以下、この発明の一実施形態に関して図面を参照して説明する。なお、説明を明確とするために
(A)この発明によるディジタルVCRについて
(B)パック構造について
(C)メモリ付カセットの構成について
(D)MICのデータ構成について
(E)カセットの判別について
(F)イベントについて
(G)イベントの発生及び消去について
(H)複数のテキストイベントを記録する場合について
の順に説明を行なうこととする。
(A)この発明によるディジタルVCRについて
図1は、この発明によるディジタルVCRのブロック図である。この発明が適用されたディジタルVCRは、ビデオ信号をディジタル化し、DCT変換により圧縮し、回転ヘッドにより磁気テープに記録するものである。
まず、記録時について説明する。図1において、アンテナ1で、テレビジョン放送が受信される。このアンテナ1の受信信号がチューナ部2に供給される。チューナ部2には、コントローラ10からチャンネル設定信号が供給される。コントローラ10には、入力装置11からチャンネル設定入力が与えられる。このチャンネル設定信号に基づいて、受信されたテレビジョン放送から所望のチャンネルの受信信号がチューナ部2により選択される。また、チューナ部2で、選択されたテレビジョン放送のビデオ信号及びオーディオ信号が復調される。
チューナ部2は、得られたコンポジット信号を、例えば輝度信号Yと色差信号R−Y及びB−Yとからなるコンポーネントビデオ信号に変換して出力する。このビデオ信号がA/D変換部3に供給される。A/D変換部3で、このビデオ信号がディジタル化される。A/D変換部3の出力がデータブロック化部4に供給される。データブロック化部4で、例えば8・8のブロックにブロック化され、シャフリング等の処理が行われる。データブロック化部4の出力が圧縮符号化部5に供給される。
圧縮符号化部5は、ブロック化されたビデオ信号をDCT変換し、さらに例えば2次元ハフマン符号を用いて可変長符号化し、所定のバッファ単位の符号量が所定量以下となるように量子化する。圧縮符号化部5の出力はデータ付加部6に供給される。データ付加部6には、予備データ形成部33から出力されたVAUX(Video Auxiliary)データが供給される。このVAUXデータは、チャンネル番号、モノクロ/カラー、ソースコード、チャンネルカテゴリーや、記録時間、記録年月日等の予備データである。このような予備データであるVAUXデータを形成するために、予備データ形成部33には、コントローラ10から種々のデータが供給される。データ付加部6で、圧縮符号化部5から出力されたビデオデータに対してVAUXデータが付加される。そして、積符号構成のエラー訂正用パリティが付加される。このようにVAUXデータ及びパリティが付加されたビデオデータがデータ合成部12に供給される。
また、チューナ部2からは、オーディオデータが出力される。このオーディオデータは、A/D変換部8に供給される。A/D変換部8で、このオーディオデータがディジタル化される。A/D変換部8の出力がデータ付加部9に供給される。データ付加部9には、予備データ形成部33から出力されたAAUX(Audio Auxiliary)データが供給される。AAUXデータは、2チャンネル/4チャンネル、サンプリング周波数、エンファシスの有無や、記録時間、記録年月日等の予備データである。データ付加部9で、オーディオデータに対してAAUXデータが付加される。そして、積符号構成のエラー訂正用のパリティが付加される。このように、AAUXデータ及びパリティが付加されたオーディオデータがデータ合成部12に供給される。
更に、サブコード形成部13が設けられる。サブコードは、サーチ用のデータで、タイムコードやトラック番号等及びそれらを保護するパリティからなる。このサブコード形成部13からのサブコードがデータ合成部12に供給される。データ合成部12により、データ付加部6からのビデオデータと、データ付加部9からのオーディオデータと、サブコード形成部13からのサブコードデータとが合成される。データ合成部12の出力がP/S(パラレル/シリアル) 変換部14に供給される。P/S変換部14において、テープ上に記録するためにパラレルデータがシリアルデータ化された後、データ整形部15に供給される。データ整形部15で、記録データを例えば24−25変調(24ビットのデータを25ビットに変換して記録する変調方式)して、直流成分を取り除いた後、イコライザー回路でテープ特性に合わせて周波数特性を変更する。データ整形部15の出力が記録アンプ17a及び17b、スイッチ18a及び18bを介して、ヘッド19a及び19bに供給される。スイッチ18a及び18bは、記録時と再生時とで切り換えられる。ヘッド19a及び19bにより、磁気テープ(図示せず)に、圧縮されたビデオデータと、オーディオデータと、サブコードデータとが記録される。
次に、再生時について説明する。テープの記録データは、ヘッド19a及び19bで再生され、スイッチ18a及び18bを介して、再生アンプ20a及び20bにそれぞれ供給される。再生アンプ20a及び20bの出力がスイッチ21に供給される。スイッチ21には、ヘッド切り換え信号が供給される。スイッチ21の出力がデータ復元整形部22に供給される。データ復元整形部22により、記録側イコライザー回路の逆特性をかけ、元の周波数特性に戻す。これにより、メカのジッター成分を含んだ再生データが復調される。このデータ復元整形部22の出力がTBC(Time Base Corrector)23に供給される。TBC23で、再生データの時間軸を補正して、メカのジッター成分を取り除いた後、例えば24−25逆変換を施す。TBC23の出力がデータ分離部24に供給される。
データ分離部24では、まず入力されたシリアルデータを8ビットのパラレルデータに変換した後、再生データを、ビデオデータとオーディオデータとサブコードデータとに分離する。データ分離部24からのビデオデータは、データ分離部25aに供給される。データ分離部25aに供給されたビデオデータ中には、VAUXデータが付加されている。データ分離部25aで、このパリティを用いてエラー訂正処理を行い、実ビデオデータとVAUXデータとを分離する。実ビデオデータは、データ復号部27に供給される。そして、分離されたVAUXデータは、予備データ再生部31aに供給される。予備データ再生部31aで、VAUXデータが再生される。再生されたVAUXデータは、コントローラ10、データ復号部27、データ復元部28に供給され、復号部及び復元処理部のコントロールデータとして用いられる。
