JP3779658B2 - 制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置 - Google Patents

制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば流体の流れを制御する種々の制御弁にシール部材として用いられるグランドパッキンの性能診断装置に関し、特に、弁軸に付加される軸方向荷重に基づいてグランドパッキンのシール性能を診断するようにした制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、火力発電所、原子力発電所等においては、複数の制御弁を用いて作動流体(例えば、蒸気または高温の水等)の流量制御を行うと共に、その圧力制御等も行う構成としている。
【0003】
そして、この種の従来技術による制御弁は、制御対象となった作動流体の流入口、流出口を有し該流入口、流出口間には弁座が設けられた弁ハウジングと、該弁ハウジング内に摺動可能に設けられ前記弁座に離,着座することにより前記流入口、流出口間を連通,遮断する弁体と、該弁体から離間して前記弁ハウジングに設けられ該弁体を開,閉弁方向に駆動する弁駆動手段と、該弁駆動手段と弁体との間に設けられ該弁駆動手段による駆動力を前記弁体に伝達する弁軸を有した駆動力伝達手段と、該駆動力伝達手段の弁軸と前記弁ハウジングとの間に設けられ該弁ハウジングと弁軸との間をシールするグランドパッキンとを備えている(例えば、特開2001−108142号公報等)。
【0004】
この場合、前記弁駆動手段は、弁体を軸方向に駆動して開,閉弁制御を行うため軸方向の駆動力を弁軸を介して前記弁体に伝え、このときに弁軸は弁ハウジングに対しグランドパッキンを介して軸方向に摺動変位する。そして、このグランドパッキンは、前記弁ハウジングの軸挿通穴と弁軸との間をシールすることにより、前記弁ハウジング内を流れる流体が弁軸と軸挿通穴との間から外部に漏洩するのを防ぐものである。
【0005】
また、前記弁ハウジングには、軸挿通穴の開口端側に位置してグランドパッキンに軸方向の締付力を付与するパッキン締付具が設けられている。そして、このパッキン締付具によりグランドパッキンを軸方向に圧縮変形させ、弁軸とグランドパッキンとの間に締め代(グランドパッキンの径方向面圧)を付与することによって、グランドパッキンによるシール性を確保するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術にあっては、弁体を開,閉駆動する弁軸と弁ハウジングの軸挿通穴との間にグランドパッキンを設け、前記軸挿通穴の開口端側からパッキン締付具を用いてグランドパッキンに軸方向の締付力を付与することにより、弁ハウジングの軸挿通穴内でグランドパッキンと弁軸との間の締め代(径方向面圧)を調整する構成としている。
【0007】
しかし、この場合のグランドパッキンは、弁軸に対する径方向面圧(即ち、グランドパッキンの側面圧)を大きくすると、弁軸が軸方向に摺動変位するときの摺動抵抗が過大となって弁体を開閉制御(開度を調整)する上での応答性が悪くなり、ハンチング等の発生原因になってしまう。
【0008】
一方、弁軸に対するグランドパッキンの側面圧(締め代)を小さくすると、弁軸の摺動抵抗を低減できるものの、グランドパッキンによるシール性が低下し、弁ハウジング内を流れる流体が前記軸挿通穴と弁軸との間から外部に漏洩し易くなり、制御弁としての信頼性が低下してしまう。
【0009】
このため、従来技術では、制御弁の運転開始前にパッキン締付具を用いて、グランドパッキンの軸方向に付与する締付力を予め調整するようにしている。しかし、この場合の調整作業は、作業者の熟練を必要とする作業となり、グランドパッキンが新品の段階と徐々に経年劣化した場合とでは、前記締付力の調整値が異なってしまい、作業性を向上することができないという問題がある。
【0010】
また、制御弁の運転途中にあっては、弁体の開,閉弁動作から類推して、グランドパッキンの締め代(側面圧)が大き過ぎるか、小さ過ぎるか、適正であるか否かを判断するしかなく、制御弁の運転状態におけるグランドパッキンのシール性能を必ずしも十分には診断できないという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、弁軸に働く軸方向の荷重等を検出することにより、制御弁の運転途中でもグランドパッキンのシール性能を判別することができ、グランドパッキンに対する締付力の調整作業を容易に行うことができるようにした制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、流体の流入口と流出口を有し該流入口と流出口との間に弁座が設けられた弁ハウジングと、該弁ハウジング内に変位可能に設けられ前記弁座に離,着座することにより前記流入口と流出口との間を連通,遮断する弁体と、該弁体から離間して前記弁ハウジングに設けられ該弁体を開,閉弁方向に駆動する弁駆動手段と、該弁駆動手段と弁体との間に設けられ該弁駆動手段による駆動力を前記弁体に伝達する弁軸を有した駆動力伝達手段と、該駆動力伝達手段の弁軸と前記弁ハウジングとの間に設けられ該弁ハウジングと弁軸との間をシールするグランドパッキンとを備えた制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記駆動力伝達手段に設けられ前記弁軸の軸方向に付加される荷重を検出する荷重検出手段と、該荷重検出手段から出力される検出信号により前記グランドパッキンと弁軸との間に働く摺動抵抗値を求め、少なくともこの摺動抵抗値から前記弁軸に対するグランドパッキンの側面圧を演算する側面圧演算手段と、該側面圧演算手段で演算した前記グランドパッキンの側面圧に基づいて該グランドパッキンのシール性能を判別する性能判別手段とを備える構成としている。
【0014】
このように構成することにより、例えば弁体の開度を可変に制御している間に、駆動力伝達手段の弁軸に付加される軸方向の荷重を荷重検出手段によって検出でき、このときの荷重検出信号からグランドパッキンと弁軸との間に働く摺動抵抗値を求めることができる。そして、側面圧演算手段は、この摺動抵抗値から弁軸に対するグランドパッキンの締め代を側面圧として演算することができ、性能判別手段は、演算により求めたグランドパッキンの側面圧からグランドパッキンの締め代が適正であるか否か、締め代が大き過ぎないか小さ過ぎないかをシール性能として判別することができる。
【0015】
また、請求項2の発明によると、側面圧演算手段は、弁ハウジング内を流れる流体の流体圧により弁軸の軸方向でグランドパッキンに付加される軸方向面圧と、摺動抵抗値による前記グランドパッキンの軸方向面圧とを加算することによって軸方向の合計面圧を演算し、この合計面圧から前記グランドパッキンの径方向面圧を側面圧として演算により求める構成としている。
【0016】
この場合には、弁ハウジングの流入口、流出口間に流体を流す前の段階で、荷重検出手段による荷重検出信号からグランドパッキンと弁軸との間の摺動抵抗値を求めることにより、この摺動抵抗値に従ってグランドパッキンの軸方向に働く軸方向面圧を算定することができる。また、例えば弁ハウジング内を流れる流体の圧力を予め設計値として取込む(または、実機該当部の圧力を検出し、それを取込む)ことにより、この流体圧に従ってグランドパッキンの軸方向に働く軸方向面圧も算定することができ、これらの2つの軸方向面圧を加算して軸方向の合計面圧を算定できる。そして、グランドパッキンは軸方向の面圧に対する径方向面圧の関係が、例えば側面圧係数として求められているので、前記合計面圧と側面圧係数を掛け算(乗算)することにより、グランドパッキンの径方向面圧を側面圧(締め代)として算出することができる。
【0017】
また、請求項3の発明によると、性能判別手段は、弁ハウジング内を流れる流体の流体圧とグランドパッキンの側面圧とを比較し、この比較結果により流体の漏洩の有無を判別する構成としている。
【0018】
これにより、性能判別手段は流体の流体圧とグランドパッキンの側面圧とを比較し、例えば側面圧の方が流体圧よりも大きいときには、グランドパッキンにより流体の漏洩を阻止できると判別でき、逆に側面圧が流体圧より小さいときには漏洩の可能性があると判別することができる。
【0019】
また、請求項4の発明によると、グランドパッキンは、弁ハウジングと弁軸との間で該弁軸の軸方向に互いに重合わせて配置される複数個のパッキン材からなり、側面圧演算手段は該各パッキン材毎に側面圧を演算し、性能判別手段は前記各パッキン材毎に前記側面圧と前記弁ハウジング内を流れる流体の流体圧とを比較して流体の漏洩の有無を判別する構成としている。
【0020】
これにより、弁軸の軸方向に互いに重合わせて配置された複数個のパッキン材のうち、いずれのパッキン材がどの程度の側面圧(締め代)を有しているかを個別に知ることができ、性能判別手段はこれらのパッキン材毎に流体の漏洩が有るか否かを判別することができる。
【0021】
さらに、請求項5の発明によると、弁ハウジングには、弁軸が挿通される軸挿通穴と、グランドパッキンを取付けるため該軸挿通穴を部分的に拡径することにより形成され該軸挿通穴の軸方向に延びたパッキン取付穴と、該パッキン取付穴内に前記グランドパッキンを取付けた状態で該グランドパッキンに軸方向の締付力を付与するパッキン締付具とを設け、該パッキン締付具は、性能判別手段によるグランドパッキンの性能判別結果に応じて前記締付力を可変に調整する構成としている。
【0022】
