JP3783979B2 - 超音波検査装置及び超音波検査方法 - Google Patents

超音波検査装置及び超音波検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体内部の欠陥を非破壊で検査する超音波検査装置及び超音波検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
物体内に入射された超音波は、物体内部の状況に応じて、反射、屈折、位相変化など様々な挙動を示す。このような超音波の性質を利用することによって、物体内部の様子を知ることができるため、超音波関連機器は、医療分野、産業分野などの広い分野で、主として検査や探査などの目的で利用されている。産業分野においては、超音波は主として非破壊検査に利用されている。
【0003】
産業分野における超音波利用の一例として、特開平3−102258号公報に、「超音波検査方法及び装置」が提案されている。これは、被検体中にパルス状の超音波を入射させ、その反射波の正のピークの最大値(P)と負のピークの最大値(N)を検出し、P/(P+N)又はN/(P+N)を計算して、入射パルスに対する反射パルスの位相変化を推定する。そして、位相変化を生じた欠陥部については、理論的に位相変化を生じる欠陥種であると判定し、そうでないものは別の種類の欠陥であると判定する。更に、この結果を必要に応じてディスプレーなどに表示し視覚的に把握し易くする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、製鉄所などで製造された鋼材の内部には、種々の物質が混入する可能性がある。この場合、混入する物質によって欠陥の種類が異なり、その欠陥が鋼材に及ぼす影響も異なる。このため生産管理上、欠陥の有無だけでなく、その種類(欠陥種)についても知りたいという要請がある。しかしながら、上記公報に記載されている装置及び方法では、主として剥離等の欠陥のおおまかな判別はできるが、個々の欠陥種まで詳しく識別することはできない。
【0005】
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、超音波を利用して、非破壊で、被検体内部の欠陥の種類まで識別することが可能となる超音波検査装置及び超音波検査方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の超音波検査装置は、円盤状又はリング状の第一の超音波送受信部と、前記第一の超音波送受信部の外側に同心円状に設けられたリング状の第二の超音波送受信部とを有し、且つ前記第一及び第二の超音波送受信部から発射された超音波が所定位置に集束されるように前記第一及び第二の超音波送受信部が形成・配置された超音波探触子と、前記超音波探触子の前記各超音波送受信部から発射されて被検体の欠陥部で反射された超音波を、超音波を発射した前記各超音波送受信部で受信して、各超音波送受信部毎に前記欠陥部における超音波の符号を含む反射率を算出し、前記反射率に基づいて前記欠陥部の物質を識別する欠陥部識別手段と、を具備する超音波検査装置であって、複数の既知材質の欠陥部(介在物)が含まれると予想される被検体で、前記介在物それぞれの音響インピーダンスが母材の音響インピーダンスより小で、且つ介在物それぞれの音速が母材の音速より大である場合で、前記各超音波送受信部の円盤形状及びリング形状は、前記被検体の母材と前記介在物それぞれとの物質境界面へ超音波を入射させたときの、入射角と符号を含む反射率との関係を、前記母材と前記介在物それぞれの音波物性値に基づいた所定の式により導出して、形成したものであることを特徴とする。
【0007】
本発明の超音波検査方法は、円盤状又はリング状の第一の超音波送受信部と、前記第一の超音波送受信部の外側に同心円状に設けられたリング状の第二の超音波送受信部とを有し、且つ前記第一及び第二の超音波送受信部から発射された超音波が所定位置に集束されるように前記第一及び第二の超音波送受信部が形成・配置された超音波探触子を用い、前記超音波探触子の前記各超音波送受信部から発射されて被検体の欠陥部で反射された超音波を、超音波を発射した前記各超音波送受信部で受信する工程と、各超音波送受信部毎に前記欠陥部における超音波の符号を含む反射率を算出する工程と、前記反射率に基づいて前記欠陥部の物質を識別する欠陥部識別工程とからなる被検体の超音波検査方法であって、複数の既知材質の欠陥(介在物)が含まれると予想される被検体で、前記介在物それぞれの音響インピーダンスが母材の音響インピーダンスより小で、且つ介在物それぞれの音速が母材の音速より大である場合で、前記各超音波送受信部の円盤形状及びリング形状は、前記被検体の母材と前記介在物それぞれとの物質境界面へ超音波を入射させたときの、入射角と符号を含む反射率との関係を、前記母材と前記介在物それぞれの音波物性値に基づいた所定の式により導出して、形成したものであることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る超音波検査装置の全体の概略構成を示す図である。