。
【0079】
個々の化合物の、鎌状細胞脱水もしくは変形および/または哺乳類細胞増殖に対して影響する薬剤としての関連の活性および能力は、標準的な技術を用いて決定すればよい。優先的には、化合物はその薬理学的活性を測定するために一連のスクリーニングにかけられる。
【0080】
殆どの場合、本発明の活性化合物は、二つの薬理学的活性、即ち、赤血球のガルドスチャンネルの阻害および哺乳類細胞増殖の阻害を示す。しかし、幾つかの場合に、本発明の化合物はこれら薬理学的活性の一方のみを示す。これら薬理学的活性の少なくとも一つを示し得る式(I)に包含される化合物は、本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0081】
一般に、本発明の活性化合物は、当該技術において普通に知られたインビトロ試験(例えば、Brugnara et al., 1993, J. Biol. chem. 268(12) :8760-8768参照);Benzaquen et al., 1995, Nature Medicine 1:534-540)を用いて測定すると、少なくとも、赤血球ガルドスチャンネルの約25%の阻害(約10μMで)および/または約25%の哺乳類細胞増殖の阻害(約10μMで)を誘導する。或いは、またはこれに加えて、本発明の活性化合物は一般に、当該技術で普通に知られたインビトロ試験(例えば、Brugnara et al., 1993, J. Biol. chem. 268(12):8760-8768; Benzaquen et al., 1995, Nature Medicine l:534-540参照)を用いて測定すると、ガルドスチャンネルの阻害について約10μM未満のIC50(50%阻害を生じる化合物濃度)および/または細胞増殖の阻害について約10μM未満のIC50を有する。
【0082】
本発明による代表的な活性化合物は、上記で例示した化合物1〜35を含む。
【0083】
本発明の一定の態様において、一方の薬理学的活性のみを示す化合物、またはより高い一方の活性を示す化合物は好ましいものであり得る。従って、鎌状細胞疾患を治療する方法において、または鎌状細胞脱水の低下および/またはインサイチューでの赤血球の鎌状化または変形の発生遅延をもたらす方法において該化合物を使用するときに、該化合物は、少なくとも約75%のガルドスチャンネル阻害(約10μMで測定)を示し、および/またはガルドスチャンネル阻害について約1μM未満のIC50を有するのが好ましく、少なくとも約90%の阻害(約10μMで測定)および/または約0.1μM未満のIC50が特に好ましい。更に好ましいのは、阻害%およびIC50の両方の基準に合致する化合物である。
【0084】
ガルドスチャンネル阻害および鎌状細胞疾患に関連する方法に使用するための好ましい化合物の例には、化合物l、2、3、4、6、9、18、29および35が含まれ、化合物2、3、4、6、9、29および35が特に好ましい。
【0085】
異常な細胞増殖を特徴する疾患を治療もしくは予防する方法において、またはインサイチューでの細胞増殖を阻害する方法において該化合物を使用するときに、該化合物は、少なくとも約75%のマイトジェン誘導細胞増殖の阻害(約10μMで測定)を示し、および/または細胞増殖の阻害について約3.5μM未満のIC50を有するのが好ましく、少なくとも約90%の阻害(約10μMで測定)および/または約1μM未満のIC50が特に好ましい。更に好ましいのは、阻害%およびIC50の両方の基準に合致する化合物である。
【0086】
哺乳類細胞増殖を阻害し、または異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療または予防する方法に使用する好ましい化合物の例には、化合物2、3、4、7、8、9、13、14、16、17、18、19、20、21、22、26、27、28、29、30、31、32、33および34が含まれ、化合物14、26、28、29、30および31が特に好ましい。
【0087】
<処方および投与経路>
ここに記載する化合物、またはその薬学的に許容可能な付加塩もしくは水和物は、広範な経路または投与モードを使用して患者に与えることができる。適切な投与経路には、吸入投与、経皮投与、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、経腸投与、並びに筋肉内注射、皮下注射および静脈注射を含む非経腸的投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
ここに記載する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩および/または水和物は、単独で、本発明の他の化合物と組合わせて、および/または他の治療剤と組合わせたカクテルとして投与すればよい。もちろん、本発明の化合物と共に同時投与できる治療剤の選択は、治療される症状に一部依存する。
【0089】
鎌状細胞疾患に罹患した患者に投与するとき、本発明の化合物は、痛み、感染および他の症状、並びに鎌状細胞疾患に通常伴う副作用の治療に使用する薬剤を含有したカクテルとして投与することができる。このような薬剤には、例えば鎮痛薬、抗生物質等が含まれる。当該化合物はまた、ブチレートおよびブチレート誘導体(Perrine et al., 1993, N. En l. J. Med. 328(2) :81-86);ヒドロキシ尿素(Charache et ai., 1995., N. Enl. J. Med. 323(20): 1317-1322);エリスロポエチン(Goldberg et al., 1990., N. En l. J. Med. 323(6): 366-372);およびマグネシウムのような食用塩(De Franceschi et al., 1996., Blood 88 (648a) :2580)を含む、鎌状細胞疾患の治療に通常用いられる他の薬剤を含有したカクテルとして投与することができる。
【0090】
癌治療を受けている患者に投与するとき、当該化合物は、他の抗癌剤および/または補充増強剤を含有するカクテルとして投与すればよい。該化合物はまた、制吐剤、放射線保護剤などの、放射線治療の副作用を治療する薬剤を含有するカクテルとして投与することができる。
【0091】
本発明の化合物と同時に投与できる抗癌剤には、例えば、アミノグルテチミド(Aminoglutethimide);アスパラギナーゼ;ブレオマイシン;ブスルファン(Busulfan);カルボプラチン(Carboplatin);カルムスチン(Carmustine; B'CNU);クロラムブシル(Chlorambucil);シスプラチン(cis-DDP);シクロホスファミド(Cyclophosphamide);シタラビンHCl (Cytarabine HCl);ダカルバジン(Dacarbazine);ダクチノマイシン(Dactinomycin);ダウノルビシン HCl (Daunorubicin HCl);ドキソルビシン HCl (Doxorubicin HCl);エストラムスチン(Estramustine)燐酸ナトリウム;エトポシド(Etoposide; VP-16);フロキシウリジン(Floxuridine);フルオロウラシル(5-FU);フルタミド(Flutamide);ヒドロキシ尿素 (hydroxycarbamide);イフォスファミド(Ifosfamide);インターフェロンα-2a、α-2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子類縁体);ロムスタチン (CCNU) ;メクロレタミン HCl (Mechlorethamine HCI;ナイトロジェンマスタード);メルファラン(Melphalan);メルカプトプリン;メスナ(Mesna);メソトレキセート (MTX);マイトマイシン;マイトタン(Mitotane; o.pl-DDD);マイトキサントロン(Mitoxantrone) HCl;オクトレオチド(Octreotide);プリカマイシン(plicamycin);プロカルバジンHCl;ストレプトゾシン;クエン酸タモキシフェン;チオグアニン;チオテパ(Thiotepa);硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;アムサクリン(Amsacrine; m-AMSA);アザシチジン(Azacitidine);ヘキサメチルメラミン (ImM);インターロイキン2;マイトグアゾン(メチル-GAG;メチルグリオキサール bis-グアニルヒドラゾン;MGBG);ペントスタチン(Pentostatin);セムスチン (メチル-CCNU);テニポシド(Teniposide; VM-26);パクリタクセル(paclitaxel)および他のタキサン類;および硫酸ビンデシン(Vindesine sulfate)が含まれる。
