JP3786762B2 - 生海苔を含む海苔混合液から異物を除去する方法、生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置及び生海苔の異物除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生海苔から異物を分離除去する作業を高効率で行うことができ、かつ構造が比較的簡単で、同様の処理能力において、より小型、軽量化が可能な生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置、生海苔の異物除去装置及び海苔を含む海苔混合液から異物を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
養殖場から採取された生海苔には海面に浮遊しているゴミや小海老、小貝等、様々な異物が混入している。品質のよい乾燥海苔等の海苔加工品を得るには、これら異物を加工前に除去する必要がある。この除去作業を行うものとして、従来より生海苔の異物除去装置が提案されている。
従来の異物除去装置としては、例えば特開平8−51963号に記載の異物除去装置がある。この装置は、生海苔を含む海苔混合液をスリット状の分離孔に吸込んで、それより大きなゴミ等の異物を分離除去し、更に分離孔を塞ぐ異物を吸込み停止によってスリットから沈下させてスリットを開放するようにし、継続して異物の除去作業ができるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の異物除去装置には、次のような課題があった。
すなわち、分離孔を塞いでいる異物を取り除くため吸込み停止を行うには、ポンプを断続的に運転する必要がある。従って、連続運転をしても処理の効率が悪く、また、構造や制御が複雑になるために装置全体が大型化し、製造コストも高くなっていた。
【0004】
本発明は、上記課題を解消するもので、生海苔から異物を分離除去する作業を高効率で行うことができ、かつ構造が比較的簡単で、同様の処理能力において、より小型、軽量化が可能な、生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置、生海苔の異物除去装置及び海苔を含む海苔混合液から異物を除去する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
本発明は、生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置であって、
海苔混合液を貯溜する貯溜槽内に設けられ、外周部に所要数のスリットが設けられた分離ドラムと、上記スリットから海苔混合液を上記分離ドラム内部に吸引する吸引手段と、上記スリット部分に吸い付けられている異物を取り除く洗浄手段と、を備えており、
上記吸引手段は、当該分離ドラム内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記スリットにより異物が分離された海苔混合液が流通し、海苔混合液排出側へ通じる海苔混合液流通部を備えており、
上記洗浄手段は、上記分離ドラム内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記貯溜槽の貯溜部及び上記海苔混合液流通部と区画された、異物排出側へ通じる洗浄液流通部を備えており、
上記スリットが上記海苔混合液流通部にあるときは海苔原藻を通し異物は通さないようスリット幅を調整し、上記スリットが上記洗浄液流通部にあるときはスリット幅を拡げてスリット外部に付着した異物を洗浄により取り除いて上記洗浄液流通部を通じて排出するようにしてあることを特徴とする、生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置である。
【0006】
本発明は、生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置であって、
海苔混合液を貯溜する貯溜槽内に設けられ、外周部に所要数のスリットが設けられた分離ドラムと、上記スリットから海苔混合液を上記分離ドラム内部に吸引して、スリットで異物を分離させる一次吸引手段と、上記スリットから洗浄液を上記分離ドラム外部へ噴出させ、異物を取り除く一次洗浄手段と、当該一次洗浄手段による洗浄液を上記スリットから上記分離ドラム内部に吸引して、スリットで異物を分離させる二次吸引手段と、上記スリットから洗浄液を上記分離ドラム外部へ噴出させ、異物を取り除く二次洗浄手段と、を含んでおり、
上記一次、二次吸引手段は、当該分離ドラム内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記スリットにより異物が分離された海苔混合液が流通し、海苔混合液排出側へ通じる海苔混合液流通部を備えており、
上記一次、二次洗浄手段は、上記分離ドラム内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記貯溜槽の貯溜部及び上記海苔混合液流通部と区画された、異物排出側へ通じる洗浄液流通部を備えており、
上記スリットが上記海苔混合液流通部にあるときは海苔原藻を通し異物は通さないようスリット幅を調整し、上記スリットが上記洗浄液流通部にあるときはスリット幅を拡げてスリット外部に付着した異物を洗浄により取り除いて上記洗浄液流通部を通じて排出するようにしてあることを特徴とする、生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置である。
【0007】
本発明は、分離ドラムは、軸周方向へ間隔をおいて軸方向と平行に複数設けられた固定外周部材と、当該固定外周部材間に設けられ、軸方向と平行に設けられた軸を中心として回動するようにしてある可動外周部材と、を備えており、
上記可動外周部材を回動させることにより上記固定外周部材と上記可動外周部材間のスリットを拡縮調整するようにしてあることを特徴とする、
請求項1または2記載の生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置である。
【0008】
本発明は、分離ドラムは固定軸管を軸として軸周方向へ回転するようにしてあり、
