JP3788701B2 - クロスメンバの構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のフレームを構成する左右のサイドレールに連結されているクロスメンバの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば貨物自動車の様な各種車両においては、従来、冷却水チューブはラジエタからエンジンまでの極めて短い距離においてのみ配設されていた。そして、冷却水チューブ自体の長さも極めて短いため、当該冷却水チューブを吊り下げて固定する必要性は存在しなかった。
【0003】
近年、トランスミッションについても冷却水を供給しなければならない場合が存在する。そのような場合、ラジエタからトランスミッションまでの長さはラジエタからエンジンまでの距離に比較して極めて長いため、ラジエタからトランスミッションまで冷却水を供給する冷却水チューブの長さも非常に長くなる。しかも、当該冷却水チューブは、エンジンと干渉しない様に配置されなければならないという要請がある。
【0004】
そのため、従来の(ラジエタからエンジンまで冷却水を供給する)冷却水チューブとは異なり、ラジエタとトランスミッションとを連通する冷却水チューブは、その途中で吊り下げ支持する必要がある。
【0005】
ここで、例えば図4に示すように、大型車両のフレームのサイドレール1の間に冷却水チューブ6(車両部材)を支持する場合、フレームの左右のサイドレール1、1を連結するクロスメンバ23をサイドレール1に設けられたブラケット2a、2bに長穴8aにボルトで締結し、そのクロスメンバ23にブラケット4を介して前記冷却水チューブ6を取り付ける技術は知られている。
【0006】
しかし、上記の技術においては、車両の走行に伴い路面の不整等のため左右のサイドレールがAのように左右方向に振動したり、フレームが捩じれたりするので、クロスメンバ23の取付部が緩んだり、エンジンEを避けるよう屈曲されたクロスメンバの屈曲部Bが集中応力のため亀裂が発生しやすい等の問題がある。また、上述したようにエンジンを回避しつつラジエタとトランスミッションとを連通する冷却水チューブ6は、その形状が非常に複雑になってしまう。そして図4で示すようなクロスメンバにより、複雑な形状を有する冷却水チューブを吊り下げて固定支持した場合には、負荷が作用する方向の予測が非常に困難となり、負荷に対する反力部材を別途設けることも出来ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、エンジンを回避しつつラジエタとトランスミッションとを連通する冷却水チューブを吊り下げ支持することが出来て、しかも、クロスメンバの取付部が緩んだり、クロスメンバに亀裂が発生したりせず、構造簡単で、耐久性に優れたクロスメンバの構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、車両のフレームを構成する左右のサイドレール(1、1)に連結されているクロスメンバ(3)の構造において、そのクロスメンバ(3)は展開形状が帯状の鋼材を折り曲げて形成され、クロスメンバ形成のために折り曲げた状態ではその帯状鋼材の幅を短辺とする長方形に形成された第1の部分(3a)と、その第1の部分(3a)の両外側にそれぞれ連なり片台形に形成された第2の部分(3b、3b)と、さらにその第2の部分(3b)の外側にそれぞれ連なり片台形に形成された第3の部分(3c、3c)とで構成され、その水平面への投影形状は全体として台形状に形成されており、そして第1の部分(3a)には冷却水チューブ(6)がブラケット(4)を介して支持され、外側の第3の部分(3c、3c)には取付穴が設けられて前記サイドレール(1、1)に設けられたブラケット(2a、2b)に締結されている。
【0009】
また、本発明によれば、前記クロスメンバの第3の部分(13c、13c)それぞれの外側にさらに折り曲げられて第4の部分(13d、13d)および第5の部分(13e、13e)が設けられている。
【0010】
かかる構成を具備する本発明によれば、クロスメンバの中間部はフレームの振動・捩じれを吸収出来る形状に構成されているので、クロスメンバの取付部が緩んだり、クロスメンバに亀裂が発生することが防止される。また、当該クロスメンバに吊り下げられて、固定(支持)されている(例えば冷却水チューブの様な)車両部材に対して負荷が作用しても、当該負荷或いはそれにより発生する応力はクロスメンバの中間部により吸収されるので、破損その他の不都合が発生することが完全に防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1−3において、図4の従来技術と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して重複説明は省略する。
【0013】
図1は本発明にかかるクロスメンバの一実施形態を示し、帯状に形成された帯鋼を折り曲げて形成したクロスメンバを用いたものである。
【0014】
図1において、クロスメンバ3はフレームの右側サイドレール1に取り付けられているエンジンマウントブラケット2aと図示を省略した左側サイドレールに取り付けられているエンジンマウントブラケット2bとにそれぞれ2本のボルト8により締結されている。
