JP3784039B2 - プラズマトーチ及びその部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマアーク溶接などのプラズマ加工用のトーチに関する。
【0002】
【従来の技術】
狭い場所へも挿入できるように、ちょうど削った鉛筆の先端部のように細長円錐形の先端部を有した「ペンシル形」のプラズマ溶接トーチが知られている(例えば、実開平4−108976号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プラズマ加工中、トーチの先端部分にある電極とノズルは最も高温になり、よって消耗も大きい。そこで、この電極とノズルを液冷することが一般に行われている。特にノズルは電極に比べて発熱量が大きくサイズも大きいので、大きい冷却液流路を必要とする。しかし、従来のペンシル形のトーチは先端へ近づくほど細くなっているため、ノズル用の冷却液路も同様に細く設計せざるを得ない。従って、ノズルの十分な冷却が難しい。
【0004】
従って、本発明の目的は、狭い場所への挿入が可能で且つノズルの冷却も容易なプラズマトーチを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマトーチは、アーク吹き出し口をもったノズルと、このノズルの外側に被せられてノズル外周に水ジャケット領域を形成するキャップと備える。そして、キャップは、所定の外径を有してトーチ軸方向に延びるキャップ基端部と、このキャップ基端部より細いほぼ一定の外径を有してトーチ軸方向に延びるキャップ先端部と、このキャップ基端部とキャップ先端部とを繋ぐキャップテーパ部とを有する。
【0006】
プラズマトーチの外形状はキャップの外形状で大体決まるが、本発明のプラズマトーチでは、キャップ先端部が基端部より細いため、従来のペンシル形トーチと同様に狭い場所への挿入が可能である。それに加え、キャップ先端部の外径が、ペンシル形トーチのように先端へ向かってテーパするのでなく、ほぼ一定に維持されているので、キャップ先端部内にノズル冷却に必要な面積の水ジャケット領域を確保することが、ペンシル形トーチより容易である。
【0007】
水ジャケット領域を確保する目的から、ノズルも、一定の外径を有してトーチ軸方向に延びるノズル基端部と、ノズル基端部より細いほぼ一定の外径を有してトーチ軸方向に延びるノズル先端部と、ノズル基端部と前記ノズル先端部とを繋ぐノズルテーパ部とから構成されることが望ましい。このノズルは、要するにその外形状がキャップの外形状を継承しているから、その外周面はキャップの内周面とほぼ平行であり、よって、ノズル外周の水ジャケット領域がノズル先端に至っても狭くならない。従って、ノズルを良好に冷却することが可能である。
【0008】
また、ノズルの外周側は水ジャケットであるが、ノズルの内側やノズル基端部の基端側にはガス流路が存在するのが通常であるため、水ジャケットとガス流路とを隔離する構造が必要となる。その場合、上記のようにノズルの基端部が一定の外径を有していると、この一定外径のノズル基端部に筒体をOリングなどを介して密着状態で外嵌するといった簡単な構造で、水ジャケットとガス流路とを確実に隔離することが可能である。
【0009】
ノズルは、キャップの先端部からテーパ部までの部分内に収容できる長さであることが望ましい。これにより、交換品たるノズル、ガイド及び電極棒のサイズを小さく抑えられるので、ランニングコストが節約できる。この観点において、上述したようにノズルの基端部が太くなっていることは、最も頻繁に交換される電極棒のサイズを特に短くすることができるという点で有利である。すなわち、ノズルの基端部が太くなっていると、その太い基端部内に、トーチ基端部から延び出ている電極台座を入り込ませるような設計が可能となる。そのような設計を採用すると、電極台座がノズル基端部内に入り込んだ分だけ、電極棒は短くて済むことになる。
【0010】
本発明のその他の目的及び解決手段は以下の説明の中で明らかにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態にかかるプラズマ溶接トーチ1の中心軸に沿った断面を示す。
