JP3781870B2 - 軸受製造装置、製造方法及び工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受用部材の軸受用孔の内周面部を加工処理して軸受を製造する軸受製造装置及び軸受製造方法並びに軸受製造に用いる工具に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
軸受用部材の軸受用孔の内周面部に動圧発生用のヘリングボーン溝やスパイラル溝等を設ける場合、従来、例えば特開平4- 348865号公報に記載されているように、軸体の外周部に小鋼球を半突出状態で固定してなる工具の基端部を保持し、工具の先端部を、固定保持された軸受用部材の軸受用孔内に上方から回転させつつ下方へ押し込み、次いで回転させつつ上方へ引き上げるという工程を、工具の角度を必要に応じ変えて繰り返すことにより、小鋼球により軸受用孔の内周面部に所望の動圧発生用溝を設けていた。
【0003】
ところが、このような従来の技術により軸受用孔の内周面部に溝を形成して軸受を製造する場合、少なくとも半分の工程において、工具軸の保持部と小鋼球突出部の間に軸心方向の圧縮力が作用し、工具軸に多少なりともたわみが生じ易く、それによって、小鋼球から軸受用孔の内周面部に対し作用する力及び小鋼球により軸受用孔の内周面部に形成される溝が周方向に不均一になりがちであるという問題を有することが判明した。
【0004】
本発明は、従来技術に存した上記のような問題点に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、軸受用孔の内周面部が周方向に均一性高く加工された軸受を製造することができる軸受製造装置及び軸受製造方法並びにその軸受製造に用いる工具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的を達成する本発明の軸受製造装置は、
軸受用部材の軸受用孔の内周面部を加工処理するための工具と、前記軸受用部材を保持するための軸受用部材保持部と、前記工具を保持するための工具保持部とを備えてなる軸受製造装置であって、
前記工具は、前記工具保持部により保持される被保持部と、軸受用部材の軸受用孔の内周面部を加工処理するための加工処理部を、軸心方向における別の位置に有し、その工具の加工処理部から被保持部が位置する側の端部に至る部分の外周の最大離心距離は、前記加工処理部における外周の最大離心距離よりも小さく、前記軸受用部材保持部に軸受用部材を保持し、前記工具の加工処理部と被保持部の間の部分を、軸受用部材保持部に保持された軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通すると共に、その工具の被保持部を前記工具保持部に保持した状態で、軸受用部材保持部と工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理することを特徴とする。
また本発明の軸受製造方法は、被保持部と軸受用部材における軸受用孔の内周面部を加工処理するための加工処理部を軸心方向における別の位置に有する工具を用いて軸受用孔の内周面部を加工処理することにより軸受を製造する方法であって、軸受用部材を保持し、工具の加工処理部と被保持部の間の部分を、軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通すると共に、その工具の被保持部を保持した状態で、軸受用部材と被保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材と被保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により軸受用孔の内周面部を加工処理することを特徴とする。
本発明における工具[後記(2)における工具も含む]としては、例えば、加工処理部に、軸受用孔の内周面部に動圧発生用溝を形成するための溝形成用突部を有するものであることが好ましい。
この場合の加工処理部としては、例えば、工具の外周部に溝形成用突部として小鋼球を半突出状態で固定保持したものを挙げることができる。この場合の鋼球は、軸受用孔に設けるべき溝数と同数又はその整数分の1の数を周方向に等中心角毎に設けるものとすることができる。
【0006】
また、本発明における工具[後記(2)における工具も含む]の加工処理部は、軸受用孔の内周面部にサイジング加工を施すためのサイジング加工部とすることもできる。
工具の加工処理部における外周の最大離心距離は、軸受用孔における加工処理対象部の内半径よりも、加工処理に必要な程度大きく構成される。
【0007】