これにより、パッキン締付具は、性能判別手段によるグランドパッキンの性能判別結果に従ってグランドパッキンに対する軸方向の締付力を可変に調整でき、これによってグランドパッキンの側面圧を適正な締め代となるように容易に調節することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置を添付図面の図1ないし図8に従って詳細に説明する。
【0024】
ここで、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した制御弁で、この制御弁1は、後述の弁ハウジング2、弁体7、駆動機構8、弁軸22およびグランドパッキン23等により構成されている。
【0025】
2は制御弁1の外殻を構成する弁ハウジングで、該弁ハウジング2は、制御対象となる流体の流路途中に配設される弁箱3と、後述の弁体ガイド4および支持フレーム5とから大略構成され、弁箱3内には制御対象の流体として高温の給水等が流通するものである。
【0026】
そして、弁箱3は、前記給水の流入口3Aおよび流出口3Bと、該流入口3Aと流出口3Bとの間に位置し後述の弁体ガイド4が嵌合される貫通穴3Cが穿設された仕切壁部3Dと、該仕切壁部3Dの貫通穴3Cと上,下で対向し貫通穴3Cよりも大径に形成された筒状開口部3Eとを有している。
【0027】
4は弁箱3内に設けられた筒状の弁体ガイドで、該弁体ガイド4は、筒状開口部3E側から弁箱3内に挿入される。そして、弁体ガイド4は、その一端側が貫通穴3Cに嵌合され、他端側が後述の蓋部5Aに嵌合することにより弁箱3内に位置決めされている。また、弁体ガイド4の内周面は後述する弁体7用の摺動面4Aとなり、該摺動面4Aの下端側には弁体7が離着座する環状の弁座4Bが一体形成されている。
【0028】
また、弁体ガイド4には、弁座4Bよりも僅かに上側となる位置に径方向の流通穴4C,4Cが穿設されている。そして、これらの流通穴4Cは弁体7により開,閉され、これによって弁箱3は流入口3Aと流出口3Bとの間が連通,遮断されるものである。
【0029】
5は弁箱3の上側に設けられ、弁ハウジング2の一部を構成する支持フレームで、該支持フレーム5の一端側は、筒状開口部3Eを上側から閉塞する蓋部5Aとなり、該蓋部5Aの中心側には後述の弁軸22が挿通される軸挿通穴5Bが穿設されている。そして、該軸挿通穴5Bは、支持フレーム5の蓋部5A内を軸方向(上,下方向)に貫通して延び、その一端(下端)側は弁体ガイド4内と連通している。
【0030】
また、支持フレーム5の蓋部5Aには、軸挿通穴5Bの上部側部位を拡径することにより段付穴として形成されたパッキン取付穴5Cが設けられ、該パッキン取付穴5Cは、その上端が蓋部5Aの上面に開口している。そして、このパッキン取付穴5C内には後述のグランドパッキン23が側面圧(締め代)をもって取付けられるものである。
【0031】
6は支持フレーム5の上端(他端)側に設けられ、支持フレーム5の一部となる支持板で、該支持板6は、支持フレーム5の上端側に複数のガイド部6A,6A,…等を介して取付けられ、後述のダイヤフラム13を下側から支持するものである。そして、支持板6の各ガイド部6Aは、後述の可動シェル12を矢示A,B方向に移動可能(上,下動可能)にガイドするものである。
【0032】
7は弁体ガイド4内に摺動可能に挿嵌された弁体で、該弁体7は、図2に示すように有蓋筒状体として形成され、その一端側は前記弁座4Bに離着座することにより弁体ガイド4の各流通穴4Cを介して弁箱3の流入口3Aと流出口3Bとの間を連通,遮断するものである。
【0033】
また、弁体7には圧力逃がし穴7A,7A,…が穿設され、これらの圧力逃がし穴7Aは、弁体ガイド4と弁体7との間で圧力差が発生するのを防止し、弁体7が滑らかに開,閉弁動作するのを補償するものである。
【0034】
8は弁体7から離間して支持フレーム5の他端側に設けられた弁駆動手段としての駆動機構で、該駆動機構8は、後述のばね受18と支持板6との間に配設され、弁体7を常時閉弁方向に付勢したスプリング9と、後述する空気圧作動式のアクチュエータ10と、図4に示す後述のポジショナ27等とにより構成されている。
【0035】
10は弁体7をスプリング9に抗して開弁方向に駆動する空気圧作動式のアクチュエータで、該アクチュエータ10は、上,下の可動シェル11,12と、外周側が該可動シェル11,12間に挟持して設けられた可動隔壁としてのダイヤフラム13とからなり、該ダイヤフラム13は上側の可動シェル11との間に圧力室14を画成している。
【0036】
ここで、可動シェル11,12は、支持フレーム5上の支持板6をダイヤフラム13と共に上,下方向から取囲むように配設されている。そして、ダイヤフラム13は、その中央部側が支持板6に固着され、該支持板6によって背面側から補強(バックアップ)されている。
【0037】