【0092】
本発明の化合物と同時に投与できる補充増強剤には、例えば、三環系抗鬱剤(例えばイミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリンクロミプラミントリミプラミン、ドキセピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピンおよびマプロチリン);非三環系抗鬱剤(例えば、セルトラリン、トラゾドンおよびシタロプラム);Ca++拮抗剤(例えば、ベラパミル(verapamil)、ニフェジピン(nifedipine)、ニトレンジピン(nitreridipine)およびカロベリン(caroverine);アンホテリシン(例えば、Tween 80およびマレイン酸ペヘキシリン(perhexiline maleate));トリプラノール類縁体(例えばタモキシフェン);抗不整脈剤(例えば、キニジン);抗高血圧剤(例えばレセルピン);チオール除去剤(ブチオニン(buthionine)およびスルホキシミン(sulfoximine);およびカルシウムロイコボリンが含まれる。
【0093】
この活性化合物(類)は、それ自身で、または活性化合物(類)が一以上の薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤と共に混合物として存在する薬学的組成物の形態で投与すればよい。本発明に従う使用のための薬学的組成物は、活性化合物を薬学的に使用できる製剤に加工するのを容易にするための賦形剤および助剤を含んだ一以上の生理学的に許容可能なキャリアを使用して、従来の方法で処方すればよい。適正な処方は選択した投与経路に依存する。
【0094】
注射のためには、本発明の化合物は水溶液中、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液または生理食塩水溶液のような生理学的に適合する緩衝液中に処方される。経皮的投与については、浸透すべき障壁に対する適切な浸透剤を処方中に使用する。このような浸透剤は、一般に当該技術において公知である。
【0095】
経口投与については、活性化合物(類)を当該技術において周知の薬学的に許容可能なキャリアと混合することによって、該化合物を容易に処方することができる。このようなキャリアは、本発明の化合物を、治療される患者が経口接種するために、錠剤、丸薬、糖衣丸、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などに処方することを可能にする。経口使用のための薬学的製剤は、固形賦形剤を添加し、選られた混合物を任意に粉砕し、所望のときは適切な助剤を添加した後にこの顆粒混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロースマンニトール、またはソルビトールのような糖;例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ポテト澱粉、ゼラチン、トラガカンスガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース製剤である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸またはアルギン酸ナトリウムのようなそれらの塩のような、崩壊剤を添加してもよい。
【0096】
糖衣錠コアには適切なコーティングが設けられる。この目的のために濃縮糖溶液を使用してもよく、該溶液は任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでいてもよい。錠剤または糖衣錠コーティングには、活性化合物の異なった組あわせを特定または特徴づけるために、染料または顔料を添加してもよい。
【0097】
経口的に使用できる薬学的製剤には、ゼラチン製の押し嵌めカプセル、並びにゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールもしくはソルビトール)軟質の密封カプセルが含まれる。この押し嵌めカプセルは、乳糖のような充填剤、澱粉のようなバインダ、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および任意に安定剤を含むことができる。軟質カプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、液状パラフィン、または液状ポリエチレングリコールのような適切な液体中に溶解または懸濁させてもよい。加えて、安定剤を加えてもよい。経口投与のための全ての処方は、このような投与に適した容量設定にすべきである。
【0098】
バッカル投与については、当該組成物は、従来の方法で処方された錠剤またはロジェンジの形態を取り得る。
【0099】
吸入による投与については、本発明による使用のための化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素または他の適切なガスを用いて、加圧パックからのエアロゾルスプレーの形態で投与される。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、定量を放出する弁を設けることによって決定すればよい。吸入または注入器に使用するための、例えば、本発明の粉末混合物、およびラクトースまたは澱粉のような適切な粉末を含有するゼラチンのカプセルおよびカートリッジを処方してもよい。
【0100】
当該化合物は、例えば一回注射または連続輸液による注射によって、非経腸的に投与するために処方してもよい。注射のための処方は、単位投与形態、例えばアンプルで、または保存剤を加えた多回投与容器として提供すればよい。懸濁液、溶液、または油性もしくは水性媒体中のエマルジョンのような形態をとってもよく、または懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような処方剤を含んでもよい。
【0101】
非経腸的投与のための薬学的処方は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。加えて、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製してもよい。適切な親油性溶媒または担体には、ゴマ油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームのような脂肪油が含まれる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランのような該懸濁液の粘度を増大する物質を含んでいてもよい。任意に、懸濁液はまた、適切な安定化剤、または高濃度の溶液の調製を可能にするために、該化合物の溶解度を増大する物質を含有してもよい。
【0102】
或いは、該活性成分は、例えば滅菌されたパイロジェンフリー水のような適切な担体を用いて、使用の前に構成するための粉末形態であってもよい。
【0103】
該化合物はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような従来の座薬ベースを含む座薬または停滞浣腸などの直腸用組成物として処方してもよい。
【0104】
