JP3788722B2 - シールドコネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジングの電線挿入口をゴム栓にて閉塞したシールドコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシールドコネクタの一例として、特開平10−144403号公報に掲載されたものが知られている。このものは、図5に示すように、コネクタハウジング1の内部に、筒状のシールドシェル2を備え、そのシールドシェル2によって包囲された位置に、シールド電線3の端末部が収容されている。シールド電線3の端末部には、端子金具4が固着されると共に、導通リング5、ゴム栓6及びゴム栓押さえ7が挿通され、上記導通リング5に一体に備えた下敷用リング8と導通リング5との間で、シールド層3Aが挟まれている。そして、この導通リング5の後端部分が、シールドシェル2に接続され、ゴム栓6でコネクタハウジング1の電線挿通口1Aを塞ぎ、さらに、そのゴム栓6をゴム栓押さえ7で抜け止めしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のシールドコネクタでは、ゴム栓6の抜け止めのために、わざわざゴム栓押さえ7を設けていたため、部品点数が多くなり、組付の作業も面倒であった。
ところで、上記シールドコネクタにおいて、シールド層3Aをシールド電線3の外部被覆9側に捲り返して、そこに導通リングを固定するものがあるが、このようなものでは、従来は、シールド層3Aの内側に配置する下敷用リング(図示せず)が、単なる筒状をなしていたので、ゴム栓6に次いで、下敷用リングもシールド電線3の先端から挿通させておく必要があり、組付作業が面倒であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来のものに比べて組付性に優れたシールドコネクタの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係るシールドコネクタは、端子金具が固着されたシールド電線の端末部を抜止状態に収容するコネクタハウジングと、端子金具を覆うシールドシェルと、そのシールドシェルとシールド電線のうち外部被覆から露出したシールド層とを導通接続する接続体と、シールド電線の途中部分に嵌着されて、コネクタハウジングのうちシールド電線が挿入される電線挿入口を閉塞するゴム栓とを備えたシールドコネクタであって、シールド層を外部被覆側に捲り返し、そのシールド層と外部被覆との間に下敷用部材を配して、下敷用部材と接続体との間で、シールド層を挟んだものにおいて、下敷用部材は、金属板をU字状に湾曲させて、その内側にシールド電線の外部被覆を配した状態でかしめて固定され、この下敷用部材に、シールド電線の外部被覆に向けて突出した係止突起が形成されたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明に係るシールドコネクタは、端子金具が固着されたシールド電線の端末部を抜止状態に収容するコネクタハウジングと、端子金具を覆うシールドシェルと、そのシールドシェルとシールド電線のうち外部被覆から露出したシールド層とを導通接続する接続体と、シールド電線の途中部分に嵌着されて、コネクタハウジングのうちシールド電線が挿入される電線挿入口を閉塞するゴム栓とを備えたシールドコネクタであって、シールド層を外部被覆側に捲り返し、そのシールド層と外部被覆との間に下敷用部材を配して、下敷用部材と接続体との間で、シールド層を挟んだものにおいて、ゴム栓には、その端面から下敷用部材に向けて小径部が延設され、下敷用部材は、金属板をU字状に湾曲させてなる第1及び第2のバレル部を、シールド電線に沿って並ぶように連続形成してなり、第1バレル部は、外部被覆にかしめ固定され、その外側をシールド層にて覆われると共に、さらにその外側から接続体が装着され、第2バレル部は、ゴム栓の小径部にかしめて固定されるところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2記載のシールドコネクタにおいて、下敷用部材には、シールド電線の外部被覆に向けて突出した係止突起が形成されたところに特徴を有する。
【0008】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の構成では、下敷用部材は、金属板をU字状に湾曲させた構造をなすから、シールド電線の側方から装着することができ、従来の筒状の下敷用リングに比べて、組付性が向上する。しかも、シールド電線にかしめ付けられるから、組付けの最中に、下敷用部材が動いてしまう心配もない。さらに、下敷用部材には、シールド電線の外部被覆に食い込むように突出した係止突起が形成されているから、下敷用部材がより確実にシールド電線に固着される。
