JP3789099B2 - 車両用リヤゲートの開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体にヒンジを介して上下方向に開閉自在に枢着されたリヤゲートを、モータをもって開閉させ得るようにした車両用リヤゲートの開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用リヤゲートの開閉装置においては、ルーフパネルの下面とルーフトリムとの間に形成される空間に、正逆回転可能なモータ等を有するパワーユニットと、ルーフ部材とリヤゲートとの間に架設され、かつ車体とリヤゲートとの間に常時伸び方向に付勢された伸縮自在なガススプリングとを設置して、パワーユニットによって往復移動させられるスライダを車両後方に移動させることによって、リヤゲートを開き方向へ揺動させ、また、スライダを前方に移動させることによって、ガススプリングの付勢力に抗して、リヤゲートを閉じ方向へ揺動させるようになっている(例えば、特開平2001−199242号公報参照)。
【0003】
また、上述の開閉装置には、リヤゲートがパワーユニットにより閉じ方向へ揺動させられた際に、リヤゲートと車体との間に物が挟み込まれたか否かを検出する挾み込み検出手段が設けられている。
【0004】
この挾み込み検出手段は、リヤゲートが閉じ方向に揺動させられているときの一定区間におけるモータの駆動電流値を計測するとともに、この計測値から一定区間通過後の電流値を予測し、予測電流値と実測電流値とを比較して、実測電流値が予測電流値を上回ると、挾み込みと判定するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような開閉装置によると、ガススプリングが温度上昇し易いルーフ下方の空間に設置されるため、熱影響により、ガススプリング内のガス圧が高圧となって、ガススプリングの特性が大きく変化し、それに伴って、リヤゲートを閉じ方向へ揺動させるときのモータ電流値も変化して、挾み込みと判定すべく予測電流値が的外れな値となってしまい、挾み込みの検出精度がばらつくおそれがある。
【0006】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ガススプリングの温度変化に伴う挾み込み検出精度のばらつきを減少させた、車両用リヤゲートの開閉装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)車体にヒンジアームを介して上下方向に開閉自在に枢着されたリヤゲートを、正逆回転可能なモータをもって開閉可能とするとともに、ルーフパネルの下面とルーフトリムとの間に形成される空間に、車体と前記ヒンジアームとの間に架設され、かつ常時伸び方向に付勢された伸縮自在なガススプリングを設置し、さらに、前記モータによるリヤゲートの閉じ方向駆動時における挾み込みを検出可能なコントローラを有する車両用リヤゲートの開閉装置において、前記ガススプリングの周辺の温度に応じた信号を前記コントローラに出力可能な温度センサーを設け、かつ前記コントローラを、前記温度センサーからの信号に基づいて、挾み込み閾値を変更しうるものとする。
【0008】
(2)上記(1)項において、温度センサーを、ガススプリングの近傍に設置する。
【0009】
(3)上記(2)項において、温度センサーとコントローラとを、車体側に取り付けられる取付ブラケットの同一側に設け、ガススプリングを、前記取付ブラケットの前記温度センサーが設けられる側と反対側に設ける。
【発明の実施の形態】
以下、本発明における一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の概要を示す車体後部の側面図である。
車体(1)の後部には、左右の後部ピラー(図示略)とルーフパネル(2)の後縁とによって開口部(3)が形成され、ルーフパネル(2)の後端に、左右1対のヒンジアーム(4)を介して上下方向に回動可能に枢着されて、開口部(3)を開閉するリヤゲート(5)が設けられている。
【0010】
リヤゲート(5)は、ルーフパネル(2)の下面とルーフパネル(2)の下方に張設される室内側のルーフトリム(10)との間に設置された開閉装置(6)によって、上下方向に開閉駆動させられる。