同図において、被検体10は、ここでは鋼材である。この被検体10は水槽11内の水中に配置されている。被検体10の上部の水中には、超音波探傷器13に接続された探触子12が垂下されている。探触子12は、超音波探傷器13に接続されており、先端部には図2に示すような超音波送受信部12a〜12cが設けられている。超音波送受信部のうち、12aは本発明の第一の超音波送受信部、12b,12cは本発明の第二の超音波送受信部であり、第二の超音波送受信部は、一つでも、二つ以上でもよい。超音波探傷器13には、更に、オシロスコープ14及びコンピュータ15が接続されている。前者は超音波送受信部で受信された信号波形を観測するためのものであり、後者はデータの処理を始めとしてデータの保存、画像表示などの他、超音波検査装置全体のコントロールも行う。
【0009】
図2は、本発明の主要部をなす図1の探触子12の先端部に設けられた超音波送受信部(以下、単に「送受信部」ともいう)を示しており、同図(a)は探触子12を下から見た送受信部の平面図、同図(b)は探触子12の縦断面図である。図2に示すように、本実施形態の探触子12には、三つの送受信部12a,12b,12cがある。このうち12aは円盤状、12b,12cはリング状であり、それぞれの中心O1 は共通で、互いに重ならないよう所定幅のギャップ20a,20bを隔てて配置されている。
【0010】
また、探触子12の下端部は、図2(b)に示すように、O2 を頂点とする円錐でO2 を中心とする半径Rの球面の一部を切り取ったドーム状の曲面とされている。したがって、各送受信部は、直線O1 2 を軸として回転対称な形状であり、探触子12を図1に示すように配置すると、各送受信部の中心O1 が最も高い位置にくる。図2に示すような構成により、探触子の下部に被検体がない状態で超音波を発射すると、それらはO2 点に集束する。尚、本実施形態では、上記の半径Rを一例として25.4mmとする。
【0011】
図3は、被検体中の欠陥における超音波の入射角と反射率との関係を考えるためのモデルを示した図であり、被検体を構成する物質である鉄(Fe)と介在物とが水平な境界面において接合しているものとする。図3において、媒質1はFeを、媒質2は各介在物を示す。介在物とは、被検体中に存在する欠陥部を構成すると考えられる物質である。介在物として鋼材中に混入する物質は、製鉄ラインによって異なり、あるラインではある一群の物質が混入する可能性が高く、別のラインでは他の一群の物質が混入する可能性が高いということがある。このため、識別することを望む介在物の種類はラインによって異なる。本実施形態では、Al2 3 、MgO、SiO2 が混入する可能性がある場合、およびAl2 3 、スラグが混入する可能性がある場合のそれぞれについて、混入した介在物の種類を識別する。ここで「スラグ」とは、Al2 3 、CaO、SiO2 の混合物である。
【0012】
図3において、探触子12のいずれかの送受信部から発せられた超音波は、水中を通ってFeの表面に達し、ここで屈折を伴ってFeに入射する。水中からFeへの超音波の入射角をθとする。水からFeに入射した超音波は、更に進んで介在物との境界部の点Sにおいて反射及び屈折を受ける。反射波、屈折波のそれぞれには一般に縦波と横波が存在する。尚、図3では、点Sで反射される超音波のみを図示してある。図4は、図3のFeと介在物との境界部を拡大した図であり、媒質1の右側上方から境界部に入射した超音波の反射及び屈折の様子を示している。同図において、A0 ,θ0 は縦波である入射波の振幅及び入射角、A1 ,θ1 は縦波の反射波の振幅及び反射角、A2 ,θ2 は横波の反射波の振幅及び反射角、A3 ,θ3 は縦波の屈折波の振幅及び屈折角、A4 ,θ4 は横波の屈折波の振幅及び屈折角である。
【0013】