データ復号部27は、再生データに対して、2次元ハフマン符号の復号、逆量子化及び逆DCTを行って、圧縮ビデオデータの伸長処理を行う。データ復号部27の出力がデータ復元部28に供給される。データ復元部28では、デブロック処理やデシャフリング処理が行われる。データ復元部28からは、輝度信号Yと色差信号R−Y及びB−Yからなるディジタルコンポーネントビデオデータが出力される。このディジタルコンポーネントビデオデータがD/A変換部29aに供給される。D/A変換部29aで、このディジタルコンポーネントビデオデータがアナログコンポーネントビデオデータに変換される。そして、このアナログコンポーネントビデオデータが出力端子30aから出力される。コンポジット信号を出力する場合には、輝度信号Y、色差信号R−Y及びB−Yを合成し、同期信号を付加して出力する。また、データ分離部24からのオーディオデータは、データ分離部25bに供給される。データ分離部25bに供給されたオーディオデータ中には、AAUXデータ及びパリティが付加されている。データ分離部25bで、このパリティを用いてエラー訂正処理を行い、実オーディオデータとAAUXデータとを分離する。オーディオデータは、データ再生処理部32に供給される。分離されたAAUXデータは、予備データ再生部31bに供給される。付随データ再生部31bで、AAUXデータが再生される。このAAUXデータは、コントローラ10及びデータ再生処理部32に供給される。
データ再生処理部32は、オーディオデータの再生処理を行う。このオーディオデータの再生処理には、予備データ再生部31bで再生されたAAUXデータがコントロールデータとして使用される。このオーディオデータ再生処理部32からは、ディジタルオーディオデータが出力される。このディジタルオーディオデータがD/A変換部29bに供給される。D/A変換部29bでは、ディジタルオーディオデータがアナログオーディオデータに変換される。そして、このアナログオーディオデータが出力端子30bから出力される。
この発明が適用されたディジタルVCRでは、このように、ビデオデータに対して付加データであるVAUXデータが付加され、オーディオデータに対して付加データであるAAUXデータが付加される。このVAUXデータ及びAAUXデータから、コントロール情報や記録時間、記録年月日の情報等を得ることができる。また、サブコード情報から、タイムコードやトラックの絶対番号の情報等を得ることができる。さらに、テープを収納するカセットには、メモリ(MIC(Memory In Cassette) )が設けられているものがある。これをメモリ付カセットと呼ぶ。メモリ付カセット内のメモリには、テープ長、テープ厚、テープ種類等のテープ自身の情報と共に、TOC(Table Of Contents )情報、インデックス情報、文字情報、再生制御情報、タイマー記録情報等を記憶しておくことができる。このカセット内のメモリ34は、コントローラ10に接続される。このカセット内のメモリを使用することにより、所定のプログラムにスキップしたり、プログラムの再生順を設定したり、所定のプログラムの場面を指定して静止画(フォト)を再生したり、タイマー記録したりすることが可能となる。
(B)パック構造について
前述したように、オーディオセクタにおいてAAUXデータが記録され、ビデオセクタにおいて前半2シンクブロックとVAUXデータとが記録される。このAAUXデータ及びVAUXデータは、5バイトの固定長ブロックとして「パック」単位で構成される。更に、サブコード及びMICのデータについても、「パック」単位で構成される。パックとは、データグループの最小単位のことであり、関連するデータを集めて1つのパックが構成される。なお、MICのテキストに関して(後述)は、可変長パック構成となっている。図2にパックの基本構成を示す。第1のバイト(PC0)は、データの内容を示すヘッダー、第2のバイト(PC1)から第5のバイト(PC4)がデータである。
図3は、ヘッダーの階層構造を示す。ヘッダーの8ビットは、上位4ビットと下位4ビットとに分割される。上位4ビットを上位ヘッダー、下位4ビットを下位ヘッダーとして二階層構造とされる。なお、データのビットアサインによりその下の階層まで、必要に応じて拡張可能である。このように階層構造とすることにより、パックの内容は明確に系統だてられ、その拡張も容易である。そして、この上位ヘッダー、下位ヘッダーによる256の空間は、パックヘッダーテーブルとして、その各パックの内容と共に準備される。図4は、VTR用のパックヘッダーテーブルである。上述のように、パックヘッダーテーブルは、256の空間からなる。パックヘッダーテーブルは、横方向に上位ヘッダが0000から1111まで並べられ、それぞれコントロール、タイトル、チャプタ、パート、プログラム、AAUX、VAUX、業務用カメラ、ライン、ソフトモードとなっている(1001〜1110はリザーブ)。そして、縦方向に下位ヘッド0000〜1111まで並べられている。個々のパックについての説明は省略するが、後の説明でいくつかのパックについて説明する。
(C)メモリ付カセットの構成について
ところで、上述のディジタルVCRでは、メモリ付のカセットと端子基板付のカセットとを用いることができる。図5には、これらのカセットの外観図が示される。カセットには、2種類の大きさのものがある。図5Aは小型カセット41aの正面図を、図5Bは小型カセット41aの側面図を、図5Cは大型カセット41bの正面図を、図5Dは大型カセット41bの側面図をそれぞれ示す。小型カセット41aは、カメラ一体型VCR等に用いて好適なものである。なお、カセット41a及び41bの基本的構造は同様のものである。
カセット41a及び41bには、リール軸挿入口42a及び42bが設けられる。このリール軸挿入口42にリールが配置され、このリールに磁気テープが巻回される。カセット41a及び41bがVCRに装填されると、その長手方向の一面に設けられたテープ保護シャッタ43a及び43bが開かれ、カセット41a及び41bからテープが引き出される。カセット41a及び41bの1つの隅には、基準孔44a、44b及び誤消去防止孔45a、45bが設けられる。カセット41a及び41bの側面には、複数の端子46a及び46bが設けられ、また、各端子46a及び46bに対応した臨ませ孔(端子を外方に臨ませるための開孔)が設けられる。この臨ませ孔から、カセット41a及び41b内に搭載されるメモリ基板47(図5E)や端子基板50(IDB(ID Board))(図5F)の端子48a〜49dが露出するようになっている。MIC49は、EEPROMのみ、またはEEPROMとフラッシュメモリの組合せで構成され、このMICにカセットの固有情報が記録される。VCR側にも端子46a及び46bに対応する端子が設けられており、これらの端子を介して、カセット固有の情報(テープ長、テープ残量、使用回数、レンタルテープであるか否か、TOC等)がVCRにより読み出され、その情報表示や動作制御が行われる。
