JP3781214B2 - ホログラムカラー表示媒体及びその作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラムカラー表示媒体及びその作製方法に関し、特に、表示面中の画素、網点等の分割領域毎に回折波長が異なる体積ホログラムを有するホログラムカラー表示媒体及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、特願平5−120016号において、膨潤フィルムを用いて一様な干渉縞が記録された体積ホログラムから位置に応じて再生色の異なるカラーパターンを得る方法を提案した。その原理は、フォトポリマーと同様に、バインダーポリマー中にモノマー又はオリゴマー、光開始剤等を混合してなる膨潤フィルムを用意し、フォトポリマー等の干渉縞記録済みの感光材料にこの膨潤フィルムを密着する前、又は、密着後に、所定の光量をこの膨潤フィルムに照射して、上記膨潤フィルムに含まれるモノマー又はオリゴマーを所定割合を重合させて不活性にして残りの活性のモノマー又はオリゴマーの量を調節し、その調節した量を干渉縞記録済みの感光材料中に拡散させて膨潤させることにより、干渉縞間の距離を任意の所定量正確に調節して、再生波長を所定のものに調節することにある。このような方法による膨潤後、干渉縞記録済み感光材料に光照射又は加熱することにより、拡散したモノマー又はオリゴマーを干渉縞内に定着できるため、再生色の保存安定性が優れたホログラムが得られる。しかも、照射する光に空間分布を持たせることにより、ホログラム上にカラーパターンを形成することができる。
【0003】
この方法を、図面を参照しながらもう少し詳しく説明する。図5は、膨潤フィルムを感光材料に密着した後に光照射して膨潤フィルムに含まれる膨潤剤(モノマー、オリゴマー)を不活性にする場合、図6は、膨潤フィルムを感光材料に密着する前に光照射して膨潤フィルムに含まれる膨潤剤を不活性にする場合の原理を説明するための図であり、図5の場合、同図(a)において、フォトポリマー等の感光材料1の両面から物体光2と参照光3を当ててその中に干渉縞を記録すると、同図(b)に示すような体積型のホログラム4が得られる。次に、同図(c)に示すように、バインダーポリマー中にモノマー又はオリゴマー、光開始剤等を混合してなる膨潤フィルム5を密着し、膨潤フィルム5中の浸透性モノマー又はオリゴマーの拡散度を上げるために加熱する前又は同時に、同図(d1)〜(d3)に示すように、ホログラム4又は膨潤フィルム5側から光照射6を行う。この光照射6により、膨潤フィルム5中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーの一部又は全部は光照射6の量に応じた割合だけ重合して不活性になり、浸透性(拡散性)がなくなる。したがって、光照射6の量が多い図(d1)の場合には、膨潤フィルム5中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーはほとんどなくなり、次に加熱してもホログラム4中にはほとんど浸透しない。そのため、例えば、同図(a)において青色の波長で体積型ホログラム4を記録したとすると、同図(d1)の膨潤工程を経たホログラム4はほとんど膨潤せず、青色の光を回折して再生する。これに対し、光照射6の量が中程度の図(d2)の場合には、膨潤フィルム5中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーの半分程度が不活性になり、次に加熱すると、残りの半分程度の浸透性モノマー又はオリゴマーがホログラム4中に浸透し、中程度の膨潤をする。そのため、同図(d2)の膨潤工程を経たホログラム4は、青色の波長より長い緑色の光を回折して再生する。さらに、光照射6をしない図(d3)の場合には、膨潤フィルム5中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーはそのまま残り、次に加熱すると、ほとんどの浸透性モノマー又はオリゴマーがホログラム4中に浸透し、最大限の膨潤をする。そのため、同図(d3)の膨潤工程を経たホログラム4は、緑色の波長より長い赤色の光を回折して再生する。このように、ホログラム4に密着した膨潤フィルム5に照射する光6の量を調節することにより、再生色を赤から青の間の任意に制御できる。