【0011】
図2は、開閉装置(6)の取り付け状態の概要を示す斜視図である。なお、車体(1)については、2点鎖線で示している。
ヒンジアーム(4)は、開口部(3)の上部開口縁部に沿って車幅方向に延在するリヤルーフレール(7)の上面に固着されたヒンジブラケット(8)に、左右方向を向く軸(9)によって基端が枢着されるとともに、基端から下方前方へ延在し、かつ下端から軸(9)を中心とする円弧状に後方へ延在する湾曲部(4a)の後端部が、リヤゲート(5)に連結される。
【0012】
開閉装置(6)は、駆動ユニット(11)と、ガスが封入されたガススプリング(12)と、コントローラ(13)とを備えている。
駆動ユニット(11)は、取付ブラケット(15)をもって、リヤルーフレール(7)、及びルーフパネル(2)の下面に車幅方向に向けて架設された図示略のクロスメンバーに図示略のボルトをもって固定されるとともに、他の取付ブラケット(15a)をもって、ルーフパネル(2)の側方において車両の前後方向に延在するサイドルーフレール(14)に図示略のボルトをもって固定される。
【0013】
取付ブラケット(15)の車幅中央寄りには、ガススプリング(12)の近傍に設置され、かつガススプリング(12)の周辺の温度を測定する温度センサー(16)と、コントローラ(13)とが設けられ、また、取付ブラケット(15)と他の取付ブラケット(15a)との間には、図3に示す正逆回転可能なモータ(17)と、モータ(17)に連結される図示略のクラッチ、及びエンコーダ等を内蔵したギヤボックス(18)と、ギヤボックス(18)から出力されるモータ(17)の回転を減速する減速ギヤ(19)(20)とが設けられている。
【0014】
ガススプリング(12)は、取付ブラケット(15)の一部を挟んで、取付ブラケット(15)の温度センサー(16)及びコントローラ(13)が設けられる側の反対側に設けられるとともに、後述のラック(21)に並設される図示略の車体側のクロスメンバーとヒンジアーム(4)とに連結される。これにより、ガススプリング(12)と温度センサー(16)との干渉を防止することができる。
【0015】
温度センサー(16)は、ガススプリング(12)の近傍に設置され、ガススプリング(12)周辺における的確な温度測定を行いうるようになっている。また、コントローラ(13)と温度センサー(16)とが、取付ブラケット(15)の同一側に設けられことにより、温度センサー(16)とコントローラ(13)との配線を簡素化することができる。
【0016】
減速ギヤ(20)に噛合する前後方向を向くラック(21)は、ギヤボックス(18)の上部に設けられた支持部(18a)(図3においては省略)によって前後方向に摺動自在に支持されるとともに、モータ(17)の回転により、前後方向に往復動させられる。
【0017】
ラック(21)の後端部は、左右方向を向く軸(22)によって、ヒンジアーム(4)の湾曲部(4a)に枢着されている。ラック(21)が後方(図3における左方)へ移動することにより、リヤゲート(5)は、ヒンジアーム(4)を介して、開き方向(図1に示す矢印A方向)に揺動され、また、ラック(21)が前方(図3における右方)へ移動することにより、リヤゲート(5)は、ガススプリング(12)の付勢力に抗して、ヒンジアーム(4)を介して閉じ方向(図1における矢印B方向)に揺動させられる。
【0018】
ガススプリング(12)は、ラック(21)とほぼ平行に配置されるとともに、常時伸び方向に付勢されて伸縮自在であり、その前端部が、前記クロスメンバーに左右方向を向く図示略の軸をもって枢着され、かつ、そのピストンロッド(12a)の先端部(後端部)は、左右方向を向く軸(23)をもって、ヒンジアーム(4)の湾曲部(4a)に枢着されている。
【0019】
コントローラ(13)は、制御プログラム及びデータを記憶しているROMと、CPUのワークエリアとして機能するRAMとからなる一体型のワンチップCPUを有し、ROMに記憶された制御プログラムにより、一連の制御処理を実行する。ROMには、−40℃〜0℃、0℃〜40℃、及び40℃〜80℃の3種類の温度範囲を設定した温度データテーブルが格納されている。
【0020】
遠隔操作スイッチのクローズ操作をコントローラ(13)が受け付けると、温度センサー(16)はガススプリング(12)周辺の温度を測定し、その温度に応じた信号をコントローラ(13)に出力する。