先に記載した処方に加えて、該化合物はまた、デポー製剤として処方してもよい。このような長期作用型の処方は、埋設または経皮的デリバリー(例えば皮下、または筋肉内)、筋肉注射または経皮パッチによって投与される。従って、例えば、当該化合物は適切なポリマー材料または疎水性材料(例えば許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて処方してもよく、或いは、例えば難溶性塩のような難溶性誘導体として処方してもよい。
【0105】
当該薬学的組成物はまた、適切な固相またはゲル相のキャリアまたは賦形剤を含むことができる。このようなキャリアまたは賦形剤には、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、種々の糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーが含まれる。
【0106】
<有効投与量>
本発明と共に使用するのに適した薬学的組成物には、活性成分が治療的有効量で、即ち、その初期の目的を達成するのに有効な量で含有される組成物が含まれる。もちろん、特定の適用についての実際の有効量は、就中、治療される症状に依存する。例えば、インサイチューにおいて、鎌状赤血球脱水および/または赤血球の鎌状化または変形を減少する方法において投与するとき、このような組成物は、この結果を達成するのに有効な量の活性成分を含有するであろう。細胞増殖を阻害する方法において投与するとき、このような組成物は、この結果を達成するのに有効な量の活性成分を含有するであろう。鎌状細胞疾患または異常な細胞増殖を特徴とする疾患に罹患している患者に投与するとき、このような組成物は、就中、治療される患者の現時点における症状を緩和もしくはその進行を防止し、または該患者を延命させるのに有効な量の活性化合物を含有するであろう。癌の治療において使用する場合、治療的な有効量は更に、腫瘍の増殖を停止もしくは後退させる量の化合物が含まれるであろう。有効量の決定は、特に、ここでの詳細な開示を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0107】
ここに記載する何れかの化合物について、治療的有効量は、まず細胞培養試験から決定される。目標血漿濃度は、当然ながら、特定の望ましい適用に応じて、ガルドスチャンネルの少なくとも約25%の阻害を誘導でき、および/または細胞培養試験における細胞増殖の少なくとも25%の阻害を誘導できる化合物濃度であろう。細胞培養試験において、ガルドスチャンネルおよび/または細胞増殖の少なくとも約50%、75%、更には90%以上の阻害を誘導できる活性化合物(類)の目標血漿濃度が好ましい。患者におけるガルドスチャンネルおよび/または細胞増殖の阻害パーセンテージをモニターして、達成された血漿内薬物濃度の適切さを評価することができ、また、所望の阻害パーセンテージを達成するために、投与量を上方調節または下方調節することができる。
【0108】
ヒトに使用するための治療的有効量もまた、動物モデルから決定することができる。例えば、ヒトについての投与量は、動物において有効であることが分かった循環濃度を達成するように定式化することができる。鎌状細胞疾患のための特に有用な動物モデルは、SADマウスモデルである(Trudel et ai., 1991, EMBO J. 11:3157-3165)。異常な細胞増殖を特徴とする疾患のための有用な動物モデルは、当該技術において周知である。特に、下記の文献は、癌異種移植(Corbett et al., 1996, J. Exp. Ther. Ther. Oncol. 1:95-l08;Dykes et al., 1992, Contrib. Oncol. Basel. Karer 42:1-22)、再狭窄(Carter et al., 1994, J. Am. Coll. Cardiol. 24(5):1398-1405)、アテローム硬化症(Zhu et al., 1994, Cardiol. 85(6):370-377)および血管新生(Epstein et al., 1987, Cornea (4):250-257)のための適切な動物モデルを提供する。上述したように、ヒトにおける投与量は、ガルドスチャンネル阻害および/または細胞増殖の阻害をモニターし、投与量を上方または下方調節することにより調節することができる。
【0109】
また、治療的に有効な投与量は、クロトリマゾールおよび他の抗真菌剤のような、同様の薬理学的活性を示すことが知られた化合物についてのヒトのデータから決定することもできる(例えば、Brugnara et al., 1995, JPET 273:266-272, Benzaquen et al., 1995, Nature Medicine 1:534-540;Brugnara et al., 1996, J. Clin. Invest. 97(5) :1227-1234参照)。適用される投与量は、相対的な生体利用性、および投与化合物のクロトリマゾールと比較した能力に基づいて調節することができる。
【0110】
上記の方法および当該技術で周知の他の方法に基づいて、ヒトにおける最大の効果を達成するための投与量を調節することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0111】
勿論、局部的投与の場合、投与された化合物の全身循環濃度は特に重要ではない。このような例において、該化合物は、局部領域において意図する結果を達成するための有効濃度を達成するように投与される。
【0112】
慢性鎌状細胞エピソードおよび急性鎌状細胞発症の両方を含む、鎌状細胞疾患の予防および/または治療に使用するためには、投与された化合物の約0.001μM〜20μMの循環濃度が有効であり、約0.1μM〜5μMが好ましい。
【0113】
慢性鎌状細胞エピソードの予防および治療のための、ここに記載した化合物の好ましい投与経路である経口投与のための患者投与量は、典型的には約80 mg/日〜16,000 mg/日、より好ましくは約800 mg/日〜8000 mg/日、より典型的には約800 mg/日〜4000 mg/日である。患者の体重当りで言えば、典型的な投与量は約1〜200 mg/kg/日、より典型的には約10〜100 mg/kg/日、最も典型的には約10〜50 mg/kg/日である。患者の体表面積当りで言えば、典型的な投与量は約40〜8000 mg/m2/日、より典型的には約400〜4000 mg/m2/日、最も典型的には約400〜2000 mg/m2/日である。
【0114】
癌、アテローム硬化症、および再狭窄のような血管形成症状を含む異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に使用するためには、投与された化合物の約0.001μM〜20μMの循環濃度が有効であり、約0.1μM〜5μMが好ましい。
【0115】
細胞増殖性疾患を治療または予防について、ここに記載した化合物の経口投与のための患者投与量は、典型的には約80 mg/日〜16,000 mg/日、より典型的には約800 mg/日〜8000 mg/日、最も典型的には約800 mg/日〜4000 mg/日である。患者の体重当りで言えば、典型的な投与量は約1〜200 mg/kg/day、より典型的には約10〜100 mg/kg/日、最も好ましくは約10〜50 mg/kg/日である。患者の体表面積当りで言えば、典型的な投与量は約40〜8000 mg/m2/day、より典型的には約400〜4000 mg/m2/日、最も典型的には約400〜2000 mg/m2/日である。
【0116】
他の投与モードについては、投与される化合物の特定の臨床適応症のために有効な血漿レベルを与えるように、投与量および間隔を個別的に調節することができる。例えば、急性鎌状発症が最も主要な臨床的症状の発現であるならば、本発明による化合物は、比較的高い濃度で1日に多数回投与することができる。或いは、患者が頻繁ではないが周期的または不規則な周期的鎌状細胞発症のみを示すならば、本発明の化合物を最小限の有効濃度で投与し、且つより頻度の少ない投与レジメを使用することが望ましい。これは、鎌状細胞疾患症状の銃得度に合致した治療レジメを与えるであろう。