【0004】
また、図6の場合は、同図(a)及び(b)において、図5(a)及び(b)と同様にして、体積型ホログラム4が得られる。一方、同図(c1)〜(c3)に示すように、バインダーポリマー中にモノマー又はオリゴマー、光開始剤等を混合してなる膨潤フィルム5を用意し、これに所定量の光照射6を行うと、光照射6の量に応じた割合だけその中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーの一部又は全部が不活性になり、浸透性(拡散性)がなくなる。その光照射6済みの膨潤フィルム5を、同図(d1)〜(d3)に示すように、ホログラム4に密着し、図5の場合と同様に加熱すると、光照射6の量に応じてホログラム4の膨潤度が変わるため、膨潤フィルム5に照射する光6の量を調節することにより、同様に再生色を赤から青の間の任意に制御できる。
【0005】
なお、膨潤フィルム5は、バインダーポリマー中にモノマー又はオリゴマー、光開始剤等を混合してなるものであり、ホログラム記録用のフォトポリマーと同様のものである。したがって、特別に作製しなくとも、ホログラム記録用のフォトポリマーを膨潤フィルム5として用いることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した本出願人の提案によるカラーパターンの作製方法は、干渉縞記録済みの感光材料に密着する前あるいは後の膨潤フィルムに照射する光の量を調節して、膨潤フィルムに含まれる活性のモノマー又はオリゴマーの量を調節することにより、干渉縞の膨潤割合(干渉縞間の距離)を調節して、再生波長を所定のものに調節する方法であった。すなわち、照射光量により再生色を調節するものであった。
【0007】
しかしながら、所定の色を発色させるために光量を正確に調節することは必ずしも容易ではなく、また、再生色の再現性が安定しない問題も起こり得る。
【0008】
本発明は従来技術のこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光量調節によらなくとも、膨潤フィルムを用いて一様な干渉縞が記録された体積ホログラムから3つあるいは4つ、あるいはそれ以上の色が再現可能なホログラムカラー表示媒体及びその作製方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のホログラムカラー表示媒体は、フィルムの厚さ方向に光の干渉縞が記録されているホログラムを含むホログラムカラー表示媒体であって、
表面から外部に拡散可能な浸透性モノマー又はオリゴマーを含み、その浸透性モノマー又はオリゴマーが所定の失効パターンに従って不活性にされた2枚の膨潤フィルムによって、前記ホログラムの両面から拡散された前記浸透性モノマー又はオリゴマーにより前記ホログラムが位置に応じて異なる膨潤度で膨潤されており、
前記2枚の膨潤フィルムは前記ホログラムの両面に一体に密着され、一方の膨潤フィルムの失効パターンと他方の膨潤フィルムの失効パターンとの組み合わせにより、2色以上の2次元的な回折パターンを有することを特徴とするものである。
【0011】
この場合、異なる2つ以上の色を表示する2個以上の微小画素の組み合わせからなる微小なカラー表示単位の集合でカラー画像が表現され、各カラー表示単位の色がその中の画素の面積比率を変化させることにより、加法混色により任意の色に表現されているようにすることもできる。その場合に、ホログラムに記録された干渉縞がカラー表示単位の位置に応じて回折効率が変化するように記録されているか、又は、ホログラムの中あるいはその回折側表面がカラー表示単位の位置に応じて吸収率が変化するように構成されていると、各カラー表示単位の明るさ又は輝度も制御することはできる。
【0012】
また、ホログラムは体積位相型ホログラムであることが望ましく、その場合、ホログラムはフォトポリマーに記録されたホログラムであることが望ましい。
