JP3787335B2 - ベッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い心地を向上しうるベッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の生活習慣では、ベッドの上で横になったままテレビを見たり或いは読書をしたり、さらには軽い食事をとること等が頻繁に行われつつある。このようなベッドの使用形態に鑑み、例えば図9に示すように、寝台部の一部(例えば頭部側)に起き上がる向きに折り曲げ可能な第1の傾動部b1と、この第1の傾動部b1に対してさらに折り曲げしうる第2の傾動部b2とを設けたベッドaが下記特許文献1により提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−24179号公報
【0004】
このベッドaでは、図のように、第2の傾動部b2のみを起き上がる向きに傾けた初期リクライニング状態R1と、第2の傾動部b2を傾けたまま第1の傾動部b1を起きあがらせた後期リクライニング状態R2とに変化することができる。ユーザは、通常、第2の傾動部b2に、頭部を載置して該ベッドa使用する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来のベッドaでは、第2の傾動部b2は、第1の傾動部b1と折り曲げ可能に連結されている。このため、初期リクライニング状態R1では、頭部を起こすことができるものの、ある程度の高さを確保するために、第2の傾動部b2の折れ曲がり角度θを20度以上としている。このような場合、ユーザは、あごが引けた状態となるため頸部が圧迫されやすい。特に枕を使用しているときにはこのような傾向が顕著となる。また後期リクライニング状態R2においても、第1の傾動部b1と第2の傾動部b2との上記相対角度θが維持されたままであるため、同様に頸部が窮屈となりやすい。このように、従来のベッドでは、リクライニング状態に関してさらなる改善の余地がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、第2の可動部を第1の可動部に対して上昇可能に設けることを基本として、より快適なリクライニング状態を作り出しさらに使い心地を高めうるベッドを提供することを主たる目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、寝具を載置する寝具載置面を有する寝具受け枠を具えたベッドであって、前記寝具受け枠は、非傾動の基部、ベッド長さ方向の一端部がこの基部側で折曲げ可能に取り付けられる第1の可動部、及び前記第1の可動部の他端部側に、該第1の可動部に対して少なくとも上昇可能に設けられた第2の可動部とを含み、前記第1の可動部と前記第2の可動部とが、高さ方向に位置ずれできかつ傾動可能に連結する連結具を介して連結され、前記基部と前記第1の可動部と前記第2の可動部との寝具載置面が同一平面状となる伸展状態と、前記基部と前記第1の可動部との寝具載置面が同一平面状、かつ前記第2の可動部のみを前記第1の可動部に対して段差を有して上昇させた初期リクライニング状態と、第1の可動部と第2の可動部との相対位置を保持したまま第1の可動部を前記基部に対して傾けて起き上がらせた後期リクライニング状態とに変化させる受け枠駆動部を有することを特徴としている。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記初期リクライニング状態は、前記第2の可動部が、第1の可動部に向かって下降する向きに2〜10度の角度で傾くことを特徴とする請求項1記載のベッドである。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記連結具は、第1の可動部の端部に設けられた上下にのびる筒状部と、第2の可動部に設けられかつ前記筒状部を上下にスライドしうるスライド軸とを含み構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のベッドである。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記第1の可動部と前記第2の可動部とは、第1の可動部の前記他端部に設けられた上下にのびる筒状部と、前記第2の可動部に設けられかつ前記筒状部を上下にスライドできかつ上方への最大スライド時に前記筒状部に抜け止め保持されるスライド軸とを含む連結具を用いて連結されるとともに、前記受け枠駆動部は、前記第2の可動部を押し上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のベッドである。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記筒状部は、第1の可動部に対してベッド幅方向に沿った水平軸回りで傾動可能に設けられることを特徴とする請求項4に記載のベッドである。