また、端子基板IDBが搭載されたカセットには、図5Fに示すような端子基板IDBが搭載されている。このIDB上には、図5Eに示すMICと同じように、例えば4つの端子49a〜49dが設けられている。そして各端子は、GNDとショート、GNDと抵抗を介して接続またはオープンのいづれかの状態とされている。図5Fでは、GND端子49aと端子49cがショートされ、端子49bと49dがオープンとされている。そして、VTR側からは、端子49b、49c、49dに電源電圧を供給し、端子49aとGNDを接続する。また、VTR側では、端子49b、49c、49dの各端子の電圧を検出し、この電圧値のパターンによってカセット固有情報(テープ厚、テープの種類、テープグレード)を読み出すことができるようになっている。ここで、テープの種類とは、蒸着テープや塗布型テープ等のことであり、テープグレードとは、民生用VTR用、コンピュータストリーマ用等ということである。IDBは、MIC読み取り端子を従来の8ミリVTRのカセットレコグニションホールと同じ役目をせさるものである。
(D)MICのデータ構成について
図6はMICのデータ構成を示すものである。MICのデータ構造は、メインエリア、オプショナルエリア及び未使用領域からなる。MIC内のデータ領域は、メインエリアとオプショナルエリアに分割されており、先頭の1バイトを除いて全てパック構造で記述される。テキストデータだけは、可変長のパック構造で、それ以外はVAUXデータ、AAUXデータ、サブコードと同じ5バイト固定長のパック構造で格納される。MICのメインエリアの先頭アドレス0には、MICのアプリケーションIDであるAPM(Application ID of MIC)3ビットとBCID(Basic Cassette ID)5ビットがある。APMはMICのデータ構造を規定するものであり、この3ビットが例えば「111」の場合には、新品のカセットテープであることを示す。従って、工場出荷時には、APM=111として出荷する。また、「000」の場合には、記録済のカセットテープであることと、図4に示されたパックヘッダーテーブルのパックを使用し、図6のようなデータ構造を取ることを示す。BCIDは基本カセットIDである。BCIDは、端子基板付カセットでのID認識(テープ厚、テープ種類、テープグレード)用のIDBと同じ内容である。
アドレス0000h以降は、順に、カセットID、テープ長、タイトルエンドの3パックが記録される。カセットIDパックには、テープ厚のより具体的な値とMICに関するメモリ情報が存在する。テープ長パックは、テープメーカーがそのカセットのテープ長をトラック本数で格納するもので、これと次のタイトルエンドパック(記録最終位置情報、絶対トラック番号で記録)から、磁気テープの残量を計算できる。また、この記録最終位置情報は、再生を途中で終了して元の最終記録位置に戻る時やタイマー予約時に便利な使い勝手を提供するものである。
図7はカセットIDパック、図8はテープ長パック、図9はタイトルエンドパックの構成をそれぞれ示す。図7に示されるカセットIDパックは、ヘッダが「00000000」の時に規定される。PC1には、ME(MIC ERROR)、マルチバイト、メモリタイプが記される。マルチバイトは、1回のマルチバイト書き込みサイクルで書き込み可能とされる最大ワード数を示し、「000」では4バイト、「001」では8バイト、「010」では16バイトが書き込み可能とされる。その他は予備である。メモリタイプは、「00」ではEEPROMを、「01」ではFe(Integrated Ferroelectronic)RAMを、その他は予備をそれぞれ示す。PC2の上位4ビットではスペース0のメモリサイズが、下位4ビットではスペース1における最終バンクのメモリサイズが記される(スペース0とスペース1については後述する)。スペース0のメモリサイズ及びスペース1における最終バンクのメモリサイズは、「0000」では256バイト、「0001」では512バイト、「0010」では1Kバイト、「0011」では2Kバイト、「0100」では4Kバイト、「0101」では8Kバイト、「0110」では16Kバイト、「0111」では32Kバイト、「1000」では64Kバイト、その他は予備である。PC3にはスペース1のメモリバンクナンバー、即ち、スペース1におけるメモリバンクの総数が記される。PC4には、テープ厚が記される。上位4ビットにはテープ厚の1の位の数字が、下位4ビットにはテープ厚の小数点第1位の数字がそれぞれ定義される。
図8に示されるテープ長パックは、ヘッダーが「00000001」の時に規定される。このパックには、テープの最終絶対トラック番号が記される。
図9に示されるタイトルエンドパックは、ヘッダーが「00011111」の時に規定される。このパックでは、最終記録位置を示すトラック番号データが示される。PC1のLSBには、ブランクフラグBFが記される。PC4には、モードフラグSL及びMICのみに有効なフラグRE(Recording proofed events Exist) が記される。ブランクフラグが1の時には、テープトップから最終記録位置まで絶対トラック番号が連続していることを示し、ブランクフラグが0の時にはテープトップから最終記録位置までの途中で何らかの原因で絶対トラック番号が連続していない箇所があることを示す。モードフラグSLが0の時にはLPモード、1の時にはSPモードとされる。また、REが0の時には消去したくない記録内容が存在することを示し、1の時には消去したくない記録内容が存在しないことを示す。
オプショナルエリアは、オプショナルイベントで構成される。メインエリアがアドレス0から15まで16バイトの固定領域だったのに対し、オプショナルエリアはアドレス16以降にある可変長領域とされる。その内容により領域の長さが変わり、イベント(後述)消去時にはアドレス16方向に残りのイベントを詰めて保存する。詰め込み作業後、不要となったデータに全てFFhを書き込んで未使用領域とする。オプショナルエリアは、選択的な領域であり、主としてTOCやテープ上のポイントを示すタグイベント情報、それにプログラムに関する名称等の文字情報等が格納される。
