JP3785535B2 - 溶接装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、溶接装置、とくに、鋼板同士の突き合せ溶接に用いられるのに適している溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の溶接装置としては、溶接ヘッドがロボットによって移動させられるようになされているものが知られている。また、他の溶接装置としては、溶接ヘッドがNC制御装置によって移動させられるようになされているものが知られてい
る。
【発明が解決しようとする課題】
溶接ヘッドの移動をロボットによって行う場合、溶接予定ラインからの溶接ヘッドのずれとして、±0.5mm程度の誤差は避けられなかった。そのため、±0.1mm程度の精度を必要とする精密溶接には用いることができなかった。
【0003】
一方、溶接ヘッドをNC制御装置によって制御する場合、XYZの3軸方向の走行装置を必要とするため、精度を出し難く、かつ、走行装置が大がかりとなるため、NC制御装置そのものが高価であり、設備費の点で難があった。
【0004】
この発明の目的は、溶接ヘッドを溶接予定ラインにそって精度良く移動させることができ、しかも、安価な溶接装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明による溶接装置は、溶接ヘッドと、溶接ヘッドが取付られた手を有するロボットと、溶接予定ラインと直交する方向の溶接ヘッドの移動を機械的に拘束しながら溶接ヘッドをガイドするガイド手段とを備えているものである。
【0006】
この発明による溶接装置では、溶接ヘッドがロボットによって移動させられ、移動させられる溶接ヘッドの溶接予定ラインと直交する方向の移動がガイド手段によって機械的に拘束される。したがって、溶接ヘッドが溶接予定ラインからずれることなく、溶接ヘッドを溶接予定ラインにそって精度良く移動させることができる。
【0007】
さらに、溶接予定ラインがそれぞれに設定される2つの溶接ステーションがロボットを挟んでその両側に設けられており、両溶接ステーションにガイド手段がそれぞれ設けられていると、2つの溶接ステーションに対して、1つのロボットによって溶接ヘッドを交互に搬入して溶接動作が行われる。したがって、一方の溶接ステーションで溶接動作を行う間に、他方の溶接ステーションで溶接準備動作を行うことができるため、溶接動作を高速で効率よく行うことができる。しかも、2つの溶接ステーションに対して、ロボットおよび溶接ヘッドは1つだけあればよいため、設備費が安価で済む。
【0008】
また、ガイド手段が、溶接ヘッドが垂直方向の移動は自由とするが、水平方向の移動は拘束するように係合離脱自在に係合されかつ溶接予定ラインと平行にのびたX方向ガイド溝が設けられているキャリヤと、X方向ガイド溝に摺動自在にはめ合わされたX方向ガイド溝およびX方向と直交する方向に平行にのびたY方向ガイド溝が設けられている可動フレームと、Y方向ガイド溝に摺動自在にはめ合わされたY方向レールが設けられている固定ベースとを備えていると、溶接ヘッドがX方向およびY方向の2方向に移動させることが可能となる。そのため、溶接予定ラインを、一文字状のみならず、L字状、H字状、十文字状等の複雑な形状にも設定することができ、複雑な溶接動作にも対応することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照してつぎに説明する。
【0010】
以下の説明において、前後とは、図1を基準として、その下側を前、これと反対側を後といい、左右とは、前方から見て、その左右の側を左右というものとする。また、前後方向をX方向、左右方向をY方向ともいう。
【0011】
図1を参照すると、溶接装置は、センターユニット11C、レフトユニット11Lおよびライトユニット11Rを有している。
【0012】
センターユニット11Cは、平面より見て、前後方向に細長い方形枠組み状センターボディ21と、センターボディ21の頂部に設けられ互いに平行に前後方向にのびた左右一対の水平センターレール22と、両センターレール22にまたがって前後方向に移動自在に支持されている水平可動板23と、可動板23上に搭載されているロボット24とを備えている。
【0013】
図2を参照すると、ロボット24は、6軸多関節型のもので、ベース31、旋回ボディ32、第1アーム33、第2アーム34および手35よりなる。
【0014】
ロボット24の手35には逆L字状ブラケット42が取付られている。ブラケット42の水平部下面には係合ピン43が下方突出状に設けられている。ブラケット42の垂直部下端には、YAGレーザ溶接機の溶接ヘッド44が下向きに取付られている。
【0015】