【0012】
また請求項6記載の発明は、前記スライド軸は、前記筒状部に隙間を有して遊挿されることを特徴とする請求項4又は5に記載のベッドである。
【0013】
また請求項7記載の発明は、前記寝具受け枠は、その下方に位置するベッド枠体で支持されるとともに、前記受け枠駆動部は、ベッド長さ方向の垂直面内で回動可能かつ前記ベッド枠体側で一端部が枢着されるアーム体と、このアーム体の他端部と前記第2の可動部とを連結する継ぎリンクと、前記ベッド枠体に取り付けられかつ前記アーム体を傾動させることにより第2の可動部を上昇させる駆動器とを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のベッドである。
【0014】
また請求項8記載の発明は、前記ベッド枠体は、倒立V字状に折曲げ可能な一対のベッド枠半体であり、かつ前記基部は一方のベッド枠半体に固定された主体部と、他方のベッド枠半体に固定される小長さの副部とからなり、かつ前記アーム体は他方のベッド枠半体に取り付けられることを特徴とする請求項7記載のベッドである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本実施形態のベッド1の分解斜視図を示す。本実施形態のベッド1は、倒立V字状に折曲げ可能なベッド枠体2と、該ベッド枠体2の上に配されかつ寝具を載置する寝具載置面mを有する寝具受け枠3とを具えるものが例示される。
【0016】
前記ベッド枠体2は、第1のベッド枠半体4と第2のベッド枠半体5とで構成されている。
【0017】
前記第1のベッド枠半体4は、枠材を例えば平面視で略コ字状ないし矩形状(本例ではコ字状)に折り曲げた主枠4aと、縦横にのびる適宜の補強材4b、4cとを一体に固着して形成される。第1のベッド枠半体4は、実質的にベッド長さの略半分の長さをもっている。第1のベッド枠半体4は、ベッド長さ方向の中間部側に位置する内端部が、継ぎ材6にピン等を用いて回動可能に枢着される。また第1のベッド枠半体4の外端部側には、第1の脚部材10が、ベッドの幅方向の両側に設けられる。
【0018】
前記第1の脚部材10、10は、本例では逆T字状をなす脚フレーム10aと、その下部に取り付けられたキャスター車輪10bとで構成される。脚フレーム10aは、第1のベッド枠半体4にピンにて回動可能に取り付けられる。また両側の第1の脚部材10,10は、第1のベッド枠半体4の下方でベッド幅方向にのびる連結板11によって一体に固着される。また本実施形態では、第1のベッド枠半体4の外端部に、化粧仕上げされかつ垂直に立ち上がる宮板13が取り付けられたものを例示している。特に限定はされないが、好適な使用例として、この第1のベッド枠半体4側にユーザの上半身を載置させる。
【0019】
前記第2のベッド枠半体5は、第1のベッド枠半体4と同様に枠材を略コ字状に折り曲げた主枠5aと、縦横にのびる補強材5b、5cとを一体に固着して形成される。第2のベッド枠半体5も、ベッド長さの約半分の長さ(例えば900〜1000mm)をもっている。該第2のベッド枠半体5は、そのベッド長さ方向の中間部に位置する内端部が、前記継ぎ材6にピンにて回動可能に枢着される。本実施形態では、第1、第2のベッド枠半体4、5は、それぞれベッド長さ方向で離間したそれぞれ別の軸で支承されるが、同じ軸で支承することでも良い。第2のベッド枠半体5の前記主枠5aには、ベッド幅方向に突出した取付軸14を介して、第2の脚部材15が固着される。これにより、折り畳み時、第1、第2の脚部材10、15が干渉するのを防止できる。第2の脚部材15は、第2のベッド枠半体5から高さ方向に突出する部分によって手摺りを兼ねるとともに、下方にのびる端部には、接地する車輪16が設けられる。これらにより、折り畳み時に、第1、第2のヘッド枠半体4、5を円滑に移動させることができる。