【0117】
腫瘍原性癌の治療において使用するためには、当該化合物は、腫瘍の外科的除去の前、最中または後で投与することができる。例えば、当該化合物は、外科手術の前に腫瘍塊への注射によって、一回または数回の投与により腫瘍に投与することができる。次いで、腫瘍、または可能な限り多くの腫瘍を外科的に摘出すればよい。摘出の後に。薬剤を腫瘍部位に更に投与することができる。或いは、可能な限り多くの腫瘍の外科的摘出は、腫瘍部位における化合物の投与に先立って行うことができる。
【0118】
ここに提供する教示と組合わせて、種々の活性化合物の中から選択し、能力、相対的生体利用性、患者体重、副作用の重篤度、および好ましい投与モードのような因子を比較考量することにより、実質的な毒性を生じず且つ特定の患者が示す臨床的症候群を治療するために全体として有効な、効果的な予防または治療のレジメを立案することができる。もちろん、特定の症状または患者に適した治療レジメの決定においては、多くの因子が重要である。癌のような重篤な適応症は、鎌状細胞疾患のようなより重篤度の低い適応症に比較して、より高い投与量を保証する。
【0119】
<毒性>
特定の化合物についての毒性と治療効果との間の比はその治療指数であり、LD50 (集団の50%において致死的な化合物量)とED50(集団の50%において有効な化合物量)との間の比として表される。より高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養試験および動物実験から得られた治療指数は、ヒトに使用するための投与量範囲を定式化するために使用することができる。このような化合物の投与量は、毒性が低いか又は毒性がなく、且つED50を含む血漿プラズマ濃度の範囲内にあるのが好ましい。投与量は、用いられる投与形態および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。正確な処方、投与経路、および投与量は、患者の症状を考慮して個々の医者が選択することができる(例えば、Fingl et al., 1975. In: The Pharmacoloical Basis of Therapeutics, Ch. 1 p1参照)。
【実施例】
上記で述べた発明、以下の例は、限定することなく本発明を例示するものである。
【0120】
例: 化合物の合成
この例は、本発明の化合物を合成するための一般的方法、並びに本発明の化合物の一定の例を合成するための好ましい方法を例示するものである。ここに記載する全ての反応スキームにおいて、適切な出発材料は商業的に入手可能であるか、或いは有機合成の標準的技術を用いて容易に得ることができる。必要な場合、種々の官能基を保護するための適切な基およびスキームは当該技術において周知であり、例えば、 文献[Kocienski, protectin Groups, Georg Thieme Verlag, New York, 1994 and Greene & Wuts、Protective Grou s in Or anic CheTnistr 、John wiley & Sons. New York、1991]に記載されている。
【0121】
図1および図2に、構造式(I)のための種々の置換基が定義されている。
【0122】
<1>:11-アリール-5、6-ジヒドロ-11H -ジベンズ[b, e]アゼピン
この例は、本発明による置換11-アリール-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン化合物を合成するための一般的方法を提供する。一般的な反応スキームは図1に与えられている。図1において、R2〜R15は、構造式(I)について先に定義した通りである。
【0123】
図1を参照すると、適切に置換された2-アミノベンゾフェノン100(1当量)、適切な置換塩化ベンジル102 (1当量)、炭酸カリウム(2当量)およびヨウ化ナトリウム(l当量)をアセトニトリル中で12時間還流する。反応混合物を室温にまで冷却し、水加える。この混合物を酢酸エチルで抽出する。一緒にした酢酸エチル抽出物を水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を蒸発させた後、カラムクロマトグラフィーにより、置換 N-アルキル-2-アミノベンゾフェノン誘導体104を約55〜80%の収率で得る。
この置換 N-アルキル-2-アミノベンゾフェノン誘導体104(1当量)を、3:1のテトラヒドロフラン:メタノール混合液中に溶解する。ナトリウムボロハイドライド(10当量)を徐々に添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌する。この反応を、2N塩酸水溶液を添加することにより急冷する。4N水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより反応混合物を中和し、酢酸エチルで抽出する。一緒にした酢酸エチルを硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒の蒸発の後、カラムクロマトグラフィーにより、置換N-アルキル-2-アミノ-ベンジルアルコール誘導体106を約40-60%の収率で得る。
【0124】
ジクロロメタン中の置換N-アルキル-2-アミノ-ベンジルアルコール誘導体106(1当量)、五酸化リン(5当量)およびメタンスルホン酸(5当量)を、室温で12時間攪拌する。炭酸ナトリウム水溶液を添加することにより該混合物を中和し、次いでジクロロメタンで抽出する。この有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を蒸発させた後、カラムクロマトグラフィーにより置換11-アリール-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン誘導体108を約45-70%の収率で得る。
【0125】
この置換11-アリール-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン誘導体108(1 当量)を、アセトニトリル中の炭酸カルシウム(3.5当量)または塩化アルキルまたは塩化アシル(3当量)と混合し、室温で2日間攪拌する。水を添加し、該混合物を室温で15分間攪拌し、酢酸エチルで抽出する。溶媒を蒸発することにより、油状物として粗生成物を得る。該生成物をエタノールから摩砕し、続いてヘキサンで洗浄して、純粋なN-置換11-アリール-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン生成物110を、白色固体として収率30-80%で得る。
【0126】
或いは、この置換11-アリール-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピンは、文献(Sasakura and Sugasawa, 1981, Heterocycles 15:421-425)に記載の方法に従う出発物質から合成することができる。
【0127】
<2>:11-アリール-11-置換-5,6-ジヒドロ-ジベンズ[b,e]アゼピン
この例は、本発明による11-アリール-11-置換-5,6-ジヒドロ-ジベンズ[b,e]アゼピン化合物を合成するための一般的方法を提供する。一般的反応スキームが図2に与えられている。図2において、Rl〜R15 は、構造式(I)について先に定義した通りである。
【0128】
図2を参照すると、置換N-アルキル-2-アミノベンゾフェノン誘導体104が、上記で述べたようにして調製される。-40℃のジエチルエーテル中の適切なグリニャール試薬溶液(0.25 M)に、ジエチルエーテル中の置換 N-アルキル-2-アミノベンゾフェノン誘導体104の溶液溶液(0.1 M)を加える。この混合物を、40℃で30分間攪拌し、室温にまで加温し、水で急冷する。酢酸エチルで抽出し、溶媒を蒸発させて、粗製アルコール生成物112を油状物として得る。このアルコール生成物112をカラムクロマトグラフィーで精製して、純粋なアルコール生成物112を、白色固体として収率85-90%で得る。
