JP3283468B2 - シールドコネクタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シールドコネクタ
に関する。

【０００２】

【従来の技術】シールドコネクタは、合成樹脂製のハウ
ジングの内部に金属製のシールドシェルを備えてなり、
シールド電線の端末部に取り付けられてそのシールド電
線に備えたシールド層に前記シールドシェルが導通接続
されるようになっている。そのために、例えば、図９に
示すように、シールド電線１の端末部には、導体２の露
出部分に端子金具３が固着されると共に、シールド層４
の露出部分にシールドシェル５に備えたバレル部６が工
具で圧着され、これらが図示しないコネクタハウジング
に収容されるようになっている。尚、このようなもの
が、特開平７−２４５１５３号公報、特開平８−２６４
２３８号公報に掲載されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来のシール
ドコネクタでは、工具を用いた圧着作業が必要であるた
め、作業性が悪いという問題があった。

【０００４】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、組み付け作業が容易なシールドコネクタの提供を目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に係る発明は、コネクタハウジング内に、
シールド電線の端末部を覆うシールドシェルを設けると
共に、前記端末部において露出された前記シールド電線
のシールド層と前記シールドシェルとを導通接続するよ
うにしたものにおいて、前記シールド電線には、前記シ
ールド層の外側を覆う外部シースが備えられる一方、前
記シールドシェル内に収容可能な環状に形成されかつ内
側に前記シールド電線が挿通される中継リングが設けら
れ、前記中継リングには、前記シールド電線の軸方向に
延びかつ先端側が前記シールド電線に近づく側に傾斜し
て、前記中継リングを前記シールド電線に沿って移動し
たときに、前記シールド層の露出部分の内側に挿入され
る潜入部と、前記潜入部の外側に配されてその潜入部と
の間で前記シールド層の露出部分を挟むことが可能な押
さえ片と、前記シールドシェルに弾性接触し、そのシー
ルドシェルと前記シールド層とを導通させる導通部と、
前記シールド電線への前記中継リングの挿通に伴って前
記外部シースの外面に食い込ませることが可能な複数の
係止爪とが備えられているところに特徴を有する。

【０００６】請求項２に係る発明は、請求項１記載のシ
ールドコネクタにおいて、中継リングは、導通部を合成
樹脂製のホルダで保持した構成とされ、潜入部は、ホル
ダの周方向に並べられてシールド電線の軸方向に延びか
つ先端側がシールド電線に近づく側に傾斜した複数の樹
脂潜入片と、導通部に一体に設けられて、各樹脂潜入片
同士の隙間の途中まで延びた複数の導通潜入片とからな
り、押さえ片は、導通潜入片との間でシールド層を挟む
ことが可能な配置となっているところに特徴を有する。

【０００７】請求項３に係る発明は、請求項１又は請求
項２に記載のものにおいて、前記ホルダが、導電性樹脂
によって形成されているところに特徴を有する。

【０００８】

【０００９】

【発明の作用及び効果】請求項１の構成によれば、中継
リングをシールド電線に差し込むと、潜入部の先端の傾
斜部分に沿ってシールド層が浮かされ、その内側に潜り
込んだ潜入部と潜入部の外側に配された押さえ片と間に
挟まれる。このように、シールド層は内側を潜入部で支
持されかつ外側を押さえ片で押さえられるから、シール
ド層が逃げることなく確実に導通部に接触されて、その
導通部を介してシールドシェルに導通接続させることが
できる。従って、本発明によれば、従来は必要とされた
圧着作業を要せずしてシールド電線の端末にシールドコ
ネクタを取り付けることができ、作業性が向上する。ま
た、係止爪がシールド電線の外部シースに食い込んで、
中継リングのずれ防止を図ることができる。

【００１０】請求項２の構成によれば、中継リングをシ
ールド電線に差し込むと、樹脂潜入片の先端の傾斜部分
に沿ってシールド層が浮かされて、そのシールド層の内
側に樹脂潜入片と共に導通潜入片が潜り込み、その導通
潜入片と押さえ片との間にシールド層が挟まれる。この
導通潜入片と押さえ片とは導通部に一体に設けられかつ
導通部はシールドシェルに弾性接触するから、もってシ
ールド層とシールドシェルとが導通接続される。

【００１１】請求項３の発明によれば、ホルダが導電性
樹脂によって形成されているから、シールドシェルとシ
ールド電線との間の隙間からのノイズをホルダで遮断で
き、シールド効果が向上する。

