JP3785613B2 - 多軸掘削作業機における軸数変換構造及び地盤改良工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、マストに昇降自在に支持された回転駆動装置に3本以上の掘削作業軸の上端を回転伝達可能に接続して互に平行に垂下してなる多軸掘削作業機の改良及び地盤改良工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地中連続壁造成工法を実施する場合は、ベースマシンに支持された起立マストに回転駆動装置を昇降自在に支持させ、該駆動装置のギヤボックス内に3又は5本の出力軸を横1列に且つ互に平行状態で回転自在に支持させると共に、各出力軸に固定された連動歯車を横1列にかみ合わせ、上記ギヤボックス上に設置された1又は2基の減速機つきモータの各駆動歯車を上記連動歯車列にかみ合わせ、これら3又は5本の出力軸にそれぞれ掘削撹拌軸を接続した3又は5軸掘削撹拌機が専用機として使用され、またセメントミルク注入式地盤改良工法を実施する場合は、回転駆動装置に2本の掘削撹拌軸を平行に接続した2軸掘削撹拌機が専用機として使用されている。
【0003】
このよう、互に類似する用途であっても、それぞれの用途に使用する高価な専用機を準備している従来の経済的不利益を改善するため、上記地中連続壁造成用の3又は5軸掘削機において、上記3又は5本の掘削撹拌軸のうち中間軸を出力軸から分離すると共に、残りの2又は3本の軸を地盤改良に適する掘削撹拌軸とつけ替える、という対策が提案される。しかしそのような構造変更をした場合、各掘削撹拌軸の回転が同一方向となってしまい、その状態では撹拌効率を低下させるばかりでなく、ベースマシン及びマストの安定性を害する欠点を招くこととなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、経済的不利益を改善すると共に、撹拌効率及び安定性を確保することのできる3軸以上の多軸掘削作業機の軸数変換構造及び地盤改良工法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を達成の手段】
上記課題達成の手段として、本願請求項1の発明は、
ギヤボックス内に3本以上奇数本の出力軸を互に平行で回転自在に支持すると共に各出力軸に固定された連動歯車を一連にかみ合わせ、上記連動歯車列に1又は複数のモータの駆動歯車をかみ合わせてなる回転駆動装置をマストに昇降自在に支持し、上記各出力軸に掘削作業軸をそれぞれ着脱自在に接続した多軸掘削作業機において、
上記一連の出力軸における中間出力軸を上記ギヤボックスに着脱自在に支承し、
上記中間出力軸及びその中間連動歯車との交換部材として、上記残りの連動歯車と係脱自在であって該残りの連動歯車を隣り同志反対方向へ回転させるためのアイドル歯車及びそのアイドル軸と、上記アイドル歯車軸を上記ギヤボックスに着脱自在に支承する手段と、を備えた、
多軸掘削作業機における軸数変換構造を提案し、
【0006】
本願請求項2の発明は、
請求項1の多軸掘削作業機において、中間軸を外し、残りの掘削作業軸を、軸に硬化液案内孔を縦通した大径の掘削撹拌軸につけ替え且つ該掘削撹拌軸を隣り同志反対方向へ回転するようにした複数軸掘削撹拌機を使用して、
軟弱地盤に複数連続大径縦孔を掘削しつつ掘削土砂を撹拌することと、
上記硬化液案内孔を通して上記連続縦孔内に硬化液を注入して掘削土砂と混練することと、
からなる大面積地盤改良工法を提案する。
【0007】
本願発明における上記一連の出力軸における「中間出力軸」とは、3本の出力軸における第2番目の出力軸、5本の出力軸における第2番目と第4番目等の出力軸である。
以下図面を参照して本願発明を地中連続壁造成用多軸掘削撹拌機に実施した例について説明する。
【0008】
【実施例】
