JP3788087B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料消費率を低減するために、リーン混合気を燃焼させる希薄燃焼内燃機関が実用化されている。希薄燃焼においては、有害なNOx が比較的多量に生成されるために、大気中へのNOx 放出量を低減しなければならない。
【0003】
このために、機関排気系にNOx 吸蔵還元触媒装置を配置することが提案されている。NOx 吸蔵還元触媒装置は、排気ガス中の酸素濃度が高い時にNOx を硝酸塩の形で吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低くなると吸収したNOx を放出すると共に、排気ガス中の還元成分によって放出したNOx を還元浄化させるものである。このように、NOx 吸蔵還元触媒装置は、酸素濃度の高い希薄燃焼の排気ガス中からNOx を良好に吸収し、定期的なリッチ混合気燃焼運転によって、排気ガス中の酸素濃度を低下させると共に排気ガス中にHC及びCO等の還元成分を存在させ、吸収したNOx を大気中に放出させることなく良好に浄化することができる。
【0004】
ところで、内燃機関の燃料には硫黄が含まれており、燃焼に際してSOx が生成される。SOx は、NOx 吸蔵還元触媒装置へNOx と同様なメカニズムにより硫酸塩の形で吸収される。硫酸塩は、安定な物質であるために、通常のリッチ混合気燃焼運転を実施してもNOx 吸蔵還元触媒装置から放出され難く、吸蔵量が徐々に増加する。NOx 吸蔵還元触媒装置への硝酸塩又は硫酸塩の吸蔵可能量は有限であり、NOx 吸蔵還元触媒装置における硫酸塩の吸蔵量が増加すれば(以下、SOx 被毒と称する)、その分、硝酸塩の吸蔵可能量が減少し、遂には、全くNOx を吸収することができなくなる。
【0005】
従って、SOx 被毒されたNOx 吸蔵還元触媒装置は回復させなければならない。硫酸塩は安定な物質であるが、NOx 吸蔵還元触媒装置が600°C程度の高温とされれば、排気ガスをストイキ又はリッチ状態として酸素濃度を低下させることにより、SOx として放出させることができる。それにより、特開平8−61052号公報には、SOx 被毒回復に際して、機関高負荷時等のようにNOx 吸蔵還元触媒装置の温度が比較的高い時に、六気筒内燃機関の三気筒をリッチ空燃比で運転すると共に残りの三気筒をリーン空燃比で運転することにより、リッチ状態の排気ガスとリーン状態の排気ガスとをNOx 吸蔵還元触媒装置へ流入させ、リッチ状態の排気ガス中のHC及びCOをリーン状態の排気ガス中のO2 により燃焼させ、NOx 吸蔵還元触媒装置の温度をさらに昇温して600°C程度とすることが提案されている。
【0006】
希薄燃焼内燃機関においても、機関始動直後から排気ガスを浄化することが必要であるために、熱容量が小さく機関始動直後から活性化する前置触媒装置を機関本体近傍に配置することが好ましい。前置触媒装置は、機関始動時の空燃比がリッチ又はストイキであるために、一般的には、酸化触媒又は三元触媒とされる。このような酸化作用を活発化させる前置触媒装置を前述の従来技術に適用する場合には、SOx 被毒回復に際して、リッチ状態の排気ガスとリーン状態の排気ガスとが同じ前置触媒装置を通過しないようにしなければならない。そうしないと、前置触媒装置でHC及びCOが燃焼してしまいNOx 吸蔵還元触媒装置を意図するように昇温することができない。それにより、SOx 被毒回復に際してリッチ空燃比で運転される三気筒とリーン空燃比で運転される残り三気筒とで、少なくとも別の前置触媒装置を設ける必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成において、機関高負荷時に三気筒をリッチ空燃比で運転して残り三気筒をリーン空燃比で運転すると、リーン空燃比で運転される気筒側に配置された前置触媒装置は、比較的高温となっているところに、過剰に酸素を含む排気ガスが通過することとなり、前置触媒装置に使用されている白金Ptのような貴金属が酸素によってシンタリングを起こして劣化する。こうして、SO被毒回復毎に、リーン空燃比で運転される気筒側に配置された前置触媒装置の劣化だけ進行するために、この前置触媒装置を早期に交換することが必要となる。
【0008】
従って、本発明の目的は、前置触媒装置を備えると共に、リーン状態の排気ガスとリッチ状態の排気ガスとをNOX 