【0020】
ベッド幅方向の両側に設けられた前記継ぎ材6、6は、連結板17により一体に固着されるとともに、この連結材17には、中間支脚部19が固着される。中間支脚部19は、水平状態で床面と接地する。これにより、第1、第2の脚部材10、15及び中間支脚部19でベッド荷重を支持し、使用時の安定性を高める。図1では省略したが、図2に示すように、中間支脚部19と第1のベッド枠半体4との間、及び、中間支脚部19と第2のベッド枠半体5との間には、夫々折畳み労力を軽減する例えば引張バネ20を架け渡すことができる。このようなベッド1は、継ぎ材6の一端に前記第1のベッド枠半体4を、かつ継ぎ材6の他端に前記第2のベッド枠半体5をそれぞれ枢支しているため、第1のベッド枠半体2と第2のベッド枠半体3とは、互いに垂直位置となるよう折り曲げることによりベッド1をコンパクトに収納できる。この際、引張バネ20は、折畳み時の操作力を軽減する。なお引張バネ20の架設位置を変えることができ、また電動機などを使用して、自動によりベッド1の折畳み、展開動作を行わせることが可能である。
【0021】
前記寝具受け枠3は、ヘッド枠体2に対して非傾動の基部7と、ベッド長さ方向の一端部8iがこの基部7側で折曲げ可能に取り付けられる第1の可動部8と、第1の可動部8の他端部8o側に、該第1の可動部8に対して少なくとも上昇可能に設けられた第2の可動部9とを含んで構成される。
【0022】
前記基部7は、本例では第2のベッド枠半体5に固定された主体部7Aと、第1のベッド枠半体4に固定されかつ前記主体部7Aよりも小長さの副部7Bとから構成される。主体部7Aと副部7Bとは、小隙間を介してはいるが、実質的に連続した寝具載置面mを形成する。主体部7Aは、図2に示すように、第2のベッド枠半体5と同長さでかつやや広幅の矩形状をなす。また主体部7Aは、例えばパイプ材などを矩形に折り曲げた枠体7A1と、この枠体7A1が囲む空所に配された金網状の下張り材7A2と、桟状の補強材7A3とを固着して構成され、ボルト等を用いてを第2のベッド枠5の上に一体に固着されている。
【0023】
前記副部7Bは、平面視がコ字状の枠体7B1と、この枠体7B1が囲む空所に金網状の下張り材7B2と、適宜の補強材7B3とを固着して形成される。また副部7Bも、ボルト等を用いて第1のベッド枠半体4の上部に固着される。なお副部7Bには、ユーザの腰部付近が載置されるため、例えば金網状の下張り材7B2に変えて、例えばよりクッション性を高めうるウッドスプリングなどを上面部分に配することも好ましく実施できる。
【0024】
前記第1の可動部8は、パイプ材等を横長矩形状に結合した枠体8Aと、この枠体8Aが囲む空所に配され寝具を載置可能な下張り材8Bとを含んで構成される。また第1の可動部8の一端部8iと副部7Bとは、図5に拡大して示す如く、連結金具21とピンP1とを用いて傾動可能に連結される。なお第1の可動部8の他の部分は第1のベッド枠半体に固着されてはいない。従って、第1の可動部8は、下方の第1のベッド枠半体4の主枠4aによって支持される水平位置と、基部7に対して折れ曲げり、第1のベッド枠半体4から起き上がる位置とに変化できる。本実施形態では、第1の可動部8の一端部8iが、副部(基部7B)と傾動可能に連結されているが、例えば一端部8iを直接第1のベッド枠半体4に傾動可能に連結させても良い。
【0025】
前記第2の可動部9は、パイプ材等を横長矩形状に構成した枠体9Aと、この枠体9Aが囲む空所に配され寝具を載置可能な下張り材9Bと、ベッド長さ方向などにのびる補強材9Cとを含んで構成される。第1の可動部8の他端部8oとはベッド長さ方向に小隙間を介して配置される。また第2の可動部9は、ユーザの頭部を載置しうるのに適した長さ(ベッド長さ方向に沿った長さ)が好ましい。特に限定はされないが、例えば300〜400mm程度の長さで形成されるのが好ましい。
【0026】
本実施形態では、寝具受け枠3において、前記各部の下張り材7A2、7B2、8B又は9Bを含む平面が寝具載置面mをなす。この寝具載置面mの上にマットレス等を単に載置しても良いが、好ましくは、図7に部分的に示すように、それぞれの下張り材(この例では7A2)の上にスポンジ、チップウレタンフォーム、その他のクッション材からなる寝具C2を固着し、さらに枠体7A2とともにこれらシーツ状の被覆カバーC1で被覆して寝具C2と一体に構成することが好ましい。