上記固定軸管の内部には、上記洗浄液流通部を構成する導液部と、当該導液部と区画され、上記海苔混合液流通部を構成する排液部と、を備えており、
上記固定軸管と上記分離ドラム内面の間には上記分離ドラムの回転ができるようにして設けられた区画部材によって上記海苔混合液流通部と区画され上記導液部と通じる洗浄内部が設けてあり、
上記分離ドラム外面と上記貯溜槽の壁面の間には上記分離ドラムの回転ができるようにして設けられた区画部材によって上記貯溜槽の貯溜部と区画された洗浄外部が設けてあることを特徴とする、請求項1、2または3記載の生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置である。
【0009】
本発明は、生海苔の異物除去装置であって、
海苔混合液を供給する供給手段と、供給された海苔混合液に含まれる異物を分離する請求項1、2、3または4記載の生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置と、異物が分離された海苔混合液を送給する送給手段と、を備えていることを特徴とする、生海苔の異物除去装置である。
【0010】
本発明は、送給手段の経路に、海苔混合液を貯溜する貯溜タンクが設けてあり、当該貯溜タンクは内部が減圧されていることを特徴とする、請求項5記載の生海苔の異物除去装置である。
【0016】
(作用)
第1、第2及び第5の発明にあっては、外周部にスリットが設けられた分離ドラムを使用しているので、スリット等の吸込み部を平面的に配置するようにしたものと比較して装置をよりコンパクトにすることができる。
また、海苔混合液からの異物の分離とその洗浄を連続して行うようにすれば、異物によるスリットの目詰まりを防止でき、処理の効率が向上する。更には、分離ドラムの回転速度を調整することにより、海苔混合液の濃淡やゴミ等の異物の多少に適宜対応することができる。
【0017】
第3、第6の発明にあっては、まず一次吸引手段や一次洗浄手段等により異物の分離と洗浄を行い、更にこの異物を含む洗浄液の異物の分離と洗浄を再度二次吸引手段や二次洗浄手段等によって行うことにより、最初の吸引時に異物と共にスリットに引っ掛っていた生海苔を含む洗浄液から生海苔を取り込むことができる。これによって、海苔混合液に含まれる生海苔のほとんどを異物と分離して取り込むことができる。
【0018】
第7の発明にあっては、回転する分離ドラムのスリットが海苔混合液流通部にあるときは、貯溜槽内に貯溜されている海苔混合液は、スリットを通って分離ドラム内部の海苔混合液流通部に入り、海苔混合液排出側へ送られる。海苔混合液がスリットを通るときには海苔混合液内に含まれている異物がスリットに引っ掛かり、海苔混合液流通部内には異物が分離された海苔混合液が流通する。
また、回転する分離ドラムのスリットが洗浄液流通部にあるときはスリットは拡がり、スリット外部に付着している異物は洗浄液で取り除かれ、洗浄液流通部を通じて排出される。これによって、海苔混合液に含まれる異物の分離を連続的に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0019】
第8の発明にあっては、分離ドラムは固定外周部材と可動外周部材とを備え、可動外周部材を回動させることにより固定外周部材との間に設けられるスリットを拡縮調整することができる。
【0020】
第9の発明にあっては、固定軸管の導液部から洗浄液を導入し洗浄内部から洗浄外部へ流通させることにより、異物を取り除いてスリットの詰まりを開放することができる。また、異物が分離された海苔混合液は導液部と区画された排液部から外部へ排出される。
【0021】
第10の発明にあっては、供給手段により海苔混合液を供給し、第5、第6、第7、第8または第9の発明に係る装置により、供給された海苔混合液に含まれる異物を分離し、送給手段により異物が分離された海苔混合液を送給することができる。
上記したように、第5、第6、第7、第8または第9の発明に係る生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置によって、海苔混合液からの異物の分離を効率良く行うことができるので、生海苔の異物除去装置にあっても処理能力を向上させることができる。
【0022】
第4、第11の発明にあっては、送給手段の経路に、海苔混合液を一時貯溜する貯溜タンクが設けてあり、貯溜タンクの内部は減圧されているので、送給手段における海苔混合液を吸引する吸引力がより強くなり、分離ドラムによる海苔混合液からの異物の分離も効率よく行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る生海苔の異物除去装置の一実施の形態を示す概略説明図、図2は本発明に係る異物分離装置の一実施の形態を示す図3におけるB−B線に対応する断面図、図3は異物分離装置の一実施の形態を示す図2におけるA−A線に対応する断面図である。
図4は異物分離装置の一部を切り欠いた斜視図、図5は異物分離装置の可動外周部材を回動させる回動装置の構造を示す説明図、図6は固定外周部材と可動外周部材の間に形成されるスリットの形態を示す説明図である。
【0024】
図1を参照する。
符号Sは生海苔の異物除去装置で、海苔混合液からゴミ等の異物を分離する異物分離装置D1と、吸引ポンプWPと、吸引補助装置Vとを備えている。異物分離装置D1の構造は後で詳細に説明する。
吸引ポンプWPは異物分離装置D1において異物を分離する際の海苔混合液の流れをつくるものである。吸引補助装置Vは異物分離装置D1と吸引ポンプWPとの間に配設されており、吸引ポンプWPによる吸引を補助し、異物分離装置D1における分離作業の効率を向上させるものである。
【0025】
吸引補助装置Vは、貯溜タンクであるタンクT1を備えている。タンクT1の一方の側壁上部には異物分離装置D1の海苔混合液排出側と通じる導入口t1が設けてある。タンクT1の他方の側壁下部には吸引ポンプWPの吸引側と通じる吸水口t2が設けてある。また、タンクT1の上壁には吸気口t3が設けてあり、吸気口t3には空気ポンプAPが接続してある。吸気口t3近傍には液位センサS1、S2が配設してある。なお、空気ポンプAP側の吸気口t3には逆止弁v1が設けてあり、吸引ポンプWP側の吸水口t2には逆止弁v2が設けてある。
液位センサS1は、液位が導入口t1の高さ近傍を超えると空気ポンプAPを停止させるよう制御し、液位センサS2は液位が半分以下になると吸引ポンプWPを停止させるよう制御する。