吸蔵還元触媒装置等の主触媒装置へ流入させて主触媒装置を昇温させる内燃機関の排気浄化装置において、前置触媒装置の劣化による交換期間を延長することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置は、主触媒装置と、前記主触媒装置の上流側に並列配置された複数の前置触媒装置とを具備し、各前記前置触媒装置がリーン状態の排気ガスの通過によりシンタリングを発生させるような高温度である時において前記主触媒装置の温度を昇温させるために、リッチ空燃比で運転させる気筒及びリーン空燃比で運転させる気筒を選定して、少なくとも一つの前記前置触媒装置を通過するリッチ状態の排気ガスと、他の少なくとも一つの前記前置触媒装置を通過するリーン状態の排気ガスとを前記主触媒装置へ流入させる昇温制御を必要に応じて実施する内燃機関の排気浄化装置において、前記昇温制御が実施される毎に、特定の前記前置触媒装置だけにリーン状態の排気ガスが通過しないように、リッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、前記昇温制御が実施される毎に、各前記前置触媒装置をリーン状態の排気ガスが通過する積算時間が略等しくなるように、リッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置は、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、各前記前置触媒装置の劣化程度を把握する劣化把握手段を具備し、前記昇温制御が実施される毎に、各前記前置触媒装置の劣化程度が略等しくなるように、前記昇温制御中におけるリッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による内燃機関の排気浄化装置が取り付けられた機関排気系を示す概略図である。同図において、1は希薄燃焼を実施する内燃機関本体である。本実施形態において、内燃機関は#1〜#4の四つの気筒を有するものである。これら四つの気筒の点火順序は、#1−#3−#4−#2である。21〜24は各気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁である。
【0013】
機関排気系において、各気筒の排気管31〜34は、#1気筒の排気管31と#4気筒の排気管34とが第1合流部41において合流し、#2気筒の排気管32と#3気筒の排気管33とが第2合流部42において合流している。第1合流部41の下流側の排気通路には第1前置触媒装置81が配置され、第2合流部42の下流側の排気通路には第2前置触媒装置82が配置されている。第1前置触媒装置81の下流側と第2前置触媒装置82の下流側とが、第3合流部43において合流し、第3合流部43の下流側にはNOx 吸蔵還元触媒装置5が配置されている。こうして、NOx 吸蔵還元触媒装置5の上流側には、二つの前置触媒装置81,82が並列配置されている。
【0014】
6はNOx 吸蔵還元触媒装置5へ流入する排気ガスの空燃比状態を検出する第1空燃比センサであり、7はNOx 吸蔵還元触媒装置5から流出する排気ガスの空燃比状態を検出する第2空燃比センサである。第1及び第2空燃比センサ6,7として、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサが使用可能である。
【0015】
20は、点火時期制御等に加えて、各燃料噴射弁21〜24を介しての燃料噴射制御を実施して最適な運転を実行するための制御装置であり、第1及び第2空燃比センサ6,7が接続されると共に、例えば、機関負荷としてのアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルストロークセンサ、機関回転数を検出するための回転センサ、及び、機関温度として冷却水温を検出する冷却水温センサ(いずれも図示せず)等の機関運転状態を把握するためのセンサが接続されている。
【0016】
内燃機関1における希薄燃焼において、排気ガス中には比較的多量のNOx が含まれている。NOx 吸蔵還元触媒装置5は、この排気ガス中からNOx を吸蔵して還元浄化するためのものであり、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、セリウムCe、イットリウムYのような希土類から選択された少なくとも一つの成分と、白金Ptのような貴金属とを担持させたものである。
【0017】
このようなNOx 吸蔵還元触媒装置5として、白金Pt及びバリウムBaを使用した場合を例として、以下にNOx を吸収するメカニズムを説明する。まず、排気ガス中の酸素濃度が高いリーン状態の排気ガスにおいて、酸素が、O2 - の形で白金Ptの表面に付着し、次いで、排気ガス中のNOが白金Ptの表面上でO2 - と反応してNO2 となる。こうして生成されたNO2 の一部は、白金Pt上で酸化されつつNOx 吸蔵還元触媒装置内へ吸収され、酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸塩BaNO4 として硝酸イオンNO3 - の形で吸蔵される。
【0018】
排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO2 が生成され、NOx 吸蔵還元触媒装置のNOx 吸蔵能力が飽和しない限りNO2 が吸蔵される。しかしながら、排気ガスがリッチ状態となって酸素濃度が低下することによってNO2 の生成量が低下すると、逆に硝酸イオンNO3 - がNO2 の形でNOx 吸蔵還元触媒装置から放出される。このNO2 は、リッチ状態の排気ガス中に含まれる未燃HC及びCOと反応して還元浄化される。
