JP3790120B2 - Cicメタルコアプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメタルコアプリント配線板に係り、特にCICメタルコアプリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板が電子機器の基幹部品となって久しいが、振り返ってみるとプリント配線板に搭載される電子部品の進歩は目覚しく、その電子部品の開発に合わせるようにプリント配線板も新しい技術を開発しながら進歩してきた。
プリント配線板は電子部品を固定するとともに電子部品の入出力端子間を結線する役割を担うものであるが、電子部品とプリント配線板との接続を考えた時にプリント配線板にとって二つの大きな変革があった。その一つが、1960年代にスルーホールプリント配線板が実用化されたことであり、他の一つが、1980年代後半〜1990年代にプリント配線板に搭載する部品が従来のリード部品から表面実装部品に移行したことである。
【0003】
スルーホールプリント配線板はリード部品の実装においてその接続信頼性を飛躍的に向上させたことにおいて画期的である。スルーホールでなかったプリント配線板の場合には、部品リードをプリント配線板の部品孔に挿入した上で部品リードを折り曲げることでプリント配線板のランドとの接続面積を確保する必要があった。このような実装上の配慮をしてもなお接続不良を撲滅できなかった。
【0004】
スルーホールプリント配線板の登場で、上記部品リードの折り曲げが不要になったことから自動実装装置が普及することになった。また、接続信頼性が格段に向上し、実装条件の管理により接続不良を撲滅することが可能になった。
【0005】
一方、リード部品から表面実装部品への移行は、プリント配線板への部品実装に関して新たな接続信頼性の問題を提起することになった。すなわち、スルーホールによって格段に向上した接続信頼性について、初めからの見直しになっただけでなく、さらに搭載ICのパッケージあるいはインターポーザ基板とプリント配線板の熱膨張係数整合の必要性が出てきた。これは、搭載ICとプリント配線板とで熱膨張係数の差が大きいと、製品使用環境温度の変動により、はんだ接合部分に応力がかかるため接続寿命が短くなってしまうというもので、ICパッケージサイズが小さい場合には影響が少なく、また、大きいサイズのICでもQFPパッケージのようにガルウイング型リードを持つ表面実装部品の場合は、そのリードが環境温度変動に伴う接合部応力を吸収するので大きな問題にはならなかった。
【0006】
しかしながら、マイクロプロセッサの開発進歩は目覚しく、それに伴い集積規模が大きくなり、入出力ピン数が増加し、前記QFPのリードピッチでは限界になってしまった。そこで採用されたBGAパッケージのICは、格子上に配置したバンプと呼ばれる入出力端子をプリント配線板のパッド上に載置し、はんだ接合するものである。そのため、前述の搭載ICとプリント配線板との熱膨張係数の差があると、温度変化による応力がすべて接合箇所にかかってしまい接合部の寿命を短くしてしまうという問題がでてきた。
【0007】
この問題を解決するためのプリント配線板における対応策として、銅・インバー・銅の積層板(以下、CICという。)を芯材にしたメタルコアプリント配線板を使用することでセラミックインタポーザまたはセラミックパッケージの熱膨張係数に近づける方法がある。該熱膨張係数調整は、銅張り積層板の材質選定と、基材全体厚に対するCICメタルコア厚の比率すなわちCICの枚数を変化させることにより行なう。CICの厚み比率が1:6:1で0.15mm厚のCICをコアに使用してセラミックパッケージの熱膨張係数に合わせるCICメタルコアプリント配線板を製造するのに、計算上及び実験の結果、例えば10層板3.2mm厚さのガラスエポキシ基材でCICメタルコア3枚使用で目的を達成することができた。
このCICメタルコアプリント配線板は、熱膨張率の整合が得られるだけでなく、放熱性の向上とプリント配線板のそり低減、曲げに対する強度向上が得られるので、苛酷な環境下で使用され高信頼性が要求される航空機等に搭載する電子機器の超高集積半導体部品実装に極めて有用である。
【0008】