【0012】
このトーチ1の基本的構造をまず説明する。
【0013】
トーチ1は全体としてほぼ円柱形状を呈しているが、これを外径の大きさの点から観ると基端部1Aと先端部1Cと、両部1A、1Cを繋ぐテーパ部1Bとに分けることができる。基端部1Aは、文字通りトーチ1の基端側の部分であって、これは大きい外径を維持しつつトーチ1軸方向に延びている。一方、先端部1Cは、トーチ1の先端側の部分であって、これは基端部1Aより明らかに小さい外径を有し、この小さい外径をほぼ一定で維持しつつトーチ1軸方向に延びている。また、テーパ部1Bは、基端部1Aから先端部1Cへと外径をに縮小して、基端部1Aと先端部1Cを繋いでいる。
【0014】
トーチ先端部1Cの中心軸位置に電極棒3が配置される。電極棒3は、銅のような熱伝導性のよい金属で作られている。この電極棒3の先端のメインアーク放電点となるべき箇所にチップ状の電極5が蝋接又は圧入といった方法で固定されている。チップ状電極5は、タングステンのような融点が高く且つ仕事関数の小さい金属で作られている。
【0015】
電極棒3は筒状のガイド7の内部に収容されている。このガイド7の内周面は電極棒3の外周面にフィットしている。トーチ基端部1A内の中心軸位置からテーパ部1C内へ円筒状の電極台座17が延び出ている。この電極台座17の先端部にガイド7の基端部が外嵌されている。また、ガイド7内の電極棒3の基端部が、電極台座17の先端面に当接及び先端部内部に嵌入されている。この構造により、電極棒3はトーチ先端部1Cの中心軸位置に固定される。
【0016】
ガイド7の外側に筒状のノズル9が被せられている。ノズル9は銅のような熱伝導性の良い金属で作られている。点火時にはノズル9と電極棒3間にアーク放電を生成するための高電圧が印加される。ノズル9の先端部は、電極棒3先端の電極5より更に先方へ延び出ており、その中心軸位置に、メインアークを吹き出すためのアーク吹き出し口19が開いている。このアーク吹き出し口19に、電極5の先端がノズル内部から望んでいる。前述したガイド7は、セラミックスのような耐熱性が高く且つ電気的絶縁性をもった材料、特に窒化珪素のように熱衝撃に強い材料で作られている。ガイド7の先端部は電極棒3の先端部より先方へ若干距離だけ延び出ており、チップ状電極5の頭部だけがガイド7先端部より僅かに先方へ突出している。従って、ガイド7は電極棒3のほぼ全部を包囲しており、それにより、電極棒3とノズル9間でパイロットアークが発生する可能性が完全に除去され、パイロットアークは電極5とノズル9との間でのみ発生する。
【0017】
ノズル9の内周面はガイド7の外周面に沿った形状を有しているが、両面間には狭い隙間21が設けられている。この隙間21はノズル9基端部の基端側に形成されているガス供給路23と連通していて、ガスを電極5の方へ送るガス通路として機能する。ガイド7先端部はスワーラとなっていて、電極5の周囲に配置された複数のガス噴出孔25を有する。ガス通路21を通ってガイド7先端部に送られてきたガスは、ガス噴出孔25から旋回流となって電極5の先方へ向けて吹き出す。このガス旋回流は、電極5の先端から出るメインアークの位置を、アーク吹き出し口19の中心を通るように安定させる役目を果たす。
【0018】
ノズル9の外周には金属製のキャップ11が被せられる。このキャップ11の基端部の外側には更に保護カバー13が被せられる。キャップ11は、トーチ1の先端部1C、テーパ部1B及び基端部1Aの一部を含む部分を覆っている。従って、最初に述べたトーチ1の外形状は、キャップ11の外形状に反映されている。すなわち、キャップ11の基端部はほぼ一定の大きい外径を維持して軸方向に延び、先端部は基端部より明らかに小さいほぼ一定の外径を維持して軸方向に延び、両部を繋ぐテーパ部は基端部から先端部へと外径を縮小している。キャップ11の内周面も外周面とほぼ平行な形状を有している。
【0019】