【0019】
この一方で、ガソリン等の内燃機関の燃料には硫黄Sが含まれており、内燃機関における燃焼によってSOx が生成される。排気ガス中のSOx は、NOx と同様なメカニズムによって硫酸イオンSO4 2-の形でNOx 吸蔵還元触媒装置に吸収され、硫酸塩BaSO4 が生成される。この硫酸塩BaSO4 は安定していて分解し難く、排気ガスがリッチ状態となっても分解されずにNOx 吸蔵還元触媒装置内に残留する。こうして、徐々に、NOx 吸蔵還元触媒装置内の硫酸塩BaSO4 が増大する。NOx 吸蔵還元触媒装置における硝酸塩BaNO4 又は硫酸塩BaSO4 の吸蔵可能量は有限であり、硫酸塩BaSO4 の吸蔵によるSOx 被毒によって、その分、硝酸塩BaNO4 の吸蔵可能量が減少し、遂には、全くNOx を吸収することができなくなる。それにより、NOx 吸蔵還元触媒装置からSOx 被毒を良好に回復させなければならない。
【0020】
制御装置20による最適運転実行処理は、図2に示す第一フローチャートに従って実施される。本フローチャートは、所定期間毎に繰り返されるものである。まず、ステップ101において、詳しくは後述されるフラグF1が1であるか否かが判断される。通常時は、この判断は否定されてステップ102に進み、詳しくは後述されるフラグF2が1であるか否かが判断される。通常時は、この判断は否定されてステップ103に進み、詳しくは後述されるフラグF3が1であるか否かが判断される。通常時は、この判断は否定されてステップ104に進み、リーン運転実行処理が行われる。
【0021】
このリーン運転実行処理は、圧縮行程での燃料噴射によって点火プラグ近傍だけに可燃混合気を形成して成層燃焼を実施し、全体としてリーン混合気を燃焼を可能とするものである。もちろん、前述のセンサにより把握される現在の機関運転状態に基づき、燃料噴射量及び点火時期等は最適値に制御される。
【0022】
こうして、通常時はリーン運転が実行され、排気ガス中にはNOx が比較的多量に含まれる。しかしながら、排気ガスはリーン状態であり、酸素濃度が高いために、前述したように、NOx 吸蔵還元触媒装置5が排気ガス中のNOx を良好に吸蔵し、大気中に放出されるNOx 量を十分に低減することができる。
【0023】
フラグF1は、現在の機関運転状態が加速時又は機関高負荷時等の高出力を必要としている場合に、セットされるものである。それにより、ステップ101における判断が肯定される時には、ステップ105に進み、ストイキ運転実行処理が行われる。このストイキ運転実行処理は、吸気行程での燃料噴射によって気筒内全体に均一混合気を形成して均一燃焼を実施し、ストイキ混合気を燃焼させるものである。もちろん、前述のセンサにより把握される現在の機関運転状態に基づき、燃料噴射量及び点火時期等は最適値に制御される。
【0024】
第1前置触媒装置81及び第2前置触媒装置82は、比較的小型の三元触媒装置であり、機関本体近傍に設置されていることに加えて熱容量が小さいために、排気ガスの熱によって機関始動直後から活性化し、機関始動時のリッチ又はストイキ混合気の燃焼に際して、排気ガスを浄化することを可能とする。さらに、加速時に又は機関高負荷時等のストイキ運転においても排気ガスを良好に浄化することができる。
【0025】
前述のリーン運転によってNOx 吸蔵還元触媒装置5に吸蔵されたNOx 量は徐々に増加する。前述したように、NOx 吸蔵還元触媒装置5におけるNOx 吸蔵可能量は有限であり、吸蔵されたNOx 量がNOx 吸蔵可能量を越える以前にNOx 吸蔵還元触媒装置5からNOx を放出させて還元浄化する必要がある。この時にはフラグF2がセットされてステップ106に進み、リッチスパイク実行処理が行われる。
【0026】
図3は、フラグF2をセットするための第二フローチャートであり、これを以下に説明する。本フローチャートは所定期間毎に繰り返されるものである。まず、ステップ201において、詳しくは後述されるフラグF4が1であるか否かが判断される。この判断は当初否定されてステップ202に進み、目標NOx 吸蔵量stはs1とされる。このs1は、例えば、NOx 吸蔵還元触媒装置5のNOx 吸蔵可能量の70%の値である。次いで、リーン運転毎にNOx 吸蔵還元触媒装置5に吸蔵されるNOx 量が積算され、NOx 吸蔵量sが算出される。この積算には、機関運転状態に基づき単位時間当たりに内燃機関で生成されるNOx 量が考慮される。
【0027】
次いで、ステップ205において、NOx 吸蔵量sが目標NOx 吸蔵量stに達したか否かが判断され、この判断が否定される時はステップ206に進み、フラグF2は0のまま終了する。一方、ステップ205における判断が肯定される時にはステップ207に進み、フラグF2は1にセットされ、ステップ208において、NOx 吸蔵量sは0とされ終了する。
【0028】