工具の加工処理部から被保持部が位置する側の端部に至る部分の外周の最大離心距離は、加工処理部における外周の最大離心距離よりも小さいので、この最大離心距離を、対象とする軸受用孔の最小内半径よりも小さくすることにより、工具の加工処理部と被保持部の間の部分を、軸受用部材保持部に保持された軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通することができる。
【0008】
このように挿通した後、工具の被保持部を工具保持部に保持した状態で、軸受用部材保持部と工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理する。加工処理をこのように行った場合、工具における被保持部と加工処理部の間には、主として、軸心方向の引張力及び軸心線まわりのねじりモーメントの両方又は一方が作用し、加工処理中には軸心方向の圧縮力は実質上作用しない。そのため、加工処理の際に工具軸にたわみが生じ難く、加工処理部から軸受用孔の内周面部に対し作用する力及び加工処理部による軸受用孔の内周面部に対する加工処理が周方向に不均一になることが防がれる。
(2) 上記(1)記載の軸受製造装置は、
軸受用部材保持部を挟んで両側にそれぞれ工具保持部を有すると共に、工具の加工処理部を挟んで両側にそれぞれ被保持部を有し、
前記軸受用部材保持部に軸受用部材を保持し、前記工具の加工処理部と何れか一方の被保持部の間の部分を、軸受用部材保持部に保持された軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通すると共に、前記一方の被保持部を一方の工具保持部に保持した状態で、軸受用部材保持部と前記一方の工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と前記一方の工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理し、
次いで、前記工具の他方の被保持部を他方の工具保持部に保持した状態で、軸受用部材保持部と前記他方の工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と前記他方の工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理するものとすることが望ましい。
また、上記(1)記載の軸受製造方法は、
加工処理部を挟んで軸心方向における両側にそれぞれ被保持部を有する工具を用い、
軸受用部材を保持し、工具の加工処理部と何れか一方の被保持部の間の部分を、軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通すると共に、前記一方の工具の被保持部を保持した状態で、軸受用部材と前記一方の被保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材と前記一方の被保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により軸受用孔の内周面部を加工処理し、
次いで、工具の他方の被保持部を保持した状態で、軸受用部材と前記他方の被保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材と前記他方の被保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により軸受用孔の内周面部を加工処理するものとすることが望ましい。
上記の軸受用部材における軸受用孔の内周面部を加工処理するための工具は、軸受用部材の内周面部を加工処理するための加工処理部の軸心方向における両側にそれぞれ被保持部を有し、
前記加工処理部から両端部に至る部分の外周の最大離心距離は、加工処理部における外周の最大離心距離よりも小さいものである。
工具の加工処理部から両端部に至る部分の外周の最大離心距離が、加工処理部における外周の最大離心距離よりも小さいので、この最大離心距離を、対象とする軸受用孔の最小内半径よりも小さくすることにより、工具の加工処理部と何れか一方の被保持部の間の部分を、軸受用部材保持部に保持された軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通することができる。
【0009】
このように挿通した後、一方の被保持部を一方の工具保持部に保持した状態で、軸受用部材保持部と前記一方の工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と前記一方の工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理する。
【0010】