前記CICメタルコアプリント配線板の従来製造方法におけるCICメタルコアを図3に示す。図3において、6はCICメタルコア、61はCIC、62は製品部、63は作業ボード外周部、64は製品外形加工線、65はつなぎ部分、66はCIC除去部、67は基準孔である。ここで、作業ボード外周部63はプリント配線板製造工程中に必要な部分であり、最終的には製品外形加工線64で切り離して破棄されるものである。従来、CICメタルコア6を製作するにあたっては、CIC61を機械的またはケミカルミリングにより図3に示す形状に加工していた。すなわち製品外形加工線64に沿って製品部62と作業ボード外周部63を数箇所(例では4箇所)つなぎ部分65として残してCIC除去部66を設けた形状であるが、このつなぎ部分65は、作業ボード外周部63に設けた基準孔67に対して製品部62の位置がずれないように保持する役割を果たしているものである。この時、図では省略しているが、プリント配線板のスルーホールに該当する箇所全てにクリアランスホールを同時加工するのは勿論である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記対応策のCICメタルコアプリント配線板を製造する方法は、図3に示すように、製品部62と作業ボード外周部63が数箇所(図では4箇所)のつなぎ部分65で連結された状態であるので、最終的にプリント配線板製品外形に仕上げた際に該製品端面に前記つなぎ部分65のCIC切断面が露出することになってしまい、プリント配線板を筐体に取り付けた時にCIC露出部と筐体とが接触し、電子回路の動作不安定を来すという問題があった。また、プリント配線板製品外形加工にあたり、硬いCICを切断するのは作業性が悪い上、ルータービットの摩耗が激しいためルータービットを頻繁に交換しなければならないという問題もあった。さらに、複数枚のCICメタルコアに電源層とグランド層を割り当てた場合には、前記CIC切断面の露出部における電源ショートを防止するため、プリント配線板製造工程中の積層後に前記つなぎ部分を穿孔により切断し、該穿孔箇所を樹脂充填するという面倒な作業行程を追加しなければならないという問題もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、CIC切断面が製品外形端面に露出することがなく、また、外形加工が容易なCICメタルコアプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1のCICメタルコアプリント配線板の製造方法は、CIC(銅・インバー・銅の積層板)をコアとするメタルコアプリント配線板のCICメタルコア製作において、ガラス布入り半硬化樹脂シートによりCICを裏打ちするようにCICとガラス布入り半硬化樹脂シートとを加熱加圧接着し、プリント配線板製品外形加工線に沿って、連続して全周に渡り該加工線を跨ぐ所定の幅のスリット状CIC除去部を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項1のCICメタルコアプリント配線板の製造方法によれば、プリント配線板製品外形船上のCICが、連続して全周に渡って予め除去されるので、外形加工時にCICを切断する必要がなく、また、外形加工後のプリント配線板製品端面にCICが露出することがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のCICメタルコアプリント配線板の製造方法について図面を使用して説明する。図1は本発明のCICメタルコア形状を示す図、図2は本発明のCICメタルコアプリント配線板の層構成一実施例を示す断面図である。図1において、1はCICメタルコアボード、11はCIC、12はガラス布入り半硬化樹脂シート(以下、プリプレグという)によるガラス繊維入り樹脂層、13は製品部、14は作業ボード外周部、15は製品外形加工線、16はCIC除去部、17は基準孔である。先ず、図1の形状に加工する前に、基準孔17穿孔済みのCIC11と、同じく基準孔17穿孔済みのプリプレグとを熱圧着により接着し、CICメタルコアボード1を形成する。
このようにCIC11にプリプレグを接着するのは、後に設けるCIC除去部16にガラス繊維入り樹脂層12を介在させ、基準孔17を設けた作業ボード外周部14と製品部13との正確な位置関係を保持するためである。
【0013】