【0129】
化合物112(1当量)をジクロロメタン中に溶解して、0.5-1.0 Mとする。五酸化リン(4当量)およびメタンスルホン酸(4当量)を添加し、該混合物を室温で2時間攪拌する。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で急冷し、酢酸エチルで抽出する。溶媒を蒸発させた後、カラムクロマトグラフィーにより、11-アリール-11-置換-5,6-ジヒドロ-ジベンズ [b, e]アゼピン114を、収率約90%で得る。
【0130】
11-アリール-11-置換-5,6-ジヒドロ-ジベンズ[b, e]アゼピン114は、先の例で述べたようにして、対応するN-置換-11-アリール-11-置換-5,6-ジヒドロ-ジベンズ[b, e]アゼピン116に変換することができる。
【0131】
<3>:N-メトキシカルボニル-11-(2’-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン(化合物9)の合成
N-メトキシカルボニル-11-(2’-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン(化合物9)を合成する好ましい方法は、次の通りである。10 mLのアセトニトリル中の、0.3 g(0.00098モル)の11-(2-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン、l.08 g(0.0078モル)の炭酸カルシウムおよび1.54 g(0.016モル)のクロロ蟻酸メチルの混合物を、12時間還流した。次いで、この混合物を室温にまで冷却し、15 mLの水と共に10分間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(2×15 mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を蒸発させることにより、褐色固体として粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールと共に摩砕し、選られた固体をヘキサンで洗浄して、0.172 g(収率48%)の、融点159-161℃を有する白色固体を得た。生成物は、下記の分析データを与えた:
NMR (CDC13): δ 3.10 ppm (3H, s, OCH3);δ 4.45 ppm (1H, d, J=10 Hz);δ 5.48 ppm (1H, s, CH);δ 5.82 ppm (1H, d, J=10 Hz, CH2N);δ 6.94 pp:n (1H, m, アリール);δ 7.10 pprn (4H, m, アリール);δ 7.28 ppm (6H, m, アリール);δ 7.69 ppm (1H, m, アリール)
<4>:N-フェノキシカルボニル-11-フェニル-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン(化合物14)の合成
N-フェノキシカルボニル-11-フェニル-5,6 -ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン(化合物14)の好ましい合成方法は次の通りである。0.25 g(0.00092モル)の11-フェニル-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン、0.318 g(0.0023モル)の炭酸カリウムおよび0.318 g(0.002モル)のクロロ蟻酸フェニルの、10 mLのアセトニトリル中の混合物を、室温で2日間攪拌した。この混合物を15 mLの水と共に15分間攪拌し、次いで酢酸エチル(2×35 mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。蒸発により、油状物として粗生成物を得た。選られたオイルをエタノールと共に摩砕し、次いでこれをヘキサンで洗浄して、155-165℃の融点を有する0.285g(収率80%)の白色固体を得た。。
【0132】
生成物は下記の分析データを与えた:
NMR (CDCl3):δ 4.46 ppm (lH, d, J=7 Hz, CH2N);δ 5.28 ppm (lH, s, CH);δ 5.69 ppm (lH, d, J =7 Hz. CH2N);δ 6.52 ppm (2H, m, アリール);δ 6.98 ppru (2H, m, アリール);δ 7.14 - 7.42 ppm (13H, m, アリール);δ 7.58 (lH, m, アリール)
<5>:N-フェノキシカルボニル-11-(2'-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン(化合物26)の合成
N-フェノキシカルボニル-11-(2’-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン(化合物26)を合成する好ましい方法は次の通りである。0.2 g(0.00065モル)の11-(2’-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン、0.18 g(0.0013モル)の炭酸カリウムおよび0.204 g(0.0013モル)のクロロ蟻酸フェニルの、10 mLのアセトニトリル中の混合物を、室温で2日間攪拌した。この混合物を15 mLの水と共に10分間攪拌し、次いで酢酸エチル(2×35 mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。選られた残渣をエタノールと共に摩砕し、ヘキサンで洗浄して、95-99℃の融点を有する0.082 g(収率30 %)の白色固体を得た。この生成物は次の分析データを与えた:
NMR (CDCl3): δ 4.50 ppm (1H, d, J=7 Hz, CH2N);δ5.58 ppm (1H, s, CH);δ 5.80 ppm (lH, d, J=7 Hz, CH2N);δ 6.52 pprn (2H, :R, アリール);δ 7.06 - 7,38 ppm (14H, In, アリール);δ 7.79 ppm (lH, m, アリール) .
<6>: N-(4'-ニトロベンゾイル)-11-(2'-クロロフェニル)-5,6 -ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン(化合物28)
N-(4'-ニトロベンゾイル)-11-(2'-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン(化合物28)を合成する好ましい方法は次の通りである。0.2 g(0.00065モル)の11-(2'-クロロフェニル)-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b,e]アゼピン、0.179 g(0.0013モル)の炭酸カリウムおよび0.133 g(0.00072モル)の塩化4-ニトロベンゾイルの、10mLのアセトニトリル中混合物を、室温で12時間攪拌した。この混合物を15 mLの水と共に10分間攪拌した。この反応混合物を酢酸エチル(2×15 mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。蒸発により、粘性固体として粗生成物を得た。この粗生成物をエタノールと共に摩砕し、得られた固体をヘキサンで洗浄して、178-181℃の融点を有する0.148 g(収率50%)の白色固体を得た。この生成物は下記の分析データを与えた。
【0133】
NMR (CDCl3): δ 4.42 ppn (lH, d, J=7 Hz, CH2N);δ 5.68 ppm (lH, s, CH);δ 6.36 ppm (lH, d, J=7 Hz, CH2N);δ 6.52 ppm (3H, m, アリール);δ 7.06 ppm (3H, m, アリール);δ 7.12 ppm (lH, m, アリール);δ 7.26 ppm (6H, m, アリール);δ 7.79 ppm (3H, m, アリール).