【0015】
また、クロスメンバ3は帯状に展開された状態である図2を参照して、長方形の第1の部分3aに連なる第2の部分3b、3bは同じ方向に折り曲げられて台形が形成され、そして、その第2の部分3bに連なる第3の部分3c、3cはそれぞれ外方に折り曲げられ、平面部3bと3cとはそれぞれ片台形を形成し、全体として投影形状が台形状となるよう構成されている。
【0016】
そして、3b、3c間の傾斜した折り曲げ部は、例えば図示しないエンジンを避けるよう、第1の部分が所定の設計要求位置を満たすように決められており、第1の部分3aには冷却水チューブ6が固着されたブラケット4がボルト5により締結され、冷却水チューブ6は図示しない左側サイドレールに取り付けられた他の支持ブラケットとともに所定位置に固定・支持される。なお、符号10は冷却水チューブ6に接続されているラバーホースを示している。
【0017】
以下作用について説明する。
【0018】
図2に示す帯鋼を折り曲げて構成されたクロスメンバ3は左右のブラケット(この例の場合はエンジンマウントブラケットを共用)に取り付けられた状態で、冷却水チューブ6がブラケット4を介して取り付けられると、図示しない他の支持部でも支持されているチューブ6に拘束されて第1の部分3aは殆ど固定状態となるが、左右のサイドレール1がAのように走行時に振動したり、捩じれたりした場合、第2の部分3b、第3の部分3cが弾性変形して吸収するため、それぞれの部分のストレスは分散されて過大になることがなく、亀裂を生じることはない。
【0019】
また、クロスメンバ3の両端の取付穴も長穴とする必要がないため、緩みも発生しない。
【0020】
図3は本発明の別の実施形態を示し、図1の第1実施形態に対してクロスメンバ13をサイドレール1に取り付ける部分の配管或はブラケット構造等のためにクロスメンバ13の端部にそれら他の部材との干渉を避けるために第3の部分13cの外側に第4の部分13d、第5の部分13eを設けた場合であり、それ意外は第1実施形態と同じである。作用効果については、クロスメンバ13の第4の部分13d、第5の部分13eがそれぞれ短く、第2の部分13b、第3の部分13cに対して剛性が高く、弾性部材として作用しないため、第1実施形態と同じである。
【0021】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。例えば、図1−図3の実施形態では、車両部材として冷却水チューブが示されているが、その他の部材をクロスメンバにより吊り下げる場合であっても、本発明のクロスメンバの構造を適用出来ることは明白である。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されており、クロスメンバの中間部が弾性部材として作用するよう形成されているため、振動によりクロスメンバの取付が緩んだり、亀裂が生じることがなく、クロスメンバが1本の帯鋼を折り曲げて形成されているので、軽量で且つ安く製造出来るメリットがある。
【0023】
また、例えば冷却水チューブの様な車両部材をクロスメンバに吊り下げて固定・支持する際に、当該車両部材にどの様な負荷が作用しても、それを吸収して、応力集中や破損を防止する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すクロスメンバの斜視図。
【図2】図1のクロスメンバの展開図。
【図3】本発明の別の実施形態を示すクロスメンバの斜視図。
【図4】従来技術の例を示す正面図。
【符号の説明】
1・・・サイドレール
2a、2b・・・エンジンマウントブラケット
3、13、23・・・クロスメンバ
4・・・ブラケット
6・・・冷却水チューブ
3a・・・第1の部分
3b・・・第2の部分
3c・・・第3の部分

Claims (2)

  1. 車両のフレームを構成する左右のサイドレール(1、1)に連結されているクロスメンバ(3)の構造において、そのクロスメンバ(3)は展開形状が帯状の鋼材を折り曲げて形成され、クロスメンバ形成のために折り曲げた状態ではその帯状鋼材の幅を短辺とする長方形に形成された第1の部分(3a)と、その第1の部分(3a)の両外側にそれぞれ連なり片台形に形成された第2の部分(3b、3b)と、さらにその第2の部分(3b)の外側にそれぞれ連なり片台形に形成された第3の部分(3c、3c)とで構成され、その水平面への投影形状は全体として台形状に形成されており、そして第1の部分(3a)には冷却水チューブ(6)がブラケット(4)を介して支持され、外側の第3の部分(3c、3c)には取付穴が設けられて前記サイドレール(1、1)に設けられたブラケット(2a、2b)に締結されていることを特徴とするクロスメンバの構造。
  2. 前記クロスメンバの第3の部分(13c、13c)それぞれの外側にさらに折り曲げられて第4の部分(13d、13d)および第5の部分(13e、13e)が設けられている請求項1に記載のクロスメンバの構造。
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