リッチスパイク実行処理は、図4に示す第三フローチャートに従って実行される。まず、ステップ301において、リッチスパイクを実行する。リッチスパイクは、運転空燃比を所定のリッチ空燃比にすることである。それにより、排気ガスがリッチ状態となって酸素濃度が低くなるために、前述したように、NOx 吸蔵還元触媒装置5からNOx が徐々に放出され、このNOx は、この時の排気ガス中に含まれるHC及びCO等によって還元浄化される。
【0029】
次いで、ステップ302においてタイマを作動し、ステップ303において第1空燃比センサ6の出力A1と第2空燃比センサ7の出力A2とがほぼ一致しているか否かが判断される。この判断が否定される時には、ステップ301におけるリッチスパイクを継続する。リッチスパイクによるNOx の還元が行われている間は、NOx 吸蔵還元触媒装置5から流出する排気ガスの空燃比状態はストイキとなるために、NOx 吸蔵還元触媒装置5へ流入する排気ガスのリッチ空燃比状態とは異なり、第1空燃比センサ6の出力A1と第2空燃比センサ7の出力A2とは異なっている。
【0030】
これに対して、NOx 吸蔵還元触媒装置5から全てのNOx が放出されて還元が完了すると、NOx 吸蔵還元触媒装置5から流出する排気ガスの空燃比状態は、NOx 吸蔵還元触媒装置5へ流入する排気ガスの空燃比状態とほぼ等しくなり、第1空燃比センサ6の出力A1と第2空燃比センサ7の出力A2とがほぼ一致するために、ステップ304に進み、リッチスパイクが中止されると共にタイマを停止させる。本実施形態において、二つの空燃比センサ6,7を設けたが、NOx 吸蔵還元触媒装置5の下流側だけに空燃比センサを設け、この空燃比センサの出力がリッチスパイクの空燃比と一致した時にNOx 吸蔵還元触媒装置から全てのNOx が放出されて還元が完了したとしても良い。
【0031】
次いで、ステップ305において、詳しくは後述されるフラグF4が1であるか否かが判断され、この判断は当初否定されてステップ306に進む。ステップ306では、タイマのカウント時間Tが第一所定時間T1未満であるか否かが判断される。この第一所定時間T1は、リッチスパイクの排気ガスの空燃比状態において、NOx 吸蔵還元触媒装置5からNOx 吸蔵可能量の70%のNOx を放出させ還元するのに要する時間である。それにより、NOx 吸蔵可能量の70%を目標NOx 吸蔵量としている現在において、NOx 吸蔵還元触媒装置5に目標NOx 吸蔵量が貯蔵されていれば、ステップ306における判断は否定されてステップ307に進み、フラグF3は0とされる。
【0032】
一方、ステップ306における判断が肯定される時には、NOx 吸蔵還元触媒装置5にNOx 吸蔵可能量の70%未満のNOx しか吸蔵されていないことになる。これは、前述の積算計算がNOx 吸蔵還元触媒装置5に吸蔵されるはずのNOx 量を比較的正確に算出するものであるために、SOx 被毒がNOx 吸蔵可能量の30%を越えて進行したことを示している。SOx 被毒は、リッチスパイク実行頻度に比較して緩やかに進行するものであるために、ステップ306における判断が肯定されると、SOx 被毒は、NOx 吸蔵可能量のほぼ30%となる。この時には、ステップ308に進み、フラグF3は1とされる。フラグF3がセットされると、前述の第一フローチャートのステップ103における判断が肯定されてステップ107に進み、SOx 被毒の回復運転実行処理が行われる。
【0033】
第三フローチャートにおいて、ステップ307又はステップ308を通過した後は、ステップ312においてフラグF2は0とされ、ステップ313においてフラグF4は0とされ終了する。第三フローチャートのステップ309〜310を説明する前に、図4に示す第四フローチャートに従って実施されるSOx 被毒の回復運転実行処理を説明する。
【0034】
まず、ステップ401において、現在、機関運転状態に基づき推定されるか又は実測されたNOx 吸蔵還元触媒装置5の温度THが、例えば、400°C以上であるか否かが判断される。SOx 被毒の回復には、前述したように、NOx 吸蔵還元触媒装置5を約600°C以上の温度としなければならないが、400°Cを下回っていると、過剰な昇温が必要となるために、機関運転状態の変化によって肯定されるまでこの判断が繰り返される。
【0035】
ステップ401における判断が肯定されると、ステップ402において、NOx 吸蔵還元触媒装置5の温度THが600°C以上であるか否かが判断される。この判断が肯定される時にはステップ404に進むが、否定される時にはステップ403における昇温処理によってNOx 吸蔵還元触媒装置5の温度を600°C以上に高めた後にステップ404に進む。この昇温処理は後に説明するとして、先にステップ404以降の処理を説明する。ところで、SOx 被毒は、比較的緩やかであるために、フラグF3がセットされてからステップ404以降の処理が実施されるまでに、NOx 吸蔵還元触媒装置のSOx 吸蔵量が大きく増加することはない。
【0036】
