JP3783356B2 - 高強度耐hicラインパイプ用鋼板の製造法 - Google Patents

高強度耐hicラインパイプ用鋼板の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温SR特性に優れた高強度耐HICラインパイプ用鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、北海油田等から産出される天然ガスは、H2S 等の腐食性ガスを多量に含むため、その輸送に使用されるラインパイプには、これらのガスに対する耐食性が要求されることが多い。
【0003】
ところで、ラインパイプの敷設に際しては、敷設の現地でパイプの外周部の溶接 (以下、単に現地周溶接という) を行うことによりパイプ同士を接続するが、現地周溶接により熱影響部 (HAZ)の硬度が上昇し、耐食性が劣化する。そこで、熱影響部の硬度低下を目的として後熱処理を行うが、この後熱処理により、鋼管自体の強度低下、敷設作業の長時間化さらには施工コスト上昇が生じる。
【0004】
そのため、溶接ままの後熱処理なしでラインパイプを接続するため、母材の炭素当量(Ceq.)および溶接割れ感受性組成(Pcm.)のそれぞれの成分の上限値を規定して管理することが多い。このように、炭素当量(Ceq.)および溶接割れ感受性組成(Pcm.)のそれぞれの上限値を管理された母材からなるラインパイプ同士を接続する場合は、溶接ままでラインパイプを接続しても所望の耐食性を維持することができる。
【0005】
また、コネクタのように合金元素が非常に多い鍛造品とラインパイプを接続する場合は、鍛造品の溶接による残留応力除去と硬度上昇防止とを目的として、600 〜700 ℃程度の後熱処理を行わざるを得ない。この後熱処理によって前述の母材からなるラインパイプ自体も熱処理されるため、溶接部の靱性低下が発生する。そのため、ラインパイプ用鋼板には600 ℃以上の高温SR性能 (SR脆化に対する抵抗性) が要求される。
【0006】
ここに、従来の高温SR性能を有するラインパイプは、高温SR処理が施されることを勘案して、強度的にオーバーグレードの鋼板を用いている。そのため、要求規格に対して設計上相当豊富な合金成分系とせざるを得ず、極めてコスト高となっていた。
【0007】
ところで、一般的に、鋼材を高強度化するために合金成分の添加量を増加していくと、炭素当量および溶接割れ感受性組成がいずれも上昇する。そのため、このような鋼材の溶接を行うと、熱影響部の硬化が著しくなる。
【0008】
また、鋼材の高強度化につれて、水素誘起割れ(HIC) として現れる腐食性ガス中における腐食の発生も、著しくなる。この水素誘起割れは、鋼材の成分偏析にも影響され、特に連続鋳造スラブから製造した鋼板では中心偏析に起因する水素誘起割れが発生し易い。
【0009】
したがって、従来の高温SR性能の改善と高合金化とは相反する内容となっており、また耐食性もかえって低下する結果を招いていた。
ここに、本発明の目的は、高温SR特性に優れた高強度耐 HICラインパイプ用鋼板を低コストで製造する技術を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
ここに、本発明の要旨とするところは、C:0.02〜0.10%(以下、本明細書においては特にことわりがない限り「%」は「重量%」を意味するものとする)、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.80〜1.40%、P:0.020%以下、S:0.0020%以下、Cr:0.30〜1.00%、Ti:0.005〜0.030%、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0080%以下、さらに必要に応じて、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Mo:0.50%以下、Nb:0.060%以下、V:0.10%以下、およびAl:0.10%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを1000〜1200℃に加熱した後、スラブ表面温度が1000℃以上である温度域でスラブ厚さが成品厚さの3〜10倍になるまで粗圧延を行い、引き続き、表面温度が800℃以上である温度域で仕上げ圧延を行い、圧延終了後400〜550℃の温度域まで水冷することを特徴とする、均一なベーナイト組織を有する高温SR特性に優れた高強度耐HICラインパイプ用鋼板の製造法である
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる高強度耐 HICラインパイプ用鋼板の製造方法の実施形態を、詳細に説明する。
【0013】