【0009】
<請求項2の発明>
本発明のシールドコネクタでは、下敷用部材は、第1バレル部をかしめてシールド電線に固定され、ゴム栓の小径部に第2バレル部をかしめて、ゴム栓が下敷用部材に固定されるから、ゴム栓がシールド電線に対して移動不能となり、電線挿入口から抜け出ることがなくなる。これにより、従来は必要とされたゴム栓押さえが不要となり、部品点数の削減が図られ、組み付けの作業性が向上する。
【0010】
<請求項3の発明>
下敷用部材には、シールド電線の外部被覆に食い込むように突出した係止突起が形成されているから、下敷用部材がより確実にシールド電線に固着される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態のシールドコネクタに備えたコネクタハウジング10(以下、単に「ハウジング10」という)には、筒状の収容部11が設けられている。収容部11は、前筒部12と後筒部13とを軸方向に並べ、それらの一端同士を内外に重ねて、周方向の複数箇所を連絡壁14で連絡した構造をなし、両筒部12,13の隙間には、金属板を筒状に屈曲させたシールドシェル16が挿入組付されている。
【0012】
このシールドコネクタが取り付けられるシールド電線20は、心線21の外側を内部絶縁層22で覆い、その外側を金属細線を編み込んでなるシールド層23で覆い、更にその外側を外部被覆24で覆ってなり、図4に示すように、先端側から心線21、内部絶縁層22、シールド層23と段階的に露出されている。そして、図1に示すように、心線21に端子金具25が圧着されて、収容部11内に挿入され、その収容部11奥部に設けた端子係止機構(具体的にはランス15)と端子金具25との係止にて、シールド電線20が収容部内に抜け止めさる。
【0013】
シールド電線20のうち外部被覆24の途中部分には、ゴム栓30が挿通されている。ゴム栓30は、シールド電線20の外部被覆24とハウジング10の内面に密着される筒状をなし、ゴム栓30の前端面からは、ゴム栓30全体より径が小さい小径部31が延設されている。
【0014】
さて、シールド電線20のうち外部被覆24には、下敷用部材40が装着されている。下敷用部材40は、シールド電線20に装着する前の状態が図2に示されており、金属板をU字状に湾曲させてなる第1及び第2のバレル部41,42を連絡壁43にて繋げた構造をなす。
【0015】
より詳細には、第1バレル部41は、例えば外部被覆24の外径に対応した曲率で湾曲し、第2バレル部42は、前記ゴム栓30の小径部31の外径に対応した曲率で湾曲している。また、第1バレル部41の底部には、係止突起44が切り起こし形成されている。この係止突起44は、図3に拡大して示すように、第1バレル部41を構成する金属板に、シールド電線20の軸方向と直行する直線上の切欠45を形成すると共に、金属板のうち切欠45より前側(切欠45より第2バレル部42から離れた側)を、シールド電線20側に叩き出した構造をなす。
【0016】
上記した第1バレル部41の外側には、図1に示すように、第1バレル部41との間にシールド層23を挟むようにして導電スリーブ50が装着される。この導電スリーブ50は、小筒部51と大筒部52との一端同士を円盤壁53で繋げて構成されている。そして、図1に示すように、小筒部52は、前記第1バレル部41の外面にシールド層23を挟んで嵌合される一方、大筒部52は、シールドシェル16の内側に嵌合される。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。
このシールドコネクタを組み付けるには、シールド電線20にゴム栓30を挿通させておき、シールド電線20の外部被覆24に、側方から下敷用部材40を宛う。そして、第1バレル部41内に外部被覆24の先端部分を配し、かつ、第2バレル部42内にゴム栓30の小径部31を配して、図示しない工具にて、第1及び第2のバレル部41,42をかしめる。これにより、第1バレル部41が外部被覆24に押しつけられて、その第1バレル部41に形成した係止突起44が外部被覆24に食い込み、もって、下敷用部材40がシールド電線20に確実に移動不能に固定される。また、第2バレル部42がゴム栓30にかしめられることで、ゴム栓30と下敷用部材40とが固定され、これによりゴム栓30がシールド電線20に対して移動不能になる。
【0018】