図1において、ベースマシン(1)の前部に連結されたマスト(2)を垂直に支持し、該マスト(2)の全長に敷設されたガイドレール(3)、(3)に回転駆動装置(4)を摺動自在に係合すると共にトップシーブ(5)から垂下したワイヤロープ(6)により昇降自在に吊支し、この回転駆動装置(4)に、下端に掘削ヘッド(8)を、その上位に撹拌スクリュー(9)をそれぞれ有する5本の作業軸すなわち掘削撹拌軸(7)、(7)、(7)及びその中間に位置する中間掘削撹拌軸(7’)、(7’)を接続して互に平行に垂下してある。
【0009】
上記5軸掘削撹拌機の軸数変換構造は、上記回転駆動装置(4)におけるギヤボックス(10)内に施される。まず、図2、3、5、6において、ギヤボックス(10)の上面後部に減速機(12)と連結されたモータ(11)を左右に2基設置し、両減速機(12)、(12)からギヤボックス(10)内へ突出した駆動軸(13)、(13)に駆動歯車(14)、(14)を固定し、これら駆動歯車(14)、(14)の前側に5本の出力軸すなわち出力軸(15)、(15)、(15)及びその中間に位置する中間出力軸(15’)、(15’)を互に平行に且つ横1列の状態で、ギヤボックス(10)の上下両板(10a)、(10b)にボルト止めされた上部軸受板(16)、(16)、(16)、上部中間軸受板(16’)、(16’)及び下部軸受板(17)、(17)、(17)、下部中間軸受板(17’)、(17’)によりそれぞれ回転自在に支承し、これら出力軸(15)、(15’)、(15)、(15’)、(15)に固定された同一歯数の連動歯車(18)、(18’)、(18)、(18’)、(18)を一連にかみ合わせると共に、その中間連動歯車(18’)、(18’)に上記駆動歯車(14)、(14)をそれぞれかみ合わせてある。
【0010】
上記各出力軸(15)、(15’)、(15)、(15’)、(15)のギヤボックス(10)下面からの突出端部には、上記掘削撹拌軸(7)、(7’)、(7)、(7’)、(7)をそれぞれフランジ継ぎ手を介して着脱自在に接続してある。(19)…は上記各出力軸(15)…、(15’)、(15’)の上端部に接続されたスイベルジョイントである。
【0011】
軸数変換構造として、まず、上部中間軸受板(16’)、(16’)を、他の軸受板(16)…が円板であるのに対し、図3に示すように雲形状に形成すると共に、その裏面中央部に、図7(イ)に示すように中間出力軸(15’)の上端部を支承すべき環状軸受部(20)を設け、また下部中間軸受板(17’)、(17’)は、他の軸受板(17)…と同様円板とし、その裏面中央部に図7(ロ)に示すように中間出力軸(15’)の下部を支承すべき環状軸受部(21)を設けてある。
【0012】
一方、上記中間出力軸、その中間連動歯車(15’)(18’)、(15’)(18’)と交換すべき図8のような回転方向変換用2本のアイドル軸、それらの2個のアイドル歯車(22)(23)、(22)(23)及び(22)(23)、(22)(23)を準備し、さらに上記アイドル軸(22)、(22)の両端部を支承すべき上部及び下部アイドル軸受板(24)(24)、(25)(25)をそれぞれ準備し、上部アイドル軸受板(24)は、上記雲形軸受板(16’)と同形で、裏面両側部に図9(イ)に示すように上記2本のアイドル軸(22)、(22)の上端部を支承すべき2つの環状軸受部(26)、(26)を設け、また下部アイドル軸受板(25)は、上記下部軸受板(17’)と同形で、裏面両側部に図9(ロ)に示すように上記アイドル軸(22)、(22)の下端部を支承すべき環状軸受部(27)、(27)を設けてある。
【0013】
さらに、上記ギヤボックス(10)の上板(10a)における中間出力軸(15’)、(15’)に対応する位置に、上記上部中間軸受板(16’)の軸受部(20)と、上記上部アイドル軸受板(24)の軸受部(26)、(26)を選択的に嵌入自在の図4に示すような雲形孔(28)、(28)をそれぞれ開設し、また上記ギヤボックス下板(10b)における中間出力軸(15’)、(15’)に対応する位置には、上記下部中間軸受板(17’)の軸受部(21)と、上記下部アイドル軸受板(25)の軸受部(27)、(27)を選択的に嵌入自在の円形孔(29)、(29)(図6参照)をそれぞれ開設してある。