<7>:他の化合物
本発明の他の化合物は、上記合成のルーチン的変形または当該技術で周知の方法によって合成することができる。適切な出発材料は商業的に入手可能であるか、またはルーチンの方法を用いて合成することができる。
【0134】
<インビトロ活性>
この例は、構造式(I)の幾つかの例示化合物について、インビトロでの赤血球のガルドスチャンネルの阻害(ガルドスチャンネル試験)および/またはマイトジェン−誘導細胞分裂の阻害(マイトジェン試験)をもたらす能力を示す。該アッセイは、一般に、構造式(I)の他の化合物のインビトロ活性を示すために適用することができる。
【0135】
1.実験プロトコール
ガルドスチャンネルの阻害パーセント(10μMの化合物)およびIC50は、Brugnara et al., 1993, J. Biol. Chem. 268(12):8760-8768に記載されているようにして測定した。マイトジェン−誘導細胞増殖の阻害パーセント(10μMの化合物)およびIC50は、NIH3T3マウス繊維芽細胞(ATCC No.CRL1658)にてBenzaquen et al.(1995, Nature Medicine 1:534-540)に記載されているごとくに測定した。他の細胞系、例えば、癌細胞、内皮細胞および繊維芽細胞、ならびに多くの他のものを細胞増殖アッセイで用いることができる。特定の細胞系の選択は、部分的には所望の適用に依存し、十分に当業者の能力の範囲内にあるものである。
【0136】
2.結果
実験の結果を、下記の表1に記載する。クロトリマゾールについては、比較の目的で報告する。試験した化合物の殆どは、両方の試験において有意な活性を呈した。試験した化合物の全てが、少なくとも1つの試験において有意な活性を呈した。
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
<癌細胞系における活性>
この例では、種々の癌細胞系に対する、式(I)の幾つかの例示的化合物の抗増殖効果を示す。該試験は、一般に、式(I)の他の化合物の抗増殖活性を示すのに適用できる。
【0139】
1.細胞の増殖
ここに記載する抗増殖アッセイは、標準的な無菌手法および組織で使用される普遍的な注意を用いて行った。細胞は、37℃、5%CO2および95%湿度にて、2%または5%胎児ウシ血清(FCS;Biowhittaker)を含有するRPMI 1640培地(Gibco社)を用いて増殖させた。細胞はトリプシン(Gibco社)を用いて継代させた。テスト化合物の添加に先立って細胞を収穫し、細胞の数を計数し、96ウェルのプレート中にRPMI培地を含有する100μlの5%胎児ウシ血清(FCS)に10,000細胞/ウェルにて接種した。
【0140】
処理の日に、被検化合物のストック溶液(10 mM 化合物/DMSO)を、10〜0.125μMの最終濃度まで培地を含有する100μlのFCSに添加し、細胞を37℃、5%CO2および95%湿度にて2,3,または5日間インキュベートした。
【0141】
インキュベーションに続き、細胞蛋白質をウルフォルホダミンB(SRB)アッセイ(Skehan P. et al., 1990, J. Natl. Cancer Inst. 82:1107-1112)で測定した。細胞増殖の50%を阻害するテスト化合物の濃度として報告する増殖阻害(IC50)は、曲線へのフィッティングによって決定した。
【0142】
比較のために、標準的抗癌剤であるVP−16についての値を提供する。
【0143】
MMRU細胞を除き、試験した全ての癌細胞系はAmerican Type Culture Collection(ATCC, Rockville, MD)から得た。ATCC受託番号は以下のとおりである:HeLa(CCL-2);CaSki(CRL-1550);MDA-MB-231(HTB-26);MCF-7(HTB-22);A549(CCL-185);HTB-174(HTB-174);HEPG2(HB-8065);DU-145(HTB-81);SK-MEL-28(HTB-72);HT-29(HTB-38);HCT-15(CCL-225);ACHN(CRL-1611);U-118MG(HTB-15);SK-OV-3(HTB-77)。
【0144】
MMRU細胞(Stender et al.,1993, J. Dermatoogy 20:611-617)は著者らの1人の好意により寄贈されたものである。
【0145】
2.結果
細胞培養アッセイの結果を以下の表2および3に示す。
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
表2および表3に見られるように、先に述べたマイトジェン試験において有意な活性を示す化合物は、種々の癌細胞株および癌タイプに対して有意な抗増殖活性を示す(約10μM未満のIC50)。多くの化合物は、種々の癌細胞タイプに対して、公知の抗癌剤であるVP-16に匹敵するか又はそれよりも大きい抗増殖活性を示す。
【0148】
<処方>
以下の例は、哺乳動物、特にヒト患者に本発明の化合物を投与するための例示的処方を提供するものであるが、これらに限定されるものではない。ここに記載された化合物、またはその薬学的塩および水和物は何れも、以下の例に与えられるようにして処方することができる。
【0149】
1.錠剤処方
各々60mgの有効成分を含有する錠剤を以下のようにして作成する:
活性成分、澱粉およびセルロースはNo.45メッシュの米国篩を通過させ、徹底的に混合する。ポリビニルピロリドンの溶液を得られた粉末と混合し、次いでこれをNo.14メッシュ米国篩を通過させる。顆粒を50-60℃で乾燥し、No.18メッシュの米国篩を通過させる。次いで、予めNo.60メッシュの米国篩を通過させたカルボキシメチル澱粉ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを顆粒に添加し、混合した後に、これを錠剤機により圧縮して各々150 mgの重量の錠剤を得る。
【0150】
錠剤は湿潤造粒、続いての圧縮によってリストした成分から調製することができる。
【0151】
2.ゼラチンカプセル
ハードゼラチンカプセルは以下の成分を用いて調製する:
活性化合物 250mg/カプセル
乾燥澱粉 200mg/カプセル
ステアリン酸マグネシウム 10mg/カプセル
上記成分を混合し、460 mgの量でハードゼラチンカプセルに充填する。
【0152】
3.エアロゾル溶液
エアロゾル溶液は以下の成分を含有するように調製する:
活性化合物 0.25%(w/w)
エタノール 29.75%(w/w)
プロペラント22 77.00%(w/w)
(クロロジフルオロメタン)
活性化合物をエタノールと混合し、混合物をプロペラント22の一部に添加し、-30℃まで冷却し、充填デバイスに移す。次いで、必要量をステンレス鋼容器に供給し、プロペラントの残りで希釈する。次いで、バルブユニットを容器にフィットさせる。
【0153】
4.坐薬
各々225 mgの有効成分を含有する坐薬を以下のようにして作成する:
活性化合物 225mg
飽和脂肪酸グリセリド 2,000mg
活性成分をNo.60メッシュの米国篩に通過させ、必要な最小熱を用いて予め融解させた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁させる。次いで、混合物を公称2g容量の坐薬モールドに注ぎ、冷却する。
【0154】
5.懸濁液
各々5 mL用量当たり50 mgの医薬を含有する懸濁液を以下のようにして作成する:
活性化合物 50mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 50mg
シロップ 1.25mL
安息香酸溶液 0.10mL
フレーバー 適量
着色剤 適量
精製水 5mLまで
活性成分をNo.45メッシュの米国篩を通し、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびシロップと混合して平滑なペーストを形成させる。安息香酸溶液、フレーバーおよび幾らかの着色剤を幾らの水で希釈し、撹拌しつつ添加する。次いで、十分な水を添加して所要の容量を得る。
【0155】
上記に記載された明細書は、当業者が本発明を実施するのを可能とするのに十分であると考えられる。製薬技術または関連分野の当業者に明らかなような、本発明を実施するための上記態様の種々の変形は、特許請求の範囲内に含まれるものである。
【0156】
ここに挙げた全ての参照文献は、その全体が本明細書の一部をなすものとして本願に援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明による11-アリール-5,6-ジヒドロ-11H-ジベンズ[b, e]アゼピン化合物を合成するための反応スキームを提供する。
【図2】 図2は、本発明による11-アリール-1,1-置換-5,6-ジヒドロ-ジベンズ[b, e]アゼピン化合物を合成するための反応スキームを提供する。.
