JP3789293B2 - 車両の操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の挙動を制御するための主操作部材と、この主操作部材に乗員の体の一部が接触した状態で、乗員の体の一部により操作できる副操作部材とを備えている車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両には、駆動力源、変速機、制動装置などのように各種の挙動制御装置が搭載されているとともに、これらの挙動制御装置の状態を制御するために各種の操作部材が設けられている。そして、乗員がこれらの操作部材を操作することにより、挙動制御装置の状態が制御される。
【0003】
ところで、複数の操作部材を車室内に設ける場合に、各操作部材同士が離れた位置に設けられていると、車両の乗員による操作部材の操作性が低下する可能性がある。そこで、複数の操作部材同士を接近した場所に配置することにより、車両の乗員による操作部材の操作性を向上させる操作装置が提案されており、その一例が特開平5−270410号公報に記載されている。すなわち、この公報に記載された操作装置は、車両の操舵輪の向きを制御するためのステアリングホイールと、ステアリングホイールを把持した手指で操作可能な位置に設けられたアクセルレバーと、ステアリングホイールを把持した手指で操作可能な位置に設けられたブレーキレバーとを備えている。また、アクセルレバーおよびブレーキレバーの操作信号は、電子制御装置に入力されるように構成されている。さらに、エンジンの電動スロットルを駆動する駆動回路と、前後輪を制動させるブレーキ装置を駆動するための油圧アクチュエータとが設けられている。
【0004】
上記構成によれば、乗員がステアリングホイールを手指により把持したままの状態で、その手指によりアクセルレバーおよびブレーキレバーを操作することができる。各レバーの操作信号は電子制御装置に入力されるとともに、電子制御装置から駆動回路および油圧アクチュエータに制御信号が入力され、電動スロットルおよびブレーキ装置が駆動される。このように、ステアリングホイールを把持している片方の手で、アクセル操作およびブレーキ操作の両方をおこなうことができ、各レバーの操作が容易になるものとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車輪とステアリングホイールとは、ステアリングコラム、ギヤ機構、リンク機構などの操作力伝達伝達機構により、機械的に連結されている。したがって、車両が走行する路面状況によって車輪が振動すると、この車輪の振動が、上記の操作力伝達機構を経由してステアリングホイールに伝達される。ここで、前述した公報のように、ステアリングホイールを手で掴んだまま、その手指でアクセルレバーおよびブレーキレバーを操作できるように構成されていると、ステアリングホイールの振動により、ステアリングホイールを掴んでいる手に振動が伝達されるため、この振動により、乗員の意図とは無関係に、アクセルレバーもしくはブレーキレバーが動作する可能性があった。
【0006】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、車両の挙動を制御するために主操作部材に人体の一部を接触された状態で、他の副操作部材に人体の一部を接触させてこの副操作部材を操作する場合に、副操作部材の動作要因を判定することのできる車両の操作装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、車両の操舵方向を制御するために車両に取り付けられ、かつ、乗員の手で操作されるステアリングホイールと、このステアリングホイールに接触している手で操作可能であり、かつ、前記車両に設けられた駆動力源またはブレーキ装置または変速機を制御するために操作される副操作部材とを備えた車両の操作装置において、前記ステアリングホイールを振動させる外乱が発生しているか否かを判断し、その判断結果に基づいて、前記副操作部材の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じたものであるか否かを判断することを特徴とするものである。
【0008】
請求項1の発明によれば、ステアリングホイールを振動させる外乱が発生しているか否かを判断し、その判断結果に基づいて、副操作部材の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じたものであるか否かが判断される。言い換えれば、副操作部材の動作要因が判断される。したがって、副操作部材の動作に対応する駆動力源またはブレーキ装置または変速機の状態が、乗員の意図に適合するか否かを判断することができる。
【0009】
請求項2の発明は、車両の操舵方向を制御するために車両に取り付けられ、かつ、乗員の手で操作されるステアリングホイールと、このステアリングホイールに接触している手で操作可能であり、かつ、前記車両に設けられた駆動力源またはブレーキ装置または変速機を制御するために操作される副操作部材とを備えた車両の操作装置において、前記ステアリングホイールの振動状態を判断し、その判断結果に基づいて、前記副操作部材の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じたものであるか否かを判断する要因判断手段を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明によれば、ステアリングホイールの振動状態を判断し、その判断結果に基づいて、副操作部材の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じたものであるか否かが判断される。言い換えれば、副操作部材の動作要因が判断される。したがって、副操作部材の動作に対応する駆動力源またはブレーキ装置または変速機の状態が、乗員の意図に適合するか否かを判断することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の構成に加えて、前記要因判断手段は、路面状況に基づいて発生する外乱を判断する手段を含むことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1と同様の作用が生じる他に、路面状況に基づいて発生する外乱が判断されるため、副操作部材の動作が乗員の意図に基づくものであるか否かを判断する精度が一層向上する。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1の構成に加えて、前記車両は、駆動力源のトルクが駆動輪に伝達されるように構成されているとともに、前記要因判断手段は、前記駆動力源の振動が前記ステアリングホイールに伝達される外乱を判断する手段を含むことを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明によれば、請求項1と同様の作用が生じる他に、駆動力源の振動がステアリングホイールに伝達されて発生する外乱が判断されるため、副操作部材の動作が乗員の意図に基づくものであるか否かを判断する精度が一層向上する。