【0014】
上例の作用を軸数変換の例とともに次に説明する。図1、2、3、5、6の地中連続壁造成用5軸掘削撹拌機を地盤改良用3軸掘削撹拌機に変換する場合は、まず5本の掘削撹拌軸(7)…、(7’)、(7’)を出力軸(15)…、(15’)、(15’)とのフランジ継手から分離した後、下部中間軸受板(17’)、(17’)をギヤボックス下板(10b)から分離すると共に、中間出力軸(15’)、(15’)から離脱させる。ついで中間出力軸(15’)、(15’)のスイベルジョイント(19)、(19)を外した後、上部中間軸受板(16’)、(16’)をギヤボックス上板(10a)から外すと共に中間出力軸(15’)、(15’)から離脱させる。ついで下板(10b)をギヤボックス(10)から外してボックスを開き、中間出力軸、その中間連動歯車(15’)(18’)、(15’)(18’)をボックス(10)外へ取り出す。
【0015】
次に、上記中間出力軸、連動歯車(15’)、(18’)及び(15’)、(18’)に代えて2本のアイドル軸、その互にかみ合わされたアイドル歯車(22)(23)、(22)(23)及び(22)(23)、(22)(23)をボックス内に装入して、図8のように各一方のアイドル歯車(22)及び(22)を駆動歯車(14)、(14)及び最外側の連動歯車(15)、(15)にそれぞれかみ合わせると共に、各他方のアイドル歯車(22)及び(22)を中央の連動歯車(15)にそれぞれかみ合わせ、ついでボックス上板(10a)上に上部アイド軸受板(24)、(24)を、その環状軸受部(26)(26)、(26)(26)を雲形孔(28)、(28)に挿入した状態で、それぞれボルト止めし、この軸受板(24)、(24)の各軸受部(26)(26)、(26)(26)に上記アイドル軸(22)(22)、(22)(22)の上端部を支承させ、一方ボックス下板(10b)下面に下部アイドル軸受板(25)、(25)を、その軸受部(27)(27)、(27)(27)を円形孔(29)、(29)に挿入した状態で、それぞれボルト止めし、この軸受板の軸受部(27)(27)、(27)(27)に上記アイドル軸(22)(22)、(22)(22)の下端部を支承させて下板(10b)をボックス(10)にボルト止めする。
【0016】
上記のようにギヤボックス(10)内を構造変換した後、図10のように互に間隔の広くなった残りの3本の出力軸(15)…の下端部に上記広くなった軸間隔に対応する大径の掘削撹拌軸すなわち掘削径及び撹拌径の大きい掘削ヘッド及び撹拌羽根を有し、且つ軸にセメントミルク等の地盤硬化液案内孔を縦通した掘削撹拌軸(30)…を接続すれば、ベースマシン(1)、マスト(2)、回転駆動装置(4)のモータ(11)、(11)、減速機(12)、(12)その他をそのまま兼用した地盤改良用3軸掘削撹拌機が得られる。
【0017】
上記3軸掘削撹拌軸を使用する地盤改良においては、まずモータ(11)、(11)の始動により大径掘削撹拌軸(30)…を隣り同志反対方向に回転させて、掘削ヘッドにより軟弱地盤に隣り同志連通する3連大径縦孔を掘削しつつ撹拌羽根により掘削土砂を撹拌して掘進していき、それと共に軸の硬化液案内孔を通じてセメントミルクを軸下端部から縦孔内に注入して掘削土砂と混練し、それにより3連大径縦孔内にソイルセメントを形成する。ソイルセメントが硬化したとき大面積の硬化改良地盤がえられる。
【0018】
元の5軸掘削撹拌機に軸数変換する場合は、上記操作に準じてアイドル軸、そのアイドル歯車(22)(23)、(22)(23)及び(22)(23)、(22)(23)に代えて中間出力軸、その中間連動歯車(15’)(18’)及び(15’)(18’)をつけ替え、5本の出力軸(15)…、(15’)、(15’)に元の掘削撹拌軸(7)…、(7’)、(7’)を接続する。
【0019】