【0013】
また、本発明のホログラムカラー表示媒体の第1の作製方法は、フィルムの厚さ方向に光の干渉縞が記録されているホログラムを含むホログラムカラー表示媒体であって、表面から外部に拡散可能な浸透性モノマー又はオリゴマーを含み、その浸透性モノマー又はオリゴマーが所定の相互に異なる失効パターンに従って不活性にされた2枚の膨潤フィルムによって、前記ホログラムの両面から拡散された前記浸透性モノマー又はオリゴマーにより前記ホログラムが位置に応じて異なる膨潤度で膨潤されているホログラムカラー表示媒体の作製方法において、光を所定量以上照射することによりその位置に含まれる浸透性モノマー又はオリゴマーが不活性となる2枚の膨潤フィルムに、前記ホログラムの両面に密着させる前又はその後に、それぞれ所定量以上の光を前記失効パターンに従って照射し、両面に前記の失効処理をした膨潤フィルムを密着した前記ホログラムを加熱することにより、前記膨潤フィルムの活性領域から前記ホログラムに前記浸透性モノマー又はオリゴマーを拡散させることを特徴とする方法である。
【0014】
本発明のホログラムカラー表示媒体の第2の作製方法は、フィルムの厚さ方向に光の干渉縞が記録されているホログラムを含むホログラムカラー表示媒体であって、表面から外部に拡散可能な浸透性モノマー又はオリゴマーを含み、その浸透性モノマー又はオリゴマーが所定の相互に異なる失効パターンに従って不活性にされた2枚の膨潤フィルムによって、前記ホログラムの両面から拡散された前記浸透性モノマー又はオリゴマーにより前記ホログラムが位置に応じて異なる膨潤度で膨潤されているホログラムカラー表示媒体の作製方法において、光を所定量以上照射することによりその位置に含まれる浸透性モノマー又はオリゴマーが不活性となる膨潤フィルムに、前記ホログラムの一方の面に密着させる前又はその後に、所定量以上の光を前記失効パターンに従って照射し、前記の一方の面に前記の失効処理をした前記膨潤フィルムを密着してある前記ホログラムを加熱することにより、前記膨潤フィルムの活性領域から前記ホログラムに前記浸透性モノマー又はオリゴマーを拡散させ、次いで、光を所定量以上照射することによりその位置に含まれる浸透性モノマー又はオリゴマーが不活性となる他方の膨潤フィルムに、前記ホログラムの他方の面に密着させる前又はその後に、所定量以上の光を前記失効パターンに従って照射し、前記の他方の面に前記の失効処理をした前記他方の膨潤フィルムを密着してある前記ホログラムを再度加熱することにより、前記他方の膨潤フィルムの活性領域から前記ホログラムに前記浸透性モノマー又はオリゴマーを拡散させることを特徴とする方法である。
【0015】
これらの方法において、ホログラムは体積位相型ホログラムであることが望ましく、その場合、ホログラムはフォトポリマーに記録されたホログラムであることが望ましい。
【0016】
本発明においては、所定量以上の光を失効パターンに従って照射した2枚の膨潤フィルムを用いてホログラムの両面から膨潤させるので、光量調節によらなくとも一様な干渉縞が記録されたホログラムから膨潤により安定した異なる2色以上の色パターンが再現可能である。しかも、一方の膨潤フィルムの失効パターンと他方の膨潤フィルムの失効パターンとの組み合わせにより、2色以上の2次元的な回折パターンを表示すること可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の原理は、フォトポリマーと同様に、バインダーポリマー中にモノマー又はオリゴマー、光開始剤等を混合してなる膨潤フィルムを2枚用意し、フォトポリマー等の干渉縞記録済みの感光材料にこの2枚の膨潤フィルムを両面から密着する前、又は、密着後に、各膨潤フィルムの所定領域に、その領域に含まれる膨潤剤(モノマー、オリゴマー)を不活性にするのに十分な量の光を照射し、その他の領域には何ら光を照射せずに膨潤剤を活性のままとし、その場所により選択的に残した膨潤剤を両面から感光材料中に拡散させて膨潤させ、拡散した膨潤剤を定着させることにより、両面から膨潤剤を拡散させた領域、一方の面から膨潤剤を拡散させた領域、他方の面から膨潤剤を拡散させた領域、何れの面からも膨潤剤を拡散させなかった領域の3つ又は4つの領域を任意に形成し、干渉縞間の距離が3種又は4種になるようにして、所定の3ないし4色のパターンを再生可能にしたものである。