ステップ404において、詳しくは後述されるフラグF5が1であるか否かが判断され、この判断が当初否定されてステップ406に進む。ステップ406では、目標回復運転時間tkをdtkだけ短縮させる。次いで、ステップ407において、排気ガスの空燃比状態をストイキ又はリッチの所定空燃比AFtにする回復運転が実施される。次に、ステップ408において、目標回復運転時間tkだけ回復運転が実施されたか否かが判断され、この判断が否定される時には、ステップ407の処理を継続する。すなわち、排気ガスの空燃比が所定空燃比AFtとなる運転を目標回復運転時間tkだけ継続した後にステップ409においてフラグF4は1にセットして終了する。排気ガスの空燃比がストイキ又はリッチの所定空燃比AFtとなる運転は、各気筒における燃焼空燃比を所定空燃比AFtとして運転しても良いが、点火時期が連続する二つの気筒における燃焼空燃比を合わせて所定空燃比AFtとしても良い。但し、この場合には、詳しくは後述するが、いずれの気筒のおける燃焼空燃比もリーンとしない方が好ましい。また、機関排気系に直接的に燃料を供給して、又は排気行程での二次燃料噴射によって、排気ガスの空燃比を所定空燃比AFtとしても良い。
【0037】
こうして、SOx 被毒の回復運転が終了するが、この時にだけフラグF4がセットされる。それにより、フラグF2をセットするための第二フローチャートにおいて、ステップ201の判断が肯定されてステップ203に進み、この時に限り、目標NOx 吸蔵量stはs2とされる。このs2は、NOx 吸蔵還元触媒装置5のNOx 吸蔵可能量と等しくされる。それにより、SOx 被毒の回復運転後の一回に限り、ステップ205において、NOx 吸蔵可能量の100%のNOx が吸蔵されたと積算されるまでフラグF2はセットされない。
【0038】
フラグF2がセットされると、前述の第三フローチャートが実施されるが、今回はフラグF4は1であり、ステップ305における判断が肯定され、ステップ309に進む。ステップ309では、タイマのカウント時間Tが第二所定時間T2未満であるか否かが判断される。この第二所定時間T2は、リッチスパイクの排気ガスの空燃比状態において、NOx 吸蔵還元触媒装置5からNOx 吸蔵可能量の100%のNOx を放出させ還元するのに要する時間である。それにより、NOx 吸蔵可能量の100%のNOx がNOx 吸蔵還元触媒装置に吸蔵されていれば、すなわち、回復運転によってSOx 被毒が完全に回復していれば、ステップ309における判断は否定されてステップ310に進み、フラグF5は0とされる。
【0039】
一方、ステップ309における判断が肯定される時には、NOx 吸蔵還元触媒装置5にNOx 吸蔵可能量の100%のNOx が吸蔵されていないことになり、SOx 被毒から完全に回復していないことを示している。この時には、ステップ311において、フラグF5は1にセットされる。このように、本実施形態では、回復運転後の回復程度の評価に、一般的な劣化検出法を使用している。
【0040】
フラグF5がセットされると、次回のSOx 被毒の回復運転において、第四フローチャートのステップ404における判断が肯定され、ステップ405において目標回復運転時間tkはdtkだけ延長され、この時間だけ回復運転が実施される。
【0041】
このように、NOx 吸蔵還元触媒装置5のSOx 被毒がNOx 吸蔵可能量の30%に達した時点で、目標回復運転時間だけ排気ガスの空燃比状態をストイキ又はリッチとする回復運転が実施されるが、この目標回復運転時間は、SOx 被毒が完全に回復すれば徐々に短縮され、回復が不十分であると徐々に延長されるようになっている。また、第三フローチャートにおけるタイマのカウント時間TはSOx 被毒の未回復度に反比例する値であり、このカウント時間Tが小さいほど、目標回復運転時間tkを大幅に延長するようにしても良い。
【0042】
次に、第四フローチャートのステップ403において実施される昇温処理を説明する。これは、図6に示す第5フローチャートに従って実施される。先ず、ステップ501において、現在のNOx 吸蔵還元触媒装置5の温度THに基づき、昇温処理時間tsを決定する。現在において温度THは400°C以上で600°C未満であるが、この温度THが低いほど昇温処理時間tsは長くなる。
【0043】
次に、ステップ502において、第1積算昇温処理時間ts1が第2積算昇温処理時間ts2より大きいか否かが判断される。本実施形態における昇温処理は、例えば、#1気筒と#4気筒とを所定リッチ空燃比で運転し、#2気筒と#3気筒とを所定リーン空燃比で運転することである。それにより、NOx 吸蔵還元触媒5の上流側には前置触媒装置81,82が配置されているが、第1前置触媒装置81にはリッチ状態の排気ガスしか通過せず、第2前置触媒装置82にはリーン状態の排気ガスしか通過しないために、いずれの状態の排気ガスもそのままNOx 吸蔵還元触媒装置5へ流入する。特に、点火順序の関係からリッチ状態の排気ガスとリーン状態の排気ガスとは交互にNOx 吸蔵還元触媒装置5へ流入し、排気ガスの空燃比状態がストイキとなる。それにより、NOx 吸蔵還元触媒装置5上でリッチ状態の排気ガス中のHC及びCOをリーン状態の排気ガス中のO2 によって良好に燃焼させ、NOx 吸蔵還元触媒装置5を昇温させることができる。もちろん、リッチ空燃比で運転する気筒群とリーン状態で運転する気筒群とを逆にすることも可能である。