次いで、シールド電線20の先端側から導電スリーブ50を挿通させ、導電スリーブ50の小筒部51と、前記第1バレル部41との間でシールド層23をめくり返して挟んだ状態に装着する。そして、シールド電線20の心線21に端子金具25を圧着し、この端子金具25をハウジング10の電線挿入口18から収容部11内に押し込むと、ゴム栓30が電線挿入口18の内側に密着し、もって電線挿入口18の防水が図られる。このとき、収容部11のうち前記ゴム栓30より奥側では、導電スリーブ50の大筒部52が、シールドシェル16の内側に押し込まれて密着嵌合される。これにより、シールド層23とシールドシェル16とが、導電スリーブ50を介して互いに導通接続される。また、収容部11の最奥部では、ランス25が端子金具25に係合して、シールド電線20が収容部11内に抜け止めされる。
【0019】
ところで、例えば、本実施形態のシールドコネクタが相手コネクタと結合されて収容部11が密閉され、その収容部11の内部気圧が高まると、ゴム栓30が電線挿入口18から押し出される方向に力を受ける。ところが、本実施形態では、ゴム栓30は、シールド電線20に固定された下敷用部材40の第2バレル部42にて固定されて、シールド電線20の軸方向に移動不能に係止されているから、ゴム栓30が電線挿入口18から抜け出ることはない。
【0020】
このように、本実施形態のシールドコネクタでは、下敷用部材40によってゴム栓30をシールド電線20に移動不能に固定し、電線挿入口18から抜け出ることを防止したから、従来のゴム栓押さえが不要となり、部品点数の削減が図られ、もって組み付けの作業性が向上する。しかも、下敷用部材40は、金属板をU字状に湾曲させた構造をなすから、シールド電線20の側方から装着することができ、従来の単なる筒状をなした下敷用リングに比べて、組付性がよい。
【0021】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。すなわち、前記実施形態の下敷用部材40は、第2バレル部42を備えて、ゴム栓30に固定されていたが、下敷用部材は、第2バレル部を備えずに第1バレル部のみで構成し、ゴム栓には固定されないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るシールドコネクタの側断面図
【図2】 下敷用部材の斜視図
【図3】 係止突起を拡大して示した斜視図
【図4】 下敷用部材にてゴム栓を係止した状態の斜視図
【図5】 従来のシールドコネクタの側断面図
【符号の説明】
10…コネクタハウジング
16…シールドシェル
18…電線挿入口
20…シールド電線
23…シールド層
24…外部被覆
25…端子金具
30…ゴム栓
31…小径部
40…下敷用部材
41…第1バレル部
42…第2バレル部
44…係止突起
50…導電スリーブ(接続体)
Claims (3)
- 端子金具が固着されたシールド電線の端末部を抜止状態に収容するコネクタハウジングと、前記端子金具を覆うシールドシェルと、そのシールドシェルと前記シールド電線のうち外部被覆から露出したシールド層とを導通接続する接続体と、前記シールド電線の途中部分に嵌着されて、前記コネクタハウジングのうち前記シールド電線が挿入される電線挿入口を閉塞するゴム栓とを備えたシールドコネクタであって、前記シールド層を前記外部被覆側に捲り返し、そのシールド層と前記外部被覆との間に下敷用部材を配して、前記下敷用部材と前記接続体との間で、前記シールド層を挟んだものにおいて、
前記下敷用部材は、金属板をU字状に湾曲させて、その内側に前記シールド電線の外部被覆を配した状態でかしめて固定され、この下敷用部材に、前記シールド電線の外部被覆に向けて突出した係止突起が形成されたことを特徴とするシールドコネクタ。 - 端子金具が固着されたシールド電線の端末部を抜止状態に収容するコネクタハウジングと、前記端子金具を覆うシールドシェルと、そのシールドシェルと前記シールド電線のうち外部被覆から露出したシールド層とを導通接続する接続体と、前記シールド電線の途中部分に嵌着されて、前記コネクタハウジングのうち前記シールド電線が挿入される電線挿入口を閉塞するゴム栓とを備えたシールドコネクタであって、前記シールド層を前記外部被覆側に捲り返し、そのシールド層と前記外部被覆との間に下敷用部材を配して、前記下敷用部材と前記接続体との間で、前記シールド層を挟んだものにおいて、
前記ゴム栓には、その端面から前記下敷用部材に向けて小径部が延設され、
前記下敷用部材は、金属板をU字状に湾曲させてなる第1及び第2のバレル部を、前記シールド電線に沿って並ぶように連続形成してなり、
前記第1バレル部は、前記外部被覆にかしめ固定され、その外側を前記シールド層にて覆われると共に、さらにその外側から前記接続体が装着され、
前記第2バレル部は、前記ゴム栓の小径部にかしめて固定されることを特徴とするシールドコネクタ。 - 前記下敷用部材には、前記シールド電線の外部被覆に向けて突出した係止突起が形成されたことを特徴とする請求項2記載のシールドコネクタ。
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