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成に加えて、前記要因判断手段の判断結果に基づいて、前記副操作部材の動作に対応する前記駆動力源またはブレーキ装置または変速機の制御内容を調整する制御内容調整手段を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかと同様の作用が生じる他に、要因判断手段の判断結果に基づいて、副操作部材の動作に対応する駆動力源またはブレーキ装置または変速機の制御内容が調整される。したがって、副操作部材の動作に対応する駆動力源またはブレーキ装置または変速機の制御内容を、乗員の意図に適合させやすくなる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5の構成に加えて、前記制御内容調整手段は、前記ステアリングホイールの振動方向と前記副操作部材の動作方向とに基づいて、前記制御内容を調整する手段を含むことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6の発明によれば、請求項5と同様の作用が生じる他に、ステアリングホイールの振動方向と副操作部材の動作方向とに基づいて、制御内容が調整される。請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの構成に加えて、前記車両の走行方向を制御する車輪が設けられており、この車輪と前記ステアリングホイールとが振動伝達可能に連結されていることを特徴とするものである。請求項7の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかと同様の作用が生じる他に、車輪の振動がステアリングホイールに伝達されて、このステアリングホイールが振動しているか否かを判断することができる。
【0019】
この発明において、乗員の体の一部には、乗員の体の一部自体の他、乗員が着用している衣服、手袋、靴などが含まれる。また、主操作部材に接触する乗員の体の一部と、副操作部材に接触する乗員の体の一部とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図2は、この発明の一実施例である車両の概略構成を示す説明図である。車両の駆動力源であるエンジン1の動力(言い換えればトルク)は、変速機2、プロペラシャフト3、差動装置4、ドライブシャフト5を介して、駆動輪としての車輪、具体的には後輪6に伝達されるように構成されている。上記エンジン1は、燃料を燃焼させて動力を出力する装置であって、このエンジン1としては、内燃機関、例えば、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンまたはLPGエンジンなどを採用することができる。以下、この実施形態においては、エンジン1として、便宜上、ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。
【0021】
エンジン1は、点火装置(図示せず)、燃料噴射装置(図示せず)、吸気管7などの機構を備えた公知のものであり、吸気管7の内部には電子スロットルバルブ8が設けられている。また、電子スロットルバルブ8の開度を制御するアクチュエータ(例えば電動モータなど)9が設けられている。
【0022】
前記変速機2としては、その変速比を手動操作により変更する機能、または、その変速比を車両の走行状態に基づいて、自動的に変更する機能のうち、少なくとも一方の機能を備えた変速機を用いることができる。また、変速機2としては、その変速比を段階的(不連続的)に変更する機能、またはその変速比を無段階(連続的)に調整する機能のいずれか一方を備えた変速機を用いることができる。以下、この実施形態においては、変速機2として、その変速比を車両の走行状態に基づいて、自動的に変更する機能と、その変速比を段階的(不連続的)に変更する機能とを備えた変速機を用いた場合について説明する。変速機2は、複数の遊星歯車機構(図示せず)と、これら遊星歯車機構の回転要素の回転・停止を制御する各種の摩擦係合装置(図示せず)とを有する公知のものである。この摩擦係合装置の係合・解放状態を切り換えることにより、その変速比が制御される。
【0023】
これらの摩擦係合装置の係合・解放を、自動的もしくは手動操作により切り換えるための油圧制御装置10が設けられている。また、変速機2により設定される変速比の制御範囲を変更するシフトレバー11が設けられている。このシフトレバー11の操作により、例えば、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションを選択的に切り換えることができる。これらのシフトポジションの切り換え操作により、変速機2の変速比もしくは変速比の制御範囲が制御される。
【0024】
車両の室内にはステアリングホイール12が設けられており、ステアリングホイール12にはステアリングコラム13が連結されている。ステアリングコラム13は、水平線(図示せず)に対して所定角度傾斜した状態で、ボデー側のダッシュパネルに対して回転可能に支持されている。ステアリングホイール12は、ステアリングコラム13の軸線にほぼ直交する平面内において、正逆方向に回転可能である。
【0025】
さらに、ステアリングコラム13がギヤボックス14に連結されている。ギヤボックス14は、ステアリングウォーム、セクタシャフトなどを有する公知のものである。ギヤボックス14にはリンク機構15が連結され、このリンク機構15には前輪16が接続されている。このリンク機構15はリレーロッド、タイロッドなどを有する公知のものである。これらステアリングコラム13、ギヤボックス14、リンク機構15は操作力伝達機構であり、ステアリングホイール12と前輪16とが、操作力伝達機構により機械的に連結されている。
【0026】
また、左右の前輪16および左右の後輪6にはそれぞれブレーキ17が別個に設けられている。ブレーキ17として、ホイールシリンダ18などを備えた公知の油圧式ブレーキが用いられている。各ホイールシリンダ18には、アクチュエータ19が接続されている。アクチュエータ19は、各種のソレノイドバルブ、ポンプ、リザーバなどを備えた公知のものである。また、前輪16および後輪6に対応する懸架装置20が設けられている。この懸架装置20は、スプリング、ショックアブソーバなどを有する公知のものである。
【0027】
