JP3785643B2 - 輸液装置 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は輸液装置及び送液チューブに係り、特に、薬液を患者の体内に送り込むための輸液装置として、並びに、その構成要素である送液チューブとして好適な構造に関する。
背景技術
病院などにおいて患者に薬液を注入する場合には、薬液袋を吊り下げた状態にして、薬液袋に合成樹脂製の輸液チューブを接続し、輸液チューブの先端に針を取り付けて患者の血管などに挿入する点滴法が一般的に用いられているが、薬液量を精密に制御したい場合や安全性を高めるために薬液を強制的に患者の体内に送り出すように構成された種々の輸液装置が用いられる場合がある。
これらの輸液装置のうち或る種のものには、可撓性の送液チューブをしごくことによって送液チューブ内の薬液を送り出すようにしたペリスタルティック型の輸液ポンプが用いられる場合がある。ペリスタルティック型の輸液ポンプとしては、可撓性の送液チューブを半円状に屈曲させて配置し、送液チューブの屈曲部の内側に設けた回転可能なアームの先端に取り付けられたローラによって送液チューブの屈曲部を内側からしごき、薬液を送り出すように構成されたロータリ式の輸液ポンプと、複数のフィンガ(加圧部材)を送液チューブの薬液送り出し方向に向けて送液チューブの外面に順次押し付けていることにより薬液を送り出すフィンガ式の輸液ポンプとが用いられている。
ロータリ式の輸液ポンプは構造が比較的簡単であるという利点があるが、微量の薬液の送り出し量を精密に制御することが比較的困難であり、また、送り出し部の小形化にも適したものとは言えない。
上記フィンガタイプの輸液ポンプの典型例としては、特公昭61−55393号公報に記載されたものがある。この輸液ポンプは、回転軸に取り付けられた複数枚のカム板のそれぞれにフィンガを係合させ、回転軸の回転に伴うカム板の回転動作によりフィンガを送液チューブに対して出没動作させるように構成したものである。このようなフィンガを用いたペリスタルティック輸液ポンプは、薬液の注入圧を高くすることができ、微量な薬液量に対する制御精度も高いという利点がある。しかし、多数のフィンガを高精度に駆動する必要があるために構造が複雑になり、製造コストの低減が困難であり、また、小形化も難しい。
一方、輸液装置と同等の機能を有するものとしては、合成ゴムなどからなるバルーンの内部に予め薬液を入れておき、バルーンの収縮力により薬液を押し出すように構成したバルーン式輸液器具を用いるものもある。この輸液器具は構造がきわめて簡単であり、安価に製造できるという利点がある。しかしながら、バルーンを用いた輸液器具においては、バルーン内に残っている薬液量によって薬液の吐出圧力が変動し、したがって薬液の供給速度も変動する。具体的には通常、当初圧力に対して輸液時間が経過していくに従って吐出圧力が漸減し、供給量も低下していく。このように薬液の供給圧力及び供給量が変動し、しかも、薬液の供給速度を制御することが困難である。
ところで、医療分野においては、患者の負担を低減するために長時間かけて微量の薬液を投与する必要性があり、長時間の薬液の投与を可能にするためにも携帯型の輸液装置に対する期待がある。携帯型の輸液装置を実現するためには輸液装置の小形化、軽量化の達成が欠かせないが、従来の輸液装置においては良好な携帯性を獲得するに充分な小型化、軽量化のための構造が提案されていない。さらに、微量の薬液を高い精度で患者の体内に投与するための充分な技術的解決が図られていないという問題点もある。
発明の開示
本出願に係る第1の発明は、可撓性の送液チューブと、該送液チューブを一方から支持する支持部材と、前記送液チューブに対して前記支持部材の反対側に隣接し、前記送液チューブの延長方向に対して略平行な回転軸を備えた回転駆動体とを有し、該回転駆動体の外周面上には、前記送液チューブを押圧する1又は複数の押圧突出部を一体的に備え、該押圧突出部は、前記回転駆動体の外周面上において螺旋状に形成され若しくは螺旋状に配列されていることを特徴とする輸液装置である。
本出願に係る第2の発明は、可撓性の送液チューブと、該送液チューブを一方から支持する支持部材と、前記送液チューブに対して前記支持部材の反対側に隣接し、前記送液チューブの延長方向に対して略平行に配列された複数のフィンガとを有し、該フィンガを前記送液チューブに対して作用させて前記送液チューブを押圧するように構成されており、前記フィンガ若しくは前記フィンガを駆動するための駆動部材を加熱若しくは冷却するための熱移動手段を設け、前記フィンガ若しくは前記駆動部材を、前記熱移動手段による熱移動により前記送液チューブを押圧するように変形する熱変形材で構成したことを特徴とする輸液装置である。
本出願に係る第3の発明は、少なくとも部分的な可撓性によって外部応力を受けて変形し、該変形によって内部の薬液を送り出すようにするための送液チューブであって、少なくとも一方が弾性素材若しくは可撓性素材からなる板状部を備えた一対の構成部材を設け、該構成部材の幅方向の両側を相互に接合して接合部を形成し、該接合部の間に画成される前記構成部材間の間隙を液通路として構成したことを特徴とする送液チューブである。
本出願に係る第4の発明は、薬液を加圧する液加圧手段と、該液加圧手段に連結された可撓性の送液チューブと、該送液チューブを一方から支持する支持部材と、前記送液チューブに対して前記支持部材の反対側に隣接し、前記送液チューブの延長方向に対して略平行に配列された少なくとも最上流部に配置された第1のフィンガ、最下流部に配置された第2のフィンガ及び前記第1のフィンガと前記第2のフィンガとの間に配置された1又は複数の第3のフィンガとを有し、前記第1、第2及び第3のフィンガを前記送液チューブに対して作用させて前記送液チューブを押圧可能に構成されており、前記第2のフィンガが前記送液チューブを押圧している状態で前記第1のフィンガによる前記送液チューブの押圧を行う工程と、前記第2のフィンガによる押圧を解除し、前記第3のフィンガにより前記送液チューブを押圧する工程と、前記第2のフィンガにより前記送液チューブを押圧して前記第1のフィンガによる押圧を解除し、前記第3のフィンガによる押圧を解除する工程とを順次繰り返して薬液を吐出するように構成された輸液装置である。
本出願に係る第5の発明は、薬液を加圧する液加圧手段と、加圧された薬液を輸送するための輸液経路と、前記輸液経路の途中に設けられた輸液ポンプとを有し、前記輸液ポンプには、ポンプ入口に設けられた導入弁と、前記導入弁の内側に形成されたポンプ室と、ポンプ出口に設けられた吐出弁と、前記ポンプ室の容積を変化させて薬液を吐出させるための吐出機構とを設け、前記吐出弁の閉鎖した状態で前記導入弁の閉鎖を行う工程と、前記吐出弁を開放し、前記吐出機構による前記ポンプ室の容積低減を行う工程と、前記吐出弁を閉鎖して前記導入弁を開放し、前記ポンプ室の容積を復元する工程とを順次繰り返して薬液を吐出するように構成された輸液装置である。
上記各発明は、従来の輸液装置に対して、いずれも、部品点数の削減、構造の簡易化などによって装置の小形化、軽量化を図ることができると同時に、微量な薬液を高い精度で供給することができるという技術的貢献を共通に果たすことができるものである。
なお、上記各発明において、送液チューブとは内部の薬液をチューブの延長方向に送り出すために変形させられる可撓性のチューブであり、例えば、輸液装置の内部において配置される合成樹脂などによって構成されるものである。一方、本明細書中に記載された輸液チューブとは、輸液装置から送り出される薬液を患者に供給するためのチューブのことであり、通常は点滴に際して用いられる薬液袋に接続されるものと同等のものが使用される。送液チューブは繰り返し変形に対して充分な耐久性を備えた特殊な材質からなるものであることが好ましいが、輸液チューブと同様の素材からなるものでも良く、或いは輸液チューブの一部を送液チューブとして用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1の発明に係る第1実施形態の主要部を示す一部断面正面図である。
第2図は第1の発明に係る第1実施形態の主要部を示す横断面図である。
第3図は第1の発明に係る第1実施形態の異なる状態を示す一部断面正面図である。
第4図は第1の発明に係る第2実施形態の主要部を示す一部断面正面図である。
第5図は第1の発明に係る第2実施形態における回転駆動体の平面図である。
第6図は第1の発明に係る第3実施形態の主要部を示す横断面図である。
第7図は第1の発明に係る第4実施形態の主要部を示す横断面図である。
第8図は第1の発明に係る第4実施形態の介挿板の平面形状図である。
第9図は第2の発明に係る第1実施形態の内部構造を示す正面図である。
第10図は第2の発明に係る第1実施形態の内部構造を示す左側面図である。