【発明の効果】
本願請求項1発明の多軸掘削作業機における軸数変換構造によれば、ギヤボックス内の3本以上奇数本の出力軸のうち中間出力軸及びその連動歯車を偶数本のアイドル軸及びそのアイドル歯車につけ替えることにより、隣り同志反対方向に回転する2本、3本等の出力軸に変換し、又はその逆のつけ替えにより隣り同志反対方向に回転する3本以上奇数本の出力軸に変換することができ、それによりベースマシン、マスト、モータ、減速機等をそのまま兼用できる経済的利益を確保しつつ、作業効率及び機の安定性を保った掘削作業軸の軸数変換を行うことができるのである。
【0020】
本願請求項2の発明の地盤改良工法によれば、複数の大径掘削撹拌軸の隣り同志反対方向の回転により、複数の大径縦孔が連続する広幅連続縦孔を形成すると共に、掘削土砂を効率よく十分に撹拌すると共に硬化液と十分に混練し、均質のソイルセメントを形成し、それにより大面積の地盤改良を行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)5軸掘削撹拌機の正面図である。
(ロ)同上側面図である。
【図2】ギヤボックス部分の拡大正面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図3における上部軸受板を除いた状態の一部省略図である。
【図5】図2のIV−IV線断面図である。
【図6】図3のV−V線断面図である。
【図7】(イ)上部中間軸受板の裏面図である。
(ロ)下部中間軸受板の裏面図である。
【図8】掘削撹拌軸を3本に変換した状態のギヤボックスの図5と同一切断面による断面図である。
【図9】(イ)上部アイドル軸受板の裏面図である。
(ロ)下部アイドル軸受板の裏面図である。
【図10】掘削撹拌軸を3本に変換した状態のギヤボックス部分の拡大正面図である。
【符号の説明】
2 マスト
4 回転駆動装置
7 掘削撹拌軸
7’ 中間掘削撹拌軸
10 ギヤボックス
11 モータ
14 駆動歯車
15 出力軸
15’ 中間出力軸
16’ 上部中間軸受板
17’ 下部中間軸受板
18 連動歯車
18’ 中間連動歯車
22 アイドル軸
23 アイドル歯車
24 上部アイドル軸受板
25 下部アイドル軸受板
Claims (2)
- ギヤボックス内に3本以上奇数本の出力軸を互に平行で回転自在に支持すると共に各出力軸に固定された連動歯車を一連にかみ合わせ、上記連動歯車列に1又は複数のモータの駆動歯車をかみ合わせてなる回転駆動装置をマストに昇降自在に支持し、上記各出力軸に掘削作業軸をそれぞれ着脱自在に接続した多軸掘削作業機において、
上記一連の出力軸における中間出力軸を上記ギヤボックスに着脱自在に支承し、
上記中間出力軸及びその中間連動歯車との交換部材として、上記残りの連動歯車と係脱自在であって該残りの連動歯車を隣り同志反対方向へ回転させるためのアイドル歯車及びそのアイドル軸と、上記アイドル歯車軸を上記ギヤボックスに着脱自在に支承する手段と、を備えた、
多軸掘削作業機における軸数変換構造。 - 請求項1の多軸掘削作業機において、中間軸を外し、残りの掘削作業軸を、軸に硬化液案内孔を縦通した大径の掘削撹拌軸につけ替え且つ該掘削撹拌軸を隣り同志反対方向へ回転するようにした複数軸掘削撹拌機を使用して、
軟弱地盤に複数連続大径縦孔を掘削しつつ掘削土砂を撹拌することと、
上記硬化液案内孔を通して上記連続縦孔内に硬化液を注入して掘削土砂と混練することと、
からなる大面積地盤改良工法。
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JP2001198586A JP3785613B2 (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | 多軸掘削作業機における軸数変換構造及び地盤改良工法 |
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