図2(b)において、送受信部12aからは、O2 点を頂点とするθa の角度範囲の超音波が発射される。送受信部12bからは、θb の角度範囲の超音波が発射される。そして、送受信部12cからは、θc の角度範囲の超音波が発射される。検査の際、超音波が発射された送受信部と同じ送受信部に戻るのは、被検体中における超音波の集束点、すなわち図3の点Sの近傍に超音波の反射を引き起こす欠陥が存在する場合である。S点の表面からの深さは、その被検体において欠陥を検査しようとする深さに対応する。この深さは、被検体10の上方に位置する探触子12の上下位置を調節することによって変えることができる。本発明者が日鐡テクノリサーチ社製のオートスキャンという装置を用いて実験した結果、被検体の表面から約3mm程度までの間に存在する介在物を検出できた。尚、被検体中の欠陥で反射を受けて発射された送受信部と同じ送受信部へ戻る超音波は、水中から被検体へ入射する際に屈折を受け、更に反射して被検体から再び水中に戻る際に屈折を受けるため、図3に示すように、点O2 と点Sとは一般に一致しない。
【0014】
ところで、図4に示す境界部での超音波の反射、屈折については、以下の関係が成り立つことが知られている。
【0015】
【数1】
Figure 0003783979
【0016】
【数2】
Figure 0003783979
【0017】
【数3】
Figure 0003783979
【0018】
ここで、ki (i=0,1,2,3,4)は、各超音波の波数(ki =2π/λi であり、λi は各媒質中の超音波の波長)、cL は媒質1の縦波の音速、cT は媒質1の横波の音速、cLBは媒質2の縦波の音速、cTBは媒質2の横波の音速である。また、κ=cL /cT 及びκB =cLB/cTBであり、μ及びμB は、ラメ定数である。尚、上記(1)(2)(3)式については、Jan D. Achenbach著「Wave propagation in elastic solids」を参照することができる。図5は、Fe、Al2 3 、MgO、SiO2 について既に知られている密度ρ、縦波速度cL 、横波速度cT 、ラメ定数μの各定数をまとめた表である。
【0019】
上記(3)式からA1 /A0 を求めると、これが反射率を表す式になる。この反射率は、θ0 の関数f(θ0 )となる。したがって、図5に示した各値を用いて、θ0 を変えたときのA1 /A0 の値から、入射角θ0 と反射率との関係を求めることができる。
まず、介在物としてAl2 3 、MgO、SiO2 が混入する可能性の高いラインに適用する実施形態について説明する。これらの物質は、実際に製鉄工程で介在物として混入する可能性の高い物質である。図6は、鉄(Fe)と種々の物質とを接合させ、Feの表面に垂直に超音波を入射させたときの入射角と反射率との関係及び入射角と位相変化との関係を、上で説明した手続きに基づいて、本発明者が実際に計算した結果を示したグラフである。同図において、(a)はFeからAl2 3 への入射、同図(b)はFeからMgOへの入射、同図(c)はFeからSiO2 への入射の場合であり、それぞれにおいて、上の曲線が入射角と反射角との関係(入射波の振幅を1とした場合の相対値を表している)、下の曲線が入射角と位相変化との関係を示している。
【0020】
図6の各グラフの横軸は、Feから各物質への超音波の入射角である。ところで、探触子12の送受信部から水中に発射された超音波は、水から被検体であるFeに入射する際に屈折する。このため、水中からFeへの入射角とFeから各物質への入射角は等しくはないが、一対一の対応関係が存在する。そこで、各送受信部の角度範囲θa ,θb ,θc に対応するFeから各物質への入射角を、図6においてそれぞれηa ,ηb ,ηc とする。また、探触子12の各送受信部には、上記θa ,θb ,θc という幅があるため、それぞれの送受信部によって受信される超音波の信号の強度は、図6における対応する角度範囲ηa ,ηb ,ηc にわたってそれぞれ積分したものとなる。
【0021】
図6の各曲線を見ると分かるように、Feから各物質へ入射される超音波の反射率は、反射波の位相の変化に対応して、負(−)から正(+)に急激に変化している。そして、この急激な変化が生じる入射角は、FeからAl2 3 への入射では約32°、FeからMgOへの入射では約38°、FeからSiO2 への入射では約77°であり、物質によって大きく異なっている。本発明者はこの点に着目した。すなわち、図6の反射率の曲線に基づいて適当な角度範囲ηa ,ηb ,ηc を選び、これらに対応するように各送受信部の角度幅θa ,θb ,θc を決め、図2に示すように、先端部に設けられる各送受信部がこれらの角度幅を有するような探触子12を用意する。そして、これらの各送受信部から発射された超音波を同じ送受信部で受信し、その反射率が得られたときに、上記の角度範囲ηa ,ηb ,ηc が適当なものであれば、反射率の符号(位相の反転・非反転)から、鋼材の内部の欠陥部を構成する物質を識別できる。