ノズル9は、キャップ11の先端部からテーパ部までの部分の内部に収容されている。ノズル9のサイズは当然にキャップ11より小さく、ノズル9外周面とキャップ11内周面との間に水ジャケット領域27が形成されている。この水ジャケット領域27は、ノズル9の(基端と先端の一部を除く)ほぼ全部の外周面を覆っている。ノズル9の外形状はキャップ11のそれをほぼ承継している。すなわち、ノズル9の基端部はほぼ一定の大きい外径を維持して軸方向に延び、先端部は基端部より明らかに小さいほぼ一定の外径を維持して軸方向に延び、両部をテーパ部が繋いでいる。従って、ノズル9の外周面とキャップ11の内周面とはほぼ平行である。このことは、トーチ先端部1Cの範囲ではノズル9の何れの箇所に対しても水ジャケット領域27の面積がほぼ一定で確保されていることを意味する。つまり、水ジャケットがトーチ先端側へ近づくほど薄くなるようなことはないのである。
【0020】
トーチ基端部1Aにはキャップ11の内径とほぼ同じ外径をもった円筒部材29があり、この円筒部材29の外周面には雄ネジ29Aが形成されている。キャップ11の基端部の内周面には雌ネジ11Aが形成されており、この雌ネジ11Aを円筒部材29の雄ネジ29Aに螺合させることにより、キャップ11がトーチ1に取り付けられる。キャップ11は、その内部のノズル9、ガイド7及び電極棒3をトーチ1に電極台座17に押し付け固定する役目も果たしている。従って、キャップ11を円筒部材29から外すと、ノズル9、ガイド7及び電極棒3のセットは電極台座17から引き抜くことで簡単に取り外せる。ノズル9、ガイド7及び電極棒3は消耗品であるため、随時に交換される。
【0021】
円筒部材29の先端部の内周面は、ノズル9の基端部の外周面に当接しており、両面の接触部にはOリング31が介装されている。このOリング31によって、ノズル9基端部の基端側に存在するガス供給路23とノズル9の外周に存在する水ジャケット領域27とが完全に隔離されている。円筒部材29の壁内には、ノズル9外周の水ジャケット領域27へ冷却水を供給するための水供給路33と、水ジャケット27から冷却水を排出するための水排出路35とが、トーチ中心軸について互いに対称な配置で形成されている。水供給路33の基端部には継ぎ手水路37が接続しており、水排出路35の基端部には冷却水をトーチ外へ導くための排水路39が接続されている。
【0022】
円筒部材29の内側空間のトーチ中心軸位置に、より細い別の円筒部材41が配置されている。この円筒部材41の先端部に、前述した筒状の電極台座17が螺合により固定されている。そして、前述したように電極台座17の先端部に電極棒3が取り付けられているが、この電極棒3の内部には、その基端から電極5の裏側の位置まで細長い空洞が形成されている。円筒部材41及び電極台座17の内部には、トーチ外からトーチ内へ冷却水を導くための給水パイプ43が挿入されている。この給水パイプ43の先端には細いニードルパイプ45が取り付けられており、このニードルパイプ45は電極棒3の空洞内へ、電極5の裏側近傍の位置まで深く挿入されている。電極棒3の空洞の内周面とニードルパイプ45の外周面との間には隙間47が設けられており、この隙間47は、冷却水が電極棒3を冷やしつつその先端から基端へと流れるための冷却水流路となる。給水パイプ43の外周面と円筒部材41及び電極台座17の内周面との間にも隙間49、51があり、この隙間49、51は、電極棒3から出てきた冷却水を継ぎ手水路37へ送るための冷却水流路となる。給水パイプ43の先端部のニードルパイプ45との接続箇所より僅かに上流側の位置に、給水パイプ43内と外側の隙間51とを連通する複数のショートカット孔53が開いている。円筒部材41と給水パイプ43間の隙間49は、その基端部において前述した継ぎ手水路37の入り口に接続され、これを通じて、前述した水ジャケット領域27への給水路33と連通している。
【0023】
以上の基本的構造のうち、特に注目すべき構造は次の4つである。1つ目は、トーチ1の外形状及びキャップ11とノズル9の形状である。2つ目は、ノズル9とガイド7と電極棒3と電極台座17の形状及び相互の位置関係である。3つ目は、ガイド7の先端部とと電極棒3の先端部の構造及び位置関係である。4つ目は、冷却水の配管構造である。以下、各点について詳細に説明する。
【0024】