イベントとは、MICに記録される個々の情報単位(例えば記録した1番組についての情報)である。イベントは、メインイベントとオプショナルイベントとからなる。メインイベントは、アドレス0からアドレス16までのメインエリアに記録され、アプリケーションID、BCID、カセットIDパック、テープ長パック及びタイトルエンドパックからなる。オプショナルイベントは、アドレス17以降のオプショナルエリアに記録され、TOC情報、インデックス情報、文字情報、再生制御情報、タイマー記録情報等からなる。
図10は、MICのオプショナルエリアに記録されるオプショナルイベントを示す。オプショナルイベントはイベントヘッダーで開始され、次のイベントヘッダーまたは情報なしのパックの前で終了する。オプショナルイベントは、単純な定義だけでその内容が固定とされているわけではなく、その内容をセット毎にある程度メーカーが自由に選択できるものである。
オプショナルエリアの始めの部分には、メーカーズオプショナルイベント(各メーカーが独自に記録するイベント)及びテキストイベント(イベントに対応する文字情報)以外のイベント(例えば、1つの番組の録画開始位置と録画終了位置を記録したプログラムイベント等)が記録され、その後、テキストイベント、メーカーズオプショナルイベントが記録される。なお、テキストイベントは、メーカーズオプショナルイベントがある時にはその直前に、一方、ない時にはその他の全てのイベント(例えばゾーンイベントやプログラムイベント等)の最後尾に位置される。これにより、プログラムイベントの挿入及び消去に伴った文字情報の付加または削除のデータ処理を容易に行うことが可能になる。
プログラムイベントには、そのプログラムイベントに関する文字情報がMIC内にあるか否かを示すテキストフラグがある。テキストフラグが例えば「0」の時にはテキストイベントが存在し、「1」の時にはテキストイベントが存在しないことを示す。テキストイベント及びメーカーズオプショナルイベント以外の全てのオプショナルイベント(例えばプログラムイベント、タグイベント等)は、オプショナルエリア内に混在して記録可能とされる。さらに、TOC情報は発生した順に記録され、磁気テープ上の順とは異なっていても良いとされる。
図11は、MICのメモリマップを示す。MICのメモリ空間は、スペース0及びスペース1からなる。スペース0はEEPROMやFeRAMで構成され、TOCのような比較的少ない量のデータが、SPACE1は大容量のメモリ(例えばフラッシュメモリ)で構成され、静止画データのような大容量のデータがそれぞれ記録される。また、このメモリは全体としてバンク構造となっている。スペース1のメモリでは、高速アクセス性を高めるために、例えば16Kバイト一括記録再生のような構成をとる。なお、スペース0だけのMICでも良い。
ところで、各バンクは、64kバイトの容量を有し、最高で256バンクまでを構成することができる。従って、メモリスペースの最大の大きさは128Mビットとなる。なお、スペース0に用いられるメモリはEEPROMやFeRAMのみが可能である。また、スペース1に用いられるメモリは、フラッシュメモリに限定されるものではなく、大容量であるならば他のメモリを使用することも可能である。このような構成とすることにより、スペース0だけのMIC付カセットのみを扱うVTRは、スペース0とスペース1とを設けたMIC付カセットの処理のためのバッファメモリを設ける必要がなくなる。
また、図11において、横方向に付されているのはバンクのアドレスであり、縦方向に付されているのは各バンクにおけるメモリアドレスである。スペース0のデータ構造は、上述の図6のようになっている。
(E)カセットの判別について
カセットには、上述のMIC付カセットの他に、端子基板付カセットがある。このようなカセットでは、前述の認識用のIDBが設けられている。また、MIC付カセットに対応しておらず、IDB付カセットのみに対応可能のVCRがある。このようなIDB付カセット専用のVCRにMIC付カセットが装填された時、カセット自体に関する情報(テープ長、テープ厚、テープの種類、テープグレード等)は、互換性の問題からどの機種でも読み出し可能となることが望まれる。このため、IDB付カセット専用のVCRでも、MIC付カセットのBCID情報だけは得られるようにしなければならない。
そこで、図12に示されるような、カセット情報を判別するための回路が設けられている。図12Aは、IDB付カセットが装填された場合を示す。IDB付カセット51には、例えば4つの端子53a、53b、53c及び53dを有するIDB52が設けられる。IDB52は、VCRに接続される。これにより、端子53aが端子54aに、端子53bが端子54bに、端子53cが端子54cにそれぞれ接続されると共に、端子53dが接地される。
端子54aは、抵抗55aを介して電源60に接続されると共にレベル検出部59aに接続される。抵抗55aには、その両端を端子とするスイッチ56が設けられる。端子54bは、クロックジェネレータ57とレベル検出部59bとに接続されると共に、抵抗55bを介して電源60に接続される。端子54cは、シリアルインタフェース58とレベル検出部59cとに接続されると共に、抵抗55cを介して電源60に接続される。なお、クロックジェネレータ57は、シリアルインタフェース58及びコントローラ10に接続される。各レベル検出部59a、59b及び59cは、コントローラ10に接続される。コントローラ10からスイッチ56へスイッチ制御信号が供給される。
IDB付カセット51が装填されると、その電圧検出がなされる。即ち、IDB52内に設けられている端子間に適当な抵抗が接続されたり、端子間がショートまたは開放されることにより、電圧検出が行われる。この検出された電圧により、表1に示すような識別がなされる。
表1からもわかるように、レベル検出部59aで検出された電圧値によってテープの厚さが識別される。同様に、レベル検出部59bでは、テープの種類が識別され、レベル検出部59cによりテープグレードが識別される。これらのIDBの識別データは、MIC内のBCIDと表1のように対応している。即ち、BCIDは、図14に示すように、5ビットからなり、上位1ビットは、テープの厚さを示し、次の2ビットは、テープの種類を示し、最後の2ビットは、テープグレードを示す。このように、IDBの識別データをMIC内のBCIDに記憶させることにより、IDB付カセットしか対応していないVTRであってもMIC内のBCIDだけを判別できるようにしておけば、互換性を保つことができる。