【0022】
ηa ,ηb ,ηc の具体的な角度範囲としては、図6において、ηa が0°〜37.9°、ηb が46.8°〜71.8°、ηc が78.4°〜88°とした。そして、このようなηa ,ηb ,ηc に対応する探触子12の各送受信部12a,12b,12cの各角度範囲θa ,θb ,θc は、θa が0°〜9°、θa が10.7°〜14°、θc が14.45°〜17.05°である。
【0023】
図6(a)で、送受信部12aに対応する角度範囲ηa において反射率の曲線を積分すると、その値は正となるが、同図(b)、(c)で同じ角度範囲ηa においてそれぞれの反射率の曲線を積分すると、その値は負となることが分かる。また、図6(a)で、送受信部12bに対応する角度範囲ηb において反射率の曲線を積分すると正となり、同図(b)で角度範囲ηb において反射率の曲線を積分すると正となり、同図(c)で角度範囲ηb において反射率の曲線を積分すると負となる。更に、図6(a)で送受信部12cに対応する角度範囲ηc において反射率の曲線を積分すると正となり、同図(b)で角度範囲ηc において反射率の曲線を積分すると正となり、同図(c)で角度範囲ηc において反射率の曲線を積分すると正となる。
【0024】
図7は、これらの結果をまとめた表である。同図において、最下欄の「気泡」に関する反射率については図6にないが、その性質より反射率は常に負であることがわかっている。尚、この気泡は、鋼材中にできる空洞として認識される。これらの結果を参照すると、各送受信部によって受信された超音波の値の符号の組み合わせから、欠陥部を構成する物質がAl2 3 であるか、MgOであるか、SiO2 であるか、あるいは気泡であるかを識別することができる。
【0025】
実際に、図2に示した探触子12を用いて鋼材の欠陥種を識別する場合には、探触子12を図1に示すように被検体10の上部に配置し、探触子12の各送受信部12a,12b,12cそれぞれから、時分割で超音波の発射及び受信を行うようコンピュータで制御する。被検体中の集束位置に欠陥が存在しなければ反射波は現れないが、欠陥が存在すれば反射波が現れ、その超音波信号が受信される。超音波信号を受信した場合には、上で説明した方法に基づいて、コンピュータが自動的にその欠陥の種類を識別する。探触子12を被検体10の上部で並進移動させることにより、被検体10中のある深さにおける必要な部分もしくはその深さにおける全体を検査でき、その結果を、必要に応じて画像表示する。こうして得られたデータから、被検体中にどのような欠陥が存在するのかを判断することができ、また、被検体の全体についてそれぞれの欠陥種がどの程度の割合で含まれているかを推定することができる。
【0026】
次に、介在物としてAl2 3 クラスター又はスラグ系介在物が混入する可能性の高いラインに適用する場合の実施形態について説明する。スラグはAl2 3 、CaO、SiO2 の混合物で、その混合比はAl2 3 が約50%、CaOが約30〜40%、SiO2 が約10〜20%である。スラグもある種のラインにおいては実際に介在物として混入する可能性の高いものである。図8は、図6の上側のグラフに対応するもので、Al2 3 クラスター、スラグ系介在物のそれぞれが鋼材中に介在物として混入している場合の入射角と反射率との関係を示している。すなわち、図8のグラフの横軸はFeから各物質への超音波の入射角、縦軸は反射率であり、実線がAl2 3 クラスターの特性(図6(a)の上のグラフと同じものである)、点線がスラグ系介在物の特性を表している。点線で示したスラグ系介在物の特性は、図6に示した各物質の特性を基に、それぞれの物質の混合比で重み付けをして算出したものである。その際、CaOの特性についてはAl2 3 の特性(図6(a)の上のグラフ)と同じであるとして近似した。したがって、ここではスラグを、80%のAl2 3 と20%のSiO2 からなるものとして計算した。尚、この場合は、図2に示した探触子12のうち、内側の二つの送受信部12a及び12bを使用する。したがって前述のように、介在物への入射角範囲はそれぞれηa 、ηb となる。
【0027】