【0027】
また本実施形態の寝具受け枠3は、前記第2の可動部9と前記第1の可動部8とが、連結具Jを介して連結されたものが例示される。
【0028】
連結具Jは、図3、図4に拡大して示すように、第1の可動部8と第2の可動部9とを、高さ方向に位置ずれできかつ傾動可能に連結する。本例の連結具Jは、第1の可動部8の前記他端部8oに設けられた上下にのびる筒状部22と、第2の可動部9に設けられかつ前記筒状部22を上下にスライドしうるスライド軸23とを含んで構成されたものが例示される。
【0029】
前記筒状部22は、例えば第1の可動部8の枠体8Aのうち、第2の可動部9側においてベッド幅方向にのびる外枠部8A1に取付金具25を介して固着される。該取付金具25は、前記外枠部8A1に溶接、ボルト等により一体に固着され第2の可動部9側に突出する取付基体25aと、一端がこの取付基体25aに対してベッド幅方向の水平軸25cの回りで小角度で傾動可能に設けられしかも他端側に前記筒状部22を固着した首振り部25bとで構成される。
【0030】
前記取付基体25aは、本実施形態では下解放の溝型鋼が用いられる。また首振り部25bは、ベッド幅方向に離間した垂直片25b1、25b1を円弧片25b2で連結した平面視略U字状の金具からなる。本例では前記円弧片25b2の内周面に前記筒状部22が例えば溶着されものが例示される。筒状部22は、断面円形のパイプ材からなり、第1の可動部8の枠材8Aの上面から突出することなく下方へとのびている。
【0031】
また前記スライド軸23は、第2の可動部9の枠体9Aのうち第1の可動部8側においてベッド幅方向にのびる内枠部9A1に取付金具26を介して固着される。該取付金具26は、内枠部9A1に溶接、ボルト等により一体に固着された固着片26aと、この固着片26aの上縁部から略水平に筒状部22の上部へとのびる上片26bとを含む断面L字状のものを例示する。上片26bには、孔部27が形成される。スライド軸23は、本例では円形断面を有した軸部23aと、その下端に設けられた大径の抜け止め部23bとを有する。軸部23aは、筒状部22の内径よりも僅かに小さい外径を有し、筒状部22内を円滑にスライドできる。また軸部23aの上端部は前記孔部27に差し込まれ前記上片26bに一体に固着される。また前記抜け止め部23bは、筒上部22の下端面と当接することによりスライド軸23の最大スライド量を規制できる。
【0032】
このような連結具Jは、例えば第2の可動部9が上向きに押し上げられると、スライド軸23が筒状部22に対して上昇できる。これにより、図3、図4(B)に示すように、第1の可動部8に対して段差を有して第2の可動部9を上昇させ得る。そしてスライド軸23の抜け止め部23bが筒状部22の下端と当接することによって、第1の可動部8に対する第2の可動部9の相対的な上昇量が規制できる。
【0033】
スライド軸23の最大スライド量は、軸部23aの長さを変えて行うことができる。好ましくは、最大スライド量を30〜100mm、より好ましくは30〜80mmとすることが望ましい。そして、スライド軸23が最大スライド量に達した後もさらに第2の可動部9を押し上げると、スライド軸23の抜け止め部13bが筒状部22を持ち上げる。これにより、第1の可動部8は、第2の可動部9とともに持ち上げられ、副部7Bと連結された前記ピンP1を支点として基部7に対して折れ曲がりできる。
【0034】
また図4(B)に示すように、第2の可動部9は、第1の可動部8に対して、該第1の可動部8に向かって下降する向きに2〜10度の小さい角度θで傾けることができる。本実施形態では、角度θが、首振り部25bの垂直片25b1が、取付基体25aと接触することで規制される。このように、本実施形態では第2の可動部9を第1の可動部8に対して従来よりも小さい角度θに規制して傾けることができる。なお角度θの中には、このような首振り部25bの傾動に加え、筒状部22とスライド軸23とのガタによって生じる角度変位(筒状部22の軸中心とスライド軸23の軸中心とのずれによって生じる角度変位)が含まれる。ただし、首振り部25bと取付基体25aとの角度を規制することなく構成しても良い。
【0035】