本発明の1つの特徴は、略述すれば、スラブに熱間圧延を行い、その後に加速冷却を行って得られるラインパイプ用鋼板であって、特にそれを製造するに際し、スラブ組成、圧延条件および加速冷却条件を特定することにより、600 ℃以上の高温SR性能と耐HIC 性能とに優れた高強度ラインパイプ用鋼板をコスト上昇をできるだけ抑制して製造する点にある。そこで、本発明における鋼組成、さらに圧延条件および加速冷却条件を、それぞれの限定理由を望ましい条件とともに、分説する。
【0014】
(1) 鋼組成
スラブ組成は、C:0.02〜0.10%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.80〜1.40%、P:0.020 %以下、S:0.0020%以下、Cr:0.30〜1.00%、Ti:0.005 〜0.030 %、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0080%以下と、その他にCu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Mo:0.50%以下、Nb:0.060 %以下、V ≦0.10%以下、およびAl:0.10%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を必要に応じて任意に含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる。
【0015】
[C:0.02〜0.10%]
C含有量が0.02%未満では所定の強度を得難く、一方0.10%を越えてしまうと溶接割れ感受性組成Pcm.が上昇して溶接割れ感受性が大きくなり、また、連続鋳造スラブを用いた場合には、連続鋳造スラブの凝固過程における包晶反応の影響によりスラブ割れが発生し易くなるとともに、連続鋳造スラブの中心部にCが過度に濃化して偏析帯を形成してしまう。したがって、C含有量は0.02%以上0.10%以下に限定する。望ましくは、上限は0.08%であり、下限は0.04%である。
【0016】
[Si:0.05〜0.50%]
Siは、脱酸剤または鋼強化成分として作用する。Si含有量が0.05%未満では脱酸が不十分となり、一方0.50%を越えると溶接熱影響部に縞状マルテンサイトが多く生成して靱性を極度に劣化させる。したがって、Si含有量は0.05%以上0.50%以下に限定する。同様の観点から、望ましくは、上限は0.35%であり、下限は0.05%である。
【0017】
[Mn:0.80〜1.40%]
Mnは、鋼を強化するとともに強靱化する。Mn含有量が0.80%未満では高強度鋼として要求される強度が得られない。一方、Mn含有量が1.40%を超えるとスラブの中心偏析が増大して水素誘起割れが多く発生する。したがって、Mn含有量は0.80%以上1.40%以下に限定する。
【0018】
[P:0.020 %以下、S:0.0020%以下]
P、Sはいずれもできるだけ少ないほうが好ましい元素である。P含有量が0.020 %を越えるとスラブにおける中心偏析度が上昇し、局部的な硬度上昇が発生する。そこで、P含有量は0.020 %以下に限定する。同様の観点から、望ましくは0.0015%以下である。
【0019】
一方、S含有量が0.0020%を越えると鋼に対して有害な介在物(MnS) が多く生成する。そこで、S含有量は0.0020%以下に限定する。同様の観点から、望ましくは0.015 %以下である。
【0020】
[Cr:0.30〜1.00%]
Crは、スラブの凝固過程において中心偏析部に濃化し難い元素である。また、Crは、熱間圧延後の鋼板の水冷時に、オーステナイトのフェライトやパーライトへの変態を遅らせて焼き入れ性を向上して鋼板の強度を上昇させ、かつ焼き戻し処理 (高温SR) においては素地フェライトの軟化を遅らせて微細な特殊炭化物の析出硬化作用により軟化抵抗の増加をもたらす。そのため、ラインパイプ用鋼板の耐HIC 性能と強度とをともに確保するには非常に有効な元素である。Cr含有量が0.30%未満では高温熱処理の前後で高強度鋼として求められる強度が得られない。一方、Cr含有量が1.00%を越えると溶接時の作業性を極度に低下させるとともにコストが嵩む。したがって、Cr含有量は0.30%以上1.00%以下に限定する。同様の観点から、望ましくは上限:0.70%、下限:0.30%であり、より望ましくは上限:0.60%、下限:0.30%である。
【0021】
[Ti:0.005 〜0.030 %]
Tiは、鋼の強度を向上させるとともにスラブ品質を安定させる元素である。Ti含有量が0.005 %未満ではこのような効果が認められず、一方Ti含有量が0.030 %を超えると、溶接熱影響部(HAZ) の靱性を劣化させる。したがって、Ti含有量は0.005 %以上0.030 %以下に限定する。
【0022】
[Ca:0.0005〜0.0050%]
