JP3788794B2 - 米ぬか加工食材およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、日本人の主食である米の副産物である、栄養価の高い米ぬかを、おいしく摂取できるように加工した、米ぬか加工食材およびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、日本人の主食は、有史以来米であった。以前は米を脱穀した籾を籾摺りして取り出した玄米をそのまま炊いて食べることが多かったが、近世においては、玄米をさらに精米した白米として、主に食べられてきている。
ところで、玄米を精米する際にでる米ぬかは、以前は、せいぜい漬物のぬか床か、飼料として用いられるのみで、残りは、廃棄していた。
最近は米ぬかの栄養価の高さが、注目されるに至り、例えばパンなどに混ぜるなど、近年の健康食品ブームと相俟って、様々な食品の原材料として利用範囲が広がりつつある。
しかしながら、米ぬかは、精米したての米ぬかを家庭において炒るというのは、火の加減が難しく、臭いが気になるし面倒であり、食感もいいものではないので、継続して摂取する気にはなれないのが現実である。
そこで、米ぬかを微粉末化して、米ぬか単独で摂取するか、また他の食品の副原料として用いることが提案されている(特開2002−119230参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案では、米ぬかを微粉末化するということから、どの程度、微粉末化することが適当か、工程管理の煩雑さが懸念される。
他方、米ぬかは、単独で摂取するというよりも、米ぬかは、玄米から分離したものであるから、玄米と混合することは全く問題なくできるであろうという観点に至った。この場合、玄米としては、特に消化吸収が改善され、炊飯器で炊くことのできる発芽玄米を用いることが好ましい。
本発明は以上のような観点から提案されたものであって、栄養価の高い米ぬかを継続して摂取可能とするために、相性がよいと考えられる玄米、特に発芽玄米との組み合わせで加工した、米ぬか加工食材およびその製法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明では、請求項1において、玄米から分離した米ぬかを60度以下で炒ると共に粉末化したものと、発芽玄米を粉末化したものとを、所定の割合で混合する構成とした米ぬか加工食材を提案する。
また本発明では、請求項2において、前記米ぬかを100に対し、発芽玄米粉を23〜33の割合で混合するようにした米ぬか加工食材を提案する。
さらに本発明では、請求項3において、米ぬかを60度以上の熱を与えないように炒り、次いで複数回製粉機にかけて粉末化し、一方、発芽玄米を焙煎し、複数回製粉機にかけて粉末化してこれら米ぬかと発芽玄米粉とを、米ぬかを100に対し、発芽玄米粉を23〜33の割合で混合するようにした米ぬか加工食材の製法を提案する。
【0005】
請求項1によれば、米ぬかを炒ることで香ばしさがもたらされ、粉末化することで米ぬかの甘みが増進する。これに、発芽玄米を粉末化したものを混合することで、一層風味が増す。
【0006】
請求項2によれば、消化吸収がよく、しかも食感が向上したことにより、継続して摂取が可能となる。
【0007】
請求項3によれば、米ぬかと発芽玄米とは元々、原料は同じ玄米であり違和感はない。米ぬかは60度以上の熱を与えないように炒ることで酵素の働きを損なわず、甘みがもたらされ、しかも炒ることで香ばしさが出てくる。
【0008】
【発明の実施の態様】
以下、本発明にかかる米ぬか加工食材につき、一つの実施の態様を挙げ、説明する。
ここで説明する米ぬか加工食材は、玄米から分離した米ぬかを粉末化したものと、発芽玄米を粉末化したものとを、所定の割合(後述)で混合するようにしたものである。
前記米ぬかは、減農薬もしくは無農薬で有機質肥料による栽培米を用いる。この有機質肥料による栽培米は甘みが強い。
また、前記発芽玄米は、減農薬もしくは無農薬で有機質肥料による栽培米から、一定の条件下で発芽させた玄米を乾燥させたものを用いている。