一方、前記ステアリングホイール12の近傍には、エンジン出力制御レバー21と、制動力制御レバー22とが設けられている。このエンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22は、ステアリングホイール12を手で掴んだ状態で、その手の指により操作することのできる位置に設けられている。具体的には、エンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22を、車両の進行方向においてステアリングホイール12よりも前方、車両の進行方向においてステアリングホイール12よりも後方、車両の進行方向においてステアリングホイール12の配置領域、ステアリングホイール12の環状部分の内側または外側、ステアリングホイール12の下方または上方などに配置することができる。またエンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22は、片方の手で操作することのできる位置、または別々の手で操作することのできる位置のいずれに配置してもよい。
【0028】
さらに、エンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22は、支軸を中心として所定角度の範囲内で動作するように構成されている。このエンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22の動作方向は、ほぼ水平方向、ステアリングコラム13の軸線方向、車両の左右方向(幅方向)、車両の前後方向、車両の上下方向、ステアリングホイール12の回転方向などのうち、いずれの方向に動作するように構成されていてもよい。
【0029】
一方、車両全体を制御する総合制御装置(ECU)23が設けられている。総合制御装置23は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。この総合制御装置23に対しては、シフトレバー11の操作を検知するシフトポジションセンサ24の信号、車速センサ25の信号、エンジン回転数センサ26の信号、ステアリングホイール12に作用する加速度を検知するステアリングホイールセンサ27の信号、車体の加速度を検知する車体加速度センサ29の信号、前輪16および後輪6の回転速度を別個に検知する車輪回転速度センサ28の信号、前輪16および後輪6に作用する上下方向の荷重(言い換えれば接地荷重)を検知する接地荷重センサ33の信号、懸架装置20の車体上下方向における変位を検知するストロークセンサ30の信号、エンジン出力制御レバー21の動作を検知する第1の動作状態検知センサ31の信号、制動力制御レバー22の動作を検知する第2の動作状態検知センサ32の信号などが入力される。
【0030】
ステアリングホイールセンサ27により検知されるステアリングホイール12の状態としては、乗員からステアリングホイール12に入力される操作力(回転トルク)、ステアリングホイール12の操舵角(回転角)、ステアリングホイール12の回転角加速度、ステアリングホイール12に作用する車両の前後方向の加速度、ステアリングホイール12に作用する車両の左右方向の加速度、ステアリングホイール12に作用する車両の上下方向の加速度、ステアリングコラム13の軸線に直交してステアリングホイール12に作用する加速度などが挙げられる。車体加速度センサ29により検知される車体加速度としては、車両の前後方向の加速度、車両の左右方向の加速度、車両の上下方向の加速度などが挙げられる。ストロークセンサ30により検知される懸架装置20の変位量としては、ショックアブソーバおよびスプリングの伸縮量、または伸縮速度などが挙げられる。
【0031】
これに対して、総合制御装置23からは、油圧制御装置10を制御する信号、エンジン1の点火装置および燃料噴射装置を制御する信号、アクチュエータ9,19を制御する信号、油圧制御装置10を制御する信号などが出力される。
【0032】
図2に示された車両の制御を説明する。まず、乗員がステアリングホイール12を手で掴み、かつ、ステアリングホイール12を操作すると、その操作力がステアリングコラム13、ギヤボックス14、リンク機構15を経由して前輪16に伝達され、前輪16の向き(操舵方向)が制御される。また、乗員がステアリングホイール12を手で掴んだまま、その手でエンジン出力制御レバー21を操作すると、その操作状態が第1の動作状態検知センサ31により検知される。第1の動作状態検知センサ31の検知信号は総合制御装置23に入力されるとともに、第1の動作状態検知センサ31の信号に基づく制御信号が総合制御装置23から出力される。この出力信号がアクチュエータ9に入力され、アクチュエータ9により電子スロットルバルブ8の開度が制御される。このようにして、吸入空気量、ひいてはエンジン出力が制御される。そして、エンジン1の動力は、変速機2、プロペラシャフト3、差動装置4、ドライブシャフト5を介して車輪6に伝達されて、駆動力が発生する。
【0033】
さらに、乗員がステアリングホイール12を手で掴んだまま、その手で制動力制御レバー22を操作すると、その操作状態が第2の動作状態検知センサ32により検知される。第2の動作状態検知センサ32の検知信号は総合制御装置23に入力されるとともに、2の動作状態検知センサ32の信号に基づく制御信号が総合制御装置23から出力される。この出力信号がアクチュエータ19に入力され、アクチュエータ19によりホイールシリンダ18の油圧が制御される。このようにして、ブレーキ装置17の制動力が制御される。上記のように、基本的には、第1の動作状態検知センサ31および第2の動作状態検知センサ32の信号に基づいて、総合制御装置23により目標加減速度が設定され、実際の加減速度を目標加減速度に近づけるように、電子スロットルバルブ8の開度およびホイールシリンダ18の油圧が制御される。
【0034】
ところで、車両の走行中は、路面状況などの条件に基づいて、車体や車輪16が振動し、その振動がステアリングホイール12に伝達され、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22の動作に影響を及ぼす可能性がある。このような事態に対処するための制御の概略を、図1のフローチャートに基づいて説明する。
【0035】
まず、ステアリングホイールセンサ27の信号に基づいて、ステアリングホイール12の振動状態の判定をおこなう(ステップS1)。ついで、ステアリングホイール12を掴んでいる乗員の手が振動する原因となる外乱、例えば、路面変化に基づく外乱の判定をおこなう(ステップS2)。その後、ステップS1またはステップS2の少なくとも一方の判断結果に基づいて、第1の動作状態検知センサ31または第2の動作状態検知センサ32少なくとも一方の信号を処理する(ステップS3)。さらに、このステップS3の処理結果に基づいて、目標加減速度を演算し(ステップS4)、このステップS4の演算結果に基づいて、電子スロットルバルブ8の開度またはホイールシリンダ18の油圧の少なくとも一方を制御し(ステップS5)、リターンする。
【0036】