図12Bは、MIC付カセットが装填された場合を示す。MIC付カセット61には、MIC62が設けられる。また、MIC62内には、EEPROM63が設けられる。さらに、EEPROM63には、例えば4つの端子64a、64b、64c及び64dが設けられる。MIC62は、VCRに接続される。つまり、端子64aが端子65aに、端子64bが端子65bに、端子64cが端子65cにそれぞれ接続されると共に、端子64dが接地される。
端子65aは、抵抗66aを介して電源71に接続されると共にレベル検出部70aに接続される。抵抗66aには、その両端を端子とするスイッチ67が設けられる。端子65bは、クロックジェネレータ68とレベル検出部70bとに接続されると共に、抵抗66bを介して電源71に接続される。端子65cは、シリアルインタフェース69とレベル検出部70cとに接続されると共に、抵抗66cを介して電源71に接続される。なお、クロックジェネレータ68は、シリアルインタフェース69及びコントローラ10に接続される。各レベル検出部70a、70b及び70cは、コントローラ10に接続される。コントローラ10からスイッチ67へスイッチ制御信号が供給される。
MIC62が装填されると、その電圧検出が行われ、各レベル検出部70a、70b及び70cからコントローラ10に出力される信号が全てハイレベルとなる。これにより、コントローラ10からスイッチ67に制御信号が供給され、スイッチ67がオンされる。すると、EEPROM63とコントローラ10との間でシリアル通信が開始され、EEPROM63からコントローラ10にACK信号が供給される。このように情報の送受信を行うことにより、装填されたカセットがレンタルソフトテープか、ユーザ自身で記録したものか等の情報も知ることができると共に、未記録のカセットが装填された場合には、その記録可能時間、また記録済カセットであれば、記録最終位置等の情報も知ることができる。
図13は、装填されたカセットがメモリ付きか否かを検出するための検出アルゴリズムのフローチャートである。ステップ81でスイッチ56または67がオフされ、ステップ82でカセットが装填されたか否かが検出される。装填検出がなされると各端子の電圧検出が行われる(ステップ83)。ステップ84において、各端子からの入力が全て「ハイレベル」ならば、処理はステップ85に進む。ステップ85では、スイッチ67をオンしてEEPROM63に電源を供給し、コントローラ10によりEEPROM63がアクセスされる(ステップ86)。ステップ87において、EEPROM63からACK信号が返されると、コントローラ10は、装填されたカセットをMIC付カセットであると判別する(ステップ88)。そして、カセット判別処理が終了する。
一方、ステップ84において、各端子からの出力が全て「ハイレベル」ではない場合(任意の1つの端子から「ローレベル」が出力された場合)、装填されたカセットはIDB付カセットであるとコントローラが判別(ステップ89)して、カセット判別処理が終了される。また、ステップ87において、ACK信号が返されない場合、ステップ89の処理が行われる。これらの処理の後にMIC内のデータ読み出しや、IDBの識別データ認識等の処理が行われる。
図14は、新品のカセットテープにおけるVCR用のMICの内容(スペース0(EEPROM))を示す。前述のように、新品のカセットテープには、メーカーにより「111」がAPMに記録される。また、BCID、カセットIDパック、テープ長パック及びタイトルエンドパックがカセット製造メーカーにより予め記録される。なお、カセットIDパックはアドレスの1〜5番地に、テープ長パックはアドレスの6〜10番地に、タイトルエンドパックはアドレスの11〜15番地にそれぞれ記録される。VCRにカセットテープが装填されると、マイクロコンピュータにより、アドレス1番地及び6番地の情報が読み出される。これらの番地の情報は固定(アドレス1は00h、アドレス6は01h)なので、ここを読み出して正しいデータか否かを判断することにより、通信ラインの良否をチェックすることができる。なお、これらの仕組みは、コンシューマー用ディジタルVTRだけでなく、8mmビデオ等のアナログVTRにもパック構造を含めてそのまま応用することができる。
図15は、新品のカセットテープにおけるVCR用以外の例えばコンピュータ用ストリーマーカセットのMICの内容(スペース0(EEPROM))を示す。図15では、アドレス1番地の情報が「00h」ではない。このため、装填されたカセットテープがVCR用のものではなく、例えばコンピュータ用ストリーマカセットであることが判別される。
図16は、民生用ディジタルVCRのAPMの認識及び記録に関するフローチャートである。カセットテープが装填されると(ステップ91)、MICのアドレス1番地が「00h」であるか否かが判別される(ステップ92)。アドレス1番地が00hならばVCR仕様のカセットテープとされ、ステップ93でアドレス0番地のAPMが「111」であるか否かが判別される。APM=111ならば、記録開始か否かが判別され(ステップ94)、ステップ95において、記録が開始されると共に、APMが「000」と記録される。
ステップ92において、MICのアドレス1番地が「00h」でないと判別されると、ステップ96で警告やイジェクト等の処理が行われる。
ステップ93において、アドレス0番地のAPMが「111」でないと判別されると、ステップ97でアドレス0番地のAPMが「000」であるか否かが判別される。APMのアドレス1番地=000の時には、ステップ98でMICの内容を読み出してMICマップが形成される。一方、「000」でない時は、ステップ96で警告等がなされる。
ステップ94において、ユーザの指示が記録開始でないと判別されると、カセットテープのイジェクト指示か否かがステップ99で判別され、ステップ100でイジェクトの処理がなされる。この時には、APM=111のままである。一方、イジェクト指示以外では、処理はステップ94に戻される。
(F)イベントについて
イベントとは、MIC内に記録されるデータの単位であり、各メーカーがメインエリアに必ず記録しなければならないメインイベントと、必ず記録しなくても構わないが互換性の点から各メーカーで共通でありオプショナルエリアに記録されるオプショナルイベントとがある。また、各メーカーが独自に定めたメーカーズオプショナルイベントもオプショナルエリアに記録可能となっている。この様子を図17に示す。なお、メインイベントについては、前述した通りである。オプショナルイベントには、タグイベント、ゾーンイベント、タイトルイベント、チャプターイベント、パートイベント、プログラムイベント、タイマー予約イベント及びテキストイベントがある。