【0026】
図2ないし図6を参照して異物分離装置D1の構造を説明する。
異物分離装置D1は生海苔(原藻)を含む海苔混合液を導入し貯溜する貯溜槽T2を備えている。貯溜槽T2は上部が開口しており、下部には支脚部材Lが四箇所に設けてある。
貯溜槽T2の後壁には注水口t4が設けてあり、注水口t4には海苔混合液を供給する供給管p1が接続してある。貯溜槽T2の上部には海苔混合液の供給量を制御する制御手段を構成する液位センサS3が配設してある。また、貯溜槽T2の両側壁にはモーターmと攪拌羽根hからなる攪拌装置MXが配設してある。
【0027】
貯溜槽T2の前後壁のやや下部寄りには相対向する位置に軸孔t5、t6が貫通して設けてある。軸孔t5、t6には分離ドラム1が両端部を貫通して回転可能に設けてある。なお、回転支持部分にはパッキン(図示省略)が設けてあり、水漏れを生じないようにしている。
【0028】
分離ドラム1の両端部には外形が円形状の端板10、11を備えている。端板10、11間にはポリアセタール樹脂製の固定外周部材12と可動外周部材13がそれぞれ所要数取り付けてある。なお、固定外周部材12と可動外周部材13はステンレスで形成することもできる。
端板10、11は軸孔t5、t6に回転可能に嵌合されており、その外面側にはギヤ盤16、17が固着されている。端板10、11とギヤ盤16、17の中心部には、後述するように固定軸管2が端板10、11とギヤ盤16、17すなわち分離ドラム1が回転できるようにして貫通させてある。
【0029】
上記固定外周部材12と可動外周部材13は端板10、11の周方向へ交互に配置してある。可動外周部材13はその長さ方向両端部に、端板10、11とギヤ盤16、17に回動可能に挿通してある軸ボルト18の先端部をねじ込み、取り付けてある。これにより、可動外周部材13は軸ボルト18を中心軸として回動可能である。各可動外周部材13を回動させる回動装置3については後で説明する。
なお、固定外周部材12と可動外周部材13は、可動外周部材13が回動されていないときには、その外周面が端板10、11の外周面とほぼ面一(すなわち円形)になるように、それぞれ湾曲させて形成してある(図3、図4参照)。
【0030】
上記したように端板10、11とギヤ盤16、17には、芯管であるステンレス製の固定軸管2が貫通してある。それらの回転支持部分には水密のためのゴム製のパッキン(図示省略)が配設してある。固定軸管2は貯溜槽T2の前方、後方に設けてある軸受板27、28間に取着具29を介して架設してある。
また、分離ドラム1の斜め下方にはギヤ盤16、17とそれぞれ噛み合うギヤ16a、17aが設けてある。ギヤ16a、17aは回転軸19の両端部に固定してあり、回転軸19は低速モーターMによりベルトbを介し駆動される。この構造により、分離ドラム1は固定軸管2を軸として回転される。
【0031】
上記したように分離ドラム1の各可動外周部材13は回動装置3により回動される。
図5を参照して回動装置3の構造を説明する。
上記可動外周部材13のそれぞれの軸ボルト18の外端部には制御アーム30が基端部を固着して取り付けてある。制御アーム30の先端部にはローラー31が取り付けてある。制御アーム30の中間部には係止ピン32が設けてあり、ギヤ盤16の内方には各係止ピン32に対応して係止ピン33が設けてある。係止ピン32、33間には引っ張りバネ34が掛けてあり、制御アーム30を内回動方向へ付勢している。
【0032】
また、引っ張りバネ34の近傍にはナット具35が固着してあり、ナット具35には先端部を制御アーム30の内側部に当接するようにして調整ボルト36が螺着してある。
この構造によれば、調整ボルト36を進退調整することによって可動外周部材13を回動させて固定外周部材12との間にスリット100を形成することができ、その幅の調整も可能である(図6参照)。
スリット100の幅は、海苔混合液を吸引して異物を分離する部分では0.4〜0.5mmに調整される。なお、採取時期による生海苔の厚さの変化に対応するために、スリット100は0.1〜0.8mmの範囲で調整できるようにしてあるがこれに限定されるものではない。
【0033】
固定外周部材12の一方の側部には可動外周部材13が回動するにつれてスリット100の幅が広くなるように形成された曲面120が設けてある。
また、符号37は後述する洗浄液流通部fにおいて上記スリット100の幅を大きくするためにローラー31を案内して可動外周部材13を回動させるガイド片であり、回転する分離ドラム1とは別に軸受板28、29に設けてある。
なお、洗浄液流通部fにおいて広がったときのスリット100の幅は、通常は1〜10mmの範囲で設定されるがこれに限定されるものではない。
【0034】
ここで、上記固定軸管2の構造と固定軸管2から分離ドラム1内外にかけて設けられた洗浄液流通部fと海苔混合液流通部Fについて説明する。洗浄手段を構成する洗浄液流通部fは後で説明する流通部f1、f2、f3からなり、吸引手段を構成する海苔混合液流通部Fは流通部F1、F2からなる。
固定軸管2のうち分離ドラム1の端板10(図2において左側)寄りには封鎖板20が固着してある。封鎖板20と端板10との間の下面には流通口21が貫通して設けてある。そして、固定軸管2内の封鎖板20より図2において左方が導水部である流通部f1となる。
【0035】
固定軸管2と分離ドラム1内面の間と、分離ドラム1外面と貯溜槽T2の底面t7の間には洗浄液流通部fの流通部f2、f3を形成するシール装置4が設けてある。
シール装置4は固定軸管2の下面側の周方向二箇所に流通口21を周方向に挟むようにして固着してあるガイド部材40を有している。ガイド部材40はステンレス製で、固定軸管2の分離ドラム1内部側の全長にわたり設けてある。
ガイド部材40の先部には、高分子ポリエチレン製で断面ほぼコ状の圧接部材41がスライド可能に嵌め込んである。
【0036】
また、圧接部材41の内部には圧接部材41を分離ドラム1の内面側へ付勢する圧縮バネ42が収容されている。これによって、圧接部材41の先端面は固定外周部材12と可動外周部材13の内面に分離ドラム1の回転に支障のない圧力をもって圧接される。
そして、上記流通部f1と通じる両ガイド部材40、圧接部材41で区画された部分が洗浄内部である流通部f2となる。これにより、後述の流通部F1、F2と流通部f2とはほぼ水密状態で区画される。