図1に示した通り、トーチ1の外形状は、キャップ11の外形状が反映されたものであり、ほぼ一定の大きい外径をもつ基端部1Cと、ほぼ一定の小さい外径をもつ先端部1Cと、両部を繋ぐテーパ部1Bとから構成されている。トーチ先端部1Cの外径が小さいので、この先端部1Cを狭い場所へ挿入して作業を行うことができる。また、このトーチ先端部1Cつまりキャップ11先端部は、従来のペンシル形トーチのように先端へ近づくほど更に細くなるのではなく、一定の外径を維持して延びているから、キャップ11内部の領域が先端で極度に狭まるということがない。そして、キャップ11内部に格納されたノズル7の外形状にもキャップ11の外形状が継承されていて、ノズル9の外周面とキャップ11の内周面とはほぼ平行である。結果として、ノズル9外周の水ジャケット領域27がノズル9の何れの場所に対しても一定の面積で確保されるので、ノズル9を十分に冷却することができる。
【0025】
トーチ基端部1Aつまりキャップ11基端部は大きい外径を有しており、その内部に、給電や冷却水の給・排出などのための電気的及び機械的な諸構造が詰め込まれている。例えば、給水路33と排水路35をもった円筒部材29及び電極台座17がトーチ基端部1A内に配置されている。そして、この円筒部材29と電極台座17の先端部はテーパ部1B内にまで突出しており、そこに、ノズル9とガイド7と電極棒3のセットが取り付けられている。従って、交換部品であるノズル9とガイド7と電極棒3のそれぞれの長さは、トーチ1のテーパ部1Bと先端部1Cを合わせた長さ以下でよい。
【0026】
特に、最も頻繁に交換すべき電極3はかなり短くてよく、具体的には、図1から分かるように、トーチ先端部1Cの長さと同程度か又はそれより僅かに長い程度である。このように電極棒3が短くできる主な理由は、電極台座17の先端部がトーチ先端部1Cの入り口付近まで大きく突出しているからである。このような電極台座17の大きな突出を可能にしている1つの要因は、前述したキャップ11の形状であるが、第2の要因として、このキャップ11の形状をノズル9とガイド7が継承していることも挙げられる。すなわち、ノズル9は、トーチ(キャップ11)の先端部1C内に収まる細い先端部と、この先端部より明らかに太い基端部と、両部を繋ぐテーパ部とを有している。ガイド7もこのノズル9の形状に合わせて、細い先端部と、太い基端部と、テーパ部とを有している。そして、このガイド7の太い基端部の内部に電極台座17の先端部が入り込んでいる。このようにガイド7内へ入り込むことにより電極台座17先端部は大きく突出し、結果として電極棒3を短くしている。
【0027】
また、ノズル9とガイド7がキャップ11の形状を継承していることは、次のような別の幾つかの利点も生じさせる。まず、ノズル9の基端部は一定の外径を維持しているので、このノズル基端部の外周面に、Oリング31を介して、円筒部材29の先端部内周面をしっかりと密着させることができる。その結果、ノズル9の基端部の基端側に存在するガス供給路23と、ノズル9外周の水ジャケット領域27とを確実に隔離することができる。また、ノズル9の基端部もガイド7の基端部も一定の外径及び内径を維持していて、互いにぴたりとフィットした状態で嵌まり合うと共に、ガイド7の基端部は電極台座17の先端部にぴたりとフィットした状態で外嵌される。その結果、ノズル9とガイド7は、電極台座17に対し確実に同軸に位置決めされて取り付けられることになる。
【0028】
電極棒3は、その基端に近い箇所に一定厚みをもつフランジ55を有しており、このフランジ55の基端側面が電極台座17の先端面に当接している。また、電極棒3のフランジ55より基端側に突出した部分57が、電極台座17の先端部の内部へ嵌め込まれている。このように、電極棒3がフランジ55と基端部57の双方で電極台座17に接触することは、電極棒3と電極台座17との電気的接続を良好にする。また、電極棒3のフランジ55は、電極台座17に対する電極棒3の軸方向での位置決めを確実なものにし、かつ、電極棒3の傾きも防止する。一方、電極台座17内に嵌め込まれる電極棒3の基端部57は、電極台座17に対する電極棒3の同軸位置決めを確実なものにする。
【0029】