図8を見ると分かるように、Al2 3 クラスターとスラグ系介在物の曲線の形状は類似しており、負から正に急激に変化する角度もほぼ同じである。しかしながら、スラグ系介在物の曲線は、Al2 3 クラスターの曲線に比べて全体的に下側に位置しているので、この点に着目する。すなわち、前述のように、送受信部12a,12bで受信される超音波の信号強度は角度範囲ηa ,ηb にわたって反射率の曲線を積分したものであり、この積分結果が負の場合は入射波に対して反射波の位相が反転し、正の場合は位相が反転しないことを表す。図9に示した二つの曲線は、図8に示した二つの曲線をそれぞれ積分して得られる曲線の概略形状を示したものであり、縦軸の値は角度0°から対応する入射角度までの積分値である。同図より、積分結果が正から負に変化する角度が二つの曲線で異なっており、これらの角度のほぼ中間の角度θ12a に送受信部12aの最大入射角である32°が位置している。その結果、角度範囲ηb での積分結果はいずれの場合も正となるが、角度範囲ηa での積分結果はAl2 3 クラスターについては正、スラグ系介在物については負となる。図10は、この結果をまとめた表である。したがって、送受信部12aで受信した信号の位相を見ることによって、介在物がAl2 3 クラスターであるか、スラグ系介在物であるか、気泡(上記のように、反射率は常に負である。)であるかということを識別することができる。
【0028】
図11は、スラグ系介在物を介在させた鋼材について、実際に水中で超音波を発射してその反射波を受信した信号を示したグラフであり、(a)が送受信部12aを用いた場合、(b)が送受信部12bを用いた場合である。これらの横軸は、超音波を発射してからの経過時間を示している。図11(a)では約0.3〜0.5μsecの範囲で、図11(b)では約0.25〜0.5μsecの範囲で、それぞれ強度の高い信号が観測されているが、これらは鋼材表面での反射波によるものである。鋼材表面からの反射波の位相は入射波と同じである。また、図11(b)では鋼材表面からの反射波の波形が崩れているが、これは入射角が大きくなることによって反射波同士が大きく干渉することによるものと考えられる。また、図11(a)では約1.0〜1.1μsecの範囲で、図11(b)では約0.9〜1.0μsecの範囲でそれぞれ小さな信号が観測されているが、これらは鋼材中の介在物と鋼材との境界面での反射波によるものである。
【0029】
図11(a)の場合、鋼材表面からの反射波はまず正側に立ち上がり、次いで負側に大きく振れ、そして正側に立ち上がっている。これに対して介在物からの反射波は、まず負側に振れ、次いで正側に立ち上がり、そして再度負側に振れている。すなわち、介在物からの反射波は入射波に対して位相が反転している。図11(b)の場合は、鋼材表面からの反射波の波形が崩れているが、本質的に図(a)の場合と同じである。一方、図11(b)の介在物からの反射波を図11(a)の介在物からの反射波と比べると位相が逆であり、したがって介在物からの反射波の位相反転は生じていない。
【0030】
以上をまとめると、図11において送受信部12aから発射された超音波の介在物からの反射波の位相は正(+)、送受信部12bから発射された超音波の介在物からの反射波の位相は負(−)であり、これは図10でスラグ系介在物について理論的に予測した結果と一致している。したがって、送受信部12aと送受信部12bから超音波を発射し、観測された介在物からの反射波の位相の反転・非反転を調べることによって、その介在物がAl2 3 クラスターであるか、スラグ系介在物であるかを識別することが可能となる。
【0031】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、鋼材中の欠陥として識別すべき物質がAl2 3 、MgO、SiO2 、及び気泡である場合、並びにAl2 3 クラスター、スラグ系介在物、及び気泡である場合の二つについて説明したが、全く同様の原理に基づいて、他の物質からなる欠陥の識別にも適用できることはいうまでもない。また、送受信部の数についても上記実施形態の3つには限定されることはない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定の半径及び幅とした複数の円盤状又はリング状の超音波送受信部を有する探触子を設け、これを用いて被検体に向けて発射した超音波の反射波を受信し、各超音波送受信部で受信された受信波の反射率の組み合わせから、被検体内部に存在する物質の種類を識別することができるので、単に、欠陥の有無だけでなく欠陥の種類まで非破壊で特定することが可能となり、特に、複数種類の欠陥が生じうる製品を製造する現場において質の高い検査を行うことが可能となる超音波検査装置及び超音波検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る一例の超音波検査装置の全体の概略構成を示す図である。
【図2】探触子の先端部に設けられた超音波送受信部を示す下から見た送受信部の平面図及び探触子縦断面図である。
