JP3784499B2 - パージング剤およびパージング方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱可塑性樹脂、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと記す)を含む熱可塑性樹脂を溶融成形する装置において、溶融流路内に残存するEVOHをすみやかに排出できるパージング剤であって、熱可塑性樹脂を再度流路内に導入した場合に、該パージング剤の残存による製品不良ロスが大巾に低減されるパージング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
EVOHは、今日、食品等の包装用フィルム、容器として広く用いられている。特に酸素に対するバリアー性が必要な食品や保香性を必要とする製品などに対する包装容器の分野において、その有効性が認められている。
【0003】
しかし、EVOHを用いて溶融押出し成形を行なう場合、長時間運転を行なうと、樹脂流路内の滞留部分などでEVOHのゲル化や分解が生じ、製品中にブツやゲル状物が混入したり、厚みムラやスジ等の発現による外見不良が生じる事がある。また運転を停止した後に再度運転を開始する場合、樹脂流路内でゲル化や発泡分解が生じ、黄変化したEVOHが長期にわたり排出されるため、正常な製品を採取するのに多大な時間と格外ロス品が生じてしまう。最悪の場合、装置流路内を分解掃除する必要がある。
【0004】
また、EVOHを成形した後に、他の樹脂に切り替える場合においても同様の問題が生じる。ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等の各種樹脂、あるいはエチレン含量等の異なる他のEVOHに切り替える場合においても、成形機内に残存するEVOHおよびゲル化物が長時間にわたり排出され、正常な製品が採取されるまでに多大な時間と格外品のロスを生じることになる。なかでも、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等のEVOHと反応しやすい樹脂に切り替えるときには、特に問題が生じやすい。
【0005】
これらの問題点を解決するため、長時間運転中にブツ、スジ等の異常が発生した場合、あるいは運転を停止する場合、EVOH樹脂の流路内を、たとえば高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)等で置換(パージング)する方法が採用されている。
【0006】
特にパージングの効率を上げるため、パージング剤のメルトフローレート(190℃、2160g荷重に測定)が0.05〜10g/10分程度の低い値を示す樹脂を使用する方法、段階的にメルトフローレートの低い樹脂に切り替える方法、押出温度を下げる方法あるいは吐出量を増す方法等の各種の処置が取られている。
【0007】
しかしながら、上記各種のパージング方法は複雑であったり、多くの時間とパージング剤が必要である。しかも、パージング完了後に流路にEVOHを導入して再立上げを行なう場合、パージング剤が長期間製品中に残存し、正常な製品が採取可能になるまでに多大の時間が必要である。特にEVOHと共押出、共射出して得られる多層構造体の透明性が要求されるPS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等との多層構造体においては、パージング剤によるブツやゲル状物の混入が問題である。また、延伸操作が加わる多層構造体においては、ブツやゲル状物により延伸時にEVOH層が破れて発生するピンホールが問題となる。
【0008】
また、EVOH流路内の滞留ゲル状物を除去するには、パージング剤のメルトフローレートが低いほど効果的であるが、EVOHで再立上げを行なった場合にパージング剤の排出が容易でなく、長時間残存し、製品中に混入する。この対策としてEVOHで再立上げする場合にパージング剤のメルトフローレートを段階的に増す方法も一部で採用されているが、操作が煩雑であり、時間及びパージング剤の量が非常に多くなり効果的でなかった。
【0009】
また、EVOHを溶融成形する際にポリアミドとポリエーテルエラストマーをブレンドした樹脂をパージング剤として用いると、EVOHで再立上げしてから製品が得られるまでの時間が短いことが特開平1−178545号に記載されている。この方法は優れた効果を有しているが、いまだ充分とはいえない。
【0010】
