JP3779668B2 - ディスク記憶装置及びヘッド位置決め制御方法 - Google Patents

ディスク記憶装置及びヘッド位置決め制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にはディスク記憶装置の分野に関し、特に、外部振動の影響を抑制する機能を備えたヘッド位置決め制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下ディスクドライブ)では、記録媒体であるディスク媒体上の目標位置(アクセス対象のトラック)に、ヘッド(例えば磁気ヘッド)を位置決めするためのヘッド位置決め制御システムが組み込まれている。ヘッドは、ディスク媒体上の位置決めされた目標位置にデータのリード/ライト動作を実行する。
【0003】
ところで、ディスクドライブでは、動作中に外部から印加される振動(又は衝撃)が、ヘッド位置決め制御システムでの位置決め精度を低下させるような影響を及ぼすことが確認されている。このため、当該システムにおいて、外部から印加される振動(外部振動または加振外力)を能動的に遮断する振動除去機能(外乱キャンセラ)を組み込むことが検討されている。
【0004】
この振動除去機能を含むヘッド位置決め制御システムは、具体的には、外部振動を観測(測定)するセンサと適応ディジタルフィルタとを利用したフィードフォワード制御系により、特に位置誤差に対する振動の影響を抑制することを実現している。
【0005】
このような適応ディジタルフィルタを利用したシステムであれば、外部振動の方向や特性、あるいはドライブ特性の変化に応じて、効果的に外部振動の影響を抑制する事が可能となる。具体的には、フィードフォワード制御系は、ヘッド位置決め制御システムのメイン要素であるフィードバック制御系に対して、位置誤差に対する振動の影響を抑制するための補償値を入力する。
【0006】
ところで、振動除去(抑制)性能は、外部振動の帯域、制御周期、適応ディジタルフィルタを実現する演算器の処理能力、適応フィルタの次数、適応アルゴリズムの処理量、外部センサ、アクチュエータの性能などにより決定される。一般的に、制御周期が短時間で、適応フィルタの次数が大きい程、振動除去性能は向上することになる。しかし一方で、制御周期内にディジタルフィルタ演算を全て完了しなければならないこと、演算処理量も次数に応じて増加することから、演算器の処理能力に大きく依存することになる。
【0007】
このため、適応ディジタルフィルタを利用した制御装置において、フィルタ係数の更新を一定時間間隔で実行し、それ以外の時間では当該係数の値を0にして、DSP(ディジタル信号プロセッサ)の積和演算の回数を削減する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−73295号公報(段落番号0015−0021、図1,図4)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
適応ディジタルフィルタを利用した制御装置では、DSP(ディジタル信号プロセッサ)の積和演算の回数を削減する等の技術が提案されている。しかしながら、ディスクドライブのヘッド位置決め制御システムでは、特にヘッドを搭載しているアクチュエータの性能(機械的精度など)や、外部振動の方向の変動が大きく影響する。このため、適応ディジタルフィルタを利用したフィードフォワード制御系を含むシステムにおいても、アクチュエータの性能や外部振動の方向の変動を考慮した振動除去(抑制)性能を実現する必要がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、ディスクドライブに組み込まれたヘッド位置決め制御システムにおいて、特にアクチュエータの性能や外部振動の方向の変動などに適応する外部振動の抑制機能を実現することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の観点は、フィードバック制御系による追従制御でヘッドを目標位置に位置決め制御するヘッド位置決め制御システムにおいて、適応ディジタルフィルタを利用し、アクチュエータの性能や外部振動の方向の変動などに適応して外部振動に対して追従制御を補償するためのフィードフォワード制御系を含むシステムに関する。
【0012】