【図3】被検体中の欠陥における超音波の入射角と反射率との関係を考えるためのモデルを示した図である。
【図4】鉄(Fe)と介在物との境界部における、入射した超音波の反射及び屈折の様子を示す拡大図である。
【図5】理論計算に必要な数値をまとめた表である。
【図6】鉄(Fe)と種々の物質とを接合させ、Feの表面に垂直に超音波を入射させたときの入射角と反射率及び入射角と位相変化との関係を、理論計算に基づいて描いた曲線を示したものである。
【図7】Al2 3 、MgO、SiO2 、気泡について、各超音波送受信部から発射される超音波が、被検体内の各種の物質において反射され、再び超音波送受信部に受信されるときの超音波の反射率の符号がどのようになるかという結果をまとめた表である。
【図8】Al2 3 クラスター及びスラグ系介在物のそれぞれが鋼材中に介在物として混入している場合の入射角と反射率との関係を示した図である。
【図9】図8に示した二つの曲線を、横軸に示した角度まで積分して得られる値の概略を示した曲線である。
【図10】Al2 3 クラスター、スラグ介在物、気泡について各超音波送受信部から発射される超音波が、被検体内の各種の物質において反射され、再び超音波送受信部に受信されるときの超音波の反射率の符号がどのようになるかという結果をまとめた表である。
【図11】スラグ系介在物を介在させた鋼材について、実際に水中で超音波を発射してその反射波を受信した信号を示したグラフである。
【符号の説明】
10 被検体
11 水槽
12 探触子
12a,12b,12c 探触子
13 超音波探傷器
14 オシロスコープ
15 コンピュータ
20a,20b ギャップ

Claims (4)

  1. 円盤状又はリング状の第一の超音波送受信部と、前記第一の超音波送受信部の外側に同心円状に設けられたリング状の第二の超音波送受信部とを有し、且つ前記第一及び第二の超音波送受信部から発射された超音波が所定位置に集束されるように前記第一及び第二の超音波送受信部が形成・配置された超音波探触子と、前記超音波探触子の前記各超音波送受信部から発射されて被検体の欠陥部で反射された超音波を、超音波を発射した前記各超音波送受信部で受信して、各超音波送受信部毎に前記欠陥部における超音波の符号を含む反射率を算出し、前記反射率に基づいて前記欠陥部の物質を識別する欠陥部識別手段と、を具備する超音波検査装置であって、
    複数の既知材質の欠陥部(介在物)が含まれると予想される被検体で、前記介在物それぞれの音響インピーダンスが母材の音響インピーダンスより小で、且つ介在物それぞれの音速が母材の音速より大である場合で、
    前記各超音波送受信部の円盤形状及びリング形状は、前記被検体の母材と前記介在物それぞれとの物質境界面へ超音波を入射させたときの、入射角と符号を含む反射率との関係を、前記母材と前記介在物それぞれの音波物性値に基づいた所定の式により導出して、形成したものであることを特徴とする超音波検査装置。
  2. 前記介在物は、Al、MgO、及びSiO である請求項1の超音波検査装置。
  3. 前記介在物は、Alクラスター及びスラグ系介在物である請求項1又は2記載の超音波検査装置。
  4. 円盤状又はリング状の第一の超音波送受信部と、前記第一の超音波送受信部の外側に同心円状に設けられたリング状の第二の超音波送受信部とを有し、且つ前記第一及び第二の超音波送受信部から発射された超音波が所定位置に集束されるように前記第一及び第二の超音波送受信部が形成・配置された超音波探触子を用い、前記超音波探触子の前記各超音波送受信部から発射されて被検体の欠陥部で反射された超音波を、超音波を発射した前記各超音波送受信部で受信する工程と、各超音波送受信部毎に前記欠陥部における超音波の符号を含む反射率を算出する工程と、前記反射率に基づいて前記欠陥部の物質を識別する欠陥部識別工程とからなる被検体の超音波検査方法であって、
    複数の既知材質の欠陥(介在物)が含まれると予想される被検体で、前記介在物それぞれの音響インピーダンスが母材の音響インピーダンスより小で、且つ介在物それぞれの音速が母材の音速より大である場合で、
    前記各超音波送受信部の円盤形状及びリング形状は、前記被検体の母材と前記介在物それぞれとの物質境界面へ超音波を入射させたときの、入射角と符号を含む反射率との関係を、前記母材と前記介在物それぞれの音波物性値に基づいた所定の式により導出して、形成したものであることを特徴とする超音波検査方法。
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