さらに、含まれる酸性物質と金属塩との添加比率を調節したEVOH樹脂をパージング剤として用いると、EVOHで再立上げしてから製品が得られるまでの時間が短いことも特開平5−269754号に記載されている。この方法も優れた効果を有しているが、樹脂流路内に滞留した付着樹脂量の除去率が悪い。また、ポリオレフィンに金属塩等を配合したパージング剤を使用する方法も特開平5−279518号に記載されている。これらの方法は優れた効果を有しているが後述する比較例からも明らかなように、溶融成形、パージング剤の投入の操作を繰返し、長期間運転した場合、樹脂流路内に滞留したゲル状付着樹脂量が次第に増え、そのために製品立上げまでの時間が長くなってしまう。
【0011】
一方、特開平2−308899号には特定のメルトフローレートの熱可塑性樹脂に一定量の水分を含有させた成形機用洗浄剤について記載されているが、EVOHについての記載はない。したがって、上述のようなEVOHに特有の溶融安定性の問題を解決することについての記載もない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
これらの点からEVOHを含む熱可塑性樹脂を溶融成形する際に、溶融流路内の滞留ゲル状物の除去が容易であるパージング剤であって、かつ再立上げ時に熱可塑性樹脂によるパージング剤の排出が容易なため短時間で製品化可能で、かつ長期間運転してもゲル状の付着量が少ないパージング剤の開発が重要な課題の一つである。
すなわち本発明の目的は、長時間運転時にEVOH流路内に付着するゲル状物の量を少なくし、かつ再立上げまでの時間を短くしたパージング剤を提供することにある。
【0013】
【発明の実施の形態】
前記目的は、チレン−ビニルアルコール共重合体を含有する熱可塑性樹脂、沸点が300℃以下の低沸点化合物を熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%および金属塩を金属換算で熱可塑性樹脂に対して0.0005〜0.5重量%含有し、下記式(1)および(2)を満足するパージング剤を用いる事で達成される。
20≧BT(120)≧0.1 (1)
500≧BT(250)/BT(120)≧1.5 (2)
但し、BT(120)・・・120℃(窒素中)24時間加熱後の重量減少率(%)
BT(250)・・・250℃(窒素中)6時間加熱後の重量減少率(%)
このとき、沸点が300℃以下の低沸点化合物が水であること、また無機微粉末を0.01〜20重量%含むことも好適な態様である。
【0014】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む熱可塑性樹脂を溶融押出装置により成形後、上記パージング剤を用いて、溶融流路内に残留するエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む熱可塑性樹脂を置換するパージング方法を採用することでも達成される。
【0015】
本発明のパージング剤によれば、EVOHを含む熱可塑性樹脂を溶融成形する装置において、溶融流路内に残存する熱可塑性樹脂をすみやかに排出でき、かつ熱可塑性樹脂を再度、流路内に導入した場合、パージング剤自身の排出を短時間で行なうことができるため、パージング剤の残存による製品ロスを大幅に低減することができる、さらにまた溶融成形、パージング剤の投入の操作を繰返しても、溶融成形装置内の付着物は微量であり、そのために製品立上げまでの時間は長くならない。
効果発現の詳細な機構は不明であるが、押出機内で加熱発泡したパージング剤が異常な流動を示し、溶融流路内に残存するEVOH、および滞留付着によりゲル化した樹脂をすみやかに排出するものと推定される。
【0016】
【発明の実施の形態】
下記式(1)、(2)を満足し、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むパージング剤を用いることにより、後述の実施例に示すとおり、優れた効果が奏せられる。
20≧BT(120)≧0.1 (1)
500≧BT(250)/BT(120)≧1.5 (2)
但し、
BT(120)・・・120℃(窒素中)24時間加熱後の重量減少率(%)
BT(250)・・・250℃(窒素中)6時間加熱後の重量減少率(%)
【0017】
ここで、BT(120)は0.1%以上であり、好適には0.2%以上、より好適には0.5%以上、最適には1.0%以上である。0.1%未満ではパージングの効果が不十分となる。また、BT(120)は20%以下であり、好適には10%以下であり、より好適には5%以下である。20%を超えると発泡が激しすぎるためか樹脂の流れが不均一になり、十分なパージング効果が得られない。