連結具Jは、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。例えば筒状部22とスライド軸23とは、実質的なガタを無くしより円滑に直線運動が可能な直線軸受けを用いたリニアガイド部材、さらいは付勢力を有するガスダンパーなどを採用することもできる。
【0036】
また本実施形態のベッド1は、図5に略示する如く、伸展状態Sと、初期リクライニング状態R1と、後期リクライニング状態R2とに変化させる受け枠駆動部Dを具えている。
【0037】
伸展状態Sは、基部7と第1の可動部8と第2の可動部9との寝具載置面mが同一平面状(なおここで言う「同一平面状」とは、製造上の誤差やガタツキによって生じる程度の段差はあるが機構上同一平面上に位置させることを意図したものを含む。以下同じである。)の状態である。また初期リクライニング状態R1は、基部7と第1の可動部8との寝具載置面mが同一平面状、かつ第2の可動部9のみを第1の可動部8に対して段差を有して上昇させかつ本例では小角度で傾けた状態である。さらに後期リクライニング状態R2は、初期リクライニング状態R1における最高位置での第1の可動部8と第2の可動部9との相対位置を実質的に保持したまま、第1の可動部8を基部7に対して傾けて起き上がらせた状態である。
【0038】
伸展状態Sは、ベッド1の寝台面を水平にできるため、枕を使用して通常の睡眠をとるのに適する。これに対して、初期リクライニング状態R1は、第2の可動部9だけが第1の可動部8に対して段差を有して上昇ししかも第1の可動部に向かって小角度で下降する向きに傾動するため、軽く頭部を起こして横になりたいような場合に特に好適な状態である。
【0039】
図9に示した従来のベッドaでは、頭部を持ち上げるために、第2の傾動部b2は、ある程度大きな角度θ、より具体的には20度以上の角度で傾斜させる必要がある。これに対して、本実施形態のベッド1では、初期リクライニング状態R1において、第2の可動部9を、第1の可動部8に対して段差を有して上昇させうる。このため、第2の可動部9の傾斜は、2度よりも大かつ10度以下程度の小さな角度θで十分に足りる。従って、図7に示すように、第2の可動部9に頭部を載置したユーザの頸部を圧迫することがなく、ベッド1の使い心地をより一層向上することができる。
【0040】
また第2の可動部8の上昇量を前述の如く連結具Jで調節し、30〜100mm程度、より好ましくは30〜80mm程度とするなど、一般的な枕の高さに合わせることも好ましく実施できる。この場合、枕を使用することなくあたかも枕を使用したのと同様の感覚が得られ、ベッド1の利便性をさらに高める。
【0041】
また後期リクライニング状態R2は、初期リクライニング状態R1における最大上昇時の第1の可動部8と第2の可動部9との相対位置を実質的に保持したまま第1の可動部8を前記基部7に対して傾けて起き上がらせた全ての状態を含む。特に限定はされないが、好適には第1の可動部8の起き上がり角度αは、最大で例えば50〜60°程度とするのが望ましい。また好ましくは、第1の可動部8は、300〜450mm程度、より好ましくは350〜450mmの長さ程度とするのが望ましい。これにより、図7に示すように、第1の可動部8の折れ曲がり位置をユーザの腰部により近接させて位置させることが可能となり、さらにリクライニング効果を高めることができる。
【0042】
前記受け枠駆動部Dは、本例では図1、図2、図5に示す如く、ベッド長さ方向の垂直面内で回動可能かつベッド枠体2に一端部30aを枢着される一対のアーム体30、30と、このアーム体30の他端部30bと第2の可動部9とを連結する継ぎリンク31と、前記アーム体30を傾動させる駆動器32とを含んで構成されたものが例示される。
【0043】
第1のベッド枠半体4の主枠4aには、その両側部分に一対の軸受け片34、34が固着される。この軸受け片34、34の間に、ベッド幅方向にのびる回転軸35が回動自在に枢支される。アーム体30、30の各一端部30aは、この回転軸35に固着されている。つまり、アーム体30、30は、回転軸35を介してベッド枠体2(より具体的には第1のベッド枠半体4)に枢着される。アーム体30、30の他端部30bは、宮板13側へとのびている。なおこの実施形態では、アーム体30は、前記スライド軸23とベッド幅方向で位置ずれすることで互いに干渉することなく配されている。
【0044】