タグイベントは、テープ上の一点の位置を指定するものであり、インデックスサーチ、コマーシャルスキップ、静止画サーチ等に用いられる。
ゾーンイベントは、テープ上の範囲(ゾーン)を指定するものであり、ゾーンを繰り返し再生したり、ゾーンを逆転再生したりする時等に用いられる。
タイトルイベント、チャプターイベント、パートイベント及びプログラムイベントは、図18に示すように階層構造となっている。即ち、これらのイベントは、記録内容の記録開始位置と終了位置とを示すものであり、タイトルイベントは、テープ全体に関するものであり、ソフトテープとユーザーテープに共通である。
チャプターイベントとパートイベントは、ソフトテープで用いられるものであり、図18に示すように、チャプターは章に相当し、一方、パートは場面に相当する。
プログラムイベントは、ユーザーテープで用いられるものであり、図18に示すように、例えば連続ドラマの第1話、第2話、第3話に相当する。
タイマー予約イベントは、MIC内にタイマー予約情報を記録するものである。テキストイベントは、上記のような各イベントに関する文字情報である。各イベントは、イベントヘッダーパックから始まり、次のイベントヘッダーの前のパックまたは情報なしパック(パックヘッダー11h)で終わる。
図19に各イベントのイベントヘッダーパック名とそのパックヘッダーを示す。タグイベントは、タグパック(パックヘッダー0Bh)で始まる。ゾーンイベントもタグパックで始まる。タイトルイベントは、タイトル開始パック(パックヘッダー1Bh)で始まる。チャプターイベントは、チャプター開始パック(パックヘッダー2Bh)で始まる。パートイベントは、パート開始パック(パックヘッダー3Bh)で始まる。プログラムイベントは、プログラム開始パック(パンクヘッダー4Bh)で始まる。タイマー予約イベントは、タイマー記録日パック(パックヘッダー02h)で始まる。テキストイベントは、テキストヘッダーパック(パックヘッダー・8h)で始まる。テキストヘッダーは、図4にも示す通り、どの大アイテムに属するかにより9種類設けられている。メーカーズオプショナルイベントは、メーカーコードパック(パックヘッダーF0h)で始まる。
これらパックヘッダーの下位ビットは、図19の網かけした部分を除いて、上述からも明らかなように、1011(16進のB)となっている。つまり、パックヘッダー表(図4参照)の中の「Bh」がイベントヘッダーになる。タイマー予約、テキスト及びメーカーズオプショナル以外の例外は認められず、新規に登場するイベントヘッダーは必ず下位4ビットをBhとする。これにより、もし将来的に新しいイベントヘッダーが登場しても、現状のコントロールプログラムでそれを識別できるので、何ら問題はない。
また、メーカーズオプショナルイベント及びテキストイベント以外のイベントヘッダーパック内には、必ずそれに付随するテキストイベントの有無を示すためのテキストフラグが存在する。
上述からもわかるように、基本的に、イベントヘッダー中の各パックヘッダーの下位4ビットは「Bh」である。図4のヘッダーテーブルを参照すると、下位4ビットが「Bh」の場合の各内容と、下位4ビットが「Ah」の場合の各内容とは同一のものとされる。また、下位4ビットが「Eh」の場合の各内容と、下位4ビットが「Fh」の場合の各内容とは同一のものとされる。これは、絶対トラック番号を採用しているVTRフォーマットの場合には、下位4ビットが「Bh」及び「Fh」のものを用い、8mmビデオテープ等の絶対トラック番号を採用しておらず、タイムコードを採用しているVTRフォーマットの場合には、下位4ビットが「Ah」及び「Eh」のものを用いる。即ち、下位4ビットが「Bh」及び「Fh」のパックには、絶対トラック番号とテープ位置を記録するようになされており、下位4ビットが「Ah」及び「Eh」のパックには、タイムコードでテープ位置を記録するようにしてある。
一例として、図20にプログラムスタートパック(A及びB)とプログラムエンドパック(C及びD)を示す。図20Aに示したのは、パックヘッダーが4Ahであり、プログラム開始点の時分秒フレーム数がバイナリーコードで記録される。図20Bに示したものは、パックヘッダーが4Bhであり、プログラム開始点が絶対トラック番号で記録される。図20Cはパックヘッダーが4Ehであり、プログラム終了点の時分秒フレーム数がバイナリーコードで記録される。図20Dに示したものは、パックヘッダーが4Fhであり、プログラム終了点が絶対トラック番号で記録される。
なお、図20Bの「テキスト」というフラグが上述のテキストイベントの有無を示すテキストフラグであり、図20DのTNTには、テキストイベント数がいくつあるかという情報が記録される(これについては後述する)。その他のフラグについては、本願とは直接関係ないので説明を省略する。
このように、下位4ビットの1ビットを変えるだけで8mmビデオ等のタイムコードしか有さないVTRフォーマットにも共通のパックヘッダーテーブルを用いることができる。従って、8mmビデオカセットやVHSビデオカセットにメモリを搭載しても同じパックヘッダーテーブルを使えるので、マイコンのソフトプログラムを共用できる利点がある。
(G)イベントの発生及び消去について
以下、オプショナルイベントの発生及び消去に関して図21から図25を用いて説明する。なお、テキストイベントは、メーカーズオプションがない場合には最後尾に位置される。また、ゾーンイベントやプログラムイベントよりも後ろ(最後尾)に位置される。そして、付随するテキストイベントがあるか否かを示すテキストフラグが各イベントヘッダーパックに付される。イベント消去時には、上位アドレスの方向に詰められ、詰め込み作業後、不要となったデータは、FFhが書き込まれて未使用とされる。各図のパックの横に付される数0または1は、テキストがあるか否かを示すテキストフラグであり、0の時にテキストあり、1の時にテキストなしを示す。