【0018】
一方、BT(250)/BT(120)は1.5以上であり、好適には2以上、より好適には3以上である。1.5未満では、パージング後の正常な製品が製造可能になるまでの時間がかかりすぎるため好ましくない。また、BT(250)/BT(120)は500以下であり、好適には400以下、より好適には300以下である。500を越えるとパージング中にパージング剤自身の粘性が低下しすぎるため、十分なパージング効果が得られない。
【0019】
ここで、重量減少率は樹脂1gを10mlガラス管に窒素雰囲気下投入し、封管した後、所定の温度/時間で加熱処理を行い、その後、開封して得た樹脂重量{a(g)}より重量減少率{(1―a)×100(%)}を算出した値である。
【0020】
本発明においてパージング剤のベースポリマーとして用いる熱可塑性樹脂としては、EVOHを含む樹脂あるいは樹脂組成物であればよく、EVOH単独でもよいし、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど各種樹脂とブレンドした樹脂組成物を用いてもよい。
【0021】
これらのうちでも特に、EVOH樹脂単独での使用が好適である。EVOHと他の熱可塑性樹脂とのブレンド物を用いたときには、EVOH樹脂単独を用いたときと比較して、一般的にコスト面で有利となるが、パージング効果が低下する場合があり、製品の立ち上がりまでの時間も長くなる傾向にある。コスト面も含めて総合的に判断した場合、EVOH樹脂単独をベースポリマーとして用いることが、パージング性能に優れ、好適である。
【0022】
本発明のパージング剤のベースポリマーとして有効なEVOHとしては、エチレン含有量15〜70モル%、好適には20〜65モル%、酢酸ビニル成分のけん化度は90%以上、好適には95%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物があげられる。その際、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸、アルキルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、N−ノルマルブトキシメチルアクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド類あるいはその4級化物、N−ビニルイミダゾールあるいはその4級化物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等の少量の共重合モノマーで変性されていてもよい。また、EVOHの溶融粘度等の調節剤として、ホウ酸、ホウ酸金属塩、ホウ酸エステル、ホウ素錯体等のホウ素系化合物を、さらに熱安定性、酸化防止性を付与し、色相を改善するためには、前記した金属塩、あるいは酸を添加することが有効である。
【0023】
また、ブレンド組成物としてはEVOHとポリオレフィンとのブレンドが好適である。特に、EVOHに、EVOHと比較して1〜1/100倍程度、好適には1/5から1/90倍程度のメルトフローレート(190℃、2160g荷重)を有する高粘度のポリオレフィン、たとえば高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)を、EVOH/ポリオレフィン=1/99〜99/1の重量比率でブレンドした樹脂は、後述する実施例からも明らかなように、ゲル付着物の除去が容易になる。EVOH/ポリオレフィンの好適な重量比は5/95〜95/5、より好適には10/90〜90/10である。
【0024】
ベースポリマーとして前記熱可塑性樹脂を用い、かつ本発明の必須要件である式(1)〜(2)を満足するパージング剤を得る方法としては、以下のa)とc)とを併用する方法、またはb)とc)とを併用する方法がげられる。
【0025】
a)沸点が300℃以下、好適には280℃以下、より好適には250℃以下の低沸点化合物で、例えば水、アルコール化合物(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等)、多価アルコール系化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)などを熱可塑性樹脂に対し0.1〜20重量%添加する方法。添加量の下限は0.1重量%以上、好適には0.2重量%以上、より好適には0.5重量%以上、最適には1.0重量%以上である。0.1重量%未満ではパージングの効果が不十分となる。また、添加量の上限は20重量%以下であり、好適には10重量%以下であり、より好適には5重量%以下である。20重量%を超えると発泡が激しすぎるためか樹脂の流れが不均一になり、十分なパージンク効果が得られない。