第11図は第2の発明に係る第1実施形態におけるサーマルアレイの発熱部の断面構造を示す拡大断面図である。
第12図は第2の発明に係る第2実施形態の主要部分を示す概略斜視図である。
第13図は第2の発明に係る第3実施形態の主要部分を示す概略縦断面図である。
第14図は第2の発明に係る第4実施形態の主要部分を示す概略縦断面図である。
第15図は第2の発明に係る第4実施形態の主要部分を第14図に示す断面と直交する断面について示す概略縦断面図である。
第16図は第2の発明に係る第4実施形態におけるフィンガの構造及び配置(配列)状態を示す概略拡大平面図である。
第17図は第3の発明に係る第1実施形態の送液チューブの概略構造を示す部分斜視図である。
第18図は第3の発明に係る第1実施形態の断面構造を示す縦断面図である。
第19図は第3の発明に係る第1実施形態の変形状態を示す縦断面図である。
第20図は第3の発明に係る第2実施形態の送液チューブの概略構造を示す部分斜視図である。
第21図は第3の発明に係る第2実施形態の断面構造を示す縦断面図である。
第22図は第3の発明に係る第2実施形態の変形状態を示す縦断面図である。
第23図は第3の発明に係る第2実施形態を用いた輸液ポンプの構造を示す概略斜視図である。
第24図は第3の発明に係る第2実施形態を用いた輸液ポンプの断面構造を示す縦断面図である。
第25図は第3の発明に係る第2実施形態を用いた輸液ポンプにおける第2実施形態が変形している状態を示す縦断面図である。
第26図は第3の発明に係る第3実施形態の構造を示す概略斜視図である。
第27図は第3の発明に係る第1又は第2の実施形態と輸液チューブとを接続するための接続コネクタの形状を示す概略斜視図である。
第28図は第4の発明に係る実施形態の構造を示す概略構成図である。
第29図は第4の発明に係る実施形態における薬液の加圧構造を示す概略断面図である。
第30図乃至第33図は第4の発明に係る実施形態における輸液ポンプの動作状態を示す概略説明図である。
第34図は第5の発明に係る実施形態の構造を示す概略構成図である。
第35図乃至第38図は第5の発明に係る実施形態における輸液ポンプの動作状態を示す概略説明図である。
第39図は第1の発明、第2の発明、第4の発明及び第5の発明に係る各実施形態に共通に用いることのできる輸液装置の全体構成を示す概略構成図である。
第40図は第1の発明、第2の発明、第4の発明及び第5の発明に係る各実施形態に共通に用いることのできる輸液装置の外観を示す概略正面図である。
発明を実施するための好ましい形態
本発明をより詳細に説明するために、添付図面を参照して以下に好ましい複数の実施形態についてそれぞれ説明する。
[第1の発明に関する実施形態]
第1の発明は回転駆動体の外周上において螺旋状に形成された押圧突出部、或いは、螺旋状に配列された複数の押圧突出部を設け、回転駆動体を回転させることにより、押圧突出部による送液チューブの被押圧部分を移動させてゆく方法で薬液を送り出すものである。
(第1実施形態)
第1図は本発明に係る第1実施形態の輸液装置の主要部を示す正面図、第2図は第1実施形態の輸液装置の主要部を示す横断面図である。この輸液装置においては、基板10に対してスプリング11を介して支持板22が取り付けられている。この支持板22に対向する位置には、回転軸部23を備えた円筒状の回転駆動体24が回転可能に配置されている。この回転軸部23は回転駆動体24と一体になっているが、別の実施態様としては回転軸部23と回転駆動体24とが別体で構成され、接着や溶着などにより互いに固着されていてもよい。支持板22と回転駆動体24との間には送液チューブ16が配置される。このとき、回転軸部23及び回転駆動体24の軸線は送液チューブ16の延長方向(図示上下方向)に対し平行になっている。
回転駆動体24の外周面上には、その軸線を中心にして螺旋状に伸びる押圧突出部24aが一体に形成されている。この押圧突出部24aは後述するシート25を介して送液チューブ16を押圧し、可撓性の送液チューブ16を押しつぶすように構成されている。回転軸部23が図示しない駆動モータなどの稼働によって回転すると、回転駆動体24の外周面上の押圧突出部24aもまた共に回転し、その結果、押圧突出部24aによる送液チューブ16の被押圧部分は、徐々に下方に移動していく。
回転駆動体24の外側には、上記送液チューブ16との間に円筒状の可撓性のシート25が介挿されている。このシート25は、その上下端部が基板10及び支持板22に対して直接若しくは間接的に固定されている。シート25は、回転駆動体24の押圧突出部24aが送液チューブ16に直接接触することによって送液チューブ16が回転駆動体24の回転方向に摩擦応力を受けて捻れなどを起こすことを抑制するものであり、好ましくは、少なくとも回転駆動体24に接触する側の面が低摩擦になるように構成されていることが好ましい。
シート25は、上述のように送液チューブ16に対して不要な方向の応力を発生させないためにも基板10及び支持板22に対して直接若しくは間接的に固定されていることが最も好ましい。しかし逆に、回転軸部23及び回転駆動体24に対して直接若しくは間接的に固定されていてもよい。この場合には、シート25の送液チューブ16に接触する側の面が低摩擦に構成されていることが好ましい。なお、シート表面の摩擦力を低減するには、シートそのものを摩擦の少ない材質で構成する他、シート表面に低摩擦性のコーティングを施してもよい。
第2図に示すように、支持板22は回転駆動体24を図示右側から包み込むように形成された断面円弧状の対向面22aを備えており、この対向面22aによって回転駆動体24の表面を包摂するシート25との間において送液チューブ16を挟持している。
回転駆動体24が回転すると、その外周面に形成された螺旋状の押圧突出部24aもまた回転し、押圧突出部24aのうち送液チューブ16を押圧している部分が徐々に下方に移動していく。この押圧部分が支持板22の下端部まで移動すると、第3図に示すように、支持板22の上端部の近傍において押圧突出部24aが送液チューブ16を押圧するようになり、この押圧部分は支持板22の上端部から再び下方に向けて移動する。このような押圧部分の下方への移動動作(蠕動動作)は繰り返し行われ、送液チューブ16内の薬液は図示下方に送り出され続ける。
本実施形態では、支持板22の上下方向の長さと押圧突出部24aのピッチとがほぼ同様の値となっており、押圧突出部24aによって押圧される押圧部分が送液チューブ16の支持板22に接触する部分内に常時必ず一カ所存在するように構成されている。ここで、押圧突出部24aの螺旋形状のピッチは支持板22の上下方向の長さ以下であって、かつ、送液チューブ16及びシート25の可撓性に対応した変形可能な最小径以上の範囲内になっていればよい。この場合、押圧突出部24aの螺旋ピッチをより小さく形成することにより、複数箇所で送液チューブ16が押圧されていても構わない。さらに、押圧突出部22の螺旋形状のピッチが支持板22の上下方向の長さより大きくても、薬液の制御されない流れが発生する可能性はあるものの、薬液の送り出し自体は可能である。実際には螺旋ピッチが支持板22の長さを僅かに越えていてもほとんど支障はない。これとは逆に、上記ピッチが送液チューブ16及びシート25の変形可能な最小径未満である場合には、輸液ポンプのポンプ能力自体が失われるか、或いはポンプ能力の効率が低下する。
本実施形態では、回転駆動体24を回転軸部23に取り付け、回転させるだけでポンプ動作が可能になるため、従来のフィンガ式の輸液ポンプのように多数のカム板と押圧フィンガとから構成される組立体を設ける必要がないため、極めて簡単な構造で確実な送液機能を発生することができる。したがって、簡単な構造により従来よりも小型化が可能になり、部品点数が低減されるとともに組立性も向上することから安価になり、しかも故障を少なくすることができるので安全性、メンテナンス性も向上する。
特に、本実施形態においては、回転駆動体の外周面上に螺旋形状の押圧突出部を設けることにより、従来のフィンガ式の輸液ポンプとは異なり、無段階的及び連続的に送液チューブをしごく(延長方向に押圧部を移動させる)ことができるので、スプリング11にて押し付けられた支持板12の振動をなくし、薬液の押し出しも効率的に行うことができ、ポンプ効率を向上させることができる。また、薬液の脈動も抑制できる。
本実施形態では、従来のフィンガ式の輸液ポンプにおいてなされている種々の改良された方式を同時に採用することもできる。たとえば、輸液ポンプの動作周期に起因する薬液の供給圧力若しくは供給速度の脈動を低減するために、薬液の脈動周期と同期して送液チューブ16の薬液通過断面積を変えるように出没する押圧フィンガを併設してもよい。この押圧フィンガは薬液の脈動を相殺するように動作するので、脈動を緩和させ、定常的な薬液の流れを作り出すことができる。また、送液チューブ内の薬液の閉塞検出を行って警報を発する機能を設けるために、送液チューブ16の上流側の内圧と下流側の内圧の差、すなわちポンプ入口と出口とにおける薬液の圧力差を検出する機構を設けてもよい。