Claims (45)
- 次式を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは水和物:
R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R" -C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR" 、-C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" 、-C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。
但し、i)R1〜R15の少なくとも1つは -H以外であり、ii)R1〜R7およびR9〜R15が-Hであるときは、R8は-Cl以外であり、そしてiii)R1およびR5〜R15が-HであるときはR2、R3およびR4は同時には-OCH3ではない。 - 請求項1に記載の化合物であって、
前記R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(O)OR"、-C(O)N(R")2、-C(O)C(O)R"、-C(O)C(O)OR"または-C(O)C(O)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。 - 請求項1に記載の化合物であって、前記ハロゲンはそれぞれ独立に、-F、-Clまたは-Brである化合物。
- 請求項1に記載の化合物であって、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは夫々独立に(Cl-C3)のものであり、また前記アリールはフェニルであり、または前記アリーレノはベンゼノである化合物。
- 請求項1に記載の化合物であって、前記R5、R6、R7、R9、R10、R11 およびR13 は、それぞれ独立に-R'である化合物。
- 請求項1に記載の化合物であって、前記R15 はR"、-C(O)R"、-C(O)OR"、-C(O)N(R")2、-C(O)C(O)R"、-C(O)C(O)OR" または -C(O)C(O)N(R")2 である化合物。
- 請求項1に記載の化合物であって、
前記R l が -R'または(C6-C10)アリールであり;
R2 が -R'または-OR'であり;
R3 が -R'または-OR'であるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C10)アリーレノであり;
R4 が -R'または-OR'であるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C10)アリーレノであり;
R5、R6およびR7が夫々 -Hであり;
R8が -R'、-F、-Cl、-Br または -Iであり;
R9、R10およびR11の夫々が -Hであり;
R12 が-R'、-F、-Cl、-Br または-Iであり;
R13 が-Hであり;
R14 が-R'、-F、-Cl、-Br または-Iであり;
R15 が-R"、-C(O)R"、-C(O)OR"、-C(O)N(R")2、C(O)C(O)R"、-C(O)C(O)OR"または-C(O)C(O)N(R")2であり;
夫々のR'が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル および(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択され;
夫々のR" が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル、(Cl-C3)アルキニル、(C6-C10)アリール、置換(C6-C10)アリール、(C6-C13)アルカリールまたは置換(C6-C13)アルカリールからなる群から独立に選択され;
前記アリールおよびアルカリールの置換基が、-OR'、-NO2、-NR'R'、-F、-Cl、-Br、-I、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニルおよび(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択される。 - 請求項1に記載の化合物であって:
R1 が-R' またはフェニルであり;
R2 が-R' または-OR'であり;
R3 が-R' または-OR'であるか、或いはR4と一緒になるときはベンゼノであり;
R4 が-R' または-OR'であるか、或いはR3と一緒になるときはベンゼノであり;
R5、R6 およびR7 の夫々は-Hであり;
R8 が-R'、-Clまたは-Brであり;
R9、R10およびR11 の夫々が-Hであり;
R12 が-R'、-Fまたは-Clであり;
R13 が-Hであり;
R14 が-R'または-Clであり;
R15 が-R"、-C(O)R"-、C(O)OR"-、C(O)NHR"、-C(O)C(O)R" または-C(O)C(O)OR"であり;
夫々のR'が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル および(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択され;
夫々のR" が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル、(Cl-C3)アルキニル、(C6-C10)アリール、モノ置換(C6-C10)アリール、(C6-C13)アルカリールまたはモノ置換(C6-C13)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基が、-OR'、-NO2、-NR'R'、-Cl、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニルおよび(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択される。 - 下記式(I)の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは水和物の有効量、および薬学的に許容可能な賦形剤、キャリアまたは希釈剤を含有する、哺乳類細胞増殖を阻害するための薬学的組成物:
R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R" -C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR" -C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" 、-C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。 - 請求項10に記載の薬学的組成物であって、
前記R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(O)OR"、-C(O)N(R")2、-C(O)C(O)R"、-C(O)C(O)OR"または-C(O)C(O)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。 - 請求項10に記載の薬学的組成物であって、前記ハロゲンはそれぞれ独立に、-F、-Clまたは-Brである薬学的組成物。
- 請求項10に記載の薬学的組成物であって、前記アルキル、アルケニルおよびアルキニルは夫々独立に(Cl-C3)のものであり、また前記アリールはフェニルであり、または前記アリーレノはベンゼノである薬学的組成物。
- 請求項10に記載の薬学的組成物であって、前記R5、R6、R7、R9、R10、R11 およびR13 は、それぞれ独立に-R'である薬学的組成物。
- 請求項10に記載の薬学的組成物であって、前記R15 はR"、-C(O)R" -C(O)OR"、-C(O)N(R")2、-C(O)C(O)R"、-C(O)C(O)OR" または -C(O)C(O)N(R")2 である薬学的組成物。
- 請求項10に記載の薬学的組成物であって、
前記R l が -R'または(C6-C10)アリールであり;
R2 が -R'または-OR'であり;
R3 が -R'または-OR'であるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C10)アリーレノであり;
R4 が -R'または-OR'であるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C10)アリーレノであり;
R5、R6およびR7が夫々 -Hであり;
R8が -R'、-F、-Cl、-Br または -Iであり;
R9、R10およびR11の夫々が -Hであり;
R12 が-R'、-F、-Cl、-Br または-Iであり;
R13 が-Hであり;
R14 が-R'、-F、-Cl、-Br または-Iであり;
R15 が-R"、-C(O)R"、-C(O)OR"、-C(O)N(R")2、C(O)C(O)R"、-C(O)C(O)OR"または-C(O)C(O)N(R")2であり;
夫々のR'が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル および(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択され;