Caは、耐HIC 鋼においては非常に有害な介在物を形態制御して低減させることに有効な元素である。また、Caを添加することによって伸長性のMnS を低減し、鋼自体の靱性を向上する。Ca含有量が0.0005%以下ではこのような効果が得られず、一方Ca含有量が0.0050%を超えるとCa系介在物が増加するとともにコストが嵩む。したがって、Ca含有量は0.0005%以上0.0050%以下に限定する。
【0023】
[N:0.0080%以下]
Nは、Tiと窒化物を形成し、溶接熱影響部の靱性劣化を防止する反面、多く含有しすぎると、過剰なNがAlと結合し、スラブの表面品質を悪化させる。したがって、N含有量は0.0080%以下に限定する。同様の観点から、望ましくは上限:0.0070%、下限:0.0020%である。
【0024】
さらに、本発明で用いるスラブは、強度維持のため、Cu、Ni、Mo、Nb、V およびAlの1種または2種以上を必要に応じて任意に含有する。以下、これらの任意添加元素の組成を限定する理由を説明する。
【0025】
[Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下]
Cuは、鋼強化元素であるが、Cuを含有する場合にはCuチェッキング防止のためNiを約Cu/2以上の割合で添加しなければならず、Cu含有量の増加に伴って必然的にコストが嵩む。したがって、Cu含有量は0.50%以下に、Ni含有量は0.50%以下にそれぞれ限定する。
【0026】
[Mo:0.50%以下]
Moは、鋼強化元素であるが、0.50%超添加すると必然的にコスト上昇を伴う。そこで、Mo含有量は0.50%以下に限定する。同様の観点から、望ましくは0.30%以下である。
【0027】
[Nb:0.060 %以下]
Nbは、鋼の強度および靱性を向上させる元素である。特に、オーステナイト未再結晶領域で仕上げ圧延を行うことによりオーステナイト粒を細粒化し、鋼板をAr3 変態点以上から急冷することにより強靱な細粒でかつ均一なベーナイト組織を得ることができる。したがって、成品に求める強度と靱性とのバランスに応じて適宜添加されるが、0.060 %超添加するとスラブ加熱時に固溶が不完全になるとともにコストが嵩む。そこで、Nb含有量は0.060 %以下に限定する。同様の観点から、望ましくは上限:0.060 %、下限:0.020 %である。
【0028】
[V:0.10%以下]
Vは、鋼のスラブ加熱時の固溶強化および低温仕上げ圧延による析出硬化により、強度を向上させる元素である。しかし、本発明において規定する圧延仕上げ温度は、Vの析出効果が得られる温度範囲を外れるため、過度に添加しても有効ではなく、コストが嵩むだけである。そこで、V含有量は0.10%以下に限定する。同様の観点から、望ましくは0.070 %以下である。
【0029】
[Al:0.10%以下]
Alは、溶製段階で脱酸剤として用いられるが、0.10%超含有すると、溶接熱影響部(HAZ) の靱性を劣化させる。したがって、Al含有量は0.10%以下に限定する。同様の観点から、望ましくは0.070 %以下である。
次に、本発明における圧延条件を、スラブ加熱、粗圧延および仕上圧延に分けて説明する。
【0030】
(2) スラブ種
本発明において用いるスラブとしては、造塊−分塊スラブや連続鋳造スラブを用いることができるが、製造効率、歩留りおよび省エネルギーの観点から、連続鋳造スラブを用いることが望ましい。
【0031】
(3)−1 (スラブ加熱)
鋼板の靱性向上のためにはスラブ加熱温度は低い方が好ましいが、1000℃未満では所定の強度を得ることができないことがある。一方、スラブ加熱温度が1200℃を越えるとオーステナイト粒が粗大化して鋼板の靱性を劣化させる可能性がある。そこで、本発明では、スラブの加熱温度は1000℃以上1200℃以下と限定する。望ましくは1020〜1180℃である。
【0032】
(3)−2 (粗圧延)
スラブに対する粗圧延は、スラブ表面温度が1000℃以上である温度域でスラブ厚さが成品厚さの3〜10倍になるまで行う。1000℃未満の温度域で粗圧延を行うと、仕上げ圧延時の表面温度を800 ℃以上に保持できない場合があるからである。
【0033】
また、粗圧延におけるスラブ厚さが成品厚さの3倍よりも薄く粗圧延すると、仕上げ圧延における圧下量が不足し鋼板の靱性を改善できないおそれがあり、一方、粗圧延におけるスラブ厚さが成品厚さの10倍を越える厚さであるとスラブ中心部まで粗圧延による圧下が浸透し難くなるとともに圧延能率が極度に低下する。そこで、粗圧延におけるスラブ厚を製品厚の3〜10倍に限定する。望ましくは、4〜7倍である。
【0034】
(3)−3 [仕上げ圧延]
仕上げ圧延では、上述したようにして粗圧延を行われたスラブに対し、冷却することなく引き続き、圧下を行って所定の板厚の成品とする。この仕上圧延では、圧延終了時の成品表面温度が800 ℃以上になるようにして、圧延を行う。成品である鋼板の水冷開始温度を Ar3変態点以上にするためである。水冷開始温度を Ar3変態点以上とすることにより、オーステナイト未再結晶領域において仕上げ圧延を完了し、鋼板を Ar3変態点以上の温度域から急冷することにより、部分的なパーライト組織の生成を抑制し、強靱な細粒でかつ均一なべーナイト組織を得ることができる。