上記ステップS1の具体例を、図3のフローチャートおよび図4のタイムチャートに基づいて説明する。この図4のタイムチャートにおいては、ステアリングホイール12に対する正逆方向の回転トルクの微分値と、ステアリングホイール12の正逆方向の回転角加速度の微分値と、車両の上下方向におけるステアリングホイール12の加速度の微分値と、車両の左右方向におけるステアリングホイール12の加速度の微分値と、車両の前後方向におけるステアリングホイール12の加速度の微分値とを、「零」を基準として正側および負側に示している。
【0037】
まず、ステアリングホイール12に付与される回転トルクに基づいて、ステアリングホイール12の振動判定をおこなう場合について説明する。すなわち、回転トルクステアリングホイールセンサ27により検知される回転トルクの信号(T)を取り込むとともに(ステップS11)、回転トルクの微分値(ΔT)を演算する(ステップS12)。ついで、この微分値(ΔT)の絶対値が、図4に破線で示す判定閾値を越えているか否かが判断される(ステップS13)。この判定閾値は、正側および負側の両方に設定されており、各判定閾値の絶対値は同じである。このステップS13で肯定的に判断された場合に「時刻t1以降はステアリングホイール12が振動中である」と判定する(ステップS14)。このステップS14についで、微分値(ΔT)の絶対値の最大値(ΔTmax )を記憶し(ステップS15)、リターンする。
【0038】
前記ステップS13で否定的に判断された場合は、微分値(ΔT)の絶対値が、判定閾値よりも小さくなった時刻t2から、所定時間が経過して時刻t3になったか否かが判断される(ステップS16)。このステップS16で否定的に判断された場合は、ステップS14に進み、ステップS16で肯定的に判断された場合は「ステアリングホイール12は振動していない」と判定する(ステップS17)。このステップS17についで、前記最大値(ΔTmax )をリセットし(ステップS18)、リターンする。なお、微分値(ΔT)の絶対値が判定閾値よりも小さくなったとしても、その時刻t2から所定時間が経過するまでは、ステップS14に進む理由は、一旦、ステアリングホイール12が所定方向に変位すると、その逆方向に変位する、いわゆる揺り戻し現象が生じる可能性があり、そのような可能性がある状態では、ステアリングホイール12が振動中であると判定しておくためである。
【0039】
なお、図3の制御例において、振動の判定に用いる物理量としては、ステアリングホイール12のトルクの他に、図4に示すように、ステアリングホイール12の回転角加速度(回転方向の加速度)、または、車両の上下方向におけるステアリングホイール12の加速度、または車両の左右方向におけるステアリングホイール12の加速度、または車両の前後方向におけるステアリングホイール12の加速度などが挙げられる。
【0040】
図3の制御例において、ステアリングホイール12の回転角加速度を用いる場合は、ステップS11でステアリングホイール12の回転角加速度の信号を取り込み、ステップS12では所定時間内における回転角加速度の微分値を求める。ついで、ステップS13では、回転角加速度の微分値の絶対値が、判定閾値を越えているか否かが判断される。このステップS13で肯定的に判断された場合は、ステップS14を経由してステップS15に進み、回転角加速度の微分値の最大値が記憶される。
【0041】
また、ステップS13で否定的に判断された場合は、ステップS16に進み、回転角加速度の微分値の絶対値が判定閾値未満になった時点から所定時間が経過したか否かが判断される。このステップS16で否定的に判断された場合は、ステップS14に進み、ステップS16で肯定的に判断された場合は、ステップS17を経由してステップS18に進み、回転角加速度の微分値の最大値をリセットする。
【0042】
一方、図3の制御例において、ステアリングホイール12の回転方向以外の加速度を用いる場合は、ステップS11でステアリングホイール12の所定方向の加速度の信号を取り込み、ステップS12では所定時間内におけるステアリングホイール12の所定方向の加速度の微分値を求める。ついで、ステップS13では、所定方向の加速度の微分値の絶対値が、判定閾値を越えているか否かが判断される。このステップS13で肯定的に判断された場合は、ステップS14を経由してステップS15に進み、所定方向の加速度の微分値の最大値が記憶される。
【0043】
また、ステップS13で否定的に判断された場合は、ステップS16に進み、所定方向の加速度の微分値の絶対値が判定閾値未満になった時点から所定時間が経過したか否かが判断される。このステップS16で否定的に判断された場合は、ステップS14に進み、ステップS16で肯定的に判断された場合は、ステップS17を経由してステップS18に進み、所定方向の加速度の微分値の最大値をリセットする。
【0044】
なお、図3の制御例においては、ステアリングホイール12のトルク、ステアリングホイール12の回転角加速度、車両の上下方向におけるステアリングホイール12の加速度、車両の左右方向におけるステアリングホイール12の加速度、車両の前後方向におけるステアリングホイール12の加速度のうち、少なくとも一つの物理量に基づいて、ステアリングホイール12の振動の有無を判定することもできる。
【0045】
上記ステップS1の他の具体例を、図5のフローチャートに基づいて説明する。まず、ステアリングホイール12の振動に影響を及ぼすパラメータを検知する各種のセンサの信号を取り込むとともに(ステップS21)、これらのセンサの信号から、ステアリングホイール12の振動周波数の大きさを分析する(ステップS22)。そして、ステップS22で分析された振動周波数の絶対値が、判定閾値を越えているか否かが判断される(ステップS23)。ステップS23で肯定的に判断された場合は「ステップS12の振動中」であると判定し(ステップS24)、リターンする。これに対して、ステップS23で否定的に判断された場合は「ステアリングホイール12は振動していない」と判定し(ステップS25)、リターンされる。
【0046】
つぎに、図1のステップS2の具体的な判断手法を、図6のフローチャートおよび図7のタイムチャートに基づいて具体的に説明する。この図7のタイムチャートにおいては、車体の上下方向または左右方向または前後方向の加速度の変化と、前輪16および後輪6の回転加速度の変化と、懸架装置20の上下方向の伸縮にともなうサスペンションストローク速度の変化と、前輪16および後輪6に作用する荷重変化の微分値とが、「零」を基準として正側および負側に示されている。
【0047】
まず、車体の上下方向における加速度の変化に基づいて、ステアリングホイール12を掴んでいる手が振動するような外乱状態の判定について説明する。すなわち、車体加速度センサ29により検知される車体上下G(Gz)を取り込むとともに(ステップS31)、車体の上下加速度Gzの絶対値が、図7に破線で示す判定閾値を越えているか否かが判断される(ステップS32)。このステップS32で肯定的に判断された場合に「時刻t1以降は、ステアリングホイール12を掴んでいる手が振動する程度の外乱がある」と判定する(ステップS33)。このステップS33についで、上下加速度Gzの絶対値の最大値(Gzmax )を記憶し(ステップS34)、リターンする。