【0044】
このような昇温処理は、前述したようにNO吸蔵還元触媒装置5が400°C以上の時に実施される。各前置触媒装置81,82は、機関本体に近接していて熱容量が小さいために、昇温処理が実施される時には、400°Cをかなり上回る温度となっている。このように高温度の前置触媒装置81,82に酸素濃度の高いリーン状態の排気ガスが通過すると、白金Ptのような貴金属が酸素によってシンタリングを起こし、前置触媒装置81,82は劣化して浄化能力が低下する。
【0045】
それにより、NOx 吸蔵還元触媒装置5の昇温処理毎に、常に一方の前置触媒装置だけにリーン状態の排気ガスが通過するようにすると、この前置触媒装置の劣化程度は、早期に交換を必要とするまで増大するために、頻繁に車両を整備工場等へ持ち込む必要がある。
【0046】
本実施形態では、これを防止するために、昇温処理が実施される毎に、特定の前置触媒装置だけにリーン状態の排気ガスが通過しないように、リッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定するようになっている。四気筒内燃機関において、点火順序が連続しない二気筒をリッチ空燃比で運転して残り二気筒をリーン空燃比で運転する場合には、簡単には、昇温処理が実施される毎にリーン空燃比で運転される気筒群を変えるようにしても良いが、第5フローチャートでは、二つの前置触媒装置の劣化程度を略等しくするために、これまでの昇温処理においてリーン状態の排気ガスが通過した積算時間が短い前置触媒装置に、今回の昇温処理においてリーン状態の排気ガスを通過させるようになっている。
【0047】
具体的には、第1積算昇温処理時間ts1とは、第1前置触媒装置81にリーン状態の排気ガスが通過した積算時間であり、すなわち、これまでの昇温処理において、#1気筒と#4気筒とをリーン空燃比で運転した積算時間であり、第2積算昇温処理時間ts2とは、第2前置触媒装置82にリーン状態の排気ガスが通過した積算時間であり、すなわち、これまでの昇温処理において、#2気筒と#3気筒とをリーン空燃比で運転した積算時間である。従って、ステップ502における判断が肯定される時には、第1前置触媒装置81にリーン状態の排気ガスを通過させた積算時間が長いために、今回の昇温処理では、ステップ503において#1気筒と#4気筒とをリッチ空燃比で運転させ、ステップ504において#2気筒と#3気筒とをリーン空燃比で運転させる。次に、ステップ505において、今回の昇温処理時間tsが経過したか否かが判断され、この判断が否定される時には昇温のための各気筒の運転が継続される。一方、この判断が肯定されれば今回の昇温処理は完了したとして昇温のための各気筒の運転は中止され、ステップ505に進み、第2積算昇温処理時間ts2に、すなわち、第2前置触媒装置82にリーン状態の排気ガスが通過した積算時間に、今回の昇温処理時間tsが積算されて終了する。
【0048】
一方、ステップ502における判断が否定される時、すなわち、第2前置触媒装置82にリーン状態の排気ガスを通過させた積算時間が長い時には、今回の昇温処理では、ステップ507において#2気筒と#3気筒とをリッチ空燃比で運転させ、ステップ508において#1気筒と#4気筒とをリーン空燃比で運転させる。次に、ステップ509において、今回の昇温処理時間tsが経過したか否かが判断され、この判断が否定される時には昇温のための各気筒の運転が継続される。一方、この判断が肯定されれば今回の昇温処理は完了したとして昇温のための各気筒の運転は中止され、ステップ510に進み、第1積算昇温処理時間ts1に、すなわち、第1前置触媒装置81にリーン状態の排気ガスが通過した積算時間に、今回の昇温処理時間tsが積算されて終了する。
【0049】
こうして、NOx 吸蔵還元触媒装置5の昇温処理において、第1前置触媒装置81及び第2前置触媒装置82における劣化程度をほぼ等しくすることができ、すなわち、いずれかの前置触媒装置の劣化程度が交換を必要とするまでに増大する期間を延長することができ、車両を整備工場等へ持ち込む機会を減少させることができる。
【0050】
図7に示す第六フローチャートは、第五フローチャートの代わりに実施される昇温処理を示している。第五フローチャートとの違いについてのみ以下に説明する。本フローチャートでは、ステップ602において、第1前置触媒装置81の劣化程度D1が第2前置触媒装置82の劣化程度D2を上回っているか否かが判断される。この判断が肯定される時には、第五フローチャートと同様に、昇温処理時間tsが経過するまで、#1気筒と#4気筒とをリッチ空燃比で運転させ、#2気筒と#3気筒とをリーン空燃比で運転させる。その後、ステップ606において、第2前置触媒装置82の劣化程度D2に今回の劣化度Dを積算して終了する。
【0051】
一方、第1前置触媒装置81の劣化程度D1が第2前置触媒装置82の劣化程度D2を下回っている時には、第五フローチャートと同様に、昇温処理時間tsが経過するまで、#2気筒と#3気筒とをリッチ空燃比で運転させ、#1気筒と#4気筒とをリーン空燃比で運転させる。その後、ステップ610において、第1前置触媒装置81の劣化程度D1に今回の劣化度Dを積算して終了する。