(第2実施形態)
次に、第4図及び第5図を参照して本発明に係る第2実施形態について説明する。この実施形態は、第1実施形態と同様の、基板10、スプリング11、支持板22、回転軸部23及びシート25を備えているが、回転駆動体24の代わりに回転駆動体34を備えている点で相違する。この回転駆動体34は、回転軸部23に対して固定されているとともに回転軸線に対して偏芯した複数の円盤状の駆動部34aを備えている。この回転駆動体34は、第5図に示すように、同じ形状の複数の駆動部34aを回転軸部23の軸線を中心にして順次45度ずつ回転移動させた形状を備えている。
この回転駆動体34は、マイクロ3次元加工の可能な工作機械によって一体の軸材から削りだしてもよく、また、各駆動部34aのそれぞれを切削、プレス加工、鍛造などにより成形した後、隣接する駆動部34a間の位相差θ(第5図を参照)が45度になるように相互に接着、圧着、溶接などにより一体化してもよい。さらに、各駆動部34aは直接に相互に固定されていなくても、たとえば、回転軸部23に対して個々に固定されることにより、間接的に一体化されていてもよい。
この実施形態では、偏芯した各駆動部34aの平面形状を円形にしてもよく、或いはまた、円形をゆがめた形状にしてもよい。また、各駆動部を偏芯させるのではなく、すべて同芯に配置するが、単に外周面において他より突出した突起部を設け、該突起部の角度位置を相互にずらしたものであってもよい。いずれにしても、各駆動部34aにおいては、回転軸部23の軸線から最も突出した押圧突出部34bが外周面のいずれかに必ず形成されており、この押圧突出部34bが隣接した駆動部においては位相差(45度)だけずれることにより、回転駆動体34の外周面上において複数の押圧突出部34bが上記位相差の間隔で全体として螺旋状に配列されていることとなる。
本実施形態では、隣接する駆動部間の位相差θを45度としているが、たとえば、位相差を20度、30度、36度、60度などの、1回転角に対する約数に相当する値としてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について第6図を参照して説明する。この実施形態では、回転軸部23及び回転駆動体24の構造は第1実施形態と全く同様である。この実施形態が第1実施形態と異なるのは、可撓性のシート28が送液チューブ16の周りを取り囲んでいる点である。シート28は送液チューブ16の周りを取り囲むとともに、その端部が支持板26に対して固定部材27により取り付けられている。シート28の支持板26に対する固定位置は、回転駆動体24における送液チューブ16側の回転接線に沿った方向であって、送液チューブ16から見て(送液チューブ16を基準として)回転駆動体24が回転していく向きとは反対側にずれた位置である。
この実施形態では、シート28が送液チューブ16をほぼ取り囲んでおり、シート28は回転駆動体24の回転運動に従ってその摩擦力により送液チューブ16を移動させようとする向きの反対側で固定され、シート28により送液チューブ16が回転駆動体24の回転方向に移動しないように保持されているため、シート28と回転駆動体24との間に摩擦力が存在しても、送液チューブ16の捻れなどが発生しにくい。
なお、本実施形態のシート28に関する構成は、上記第2実施形態の回転駆動体34を用いる場合にも同様に適用することができる。
(第4実施形態)
第7図には、本発明に係る第4実施形態の構造を示す。この実施形態では、第1実施形態と同様に構成された回転軸部23及び回転駆動体24と送液チューブ16との間に、薄い金属素材からなる櫛歯状の仕切板38が介在している。この仕切板38には送液チューブ16の延長方向に順次形成された複数のスリットが設けられ、このスリットによって複数の短冊状のリード片38aが形成されている。仕切板38にはスリットの形成されていない基部に複数の取付孔38bが形成されている。この取付孔38bを挿通する固定部材37により仕切板38は支持板36に対して固定される。
この実施形態では、回転駆動体24が回転すると押圧突出部24aが仕切板38のリード片38aの一つを変形させて間接的に送液チューブ16を変形させる。リード片38aはスリットを深く形成することによって互いに独立して変形するので、押圧突出部24aの接触部の位置変化を送液チューブ16に伝えることができる。回転駆動体24の押圧突出部24aは回転方向に移動することのないリード片38aを介して送液チューブ16に応力を与えるので、回転駆動体24の回転方向への送液チューブ16のねじれや撓みを低減することができる。
なお、本実施形態の仕切板38に関する構成は、上記第2実施形態の回転駆動体34を用いた場合にも適用することができる。また、上記仕切板が充分な可撓性を備えたシート状のものであれば、スリットを形成せず、一体のシートとして一端を回転駆動体24の回転接線方向の回転方向に対して反対側の位置において固定し、回転駆動体24と送液チューブ16の間に介挿してもよい。
[第2の発明に関する実施形態]
第2の発明は、熱を受けたり熱を放出したりすることによって変形する熱変形材を用いて送液チューブを押圧する構造を備えた輸液ポンプに関するものである。
(第1実施形態)
次に、添付図面を参照して第2の発明に係る第1実施形態について説明する。第9図は本発明に係る輸液ポンプの第1実施形態の内部構造を模式的に示す正面図、第10図は第1実施形態の内部構造を模式的に示す左側面図である。この実施形態では、軟質の合成樹脂などで形成された可撓性の送液チューブ40に対して、複数のフィンガ41を送液チューブ40の軸線方向に沿って配列させてある。フィンガ41には、略水平に伸びる帯状の吸熱部41aと、この吸熱部41aから屈折して垂直に伸びる立ち上がり部41bと、立ち上がり部41bの先端から再び屈曲して水平に伸びる作用部41cとが形成されている。吸熱部41a及び立ち上がり部41bは銅若しくは銅合金などの熱良導体で構成され、作用部41cは熱膨張率の異なる2種の金属が積層されてなるバイメタル構造を備えている。
作用部41cの下方には上述の送液チューブ40が配置され、この送液チューブ40は支持板42に支持されている。支持板42はスプリング43を介して基台44に取り付けられている。本実施形態における送液チューブ40は孔径0.1mm程度の透明樹脂チューブである。従来の送液チューブは孔径0.4mm程度までのものが一般的であるが、本実施形態では、駆動部分を小型化するとともに、チューブの可撓性を上げるためにその孔径を小さくし、さらにその壁も薄く形成してある。
フィンガ41の吸熱部41aの下面はサーマルアレイ45の表面上に形成された複数の発熱部45aの各々にそれぞれ接触しており、また、吸熱部41aの上面は銅などの熱良導体からなる放熱部材46に接触している。放熱部材46は図示しない放熱フィンなどに接続されていてもよい。サーマルアレイ45はフレキシブル回路基板47に導電接続されている。
サーマルアレイ45の発熱部45aは、第11図に示すように、セラミックス製の基板450の上に無機ガラスなどからなる耐熱層451を形成し、この耐熱層451の上にTa2Nの薄膜からなる発熱抵抗層452を形成し、発熱抵抗層452にAlなどからなる配線層453,454を接触させ、さらに、これらの上に酸化シリコン、酸化タンタルなどの絶縁性の保護膜455を形成したものである。上記配線層453,454は、フレキシブル回路基板47に形成された配線パターンを介して、図示しない制御装置のヘッド駆動回路に接続されている。このように構成された複数の発熱部45aは基板450の表面上に配列され、この配列された発熱部45a毎に上記複数のフィンガ41の吸熱部41cが接触している。
フィンガ41の吸熱部41cは、上述のサーマルアレイ45の発熱部45aと放熱部材46との間に挟持されている。組立性を向上させるとともにメンテナンス性を高めるためには、吸熱部41cは、発熱部45aと放熱部材46に対して固着されることなく、単に加圧接触しているだけであることが好ましい。
この実施形態では、図示しない制御装置からの制御信号によってサーマルアレイ45の複数の発熱部45aに対してそれぞれ独立して通電できるように構成されている。通電により発熱部45aが発熱すると、これに接触しているフィンガ41は加熱し、第10図に点線で示すように作用部41cは下方に湾曲する。作用部41cの下方への湾曲により送液チューブ40は上方から押圧されて押しつぶされるように変形する。
一方、発熱部45aへの通電を停止すると、フィンガ41は放熱部材46によって冷却され、作用部41cの温度も低下するため、第10図に点線で示す状態から実線で示す状態に復帰する。