【0018】
以下、本発明の具体的な内容を図面を参照にして説明する。
図1はその第1のものの原理を説明するための図であり、図1(a)は表側に密着する膨潤フィルム11の平面図を示し、図1(b)は裏側に密着する膨潤フィルム12の平面図を示し、何れの膨潤フィルムも、前記したように、フォトポリマーと同様に、バインダーポリマー中にモノマー又はオリゴマー、光開始剤等を混合してなるフィルムである。そして、表側に密着する膨潤フィルム11の右側3分の2の領域11n、及び、裏側に密着する膨潤フィルム12の右側3分の1の領域12nには、膨潤フィルム中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーの略全部を重合して不活性にさせるに十分な量の光を照射して失効させてある。したがって、膨潤フィルム11は左側3分の1の領域11a、膨潤フィルム12は左側3分の2の領域12aが活性を有している。
【0019】
別に、図5(a)と同様にして、フォトポリマー等の感光材料中に一定ピッチの平面干渉縞からなる体積型ホログラム10を記録しておき、図1(c)に断面を示すように、その表面、裏面に図1(a)及び(b)のように一定の失効パターンに従って一部の領域を失効させた膨潤フィルム11、12をそれぞれ密着させる。そして、膨潤フィルム11、12中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーを体積型ホログラム10中に拡散させるのに十分な温度と時間、この積層体を加熱処理する。
【0020】
このような加熱処理後、膨潤フィルム11、12をホログラム10と一体のままに保つかあるいはそれから剥離すると、膨潤処理後の体積型ホログラム20は、図1(d)に示すように、膨潤の度合いによって3つの領域に分かれる。すなわち、両膨潤フィルム11、12により両面から膨潤された領域A、膨潤フィルム12により片面のみから膨潤された領域B、何れの面からも膨潤を受けなかった領域Cの3つである。膨潤の程度は、領域A>領域B>領域Cであり、例えば、体積型ホログラム10に青色の波長で記録したとすると、領域Cはほとんど膨潤せず、所定の方向に青色の光を回折して再生する。これに対し、膨潤の程度が中程度の領域Bは、青色の波長より長い緑色の光を同じ方向に回折して再生する。さらに、膨潤の程度が最も大きい領域Aは、緑色の波長より長い赤色の光を同じ方向に回折して再生する。このように、体積型ホログラム10の両面から所定の失効パターンに従って一部の領域を失効させた膨潤フィルム11、12を密着して同時に膨潤させると、所定の2色又は3色の任意のパターンを記録することができる。
【0021】
また、図2は第2のものの原理を説明するための図であり、図2(a)は表側に最初に密着して膨潤させる膨潤フィルム11の平面図を示し、その膨潤フィルム11の右側2分の1の領域11nは、図1の場合と同様に光を照射して失効させてある。
【0022】
そして、図2(b)に示すように、予めフォトポリマー等の感光材料中に一定ピッチの平面干渉縞を記録してある体積型ホログラム10の表面に、図2(a)の一定の失効パターンに従って一部の領域11nを失効させた膨潤フィルム11を密着させ、膨潤フィルム11中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーを体積型ホログラム10中に拡散させるのに十分な温度と時間、この積層体を加熱処理する。
【0023】
別に、裏側に後から密着して膨潤させる図2(c)に示すような膨潤フィルム12を用意しておく。この膨潤フィルム12は左右のそれぞれ4分の1の領域2a、12aを残し、中央の2分の1の領域12nを図1の場合と同様に光を照射して失効させてある。
【0024】