【0037】
また、固定軸管2のうち封鎖板20と分離ドラム1の端板11との間には、外周部を貫通して所要数の流通口22が設けてある。これら流通口22は上記ガイド部材40と圧接部材41の外部側である流通部F1内に位置するよう設けてある。
そして、分離ドラム1内部のうち両ガイド部材40、圧接部材41によって上記流通部f2と区画された部分が海苔混合液流通部Fを構成する流通部F1となり、流通部F1と流通口22を介し通じる固定軸管2の内部が排水部である流通部F2となる。
【0038】
貯溜槽T2の底面t7のうち分離ドラム1の下方には低床部t8が全長にわたり設けてある。低床部t8の両側縁部にはガイド部材43が全長にわたり設けてある。ガイド部材43の先部には断面ほぼコ状の圧接部材44がスライド可能に嵌め込んである。また、圧接部材44の内部には圧接部材44を分離ドラム1の外面側へ付勢する圧縮バネ45が収容されている。これによって、圧接部材44の先端面は固定外周部材12と可動外周部材13の外面に分離ドラム1の回転に支障のない圧力をもって圧接される。
【0039】
なお、各圧接部材44と上記各圧接部材41とは固定外周部材12または可動外周部材13を挟んで向かい合うように設けられている。
そして、分離ドラム1内の上記流通部f2とスリット100を介し通じる両ガイド部材43、圧接部材44で区画された部分が洗浄外部である流通部f3となる。これにより、貯溜槽T2内の貯溜部t0と流通部f3はほぼ水密状態で区画されている。
【0040】
また、低床部t8の中央部には排水管t9が設けてある。排水管t9の下方には分離槽5が設けてある。分離槽5内には金網で形成された瀘過部材50が設けてあり、洗浄液に含まれるゴミ等の異物を分離するようにしている。分離槽5の底部には排水管51が接続してある。
【0041】
(作 用)
図1ないし図6を参照して本発明に係る生海苔の異物除去装置Sの作用を説明する。
生海苔の異物除去装置Sの貯溜槽T2内には供給管p1から海苔混合液が導入され、分離ドラム1は海苔混合液で浸漬される。
吸引ポンプWPによる吸引作用によって貯溜槽T2内の海苔混合液は分離ドラム1を通るときにゴミ等の異物が分離除去されてタンクT1に導入され、吸引ポンプWPにより次工程へ送られる。
なお、吸引ポンプWPによる海苔混合液の吸引は吸引補助装置Vによってより強められる。すなわち、空気ポンプAPによってタンクT1上部の空気を抜いて真空にすることにより、タンクT1内を減圧して吸引が助長される。
【0042】
異物分離装置D1の分離ドラム1による海苔混合液からの異物の分離は次のように行われる。なお、分離ドラム1のスリット100の幅は、調整ボルト36を回すことによって海苔原藻は通しゴミ等の異物は通さないよう調整されている。また、低速モーターMによって分離ドラム1は低速で軸周方向(図3、図5において右回り)へ回転されている。
【0043】
▲1▼ 貯溜槽T2内の貯溜部t0に貯溜されている海苔混合液は、分離ドラム1のスリット100のうち貯溜部t0内を回転移動しているスリット100から海苔混合液流通部Fを構成する分離ドラム1内の流通部F1に入る。このとき、ゴミ等の異物は各スリット100に引っ掛り分離される。
異物が分離除去された海苔混合液は、流通部F1から固定軸管2の流通部F2へ入り、送水管p2を通り、上記したようにタンクT1へ送られる。
【0044】
▲2▼ 一方、洗浄液流通部fを構成する流通部f1からは流通部f2へ洗浄液(真水または海水)が供給されており、洗浄液は更に流通部f3を通り、排水管t9から外部へ排出される。
【0045】
▲3▼ 上記▲1▼の工程によりスリット100外側に引っ掛ったゴミ等の異物は、分離ドラム1の回転に伴い、スリット100に吸い付いたまま一方の圧接部材44を超えて流通部f3内に入る。このとき、異物の一部は圧接部材44に擦られて脱落するが、残りはスリット100を構成する固定外周部材12と可動外周部材13の縁部の僅かな段差の作用によってそのまま流通部f3内に入ることになる。
【0046】
▲4▼ 可動外周部材13が流通部f3に入ると、制御アーム30先端のローラー31がガイド片37によって案内され、可動外周部材13はスリット100が更に拡開する方向へ回動する(図5参照)。
これにより、拡開したスリット100を通って洗浄液が流通部f2から流通部f3側へ吹き出し、スリット100から異物が離れる。
【0047】
▲5▼ 異物を含む洗浄液は上記▲2▼で説明したように流通部f3を通り排水管t9から外部へ排出され、異物は分離槽5の瀘過部材50上に溜る。
▲6▼ 分離ドラム1が更に回転し、ローラー31がガイド片37から外れると、可動外周部材13は流通部f3内において回動してもとに戻り、他方の圧接部材44を超えて貯溜部t0内に入る。
上記▲1▼から▲6▼の工程を繰り返し行うことにより、貯溜部t0内の海苔混合液は異物が分離除去されて次工程へ送られる。
【0048】
このように、分離ドラム1に設けられるスリット100は円形状に配置されているので、処理能力を基準にした場合、スリット等の吸込み部を平面的に配置するようにした従来の装置と比較して装置をよりコンパクトにすることができる。
また、上記したように生海苔の異物除去装置Sによれば、海苔混合液からの異物の分離除去と生海苔の洗浄を連続して行うことができるので、処理の効率が向上する。
更には、分離ドラム1の回転速度を調整することにより、海苔混合液の濃淡やゴミ等の異物の多少に適宜対応することができる。
【0049】
図7は本発明に係る異物分離装置の第2の形態を示す図8、図9におけるE−E線に対応する断面図、図8は異物分離装置の図7におけるC−C線に対応する断面図、図9は異物分離装置の図7におけるD−D線に対応する断面図、図10は異物分離装置の一部を切り欠いた斜視図、図11は異物分離装置の可動外周部材を回動させる回動装置の構造を示す説明図である。
なお、以下の異物分離装置D2の説明において、上記異物分離装置D1と同一構造の箇所については一部説明を省略し、主として構造が異なる箇所について説明する。また、図面において、上記異物分離装置D1と同一または同等箇所には同一の符号を付して示している。
【0050】