電極棒3のフランジ55は、図示のように、ノズル9及びガイド7のテーパ部の入り口近傍の位置、換言すれば、ノズル9及びガイド7内に入り込める最も先端側の位置に位置している。当然、電極台座17も、このフランジの55の位置までノズル9及びガイド7内に入り込んで来ている。要するに、電極棒3のフランジ55及び電極台座17は、トーチ内の可能な限り先端側の位置に配置されているのである。このような設計により、電極棒3は最小の長さになっている。
【0030】
図2は、ガイド7の先端部の付近を拡大して示した中心軸に沿った断面図である。図3は、図2のA−A線での横断面図である。図2の断面は、図3のB−B線に沿っている。
【0031】
ガイド7の先端部7Aは、前述したように電極棒3の先端部より更に先方へ延び出ており、電極5の頭部だけがこのガイド先端部7Aより先方へ突出している。これにより、パイロットアークは電極5とノズル9間でのみ発生することになる。なお、この利点を得るためには、電極5の頭部が必ずしもガイド先端部7Aより先方へ突出していなければならないわけではなく、電極5頭部がガイド先端部7Aと同位置又は僅かに奥まっている設計も場合によっては可能である。また、ガイド先端部7Aが電極棒3より必ずしも先方へ延び出ている必要も必ずしも無く、ガイド先端部7Aが電極棒3先端と同位置又は僅かに奥まっている設計も場合によっては可能である。
【0032】
ガイド先端部7Aは、また、前述したようにスワーラとして機能する。このスワーラの構造について、以下に詳細に説明する。なお、この実施形態では、ガイド7は、スワーラたる先端部7と基端側の部分7Bとが一体で1個の部品として構成されているが、スワーラたる先端部7Aが基端側の部分7Bから分離できるようになっていて、ガイド7が2個の部品から構成されていてもよい。
【0033】
ガイド7の先端部7Aより基端側の部分7Bは前述したようにノズル9の内径より若干小さい外径を有していて、その外周面とノズル9内周面との間にガス通路21を形成している。これに対し、ガイド先端部7Aの外周面は、より基端側の部分7Bより段差状に外方へ張り出してノズル9の内周面に密着している。このガイド先端部7Aの外方へ張り出した部分には、ガス通路21に連通する4本のガス導入溝61が軸方向に形成されている。そして、この4つのガス導入溝61にそれぞれ連通して、4個の前述したガス噴出孔25が径方向に形成されており、それらガス噴出孔25は電極5の近傍の電極5を囲むような位置に開口している。図3に示すように、ガス噴出孔25は、電極5周囲の空間63へほぼ接線方向に沿ってガスを噴出するように方向付けられていので、電極5の周囲で高速のガス旋回流が生成されることになる。その結果、電極より基端側へ奥まった位置でガス旋回流が生成される従来のトーチに比較して、電極5の位置におけるガス旋回流の流速が高いので、パイロットアークをガス流で押し流してメインアークへ移行させる効果、及びガス旋回流でメインアークを安定させる効果は一層良好になる。このような利点はスワーラであるガイド先端部7Aが電極5の近傍に配置されていることに依るものであるが、電極近傍にガイド先端部7Aを配置できるようになった主たる要因は、ガイド7の材料として窒化珪素のような熱衝撃に強いセラミックス材料を用いたことにある。
【0034】
図4は、図1のトーチの冷却水の配管構造を模式的に分かり易く示している。
【0035】
給水パイプ43からの冷却水の一部はニードルパイプ45を通って電極棒3内に入り、ニードルパイプ45と電極棒3との間の流路47を先端から基端へ向けて流れて電極棒3を冷却し、その後に継ぎ手水路37を通ってノズル外周の水ジャケット領域27へ流れてノズル9を冷却する。この給水パイプ43からの残りの冷却水は、ショートカット孔53を通って給水パイプ43外周の流路51、49へ流れ出し、それにより電極棒3をバイパスしてノズル外周の水ジャケット領域27へ流れてノズル9を冷却する。ショートカット孔53の面積は、ノズル9と電極棒3の発熱量を考慮して、ノズル9と電極棒3への冷却水量の分配比が両者間の発熱量の比に大体一致するように決められる。