夫々のR" が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル、(Cl-C3)アルキニル、(C6-C10)アリール、置換(C6-C10)アリール、(C6-C13)アルカリールまたは置換(C6-C13)アルカリールからなる群から独立に選択され;
前記アリールおよびアルカリールの置換基が、-OR'、-NO2、-NR'R'、-F、-Cl、-Br、-I、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニルおよび(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択される。 - 請求項10に記載の薬学的組成物であって:
R1 が-R' またはフェニルであり;
R2 が-R' または-OR'であり;
R3 が-R' または-OR'であるか、或いはR4と一緒になるときはベンゼノであり;
R4 が-R' または-OR'であるか、或いはR3と一緒になるときはベンゼノであり;
R5、R6 およびR7 の夫々は-Hであり;
R8 が-R'、-Clまたは-Brであり;
R9、R10およびR11 の夫々が-Hであり;
R12 が-R'、-Fまたは-Clであり;
R13 が-Hであり;
R14 が-R'または-Clであり;
R15 が-R"、-C(O)R"-、C(O)OR"-、C(O)NHR"、-C(O)C(O)R" または-C(O)C(O)OR"であり;
夫々のR'が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル および(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択され;
夫々のR" が -H、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニル、(Cl-C3)アルキニル、(C6-C10)アリール、モノ置換(C6-C10)アリール、(C6-C13)アルカリールまたはモノ置換(C6-C13)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基が、-OR'、-NO2、-NR'R'、-Cl、(Cl-C3)アルキル、(Cl-C3)アルケニルおよび(Cl-C3)アルキニルからなる群から独立に選択される。 - 非ヒト哺乳類細胞増殖を阻害する方法であって、該方法は、非ヒト哺乳類細胞をインサイチューにおいて、有効量の次式を有する少なくとも1種の化合物と接触させることを含む方法:
R 1 は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり; R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R"、-C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR"、 -C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" -C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。 - 請求項19に記載の方法であって、前記非ヒト哺乳類細胞は上皮細胞、繊維性細胞、または血管平滑筋細胞である方法。
- 異常な細胞増殖を特徴とする疾患を治療する方法であって、該方法は、それを必要としている非ヒト患者に対して、治療的に有効な量の次式を有する少なくとも1種の化合物を投与することを含む方法:
R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R"、 -C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR"、 -C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" -C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される。 - 請求項23に記載の方法であって、前記異常細胞増殖を特徴とする疾患が癌、血管増殖障害、線維症障害またはアテローム硬化症である方法。
- 請求項26に記載の方法であって、前記化合物が経口投与、非経腸的投与または静脈内投与用である方法。
- 請求項23に記載の方法であって、前記異常細胞増殖を特徴とする疾患が皮膚疾患またはカポシ肉腫であって、前記化合物が経皮的投与用である方法。
- 請求項28に記載の方法であって、前記皮膚疾患がケロイド、過形成性瘢痕、脂漏性皮膚病、パピローマウイルス感染、湿疹および光線性角化症よりなる群から選択される方法。
- 請求項26に記載の方法であって、前記血管増殖障害が血管新生または脈管形成障害である方法。
- 請求項30に記載の方法であって、前記血管増殖障害が血管新生障害である方法。
- 式(I)
【外1】
式中、
R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R"、 -C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR"、 -C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" -C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される、
で表される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは水和物の、哺乳類細胞増殖を阻害するための医薬組成物の製造への使用。 - 式(I)
【外2】
式中、
R1は、-R'、(C6-C20)アリールまたは置換(C6-C20)アリールであり;
R2は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであり;
R3は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR4と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R4は、-R'、-OR'、-SR'、ハロゲンまたはトリハロメチルであるか、或いはR3と一緒になるときは(C6-C20)アリーレノであり;
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14の夫々は、-R'、ハロゲンおよびトリハロメチルからなる群から独立に選択され;
R15は、-R"、-C(O)R"、-C(S)R"、-C(O)OR"、-C(S)OR"、-C(O)SR"、-C(S)SR"、-C(O)N(R")2、-C(S)N(R")2、-C(O)C(O)R"、 -C(S)C(O)R"、-C(O)C(S)R"、-C(S)C(S)R"、-C(O)C(O)OR"、 -C(S)C(O)OR"、-C(O)C(S)OR"、-C(O)C(O)SR"、-C(S)C(S)OR" -C(S)C(O)SR"、-C(O)C(S)SR"、-C(S)C(S)SR"、-C(O)C(O)N(R")2、-C(S)C(O)N(R")2、-C(O)C(S)N(R")2 または-C(S)C(S)N(R")2であり;
各R'は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニルおよび(C1-C6)アルキニルからなる群から独立に選択され;
各R"は、-H、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニル、(C6-C20)アリール、置換(C6-C20)アリール、(C6-C26)アルカリールおよび置換(C6-C26)アルカリールからなる群から独立に選択され;
アリールおよびアルカリールの置換基は、-CN、-OR'、-SR'、-NO2、-NR'R'、ハロゲン、(Cl-C6)アルキル、(Cl-C6)アルケニル、(Cl-C6)アルキニルおよびトリハロメチルからなる群から夫々独立に選択される、
で表される少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは水和物の、異常細胞増殖を特徴とする疾患を治療するための医薬組成物の製造への使用。 - 哺乳類細胞が、上皮細胞、繊維性細胞または血管平滑筋細胞である、請求項33に記載の使用。
- 異常細胞増殖を特徴とする疾患が癌、血管増殖障害、線維症障害またはアテローム硬化症である、請求項34に記載の使用。
- 化合物が、経口投与、非経腸的投与または静脈内投与用である、請求項38に記載の使用。
- 異常細胞増殖を特徴とする疾患が皮膚疾患またはカポシ肉腫であり、化合物が経皮投与用である、請求項34に記載の使用。
- 皮膚疾患がケロイド、過形成性瘢痕、脂漏性皮膚病、パピローマウイルス感染、湿疹および光線性角化症よりなる群から選択される、請求項40に記載の使用。
- 血管増殖障害が血管新生または脈管形成障害である、請求項41に記載の使用。
- 血管増殖障害が血管新生障害である、請求項42に記載の使用。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは水和物の有効量、および薬学的に許容可能な賦形剤、キャリアまたは希釈剤を含有する薬学的組成物。
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