異物分離装置D2は貯溜槽T3、T4を備えている。貯溜槽T3は、一次吸引される海苔混合液の貯溜部であり、貯溜槽T4は一次洗浄された洗浄液の貯溜部である。貯溜槽T4は、貯溜槽T3の下側から一方の側部にかけて設けてある(図8、図9参照)。
貯溜槽T3の後壁には注水口t4が設けてある。貯溜槽T3の上部には液位センサS3が配設してあり、貯溜槽T4の上部にも液位センサーS4が配設してある。なお、貯溜槽T3の両側壁には攪拌装置MXが配設してある。
【0051】
貯溜槽T3、T4には、上部側が貯溜槽T3にかかるように、下部側が貯溜槽T4にかかるようにして、分離ドラム1aが回転可能に設けてある。
分離ドラム1aの端板10、11とギヤ盤16、17には、芯管となる固定軸管2aが貫通して架設してある。
【0052】
分離ドラム1aの各可動外周部材13は回動装置6により回動される。図11を主に参照して回動装置6の構造を説明する。
可動外周部材13のそれぞれの軸ボルト18の外端部には、制御アーム60が基端部を固着して取り付けてある。制御アーム60の先端寄りにはローラー61が取り付けてある。制御アーム60の先端部には係止ピン62が設けてあり、ギヤ盤16の内方には各係止ピン62に対応して係止ピン63が設けてある。係止ピン62、63間には引っ張りバネ64が掛けてあり、制御アーム60を内回動方向へ付勢している。
【0053】
また、制御アーム60のうち基端部とローラー61の中間部には、ナット具65が固着してあり、ナット具65には先端部を後述する隙間調整盤67のガイド部に接触させて調整ボルト66が螺着してある。
固定軸管2aには、上記隙間調整盤67が中央部に設けてある孔670を嵌め入れて軸周方向へ回転できるように装着してある。隙間調整盤67の外周部には、上記制御アーム60の調整ボルト66の位置に対応させるガイド片671が六箇所に設けてある。ガイド片671の外周縁部は、調整ボルト66の先端部を当接させるガイド部672となっており、ガイド部672は隙間調整盤67中心からの距離が次第に変化するよう緩やかな円弧状に形成してある。
【0054】
また、一つ置きに合計三箇所のガイド片671には、隙間調整盤67中心を中心とする円弧状の長孔673が設けてある。長孔673は、ギヤ盤16に設けてあるスタッドボルト160に嵌め入れてあり、ナット(図示省略)によって隙間調整盤67を締め付け固定できるようにしている。
なお、隙間調整盤67は、調整ボルト66先端がガイド部672の径小側の端部に位置しているときに、可動外周部材13と固定外周部材12の間のスリット100が閉じるよう各部寸法が設定してある。
【0055】
この構造によれば、隙間調整盤67の締め付けを緩めて周方向へ回すことにより、調整ボルト66を外方または内方へ移動させ、全部の可動外周部材13を一度に回動させて、固定外周部材12との間にスリット100を形成することができ、その幅の調整も可能である。
また、符号68、69は、後述する洗浄液流通部f(f5、f7)において上記スリット100の幅を拡げるためにローラー61を案内して可動外周部材13を回動させるガイド片であり、回転する分離ドラム1aとは別に軸受板28、29に設けてある。
【0056】
ここで、上記固定軸管2aの構造と固定軸管2aから分離ドラム1a内外にかけて設けられた洗浄液流通部fと海苔混合液流通部Fについて説明する。洗浄手段を構成する洗浄液流通部fは後で説明する流通部f4、f5、f6、f7、f8からなり、吸引手段を構成する海苔混合液流通部Fは流通部F3、F4、F5、F6からなる。
なお、流通部f4、f5は一次洗浄手段を構成し、流通部f6、f7、f8は二次洗浄手段を構成し、流通部F3、F4は一次吸引手段を構成し、流通部F5、F6は二次吸引手段を構成する。
【0057】
固定軸管2aのうち分離ドラム1aの端板10(図7において左側)寄りには封鎖板20が固着してある。固定軸管2aには、内部を周方向に1:2の割合で区画する区画板23が、封鎖板20を挟んで、全長にわたり設けてある。固定軸管2a内における区画板23の取着端部は、固定軸管2aの外周面に固着してある後述する内部シール部材7a、7cの位置に対応させてある。
【0058】
固定軸管2aと分離ドラム1a内面との間には、内部を周方向に四つに区画する内部シール部材7a、7b、7c、7dが配置してある。また、分離ドラム1a外面と貯溜槽T3、T4の間には四箇所に外部シール部材8a、8b、8c、8dが配置してある。
【0059】
内部シール部材7a、7b、7c、7dは、固定軸管2aの外周面に分離ドラム1a内の全長にわたり放射方向に設けてある。内部シール部材7a、7b、7c、7dは、固定軸管2aに固着してある固着板70と、先部が湾曲して分離ドラム1a内面に接触するようにしてあるゴム製の摺接板71を備えている。この摺接板71により、ほぼ水密状態で区画することができる。
内部シール部材7a、7dは、貯溜槽T3の底板90と同じ高さに水平に配置してある。また、内部シール部材7b、7cは、内部シール部材7a、7dの間に周方向に所定の間隔をもって配置してある。
【0060】
外部シール部材8a、8b、8c、8dは、内部シール部材と同様に固着板80と、先部が湾曲して分離ドラム1a外面に接触するようにしてあるゴム製の摺接板81を備えている。
外部シール部材8a、8dは、貯溜槽T3の底部に設けてあるドラム配設口91の縁部に配置してある。外部シール部材8b、8cは、上記内部シール部材7b、7cと同じ放射方向に重ねて設けてある。外部シール部材8bは、固着板80が貯溜槽T4の底板92の斜面部に固着されている。また、外部シール部材8cは、底板92との間に通水部93を設けて固定してある。
【0061】
上記のように、固定軸管2a内部と分離ドラム1a内外部を区画することにより、一次洗浄手段である流通部f4、f5と、一次吸引手段であるF3、F4と、二次洗浄手段である流通部f6、f7、f8と、二次吸引手段である流通部F5、F6が設けられる。
すなわち、固定軸管2a内部の封鎖板20より端板11側は、区画板23で区画された広い方が流通部f4となっており、狭い方が流通部f6となっている。
【0062】
固定軸管2a外面と分離ドラム1a内面の間で上記内部シール部材7c、7dで区画された部分が流通部f5となっており、上記内部シール部材7a、7bで区画された部分が流通部f7となっている。
なお、貯溜槽T3、T4の間において、外部シール部材8a、8bで区画された部分は、流通部f8となっている。