本発明の観点に従ったディスク記憶装置は、ディスク媒体上の目標位置にヘッドを位置決め制御するためのヘッド位置決め制御システムを有するディスク記憶装置であって、前記ヘッド位置決め制御システムは、前記ヘッドの現在位置と前記目標位置との位置誤差に基づいて、前記ヘッドを移動させるアクチュエータ機構を制御対象として所定のサーボ周期毎に制御動作を実行する追従制御手段と、外部から印加される振動を一定のサンプル時間毎に観測するセンサ手段と、前記センサ手段により観測された外部振動に応じて、前記位置誤差に対する前記外部振動の影響を抑制するための補償値を前記追従制御手段に与えるためのフィードフォワード制御手段とを有し、前記フィードフォワード制御手段は、前記サンプル時間毎に前記補償値を生成するためのディジタルフィルタ手段であって、各サンプル時点において、現時点での前記センサ手段による外部振動観測値と、k×Nサンプル前の外部振動観測値(但し、kは1以上の自然数、Nは2以上の自然数)と、フィルタパラメータとから決定される前記補償値を生成する第1のディジタルフィルタ手段と、前記制御対象と前記追従制御手段を含むフィードバック制御系の閉ループ伝達特性を模擬した第2のディジタルフィルタ手段と、前記位置誤差と前記第2のディジタルフィルタ手段を通過した前記外部振動観測値とに基づいて前記第1のディジタルフィルタ手段のパラメータを調整する手段であって、前記外部振動観測値の帯域の上限と、前記第1のディジタルフィルタ手段の折り返し周波数(1/(サンプリング周期×2×N))とを近づけるように、前記Nを決定する適応化手段とを含むように構成されている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図である。
【0015】
(ディスクドライブの構成)
本実施形態のディスクドライブは、図1に示すように、記録媒体であるディスク1と、スピンドルモータ(SPM)2と、データのリード/ライト動作を実行するヘッド3と、アクチュエータ4とを有する。
【0016】
ディスク1は、SPM2により回転される。ディスク1は、表面上に同心円状の多数のトラック100が設けられている。各トラック100には、周方向に所定の間隔で配置された所定数のサーボエリア101が含まれている。サーボエリア101には、通常でのリード/ライト動作時に、ヘッド位置決め制御システムにおいて、ヘッド3の位置を検出するために使用されるサーボ情報(位置情報)が記録されている。また、サーボエリア101間は、データエリアであり、ユーザデータが記録される。
【0017】
ヘッド3は、通常ではスライダ上にリードヘッドとライトヘッドとが分離して実装されている構造である。リードヘッドは、ディスク1上に記録されているサーボ情報及びユーザデータを読出す。ヘッド位置決め制御時には、リードヘッドは、ディスク1の回転速度に応じて一定間隔でサーボ情報を読出す。ライトヘッドは、ディスク1上にユーザデータを書き込む。
【0018】
アクチュエータ4はヘッド3を搭載し、ボイスコイルモータ(VCM)5の駆動力により当該ヘッド3をディスク1の半径方向に移動させる。VCM5は、ヘッド位置決め制御システムでの狭義の制御対象であり、アクチュエータ機構のメイン要素である。
【0019】
さらに、ディスクドライブは、リード/ライトチャネル6と、マイクロコントローラ7と、VCMドライバ8と、加速度センサ9とを有する。
【0020】
リード/ライトチャネル6は、ヘッド3に含まれるリードヘッドから読出されたサーボ情報またはユーザデータに対応するリード信号や、ライト信号を処理する信号処理回路60を有する。また、リード/ライトチャネル6は、リード信号からサーボ情報を抽出し、ヘッド3の位置を検出するための位置検出信号を生成する位置検出回路61を含む。
【0021】
マイクロコントローラ7は、ヘッド位置決め制御システムのメイン要素となるマイクロプロセッサ(CPU)70と、そのプログラム(ファームウェア)及び各種の制御パラメータを格納しているROM71とを有する。CPU70は、後述するように、ヘッド位置決め制御システムを構成するフィードバック制御系及びフィードフォワード制御系を実現する。CPU70は、制御値(後述する補償値を含む)算出して、VCMドライバ8を介してVCM5に供給する駆動電流を制御して、ヘッド位置決め動作を実行する。
【0022】