そして、図2(b)のような表側から加熱膨潤処理後、図2(d)に示すように、体積型ホログラム10の裏面に、図2(c)の一定の失効パターンに従って一部の領域12nを失効させた膨潤フィルム12を密着させ、膨潤フィルム12中の活性な浸透性モノマー又はオリゴマーを体積型ホログラム10中に拡散させるのに十分な温度と時間、この積層体を加熱処理する。
【0025】
このような加熱処理後、膨潤フィルム11、12をホログラム10と一体のままに保つかあるいはそれから剥離すると、膨潤処理後の体積型ホログラム20は、図2(e)に示すように、膨潤の度合いによって4つの領域に分かれる。すなわち、両膨潤フィルム11、12により両面から膨潤された領域A、膨潤フィルム11により表側から膨潤され、裏面の膨潤処理の際にも加熱を受け膨潤がより進んだ領域B、膨潤フィルム12により裏面から膨潤された領域D、何れの面からも膨潤を受けなかった領域Cの4つである。膨潤の程度は、領域A>領域B>領域D>領域Cであり、例えば、体積型ホログラム10に青色の波長で記録したとすると、領域Cはほとんど膨潤せず、青色の光を所定の方向に回折して再生する。これに対し、膨潤の程度がある程度ある領域Dは、青色の波長より長い青緑色の光を同じ方向に回折して再生する。それより膨潤の程度が大きい領域Bは、青緑色の波長より長い緑色の光を同じ方向に回折して再生する。さらに、膨潤の程度が最も大きい領域Aは、緑色の波長より長い赤色の光を同じ方向に回折して再生する。このように、体積型ホログラム10の両面から所定の失効パターンに従って一部の領域を失効させた膨潤フィルム11、12を順に密着して順に膨潤させると、所定の3色又は4色の任意のパターンを記録することができる。
【0026】
以上においては、膨潤フィルム11、12の所定の領域の失効は、体積型ホログラム10に密着させる前に紫外線等の所定の波長の光を照射して行うものとしていたが、密着後に膨潤フィルム11、12に照射して行うようにしてもよい。ただし、図1の例の場合は、片側の膨潤フィルム11又は12を失効させようとすると、もう一方の膨潤フィルム12又は11も同じパターンで失効してしまう。これを防止するためには、膨潤フィルム11と12の波長感度を異ならせておけばよい。そして、膨潤フィルム11を失効させる場合には、その膨潤フィルム11の感度に合わせた波長の光で失効させ、膨潤フィルム12を失効させる場合には、その膨潤フィルム12の感度に合わせた別の波長の光で失効させるようにすればよい。
【0027】
次に、図1及び図2の処理を行って3色及び4色の記録を行った実施例を示す。具体的に、体積型ホログラム10を記録するフォトポリマーとして、Omnidex706(デュポン社製)を用い、膨潤フィルム11、12として、CTF75(デュポン社製)を用いた。図1(c)、図2(b)、(d)における加熱処理を120℃で2時間行った。その結果、図1の実施例の場合は図3に、図2の実施例の場合は図4に示すような回折効率分布の体積型ホログラム20を得た。それぞれの図面中のA〜Dの曲線は、図1(d)、図2(e)中の領域A〜Dに対応する。ただし、図3、図4の縦軸は、回折効率を直接示すものではなく、回折効率と相補的な関係にある0次光透過率を示している。これらの図から、所望の色再現性が得られることが分かる。
【0028】
さて、以上の方法によると、所定の2〜4色のパターンしか得られない。それ以外の中間色を得るには、それら2〜4色を表示する微小画素の面積比による加法混色の原理によればよい。すなわち、所定のパターンを、例えば図1(d)又は図2(e)に示すような形状A〜C又はA〜Dの画素からなる微小なカラー表示単位の集合でカラー画像を表し、各カラー表示単位の色は、カラー表示単位の面積は一定としその中の画素A、B、C、Dの面積比率を変化させることにより任意の色を表現することができる。
【0029】
しかし、この場合は、各カラー表示単位の色は制御できてもその明るさ又は輝度を制御することはできない。そのためには、2つの方法がある。第1の方法は、体積型ホログラム10に一様な回折効率(屈折率変調)の干渉縞を記録するのではなく、上記のカラー表示単位の位置に応じて回折効率が変化するような一様な間隔の干渉縞を記録するようにすればよい(干渉縞個々は隣接する間隔が一定の平面状のものであるが、その屈折率変調が位置に応じて異なる。)。第2の方法は、体積型ホログラム10中あるいはその回折側表面に上記のカラー表示単位の位置に応じて回折光強度が変化するように、中間調を含む吸収性にすればよい。具体的には、白黒写真ネガのようなハーフトーンを含む白黒画像を記録した層を体積型ホログラム10表面に設けるか、体積型ホログラム10媒体を位置に応じて変化する吸収性にすればよい。