【0052】
ステップ606及び610における今回の劣化程度Dは、図8に示すマップから決定される。具体的には、今回の昇温処理において、リーン状態の排気ガスを通過させる前置触媒装置の温度が、機関運転状態に基づき推定されるか又は実測されると共に、今回の昇温処理中に前置触媒装置を通過したリーン状態の排気ガス量が、吸入空気量を昇温処理時間tsだけ積算することによって推定される。こうして、推定された前置触媒装置温度と排気ガス量とに基づき劣化度Dを決定する。図8に示すマップにおいては、前置触媒装置温度が高いほど及び排気ガス量が多いほど、シンタリングが発生し易いために劣化度Dが大きくなるようになっている。
【0053】
こうして、NOx 吸蔵還元触媒装置5の昇温処理において、第1前置触媒装置81及び第2前置触媒装置82における劣化程度を、第五フローチャートに比較してさらに正確に等しくすることができ、それにより、いずれかの前置触媒装置の劣化程度が交換を必要とするまでに増大する期間をさらに確実に延長することができ、車両を整備工場等へ持ち込む機会をさらに確実に減少させることができる。
【0054】
第五フローチャートでは、第1前置触媒装置81及び第2前置触媒装置82の劣化程度を、昇温処理においてリーン状態の排気ガスが通過する毎に、各前置触媒装置の温度及び通過する排気ガス量に基づき決定された劣化度を積算することによって推定しているが、もちろん、各前置触媒装置に対して上流側酸素センサと下流側酸素センサとを配置し、昇温処理に先立ち、両酸素センサの出力差によって各前置触媒装置のO2 ストレージ能力の低下程度を検出し、これを各前置触媒装置の劣化程度として使用しても良い。また、各前置触媒装置の下流側だけに酸素センサを配置し、実際の空燃比の変化に対する酸素センサの出力変化によって各前置触媒装置のO2 ストレージ能力を検出することも可能である。
【0055】
本実施形態において、昇温処理に続くSOx 被毒回復処理は、各前置触媒装置の劣化を防止するために、各前置触媒装置にはリーン状態の排気ガスが通過しないようにしたが、もちろん、昇温処理とSOx 被毒回復処理とを同時に実施するために、NOx 吸蔵還元触媒装置に流入するリッチ状態の排気ガスとリーン状態の排気ガスとを合わせて排気ガスの空燃比をストイキからリッチ側の空燃比状態とするようにしても良い。
【0056】
この場合には、昇温及びSOx 被毒回復処理が実施されている間において、一方の前置触媒装置には、リーン状態の排気ガスが通過することとなる。それにより、第五フローチャートにおいては、昇温処理の時間に代えて、この昇温及びSOx 被毒回復処理の時間を使用するようにすれば良い。また、第六フローチャートにおいては、この昇温及びSOx 被毒回復処理の時間における劣化度をマップ等から決定するようにすれば良い。
【0057】
本実施形態において、NOx 吸蔵還元触媒装置の昇温処理は、簡単のために、四気筒内燃機関の場合を示し、点火時期が連続しない二気筒をリッチ空燃比で運転すると共に残り二気筒をリーン空燃比で運転するようにしたが、これは本発明を限定するものではない。例えば、前述同様な構成を有する四気筒内燃機関であっても、一方の前置触媒装置へ通じる二つの気筒のうちの一方をリッチ空燃比で運転すると共に他方をストイキ空燃比で運転し、他方の前置触媒装置へ通じる二つの気筒のうちの一方をリーン空燃比で運転すると共に他方をストイキ空燃比で運転するようにしても良い。このようにしても、リッチ状態の排気ガス中のHC及びCOを前置触媒装置で燃焼させることなくNOx 吸蔵還元触媒装置へ流入させて燃焼させることができる。
【0058】
また、四気筒を含む複数気筒の内燃機関に一つ又は複数のNOx 吸蔵還元触媒装置を配置し、各NOx 吸蔵還元触媒装置に対して上流側に並列配置された二つの前置触媒装置を設けることも可能であり、この場合には、各NOx 吸蔵還元触媒に対する二つの前置触媒装置に前述の考え方を適用すれば良い。
【0059】
また、昇温させる主触媒装置は、NOx 吸蔵還元触媒装置に限定されるものではなく、昇温を必要とする他の主触媒装置としても良い。また、一つの主触媒装置に対して並列配置される前置触媒装置の数は三つ以上とすることもできる。この場合には、昇温処理毎に特定の前置触媒装置だけにリーン状態の排気ガスが通過しないようにすれば良い。好ましくは、第五フローチャート及び第六フローチャートのように、各前置触媒装置にリーン状態の排気ガスが通過する積算時間又は各前置触媒装置の劣化程度を略等しくするように、リッチ状態で運転する気筒とリーン状態で運転する気筒とを選定すれば良い。
【0060】
【発明の効果】