図21は、タイマー予約、プログラムイベント発生及びインデックスイベント発生に関してMIC内の様子を示したものである。なお、プログラムイベントは、上述したように、記録した番組の開始及び終了位置等の情報に関するイベントのことである。初期状態として、順に、プログラムイベント1(P1)、プログラムイベント2(P2)、タイマー予約イベント1(T1)、プログラムイベント1のテキスト(P1テキスト)、タイマー予約イベント1のテキスト(T1テキスト)が記憶される(図21A)。このように、テキストイベントは、プログラムイベントやタイマー予約イベントの後ろにまとめて記録される。このような状態からタイマー予約イベント2が新たに発生すると、P1テキストとT2テキストのエリアが後ろに移動され、タイマー予約イベントT1とP1テキストとの間にタイマー予約イベント2(T2)のエリアが確保される(図21B)。そのエリアにタイマー予約イベントT2が追加される(図21C)。さらに、タイマー予約イベントT2に関するテキスト(T2テキスト)が最後尾に追加される(図21D)。
さらに、プログラムイベント3が発生し、このプログラムイベント3にテキストがある場合には、P1テキスト、T1テキストとT2テキストのエリアが後ろに移動され、タイマー予約イベントT2とP1テキストとの間に、プログラムイベント3(P3)のエリアが確保される(図21E)。このエリアにプログラムイベントP3が追加される(図21F)。さらに、プログラムイベントP3に関するテキスト(P3テキスト)が最後尾に追加される(図21G)。
また、インデックスイベントが発生し、このインデックスイベントにテキストがない場合には、P1テキスト、T1テキスト、T2テキスト、P3テキストが後ろに移動され、プログラムイベントP3とP1テキストとの間にインデックスイベント1(I1)のエリアが確保される(図21H)。このエリアにI1イベントが記録される(図21I)。
図22は、タイマー予約実行及びプログラムイベント発生に関するものである。図22Aに示す状態から、タイマー予約イベントT2が実行されて録画が行われると、タイマー予約イベントT2がプログラムイベント4に書き換えられる。これに対応して、タイマー予約イベントのテキスト(T2テキスト)がプログラム4のテキスト(P4テキスト)に書き換えられる(図22B)。なお、この書き換えは、ヘッダーを変えるだけで実現できる(後述)。その後、プログラムイベント4を見終わり、これを消去する時には、プログラムイベントP3から後ろのイベントが上位アドレス方向に移動され、プログラムイベントP4が消去される(図22C)。そして、P3テキストが上位アドレス方向に移動され、P4テキストが消去される(図22D)。そして、最後尾にあるP3テキストの後ろがFFhとされる(図22E)。
例えば、毎週同じドラマをタイマー予約録画する連続予約の場合、タイマー予約イベントT1が実行されて録画が行われると、P1テキスト、T1テキスト、P3テキストが後ろに移動され、プログラムイベント5のためのエリアが確保される(図22F)。そのエリアにプログラムイベントP5が追加される(図22G)。P5のテキストであるP5テキストが最後尾に追加される(図22H)。このようにすることにより、タイマー予約イベントT1は消去されずに次週に再びタイマー予約を実行することになる。
図23は、1つのプログラム中に、他のプログラムを記録する場合を示すものである。最初に、テープ上には、プログラム1、プログラム2、プログラム3が順に記録されている。そして、MIC内には図23Aに示すように、プログラム1の記録開始位置S1・記録終了位置E1を記録したプログラムイベント1、プログラムイベント2の記録開始位置S2・記録終了位置E2を記録したプログラムイベント2、プログラムイベント3の記録開始位置S3・記録終了位置E3を記録したプログラムイベント3、プログラムイベント1に関するテキストイベントT1、プログラムイベント2に関するテキストイベントT2、プログラムイベント3に関するテキストイベントT3が順に記録されている。なお、図中、各プログラムイベント枠内の上段には、プログラムの開始位置、下段にはプログラムの終了位置を記入してある。
このような状態で、プログラム1の途中にプログラム4を記録したとする。プログラム4の記録開始位置はS4であり、記録終了位置はE4である。このような記録を行った時には、先ずテキストイベントT1、T2、T3を後ろに移動してプログラム4のエリアを確保する(図23B)。そして、プログラム4の記録開始位置S4・記録終了位置E4を記録したプログラムイベント4を追加する(図23C)。そして、プログラムイベント4のテキストイベントを最後尾に記録する(図23D)この時、プログラムイベント4のテキストフラグをテキスト有り(0)にする。
その後、プログラム1に関するプログラムイベントを訂正する。先ずプログラム4の後ろに残ったプログラム1をプログラム1' とし、このプログラム1' のプログラムイベントのためのエリアを確保する(図23E)。そして、記録開始位置E4・記録終了位置E1を記録したプログラムイベント1’を追加する(図23F)。そして、プログラム1・に関するテキストイベントT1・を最後尾に記録する(図23G)。さらに、プログラムイベント1の記録終了位置をS4に書き換える(図23H)。
図24は、2つのプログラムを跨がって、他のプログラムを記録する場合を示すものである。最初に、テープ上にはプログラム1、プログラム2、プログラム3が順に記録されている。そして、MIC内には図24Aに示すように、プログラム1の記録開始位置S1・記録終了位置E1を記録したプログラムイベント1、プログラム2の記録開始位置S2・記録終了位置E2を記録したプログラムイベント2、プログラム3の記録開始位置S3・記録終了位置E3を記録したプログラムイベント3、プログラムイベント1に関するテキストイベントT1、プログラムイベント2に関するテキストイベントT2、プログラムイベント3に関するテキストイベントT3が順に記録されている。
このような状態で、プログラム1とプログラム2に跨がるようにプログラム4を記録したとする。プログラム4の記録開始位置はS4であり、記録終了位置はE4である。このような記録を行った時には、先ずテキストイベントT1、T2、T3を後ろに移動してプログラム4のエリアを確保する(図24B)。その後、プログラム4の記録開始位置S4/記録終了位置E4を記録したプログラムイベント4を追加する(図24C)。そして、プログラム4に関するテキストイベントを最後尾に記録する(図24D)。この時、プログラムイベント4のテキストフラグをテキスト有り(0)にする。
その後、プログラム1とプログラム2に関するプログラムイベントを訂正する。先ずプログラム1の記録終了位置をS4に書き換える(図24E)。その後、プログラム2の記録開始点をE4に書き換える(図24F)。