【００１２】

【００１３】

【発明の実施の形態】＜第１実施形態＞以下、本発明の
第１実施形態について、図１〜図８を参照して説明す
る。図１には、本実施形態のシールドコネクタが取り付
けられるシールド電線１０が示されている。シールド電
線１０は、複数の素線を撚ってなる導体１１の外側を内
部絶縁層１２で覆い、その外側を金属細線を編み込んで
なるシールド層１３で覆い、更にその外側を外部シース
１４で覆った構造となっている。そして、シールド電線
１０の端末部は、先端側から導体１１、内部絶縁層１
２、シールド層１３と階層的に露出されている。

【００１４】シールド電線１０の導体１１の露出部分に
は、図３に示すように、雌型の端子金具１５のバレル部
１７が圧着される。また、端子金具１５の先端部は図示
しない相手側端子金具との接続される箱形の接続部１６
となっており、その一側壁に後述のコネクタハウジング
２１（以下「ハウジング２１」という）に設けたランス
２２（図４参照）が係止して、端子金具１５がハウジン
グ２１内に抜け止めされる。

【００１５】本実施形態のシールドコネクタは、図４に
示すように、合成樹脂製のハウジング２１の内部にシー
ルドシェル３０を備えている。ハウジング２１は、筒状
の基部２３を備え、その基部２３の外面の中間部から前
側（図４の左側）がフード部２４で囲まれている。フー
ド部２４は、ハウジング２１の前面に開放しており、そ
の開放口２４Ａから内部へと相手コネクタ（図示せず）
が嵌入される。基部２３は、その中間部より前側の小径
筒部２５と後側の大径筒部２６とからなり、それらが基
部２３の中間部分で内外に重ね合わされて、周方向の複
数箇所に配置した連絡壁２７（図４には、２つの連絡壁
２７の断面が示されている）で連絡された構造となって
いる。

【００１６】小径筒部２５は、その内部が端子金具１５
を収容するためのキャビティ２５Ａとなっており、その
キャビティ２５Ａ内には、端子金具１５を抜け止めする
ためのランス２２が設けられている。

【００１７】大径筒部２６の内部空間は、ハウジング２
１の後端面に開放しており、その開放口２６Ａからシー
ルドシェル３０が組み付けられる。シールドシェル３０
は、導電性の金属板を筒状に屈曲させて両端を突き合わ
せ状態に接合することにより形成され、その先端から長
さ方向の中間位置に亘って前記連絡壁２７に対応した切
欠溝（図示せず）が延びている。そして、各切欠溝の奥
まで各連絡壁２７が挿入されて、シールドシェル３０の
前部が小径筒部２５の外面に配置され、かつ、シールド
シェル３０の後部が大径筒部２６内の前方寄りに収容さ
れる。

【００１８】さて、シールドシェル３０の後部の内側に
は、図５に示すように、中継リング４０が収容される。
中継リング４０は、金属製の導通部４２（図７参照）を
合成樹脂製のホルダ４１（図８参照）に組み付けてな
る。

【００１９】導通部４２は、図７に示すように、筒状の
導通基部４３の周方向に９０度の間隔を開けて配置され
た４組の押さえ片４４及び導通潜入片４５と、各押さえ
片４４と４５度の間隔を開けて配置された４つの弾性接
触片４６とを備えている。

【００２０】各押さえ片４４は、図７（Ａ）に示すよう
に、導通基部４３の一端から延びた舌片を途中で折り返
して斜め内側に延ばし、さらに、その先端を導通基部４
３の内面に向けて折り曲げた構造となっている。また、
導通基部４３のうち押さえ片４４の基端部寄りには、外
側に向けて抜け止め片４７が切り起こされている。

【００２１】各導通潜入片４５は、図７（Ａ）に示すよ
うに、導通基部４３のうち押さえ片４４と反対側の端部
内側に設けられた張り出し部４８の先端から導通基部４
３内に並行して延ばされ、その先端に前記押さえ片４４
の先端湾曲面４４Ａが当接している。

【００２２】各弾性接触片４６は、図７（Ｂ）に示すよ
うに、導通基部４３のうち押さえ片４４と同じ側の端部
から斜め外側に延びて、先端が内側に屈曲されている。

【００２３】一方、ホルダ４１は、図８に示すように、
筒状をなす外周壁５０の内側に、周方向に９０度の間隔
を開けて４つの樹脂潜入片５１を備えている。各樹脂潜
入片５１は、外周壁５０の一端内側に設けられた張り出
し壁５２の先端から外周壁５０内に並行して延ばされて
おり、その内面５１Ａが、図８（Ｃ）に示すように円弧
状をなして、シールド電線１０の内部絶縁層１２に密着
可能となっている（図２参照）。また、各樹脂潜入片５
１の外面は、図８（Ｂ）に示すように、基端から先端に
かけてシールド電線１０の内部絶縁層１２に近づく側に
傾斜して、先端が薄くなっている。