また、下側の可動シェル12には、支持板6の各ガイド部6Aが挿通される複数の挿通穴12A,12A,…が設けられ、これらの挿通穴12Aにより可動シェル12は、支持フレーム5に対し各ガイド部6Aに沿って上,下動可能に取付けられている。そして、可動シェル12は、その内周側端部が後述するヨーク16の外周側に固着され、このヨーク16と一体に矢示A,B方向に移動(上,下動)するものである。
【0038】
15は上側の可動シェル11に設けられた気体圧の給排口で、該給排口15には後述の操作空気圧配管38が接続され、これによってアクチュエータ10の圧力室14内には気体圧としての空気圧が給排される。そして、圧力室14内の空気圧が最小の圧力になっている間は、スプリング9により可動シェル11,12およびヨーク16等が矢示A方向に付勢され、これによって弁体7は図1に示す如く閉弁状態に保持される。
【0039】
一方、アクチュエータ10は、給排口15から圧力室14内に操作空気圧が供給されると、この空気圧が増加するに応じて圧力室14内の容積を増大させる。そして、この圧力室14内の空気圧により、可動シェル11,12はヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示B方向に押動され、これによって弁体7は図2に示す如く弁開度が増大されるものである。
【0040】
16は支持フレーム5内に上,下動可能に設けられた可動枠としてのヨークを示し、該ヨーク16は有底の枠状体として形成され、スプリング9を径方向外側から覆う構成となっている。また、ヨーク16の底部16A側には、後述の軸力センサ25が弁軸22と共に取付けられ、ヨーク16は弁軸22と共に駆動力伝達手段を構成するものである。
【0041】
17はヨーク16の底部16Aに設けられた固定ボルト、18は該固定ボルト17に緩止めナット19と一緒に螺合されたばね受で、該ばね受18は、固定ボルト17に対する螺合位置を緩止めナット19と共に変えることにより、スプリング9の付勢力を可変に調節するものである。
【0042】
20,21は支持フレーム5,ヨーク16に設けられた工具挿入穴で、該工具挿入穴20,21には、固定ボルト17に対するばね受18および緩止めナット19の螺合位置を変えるときに、例えばスパナ、レンチ等の工具が挿入されるものである。
【0043】
22はヨーク16と共に駆動力伝達手段を構成する弁軸で、該弁軸22は、図2に示すように支持フレーム5(蓋部5A)の軸挿通穴5B内に軸方向に摺動可能(上,下動)に挿嵌され、その下端側は弁体ガイド4内で弁体7に連結されている。また、弁軸22の上端側は後述の軸力センサ25を介してヨーク16の底部16Aに連結されている。そして、弁軸22はヨーク16の動きを弁体7に伝達し、弁体7を上,下に開,閉弁させるものである。
【0044】
23は支持フレーム5の蓋部5Aと弁軸22との間をシールするグランドパッキンで、該グランドパッキン23は、例えば図3に示す如く合計9個のパッキン材23a,23b,23c,23d,23e,23f,23g,23h,23iを用いて構成され、これらのパッキン材23a〜23iは、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に互いに重合わせて装着されている。
【0045】
ここで、パッキン材23a〜23iは、本実施の形態にあっては互いに同一のパッキン材が用いられ、後述の面圧伝達係数α(例えば、α=0.95)、側面圧係数K(例えば、K=0.8)も互いに等しい値に設定されている。また、パッキン材23a〜23iは、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に後述の如く一括締めされているものである。
【0046】
そして、グランドパッキン23は、各パッキン材23a〜23iがそれぞれ後述の側面圧Pra〜Pri(締め代)をもって弁軸22の外周面に摺接することにより、弁軸22と軸挿通穴5Bとの間をシールし、例えば弁箱3内を流れる高圧の給水等の流体が軸挿通穴5Bを介して外部に漏洩するのを防ぐものである。
【0047】
24は支持フレーム5の蓋部5A上に設けられたパッキン締付具で、該パッキン締付具24は、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に上側の開口端側から挿入され、その下面がグランドパッキン23のパッキン材23a〜23iのうち最上部に位置するパッキン材23aに当接する押え環24Aと、パッキン取付穴5Cを該押え環24Aと共に上側から覆うように蓋部5Aの上面側に複数の締結ボルト24B,24B,…を介して着脱可能に配設された押え板24Cとにより構成されている。
【0048】
そして、パッキン締付具24の押え板24Cは、パッキン取付穴5Cから突出する押え環24Aの突出端側に当接し、グランドパッキン23をパッキン取付穴5C内に抜止め状態に保持すると共に、グランドパッキン23のパッキン材23a〜23iに上側から付与する軸方向の締付力を締結ボルト24Bの締込み量等によって調整するものである。