この加工処理により、加工処理部は軸受用孔に対し相対的に前記一方の被保持部の側へ移動するので、その工具の加工処理部と他方の被保持部の間の部分が、軸受用部材保持部に保持された軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通した状態となる。この状態で工具の他方の被保持部を他方の工具保持部に保持すれば、軸受用部材保持部と前記他方の工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と前記他方の工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理することができる。
【0011】
このような、加工処理部が軸受用孔に対し相対的に一方の側へ移動する加工処理と他方の側へ移動する加工処理は、必要に応じ加工処理部と軸受用孔との軸心線まわりの角度を変えて繰り返すことができる。何れの側へ移動する加工処理においても、加工処理部が向かう側の被保持部と加工処理部の間には、主として、軸心方向の引張力及び軸心線まわりのねじりモーメントの両方又は一方が作用し、加工処理中には軸心方向の圧縮力は実質上作用しない。そのため、加工処理の際に工具軸にたわみが生じ難く、加工処理部から軸受用孔の内周面部に対し作用する力及び加工処理部による軸受用孔の内周面部に対する加工処理が周方向に不均一になることが防がれる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の一例としての軸受製造装置についての説明図である。
【0014】
この軸受製造装置は、ワークチャック10(軸受用部材保持部)と、そのワークチャック10の上下にそれぞれ位置する上工具チャック12及び下工具チャック14と、洗浄液供給ノズル16と、動圧発生用溝形成用の工具18を備える。
【0015】
工具18は、上下端部に設けられた上下被保持部18a・18bを除き一定径の円柱形状の軸体18cの軸心方向中央位置(加工処理部)における60度中心角ずつ隔てた6箇所(溝数の半分)に小鋼球20(溝形成用突部)を半突出状態で固定保持したものである。上下被保持部18a・18bの横断面は、最大離心距離が軸体18cの残部の半径以下である多角形状に形成されている。軸体18cの外径は、スリーブ部材22(軸受用部材)の軸受用孔22aの内径よりも小さい。なお、上下被保持部18a・18bの横断面を円形状とし、その外周面にローレット加工等を施すこともできる。
【0016】
上下工具チャック12・14とワークチャック10は、上下方向の一定直線に沿って配列されている。
【0017】
ワークチャック10は、スリーブ部材22を、その軸受用孔22aの軸心線が前記一定直線に一致するようにして一定位置において保持する。
【0018】
上下工具チャック12・14は、それぞれ上下動と、工具18の上下被保持部18a・18bを保持した状態での前記上下方向一定直線まわりの回動とが可能なように構成されている。
【0019】
洗浄液供給ノズル16は、動圧発生用溝形成中にスリーブ部材22の軸受用孔22aに対し白抜矢印のように洗浄液を供給するものであって、上工具チャック12と共に上下動する。
【0020】
工具18の軸心線が前記上下方向一定直線に一致した状態でその工具18の上被保持部18aを上工具チャック12により保持し、上工具チャック12を下降させることにより、ワークチャック10により一定位置に保持されたスリーブ部材22の軸受用孔22aに対し上方から工具18の軸体18cの下半部を挿入することができる。
【0021】
工具18の小鋼球20がスリーブ部材22の上方に位置する状態で上工具チャック12の下降を停止させ、下工具チャック14で工具18の下被保持部18bを保持し、上工具チャック12による上被保持部18aの保持を解除した後、図1(a )に示すように下工具チャック14を下降させる。小鋼球20がスリーブ部材22の軸受用孔22aに差し掛かったならば、下工具チャック14を、下降させながら回動させ、必要に応じ一定位置以降反転回動させつつ下降させる。また、途中の一定区間で回動を停止させることもできる。これにより、小鋼球20によってスリーブ部材22の軸受用孔22aの内周面部に所望の形状の溝を形成することができる。
【0022】
このようにして小鋼球20が軸受用孔22aよりも下方に達した後、スリーブ15部材22の上方に工具18の上被保持部18aが位置する状態で下工具チャック14の下降を停止させ、上工具チャック12で工具18の上被保持部18aを保持し、下工具チャック14による下被保持部18bの保持を解除する。例えばこの状態で上工具チャック12を一定角度回動させれば、次に小鋼球20により軸受用孔22aの内周面部に形成する溝の位置を変えることができる。次いで、図1(b)に示すように上工具チャック12を上昇させ、小鋼球20がスリーブ部材22の軸受用孔22aに差し掛かったならば、上工具チャック12を上昇させながら回動させ、必要に応じ一定位置以降反転回動させつつ上昇させる。また、途中の一定区間で回動を停止させることもできる。これにより、図1(a )の場合と同様に小鋼球20によってスリーブ部材22の軸受用孔22aの内周面部に所望の形状の溝を設けることができる。