【００２４】ホルダ４１のうち張り出し壁５２には、図
８（Ａ）に示すように、樹脂潜入片５１と外周壁５０と
の間に係止爪５３が設けられている。係止爪５３は、樹
脂潜入片５１と並行してそれよりも先に延ばされてお
り、その先端には内側に向けてやじり状の突起５４が形
成されている。この係止爪５３と外周壁５０との間に
は、円弧状の隙間５５（図８（Ｃ）参照）が設けられて
おり、この隙間５５に導通部４２の導通基部４３が収容
され（図６（Ｂ）参照）、かつ、ホルダ４１の樹脂潜入
片５１同士の間に導通部４２の導通潜入片４５及び押さ
え片４４が収容されている（図６（Ｃ）参照）。また、
図６（Ｂ）に示すように、ホルダ４１の外周壁５０のう
ち前記隙間５５に対応した部分には、張り出し壁５２か
ら離れた側の端部に貫通窓５６が形成されており、この
貫通窓５６を介して導通部４２の弾性接触片４６が外周
壁５０より外側に突出し（図６（Ｂ）参照）、シールド
シェル３０に接触可能となっている。さらに、図６
（Ａ）に示すように、外周壁５０のうち貫通窓５６同士
の間には、内側に向けて抜け止め突起５７が形成されて
おり、これに導通部４２の抜け止め片４７が係止して導
通部４２がホルダ４１に保持されている。

【００２５】次に、本実施形態の作用について、シール
ド電線１０の端末部にシールドコネクタを組み付ける手
順と共に以下に説明する。まず、図１（Ａ）に示すよう
に、ゴム栓押さえ１０Ａとゴム栓１０Ｂをシールド電線
１０の外部シース１４に嵌着させておき、中継リング４
０をシールド電線１０に取り付ける。中継リング４０
は、図１に示すように、係止爪５３の先端側からシール
ド電線１０に差し込まれる。すると、中継リング４０の
樹脂潜入片５１の内面５１Ａが、シールド電線１０の内
部絶縁層１２の外面に密接しつつ移動し、その樹脂潜入
片５１の先端がシールド層１３の先端に到達する。ここ
で、樹脂潜入片５１の先端は薄くなっているから、中継
リング４０を押していくと、図２に示すように、樹脂潜
入片５１がシールド層１３の内側に入り、シールド層１
３が樹脂潜入片５１の傾斜に沿って浮き上がる。中継リ
ング４０を更に押していくと、押さえ片４４の傾斜部分
によってシールド層１３が浮き上がりすぎないように押
さえられ、かつ、そのシールド層１３が樹脂潜入片５１
の間に延びた導通潜入片４５の外側を覆った状態にな
る。そして、更に中継リング４０が押されると、図３に
示すように、シールド層１３が導通潜入片４５と押さえ
片４４の間に入り込んで両者間に挟まれる。

【００２６】また、このシールド層１３が押さえ片４４
と導通潜入片４５の間に挟まれる過程で、中継リング４
０の係止爪５３に設けた突起５４が、外部シース１４に
当接し、中継リング４０の移動に伴って突起５４に設け
たテーパ面５４Ａ（図２参照）が外部シース１４に摺接
して係止爪５３が押し広げられる。そして、シールド層
１３が導通潜入片４５と押さえ片４４の間に挟まれたと
ころで、図３に示すように、係止爪５３が外部シース１
４の外側に配置されて、その弾性力によって突起５４が
外部シース１４に食い込み、中継リング４０がシールド
電線１０に固定される。

【００２７】次いで、シールド電線１０の先端の導体１
１に端子金具１５を圧着し、そのシールド電線１０の先
端をハウジング２１内の奥まで挿入する。すると、図５
に示すように、端子金具１５がキャビティ２５Ａ内に挿
入されてランス２２によって抜け止めされると共に、中
継リング４０がシールドシェル３０の内側に嵌入され
る。これにより、中継リング４０の外側に突出した弾性
接触片４６がシールドシェル３０に接触し、もってシー
ルド層１３とシールドシェル３０とが導通部４２を介し
て導通接続される。

【００２８】そして、最後にゴム栓１０Ｂと共にゴム栓
押さえ１０Ａをハウジング２１内に押し込んでシールド
コネクタの組み付けが完了する。

【００２９】このように、本実施形態のシールドコネク
タによれば、圧着作業を要せずしてシールド層１３とシ
ールドシェル３０とを導通接続させることができるか
ら、作業性がよい。しかも、シールド層１３はその内側
を潜入部（導通潜入片４５及び樹脂潜入片５１）で支持
され、かつ、外側を押さえ片４４で押さえられているか
ら、シールド層１３が逃げることなく確実に導通部４２
に接触されて、シールド層１３とシールドシェル３０と
の導通の信頼性が高まる。