加速度センサ9は、ディスクドライブに印加される振動又は衝撃に相当する外乱(外部振動または加振外力)の加速度を検出(観測)し、その検出信号(アナログ信号)を加速度信号処理回路10に出力する。加速度信号処理回路10は、加速度センサ9からの検出信号を増幅するアンプや、ノイズ低減用のフィルタ(LPF)等を有する。A/Dコンバータ11は、加速度センサ9の検出信号(加速度信号)をディジタル値に変換してCPU70に出力する。
【0023】
(ヘッド位置決め制御システム)
次に、図2及び図3を参照して、本ディスクドライブに組み込まれているヘッド位置決め制御システムの構成及び動作を説明する。
【0024】
当該システムは、CPU70により実現している。CPU70は、ディスク1の回転角に同期して、ヘッド3の現在位置を位置検出回路61から取得する。また、CPU70は、一定時間間隔(サーボ周期)で制御対象21(VCM5)へ入力する制御値を算出するサンプル値制御系を構成している。なお、VCM5に供給される駆動電流値は、VCMドライバ8により予め制限値が設定されている。
【0025】
ここで、図3を参照して、本システムに組み込まれる振動除去機能を実現する原理的システムを説明する。
【0026】
外部センサ(加速度センサに相当)31は、外部振動による加振外力30(a)を観測している。このとき、制御を実行しない場合には、加振外力(a)は、振動伝達特性32(G)を通して、内部振動(e)を引き起こす。
【0027】
そこで、システムは、外部センサ31により観測された加振外力(a)を入力とする適応フィルタ33(F)を介して、アクチュエータ34を制御して当該内部振動(e)を解消するように動作する。ここで、便宜的に外部センサ31とアクチュエータ34の各伝達特性を1とすると、内部振動eは、下記式(1)により表される。
【0028】
【数1】
Figure 0003779668
【0029】
この式(1)から、振動伝達特性(G)と適応フィルタ33の伝達特性(F)との誤差が、内部振動(e)に影響を与えることが確認できる。システムは、内部センサ35により内部振動(e)を観測して、適応アルゴリズムを実行する要素36でフィルタ33(F)を、内部振動(e)が0に近づくように変更する(適応させる)。具体的には、適応アルゴリズムにより、適応フィルタ33のフィルタ係数を変更する。このとき、外部センサ31の観測信号を、アクチュエータ34と内部センサ35の各伝達特性を模擬したフィルタを通して、内部振動(e)と共に適応アルゴリズム36に入力する。通常では、適応フィルタ33及び適応アルゴリズム36は、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ及びDSP(ディジタル信号プロセッサ)を含むディジタルフィルタ(適応ディジタルフィルタ)により構成される。
【0030】
システムは、加振外力の帯域と要求される振動除去性能とにより、アクチュエータ34の制御周期を決定する。但し、使用するDSPの演算器の処理能力、適応フィルタの次数、適応アルゴリズムの処理量、外部センサ31、及びアクチュエータ34の性能により制約を受ける。一般的には、制御周期は短く、適応フィルタの次数は大きいほど、振動除去性能は向上する。
【0031】
ここで、適応ディジタルフィルタの具体例として、FIR(finite impulse response)フィルタを使用する場合について、ディジタルフィルタ演算の内容を説明する。
【0032】
FIRフィルタでは、下記式(2)に示す関係式が成立する。即ち、
【数2】
Figure 0003779668
適応アルゴリズムは内部振動e(k)を用いて、下記式(3)に示すようにフィルタ係数を更新する。
【0033】
【数3】
Figure 0003779668
【0034】
ここで、Mは適応ゲインであり、フィルタ係数が収束するような定数を選ぶ。前記式(2)で表されるFIRフィルタは、「1/(サンプリング周期×2)」までの帯域を有する。一般的に、予め加振外力(外部振動)の帯域の上限が分かっている場合には、サンプリング周期を落として、フィルタの帯域に近づけることが可能である。しかし、近づけすぎると、アクチュエータのゼロ次ホールダの影響で高域の特性が劣化する事が確認されている。
【0035】