また前記継ぎリンク31は、図3に示すように、本例では一端がアーム体30の前記他端部30bに回動自在に枢着されるとともに、その他端が第2の可動部9の補強材9Cと金具37を介して枢着される。継ぎリンク31は、本例では、長さが等しい第1、第2の継ぎリンク31a、31bが含まれる。これにより、アーム体30、第1、第2の継ぎリンク31a、31b及び第2の可動部9とで平行リンク機構を形成している。
【0045】
前記駆動器32として、本例では図1に示すように、電動機などを有する本体部32aと、該電動機の正転、逆転により本体部32aから伸び縮み(出没)自在なロッド32bとを具えるボールネジ機構を用いた電動式シリンダが例示される。該駆動器32は、ロッド32bをベッド長さ方向に沿わせて配される。具体的には、駆動器32の本体部32aは、第1のベッド枠半体4の補強材4cなどにブラケットなどを介して枢着され、垂直面内を傾動できる。また駆動器32のロッド32bは、前記回転軸35に向かってのび、ブラケット39を介して該回転軸35に連結される。従って、駆動器32のロッド32bを伸縮させることによって、回動軸35を回転させ、ひいては前記アーム体30を垂直面内で傾動できる。
【0046】
図6には、受け枠駆動部Dを含む機構の模式図を示す。
筒状部22とスライド軸23とのガタは実質的に無視しうる程度に小さく、これは自由度1のスライド対偶と考え得る。この機構では、リンク数が8個、自由度1のペアが10となり、受け枠駆動部Dの機構の自由度Fは1、つまり限定機構を構成する。また原動節は駆動器32の1つであるため、強制駆動となる。即ち、駆動器32のロッド32bを縮めアーム体30を図において反時計回りに傾動させることによって、継ぎリンク31は、第2の可動部9を持ち上げる。
【0047】
第2の可動部9は、回転軸35を支点として傾動することとなるため、スライド軸23を筒状部22に対してスライドさせつつ首振り部25bを傾斜させながら上昇できる。第1の可動部8は、その自重によってベッド枠体2に載置された水平のままの状態を保つことができる。これにより、図6(B)のように、第2の可動部9は第1の可動部8と段差を生じつつ傾斜して上昇でき、前記初期リクライニング状態R1をとることができる。このときの第2の可動部9の水平面に対する傾斜の角度閘は、前述の如く2〜10度に抑制することが特に好ましい。
【0048】
またさらにアーム体30を反時計回りに傾動させることにより、第2の可動部9のスライド軸23の抜け止め部23bが筒状部22の下端と接触し、第1の可動部8をともに持ち上げる。これにより、第2の可動部9と第1の可動部8とが初期リクライニング状態で最も上昇した状態の位置を保持したまま、該第1の可動部9を前記基部7に対して傾けて起き上がらせ後期リクライニング状態R2へと連続的に変化させ得る。
【0049】
他方、後期リクライニング状態R2において、駆動器32のロッド32bを伸ばすことにより、先ず第1の可動部8の起き上がり角度αを徐々に減じ、該角度αが0度になった後に、第2の可動部9が下降を開始する。そして、初期リクライニング状態R1、水平状態Sへと連続的に変化できる。なお駆動器32は、図示しないリモコンを使用してユーザーがベッド1に寝た状態で行うことができる。
【0050】
図8には、本発明の他の実施形態を示している。
本実施形態では、筒状部22が第1の可動部8に対して傾動不能に固着された場合を例示している。そして、筒状部22とスライド軸23とは、前記実施形態よりもガタツキ量を十分に大きく設定して遊挿される。このような実施形態では、第2の可動部8の上昇に際して、前記ガタによって第1の可動部8と第2の可動部9との相対角度変位を許容しうる。なお、筒状部22を本例のように固定するとともに、スライド軸23を傾動可能に第2の可動部9に設けても良い。
【0051】
またこの実施形態では、アーム体30と前記スライド軸23とが伸展状態Sで当接するものが例示される。前記伸展状態Sにおいて、スライド軸23は最も下方にスライドしており、この状態でスライド軸23の下端(この例では抜け止め部23b)がアーム体30の上面に静置される。受け枠駆動具Dによって、アーム体30を傾動させると、継ぎリンク30とスライド軸23の押し上げにより、第2の可動部9を第1の可動部8に対して傾動させつつ上昇させることができる。
【0052】