【0049】
25はヨーク16の底部16Aと弁軸22との間に設けられた荷重検出手段としての軸力センサで、該軸力センサ25は、例えばロードセル、歪みゲージ等を用いて構成され、弁軸22に付加される荷重(例えば、軸方向の引張り力と圧縮力)を検出するものである。
【0050】
また、弁体7の開,閉操作を行っているときには、弁軸22がグランドパッキン23に対して軸方向に摺動変位するので、このときに軸力センサ25から出力される検出信号は、グランドパッキン23の摩擦力である摺動抵抗値Fに対応した信号となり、軸力センサ25の検出信号により摺動抵抗値Fを検出することができる。
【0051】
26は弁体7の開度を検出する開度検出手段としての開度センサで、該開度センサ26は、例えば光学式変位センサ等を用いて構成され、弁体7と一体に変位するヨーク16または可動シェル11,12の動きを、支持フレーム5または支持板6(ダイヤフラム13)に対する相対変位量として検出するものである。なお、図1中の開度センサ26は、説明の都合上で簡略化した1つの例として可動シェル11に設けた場合を示したものである。
【0052】
27は制御弁1用のポジショナで、該ポジショナ27は、図4に示すように弁ハウジング2の外側に設けられ、例えばパイロット配管28、入力側の空気圧配管29および出力側の空気圧配管30が接続されている。そして、ポジショナ27は、例えば空気圧縮機、空気タンク等の圧気源31から減圧弁32、入力側の空気圧配管29を介して供給される圧縮空気の空気量を、パイロット配管28からのパイロット圧に対応して増減させるように制御し、制御した空気圧を出力側の空気圧配管30側に供給する。
【0053】
これにより、ポジショナ27は、弁体7の開度を後述する指令装置34からの指令信号(パイロット配管28からのパイロット圧)に従って図6に示す特性線33の如く、例えば比例制御するものである。即ち、制御弁1の弁体7は、ポジショナ27による空気圧の制御により図6に示す特性線33のように指令信号にほぼ比例して弁開度が可変に制御されるものである。
【0054】
34は弁体7の開度を指令する指令信号を出力する指令手段としての指令装置で、該指令装置34は、例えば4〜20mA(ミリアンペア)程度の範囲で電流値が可変に設定される指令信号を後述の電空変換器35およびコントロールユニット43等に出力するものである。
【0055】
35は指令装置34からの指令信号をパイロット圧に変換する電空変換器を示し、該電空変換器35は、圧気源31から減圧弁36を介して供給される低圧の空気圧をパイロット配管28側にパイロット圧として供給し、このときのパイロット圧を指令信号の電流値等に比例して可変に調整するものである。なお、減圧弁36の設定圧は、減圧弁32によりも十分に低い(例えば、1/10以下)圧力に設定されている。
【0056】
37は空気圧配管30からの空気圧を増倍して操作空気圧配管38側に供給するブースタリレーで、該ブースタリレー37は、空気圧配管30からの空気圧を増倍するために分岐配管39に接続され、該分岐配管39は空気圧配管29からの空気圧をブースタリレー37に補給するものである。
【0057】
そして、制御弁1の駆動機構8は、操作空気圧配管38、給排口15を介してブースタリレー37側からの増倍された操作空気圧が、図1に示す圧力室14内へと供給され、圧力室14が拡縮されることによりヨーク16、弁軸22および弁体7を矢示A,B方向に駆動するものである。
【0058】
40,41,42はそれぞれ圧力センサを示し、該圧力センサ40〜42のうち圧力センサ40は操作空気圧配管38内の圧力を検出し、圧力センサ41は空気圧配管30内の圧力を検出し、圧力センサ42はパイロット配管28内のパイロット圧を検出するものである。
【0059】
43はマイクロコンピュータ等によって構成されたコントロールユニットで、該コントロールユニット43は、図5に示す如く入力側に軸力センサ25、開度センサ26、圧力センサ40,41,42および指令装置34等が接続され、出力側には、ディスプレイ等の表示器44、印字機としてのプリンタ45および報知装置46等が接続されている。
【0060】
ここで、コントロールユニット43は、指令装置34から出力される指令信号と、開度センサ26から出力される弁体7の開度信号と、軸力センサ25から出力される軸力信号とを表示器44の画面上に表示させると共に、これらを必要に応じてプリンタ45により印字させる。
【0061】
また、コントロールユニット43は、図5に示すようにROM、RAM等からなる記憶部43Aを有し、この記憶部43A内には、制御弁1の故障診断処理プログラムと共に、例えば図7に示すグランドパッキン23の性能診断処理用のプログラム等が格納されている。
【0062】