【0030】
以上、本発明のホログラムカラー表示媒体及びその作製方法をいくつかの具体例と実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれらに限定されず種々の変形が可能である。例えば、図1、図2何れの実施例においても、膨潤フィルム11、12それぞれを失効させるとき、光の照射量を調節して互いの失効度合いを異ならせ、膨潤の程度を調整するようにすることもできる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のホログラムカラー表示媒体及びその作製方法によると、所定量以上の光を失効パターンに従って照射した2枚の膨潤フィルムを用いてホログラムの両面から膨潤させるので、光量調節によらなくとも一様な干渉縞が記録されたホログラムから膨潤により安定した異なる2色以上の色パターンが再現可能である。しかも、一方の膨潤フィルムの失効パターンと他方の膨潤フィルムの失効パターンとの組み合わせにより、2色以上の2次元的な回折パターンを表示すること可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラムカラー表示媒体の作製方法の第1の原理を説明するための図である。
【図2】本発明のホログラムカラー表示媒体の作製方法の第2の原理を説明するための図である。
【図3】第1の実施例による体積型ホログラムの回折効率分布を示す図である。
【図4】第2の実施例による体積型ホログラムの回折効率分布を示す図である。
【図5】従来のホログラムカラー表示媒体の作製方法の1つを説明するための図である。
【図6】従来のホログラムカラー表示媒体の作製方法の別のものを説明するための図である。
【符号の説明】
10…膨潤処理前の体積型ホログラム
11、12…膨潤フィルム
11n、12n…失効領域
11a、12a…活性領域
20…膨潤処理後の体積型ホログラム
A、B、C、A、D…着色領域
Claims (10)
- フィルムの厚さ方向に光の干渉縞が記録されているホログラムを含むホログラムカラー表示媒体であって、
表面から外部に拡散可能な浸透性モノマー又はオリゴマーを含み、その浸透性モノマー又はオリゴマーが所定の失効パターンに従って不活性にされた2枚の膨潤フィルムによって、前記ホログラムの両面から拡散された前記浸透性モノマー又はオリゴマーにより前記ホログラムが位置に応じて異なる膨潤度で膨潤されており、
前記2枚の膨潤フィルムは前記ホログラムの両面に一体に密着され、一方の膨潤フィルムの失効パターンと他方の膨潤フィルムの失効パターンとの組み合わせにより、2色以上の2次元的な回折パターンを有することを特徴とするホログラムカラー表示媒体。 - 異なる2つ以上の色を表示する2個以上の微小画素の組み合わせからなる微小なカラー表示単位の集合でカラー画像が表現され、各カラー表示単位の色がその中の画素の面積比率を変化させることにより、加法混色により任意の色に表現されていることを特徴とする請求項1記載のホログラムカラー表示媒体。
- 前記ホログラムに記録された干渉縞が前記カラー表示単位の位置に応じて回折効率が変化するように記録されていることを特徴とする請求項2記載のホログラムカラー表示媒体。
- 前記ホログラムの中あるいはその回折側表面が前記カラー表示単位の位置に応じて吸収率が変化するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のホログラムカラー表示媒体。
- 前記ホログラムが体積位相型ホログラムであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載のホログラムカラー表示媒体。