本実施形態では、第9図に点線で示すように、複数のフィンガ41の作用部41cを少しずつ位相をずらして周期的に加熱駆動することにより、作用部41cが送液チューブを押しつぶす部分Aを図示右側に順次移動させていくことができ、このことにより、送液チューブ40の内部に存在する薬液を図示右側に送り出すことができる。
本実施形態によれば、フィンガ41を熱的に駆動することによって変形させて送液チューブ40内の薬液を送り出すようにしているので、動作部分がフィンガ41の作用部41cのみであって、大型の動力源や動力伝達機構が不要になるため、構造が非常に簡単になることから小型化が容易になるとともに、部品点数が削減され、組立も容易になることから、製造コストを低減することができる。さらに、電動モータ、ギア、カム、リンクなどの機械的動作を伴う部材を不要とすることができるので、騒音を低減することができる。
なお、上記実施形態ではフィンガ41の作用部41cをバイメタルにて形成しているが、フィンガ41を形状記憶合金にて構成し、加熱によって作用部41cが変形するように構成してもよい。形状記憶合金としては、Ti−Ni系、Cu−Zn系、Ni−Al系、Fe−Mg系その他の3元系など、種々の合金を用いることができる。熱変形材としては、基本的には熱変形材自体が可逆的に変化するものであることが望ましいが、一方への変形を加熱若しくは冷却によって発生させ、この変形を元に戻すためにバネやプランジャータイプのソレノイドなどを用いるなどの方法によって可逆的な変形を可能にする機構を用いてもよい。
(第2実施形態)
次に、第12図を参照して、本発明に係る第2実施形態について説明する。この実施形態においては、第1実施形態とほぼ同様のフィンガ41を用いる。フィンガ41の吸熱部41aに沿ってサーマルアレイ55と冷却部材56とを配置し、これらが共に吸熱部41aの下面に接触するように構成されている。サーマルアレイ55の上部には複数の発熱部55aが配列するように形成されており、この発熱部55aには、それぞれフィンガ41の吸熱部41aが一つずつ接触している。
冷却部材56はペルチェ効果等を利用した熱電素子からなり、通電によってその上面に形成された複数の突出部56aから個別に熱を吸熱して放散させるように構成されている。この冷却部材56は、サーマルアレイ55とともにフレキシブル回路基板57に導電接続されており、このフレキシブル回路基板57が図示しない制御回路に電気的に接続されている。
この実施形態においては、サーマルアレイ55の発熱部55aに通電して発熱させ、フィンガ41を加熱することができ、また、発熱部55aの発熱を停止した後には、冷却部材56の突出部56aに通電することによりフィンガ41から熱を吸収することができるように構成されている。このため、フィンガ41の変形と元形状への復帰を迅速かつ確実に行うことができる。
なお、サーマルアレイ55による加熱と冷却部材56による冷却とのいずれによりフィンガ41を変形させてもよく、たとえば、冷却部材56による冷却によってフィンガ41を変形させ、サーマルアレイ55による加熱により元形状に復帰させてもよい。
(第3実施形態)
次に、第13図を参照して、本発明に係る第3実施形態について説明する。この実施形態においては、フィンガ61は吸熱部61a、接続部61b、作用部61cからなり、吸熱部61aにペルチェ効果等に基づく熱電素子の一方の熱板64が接触し、熱電素子の他方の熱板63が放熱材60に接触している。
熱電素子は、熱板63の上面に形成された電極層65と、熱板64の下面に形成された電極層66とを備え、これらの電極層65と66の間にp型半導体層67とn型半導体層68とが交互に配置されたものである。すなわち、熱電素子は、吸熱部61aの延長方向に沿って第13図に示すように電極層65、n型半導体層68、電極層66、p型半導体層67の順に繰り返し導電接続されたモジュールとなっている。
電極層65と66は、いずれも隣接するp型半導体67とn型半導体68とを導電接続するように形成されており、図示左右両端の電極層65又は66同士の間に電流を流すと、熱電効果によって熱板63と64との間に熱の移動が発生する。電極層65と66との間に流れる電流の向きをある方向に設定すると、公知のように熱板65から熱板66へと熱が移動し、熱板66が発熱することによってフィンガ61が加熱される。一方、電流の向きを逆にすると、熱板66から熱板65へと熱が移動し、熱板66がフィンガ61から熱を奪うことによりフィンガ61は冷却される。
このように、本実施形態では、熱電素子に流す電流の向きによりフィンガ61を加熱したり冷却したりすることができるので、その加熱、冷却によってフィンガ61の作用部61cの変形、復帰を促すことができ、迅速かつ確実にフィンガ61を動作させ、上述の実施形態と同様に送液チューブを押しつぶすことができる。第13図に示されるフィンガと熱電素子との組合せは送液チューブの延長方向に複数配列され、各熱電素子を駆動することによって複数のフィンガを個々に制御することができる。
(第4実施形態)
次に、第14図から第16図までを参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。この実施形態においては、第3実施形態のフィンガ61と同材質の複数のフィンガ62がペルチェ効果等に基づく熱電素子に接触している。本実施形態では、フィンガ62の基端側が各々帯状に形成された第1分岐部62aと第2分岐部62bの2つに分岐され、第1分岐部62aは上側の熱板64’に接触し、第2分岐部62bは下側の熱板63’に接触している点に関しては上記第3実施形態と同様であるが、熱電素子が第14図に示す熱電モジュール列を第14図の紙面に垂直な方向に複数配列させたマトリクス状に接続された構造を備えており、或る一つのフィンガ62の第1分岐部62aと第2分岐部62bとが相互に異なる熱電モジュール列に接続されている点が異なる。
熱電素子は熱板63’,64’に挟まれた電極層65’,66’と、p型半導体67’とn型半導体68’とによって構成されている。熱電素子は、第1分岐部62a及び第2分岐部62bの延長方向に沿って第14図に示すように電極層65’、n型半導体層68’、電極層66’、p型半導体層67’の順に繰り返し導電接続された複数の熱電モジュール列を備えている。複数の熱電モジュール列は第14図の紙面と直交する方向に配列されている。これらの複数の熱電モジュール列は、第15図に示すように、第1分岐部62a及び第2分岐部62bの延長方向と直交する水平方向に電極層65’、n型半導体層68’、電極層66’、p型半導体層67’の順に繰り返す接続態様で、互いに導電接続されている。
この第15図においては、上記熱電素子の熱電モジュール列のうち、4つのフィンガに対応する部分だけに対して、各フィンガに対応する数字1から4までを括弧内に入れた符号により区別して示してある。各フィンガにはそれぞれ3列の熱電モジュール列がそれぞれ熱的に接触している。すなわち、4つのフィンガ62のうち、第1のフィンガ62の第1分岐部62a(1)は熱板64’を介して電極層66’(1)に接触し、電極層66’(1)はn型半導体層68’に接合され、このn型半導体層68’は放熱部材69a上の電極層65’(0)に接合されている。また、電極層66’(1)はp型半導体層67’にも接合され、このp型半導体層67’は、第1のフィンガ62の第2分岐部62b(1)に接触する熱板上に形成された電極層65’(1)に接合している。この電極層65’(1)は、別のn型半導体層68’にも接合されており、このn型半導体層68’は、第2のフィンガの第1分岐部62a(2)に接触する熱板64’の下面に形成された電極層66’(2)に接合している。さらに、この電極層66’(2)は別のp型半導体層67’にも接合されており、このp型半導体層67’は、第2のフィンガの第2分岐部62b(2)に接触する熱板63’上に形成された電極層65’(2)に接合している。以下同様にして、第3のフィンガ及び第4のフィンガについても、それぞれ電極層65’(3)、65’(4)、66’(3)、66’(4)とp型半導体層67’、n型半導体層68’との接合体に接触している。
なお、第15図において示すn型半導体層68’及びp型半導体層67’の各々に対しては、図の紙面と垂直な方向に第14図に示す熱電モジュール列が伸びている。これらの熱電モジュール列は、それぞれ、第14図に示すようにp型半導体層67’とn型半導体層68’とが交互に繰り返し配列されているものである。第15図にn型半導体層68’が現れている上記熱電モジュール列(第15図の紙面方向に伸びる列)は、第15図にp型半導体層67’が現れている熱電モジュール列に対して、ちょうどn型半導体層の位置とp型半導体層の位置とが互いに逆の関係になっている。すなわち、隣接する2つの熱電モジュール列は、含まれる半導体層の導電型を相互に逆にした構造を備えている。