固定軸管2a内部の封鎖板20と端板11との間には、側壁を貫通した流通口24、24aが設けてある。流通口24は、流通部f4、f5を連通させ、流通口24aは流通部f6、f7を連通させている。
【0063】
また、固定軸管2a内部の封鎖板20より端板10側は、区画板23で区画された広い方が流通部F4となっており、狭い方が流通部F6となっている。
固定軸管2a外面と分離ドラム1a内面の間で上記内部シール部材7a、7dで区画された部分が流通部F3となっており、上記内部シール部材7b、7cで区画された部分が流通部F5となっている。
固定軸管2a内部の封鎖板20と端板10との間には、側壁を貫通した流通口25、25aが複数設けてある。流通口25は、流通部F3、F4を連通させ、流通口25aは流通部F5、F6を連通させている。
【0064】
なお、一次洗浄手段である流通部f4、f5と、二次洗浄手段である流通部f6、f7、f8には、それぞれ個別に制御される送給ポンプ(図示省略)により真水、海水等が送給される。また、一次吸引手段であるF3、F4と、二次吸引手段である流通部F5、F6においても、それぞれ個別に制御される吸引ポンプ(図示省略)により海苔混合液が吸引される。
【0065】
貯溜槽T4のうち、上記流通部f8に対応する底部には、排水管t9が設けてある。排水管t9の下方には分離槽5が設けてある。分離槽5内には金網で形成された瀘過部材50が設けてあり、洗浄液に含まれるゴミ等の異物を分離するようにしている。分離槽5の底部には排水管51が接続してある。
また、貯溜槽T4の中央底部には、着脱可能な栓体94が設けてある液抜管t10が設けてある。
【0066】
(作 用)
図7ないし図11を参照して本発明に係る異物分離装置D2を含む生海苔の異物除去装置の作用を説明する。
生海苔の異物除去装置の貯溜槽T3内には供給管p1から海苔混合液が導入され、分離ドラム1aは海苔混合液で浸漬される。
吸引ポンプ(図示省略)による吸引作用によって貯溜槽T3内の海苔混合液は分離ドラム1aを通るときにゴミ等の異物が分離されて次工程へ送られる。
【0067】
異物分離装置D2の分離ドラム1aによる海苔混合液からの異物の分離は次のように行われる。なお、分離ドラム1aのスリット100の幅は、隙間調整盤67を回して調整することによって海苔原藻は通しゴミ等の異物は通さないよう調整されている。また、低速モーターMによって分離ドラム1aは低速で軸周方向(図8、図9において右回り)へ回転されている。
【0068】
▲1▼ 一次吸引手段を構成する吸引ポンプ(図示省略)の作動により、貯溜槽T3内の貯溜部t0に貯溜されている海苔混合液は、分離ドラム1aのスリット100のうち貯溜部t0内を回転移動しているスリット100から一次吸引手段を構成する分離ドラム1a内の流通部F3に入る。このとき、ゴミ等の異物は各スリット100に引っ掛り分離されるが、同時に生海苔の一部も一緒に引っ掛る。
異物が分離された海苔混合液は、流通部F3から流通口25を通り、固定軸管2a内部の流通部F4へ入り、送水管p2を通り、排出側へ送られる。
【0069】
▲2▼ 一方、一次洗浄手段を構成する送給ポンプ(図示省略)の作動により、流通部f4からは流通部f5へ洗浄液(真水または海水)が送給されている。
【0070】
▲3▼ 上記▲1▼の工程によりスリット100外側に引っ掛ったゴミ等の異物は、分離ドラム1aの回転に伴い、スリット100に吸い付いたまま、外部シール部材8dを超えて貯溜槽T4内に入る。このとき、異物の一部は外部シール部材8dの摺接板81に擦られて脱落するが、残りはスリット100を構成する固定外周部材12と可動外周部材13の縁部の僅かな段差の作用によってそのまま貯溜槽T4内に入ることになる。
【0071】
▲4▼ 貯溜槽T4において、外部シール部材8c、8dの間に位置している可動外周部材13の制御アーム60のローラー61が分離ドラム1aの回転に伴いガイド片68によって案内され、可動外周部材13はスリット100が更に拡開する方向へ回動する(図11参照)。
これにより、拡開したスリット100を通って洗浄液が流通部f5から貯溜槽T4内部へ吹き出し、スリット100に引っ掛っていた異物と生海苔が離れる(図8参照)。
また、制御アーム60のローラー61がガイド片68から外れると、可動外周部材13は元に戻り、スリット100の幅も異物が分離可能な元の広さに戻る。
【0072】
▲5▼ 異物と生海苔を含む洗浄液は、貯溜槽T4に貯溜され、液位センサーS4が上限液位を感知すると、二次吸引手段を構成する吸引ポンプ(図示省略)が作動する。これにより、異物と生海苔を含む洗浄液は、貯溜槽T4において、外部シール部材8b、8cの間で移動しているスリット100から二次吸引手段を構成する分離ドラム1a内の流通部F5に入る。このとき、ゴミ等の異物は各スリット100に引っ掛り分離され、洗浄液に含まれる生海苔は濃度が薄いためにそのほとんどが流通部F5に入る。
異物が分離され、生海苔を含む洗浄液は、流通部F5から流通口25aを通り、固定軸管2a内部の流通部F6へ入り、排出側へ送られる。
【0073】
▲6▼ 一方、二次洗浄手段を構成する送給ポンプ(図示省略)の作動により、流通部f6からは流通部f7へ洗浄液(真水または海水)が送給される。
貯溜槽T4において、外部シール部材8a、8bの間で移動している可動外周部材13の制御アーム60のローラー61が分離ドラム1aの回転に伴いガイド片69によって案内され、可動外周部材13はスリット100が更に拡開する方向へ回動する。
これにより、拡開したスリット100を通って洗浄液が流通部f7から流通部f8へ吹き出し、スリット100に引っ掛っていた異物が離れる。そして、この異物を含む二次洗浄液は、排出管t9を通り、分離槽5から外部へ排出される。
また、制御アーム60のローラー61がガイド片69から外れると、可動外周部材13は元に戻り、スリット100の幅も異物が分離可能な元の広さに戻り、貯溜槽T3の貯溜部t0内に移動する。
なお、上記二次吸引ポンプと二次送給ポンプは、液位センサーS4で貯溜槽T4の下限液位を感知すると停止し、二次吸引ポンプと二次送給ポンプは液位が上限と下限の範囲内にあるときに作動するようにしてある。
【0074】
このように、異物分離装置D2は、海苔混合液に含まれる異物の分離を一次と二次の二回にわたって行うので、海苔混合液に含まれる生海苔のほとんどを排出側へ送ることができ、海苔の回収率を向上させることができる。