換言すれば、任意にゲインを設定できる上限の周波数、即ち折り返し周波数は、「1/(サンプリング周期×2)」で決定され、サンプリング周期に依存する。従って、折り返し周波数とサンプリング周期とを、それぞれ独立して設定する事が可能であれば、加振外力の帯域に応じた折り返し周波数を設定し、かつアクチュエータのゼロ次ホールダの影響を抑制することができる。さらに、同じ次数でより複雑なゲイン特性の伝達関数も実現できる。
【0036】
次に、図2、及び図4から図7を参照して、本実施形態のヘッド位置決め制御システムの機能を説明する。
【0037】
同システムは、図2に示すように、フィードバック制御系を構成する追従コントローラ(伝達関数C)20により、所定のサーボ周期(サンプル間隔)で算出した制御値を制御対象(プラント)21に出力し、ヘッド位置をディスク上の目標位置(R)に追従制御する。即ち、コントローラ20は、伝達関数(伝達特性)Pの制御対象21(VCM5)をフィードバック制御し、ヘッド位置誤差が0になるようにVCM5の制御値(駆動電流値)を決定する。
【0038】
更に、本システムは、ディスクドライブに印加される加振外力(外部振動)22(a)により変動する位置誤差(e)の影響を抑制する補償値を、コントローラ20への入力として動作するフィードフォワード制御系を含む。フィードフォワード制御系は、外部センサ24、適応フィルタ(第1の適応ディジタルフィルタ)27、第2のディジタルフィルタ25、及び適応アルゴリズムを実行する要素(以下適応アルゴリズムと称す)26を含む。
【0039】
ここで、図1に示すディスクドライブの構成要素と、図2の構成要素との対応関係では、外部センサ24が加速度センサ9に対応する。また、適応アルゴリズム26及び第1,第2のフィルタ25,27は、CPU70(又はマイクロコントローラ7)に対応する。また、図2と図3との対応関係では、アクチュエータ34は、制御対象21(VCM5)に対応する。また、内部振動(e)は、ヘッド位置誤差(e)に対応する。さらに、図1と図3との対応関係では、内部センサ35は、位置検出回路61に対応する。
【0040】
図2に示すように、本システムにおいて、外部振動である加振外力(a)によりディスク1やドライブの筐体が変形し、目標位置の変動としてフィードバック制御系に印加される。この場合の伝達特性を振動伝達特性(G)とする。
【0041】
本システムは、外部センサ24により加振外力(a)を観測し、フィルタ27(F)から補償値をフィードフォワード入力としてヘッド位置誤差(e)に加算する。従って、追従コントローラ20は、外部振動による変動分を補償値により解消(抑制)された後の位置誤差を入力し、当該位置誤差に基づいて制御値を算出する。
【0042】
本システムの第2のフィルタ25は、図3に示すアクチュエータ34と内部センサ35の各特性を模擬(モデル化)したディジタルフィルタに相当する。このフィルタ25は、相補感度特性「CP/(1+CP)」を備えている。これは、フィードフォワード入力(補償値の出力)からヘッド位置誤差までの伝達特性が相補感度関数「CP/(1+CP)」として表現できるからである。
【0043】
適応アルゴリズム26は、ヘッド位置誤差(e)と、第2のフィルタ25を通過した観測加速度(外部センサ24の検出値)とから、後述する式(5)で示すフィルタ更新則を実行し、フィルタ係数を調整する。
【0044】
ここで、第1の適応ディジタルフィルタ27の具体例として、FIR(finite impulse response)フィルタを使用する場合について、ディジタルフィルタ演算の内容を説明する。
【0045】
折り返し周波数を「1/(サンプリング周期×2×N),Nは自然数」に設定する場合において、FIRフィルタのサンプル時点kでの出力y(k)は、下記式(4)のようになる。
【0046】
【数4】
Figure 0003779668
【0047】
この式(4)と前述の式(2)との相違は、加速度(外部振動)を「a(k−xN),xは0,1,…,n−1の整数」としたときに、これ以外の項のフィルタ係数を0にするところである。
【0048】
前記式(4)自体は、サンプル周期をN倍にしたFIRフィルタと同じである。ここで、入力a(k)及び出力y(k)は、前記式(2)と同じ周期で更新される。このため、アクチュエータ(制御対象21)のゼロ次ホールダの周波数特性は、前記式(2)と式(4)とでは同じである。適応アルゴリズム26は、内部振動であるヘッド位置誤差e(k)を用いて、FIRフィルタ27のフィルタ係数を、下記式(5)のように更新する。