フィンガ62の第1分岐部62aと第2分岐部62bとは、第15図及び第16図に示すように、一部が平面的に重なるように、互いに水平方向に位置をずらして配置されている。ここで、フィンガ62の第2分岐部62bの一部は隣接するフィンガの第1分岐部にも平面的に重なり、フィンガ62の第1分岐部62aの一部は隣接するフィンガの第2分岐部にも平面的に重なるように配列されている。
この実施形態では、第15図に示す左端の熱電モジュール列において、電極層65’(0)(図の紙面と直交する方向に複数分割配置されている。)のうち、図の紙面の最も奥部(第14図における左端部)の電極層65’(0)に高電位を供給し、図の紙面よりも手前の端(第14図における右端部)の電極層65’(0)に低電位を供給することにより、当該熱電モジュールにおいて第14図に示すように電極層65’(0)と電極層66’(1)との間に交互に配置されたp型半導体層67’とn型半導体層68’とにジグザグに電流を流すことができ、この結果、放熱部材69aから熱が吸収されて第1のフィンガの第1分岐部62a(1)に熱が移動し、第1のフィンガが加熱される。
次に、電極層65’(0)への給電を停止して、同様の方法で電極層65’(1)に給電を行うと、電極層65’(1)と電極層66’(1)との間に構成された次の熱電モジュール列(第15図における左から2番目の列)は、第1分岐部62a(1)から吸熱して第2分岐部62b(1)へと放熱するように熱を移動させる。一方、電極層65’(1)と電極層66’(2)との間に構成された、さらに次の熱電モジュール列は、逆に第1のフィンガの第2分岐部62b(1)から吸熱して第2のフィンガの第1分岐部62a(2)へと放熱するように熱を移動させる。このことにより、全体的には第1のフィンガから第2のフィンガへと熱が移動し、第1のフィンガが冷却されると同時に第2のフィンガが加熱されることになる。
同様に電極層65’(1)への給電を停止し、電極層65’(2)に同様に給電を行うと、第2のフィンガが冷却され、第3のフィンガが加熱される。以下同様にして一旦加熱したフィンガを冷却すると同時に隣接するフィンガを順次加熱していくことができる。この実施形態では先に加熱したフィンガから熱を奪って次に加熱するフィンガに熱を供給するように構成しているため、熱の移動のみにより順次フィンガを動作させていくことができ、きわめて効率的に制御、駆動することができる。先の第3実施形態のように各フィンガに個々に熱電モジュールを設けて駆動させてもよいが、本実施形態のように、隣接したフィンガ間での熱のやりとりを行いながらフィンガを動作させていくことにより、装置外部との熱交換が不要になり、装置の過熱や結露を防止できる。
なお、本実施形態では、第14図に示す複数の熱電モジュール列の間を第15図に示すように第14図の紙面に直交する方向に相互に連結するように構成している。しかし、これとは異なり、第15図に示すように連結した個々の熱電単位を図の紙面と直交する方向に単に並列に並べて、当該熱電単位毎に給電を行っても同様に作用させることができる。
また、本実施形態では、給電する電極層を切り替えると、それまで加熱されていた第1分岐部から第2分岐部へ、及び、第2分岐部から、隣接したフィンガの第1分岐部へと熱が移動するように構成している。しかし、ペルチェ効果により単に第1分岐部への加熱を停止し、第2分岐部から、隣接したフィンガの第1分岐部への熱の移動を発生させる方法でもよい。この方法においても、本実施形態と同様に、加熱停止後のフィンガの冷却と、隣接するフィンガの加熱とを同時に行うことができる。
[第3の発明に関する実施形態]
第3の発明は、輸液ポンプに用いるための送液チューブに関するものであって、2つの構成部材を相互に固着させることによって形成する送液チューブの構造に関する。
(第1実施形態)
第17図は本発明に係る送液チューブの概略構造を示す斜視図、第18図は送液チューブの構造を示す断面図である。この送液チューブ80は、硬質の合成樹脂によって成形された硬質板状体81と、弾性を有する可撓性の合成樹脂によって成形された平板状の弾性板状体82との2つの構成部材を幅方向の両縁部の接合面B1にて接合したものである。接合は、接着剤を用いた接着、熱や振動(超音波)などを用いて溶着などによって行われる。
硬質板状体81には、幅方向中央部の断面が半円状の延長凹溝部81aと、延長凹溝部81aの両側に張り出した一対の平板部81bとが設けられている。延長凹溝部81aの内側には、弾性板状体82の内面との間に液通路B2が形成されている。
この送液チューブ80においては、延長凹溝部81aを備えた硬質板状体81によって薬液の液通路B2が確保されているとともに、可撓性の弾性板状体82を変形させることによって薬液を送り出すことができるようになっている。すなわち、第19図に示すように、弾性板状体82の外面側からローラやフィンガなどの押圧部材83を用いて弾性板状体82を押圧することによって、弾性板状体82を硬質板状体81の延長凹溝部81aの内面に向けて押し付けることができ、この押し付け部分を液通路B2の延長方向に移動させていくことによって送液チューブ内の薬液を移動させることができる。
たとえば、ロータリ式の輸液装置を構成する場合には、ローラを取り付けた回動アームの回動方向に沿って硬質板状体81を円弧状に湾曲させた形状とし、弾性板状体82をその湾曲形状の内側に配置されるように接合させる。フィンガ式の輸液装置を構成する場合には第17図に示すように直線状の液通路B2を構成して、弾性板状体82の側にフィンガを配列させればよい。
なお、この場合、ローラ及びフィンガなどの押圧部材83の先端部83aを硬質板状体81の延長凹溝部81aの内面とほぼ対応する突出した曲面形状に構成すると、押圧部材83の押圧により弾性板状体82を延長凹溝部81aの内面に概ね合致するように変形させることができるので、薬液の供給速度を精度良く、かつ、安定的に制御、維持することができる。
上記送液チューブにおいては、硬質板状体81と弾性板状体82を別個に射出成形や押出成形などによって容易に形成でき、液通路B2の寸法が小さくなっても、押出成形などを用いて製造する管形状の場合に較べて製造が容易であり、液通路B2を小径にしても形状精度が得やすく、また、製造コストも低減できる。
また、それぞれの構成部材を簡単な形状とすることができるので、素材の制約が少なくなり、特に弾性板状体82の弾力性、可撓性、耐久性などの各特性を向上させることができる。本実施形態では弾性板状体82を平行平板形状としているので、製造が容易であり、高品位の素材を用いても低コストで製造できる。
さらに、従来のように送液チューブが管状体(外力に対して最も強い形状)となっている場合に較べて液通路の閉塞に必要な応力が小さくなり、しかも、不自然な閉塞形状になりにくいため、駆動力を低減することができ、駆動機構の小型化及び消費エネルギーの低減を図ることができる。
なお、上記実施形態において、構成部材のうちの一方を硬質板状体81としているが、支持体などによって支持することによって、一対の構成部材の双方を弾性素材により形成してもよい。また、構成部材はそれぞれ板状体である必要はなく、たとえば、硬質板状体81の代わりに、表面上に延長凹溝部を備えたブロック体を用いても良く、また、弾性板状体82の代わりに、一部に平板状の板状部を備えた種々の形状物を用いても良い。
本実施形態では、送液チューブ80を構成する2つの構成部材である硬質板状体81と弾性板状体82のうちの一方(弾性板状体82)が弾性を備えた板状部を有するものとなっている。このように一方の構成部材に弾性を備えた板状部を設ける代わりに、一方の構成部材に弾性の少ない可撓性の板状部を設けても良い。この場合には押圧部材83と当該板状部とを接着などにより固着させた状態で、押圧部材83を動作させて液通路B2の断面積を増減させることによって薬液を押し出すことができる。
(第2実施形態)
次に、第20図、第21図及び第22図を参照して本発明に係る第2実施形態について説明する。この実施形態の送液チューブ80’は、第20図に示すように、第1実施形態と同様の硬質板状体81と、弾性板状体82とを接合したものであるが、弾性板状体82の内面上における、延長凹溝部81aに対向する部分に、合成ゴムなどからなる複数の弾性突出部材84を液通路B2に沿って配列するように取り付けている。この弾性突出部材84は、第21図に示すように延長凹溝部81aの内面にほぼ対応する表面形状を備えており、第22図に示すように、押圧部材83によって弾性板状体82の外面を押圧すると、弾性突出部材84が延長凹溝部81aの内面にほぼぴったりと当接し、液通路B2を閉鎖するように作用する。
この実施形態においては、弾性突出部材82により液通路B2を容易に閉塞することができるため、押圧部材の駆動力を小さくすることができ、装置の小型化及び消費電力の低減を図ることができる。また、弾性突出部材84により液通路B2を閉鎖することができるので、弾性板状体82を薄く形成しても液通路B2が閉塞されにくくなることがないため、弾性板状体82の変形に対する追従性を高めることが可能になっている。