なお、異物分離装置D2においては、二次分離、洗浄までを繰り返す構造であるが、分離ドラムの周方向に更に多くの区画部を設けて、三次分離、洗浄あるいはそれ以上の処理を行う構造とすることもできる。
また、上記実施の形態において、異物分離装置D1、D2は横型であるが、縦型とすることもできる。更には、貯溜槽T2、T3内にそれぞれ複数の異物分離装置D1、D2を配置することもできる。
【0075】
本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変形が可能である。
【0076】
【発明の効果】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)第1、第2及び第5の発明にあっては、外周部にスリットが設けられた分離ドラムを使用しているので、スリット等の吸込み部を平面的に配置するようにしたものと比較して装置をよりコンパクトにすることができる。
また、海苔混合液からの異物の分離とその洗浄を連続して行うようにすれば、異物によるスリットの目詰まりを防止でき、処理の効率が向上する。更には、分離ドラムの回転速度を調整することにより、海苔混合液の濃淡やゴミ等の異物の多少に適宜対応することができる。
【0077】
(b)第3、第6の発明にあっては、まず一次吸引手段や一次洗浄手段等により異物の分離と洗浄を行い、更にこの異物を含む洗浄液の異物の分離と洗浄を再度二次吸引手段や二次洗浄手段等によって行うことにより、最初の吸引時に異物と共にスリットに引っ掛っていた生海苔を含む洗浄液から生海苔を取り込むことができる。これによって、海苔混合液に含まれる生海苔のほとんどを異物と分離して取り込むことができる。
【0078】
(c)第7の発明にあっては、回転する分離ドラムのスリットが海苔混合液流通部にあるときは、貯溜槽内に貯溜されている海苔混合液は、スリットを通って分離ドラム内部の海苔混合液流通部に入り、海苔混合液排出側へ送られる。海苔混合液がスリットを通るときには海苔混合液内に含まれている異物がスリットに引っ掛かり、海苔混合液流通部内には異物が分離された海苔混合液が流通する。
また、回転する分離ドラムのスリットが洗浄液流通部にあるときはスリットは拡がり、スリット外部に付着している異物は洗浄液で取り除かれ、洗浄液流通部を通じて排出される。これによって、海苔混合液に含まれる異物の分離を連続的に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0079】
(d)第8の発明にあっては、分離ドラムは固定外周部材と可動外周部材とを備え、可動外周部材を回動させることにより固定外周部材との間に設けられるスリットを拡縮調整することができる。
【0080】
(e)第9の発明にあっては、固定軸管の導液部から洗浄液を導入し洗浄内部から洗浄外部へ流通させることにより、異物を取り除いてスリットの詰まりを開放することができる。また、異物が分離された海苔混合液は導液部と区画された排液部から外部へ排出される。
【0081】
(f)第10の発明にあっては、供給手段により海苔混合液を供給し、請求項5、6、7、8または9記載の装置により、供給された海苔混合液に含まれる異物を分離し、送給手段により異物が分離された海苔混合液を送給することができる。
上記したように、請求項5、6、7、8または9記載の生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置によって、海苔混合液からの異物の分離を効率良く行うことができるので、生海苔の異物除去装置にあっても処理能力を向上させることができる。
【0082】
(g)第4、第11の発明にあっては、送給手段の経路に、海苔混合液を一時貯溜する貯溜タンクが設けてあり、貯溜タンクの内部は減圧されているので、送給手段における海苔混合液を吸引する吸引力がより強くなり、分離ドラムによる海苔混合液からの異物の分離も効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生海苔の異物除去装置の一実施の形態を示す概略説明図。
【図2】本発明に係る異物分離装置の第1の実施の形態を示す図3におけるB−B線に対応する断面図。
【図3】異物分離装置の図2におけるA−A線に対応する断面図。
【図4】異物分離装置の一部を切り欠いた斜視図。
【図5】異物分離装置の可動外周部材を回動させる回動装置の構造を示す説明図。
【図6】固定外周部材と可動外周部材の間に形成されるスリットの形態を示す説明図。
【図7】本発明に係る異物分離装置の第2の形態を示す図8、図9におけるE−E線に対応する断面図。
【図8】異物分離装置の図7におけるC−C線に対応する断面図。
【図9】異物分離装置の図7におけるD−D線に対応する断面図。
【図10】異物分離装置の一部を切り欠いた斜視図。
【図11】異物分離装置の可動外周部材を回動させる回動装置の構造を示す説明図。
【符号の説明】
S 生海苔の異物除去装置
D1 異物分離装置
WP 吸引ポンプ
V 吸引補助装置
T1 タンク
t0 貯溜部
t1 導入口
t2 吸水口
t3 吸気口
AP 空気ポンプ
S1、S2 液位センサ
v1、v2 逆止弁
T2 貯溜槽
L 支脚部材
t4 注水口
p1 供給管
S3 液位センサ
m モーター
h 攪拌羽根
MX 攪拌装置
t5、t6 軸孔
1 分離ドラム
100 スリット
10、11 端板
12 固定外周部材
120 曲面
13 可動外周部材
16、17 ギヤ盤
18 軸ボルト
19 回転軸
2 固定軸管
20 封鎖板
21 流通口
22 流通口
27、28 軸受板
29 取着具
M 低速モーター
b ベルト
3 回動装置
30 制御アーム
31 ローラー
32、33 係止ピン
34 引っ張りバネ
35 ナット具
36 調整ボルト
37 ガイド片
f 洗浄液流通部
f1、f2、f3 流通部
F 海苔混合液流通部
F1、F2 流通部
t7 底面
4 シール装置
40 ガイド部材
41 圧接部材
42 圧縮バネ
t8 低床部
43 ガイド部材
44 圧接部材
45 圧縮バネ
t9 排水管
5 分離槽
50 瀘過部材
51 排水管
D2 異物分離装置
T3、T4 貯溜槽
S3、S4 液位センサー
1a 分離ドラム
2a 固定軸管
6 回動装置
60 制御アーム