- 前記ホログラムがフォトポリマーに記録されたホログラムであることを特徴とする請求項6記載のホログラムカラー表示媒体。
- フィルムの厚さ方向に光の干渉縞が記録されているホログラムを含むホログラムカラー表示媒体であって、表面から外部に拡散可能な浸透性モノマー又はオリゴマーを含み、その浸透性モノマー又はオリゴマーが所定の相互に異なる失効パターンに従って不活性にされた2枚の膨潤フィルムによって、前記ホログラムの両面から拡散された前記浸透性モノマー又はオリゴマーにより前記ホログラムが位置に応じて異なる膨潤度で膨潤されているホログラムカラー表示媒体の作製方法において、
光を所定量以上照射することによりその位置に含まれる浸透性モノマー又はオリゴマーが不活性となる2枚の膨潤フィルムに、前記ホログラムの両面に密着させる前又はその後に、それぞれ所定量以上の光を前記失効パターンに従って照射し、
両面に前記の失効処理をした膨潤フィルムを密着した前記ホログラムを加熱することにより、前記膨潤フィルムの活性領域から前記ホログラムに前記浸透性モノマー又はオリゴマーを拡散させることを特徴とするホログラムカラー表示媒体の作製方法。 - フィルムの厚さ方向に光の干渉縞が記録されているホログラムを含むホログラムカラー表示媒体であって、表面から外部に拡散可能な浸透性モノマー又はオリゴマーを含み、その浸透性モノマー又はオリゴマーが所定の相互に異なる失効パターンに従って不活性にされた2枚の膨潤フィルムによって、前記ホログラムの両面から拡散された前記浸透性モノマー又はオリゴマーにより前記ホログラムが位置に応じて異なる膨潤度で膨潤されているホログラムカラー表示媒体の作製方法において、
光を所定量以上照射することによりその位置に含まれる浸透性モノマー又はオリゴマーが不活性となる膨潤フィルムに、前記ホログラムの一方の面に密着させる前又はその後に、所定量以上の光を前記失効パターンに従って照射し、
前記の一方の面に前記の失効処理をした前記膨潤フィルムを密着してある前記ホログラムを加熱することにより、前記膨潤フィルムの活性領域から前記ホログラムに前記浸透性モノマー又はオリゴマーを拡散させ、
次いで、光を所定量以上照射することによりその位置に含まれる浸透性モノマー又はオリゴマーが不活性となる他方の膨潤フィルムに、前記ホログラムの他方の面に密着させる前又はその後に、所定量以上の光を前記失効パターンに従って照射し、
前記の他方の面に前記の失効処理をした前記他方の膨潤フィルムを密着してある前記ホログラムを再度加熱することにより、前記他方の膨潤フィルムの活性領域から前記ホログラムに前記浸透性モノマー又はオリゴマーを拡散させることを特徴とするホログラムカラー表示媒体の作製方法。 - 前記ホログラムが体積位相型ホログラムであることを特徴とする請求項7又は8記載のホログラムカラー表示媒体の作製方法。
- 前記ホログラムがフォトポリマーに記録されたホログラムであることを特徴とする請求項9記載のホログラムカラー表示媒体の作製方法。
Priority Applications (8)
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---|---|---|---|
JP19202096A JP3781214B2 (ja) | 1996-07-22 | 1996-07-22 | ホログラムカラー表示媒体及びその作製方法 |
EP10171598A EP2254001B1 (en) | 1996-07-22 | 1997-07-22 | Reflection type color display device comprising reflection type hologram color filter |
EP10171609A EP2254002A1 (en) | 1996-07-22 | 1997-07-22 | Hologram-recorded medium and method of fabricating hologram-recorded media |
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