以上本発明の実施形態について説明したが、例えば受け枠駆動部Dは、電動機にて伸縮するロッドタイプのものに代えて、ラチエット機構を有して伸縮自在なロッドを有する手動式伸縮継手などを用いることもできる。この継手は、ユーザが手動で第2の可動部9を持ち上げた位置までロッドを伸ばすことができかつその位置をラチェットによって保持できる。これにより、初期リクライニング状態R1又は後期リクライニング状態R2に変化させ得る。ロッドは、一旦最大量までのばした後に縮めることができ、これにより伸展状態Sへと変化させることができる。
【0053】
また、前記の実施形態では、第2の可動部9をユーザの頭部側として好適な例を示したが、これに限定されるわけではなく、例えば第1、第2の可動部8、9をユーザの足側として使用することも勿論可能である。この場合、ユーザの脚部を高く保持して、いわゆるフットアップにより足の血行を向上させることもできる。また本実施形態では、折畳み式であるが、非折り畳み式のベッドとしても良い。さらには、基部7を、第1、第2の可動部8、9とは独立して傾動ないし上昇させることもできる。以上のように本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の形態で実施しうる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、寝具を載置する寝具載置面を有する寝具受け枠を具えたベッドであって、前記寝具受け枠は、非傾動の基部、ベッド長さ方向の一端部がこの基部側で折曲げ可能に取り付けられる第1の可動部、及び前記第1の可動部の他端部側に、該第1の可動部に対して少なくとも上昇可能に設けられた第2の可動部とを含んでいる。そしてさらに、前記第1の可動部と前記第2の可動部とが、高さ方向に位置ずれできかつ傾動可能に連結する連結具を介して連結され、基部と第1の可動部と第2の可動部との寝具載置面が同一平面状となる伸展状態と、基部と第1の可動部との寝具載置面が同一平面状、かつ第2の可動部のみを第1の可動部に対して段差を有して小高さで上昇させた初期リクライニング状態と、第1の可動部と第2の可動部との相対位置を保持したまま第1の可動部を前記基部に対して傾けて起き上がらせた後期リクライニング状態とに変化させる受け枠駆動部を有している。
【0055】
従って、単に寝具受け枠を折り曲げるだけのものに比して、多様な使い方が可能となる。とりわけ、第2の可動部にユーザの頭部を、第1の可動部に背中をそれぞれ載置することにより、初期リクライニング状態、後期リクライニング状態では、頸部への圧迫を減じつつ頭部を持ち上げることが可能となる。これにより、テレビの視聴、読書などにより最適なリクライニング状態を得ることができる。また初期リクライニング状態では、必要に応じて枕を用いなくてもあたかも枕を使用しているのと同様の寝心地を得ることができる。
【0056】
また請求項2記載の発明のように、初期リクライニング状態は、前記第2の可動部が、第1の可動部に向かって下降する向きに2〜10度の角度で傾くときには、第2の可動部にユーザの頭部を、第1の可動部に背中をそれぞれ載置した使用状態では、頸部への圧迫をより確実に減じ、より一層使い心地を向上することができる。
【0057】
また請求項3記載の発明のように、前記連結具は、第1の可動部の端部に設けられた上下にのびる筒状部と、第2の可動部に設けられかつ前記筒状部を上下にスライドしうるスライド軸とを含み構成されることによって、第2の可動部を第1の可動部に対して段差を生じさせつつ上昇させることが容易に行える。
【0058】
また請求項4記載の発明のように、第1の可動部と第2の可動部とを、第1の可動部の前記他端部に設けられた上下にのびる筒状部と、前記第2の可動部に設けられかつ前記筒状部を上下にスライドできかつ上方への最大スライド時に前記筒状部に抜け止め保持されるスライド軸とを用いて連結し、そして、受け枠駆動部で第2の可動部を押し上げることもできる。この場合、受け枠駆動部は、軸状体が上方へ最大スライドするまでは、第1の可動部だけを上昇させることにより前記段差を形成でき、さらに第2の可動部を押し上げることにより、第1の可動部と第2の可動部とをともに引き上げて第1の可動部を傾動させ得る。これにより、初期リクライニング状態と後期リクライニング状態とを連続してかつ容易に実現することができる。
【0059】