レフトユニット11Lおよびライトユニット11Rは、溶接ステーションをそれぞれ構成し、かつ、左右の向きは異にするが、同一構造のものである。以下、ライトユニット11Rについて説明する。
【0016】
ライトユニット11Rは、平面より見て、左右方向に細長く、センターボディ21の長さよりも若干小さい幅をもつ方形枠組み状ライトボディ51と、ライトボディ51の頂部に左右方向に移動自在に支持されている前後方向に長い水平方形状可動フレーム52と、可動フレーム52に前後方向に移動自在に支持されているキャリヤ53とを備えている。
【0017】
ライトボディ51は、方形状ベッド61と、ベッド61の四隅に立てられている4つの柱62と、柱62上端に載せられている方形状上枠63とよりなる。
【0018】
上枠63は、互いに平行に左右方向にのびた前後一対の水平枠部材71F、71Bを有している。
【0019】
ベッド61上面には位置決めジグ72が備えられている。ジグ72の上には2枚の板状ワークW1、W2が溶接されるべき縁部を突き合わせて左右に並んで載せられている。溶接予定ラインをLで示しているが、これは、前後方向にのびている。溶接可能な板の厚さは、0.6〜2.3mm程度である。2枚の板の厚さは、異なっていてもよい。
【0020】
両前後枠部材71F、71Bの下面には、あり状の横断面をもった前後一対のY方向レール81F、81Bが枠部材長さ方向と平行にそれぞれ設けられている。
【0021】
可動フレーム52は、平面より見て、前後方向に長い方形枠状のもので、前後Y方向レール81F、81Bにそってのびた前後一対の短尺状枠部材91F、91Bと、前後枠部材91F、91Bの対応する端部に渡されている左右一対の長尺状枠部材92L、92Rとを備えている。
【0022】
後枠部材91Bの上面には2つの後Y方向摺動案内部材93Bが設けられている。後Y方向摺動案内部材93Bには、後Y方向レール81Bにはめ合わされた後Y方向ガイド溝(図示略)がそれぞれ形成されている。前枠部材91Fの上面には、前Y方向レール81Fにはめ合わされた前Y方向ガイド溝をもった2つの前Y方向摺動案内部材93Fが設けられている。
【0023】
左右枠部材92L、92Rの上面には、左右一対の水平X方向レール111L、111Rが互いに平行に前後方向にのびるように設けられている。
【0024】
キャリヤ53は、中央にへッド挿入用開口121をもつ水平方形体状のもので、前後一対のY方向辺部122F、122Bおよび左右一対のX方向辺部123L、123Rよりなる。
【0025】
キャリヤ53下面の左縁部には前後一対の左X方向摺動案内部材124Lが設けられるともに、キャリヤ53下面の右縁部には前後一対の右X方向摺動案内部材124Rが設けられている。
【0026】
つぎに、溶接動作を説明する。溶接動作を開始する前に、平面より見て、ロボット24のアーム33、34が溶接予定ラインLの長さの中間点で直交させられるように可動板23は位置決めされている。可動板23の移動手段および位置決め手段は、図示していない。可動フレーム52は、図示しないY方向位置決め装置により、溶接予定ラインLと対応するように位置決めされている。キャリヤ53は、図示しないX方向位置決め装置により、溶接開始位置と対応するように位置決めされている。
【0027】
溶接動作は、レフトユニット11Lおよびライトユニット11Rで交互に行われ、一方のユニットで溶接動作を行う間に、他方のユニットではワークW1、W2の般出入が行われる。
【0028】
これからライトユニット11Rで溶接動作を行うものとする。搬入されたワークW1、W2がジグ72上に載せられると、ジグ72によってワークW1、W2を、突き合わせ縁部が溶接予定ラインLと合致するように位置決め固定する。
【0029】
そうすると、今までレフトユニット11Lで溶接動作を行っていた溶接ヘッド44をロボット24によってレフトユニット11Lからライトユニット11Rに移動させ、係合ピン43をX方向ピン孔142にはめ入れ、溶接ヘッド44とキャリヤ53を係合させる。
【0030】
キャリヤ53の位置決めを解除し、キャリヤ53の移動を自由とすると、ロボット24の旋回ボディ32を旋回させるとともに、アーム33、34を屈伸させてキャリヤ53をX方向レール111L、111Rにそって移動させる。この間に、溶接ヘッド44からレーザが溶接予定ラインLを順次伝って照射される。これにより、ワークW1、W2の突き合わせ縁部が溶接される。
【0031】
キャリヤ53が溶接終了点に達すると、キャリヤ53を停止しさせかつレーザの照射を停止させる。X方向位置決め装置により、キャリヤ53を再び位置決めすると、係合ピン43をX方向ピン孔142から抜き去って、溶接ヘッド44とキャリヤ53の係合を解除する。ロボット24は溶接ヘッド44をレフトユニット11Lへ移動させる。
【0032】