【0035】
(4)仕上圧延後、鋼板の搬送速度:50〜200m/minで 400〜550 ℃まで水冷し、その後空冷または放冷する。
成品表面温度800 ℃以上で仕上圧延を終了した後、搬送速度:50〜200m/minで直ちに鋼板を搬送しながら水冷し、 400〜550 ℃の温度域で水冷を停止する。
【0036】
水冷の停止温度が 400℃未満であると過冷却となって一部にマルテンサイト組織が存在する混在組織になってしまい耐HIC 性能が悪化するとともに、降状応力が低下する。一方、水冷の停止温度が 550℃超であると細粒組織が得られず、所定の強度および靱性が得られない。そこで、本発明では水冷の停止温度を 400℃以上550 ℃以下に限定する。同様の観点から、望ましくは 400〜500 ℃である。
【0037】
また、水冷時における鋼板搬送速度が50m/min 未満では、水冷温度が上昇するので鋼板内部の残留応力が増大し、鋼板に平坦度不良が発生し易くなる。一方、鋼板搬送速度が200m/minを越えると冷却速度が低下し、鋼板の焼入れ性が不十分となって強度および靱性が劣化する。さらに、板厚方向の中心部における組織制御が不十分となって拡散性元素が濃化し易くなり、母材の硬度分布が不均一になるとともに耐HIC 性能が劣化する。そこで、本発明では鋼板の搬送速度は、50〜200m/minに限定する。望ましくは、50〜150 m/min である。なお、鋼板搬送速度は、上記の範囲内で、スラブの組成および鋼板 (成品) の板厚に応じて、適宜決定する。
このようにして、水冷を行った後は、空冷に切り換えて常温まで冷却すればよい。
【0038】
以上詳細に説明した本発明にかかる高強度耐 HICラインパイプ用鋼板の製造方法により、高温SR特性に優れた高強度耐 HICラインパイプ用鋼板を低コストで製造することが可能となる。
【0039】
このようにして得られた高強度耐 HICラインパイプ用鋼板は、適宜手段により製管された後、例えばラインパイプ用として、現地周溶接を行うことによりそれぞれの端面同士が、現地周溶接により接続される。
【0040】
図1は、本発明にかかる高強度耐 HICラインパイプ用鋼板を使って製造されたパイプをコネクタに接続するときの溶接の施工を模式的に説明するもので、図中、パイプ1、1の間には、パイプ1の外径と略同一の内径を有する管状のコネクタ2、2が突き合わされた状態で配置される。コネクタ2、2はパイプ1、1に外挿されており、コネクタ2とパイプ1との接合部3、3が現地周溶接により、環状に溶接される。また、コネクタ2、2の突き合わせ部には環状にフランジ4、4が形成されており、フランジ4、4を貫通する複数組のボルトおよびナット5により締結固定されて、接続される。
【0041】
接続後に、溶接による残留応力除去と硬度上昇防止とを目的として、後熱処理 (焼なまし) が600 〜700 ℃で行われても、本発明にかかる高強度耐 HICラインパイプ用鋼板は、600 ℃以上の高温SR性能 (SR脆化に対する抵抗性) が優れるため、溶接部の靱性低下は殆ど発生しない。
【0042】
【実施例】
さらに、本発明をデータを参照しながら、より詳細に説明する。
表1に示す鋼種A〜Vの組成を有するスラブ (厚さ235 mm) を連続鋳造プロセスで製造した。
【0043】
【表1】
Figure 0003783356
【0044】
この結果、鋼種L、N、Rのスラブは、C含有量が本発明の上限値である0.10%を越えているため、連続鋳造後のスラブ段階で割れが発生した。さらに、鋼種L、P、S、Vのスラブは、Cu含有量に対するNi含有量が相対的に少ないため、Cuチェッキングが発生した。したがって、鋼種L、N、P、R、S、Vのスラブについては圧延を行わなかった。
【0045】
次に、鋼種L、N、P、R、SおよびVを除く表1に示す鋼種のうちで炭素当量Ceq.{=C+Mn/6+ (Cr+Mo+V) /5+ (Cu+Ni) /15}が略0.45である鋼種A、T、U、炭素当量Ceq が略0.40である鋼種J、Q、炭素当量Ceq が略0.32である鋼種K、Mのスラブについて、それぞれグレードX80 、X70 またはX52 のラインパイプ用鋼板を圧延した。鋼板の板厚は、それぞれ、19.05mm 、25.40mm または15.88mm である。圧延条件を表2に示す。
【0046】
【表2】
Figure 0003783356
【0047】
本実施例では、加熱温度は、用いた鋼種が含有するNbかVのどちらか一方の固溶強化作用を有効に活用するため、1140℃に設定しているが、鋼板に要求する性能 (強度、靱性) に応じて1000〜1200℃の範囲で適宜決定することができる。
【0048】
また、粗圧延後のスラブ厚さは、仕上温度および水冷条件の性能に及ぼす影響を比較するため、およそ板厚×5.0(mm) に設定した。