発芽玄米は、栄養価の高い玄米の欠点である、食感の悪さ、消化しにくさ、炊きにくさを克服したものである。すなわち、玄米をわずかに発芽させることで生ずる酵素等の働きで、糖分が分解されて甘みが加わるというものである。
【0009】
ここで、参考までに、A.発芽玄米1合(120g)の中の栄養成分及び含有量を、比較の意味でB.白米中の栄養成分及び含有量と共に示す(日本食品分析センターによる分析例)。
熱量(Kcal)………………………A(330), B(409)
タンパク質(g)………………………A(6.5), B(6.5)
脂質(g)………………………………A(2.6), B(1.1)
糖質(g)………………………………A(70.1),B(93.2)
ナトリウム(mg)……………………A(1.3), B(0.6)
食物繊維(g)…………………………A(2.6), B(0.7)
ビタミンE(g)………………………A(1.6), B(0.4)
ビタミンA1(mg) …………………A(0.30),B(0.10)
カルシウム(mg)……………………A(10.1),B(6)
マグネシウム(mg)…………………A(98), B(30)
遊離ガンマー・アミノ酪酸(mg)…A(12.0),B(1.2)
【0010】
次にこのような原材料を用いた米ぬか加工食材の製法を手順を示し、説明する。
玄米から分離した米ぬかは、外皮部分は荒削りしたものを除き、中間層の木目細かい部分のみを使用する。なお、最も内側の肌ぬか(白いぬか)も除くようにする。
一方、発芽玄米は、一定の温度の水に漬けて0.5〜1mm程度発芽させた玄米を乾燥させたものを使用するものとする。
【0011】
次に前記米ぬかを、60度以上の熱を与えないように中火で、きつね色に変色し、香ばしくなるまで炒る。次いで、よりきめ細かく粉末化するため2回か、2回以上製粉機にかける。なお、米ぬかを炒ったことで、少なくとも2回製粉機にかければ、所要の粉末が得られるためである。
また、前記発芽玄米は焙煎し、3〜6回、好ましくは4回製粉機にかける。玄米の胚乳部分は比較的硬質であるので、程良い食感を残すためには、複数回製粉機にかけて微粉末化する必要があるためである。
そして、これら米ぬかと発芽玄米とを、重量比で米ぬかを100に対し、発芽玄米粉を23〜33の割合で混合するようにする。
【0012】
このようにして製造された米ぬか加工食材は、米ぬかと発芽玄米とは元々、原料は同じ玄米であり違和感はない。米ぬかは60度以上の熱を与えないように炒るため、酵素の働きを損なわせることなく、甘みがもたらされ、炒ることで香ばしいものとなる。また米ぬかを炒るだけでなく、粉末化することで米ぬかの甘みが増進する。
【0013】
以上のような米ぬかに、粉末化した発芽玄米を混合することで、一層風味が増す。すなわち、米ぬかと発芽玄米とを、重量比で米ぬかを100に対し、発芽玄米粉を23〜33の割合で混合することで、米ぬかのいわゆるフワフワ食感と発芽玄米粉のプチプチ感が程よく調和して、香ばしさと甘さとを兼ね備えた新規な食感をもたらすことができる。
【0014】
このように、米ぬかを粉末化した発芽玄米と混合したことで、消化吸収がよく、しかも食感が向上したことにより、栄養価の高い米ぬかを継続して摂取が可能となる。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、日本人の主食である米の副産物である、栄養価の高い米ぬかを無駄にすることなく、おいしく摂取することができ、健康増進に大いに寄与することができる。
Claims (3)
- 玄米から分離した米ぬかを60度以下で炒ると共に粉末化したものと、発芽玄米を粉末化したものとを、所定の割合で混合する構成としたことを特徴とする米ぬか加工食材。
- 前記米ぬかを100に対し、発芽玄米粉を23〜33の割合で混合するようにしたことを特徴とする請求項1記載の米ぬか加工食材。
- 米ぬかを60度以上の熱を与えないように炒り、次いで複数回製粉機にかけて粉末化し、一方、発芽玄米を焙煎し、複数回製粉機にかけて粉末化してこれら米ぬかと発芽玄米粉とを、米ぬかを100に対し、発芽玄米粉を23〜33の割合で混合するようにしたことを特徴とする米ぬか加工食材の製法。
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