【００３０】＜第２実施形態＞本実施形態のシールドコ
ネクタは、前記第１実施形態のホルダ４１を導電性樹脂
（例えば、合成樹脂に導電性のファイバをコンパウンド
したもの）によって形成した点のみが前記第１実施形態
のシールドコネクタと異なっている。このような構成と
すれば、ホルダによって、シールドシェルとシールド電
線との間の隙間からのノイズを遮断でき、シールド効果
が向上する。また、ホルダによって、シールド層とシー
ルドシェルとを導通接続する部分が広く確保されるか
ら、導通接続の信頼性が高まるという効果も得られる。

【００３１】＜他の実施形態＞本発明は、前記実施形態
に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するよ
うな実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、
下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実
施することができる。 （１）前記実施形態の中継リング４０は、合成樹脂製の
ホルダ４１と金属製の導通部４２とから構成されていた
が、例えば、合成樹脂製のホルダ４１を設けずに中継リ
ング４０を金属部材のみで構成してもよい。 （２）前記実施形態では、樹脂潜入片５１と導通潜入片
４５とによって本発明の潜入部が構成されていたが、例
えば、前記実施形態のホルダ４１の張り出し壁５２から
筒体を突設させて、その先端をテーパ状に薄くすること
によって本発明の潜入部を構成し、その筒体の周面に押
さえ片を当接させた構成としてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施形態の中継リングとシールド電線の端
末部分の部分側断面図

【図２】シールド電線に中継リングを途中まで差し込ん
だ状態の側断面図

【図３】シールド電線に中継リングを装着しかつ端子金
具を固着した状態の側断面図

【図４】シールドコネクタが組み付けられる前の側断面
図

【図５】シールドコネクタの組み付け完了状態を示す側
断面図

【図６】（Ａ）中継リングの側断面図 （Ｂ）中継リングの位相を変えた側断面図 （Ｃ）中継リングの背面図

【図７】（Ａ）導通部の側断面図 （Ｂ）導通部の位相を変えた側断面図 （Ｃ）導通部の背面図

【図８】（Ａ）ホルダの側断面図 （Ｂ）ホルダの位相を変えた側断面図 （Ｃ）ホルダの背面図

【図９】従来のシールドコネクタに備えられたシールド
シェルを示す斜視図

【符号の説明】

１０…シールド電線 １３…シールド層 １４…外部シース ２１…コネクタハウジング ３０…シールドシェル ４０…中継リング ４１…ホルダ ４２…導通部 ４４…押さえ片 ４５…導通潜入片 ４６…弾性接触片 ５１…樹脂潜入片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−243938（ＪＰ，Ａ) 特開 平10−144404（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−250218（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−152887（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−245156（ＪＰ，Ａ) 特表 昭60−500931（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01R 13/648

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コネクタハウジング内に、シールド電線
   の端末部を覆うシールドシェルを設けると共に、前記端
   末部において露出された前記シールド電線のシールド層
   と前記シールドシェルとを導通接続するようにしたもの
   において、前記シールド電線には、前記シールド層の外側を覆う外
   部シースが備えられる一方、 前記シールドシェル内に収容可能な環状に形成されかつ
   内側に前記シールド電線が挿通される中継リングが設け
   られ、 前記中継リングには、前記シールド電線の軸方向に延び
   かつ先端側が前記シールド電線に近づく側に傾斜して、
   前記中継リングを前記シールド電線に沿って移動したと
   きに、前記シールド層の露出部分の内側に挿入される潜
   入部と、 前記潜入部の外側に配されてその潜入部との間で前記シ
   ールド層の露出部分を挟むことが可能な押さえ片と、 前記シールドシェルに弾性接触し、そのシールドシェル
   と前記シールド層とを導通させる導通部と、前記シールド電線への前記中継リングの挿通に伴って前
   記外部シースの外面に食い込ませることが可能な複数の
   係止爪 とが備えられていることを特徴とするシールドコ
   ネクタ。
2. 【請求項２】 前記中継リングは、前記導通部を合成樹
   脂製のホルダで保持した構成とされ、 前記潜入部は、前記ホルダの周方向に並べられて前記シ
   ールド電線の軸方向に延びかつ先端側が前記シールド電
   線に近づく側に傾斜した複数の樹脂潜入片と、前記導通
   部に一体に設けられて、前記各樹脂潜入片同士の隙間の
   途中まで延びた複数の導通潜入片とからなり、 前記押さえ片は、前記導通潜入片との間で前記シールド
   層を挟むことが可能な配置となっていることを特徴とす
   る請求項１記載のシールドコネクタ。
3. 【請求項３】 前記ホルダが、導電性樹脂によって形成
   されていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記
   載のシールドコネクタ。