【0049】
さらに、熱間圧延後における水冷時の鋼板搬送速度は、50〜200m/minの範囲で、グレードおよび板厚に応じて適宜設定することができ、平坦度に悪影響を及ぼさない搬送速度とした。
【0050】
このようにして製造したラインパイプ用鋼板について、パイプT方向強度 (YS、TS) 、耐HIC 性能および650 ℃SR後T方向強度 (YS、TS) を調査した。結果を表3にまとめて示す。
【0051】
【表3】
Figure 0003783356
【0052】
表3に示すように、グレードX80では、鋼種A、UおよびTについて比較した。本発明の範囲を満足する鋼種Aのスラブを、本発明の範囲を満足する圧延条件および加速冷却条件で製造した試料 (試料No.A−1 〜試料No.A−3)は、耐HIC 性能および高温SR特性とも良好であった。
しかし、試料No.A−4 、試料No.A−5 は、水冷停止温度、圧延仕上温度が本発明の範囲を外れるため、耐HIC 性能が不足した。
【0053】
また、本発明の範囲を外れる鋼種U、Tのスラブからなる試料 (試料No.U−1 、試料No.U−2 、試料No.U−3 および試料No.T−1)は、本発明の範囲を満足する圧延条件および加速冷却条件で製造しても (試料No.U−1 、試料No.U−2 および試料No.T−1)、Cr含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、高温SR特性が不足する。
【0054】
なお、試料No.T−1 は高温SRの処理前の強度が2グレード程度高いため、高温SR後の強度はX80は満足する。換言すれば、Cr含有量が本発明の範囲を満足しない鋼種からなる試料では、高温SR後の強度低下を考慮して組成を設計せざるを得ず、合金元素量の増加に伴うコスト高となり、生産性が低下する。
【0055】
また、グレードX70では、ともにCrを含有する鋼種JおよびQについて比較した。いずれも適当なCrを含有するため、高温SR特性は良好である。しかし、鋼種QはMn含有量が本発明の範囲外であるため、Mn等の濃化部による中心偏析および介在物原因で水素誘起割れが発生し、耐HIC 性能が劣化した。
さらに、グレードX52では、グレードX80、X70と同様な挙動を呈し、Cr含有量が少ない鋼種Mでは、高温SRにおける強度の低下が激しい。
【0056】
さらに、鋼種AおよびTを用いて、650 ℃/SR後X80グレードを目標に、ラインパイプ用鋼板を製造した。図1は、Crを添加した高温SR後の強度に及ぼす影響例を示すグラフである。鋼種Aは、高温SR抵抗が大きく700 ℃/SRでもX80を満足する。しかし、鋼種Tは、ASの状態から比較しても強度の降下はかなり激しいことがわかる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、高温SR特性に優れた高強度耐 HICラインパイプ用鋼板を低コストで製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる高強度耐 HICラインパイプ用鋼板を使って製造されたパイプをコネクタに接続するときの溶接の施工を模式的に示す説明図である。
【図2】実施例において、Crを添加した高温SR後の強度に及ぼす影響例を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 重量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.80〜1.40%、P:0.020%以下、S:0.0020%以下、Cr:0.30〜1.00%、Ti:0.005〜0.030%、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0080%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを1000〜1200℃に加熱した後、スラブ表面温度が1000℃以上である温度域でスラブ厚さが成品厚さの3〜10倍になるまで粗圧延を行い、引き続き、表面温度が800℃以上である温度域で仕上げ圧延を行い、圧延終了後400〜550℃の温度域まで水冷することを特徴とする、均一なベーナイト組織を有する高温SR特性に優れた高強度耐HICラインパイプ用鋼板の製造法
  2. さらに、前記スラブは、重量%で、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Mo:0.50%以下、Nb:0.060%以下、V:0.10%以下、およびAl:0.10%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の高温SR特性に優れた高強度耐HICラインパイプ用鋼板の製造法。
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