そして、コントロールユニット43は、制御弁1の故障診断処理プログラム等に従って、例えば軸力センサ25、開度センサ26および圧力センサ40,41,42からの検出信号により制御弁1の作動状態が正常であるか、異常であるかを判定(故障診断)し、異常と判定したときには、これを警報ランプ、警報ブザーまたは音声合成装置等からなる報知装置46を用いて報知するものである。
【0063】
さらに、コントロールユニット43は、図7に示すようにグランドパッキン23の性能診断処理を、例えば軸力センサ25からの検出信号等に基づいて行う。そして、これらの故障診断、性能診断等の結果は、表示器44の画面上で適宜に表示されるものである。
【0064】
本実施の形態による制御弁1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0065】
まず、指令装置34から出力される指令信号が、図6に示す信号値Sa 以下のときには、図4に示す電空変換器35からパイロット配管28に出力されるパイロット圧は、例えば大気圧程度の低圧状態におかれる。
【0066】
そして、制御弁1のポジショナ27は、このときのパイロット圧に対応して空気圧配管30内を大気圧に近い低い圧力状態に設定し、ブースタリレー37を介した操作空気圧配管38内の圧力もほぼ大気圧状態に設定される。これにより、駆動機構8のアクチュエータ10は、圧力室14内の空気圧が大気圧に近い最小の圧力状態に保持される。
【0067】
このため、駆動機構8はスプリング9により可動シェル11,12およびヨーク16等が矢示A方向に付勢され、このときの付勢力が軸力センサ25、弁軸22を介して弁体7へと伝達されることにより、弁体7は図1に示す如く弁体ガイド4の弁座4Bに着座して閉弁状態に保持される。
【0068】
次に、指令装置34から出力される指令信号が、図6に示す信号値Sa より大きくなると、図4に示す電空変換器35からパイロット配管28に出力されるパイロット圧は、指令信号に従って比例的に増大し、例えば大気圧よりも高い圧力状態に設定される。
【0069】
そして、制御弁1のポジショナ27は、このときのパイロット圧に対応して空気圧配管30内を大気圧よりも高い圧力状態に設定し、ブースタリレー37は空気圧配管30内の圧力に基づいて空気量を増倍させつつ、倍増した操作空気圧を操作空気圧配管38、給排口15を介してアクチュエータ10の圧力室14内に供給する。
【0070】
この結果、アクチュエータ10は、給排口15から供給される空気圧に応じて圧力室14内の容積を増大させ、この圧力室14内の空気圧により、可動シェル11,12をヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示B方向に押動する。そして、この矢示B方向の駆動力(押動力)は軸力センサ25、弁軸22を介して弁体7へと伝達される。
【0071】
これによって、弁体7は図2に示す如く弁体ガイド4の弁座4Bから離座して開度が増大される。そして、弁体7が開弁した状態では、弁箱3の流入口3Aから流出口3Bに向けて矢示C方向へと給水が流れ、弁体7の開度に応じて給水の流量が制御される。
【0072】
また、弁体7の開度は、図6に示す特性線33に沿って増減するように制御され、指令信号の信号値がSm まで増大したときには、弁体7が全開状態におかれて最大流量となるものである。
【0073】
この場合、制御弁1には開度センサ26が設けられ、該開度センサ26により弁体7の開度が、指令装置34からの指令信号にほぼ比例して制御されているか否かを判別することができる。
【0074】
また、パイロット配管28内のパイロット圧が指令信号にほぼ比例して制御されているか否かについても、パイロット配管28の途中に設けた圧力センサ42により検出することができる。
【0075】
さらに、空気圧配管30内の圧力についても圧力センサ41で検出でき、操作空気圧配管38内の圧力についても同様に圧力センサ40で検出できるので、空気圧配管30、操作空気圧配管38内の圧力が前記指令信号およびパイロット圧に対応して制御されているか否かを判別することができる。
【0076】
次に、本実施の形態の特徴であるコントロールユニット43を用いたグランドパッキン23の性能診断処理と、パッキン材23a〜23i毎の側面圧Pra〜Pri(締め代)の演算処理について図1ないし図7を参照して説明する。
【0077】
まず、ヨーク16の底部16Aと弁軸22との間に設けた荷重検出手段としての軸力センサ25は、弁軸22の軸方向に付加される引張り力または圧縮力を検出できる。そして、例えば弁箱3内に流体を流す前の無負荷状態で弁軸22を図3に示す如く下向きに駆動したときに、軸力センサ25から出力される検出信号は、グランドパッキン23と弁軸22との間に働く無負荷状態での摺動抵抗値(以下、実摺動抵抗値Fという)として取出すことができる。
【0078】