【0023】
このような、下工具チャック14により工具18の下被保持部18bを保持して下降させつつ行う溝形成と、上工具チャック12により工具18の上被保持部18aを保持して上昇させつつ行う溝形成を、小鋼球20により軸受用孔22aの内周面部に形成する溝の位置を必要に応じ変えつつ繰り返すことにより、動圧発生用の所望のヘリングボーン溝、スパイラル溝等を軸受用孔22aの内周面部に形成することができる。ここに述べた例においては、下被保持部18bを下降させつつ行う溝形成と上被保持部18aを上昇させつつ行う溝形成を30度中心角ずらして1回ずつ行うことにより、所望の12本の溝を形成することができる。
【0024】
工具18を下降させつつ行う溝形成において、工具18が向かう側の被保持部、すなわち下被保持部18bと小鋼球20の間では、工具18の軸体18cに対し、主として、軸心方向の引張力及び軸心線まわりのねじりモーメントの両方又は一方が作用し、溝形成加工中には軸体18cのこの部分に対し軸心方向の圧縮力は実質上作用しない。工具18を上昇させつつ行う溝形成においても同様である。そのため、溝形成の際に工具18の軸体18cにたわみが生じ難く、小鋼球20から軸受用孔22aの内周面部に対し作用する力及び小鋼球20による軸受用孔22aの内周面部に対する溝形成加工が周方向に不均一になることが防がれる。
【0025】
なお、スリーブ部材の軸受用孔の内径は一定である必要はない。例えば、上下中間位置に拡径部を設け、軸受用孔の内周面部の上下2個所に動圧発生用溝を形成することもできる。
【0026】
図2は、図1の軸受製造装置における動圧発生用溝形成用の工具18をボールサイジング用の工具30に換えた例ついての説明図であり、工具30以外は全て図1の例と同様である。
【0027】
工具30は、軸体18cの軸心方向中央位置(加工処理部)に、球状部32を、軸体18cと同心状に有してなる。球状部32においては、軸体18cの外周面よりも外方に、弓形状の一定断面で全周にわたり膨出している。
【0028】
図1の軸受製造装置により動圧発生用溝を形成した後、スリーブ部材22の軸受用孔22aに対しサイジング加工を施す場合、工具30の軸心線が前記上下方向一定直線に一致した状態でその工具30の上被保持部18aを上工具チャック12により保持し、上工具チャック12を下降させることにより、ワークチャック10により一定位置に保持されたスリーブ部材22の軸受用孔22aに対し上方から工具30の軸体18cの下半部を挿入することができる。
【0029】
工具30の球状部32がスリーブ部材22の上方に位置する状態で上工具チャック12の下降を停止させ、下工具チャック14で工具30の下被保持部18bを保持し、上工具チャック12による上被保持部18aの保持を解除した後、図2に示すように下工具チャック14を下降させる。球状部32が軸受用孔22aよりも下方に達することにより、球状部32によってスリーブ部材22の軸受用孔22aの内周面部にサイジング加工を施すことができる。勿論、逆に上工具チャック12で工具30の上被保持部18aを保持した状態で上工具チャック12を上昇させることによりサイジング加工を施すこともできる。
【0030】
工具30を下降させつつ行うサイジング加工において、工具30が向かう側の被保持部、すなわち下被保持部18bと球状部32の間では、工具30の軸体18cに対し、主として、軸心方向の引張力が作用し、サイジング加工中には軸体18cのこの部分に対し軸心方向の圧縮力は実質上作用しない。工具30を上昇させつつ行うサイジング加工においても同様である。そのため、サイジング加工の際に工具30の軸体18cにたわみが生じ難く、球状部32から軸受用孔22aの内周面部に対し作用する力及び球状部32による軸受用孔22aの内周面部に対するサイジング加工が周方向に不均一になることが防がれる。
【0031】
なお、球状部32は、必ずしも軸体18cの軸心方向中間部に位置することを要しないが、この例のように球状部32が軸体18cの軸心方向中間部に位置する場合、軸心方向における何れの方向からもサイジング加工を行うことができる。
【0032】
以上の実施の形態についての記述における上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜のためのものであって、実際の使用状態等を限定するものではない。
【0033】
【発明の効果】
本発明の軸受製造装置又は軸受製造方法によれば、加工処理中、工具における被保持部と加工処理部の間に、主として、軸心方向の引張力及び軸心線まわりのねじりモーメントの両方又は一方が作用し、軸心方向の圧縮力は実質上作用しないので、工具軸にたわみが生じ難く、加工処理部から軸受用孔の内周面部に対し作用する力及び加工処理部による軸受用孔の内周面部に対する加工処理が周方向に不均一になることが防がれ、軸受用孔の内周面部が周方向に均一性高く加工された軸受を製造することができる。