【0049】
【数5】
Figure 0003779668
【0050】
ここで、Mは適応ゲインであり、フィルタ係数が収束するような定数を選ぶものとする。
【0051】
図4から図7は、ディスクドライブのヘッド位置決め制御システムに対して、本実施形態のフィードフォワード制御系を適用した場合の実験結果(シミュレーション結果を含む)を示す。
【0052】
図4は、適応アルゴリズム26で算出したFIRフィルタ27のゲイン伝達特性を示す。図5は、その位相伝達特性を示す。符号41,51は、実際の振動伝達特性(G)を示す。符号42,52は、従来のシステムでのFIRフィルタの特性を示す。また、符号43,53は、本実施形態のシステムにおいて、FIRフィルタのサンプリング周波数をそのままで、折り返し周波数を従来の1/3にした場合の特性を示す。符号44,54は、従来のシステムにおいて、FIRフィルタのサンプリング周期を1/3にした場合の特性を示す。符号43,53と符号44,54においては、折り返し周波数を1200Hz程度にして、それ以下の周波数の伝達特性について適応化する。
【0053】
図6は、本システムでの加振外力(a)の周波数特性を示す。ここでは、1000Hzまでのランダム信号が加振外力として印加される場合である。図7は、位置誤差(e)の時系列データを示す。符号71は、適応フィルタが無い場合の位置誤差を示す。符号72,74は、従来のFIRフィルタを使用した場合の位置誤差を示す。符号74は、従来のFIRフィルタで、サンプリング周期を1/3にした場合の位置誤差を示す。符号73は、本実施形態のシステムにおいて、FIRフィルタのサンプリング周波数をそのままで、折り返し周波数を従来の1/3にした場合の位置誤差を示す。
【0054】
図7から明白であるように、本実施形態でのヘッド位置決め制御システムにおいて、FIRフィルタ27のサンプリング周波数をそのままで、折り返し周波数を従来の1/3にした場合の位置誤差が最小となる。
【0055】
以上要するに本実施形態のシステムであれば、ヘッド位置誤差(e)と、第2のフィルタ25を通過させた外部振動の観測値(a)とに基づいて、適応フィルタ27のフィルタ係数(パラメータ)を調整するフィードフォワード制御系を含むことにより、加振方向の変動やアクチュエータなどの機械的なばらつきがある場合でも、外部振動(加振外力)によるヘッド位置誤差の変動を抑制することができる。従って、追従コントローラ20は、ヘッド位置誤差に従って、アクチュエータ(VCM)を安定的に制御することができる。
【0056】
また、本実施形態のシステムでは、フィードフォワード制御系に含まれる適応フィルタ27において、各サンプル毎に補償値(制御入力)を生成するための外部振動観測値を、現時点からNサンプルおきにすることで、フィルタの折り返し周波数をサンプリング周期と独立して設定できる。これにより、適応フィルタ27に対するフィルタ設計の自由度を拡張することが可能である。さらに、外部加振の帯域の上限と、折り返し周波数とを近づけるようにNを決定することで、従来のN=1の場合と比較して、同じフィルタ次数でより複雑なゲイン特性の伝達関数を実現できる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ディスクドライブに組み込まれたヘッド位置決め制御システムにおいて、特にアクチュエータの性能や外部振動の方向の変動などに適応する外部振動の抑制機能を実現できる。従って、ディスクドライブに対して外部振動が印加された場合でも、安定したヘッド位置決め制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に関するディスクドライブの要部を示すブロック図。
【図2】同実施形態に関するヘッド位置決め制御システムの構成を示すブロック図。
【図3】同システムに関係する振動除去機能を実現する基本的システムを説明するためのブロック図。
【図4】本実施形態のシステムにおける適応ディジタルフィルタのゲイン伝達特性を示す図。
【図5】同適応ディジタルフィルタの位相伝達特性を示す図。
【図6】本実施形態のシステムにおける加振外力の周波数特性を示す図。
【図7】本実施形態のシステムにおける位置誤差時系列を示す図。
【符号の説明】
1…ディスク
2…スピンドルモータ(SPM)
3…ヘッド
4…アクチュエータ
5…ボイスコイルモータ(VCM)