そして、この実摺動抵抗値Fは、弁軸22とグランドパッキン23との間に発生する摩擦力であるから、実摺動抵抗値Fとグランドパッキン23全体の側面圧(以下、全側面圧PR という)との間には、9個のパッキン材23a〜23iと弁軸22との接触面積(S×9)、摩擦係数μとしたときに、次の関係が成り立つ。
【0079】
【数1】
F=μ×PR ×S×9
但し、PR =Pra+Prb+…+Prh+Pri
【0080】
しかし、この場合の全側面圧PR は、グランドパッキン23全体の側面圧であり、パッキン材23a〜23i毎の側面圧Pra,Prb,…,Priを前記数1の式からは求めることができない。また、パッキン材23a〜23i毎の側面圧Pra,Prb,…,Priは、後述する面圧伝達係数α等の関係から互いに異なる値となってしまうものである。
【0081】
また、グランドパッキン23の各パッキン材23a〜23iには、弁箱3内を流れる流体による流体圧Pが図3に示す如く軸挿通穴5Bを介して作用する。そして、各パッキン材23a〜23iに作用する流体圧Pを反映した側面圧Pra〜Priも前記数1式からは求めることができない。
【0082】
そこで、本実施の形態にあっては、図7に示すグランドパッキン23の性能診断処理を実行することにより、実摺動抵抗値Fと流体圧Pとを反映したパッキン材23a〜23i毎の側面圧Pra〜Pri(締め代)を、下記の如く演算して求めるものである。
【0083】
この場合、図7に示すステップ1では、パッキン材23a〜23iに作用する軸方向面圧を求めるため、軸方向の初期面圧P1x(x=a,b,…,i)を下記の数2の式により算定する。
【0084】
【数2】
P1a=1
P1b=1×α
P1c=1×α
P1d=1×α
P1e=1×α
P1f=1×α
P1g=1×α
P1h=1×α
P1i=1×α
【0085】
即ち、前述した摺動抵抗値Fによって図3に示す一番上側のパッキン材23aに、仮にP1a=1なる軸方向の初期面圧P1aが作用した場合、二番目のパッキン材23bには、P1b=1×αとして面圧伝達係数α(例えば、α=0.95)分だけ減少した軸方向の初期面圧P1bが作用し、三番目のパッキン材23cには、P1c=1×αとして面圧伝達係数α(例えば、α=0.9025)分だけ減少した軸方向の初期面圧P1cが作用する。
【0086】
そして、次なるパッキン材23d,23e,23f,…には、それぞれ前記数2の式に示す如く初期面圧P1d,P1e,P1f,…が作用し、一番下側(上から九番目)のパッキン材23iには、P1i=1×αとして面圧伝達係数α(例えば、α=0.66342)分だけ減少した軸方向の初期面圧P1iが作用する。これらの初期面圧P1x(P1a,P1b,…P1i)は、下記の表1に示す通りである。
【0087】
次に、ステップ2では下記の数3式によりパッキン材23a〜23i毎の応力緩和P2xを求める。この場合、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に上側から挿入されたグランドパッキン23のパッキン材23a〜23iは、パッキン締付具24を用いて締付けた後に時間の経過と共に応力緩和を起こすことが知られている。
【0088】
そして、この応力緩和P2xは、パッキン材23a〜23i毎の種類によって異なり、それぞれの締付け回数によっても異なるものである。本実施の形態では、パッキン材23a〜23iを同一種類とし、締付け回数を1回の一括締めとしているので、その応力残留率βは、例えば、β=0.8となり、下記の数3の如く応力緩和P2xは求められる。
【0089】
【数3】
P2a=P1a×β
P2b=P1b×β
P2c=P1c×β
P2d=P1d×β
P2e=P1e×β
P2f=P1f×β
P2g=P1g×β
P2h=P1h×β
P2i=P1i×β
【0090】
次に、ステップ3では、一番上側のパッキン材23aによる応力緩和P2aに対するパッキン材23a〜23i毎の応力緩和P2xの比率を求めることにより、下記の数4式の如くパッキン材23a〜23i毎の軸方向における面圧係数P3xを算定する。これにより、グランドパッキン23全体の中で、各パッキン材23a〜23i毎の軸方向における面圧比率が、面圧係数P3xとして算出されるものである。
【0091】
【数4】
P3a=P2a/P2a=1
P3b=P2b/P2a
P3c=P2c/P2a
P3d=P2d/P2a
P3e=P2e/P2a
P3f=P2f/P2a
P3g=P2g/P2a
P3h=P2h/P2a
P3i=P2i/P2a
【0092】
次に、ステップ4では、パッキン材23a〜23i毎の軸方向における面圧係数P3xをベースとした各パッキン材23a〜23i毎の仮想摺動抵抗値F1xを、下記の数5式、具体的には数6式により求める。
【0093】