【0048】
前記ステップS32で否定的に判断された場合は、車体の上下加速度Gzの絶対値が判定閾値未満になった時刻t2から、所定時間が経過して時刻t3になったか否かが判断される(ステップS35)。このステップS35で否定的に判断された場合は、ステップS33に進み、ステップS35で肯定的に判断された場合は「外乱に基づく手の振動は発生していない」と判定する(ステップS36)。このステップS36についで、前記最大値(Gzmax )をリセットし(ステップS37)、リターンする。
【0049】
なお、車体の上下加速度Gzの絶対値が判定閾値よりも小さくなったとしても、その時刻t2から所定時間が経過するまでは、ステップS33に進む理由は、一旦、ステアリングホイール12が所定方向に変位すると、その逆方向に変位する、いわゆる揺り戻し現象が生じる可能性があり、そのような可能性がある状態では、外乱があると判定しておくためである。また、上記各ステップにおいては、車体上下方向の加速度または車体前後方向の加速度または車体の左右方向の加速度のうち、少なくとも一つの物理量を用いて、路面外乱の判定をおこなうこともできる。
【0050】
また、図6の制御例において、路面外乱の判定に用いる物理量として、車体に作用する所定方向の加速度の他に、図7に示すように、車輪の回転加速度、または懸架装置20のサスペンションストローク速度、または車輪に作用する荷重などを用いることもできる。
【0051】
図6の制御例において、車輪の回転加速度を用いる場合は、ステップS31で車輪回転速度センサ28の信号を取り込む。ついで、ステップS32では、車輪の回転加速度の絶対値が、判定閾値を越えているか否かが判断される。このステップS32で肯定的に判断された場合は、ステップS33を経由してステップS34に進み、車輪の回転加速度の絶対値の最大値が記憶される。また、ステップS32で否定的に判断された場合は、ステップS35に進み、車輪の回転加速度の絶対値が判定閾値未満になった時点から所定時間が経過したか否かが判断される。このステップS35で否定的に判断された場合は、ステップS33に進み、ステップS35で肯定的に判断された場合は、ステップS36を経由してステップS37に進み、車輪の回転加速度の最大値をリセットする。
【0052】
また、図6の制御例において、サスペンションストローク速度を用いる場合は、ステップS31でサスペンションストロークセンサ30の信号を取り込む。ついで、ステップS32では、サスペンションストローク速度の絶対値が、判定閾値を越えているか否かが判断される。このステップS32で肯定的に判断された場合は、ステップS33を経由してステップS34に進み、サスペンションストローク速度の絶対値の最大値が記憶される。また、ステップS32で否定的に判断された場合は、ステップS35に進み、サスペンションストローク速度の絶対値が判定閾値未満になった時点から所定時間が経過したか否かが判断される。このステップS35で否定的に判断された場合は、ステップS33に進み、ステップS35で肯定的に判断された場合は、ステップS36を経由してステップS37に進み、サスペンションストローク速度の絶対値の最大値をリセットする。
【0053】
さらに、図6の制御例において、車輪荷重の微分値を用いる場合は、ステップS31で車輪荷重センサ33の信号を取り込み、かつ、車輪荷重の経時的な微分値を求める。ついで、ステップS32では、車輪荷重の微分値の絶対値が、判定閾値を越えているか否かが判断される。このステップS32で肯定的に判断された場合はステップS33を経由してステップS34に進み、車輪荷重の微分値の最大値が記憶される。
【0054】
また、ステップS32で否定的に判断された場合は、ステップS35に進み、車輪荷重の微分値の絶対値が判定閾値未満になった時点から所定時間が経過したか否かが判断される。このステップS35で否定的に判断された場合は、ステップS33に進み、ステップS35で肯定的に判断された場合は、ステップS36を経由してステップS37に進み、車輪荷重の微分値の絶対値の最大値をリセットする。
【0055】
なお、図6の制御例においては、車体の上下方向または左右方向または前後方向の加速度、前輪16および後輪6の回転加速度、懸架装置20のサスペンションストローク速度、前輪16および後輪6に作用する荷重などのうち、少なくとも一つの物理量に基づいて、路面外乱の状態を判定することもできる。
【0056】
図8は、図1、図3、図5、図6の制御に対応するタイムチャートであり、図3のステップS14および図5のステップS24においては、図8に示す振動判定フラグがオンされ、図3のステップS17および図5のステップS25においては、図8に示す振動判定フラグがオフされる。また、図6のステップS33においては、図8に示す外乱判定フラグがオンされ、図6のステップS36においては、図8に示す外乱判定フラグがオフされる。このようにして、振動フラグまた外乱判定フラグが、前述した時刻t1から時刻t3の間はオンされる。
【0057】
上記のようにして、振動判定および外乱判定をおこなった後、その判断結果に基づく信号処理、つまり、図1のステップS3の処理を、図8のタイムチャートを参照しながら具体的に説明する。図8に示す第1の処理方法においては、振動判定または外乱判定のフラグがオフからオンに変更されると、時刻t1から時刻t3の間は、その間に検知されるセンサ出力(破線で示す補正前センサ出力)を用いずに、時刻t1以前の最後のセンサ出力に相当する出力を、補正後センサ出力として用いる。
【0058】
つぎに、図8に示す第2の処理方法について説明する。前記総合制御装置23は、各センサ出力を、電子スロットルバルブ8またはブレーキ17の制御に実際に使用するもとのと、使用しないものとに識別するローパスフィルターを備えている。このローパスフィルターは、各センサの出力に対応する振動周波数が所定値以下であるセンサ出力のみを、電子スロットルバルブ8またはブレーキ17の制御に実際に用いる機能(カットオフ機能)を有している。
【0059】
そこで、第2の処理方法においては、各センサ出力のうち、電子スロットルバルブ8またはブレーキ17の制御に実際に使用するもとのと、使用しないものとに識別するフィルター定数を変更する。例えば、前述の微分値ΔTmax 、加速度Gzmax など、振動もしくは外乱の判定に用いる物理量の最大値が大きいほど、カットオフ周波数を下げるような処理をおこなう。図8に示す第2の処理方法では、時刻t1から時刻t3の間に、その間に検知されるセンサ出力(破線で示す補正前センサ出力)のうち、ローパスフィルターを通過したセンサ出力を、実線の補正後センサ出力として処理した場合が示されている。
【0060】