61 ローラー
62、63 係止ピン
64 引っ張りバネ
65 ナット具
66 調整ボルト
67 隙間調整盤
670 孔
671 ガイド片
672 ガイド部
673 長孔
160 スタッドボルト
68、69 ガイド片
f4、f5、f6、f7、f8 流通部
F3、F4、F5、F6 流通部
23 区画板
7a、7b、7c、7d 内部シール部材
8a、8b、8c、8d 外部シール部材
70 固着板
71 摺接板
90 底板
91 ドラム配設口
92 底板
93 通水部
24、24a 流通口
25、25a 流通口
94 栓体
t10 液抜管
Claims (6)
- 生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置であって、
海苔混合液を貯溜する貯溜槽内に設けられ、外周部に所要数のスリット(100)が設けられた分離ドラム(1,1a)と、
上記スリット(100)から海苔混合液を上記分離ドラム(1,1a)内部に吸引する吸引手段と、
上記スリット(100)部分に吸い付けられている異物を取り除く洗浄手段と、
を備えており、
上記吸引手段は、
当該分離ドラム(1,1a)内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記スリット(100)により異物が分離された海苔混合液が流通し、海苔混合液排出側へ通じる海苔混合液流通部(F)を備えており、
上記洗浄手段は、
上記分離ドラム内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記貯溜槽の貯溜部及び上記海苔混合液流通部と区画された、異物排出側へ通じる洗浄液流通部(f)を備えており、
上記スリット(100)が上記海苔混合液流通部(F)にあるときは海苔原藻を通し異物は通さないようスリット幅を調整し、上記スリット(100)が上記洗浄液流通部(f)にあるときはスリット幅を拡げてスリット(100)外部に付着した異物を洗浄により取り除いて上記洗浄液流通部(f)を通じて排出するようにしてあることを特徴とする、
生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置。 - 生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置であって、
海苔混合液を貯溜する貯溜槽内に設けられ、外周部に所要数のスリット(100)が設けられた分離ドラム(1,1a)と、
上記スリット(100)から海苔混合液を上記分離ドラム(1,1a)内部に吸引して、スリット(100)で異物を分離させる一次吸引手段と、
上記スリット(100)から洗浄液を上記分離ドラム(1,1a)外部へ噴出させ、異物を取り除く一次洗浄手段と、
当該一次洗浄手段による洗浄液を上記スリット(100)から上記分離ドラム(1,1a)内部に吸引して、スリット(100)で異物を分離させる二次吸引手段と、
上記スリット(100)から洗浄液を上記分離ドラム(1,1a)外部へ噴出させ、異物を取り除く二次洗浄手段と、
を含んでおり、
上記一次、二次吸引手段は、
当該分離ドラム(1,1a)内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記スリット(100)により異物が分離された海苔混合液が流通し、海苔混合液排出側へ通じる海苔混合液流通部(F)を備えており、
上記一次、二次洗浄手段は、
上記分離ドラム内部に外部との相対位置が変わらないように設けてあり、上記貯溜槽の貯溜部及び上記海苔混合液流通部と区画された、異物排出側へ通じる洗浄液流通部(f)を備えており、
上記スリット(100)が上記海苔混合液流通部(F)にあるときは海苔原藻を通し異物は通さないようスリット幅を調整し、上記スリット(100)が上記洗浄液流通部(f)にあるときはスリット幅を拡げてスリット(100)外部に付着した異物を洗浄により取り除いて上記洗浄液流通部(f)を通じて排出するようにしてあることを特徴とする、
生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置。 - 分離ドラム(1,1a)は、
軸周方向へ間隔をおいて軸方向と平行に複数設けられた固定外周部材(12)と、
当該固定外周部材(12)間に設けられ、軸方向と平行に設けられた軸を中心として回動するようにしてある可動外周部材(13)と、
を備えており、
上記可動外周部材(13)を回動させることにより上記固定外周部材(12)と上記可動外周部材(13)間のスリット(100)を拡縮調整するようにしてあることを特徴とする、
請求項1または2記載の生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置。 - 分離ドラム(1,1a)は固定軸管(2,2a)を軸として軸周方向へ回転するようにしてあり、
上記固定軸管(2,2a)の内部には、
上記洗浄液流通部(f) を構成する導液部と、
当該導液部と区画され、上記海苔混合液流通部(F)を構成する排液部と、
を備えており、
上記固定軸管(2,2a)と上記分離ドラム(1,1a)内面の間には上記分離ドラム(1,1a)の回転ができるようにして設けられた区画部材によって上記海苔混合液流通部(F)と区画され上記導液部と通じる洗浄内部が設けてあり、
上記分離ドラム(1,1a)外面と上記貯溜槽の壁面の間には上記分離ドラム(1,1a)の回転ができるようにして設けられた区画部材によって上記貯溜槽の貯溜部と区画された洗浄外部が設けてあることを特徴とする、
請求項1、2または3記載の生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置。 - 生海苔の異物除去装置であって、
海苔混合液を供給する供給手段と、
供給された海苔混合液に含まれる異物を分離する請求項1、2、3または4記載の生海苔を含む海苔混合液から異物を分離する装置と、
異物が分離された海苔混合液を送給する送給手段と、
を備えていることを特徴とする、
生海苔の異物除去装置。 - 送給手段の経路に、海苔混合液を貯溜する貯溜タンクが設けてあり、当該貯溜タンクは内部が減圧されていることを特徴とする、
請求項5記載の生海苔の異物除去装置。
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