【0021】
コントローラ(13)は、リヤゲート(5)の閉じ速度が予め定めた速度に保たれるように、モータ(17)の回転を制御しつつ、リヤゲート(5)の閉じ方向における一定区間のモータ(17)の駆動電流値から、一定区間を通過した後のリヤゲート(5)の全閉位置(図1に示す実線位置)手前における電流値を予測して、挾み込みか否かを判定する挾み込み閾値を設定しうる。
【0022】
挾み込み閾値の設定は、温度センサー(16)が測定した温度が、該当する3種類の温度データテーブルから選択される。そして、リヤゲート(5)が全閉位置手前に達すると、そのときの実測電流値と挾み込み閾値とを比較して、実測電流値が挾み込み閾値を上回れば挾み込みと判定する。
【0023】
これによって、温度変化に伴うガススプリング(12)の特性の変化に見合うように、挾み込み閾値を補正しうるため、ガススプリング(12)の温度変化に関係なく、挾み込みの検出を常に正確に行うことができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によると、ガススプリングの周辺の温度に応じた信号をコントローラに出力可能な温度センサーを設け、コントローラを、温度センサーからの信号に基づいて、挾み込み閾値を補正しうるものとしたことにより、温度変化に伴うガススプリングの特性の変化に関係なく、常に挾み込みの検出を正確に行うことができる。
【0025】
(b)請求項2記載の発明によると、温度センサーを、ガススプリングの近傍に設置したことにより、ガススプリング周辺の温度を的確に測定することができ、より正確な挾み込みの検出が可能となる。
【0026】
(c)請求項3記載の発明によると、温度センサーとコントローラとを、車体側に取り付けられる取付ブラケットの同一側に設け、ガススプリングを、取付ブラケットの温度センサーが設けられる側と反対側に設けたことにより、温度センサーとコントローラとの配線を簡素化し、温度センサーとガススプリングとの干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施形態の概要を示す車体後部の側面図である。
【図2】同じく、開閉装置の取り付け状態の概要を示す斜視図である。
【図3】同じく、図2における矢印III方向から見た側面図である。
【図4】同じく、制御回路のブロック図である。
【符号の説明】
(1)車体
(2)ルーフパネル
(3)開口部
(4)ヒンジアーム
(4a)湾曲部
(5)リヤゲート
(6)開閉装置
(7)リヤルーフレール
(8)ヒンジブラケット
(9)軸
(10)ルーフトリム
(11)駆動ユニット
(12)ガススプリング
(12a)ピストンロッド
(13)コントローラ
(14)サイドルーフレール
(15)(15a)取付ブラケット
(16)温度センサー
(17)モータ
(18)ギヤボックス
(18a)支持部
(19)(20)減速ギヤ
(21)ラック
(22)(23)軸
Claims (3)
- 車体にヒンジアームを介して上下方向に開閉自在に枢着されたリヤゲートを、正逆回転可能なモータをもって開閉可能とするとともに、ルーフパネルの下面とルーフトリムとの間に形成される空間に、車体と前記ヒンジアームとの間に架設され、かつ常時伸び方向に付勢された伸縮自在なガススプリングを設置し、さらに前記モータによるリヤゲートの閉じ方向駆動時における挾み込みを検出可能なコントローラを有する車両用リヤゲートの開閉装置において、前記ガススプリングの周辺の温度に応じた信号を前記コントローラに出力可能な温度センサーを設け、かつ前記コントローラを、前記温度センサーからの信号に基づいて、挾み込み閾値を補正しうるものとしたことを特徴とする車両用リヤゲートの開閉装置
- 温度センサーを、ガススプリングの近傍に設置した請求項1記載の車両用リヤゲートの開閉装置
- 温度センサーとコントローラとを、車体側に取り付けられる取付ブラケットの同一側に設け、ガススプリングを、前記取付ブラケットの前記温度センサーが設けられる側と反対側に設けた請求項2記載の車両用リヤゲートの開閉装置。
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