また請求項5記載の発明のように、筒状部を、第1の可動部に対してベッド幅方向に沿った水平軸回りで傾動可能に設けたり、さらに請求項6記載の発明のように、スライド軸が、前記筒状部に隙間を有して遊挿されるときには、第1の可動部と第2の可動部とを傾動させるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のベッドの分解斜視図である。
【図2】ベッドの平面図である。
【図3】第1の可動部と第2の可動部との連結部を示す部分斜視図である。
【図4】(A)、(B)は、連結部の断面図である。
【図5】寝具受け枠の変形状態を示す側面略図である。
【図6】(A)〜(C)は、受け枠駆動部を模式的に示す線図である。
【図7】本発明のベッドの側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す第1の可動部と第2の可動部との連結部を示す部分側面図である。
【図9】従来のベッドの側面図である。
【符号の説明】
1 ベッド
2 ベッド枠体
3 寝具受け枠
4 第1のベッド枠半体
5 第2のベッド枠半体
7 基部
7A 主体部
7B 副部
8 第1の可動部
9 第2の可動部
30 アーム体
31 継ぎリンク
32 駆動器
D 受け枠駆動具
Claims (8)
- 寝具を載置する寝具載置面を有する寝具受け枠を具えたベッドであって、
前記寝具受け枠は、非傾動の基部、ベッド長さ方向の一端部がこの基部側で折曲げ可能に取り付けられる第1の可動部、及び前記第1の可動部の他端部側に、該第1の可動部に対して少なくとも上昇可能に設けられた第2の可動部とを含み、
前記第1の可動部と前記第2の可動部とが、高さ方向に位置ずれできかつ傾動可能に連結する連結具を介して連結され、
前記基部と前記第1の可動部と前記第2の可動部との寝具載置面が同一平面状となる伸展状態と、
前記基部と前記第1の可動部との寝具載置面が同一平面状、かつ前記第2の可動部のみを前記第1の可動部に対して段差を有して上昇させた初期リクライニング状態と、
第1の可動部と第2の可動部との相対位置を保持したまま第1の可動部を前記基部に対して傾けて起き上がらせた後期リクライニング状態とに変化させる受け枠駆動部を有することを特徴とするベッド。 - 前記初期リクライニング状態は、前記第2の可動部が、第1の可動部に向かって下降する向きに2〜10度の角度で傾くことを特徴とする請求項1記載のベッド。
- 前記連結具は、第1の可動部の端部に設けられた上下にのびる筒状部と、第2の可動部に設けられかつ前記筒状部を上下にスライドしうるスライド軸とを含み構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のベッド。
- 前記第1の可動部と前記第2の可動部とは、第1の可動部の前記他端部に設けられた上下にのびる筒状部と、前記第2の可動部に設けられかつ前記筒状部を上下にスライドできかつ上方への最大スライド時に前記筒状部に抜け止め保持されるスライド軸とを含む連結具を用いて連結されるとともに、
前記受け枠駆動部は、前記第2の可動部を押し上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のベッド。 - 前記筒状部は、第1の可動部に対してベッド幅方向に沿った水平軸回りで傾動可能に設けられることを特徴とする請求項4に記載のベッド。
- 前記スライド軸は、前記筒状部に隙間を有して遊挿されることを特徴とする請求項4又は5に記載のベッド。
- 前記寝具受け枠は、その下方に位置するベッド枠体で支持されるとともに、
前記受け枠駆動部は、ベッド長さ方向の垂直面内で回動可能かつ前記ベッド枠体側で一端部が枢着されるアーム体と、
このアーム体の他端部と前記第2の可動部とを連結する継ぎリンクと、
前記ベッド枠体に取り付けられかつ前記アーム体を傾動させることにより第2の可動部を上昇させる駆動器とを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のベッド。 - 前記ベッド枠体は、倒立V字状に折曲げ可能な一対のベッド枠半体であり、
かつ前記基部は一方のベッド枠半体に固定された主体部と、他方のベッド枠半体に固定される小長さの副部とからなり、
かつ前記アーム体は他方のベッド枠半体に取り付けられることを特徴とする請求項7記載のベッドである。
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