例えば、ノズル9の発熱量が電極棒3の約4倍であるなら、ショートカット孔53の総面積をニードルパイプ45の断面積の3〜5倍程度に設定すればよい(例えば、ニードルパイプ45と同径のショートカット孔53を3〜5個開ければよい)。このような構造により、電極棒3を細く設計しても、ノズル9を十分に冷却することが可能となる。このように冷却能力を落とさずに電極棒3をより細く設計できれば、トーチ先端部1Cもより細く設計でき、より狭い場所での作業が可能なトーチが提供できる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述の実施形態は本発明の説明のための例示であって、この実施形態のみに本発明の範囲を限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の変形、改良、修正、簡略化などを上記実施形態に加えた種々の他の形態でも本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ溶接トーチの中心軸に沿った断面図。
【図2】図1のガイド先端部付近を拡大して示した、図3のB−B線に沿った断面図。
【図3】図2のA−A線に沿った横断面図。
【図4】図1のトーチの冷却水の配管構造を模式的に示した説明図。
【符号の説明】
1 トーチ
1A トーチ基端部
1B トーチテーパ部
1C トーチ先端部
3 電極棒
5 チップ状電極
7 ガイド
9 ノズル
11 キャップ
13 基端部保護カバー
15 先端部保護カバー
17 電極台座
19 アーク吹き出し口
21 ガス通路
23 ガス供給路
25 ガス噴射孔
27 水ジャケット領域
29 円筒部材
31 Oリング
33 給水路
35 排水路
37 継ぎ手パイプ
39 排水パイプ
41 円筒部材
43 給水パイプ
45 ニードルパイプ
47、49、51 隙間(冷却水流路)
53 ショートカット孔
55 電極棒のフランジ
57 電極棒の基端部
61 ガス導入溝
63 電極近傍空間
Claims (5)
- アーク吹き出し口をもったノズルと、前記ノズルの外側に被せられて、前記ノズルの外周に水ジャケット領域を形成するキャップと、
を備え、
前記キャップが、
所定の外径を有してトーチ軸方向に延びるキャップ基端部と、
前記キャップ基端部より細いほぼ一定の外径を有して前記トーチ軸方向に延びるキャップ先端部と、
前記キャップ基端部と前記キャップ先端部とを繋ぐキャップテーパ部と、
を有するプラズマトーチ。 - 前記ノズルが、
一定の外径を有して前記トーチ軸方向に延びるノズル基端部と、
前記ノズル基端部より細いほぼ一定の外径を有して前記トーチ軸方向に延びるノズル先端部と、
前記ノズル基端部と前記ノズル先端部とを繋ぐノズルテーパ部と、
を有する請求項1記載のプラズマトーチ。 - 前記ノズルが、前記キャップの前記キャップ先端部から前記キャップテーパ部までの部分内に収容される請求項1又は請求項2記載のプラズマト−チ。
- 一定の外径を有してノズル軸方向に延びるノズル基端部と、前記ノズル基端部より細いほぼ一定の外径を有して前記ノズル軸方向に延びるノズル先端部と、前記ノズル基端部と前記ノズル先端部とを繋ぐノズルテーパ部と、を備えるプラズマトーチ用ノズルであって、
所定の外径を有してトーチ軸方向に延びるキャップ基端部と、前記キャップ基端部より細いほぼ一定の外径を有して前記トーチ軸方向に延びるキャップ先端部と、前記キャップ基端部と前記キャップ先端部とを繋ぐキャップテーパ部と、を有するキャップ内に前記トーチ軸に前記ノズル軸を一致させるようにして収容されて、プラズマトーチに取り付けることができるようにしたプラズマト−チ用ノズル。 - アーク吹き出し口をもったノズルの外側に被せられて前記ノズルの外周に水ジャケット領域を形成するプラズマトーチ用キャップであって、
所定の外径を有してトーチ軸方向に延びるキャップ基端部と、
前記キャップ基端部より細いほぼ一定の外径を有して前記トーチ軸方向に延びるキャップ先端部と、
前記キャップ基端部と前記キャップ先端部とを繋ぐキャップテーパ部と、
を有するプラズマトーチ用キャップ。
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