さらに、この実施形態では液通路B2を容易に閉鎖することができるので、薬液の供給速度を精度良く制御でき、安定した送液を行うことができる。また、弾性板状体82の変形量を少なくすることができるので、弾性板状体82の材質に対する制約が少なくなるとともに、送液チューブの耐久性を高めることができる。
なお、上記弾性突出部材84が弾性を備えていることによって弾性板状体82とともに変形し、より柔軟に液通路B2を閉塞することができる。ここで、弾性突出部材84は弾性板状体82と一体に成形したものを用いても良く、また、弾性突出部材84の代わりに金属などの弾性の少ない素材を用いた凸部を設けてもよい。
本実施形態においては、第22図に示すように送液チューブ80’を押圧部材83によって押圧することによりチューブ内部の液体を送り出すことができるが、送液チューブ80’内に配置された上記弾性突出部材84の代わりにほぼ同形状の磁性体を用いて、この磁性体を外部に設置された電磁石によって第22図の上下方向に移動させることにより弾性板状体82を変形させながら送液チューブ80’の内部の薬液を送り出すこともできる。電磁石はたとえば第22図における延長凹溝部81aの外側下方に配置することにより弾性板状体82の内面に固着された上記磁性体を駆動できる。
上記第1実施形態及び第2実施形態の送液チューブは、後述するようにペリスタルティック型の輸液装置の薬液送り出し部分に用いることができる他、任意の液体を送るためのチューブとして用い、上記のような機械的応力若しくは電磁気的応力によって液体の流通断面を増減する用途にも用いることができる。特に、液体の送り出しを遮断する弁体の一部として用いることも可能である。
次に、第23図、第24図及び第25図を参照して上記第2実施形態の送液チューブ80’を用いた輸液装置(輸液ポンプ)の構成例について説明する。送液チューブ80’の両側にはぞれぞれバイメタルからなる熱変形部92aを含む押圧部材である押圧レバー92が送液チューブ80’の弾性突出部材84毎に一つずつ左右交互に配設されている。押圧レバー92の熱変形部92aの先端部には、緩やかに突出した曲面状の表面を備えた押圧片94が固着されている。押圧レバー92の基端部は上下に2つに分かれ、上片部92bと下片部92cとが設けられている。
第24図に示すように、或る一つの押圧レバー92の上片部92bと、その押圧レバー92に対して送液チューブの片側にて隣接する他の押圧レバー92の下片部92cとの間には、ペルチェ効果等を利用した共通の熱電素子95が介在し、熱電素子95の放熱部95aは上片部92bに熱的に接触し、熱電素子95の吸熱部95bは隣接する押圧レバーの下片部92cに熱的に接触している。したがって、送液チューブの両側には隣接する押圧レバー間に介在する複数の熱電素子95が連設されていることになる。
上記の各熱電素子95は、所定方向の電流を流すことにより第23図に示す吸熱部95bから熱を吸収して放熱部95aから熱を放出する。このように各押圧レバー92には上片部92bに接触する熱電素子と、下片部92cに接触する熱電素子との2つの熱電素子がそれぞれ熱的に接触している。したがって、押圧レバー92の上片部92bに接触する熱電素子95に通電するとその押圧レバー92は加熱され、第25図に示すように、バイメタル構造の熱変形部92aは下方に湾曲して押圧片94が弾性板状体82の外面を下方に押圧する。すると、押圧片94に押圧された弾性板状体82は内部に設けられた弾性突出部材84を下方に押し下げ、液通路B2を閉塞させる。
次に、押圧レバー92の上片部92bに接触する熱電素子95に流れる電流を遮断するとともに、下片部92cに接触する熱電素子95に電流を流すと、今まで加熱されていた押圧レバー92は冷却され始める。押圧レバー92の温度が徐々に低下していくと熱変形部92aは徐々に元の状態に向けて戻り始め、弾性突出部材84も上方へと後退して液通路B2が徐々に開き始める。このとき、当該押圧レバー92の下片部92cに接触する熱電素子95は隣接する押圧レバー92の上片部92bに接触してこの隣接する押圧レバー92を加熱するので、この隣接する押圧レバー92の熱変形部92aは徐々に湾曲し、液通路B2を閉塞し始める。この結果、或る一つの押圧レバー92が加熱されると液通路の上流側に隣接する他の押圧レバーは冷却され、しばらくして上記或る押圧レバー92が冷却されると液通路の下流側に隣接する他の押圧レバーが加熱されるように構成されているので、液通路B2の上流側から下流側へと向けて配列された押圧レバー92が順次に加熱、冷却されていき、押圧レバー92によって閉塞される液通路B2の位置が徐々に下流側へと移動していく。
送液チューブ80’には、その両側にそれぞれ複数の押圧レバー92が配列されているため、送液チューブ80’の一側に配列された押圧レバー列の加熱、冷却のタイミングと、送液チューブ80’の他側に配列された押圧レバー列の加熱、冷却のタイミングとを位相をずらして同期制御することによって、個々の押圧レバー92の熱的な応答時間の遅れを回避して、迅速に送液チューブ80’内の薬液を下流側へと押し出していくことができる。
この実施形態では、熱電素子の加熱、冷却によってバイメタル構造を備えた押圧レバーを変形させていくように構成されているので、機械的動作部が少なく、騒音も小さく、故障し難く、しかも耐久性の高い駆動機構とすることができる。また、熱電素子の吸熱部と放熱部とを隣接する押圧レバーに接合し、効率的に押圧レバーの加熱、冷却を行うように構成してあるので、エネルギー効率も高く、消費電力も少なくなる。さらに、熱に応答する押圧レバーにより送液チューブを押圧するようになっているので、押圧レバーの押圧動作も滑らかであり、急激な動作は発生しないので、送液チューブ自体の耐久性もさらに向上する。
本構成例では加熱冷却手段として熱電素子を用いているが、電気ヒータなどの他の加熱手段、放熱板や冷媒を用いたものなどの他の冷却手段を用いてもよい。また、本構成例では熱応答素材としてバイメタル構造を用いているが、形状記憶合金などの加熱、冷却によって可逆的な変形を生ずる他の熱応答素材を用いてもよい。
本構成例は第2実施形態に示した送液チューブを用いて構成したペリスタルティック型の輸液装置(輸液ポンプ)であり、特に、フィンガ式の輸液ポンプの構造を示しているが、上記第1実施形態又は第2実施形態を用いた輸液装置としてはフィンガ式の他の駆動機構を用いてもよく、また、円弧状に形成した送液チューブと、両端部にローラを取り付けた回動アームを回転させる機構とを設けることによりロータリ式の輸液ポンプを構成することもできる。
(第3実施形態)
次に、第26図を用いて本発明に係る送液チューブの第3実施形態について説明する。この送液チューブ100は、硬質プラスチックなどで構成されたコ字型の硬質の樹脂などからなるブロック体101と、ブロック体101の上面に接着された弾性シート102とから構成される。ブロック体101は角柱状の中央部と、その両端に設けられた下方に向けて突出した一対の端部とを備えた外観形状を備えている。ブロック体101の上面には断面半円状の延長凹溝部101aが形成されている。この延長凹溝部101aはブロック体101の両端部近傍で終端し、貫通していない。延長凹溝部101aの両端部からは下方に向けてそれぞれ接続孔101bが穿設され、端部の下面まで貫通している。
この実施形態では、送液チューブ100の端部がブロック体101と一体に構成されているので、部品点数を増加させることなく、輸液チューブなどに接続するための端部形状を適宜に設計することができる。本実施形態では送液チューブ100の端部形状は直方体形状となっているが、接続相手の、例えば輸液チューブの端部形状に合わせて管形状に形成したり、ネジ部を設けたりしてもよい。
第27図には、第24図及び第25図に示す断面形状を備えた送液チューブのように、第26図に示すような特別な端部形状を設けない場合において、断面半円形の送液チューブと、断面円形の輸液チューブとを接続するための接続具103の形状を示すものである。接続具103の端部103aは送液チューブに嵌合可能な断面半円形状となっており、端部103bは輸液チューブに嵌合可能な断面円形状となっている。
[第4の発明に関する実施形態]
第4の発明は、上流側において薬液を加圧した状態で、複数のフィンガによって安定した輸液を行う輸液ポンプに関するものである。