6…リード/ライトチャネル
7…マイクロコントローラ
8…VCMドライバ
9…加速度センサ
10…加速度信号処理回路
11…A/Dコンバータ
70…CPU
71…ROM
20…追従コントローラ
24…外部センサ
25…第2の適応ディジタルフィルタ
27…第1の適応ディジタルフィルタ
60…信号処理回路
61…位置検出回路

Claims (4)

  1. ディスク媒体上の目標位置にヘッドを位置決め制御するためのヘッド位置決め制御システムを有するディスク記憶装置であって、
    前記ヘッド位置決め制御システムは、
    前記ヘッドの現在位置と前記目標位置との位置誤差に基づいて、前記ヘッドを移動させるアクチュエータ機構を制御対象として所定のサーボ周期毎に制御動作を実行する追従制御手段と、
    外部から印加される振動を一定のサンプル時間毎に観測するセンサ手段と、
    前記センサ手段により観測された外部振動に応じて、前記位置誤差に対する前記外部振動の影響を抑制するための補償値を前記追従制御手段に与えるためのフィードフォワード制御手段とを有し、
    前記フィードフォワード制御手段は、
    前記サンプル時間毎に前記補償値を生成するためのディジタルフィルタ手段であって、各サンプル時点において、現時点での前記センサ手段による外部振動観測値と、k×Nサンプル前の外部振動観測値(但し、kは1以上の自然数、Nは2以上の自然数)と、フィルタパラメータとから決定される前記補償値を生成する第1のディジタルフィルタ手段と、
    前記制御対象と前記追従制御手段を含むフィードバック制御系の閉ループ伝達特性を模擬した第2のディジタルフィルタ手段と、
    前記位置誤差と前記第2のディジタルフィルタ手段を通過した前記外部振動観測値とに基づいて前記第1のディジタルフィルタ手段のパラメータを調整する手段であって、前記外部振動観測値の帯域の上限と、前記第1のディジタルフィルタ手段の折り返し周波数(1/(サンプリング周期×2×N))とを近づけるように、前記Nを決定する適応化手段と
    を含むことを特徴とするディスク記憶装置。
  2. 前記センサ手段は、加速度センサを含み、外乱としての振動を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
  3. ディスク媒体上の目標位置にヘッドを位置決め制御するためのヘッド位置決め制御システムを有するディスク記憶装置に適用するヘッド位置決め制御方法であって、
    前記ヘッド位置決め制御システムは、
    前記ヘッドの現在位置と前記目標位置との位置誤差に基づいて、前記ヘッドを移動させるアクチュエータ機構を制御対象として所定のサーボ周期毎に制御動作を実行する追従制御手段と、
    外部から印加される振動を一定のサンプル時間毎に観測するセンサ手段と、
    前記センサ手段により観測された外部振動に応じて、前記位置誤差に対する前記外部振動の影響を抑制するための補償値を前記追従制御手段に与えるためのフィードフォワード制御手段とを有し、
    前記フィードフォワード制御手段は、
    前記サンプル時間毎に前記補償値を生成するためのディジタルフィルタ機能であって、各サンプル時点において、現時点での前記センサ手段による外部振動観測値と、k×Nサンプル前の外部振動観測値(但し、kは1以上の自然数、Nは2以上の自然数)と、フィルタパラメータとから決定される前記補償値を生成する第1のディジタルフィルタ動作を実行し、
    前記制御対象と前記追従制御手段を含むフィードバック制御系の閉ループ伝達特性を模擬した第2のディジタルフィルタ動作を実行し、
    前記位置誤差と前記第2のディジタルフィルタ手段を通過した前記外部振動観測値とに基づいて前記第1のディジタルフィルタ手段のパラメータを調整する機能であって、前記外部振動観測値の帯域の上限と、前記第1のディジタルフィルタ手段の折り返し周波数(1/(サンプリング周期×2×N))とを近づけるように、前記Nを決定することを特徴とするヘッド位置決め制御方法。
  4. 前記センサ手段は、加速度センサを含み、外乱としての振動を検出するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のヘッド位置決め制御方法
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