その後、CICメタルコアボード1のCIC11表面に感光性樹脂フィルムによりレジスト膜を形成し、その上に予め作成したマスキングフィルムを重ね合わせて露光し、続いて、現像する。ここで、予め作成するマスキングフィルムの模様には、製品外形加工線15全周を跨ぐ所定の幅のスリット状CIC除去部16と、図では省略したプリント配線板スルーホール位置該当部に設けたクリアランスホールとを含むものとする。なお、CICをスルーホールに接続する場合には、該スルーホール位置に該スルーホール径より小さい径の下穴を前記マスキングフィルムの模様に追加しておくことで、ドリル工程において硬いCICを穿孔する助けになる。
露光、現像済みの上記CICメタルコアボード1を塩化第二鉄等のエッチング液でケミカルミリングすることによりCIC除去部16と前記クリアランスホール部のCIC11を除去し、続いてレジスト膜を剥離する。
【0014】
ここで、CIC除去部16の具体的寸法例を説明する。CIC除去部16の寸法を、製品外形加工時に使用するルータービットの直径が2mmとして、製品外形加工線15を中心とした5mm幅に設定すれば、プリント配線板最終製品の外形端面から2.5mm内側にCICメタルコアが納まることになる。また、この外形端面からCICまでの距離を0.5mmとするには、製品外形加工線4の内側0.5mm、外側2.5mm、合計3mm幅のCIC除去部16を形成すれば良い。上記は、ルータービットの直径を2mmとしたが、より大きい径のルータービットを使用する場合には、CIC除去部16の寸法を増加すればよい。
【0015】
次に、図2を参照して本発明のCICメタルコアプリント配線板の製造工程を説明する。図2において、1は前記CICメタルコアボード、2は予め製作した内層、3は外層用銅張り積層板、4はプリプレグ、5はボンディングプレートである。
前記製作したCICメタルコアボード1と、内層2、外層用銅張り積層板3とをプリプレグ4を介しボンディングプレート5で挟み込み、図2に示す順で図では省略した基準孔をピンに挿入し、スタックする。スタック完了した上記構成を真空プレス積層装置により加熱加圧して積層する。その後は、一般的なプリント配線板の製造工程により、ドリル、銅めっき、レジスト処理、エッチング、マーキング、表面処理等を経て最後に外形加工を行なう。
【0016】
前記により加工したCICメタルコアボード1の形状は、図3に示す従来のCICメタルコア形状6と異なり、製品外形加工線15を跨ぐつなぎ部分にCIC11を残さず、プリプレグによるガラス繊維入り樹脂層12で製品部13と作業ボード外周部14とがつながれているだけであるので、プリント配線板製造工程の最終段階で外形加工を行なう際、外形線でCICを切断することがない。従って、プリント配線板最終製品の外形端面にCICが露出することがない。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、プリント配線板の外形端面にCICが露出することがないので、部品搭載後のプリント配線板を筐体に収納しても筐体間との絶縁不良の問題は発生しない。また、外形加工時に硬いCICを切断する必要がないので、効率よく作業することが可能になり、ルータービットの頻繁な交換も必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCICメタルコアプリント配線板に使用するCICボード形状を示す図である。
【図2】本発明のCICメタルコアプリント配線板層構成の一実施例を示す断面図である。
【図3】従来製造方法におけるCICメタルコアプリント配線板のCICボード形状を示す図である。
【符号の説明】
1 CICメタルコアボード
11 銅・インバー・銅の積層板(CIC)
12 プリプレグによるガラス繊維入り樹脂層
13 製品部
14 作業ボード外周部
15 製品外形加工線
16 CIC除去部
17 基準孔
2 内層
3 外層用銅張り積層板
4 プリプレグ
5 ボンディングプレート
6 従来のCICメタルコア形状
61 銅・インバー・銅の積層板(CIC)
62 製品部
63 作業ボード外周部
64 製品外形加工線
65 つなぎ部分
66 CIC除去部
67 基準孔
Claims (1)
- CIC(銅・インバー・銅の積層板)をコアとするメタルコアプリント配線板のCICメタルコア製作において、
ガラス布入り半硬化樹脂シートによりCICを裏打ちするようにCICとガラス布入り半硬化樹脂シートとを加熱加圧接着し、
プリント配線板製品外形加工線に沿って、連続して全周に渡り該加工線を跨ぐ所定の幅のスリット状CIC除去部を形成することを特徴とするCICメタルコアプリント配線板の製造方法。
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