低沸点化合物のなかでも水を添加することが、安全性、コスト等の面から最も好ましい。水をパージング剤に含有させる方法としては例えば、二軸押出機を用いて溶融樹脂中に水を投入し低温下でペレット化する方法、吸水させたEVOHを低温下で二軸押出機に投入しペレット化する方法、あるいはペレット化した後に水に浸漬する方法、水を噴霧する方法、高湿度雰囲気下に放置する方法などが挙げられる。
【0026】
b)低沸点化合物(前記水、アルコール、多価アルコール化合物等)を多量に吸収させた担体(吸水ゲル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)を、低沸点化合物が熱可塑性樹脂に対し0.1〜20重量%になるように、1〜40重量%添加する方法。
【0027】
c)金属塩(カルボン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、塩化物など)を金属換算で0.0005〜0.5重量%含有させる方法。
なかでも、アルカリまたはアルカリ土類金属塩、特にアルカリ土類金属カルボン酸塩(酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなど)に代表されるアルカリ土類金属塩を添加することが好ましい。添加量としては、金属重量換算で0.0005〜0.5重量%、好適には0.001〜0.5重量%、より好適には0.01〜0.5重量%である。さらに、これらの金属塩に加えて酸またはアルカリ(酢酸、アジピン酸、リン酸二水素カリウム、苛性ソーダなど)を添加する方法も好ましい。
【0028】
さらに、EVOH流路内に滞留するゲル状物の除去率を向上する手段として、式(1)〜(2)を満足する熱可塑性樹脂に、さらに無機微粉末を0.01〜20重量%添加することがより好適である。改善効果発現の理由は定かではないが、無機微粉末はEVOH流路内に滞留するゲル状物を物理的にかき落とす効果があるものと推定される。
【0029】
本発明に用いる無機微粉末としては、ケイ素、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、マンガンなどおよびその酸化物、水酸化物、塩化物あるいはそれらの混合物などがあげられる。無機微粉末の粒径は特に限定されるものではないが、10μ以下が80重量%以上であることが好適であり、より好適には6μ以下が80重量%以上、最適には3μ以下が80%重量以上である。無機粉末の添加量としては、パージング剤のベースポリマーである熱可塑性樹脂に対し0.01〜20重量%、好適には0.02〜10重量%である。前記無機粉末のうち、酸化珪素、酸化チタン、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどが好適である。
【0030】
パージング剤が使用される溶融押出装置に関しては特に限定されるものではなく、たとえば単層フィルム押出機、単層インフレ押出機、共押出シート製膜機、共押出フィルム製膜機、共押出ブロー成形機、共射出成形機等に使用される。
【0031】
パージング剤の使用方法に関しては、通常EVOHを含む熱可塑性樹脂を供給する押出機ホッパー内の樹脂がなくなった後、押出機内に滞留している樹脂量の約6〜20倍量のパージング剤を投入する。この場合スクリュー回転数を増加させることが効果的である。パージング完了後熱可塑性樹脂での再立上げ方法としては、次にあげる3つの方法がある。
【0032】
a)パージング完了後直ちに熱可塑性樹脂で再立上げする方法。
b)パージング完了後押出機の温度はそのままでスクリュー回転だけ停止してパージング剤のメルトフローレートの上昇を待ち、熱可塑性樹脂で再立上げする方法。
c)パージング完了後降温停止(降温中にパージング剤のメルトフローレート上昇)し、再び昇温して熱可塑性樹脂で再立上げする方法。
なお、パージング完了後直ちにEVOHで再立上げするa)の方法を採用する場合、押出機の温度を少し上げた方がメルトフローレートの上昇が早く、より効果的である。
【0033】