第28図は本発明に係る輸液装置の第1実施形態の概略構成を示す概略断面図である。この実施形態においては、合成ゴムなどの弾性体からなるバルーン110内に薬液を注入し、バルーン110を加圧板111及び加圧板112によって上下から挟み込み、所定圧力にて加圧している。バルーン110は、合成樹脂からなる可撓性の送液チューブ116に接続され、この送液チューブ116の一側には支持板121が配置されている。送液チューブ116には、支持板121の反対側において、導入弁を構成するバルブ部材122の先端部と、吐出弁を構成するバルブ部材123の先端部とが相互に間隔を以て対向している。バルブ部材122と123との間には、4つのプッシャ124,125,126,127が送液チューブ116の延長方向に配列されている。
上記バルブ部材122,123及び4つのプッシャ124,125,126,127は、ぞれぞれプランジャー型のマイクロソレノイド128(2つ)及び129(4つ)によって送液チューブ116に向かって出没動作するように構成されている。
第29図は上記バルーン110を加圧する部分の構造を第28図の右側から見た状態として示すものである。バルーン110は輸液装置のケース体に取り付けられた、若しくはケース体の底板自体である加圧板111の上に載置されており、バルーン110の上部に加圧板112が載置されている。加圧板112は、ゴムバンド113によって断面コ字状のカバー114の下縁部114aに接続されている。このため、バルーン110は加圧板111と112とによって上下から挟まれた状態で加圧され、これによって薬液に所定の圧力が印加されている。
第30図から第33図までは、輸液ポンプを構成するバルブ部材122,123及びプッシャ124,125,126,127の動作を示す説明図である。まず、第30図に示すように、下流側のバルブ部材123が送液チューブ116に対して突出するとともに、上流側のバルブ部材122及びプッシャ124,125,126,127が全て引き込まれる。この状態では、バルブ部材123により吐出弁が閉鎖された状態となっている。
次に、第31図に示すように、バルブ部材122が送液チューブ116に対して突出し、送液チューブ116の上流部が遮断される。ここで、バルブ部材122とバルブ部材123との間の送液チューブ116には、上記の加圧手段によって加圧された薬液がそのまま閉じこめられることとなる。
次に、第32図に示すように、バルブ部材123を引き込むと同時に、プッシャ124を突出させる。これは、バルブ部材123が引き込まれるとバルブ部材123の押圧していた部分の送液チューブ116の容積が増加するため、送液チューブ116においてバルブ部材123の押圧していた部分より下流から上流に向けて薬液の逆流が発生したり、薬液が部分的に負圧になり、気泡が発生したりする可能性があるため、バルブ部材123の引き込みによる送液チューブの容積の増加(及びこれに起因するチューブ内の圧力変化)をプッシャ124の突出によって補償し、負圧や気泡の発生を低減しようとするものである。
次に、第33図に示すように、プッシャ125,126,127を突出させて、送液チューブ116内の薬液を下流側に押し出すことにより薬液を吐出させる。このとき、プッシャ125,126,127を全て同時に突出させてもよいが、よりスムーズに薬液を押し出すために、上流側のプッシャ125から下流側のプッシャ127に向けて順次タイミングをずらして押し出させることがより好ましい。
上記のように薬液の吐出が終了すると、第30図に示すように、再び、バルブ部材123を突出させて吐出弁を閉鎖するとともに、上流側のバルブ部材122及びプッシャ124,125,126,127を引き込み、上流側から送液チューブ116内に薬液を取り込む。
なお、各バルブ部材122,123及びプッシャ124,125,126,127は、その突出状態において送液チューブ116内の薬液の流れを完全に遮断するために送液チューブ116を完全に閉塞するように構成されていることが好ましい。しかし、送液チューブ116が上記バルブ部材やプッシャにより完全に閉塞されず、送液チューブ116内の薬液の流れを完全に遮断できなくても、送液チューブ116の閉塞状態がほぼ完全に近く、上流側に配置された薬液の圧力の影響を下流側にほとんど伝えない範囲であれば、上述と同様の作用及び効果を得ることができる。
また、第32図及び第33図におけるバルブ部材122について、並びに、第33図における下流側のプッシャが既に突出している場合のそれよりも上流側の各プッシャについては、より下流側のプッシャが送液チューブ116の内部を遮断していることにより薬液の圧力が遮断されるため、図示のようにそのまま突出した状態になっていなくてもよく、下流側のプッシャが突出した後に直ちに引き込まれるように構成されていてもよい。
上記支持板、バルブ部材及びプッシャにより構成されるポンプ構造においては支持板に対向する2つのバルブ部材と4つのプッシャによって動作するようになっているが、導入弁及び吐出弁を構成するバルブ部材と、吐出機構を構成するプッシャとを区別する必要はなく、全く同一の部材で形成してもよい。また、これらのバルブ部材及びプッシャは最小3個で構成することができる。
さらに、上記実施形態ではバルブ部材及びプッシャをソレノイドにて駆動するようにしているが、バルブ部材及びプッシャをカムその他の機構部品やエアシリンダなどで駆動してもよい。
本実施形態においては、バルーン110及びバルーン110に対する加圧機構(111,112,113,114)により薬液を常時一定圧力で加圧しており、この加圧された薬液をバルブ部材及びプッシャにより定量ずつポンプ内に取り込み、この取り込んだ薬液を吐出するように構成している。したがって、バルブ部材及びプッシャは最小で3個あれば足りるため、従来のフィンガタイプの輸液ポンプよりも大幅に部品点数を減らすことができる。
なお、薬液は一定の圧力で加圧されている必要はなく、たとえば、バルーン110のみで液加圧手段を構成してもよい。さらに、液加圧手段としては、たとえばシリンジのロッドに所定の応力を加えたり、エアシリンダなどを利用したピストン形式のものでもよい。
また、支持板とバルブ部材及びプッシャにて構成されるポンプ内に薬液を取り込んでは吐出するようにしているので、薬液の吐出量の精度が高く、薬液の注入速度を高精度に設定できるとともに薬液を微量に送り込むことも可能である。この場合に薬液の供給速度を上げるには、バルブ部材及びプッシャの動作周期を短くし、高速に動作させればよい。
この方法においては、バルブ部材やプッシャの数と幅を変更することにより、一回当たりの薬液の吐出量を容易に調節することができる。また、上流の薬液の加圧力によらず、バルブ部材やプッシャの動作周期により薬液の供給圧力を制御することができる。したがって薬液を高い圧力で供給することも可能である。
従来のフィンガ式のペリスタルティック型輸液装置においては、送液チューブ自体に充分な弾性を持たせることにより、送液チューブがフィンガの押圧に対抗してフィンガの出没状態に対応した形状に変形するために薬液が輸送されるようになっている。これに対して、本実施形態では、送液チューブの所定領域に加圧された薬液をほぼ閉じこめ、この閉じこめられた薬液を吐出するようにしているため、送液チューブ自体の弾力は不要であり、充分な可撓性さえあればよい。したがって、本実施形態では送液チューブの壁を薄く形成することができることから、ポンプのパワーロスを低減してポンプ効率を高めることができるとともに、送液チューブのチューブ径を容易に小さくすることができるから、微量な薬液の注入も容易に行うことができる。
[第5の発明に関する実施形態]
第5の発明は、上流側において薬液を加圧した状態で輸液を行う、ダイヤフラムを備えた輸液ポンプの構造に関するものである。
次に、第34図から第38図までを参照して本発明に係る輸液装置の実施形態について説明する。この実施形態においては、ケース体130の内部に、電池などの電源131及び制御回路を含む電子回路を形成した回路基板132を収容し、さらに、上記制御回路により制御される輸液ポンプを構成している。
この輸液ポンプは、プレス技術、フォトリソグラフィ技術、焼結技術、樹脂成形などにより形成した金属、半導体、セラミックス、合成樹脂などからなるダイヤフラム133と、同様の材料により上記各技術又は切削などにより構成された導入口134a及び吐出口134bを有する基板134とからなるものである。
ダイヤフラム133には、基板134の導入口134aに対応した位置に形成されたバルブ部133aと、中央部に形成された吐出変形部133bと、基板34の吐出口134bに対応した位置に形成されたバルブ部133cとを備えている。バルブ部133a及び133cは、共に周囲を変形し易い薄肉部に取り囲まれた厚肉部として形成されており、その下端部にはシリコーンゴムのような薬剤に対して反応しない合成ゴムなどの弾性体からなる弁体部が設けられている。この弁体部は、ダイヤフラム33に対して接着、コーティングなどにより固着されている。