さらに、図8に示す第3の処理方法について説明する。前述したように、基本的には、第1の動作状態検知センサ31および第2の動作状態検知センサ32の信号に基づいて、目標加減速度が変更設定される。ここで、実際には、エンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22の操作(動作)の向きが微小な範囲で変更された場合には、目標加減速度を頻繁に変更する事態を回避する制御がおこなわれている。
【0061】
図9は、各種のセンサ信号と目標加減速度との対応関係を示すマップ(線図)である。ステアリングホイール12の動作に影響を及ぼす振動や外乱が無いと判定されている場合は、破線で示す特性に基づいて、目標加減速度が設定される。この特性線において矢印の向きは、エンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22の操作の向きを示しており、異なる操作向き同士の間に、ヒステリシスが設定されている。すなわち、各レバーが所定の向きに操作されている状態から逆向きに操作されても、その操作量が微小であるヒステリシスの範囲内においては、目標加減速度は変更されない。
【0062】
そこで、この第3の処理方法においては、センサ信号に基づいて目標加減速度を変更する際に、実線で示す特性線を用いる。この実線で示す特性線のヒステリシスは、破線で示す特性線のヒステリシスよりも大きくなっている。つまり、センサ信号の変化に対する目標加減速度の変化程度は、破線で示す特性線よりも実線で示す特性線の方が少ない。なお、図3のステップS15または図6のステップS34で記憶した微分値ΔTmax または加速度Gzmax など、振動もしくは外乱の判定に用いる物理量の最大値が大きいほど、このヒステリシスを大きくすることもできる。
【0063】
そして、各センサの信号が同じである場合を想定すれば、図9の破線の特性に基づいて目標加減速度を設定した場合は、図8に破線で示すような目標加減速度が設定されるのに対して、図9の実線の特性に基づいて目標加減速度を設定した場合は、図8に実線で示すような目標加減速度が設定される。
【0064】
上記のように、図1のステップS3の信号処理、例えば図8のタイムチャートに示すような信号処理の結果に基づいて、前述したステップS4では目標加減速度が演算される。ついで、ステップS5では、実際の加減速度を目標加減速度に近づけるように、アクチュエータ9またはアクチュエータ19の少なくとも一方が制御される。
【0065】
前記図1の制御例のステップS1およびステップS2において、ステアリングホイール12の振動判定、およびステアリングホイール12の振動に影響を及ぼす外乱判定をおこなう場合、ステアリングホイール12の振動自体の方向と、外乱により発生するものと予測されるステアリングホイール12の振動の方向と、エンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22の少なくとも一方の操作方向とが一致している場合に限り、ステップS3において、ステップS1およびステップS2の判定結果を信号処理に反映させる制御ルーチンを採用することもできる。
【0066】
また、図1のステップS2においては、路面変化以外の条件、例えば、エンジン1の振動に基づいて、外乱判定をおこなうこともできる。すなわち、エンジン1はエンジンマウンティング(図示せず)を介して、車体の一部であるクロスメンバー(図示せず)に保持されている。そして、クロスメンバーは、車体の一部であるフロントサイドメンバー(図示せず)を介してダッシュパネル(図示せず)に連結されている。このため、エンジン1の振動は、エンジンマウンティングおよびクロスメンバーならびにダッシュパネルを経由してステアリングコラム13に伝達され、その振動がステアリングホイール12に伝達される可能性がある。
【0067】
ここで、エンジン1の振動は、エンジン回転数センサ26の信号などに基づいて間接的に判断することができる。すなわち、エンジン回転数センサ26の信号とエンジン1の振動状態とをデータ化して総合制御装置23に記憶しておけば、ステップS2において、エンジン回転数に基づいて外乱判定をおこなうことができる。なお、この場合、エンジン1の振動を直接検出する振動センサ(図示せず)を設けておき、ステップS2では、この振動センサの信号に基づいて外乱判定をおこなうこともできる。
【0068】
さらに、図1に制御例において、ステップS1およびステップS2の両方をおこなうことなく、一方のステップのみをおこなってからステップS3に進むよな制御ルーチンを採用することもできる。この場合は、一方のステップのみの判定結果に基づいて、ステップS3の信号処理、およびステップS4の目標加減速度演算がおこなわれることは勿論である。
【0069】
以上のように、車両の挙動、具体的には車両の走行方向を制御するために、ステアリングホイール12を乗員が手で掴む頻度が高く、その状態でステアリングホイール12が振動すれば、この振動は、乗員の手を経由してエンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22の少なくとも一方に伝達されて、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22の動作が、乗員の意図に適合しなくなる可能性がある。
【0070】
そこで、この実施形態においては、ステアリングホイール12に接触している手の振動に関連する物理量に基づいて、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22の少なくとも一方の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じているのか、あるいは振動に関連する物理量に基づいて生じているのかを判断している。そして、この判断結果に基づいて、各種のセンサの信号を処理するとともに、目標加減速度の設定およびアクチュエータ9,19の制御がおこなわれる。したがって、車両の加減速度、具体的には車両の駆動力および制動力を、乗員の意図に適合させやすくなり、ドライバビリティの低下を抑制できる。
【0071】
また、この実施形態においては、ステップS1でステアリングホイール12の振動を判定し、その判定結果に基づいてステアリングホイール12に接触している乗員の手の振動に関連する物理量が判断されるため、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22に対する乗員の操作意図を判断する精度が一層向上する。
【0072】
さらに、この実施形態においては、ステップS2で路面状況に対応する車両の挙動に基づいて、ステアリングホイール12を掴んでいる乗員の手の振動に関連する物理量が間接的に判断されるため、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22に対する乗員の操作意図を判断する精度が一層向上する。
【0073】