ところで、本発明のパージング剤によりパージングされる樹脂としては、EVOHを含む樹脂であれば特に限定されるものではない。中でもEVOH単独からなる樹脂が好適なものとしてあげられる。EVOHとしては、パージング剤のベースポリマーとして用いられるものと同様のものを用いることができる。このとき、パージングされるEVOHと、パージング剤のベースポリマーに用いられるEVOHのエチレン含有量の差は小さい方が好ましく、30モル%以下、より好ましくは25モル%以下である。また、ケン化度の差も小さい方が好ましく、20%以下、より好ましくは15%以下である。エチレン含有量およびケン化度の差が小さい方が互いの親和性が大きく、より効果的にパージングできるからである。
【0034】
また、パージングされる樹脂としては、EVOH単独樹脂の他に、EVOHを含む樹脂組成物、たとえば、EVOHとポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどとの混合物もあげられる。
【0035】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに説明するが本発明はこれによってなんら限定を受けるものではない。
本実施例において、以下の項目については下記の通りの方法で測定を行った。
【0036】
・BT(120)およびBT(250)の測定法
外径24mmの試験管の内部に、試料がガラス壁に付着するのを防ぐためにテフロンフィルムを敷き、試料3gを精秤して投入した。この試験管を外径30mm、長さ170mmの鉄製パイプに入れ、窒素置換ボックス中で充分に窒素置換した後、ボックス内で鉄製上蓋をねじ込み密封した。
この鉄製パイプを所定の温度に設定した乾燥機に投入し、所定の時間加熱処理を行った後室温まで冷却してから開封した。開封後、90℃の真空乾燥機で16時間の乾燥を行い、デシケーター中で放冷した。得られた樹脂重量(熱処理後重量;g)を測定し、下記式によって重量減少率を測定した。
[{3−(熱処理後重量)}/3]×100 (%)
【0037】
・水分の測定法
三菱化成製カールフィッシャー式水分測定機(VA−06型、CA−03型)を用い、200℃で2分間サンプル投入装置を乾燥した後、試料1gを装置に投入し、200℃、2分間の加熱の後測定を開始し、終点に達した時の値を水分量として得た。
・フィルム膜面のブツ
第5回目の運転を開始してから1時間経過したときのフィルムをサンプルとし、10×10cmの範囲を観察し、肉眼で確認可能なブツの個数をカウントした。
・フィルム膜面のスジ
第5回目の運転を開始してから1時間経過したときのフィルムをサンプルとし、40cm幅の範囲を観察し、肉眼で観察可能なスジの本数を数え、以下のA〜Eの5段階で評価した。
A;0〜2本/40cm幅
B;3〜9本/40cm幅
C;10〜29本/40cm幅
D;30〜99本/40cm幅
E;100〜本/40cm幅
【0038】
実施例1
エチレン含量31モル%、ケン化度99.4%、メルトフローレート1.3g/10分(190℃、2160g荷重)であり、酢酸0.02重量%、カルシウム塩20ppm(金属重量換算)、マグネシウム塩10ppm(金属重量換算)を含有するEVOH粉末にステアリン酸マグネシウム(MgSt)2重量%(金属換算で0.08重量%)および水1.4重量%を二軸押出機を用いて180℃で溶融混練した。吐出樹脂は80℃、4kg/cm2の加圧水下アンダーウォーターカッターにて粒状に固化させた後、遠心脱水機で付着水を除去し、さらに80℃で1時間ペレット表面水の除去を行った。得られたパージング剤の含水率は1.3重量%、BT(120)=1.3%、BT(250)=35%であった。
【0039】
40φ一軸押出機(インフレダイス径150mmφ、押出温度230℃、吐出量20Kg/hr)にEVOH{エチレン含有量31モル%、けん化度99.4%、メルトフローレート1.3g/10分(190℃、2160g荷重)}を投入し、50μのEVOH単層フィルムを製膜したところ、105時間目よりスジあるいはブツの発生が顕著に認められるようになった。そこで上記運転条件下、押出機に上記パージング剤を吐出量20kg/hrで約30分投入した後運転を停止した。
なお、ここで、スジあるいはブツの発生が顕著に認められたというのは、具体的にはブツの発生個数が300個/100cm2以上あるいはスジの発生本数がE判定になる本数に達したときのことをいう。
【0040】
翌日、再び昇温後EVOHに切替えたところ、60分後よりスジおよびブツのない良好な製品フィルムが得られた(1回目)。ここで、製品フィルムが得られるようになった時間の判断については、ブツの発生個数が300個/100cm2以下あるいはスジの発生本数がD判定になる本数に減少したときを、製品フィルムが得られるようになったときとした。