このように、本発明による請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、主触媒装置と、主触媒装置の上流側に並列配置された複数の前置触媒装置とを具備し、各前置触媒装置がリーン状態の排気ガスの通過によりシンタリングを発生させるような高温度である時において主触媒装置の温度を昇温させるために、リッチ空燃比で運転させる気筒及びリーン空燃比で運転させる気筒を選定して、少なくとも一つの前置触媒装置を通過するリッチ状態の排気ガスと、他の少なくとも一つの前置触媒装置を通過するリーン状態の排気ガスとを主触媒装置へ流入させる昇温制御を必要に応じて実施する内燃機関の排気浄化装置において、昇温制御が実施される毎に、特定の前置触媒装置だけにリーン状態の排気ガスが通過しないように、リッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定するようになっている。それにより、比較的高温度の前置触媒装置にリーン状態の排気ガスが通過することによって、前置触媒装置はシンタリングにより劣化するが、特定の前置触媒装置だけが劣化されることがないために、この前置触媒装置の交換時期が延長し、車両を整備工場等へ持ち込む機会を減少させることができる。
【0061】
また、本発明による請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、昇温制御が実施される毎に、各前置触媒装置をリーン状態の排気ガスが通過する積算時間が略等しくなるように、リッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定するようになっている。それにより、各前置触媒装置のシンタリングによる劣化程度を略等しくすることができ、これは、各前置触媒装置の交換時期を確実に延長することを可能とし、車両を整備工場等へ持ち込む機会をさらに減少させることができる。
【0062】
また、本発明による請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置によれば、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、各前置触媒装置の劣化程度を把握する劣化把握手段を具備し、昇温制御が実施される毎に、各前置触媒装置の劣化程度が略等しくなるように、昇温制御中におけるリッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定するようになっている。それにより、各前置触媒装置のシンタリングによる劣化程度をさらに正確に等しくすることができ、これは、各前置触媒装置の交換時期をさらに確実に延長することを可能とし、車両を整備工場等へ持ち込む機会をさらに確実に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排気浄化装置が取り付けられた内燃機関の排気系を示す概略図である。
【図2】機関運転状態を制御するための第一フローチャートである。
【図3】リッチスパイク実行処理のためのフラグF2をセットするための第二フローチャートである。
【図4】リッチスパイク実行処理のための第三フローチャートである。
【図5】回復運転実行処理のための第四フローチャートである。
【図6】昇温処理のための第五フローチャートである。
【図7】もう一つの昇温処理のための第六フローチャートである。
【図8】第六フローチャートで使用される劣化度を決定するためのマップである。
【符号の説明】
1…内燃機関
5…NOx 吸蔵還元触媒装置
6…第1空燃比センサ
7…第2空燃比センサ
81…第1前置触媒装置
82…第二前置触媒装置
20…制御装置

Claims (3)

  1. 主触媒装置と、前記主触媒装置の上流側に並列配置された複数の前置触媒装置とを具備し、各前記前置触媒装置がリーン状態の排気ガスの通過によりシンタリングを発生させるような高温度である時において前記主触媒装置の温度を昇温させるために、リッチ空燃比で運転させる気筒及びリーン空燃比で運転させる気筒を選定して、少なくとも一つの前記前置触媒装置を通過するリッチ状態の排気ガスと、他の少なくとも一つの前記前置触媒装置を通過するリーン状態の排気ガスとを前記主触媒装置へ流入させる昇温制御を必要に応じて実施する内燃機関の排気浄化装置において、前記昇温制御が実施される毎に、特定の前記前置触媒装置だけにリーン状態の排気ガスが通過しないように、リッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記昇温制御が実施される毎に、各前記前置触媒装置をリーン状態の排気ガスが通過する積算時間が略等しくなるように、リッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 各前記前置触媒装置の劣化程度を把握する劣化把握手段を具備し、前記昇温制御が実施される毎に、各前記前置触媒装置の劣化程度が略等しくなるように、前記昇温制御中におけるリッチ空燃比で運転させる気筒とリーン空燃比で運転させる気筒とを選定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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