キャリヤ53は位置決めされたままで、次回のサイクルまでその位置に待機させられる。次回のサイクルではキャリヤ53は前後逆向きに移動させられる。
【0033】
以上は、溶接ラインが一文字状の場合である。例えば、溶接ラインがL字状である場合、溶接動作が一文字状溶接ラインの終端まで完了すると、キャリヤ53を停止しさせかつレーザの照射を停止させる。先と同じように、X方向位置め装置により、キャリヤ53を再び位置決めする。ここで、一旦、溶接ヘッド44を持上げて係合ピン43をX方向ピン孔142から抜き去り、溶接ヘッド44を垂直線のまわりに時計方向・反時計方向のいずれかに90度回転させた後、今度は、係合ピン43を前後Y方向ピン孔152F、152Bのいずれかにはめ入れる。前後Y方向ピン孔152F、152Bの選択は、溶接ラインのパターンによる。
【0034】
上記により、溶接ヘッド44とキャリヤ53が再び係合されると、可動フレーム52の位置決めを解除する。ロボット24の作動により、可動フレーム52をY方向レール81F、81Bにそって移動させながら、溶接ヘッド44によるレーザ照射が再開される。溶接が完了すると、可動フレーム52を停止させかつレーザの照射は停止される。可動フレーム52とキャリヤ53は係合されたままにしておいて、ロボット24により溶接ヘッド44はレフトユニット11Lへ移動させられる。
【0035】
ワークW1、W2の種類が変更され、溶接予定ラインが新たに設定されると、新たな溶接予定ラインに対応するように位置決め装置による位置決め位置が新たに設定される。
【0036】
冒頭で説明したように、ロボット24のみによって溶接ヘッド44を移動させる場合、溶接予定ラインLからの溶接ヘッド44のずれとして、±0.5mm程度の誤差がともなうが、その誤差を、±0.1mm以下に抑えるようにキャリヤ53の移動をX方向レール111L、111Rによって拘束することが可能となる。そうすると、溶接ヘッド44の自由な移動と、X方向レール111L、111Rに拘束されながらの移動との間にはずれが生じる恐れがある。そのずれが生じると、キャリヤ53とX方向レール111L、111Rの間に無理な力が生じ、キャリヤ53の円滑が移動が望めないが、そのずれを、図示しない吸収手段で吸収するようにすれば、キャリヤ53の円滑な移動が可能となる。
【0037】
また、ロボット24を駆動するモータは、その発生するトルク上限を設定するように制御される。
【0038】
上記においては、溶接時に、ロボット24は定位置に位置決めされている。これに代わり、溶接時に、可動板23を、モータおよびボールねじ機構等の駆動手段で移動させることにより、可動板23とともにキャリヤ53を移動させるようにしてもよい。そうすると、溶接ヘッド44のX方向の移動は、駆動手段のみで行えるし、Y方向の移動は、ロボット24の旋回ボディ32は旋回させることなく、アーム33、34の屈伸のみで行える。そのため、溶接時のロボット24の負担が低減させられる。
【0039】
【発明の効果】
この発明によれば、溶接ヘッドを溶接予定ラインにそって精度良く移動させることができ、しかも、安価な溶接装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による溶接装置の平面図である。
【図2】同溶接装置の正面図である。
【図3】同溶接装置のライトユニットの平面図である。
【図4】同ライトユニットの正面図である。
【符号の説明】
24 ロボット
35 ロボット手
44 溶接ヘッド
81F、81B Y方向レール
94B Y方向ガイド溝
111L、111R X方向レール
124L、124R X方向ガイド溝
L 溶接予定ライン
Claims (3)
- 溶接ヘッド44と、溶接ヘッド44が取付られた手35を有するロボット24と、溶接予定ラインLと直交する方向の溶接ヘッド44の移動を機械的に拘束しながら溶接ヘッド44をガイドするガイド手段とを備えている溶接装置。
- 溶接予定ラインLがそれぞれに設定される2つの溶接ステーションが、ロボット24を挟んでその両側に設けられており、両溶接ステーションにガイド手段がそれぞれ設けられている請求項1に記載の溶接装置。
- ガイド手段が、溶接ヘッド44が垂直方向の移動は自由とするが、水平方向の移動は拘束するように係合離脱自在に係合されかつ溶接予定ラインLと平行にのびたX方向ガイド溝124L、124Rが設けられているキャリヤ53と、X方向ガイド溝124L、124Rに摺動自在にはめ合わされたX方向レール111L、111RおよびX方向と直交する方向と平行にのびたY方向ガイド溝93Bが設けられている可動フレーム52と、Y方向ガイド溝93Bに摺動自在にはめ合わされたY方向レール81F、81Bが設けられている固定ベース51とを備えている請求項1または2に記載の溶接装置。
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