さらに、この実施形態においては、乗員の手の振動の方向と、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22の操作方向とに基づいて、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22に対する操作が、乗員の意図によるものであるか否かが判断される。したがって、エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22に対する乗員の操作意図を判断する精度が一層向上する。
【0074】
さらにこの実施形態においては、前輪16とステアリングホイール12とが、リンク機構15、ギヤボックス14、ステアリングコラム13などの操作力伝達機構を介して、機械的に連結される構成になっている。したがって、路面状況の変化がステアリングホイール12の振動に影響を及ぼしやすく、ステアリングホイール12の振動に関連する物理量に基づいて、エンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22に対する操作が、乗員の操作意図によるものであるか否かを判断することができ有益である。
【0075】
図1の実施形態においては、ホイールシリンダ18の油圧を、アクチュエータ19により電気的に制御する、いわゆる、電子制御式油圧ブレーキ(エレクトロ・ハイドロリック・ブレーキ)が示されているが、空気圧式ブレーキや、油圧を用いない機械式ブレーキ(エレクトロ・メカニカル・ブレーキ)などを備えた車両に対しても、上記の各制御例を適用することができる。
【0076】
また、上記実施形態においては、主操作部材(ステアリングホイール12)を乗員が手で操作し、その手の一部により副操作部材(エンジン出力制御レバー21または制動力制御レバー22の少なくとも一方)を操作するように構成されているが、主操作部材を乗員が一方の足で操作し、副操作部材を乗員が他方の足で操作するように構成された車両に対しても、上記の各制御例を適用することができる。この場合は、各制御例においては、手の振動に関連する物理量に代えて足の振動に関連する物理量を判定し、かつ、足の振動に影響を及ぼす外乱の判定をおこなうことになる。
【0077】
また、車両の走行方向を制御するための主操作部材が、環状部材をステアリングコラムを中心として回転させる構造のステアリングホイールになっているが、棒状のレバーを傾斜もしくは回転させる構造の主操作部材(操舵部材)を有する車両に対しても、上記各制御例を適用することができる。さらに、図2の実施形態においては、ステアリングホイールと車輪とが、機械的に連結されているが、主操作部材の操作状態を、光電的に検知する接触式のセンサ、または非接触式のセンサを有し、そのセンサの信号に基づいて、電動モータ、ソレノイドなどのアクチュエータを駆動させることにより、挙動制御装置の状態が制御されるように構成されている車両に対しても、上記の各制御例を適用することができる。すなわち、このような構成の車両においては、挙動制御装置の振動が、直接的には主操作部材には伝達されず、車体の振動が主操作部材に伝達されることになる。さらに、図2に示す車両は、エンジン前置き後輪駆動車であるが、前輪駆動車または四輪駆動車に対しても、上記各制御例を適用することができる。また、図2に示す操舵装置は前輪操舵式となっているが、四輪操舵式の操舵装置を有する車両に対しても、上記各制御例を適用することができる。
【0078】
さらにまた、駆動力源としてエンジン1が搭載された車両の他に、駆動力源としてエンジン1および電動モータを搭載した、いわゆるハイブリッド車、または駆動力源として電動モータのみを搭載した、いわゆる電気自動車に対しても、上記各制御例を適用することができる。このハイブリッド車においては、ステアリングホイール12の近傍に設けられている副操作部材に操作に基づいて、エンジン出力および電動モータの出力が制御される。また、電気自動車においては、ステアリングホイール12の近傍に設けられている副操作部材に操作に基づいて、電動モータの出力が制御される。そして、ハイブリッド車に図1の制御例を適用した場合は、ステップS4で、エンジン出力の目標値および電動モータの目標値が演算される。また、電気自動車に図1の制御例を適用した場合は、ステップS4で、電動モータの出力の目標値が演算される。
【0079】
また、ステアリングホイール12の近傍に変速機2を制御するためのシフトレバーが設けられており、ステアリングホイール12を手で掴んだままの状態で、シフトレバーを操作することができるように構成された車両に対しても、上記各制御例を適用することができる。このような構成を採用した場合は、図1のステップS4において、目標変速比または目標変速比制御範囲が演算される。
【0080】
ここで、実施形態の構成とこの発明の構成との対応関係を説明すれば、ステアリングホイール12、棒状の操舵部材がこの発明の主操作部材に相当し、乗員の体の手(指を含む)または足がこの発明の乗員の体の一部に相当し、エンジン1、ブレーキ17、変速機2、前輪16、後輪6がこの発明の制御対象に相当し、ステアリングホイール12の回転トルク、ステアリングホイール12の回転角加速度、ステアリングホイール12の上下・左右・前後方向の加速度、ステアリングホイール12の振動周波数などが、この発明の「主操作部材の振動に関連する物理量」に相当し、エンジン出力制御レバー21および制動力制御レバー22がこの発明の副操作部材に相当し、車体の上下・前後・左右方向の加速度、車輪加速度、サスペンションストローク、車輪荷重などがこの発明の「路面状況に対応する車両の挙動」に相当し、前輪16および後輪6がこの発明の車輪に相当する。
【0081】
また、乗員の意図によるステアリングホイール12の操作、ステアリングホイール12に付与される回転トルク、ステアリングホイール12の回転角加速度、ステアリングホイール12の上下・左右・前後方向の加速度、ステアリングホイール12の振動周波数、車体の上下・前後・左右方向の加速度、車輪加速度、懸架装置20のサスペンションストローク、車輪荷重などが、副操作部材に対する動作要因となる。
【0082】
なお、この実施形態において、駆動力源としてのエンジン1および電動モータ、もしくは変速機2は、車両の駆動力を制御する意味での挙動制御装置と呼ぶことができ、ブレーキ17は車両に作用する制動力を制御する意味で挙動制御装置と呼ぶことができ、ステアリングホイール12および棒状の操舵部材は、車両の走行方向を制御する意味で挙動制御装置(操舵装置)と呼ぶことができる。また、この実施形態において、エンジン1および電動モータは、副操作部材の操作による加速要求に基づいて制御されるために、エンジン1および電動モータを加速装置と呼ぶこともできる。またこの実施形態において、ブレーキ17は、副操作部材の操作による減速要求に基づいて制御されるために、ブレーキ17を減速装置と呼ぶこともできる。
【0083】