バルブ部133a,133cは、上記回路基板32上に実装されたマイクロアクチュエータ135,137により導入口134a,吐出口134bをそれぞれ開閉するように移動可能に構成されている。また、吐出変形部133bは大きな面積の薄肉部として構成されており、同様に回路基板132に実装されたマイクロアクチュエータ136によりポンプ室の内外に大きく撓むように構成されている。
上記マイクロアクチュエータ135,136,137としては、プランジャー型などの各種ソレノイド、圧電アクチュエータ、マイクロモータ、或いはエアシリンダ、油圧シリンダなどにより構成することができる。なお、基板134の吐出口134bの周囲には、流量センサ138及び気泡センサ139が取り付けられている。
基板134の導入口134aには、弾性を有するバルーン110からなる薬液に対する加圧機構が接続されている。
この実施形態では、まず、第35図に示すように、バルブ部133a及び吐出変形部133bを上昇したままにしておき、バルブ部133cをマイクロアクチュエータ137により押圧して下降させ、吐出口134bを閉鎖する。この状態では、図示しないバルーン110から薬液が所定圧力にてポンプ内に導入される。次に、第36図に示すように、バルブ部133aをマイクロアクチュエータ35により押圧して下降させ、導入口134aを閉鎖する。この状態では、ポンプ内に導入された薬液は供給された圧力のまま閉じこめられることとなる。
次に、第37図に示すように、マイクロアクチュエータ137の押圧を解除し、バルブ部133cをダイヤフラム133の弾性により上昇位置に復帰させ、吐出口134bを開放する。このとき、バルブ部133cの上昇による薬液の逆流を防止するために、マイクロアクチュエータ136を作動させて吐出変形部133bを僅かに押し下げるようにする。
次に、第38図に示すように、マイクロアクチュエータ136を作動させて吐出変形部133bを大きく押し下げ、ポンプ内の薬液を吐出口134bから吐出させる。薬液の吐出が完了すると、マイクロアクチュエータ137によりバルブ部133cを押圧して再び吐出口134bを閉鎖し、その後、バルブ部133aを上昇させて導入口134aを開放し、また、吐出変形部133bを元の状態に復帰させることにより第35図に示す状態に戻る。
本実施形態においても、第4の発明に関する実施形態と同様に、薬液を常に加圧した状態で送り出すことができるので、経時的な薬液の圧力変動が発生せず、安定して用いることができるとともに、薬液が負圧になることがなく、気泡の発生も少ない。さらに、流量精度が高く、微量な吐出も可能であり、しかも装置の小型化も容易である。
なお、上記実施形態において、ダイヤフラム133と基板134とをケース体130に対して着脱可能に構成することにより、容易に交換、清掃、点検などを行うことができる。
[各発明に共通な実施形態]
最後に、第39図及び第40図を参照して、上記各発明に対して共通に適用することのできる輸液装置の全体構成の具体例について説明する。第39図は輸液装置の全体構成を示す概略構成図である。上記のバルーン110及び加圧板111,112などの加圧機構を内蔵した薬液カートリッジ141に接続可能な送液チューブ116に沿って上述の各実施形態で示すように構成された吐出機構140が配置されている。吐出機構140の下流側にはマイクロセンサ142が取り付けられており、送液チューブ116内の気泡の存在や送液チューブ116内の薬液が停止することなどを検出するようになっている。
吐出機構140などの動作部は中央制御部143によって制御されるようになっており、中央制御部143は駆動回路144に制御信号を送り、上記のソレノイドやマイクロアクチュエータとして構成されたアクチュエータ145によって吐出機構140を稼働させる。吐出機構140の実際の動作速度は光学式センサなどからなる検知回路149によって検出される。駆動回路144からアクチュエータ145に送出される駆動信号と検知回路149からもたらされる検出信号とがパルスカウンタ146に導入され、パルスカウンタ146によって両者の差が計数され、中央制御部143にフィードバックされる。
なお、駆動回路144などには、電池などの電源147により電力供給を受ける電源回路148から所定の電位が供給されるようになっている。
中央制御部143には、操作部151、警報装置152、外部端子接続部153、表示装置154がそれぞれ接続されている。薬液の送り出し途中において上記マイクロセンサ142によって薬液中の気泡や液流の停止が検出されると中央制御部143はスピーカなどからなる警報装置152から警報を発する。また、中央制御部143は他の制御機器や計測機器からの信号を外部端子接続部153から入力し、当該信号に従って、薬液の注入速度や注入時間を制御する。さらに中央制御部143は、薬液の注入速度や注入積算時間などを表示装置154に常時表示するようになっている。
第40図は本輸液装置の外観を示す概略構成図であり、掌に把持可能な程度の大きさに設計された合成樹脂製のケース体150が設けられ、その内部には送液チューブ116が挿入されるようになっており、送液チューブ116に沿って上述の吐出機構140及びマイクロセンサ142が配置されている。また、中央制御部143、駆動回路144、アクチュエータ145、パルスカウンタ146、電源回路148が回路基板上に形成され、回路ブロック155を構成している。さらに、ケース体150の内部には電源(電池)147及び警報装置152が収容されている。ケース体の表面上には、複数の押しボタンからなる操作部151、ミニジャックなどからなる外部端子接続部153、液晶表示パネルなどからなる表示部154が配置されている。
ケース体150の上部には開口部150aが設けられ、この開口部150aには薬液カートリッジ141を着脱可能に挿入することができるように構成されている。薬液カートリッジ141には第39図に示すようにジョイント部141aが設けられ、薬液カートリッジ141をケース体150の開口部150aに挿入すると、ケース体150の内部に設けられた図示しないジョイント受け部に自動的に接続されるようになっている。ジョイント受け部には送液チューブ116の先端が接続されており、薬液カートリッジ141が装着されると、そのジョイント部141aは送液チューブ116に連通するように構成されている。
この輸液装置は全体として掌や着衣のポケットに収まるようなサイズに構成することができる。これを可能にするのは、上記各実施形態に示す簡易な構成の吐出機構である。この輸液装置において、薬液カートリッジはケース体150の内部に完全に収容する必要はなく、第40図に示すように、カートリッジの主要部分をケース体150の外部に突出するように構成することによってケース体150自体をさらに小型化することができる。この場合には、必要に応じてサイズをさらに小さくした携帯用の薬液カートリッジを装着するようにし、装置全体をさらに小型に構成することができる。このような輸液装置の小型化は近年の医療現場において多く要求されているものであり、本発明は、医療現場においてきわめて顕著な効果を奏するものである。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば、部品点数の削減、部品構造の簡易化などによって輸液装置、特に輸液ポンプを従来よりも簡単に構成することができることから、製造コストの低減を図ることができるとともに、輸液装置の小形化、軽量化を図ることができ、例えば携帯式の輸液装置として構成することが可能になるとともに微量の薬液を高精度に患者に注入することが可能になる。

Claims (6)

  1. 可撓性の送液チューブと、該送液チューブを一方から支持する支持部材と、前記送液チューブに対して前記支持部材の反対側に隣接し、前記送液チューブの延長方向に対して略平行な回転軸を備えた回転駆動体とを有し、該回転駆動体の外周面上には、前記送液チューブを押圧する1又は複数の押圧突出部を一体的に備え、該押圧突出部は、前記回転駆動体の外周面上において螺旋状に形成され若しくは螺旋状に配列されていることを特徴とする輸液装置。
  2. 請求項1において、前記送液チューブと前記回転駆動体の外周面との間には可撓性シートが介挿されていることを特徴とする輸液装置。
  3. 請求項2において、前記可撓性シートは前記回転駆動体を包み込むように配置されていることを特徴とする輸液装置。
  4. 請求項2において、前記可撓性シートは前記送液チューブを包み込むように配置されていることを特徴とする輸液装置。
  5. 請求項4において、前記可撓性シートは、前記送液チューブ側における前記回転駆動体の回転接線方向に前記送液チューブを移動させないように規制していることを特徴とする輸液装置。
  6. 請求項2において、前記可撓性シートは前記送液チューブの延長方向に分割され、若しくは前記送液チューブの延長方向に部分的に分離するようにスリットが形成されていることを特徴とする輸液装置。
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