その後、製膜を続けたところ、100時間目よりスジおよびブツが認められるようになったので、前記と同様のパージング剤を投入した後運転を停止した。翌日再び昇温後EVOHに切替えたところ62分後よりスジおよびブツのない良好な製品フィルムが得られた(2回目)。同様の操作を繰返したところ、98時間目よりスジおよびブツが認められ、再立上げ65分より良好なフィルムが得られた(3回目)。さらに4回目および5回目の操作を繰返した。その結果を表2に示す。
【0041】
また5回目の操作を終了した後、押出機およびダイスに付着した樹脂を定量するため、押出機(吐出量20kg/hr)にLDPEを投入し1時間運転後押出機を停止、分解掃除を行った結果、スクリュ−付着物は1.6g、ダイス付着物は2.5gと非常に微量であった。
【0042】
実施例2〜8、比較例2〜8
パージング剤の種類を表1に示すとおり変更し、それ以外は実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。なお、パージング剤のベース樹脂、添加剤については、以下に示すものをそれぞれの実施例、比較例において使用した。
【0043】
・EVOH−1;
エチレン含量31モル%、ケン化度99.4%、メルトフローレート1.3g/10分(190℃、2160g荷重)
酢酸0.02重量%、カルシウム塩20ppm(金属重量換算)、マグネシウム塩10ppm(金属重量換算)含有
・EVOH−2;
エチレン含量31モル%、ケン化度99.4%、メルトフローレート1.3g/10分(190℃、2160g荷重)
酢酸0.1重量%、カルシウム塩80ppm(金属重量換算)、マグネシウム塩50ppm(金属重量換算)、リン酸二水素カリウム120ppm含有
・LDPE;
三井石油化学製低密度ポリエチレン「ミラソン102」、メルトフローレート0.8g/10分(190℃、2160g荷重)
・PP;
東燃石油化学製ポリプロピレン「FH1015B」、メルトフローレート0.6g/10分(190℃、2160g荷重)
・コロイダルシリカ;
富士シリシア化学製コロイダルシリカ「サイリシア430」、平均粒子径(コールターカウンターによる平均粒子径)2.5μm
【0044】
比較例1
パージング剤を使用せずに停止、再開を繰り返した以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003784499
【0046】
【表2】
Figure 0003784499
【0047】
【発明の効果】
本発明のパージング剤によれば、EVOHを含有する熱可塑性樹脂を溶融成形する装置において、溶融流路内に残存する熱可塑性樹脂をすみやかに排出でき、かつ熱可塑性樹脂を再度、流路内に導入した場合、パージング剤自身の排出を短時間で行なうことができるため、パージング剤の残存による製品ロスを大幅に低減することができる。
さらにまた溶融成形、パージング剤の投入の操作を繰返しても、溶融成形装置内の付着物は微量であり、そのために製品立上げまでの時間は長くならない。

Claims (4)

  1. チレン−ビニルアルコール共重合体を含有する熱可塑性樹脂、沸点が300℃以下の低沸点化合物を熱可塑性樹脂に対して0.1〜20重量%および金属塩を金属換算で熱可塑性樹脂に対して0.0005〜0.5重量%含有し、下記式(1)および(2)を満足するパージング剤。
    20≧BT(120)≧0.1 (1)
    500≧BT(250)/BT(120)≧1.5 (2)
    但し、BT(120)・・・120℃(窒素中)24時間加熱後の重量減少率(%)
    BT(250)・・・250℃(窒素中)6時間加熱後の重量減少率(%)
  2. 沸点が300℃以下の低沸点化合物が水である請求項1記載のパージング剤。
  3. 無機微粉末を0.01〜20重量%含む請求項1または2に記載のパージング剤。
  4. エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む熱可塑性樹脂を溶融押出装置により成形後、請求項1ないし3のいずれかに記載のパージング剤を用いて、溶融流路内に残留するエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む熱可塑性樹脂を置換するパージング方法。
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