図25は、複数のプログラムを跨がって、他のプログラムを記録する場合を示すものである。最初に、テープ上にはプログラム1、プログラム2、プログラム3が順に記録されている。そして、MIC内には図25Aに示すように、プログラム1の記録開始位置S1・記録終了位置E1を記録したプログラムイベント1、プログラム2の記録開始位置S2・記録終了位置E2を記録したプログラムイベント2、プログラム3の記録開始位置S3・記録終了位置E3を記録したプログラムイベント3、プログラムイベント1に関するテキストイベントT1、プログラムイベント2に関するテキストイベントT2、プログラムイベント3に関するテキストイベントT3が順に記録されている。
このような状態で、プログラム1の一部とプログラム2とプログラム3の全てを跨がるようにプログラム4を記録したとする。プログラム4の記録開始位置はS4であり、記録終了位置はE4である。このような記録を行った時には、先ずテキストイベントT1、T2、T3を後ろに移動してプログラム4のエリアを確保する(図25B)。そして、プログラム4の記録開始位置S4・記録終了位置E4を記録したプログラムイベント4を追加する(図25C)。そして、プログラム4に関するテキストイベントを最後尾に記録する(図25D)。この時、プログラムイベント4のテキストフラグをテキスト有り(0)にする。
その後、プログラム1に関するプログラムイベントの訂正とプログラム2とプログラム3のプログラムイベントの消去を行う。先ず、プログラム1の記録終了点をS4に書き換える(図25E)。その後、プログラム2とプログラム3のプログラムイベントを消去する(図25F)。その後、プログラム2とプログラム3に関するテキストイベントを消去する(図25G)。テキストイベントT4以降を全てFFhとする。
上述からもわかるように、オプショナルエリアでは、テキストイベントはその他のイベント(メーカーズオプショナルイベント以外)の後ろに配置され、テキストイベント以外のイベントは、その発生順に並べられ、さらに、各イベントヘッダーには、そのイベントに関する文字情報があるかどうかを識別するフラグが付加される。これにより、MIC上での新規イベントの発生、消去等を単なるメモリのブロック転送で行なうことができる。
ここで、タイマー予約イベントのパック構成を図26を用いて説明する。タイマー予約イベントは、通常、タイマー記録日パック(パックヘッダー02h)とタイマー記録スタート/ストップパック(パックヘッダー03h)とVAUXソースパック(パックヘーダー60h)とで構成される。タイマー記録日パックには、タイマー録画を行う日付や録画モード(SP/LP)等のデータが記録される。タイマー記録スタート/ストップパックには、タイマー記録開始時間及び終了時間が記録される。VAUXソースパックには、タイマー録画を行うチャンネルやチューナーカテゴリー(BS/CS/VHF/UHF)等のデータが記録される。
プログラムイベントは、プログラムスタートパックをイベントヘッダーとし、1つのプログラムイベント内には、テープ上における番組の記録開始点及び終了点の位置を示すプログラムスタートパック及びプログラムエンドパック(図20参照)が必ず存在する。その他の記録年月日やソース情報等の記録を望む場合には、プログラム記録日時パック(パックヘッダー42h)やVAUXソースパック(パックヘッダー60h)を用いて記録される(図27参照)。
(H)複数のテキストイベントを記録する場合について
記録した1つの番組に関する複数の文字情報(番組タイトルや放送局名等)を記録する場合について説明する。プログラムイベント内に必ず使用されるプログラムエンドパック(図20D参照)内に、そのプログラムイベントに対応するテキストイベントがいくつ存在するかという情報TNT(Total Number of TEXT events)を格納するエリアが設けられている。一例として、図27にプログラムイベントの配列を示す。図27において、MICのオプショナルエリアには、プログラムイベント1、プログラムイベント2、プログラムイベント3、プログラムイベント1のテキストイベント、プログラムイベント1のテキストイベント、プログラムイベント1のテキストイベント、プログラムイベント3のテキストイベント、プログラムイベント3のテキストイベント、FFhの順に記録が行われている。
また、プログラムイベント1のプログラムスタートパックには、テキストフラグとして「0」が記録されている。これにより、プログラムエンドパック内のTNTが有効とされる。一方、例えばプログラムスタートパックのテキストフラグが「1」の時(テキストなし)には、プログラムエンドパック内のTNTが無効とされる。プログラムエンドパックには、「TNT=3」が存在する。このTNTで指定された個数分のテキストイベントがプログラムイベント1に対応することになる。これにより、1つのイベントに対して複数のテキストイベントを対応させることができるようになる。従って、記録した1つの番組に対して、番組タイトルや放送局名等といった複数の文字情報を付加することが可能になる。なお、テープ上も同様である。
図28は、図27で実現される処理のフローチャートである。図28において、プログラムスタートパック内のテキストフラグが「0」であるか否かが判断され(ステップ101)、テキストフラグ=「0」ならば、プログラムエンドパック内のTNTが参照される(ステップ102)。TNTに示される個数分のテキストイベントがプログラムイベントに対応付けられ(ステップ103)、処理は終了とされる。一方、ステップ101において、テキストフラグ=1の時には、処理はそのまま終了される。
図29は、TDP=nの時のプログラムテキストヘッダパックを示す図であり、PC2の最下位ビットからPC1の最下位ビットにかけて可変長パックが有するテキストデータ数(TDP)が二進数で示される。PC2の下位2ビットから下位4ビットにかけてはOPN(オプショナルナンバー)が記録され、上位4ビットにはテキストタイプが記録される。OPNは、以下のように使用される。例えば、英国において、アスキーコードで表される£(OPN=000)は、OPNを変えることにより、ドイツでは♯(OPN=001)のように変換される。PC3にはテキストコードが記録される。PC4から順にテキストデータ1、テキストデータ2・・・、PC(n+3)にテキストデータnが記録される。このように、MIC内ではテキストデータのみ可変長パックの使用を認めることにより、メモリ容量を有効に活用することができる。