【0034】
加工処理部が軸受用孔に対し相対的に一方の側へ移動する加工処理と他方の側へ移動する加工処理を、必要に応じ加工処理部と軸受用孔との軸心線まわりの角度を変えて繰り返すことができ、加工処理中、工具における被保持部と加工処理部の間に、主として、軸心方向の引張力及び軸心線まわりのねじりモーメントの両方又は一方が作用し、軸心方向の圧縮力は実質上作用しないので、工具軸にたわみが生じ難く、加工処理部から軸受用孔の内周面部に対し作用する力及び加工処理部による軸受用孔の内周面部に対する加工処理が周方向に不均一になることが防がれ、軸受用孔の内周面部が周方向に均一性高く加工された軸受を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動圧発生用溝形成用の軸受製造装置についての説明図である。
【図2】ボールサイジング用の軸受製造装置についての説明図である。
【符号の説明】
10 ワークチャック
14 下工具チャック
18 工具
18a 上被保持部
18b 下被保持部
18c 軸体
20 小鋼球
22 スリーブ部材
22a 軸受用孔
Claims (6)
- 軸受用部材の軸受用孔の内周面部を加工処理するための工具と、前記軸受用部材を保持するための軸受用部材保持部と、前記工具を保持するための工具保持部とを備えてなる軸受製造装置であって、
前記工具は、軸受用部材の軸受用孔の内周面部を加工処理するための加工処理部を有すると共に、その加工処理部を挟んで軸心方向における両側にそれぞれ被保持部を有し、その工具の加工処理部から各被保持部が位置する側の端部に至る部分の外周の最大離心距離は、前記加工処理部における外周の最大離心距離よりも小さく、
前記軸受用部材保持部を挟んで両側にそれぞれ工具保持部を有し、
前記軸受用部材保持部に軸受用部材を保持し、前記工具の加工処理部と何れか一方の被保持部の間の部分を、軸受用部材保持部に保持された軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通すると共に、前記一方の被保持部を一方の工具保持部に保持した状態で、軸受用部材保持部と前記一方の工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と前記一方の工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理し、次いで、前記工具の他方の被保持部を他方の工具保持部に保持した状態で、軸受用部材保持部と前記他方の工具保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材保持部と前記他方の工具保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により前記軸受用孔の内周面部を加工処理することを特徴とする軸受製造装置。 - 上記工具が、加工処理部に、軸受用孔の内周面部に動圧発生用溝を形成するための溝形成用突部を有するものである請求項1記載の軸受製造装置。
- 上記工具の加工処理部が、軸受用孔の内周面部にサイジング加工を施すためのサイジング加工部である請求項1記載の軸受製造装置。
- 軸受用部材の軸受用孔の内周面部を加工処理するための加工処理部を有すると共にその加工処理部を挟んで軸心方向における両側にそれぞれ被保持部を有する工具を用いて軸受用孔の内周面部を加工処理することにより軸受を製造する方法であって、
軸受用部材を保持し、工具の加工処理部と何れか一方の被保持部の間の部分を、軸受用部材の軸受用孔に同軸状に挿通すると共に、前記一方の工具の被保持部を保持した状態で、軸受用部材と前記一方の被保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材と前記一方の被保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により軸受用孔の内周面部を加工処理し、次いで、工具の他方の被保持部を保持した状態で、軸受用部材と前記他方の被保持部を相対的に軸心方向に引き離しつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて若しくは回動させずに、又は軸受用部材と前記他方の被保持部を両者の軸心方向距離を一定に保ちつつ工具の軸心線を中心として相対的に回動させて、前記加工処理部により軸受用孔の内周面部を加工処理することを特徴とする軸受製造方法。 - 上記工具が、加工処理部に、軸受用孔の内周面部に動圧発生用溝を形成するための溝形成用突部を有するものである請求項4記載の軸受製造方法。
- 上記工具の加工処理部が、軸受用孔の内周面部にサイジング加工を施すためのサイジング加工部である請求項4記載の軸受製造方法。
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