つぎに、図1、図3、図5、図6に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、図1のステップS1およびステップS2、図3のステップS11ないしステップS18、図5のステップS21ないしステップS25、図6のステップS31ないしステップS37がこの発明の要因判断手段に相当し、図1のステップS3ないしステップS5がこの発明の制御内容調整手段に相当する。
【0084】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、ステアリングホイールを振動させる外乱が発生しているか否かの判断結果に基づいて、副操作部材の動作が、乗員の意図による操作で生じたものか否かを判断することができる。したがって、副操作部材の動作が、外乱に起因するものか、乗員の意図に起因するものかを判断することができる。
【0085】
請求項2の発明によれば、ステアリングホイールの振動状態を判断し、その判断結果に基づいて、副操作部材の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じたものであるか否かが判断される。言い換えれば、副操作部材の動作要因が判断される。したがって、副操作部材の動作に対応する駆動力源またはブレーキ装置または変速機の状態が、乗員の意図に適合するか否かを判断することができる。
【0086】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、路面状況に基づいて発生する外乱が判断される。したがって、副操作部材の動作要因を判断する精度が一層向上する。
【0087】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、駆動力源の振動がステアリングホイールに伝達される外乱を判断することができる。したがって、副操作部材の動作要因を判断する精度が一層向上する。
【0088】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、要因判断手段の判断結果に基づいて、副操作部材の動作に対応する駆動力源またはブレーキ装置または変速機の制御内容を調整できる。したがって、副操作部材の動作に対応する駆動力源またはブレーキ装置または変速機の制御内容を、乗員の意図に適合させやすくなる。
【0089】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明と同様の効果を得られる他に、ステアリングホイールの振動方向と副操作部材の動作方向とに基づいて、制御内容が調整される。したがって、駆動力源またはブレーキ装置または変速機の状態を乗員の意図に適合させやすくなる。また、請求項7の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、車輪の振動がステアリングホイールに伝達されて、ステアリングホイールが振動しているか否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る制御の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】 この発明が適用される車両の構成およびその制御系統を示す概略図である。
【図3】 図1のステップS1の具体例を示すフローチャートである。
【図4】 図3のフローチャートに対応するタイムチャートである。
【図5】 図1のステップS1の他の例を示すフローチャートである。
【図6】 図1のステップS2の一例を示すフローチャートである。
【図7】 図6のフローチャートに対応するタイムチャートである。
【図8】 図1のステップS1ないしS3に対応するタイムチャートである。
【図9】 図1のステップS3で用いるマップである。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…変速機、 6…後輪、 8…電子スロットルバルブ、 9,19…アクチュエータ、 12…ステアリングホイール、 16…前輪、 17…ブレーキ、 23…総合制御装置。

Claims (7)

  1. 車両の操舵方向を制御するために車両に取り付けられ、かつ、乗員の手で操作されるステアリングホイールと、このステアリングホイールに接触している手で操作可能であり、かつ、前記車両に設けられた駆動力源またはブレーキ装置または変速機を制御するために操作される副操作部材とを備えた車両の操作装置において、
    記ステアリングホイールを振動させる外乱が発生しているか否かを判断し、その判断結果に基づいて、前記副操作部材の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じたものであるか否かを判断する要因判断手段を備えていることを特徴とする車両の操作装置。
  2. 車両の操舵方向を制御するために車両に取り付けられ、かつ、乗員の手で操作されるステアリングホイールと、このステアリングホイールに接触している手で操作可能であり、かつ、前記車両に設けられた駆動力源またはブレーキ装置または変速機を制御するために操作される副操作部材とを備えた車両の操作装置において、
    記ステアリングホイールの振動状態を判断し、その判断結果に基づいて、前記副操作部材の動作が、乗員の意図に基づく操作により生じたものであるか否かを判断する要因判断手段を備えていることを特徴とする車両の操作装置。
  3. 前記要因判断手段は、路面状況に基づいて発生する外乱を判断する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の操作装置。
  4. 前記車両は、駆動力源のトルクが駆動輪に伝達されるように構成されているとともに、
    前記要因判断手段は、前記駆動力源の振動が前記ステアリングホイールに伝達されて発生する外乱を判断する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の操作装置。
  5. 前記要因判断手段の判断結果に基づいて、前記副操作部材の動作に対応する前記駆動力源またはブレーキ装置または変速機の制御内容を調整する制御内容調整手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両の操作装置。
  6. 前記制御内容調整手段は、前記ステアリングホイールの振動方向と前記副操作部材の動作方向とに基づいて、前記制御内容を調整する手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の車両の操作装置。
  7. 前記車両の走行方向を制御する車輪が設けられており、この車輪と前記ステアリングホイールとが振動伝達可能に連結されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両の操作装置。
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