この場合の仮想摺動抵抗値F1xも、前記数1の式と同様に弁軸22とパッキン材23x(x=a,b,c,…,i)との間に発生する摩擦力として求められ、側面圧係数Kは、K=(径方向の側面圧)/(軸方向の面圧)として求められる。そして、この場合のパッキン材23a〜23iは、同一種類のパッキンであるので、側面圧係数Kは一定値(例えば、K=0.8)となる。
【0094】
【数5】
F1x=μ×K×P3x×S
【0095】
【数6】
F1a=μ×K×P3a×S
F1b=μ×K×P3b×S
F1c=μ×K×P3c×S
F1d=μ×K×P3d×S
F1e=μ×K×P3e×S
F1f=μ×K×P3f×S
F1g=μ×K×P3g×S
F1h=μ×K×P3h×S
F1i=μ×K×P3i×S
【0096】
なお、弁軸22と各パッキン材23a〜23iとの接触面積Sは、各パッキン材23a〜23iの内径を、例えば40mm、軸方向の厚さ寸法を10mmとしたときに、S≒1257mm となり、μ×K=0.01とした場合にパッキン材23a〜23i毎の軸方向における仮想摺動抵抗値F1x(F1a,F1b,F1c,…,F1i)は、それぞれ下記の表1に示す如く算定されるものである。
【0097】
次に、ステップ5では、パッキン材23a〜23iの仮想摺動抵抗値F1xを合計した合計値Ft を、下記の数7式により求める。この場合、下記の表1に示す如く合計値Ft は、例えばFt =92.93として算定されるものである。
【0098】
【数7】
Ft =ΣF1x=F1a+F1b+F1c+…+F1i
【0099】
次に、ステップ6では、実摺動抵抗値Fを仮想摺動抵抗値F1xに従って、各パッキン材23a〜23i毎の摺動抵抗値として振分けるため、下記の数8式による実摺動抵抗値Fの振分け値F2xを求める。これにより、実摺動抵抗値Fを、例えばF=2000N(ニュートン)とした場合に、各パッキン材23a〜23i毎の振分け値F2x(F2a,F2b,F2c,…,F2i)は、下記の表1の如く算定される。
【0100】
【数8】
F2x=(F/Ft )×F1x
但し、x=a,b,c,…,i
【0101】
次に、ステップ7では、実摺動抵抗値Fの振分け値F2xに従って、各パッキン材23a〜23i毎の軸方向面圧P4xを、前記数5の式で示した摩擦力の関係から下記の数9式により求める。これにより、各パッキン材23a〜23i毎の軸方向面圧P4x(P4a,P4b,P4c,…,P4i)は、表1の如く算定される。
【0102】
【数9】
P4x=F2x/(μ×K×S)
【0103】
次に、ステップ8においては、図3に示す如く支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に装着されたパッキン材23a〜23iに対し流体圧P(設計上の最高圧)による流体力が、一番下側のパッキン材23iから順次上側に向けてパッキン材23g,23f,23e,…23aへと作用する場合の流体圧Pによる軸方向面圧P5xを、下記の数10式により求める。
【0104】
【数10】
P5a=P×α
P5b=P×α
P5c=P×α
P5d=P×α
P5e=P×α
P5f=P×α
P5g=P×α
P5h=P×α
P5i=P×α
【0105】
即ち、図3に示す一番下側のパッキン材23iには、流体圧P(例えば、P=10MPa )が面圧伝達係数α(例えば、α=0.95)分だけ減少した軸方向面圧P5iが作用し、下から二番目のパッキン材23hには、P5h=P×αとして面圧伝達係数α(例えば、α=0.903)分だけ減少した軸方向面圧P5hが作用する。
【0106】
そして、次なるパッキン材23g,23f,23e,…には、それぞれ前記数10の式に示す如く軸方向面圧P5g,P5f,P5e,…が作用し、一番上側(下から九番目)のパッキン材23aには、P5a=P×αとして面圧伝達係数α(例えば、α=0.630)分だけ減少した軸方向面圧P5aが作用する。そして、これらの流体圧Pによる軸方向面圧P5x(P5a,P5b,…P5i)は、下記の表1に示す通りである。
【0107】
次に、ステップ9では、流体圧Pによる軸方向面圧P5xと実摺動抵抗値Fによる軸方向面圧P4xとを合計した軸方向の合計面圧P6xを、下記の数11式により算定する。
【0108】
【数11】
P6x=P4x+P5x
【0109】
この場合に、実摺動抵抗値Fによる軸方向面圧P4xの圧力単位(N/mm )と流体圧Pによる軸方向面圧P5xの圧力単位(MPa )とは互いに等しい単位であり、1MPa =1N/mm なる関係にあるので、軸方向の合計面圧P6x(P6a,P6b,…,P6i)は、それぞれ表1の如く求められる。
【0110】
次に、ステップ10では、前述した側面圧係数K(例えば、K=0.8)を合計面圧P6xに乗算することにより、K=(径方向の側面圧)/(軸方向の面圧)なる関係からパッキン材23a〜23i毎の締め代となる径方向の側面圧Prxを下記の数12式により算定する。そして、これらの側面圧Prx(Pra,Prb,…,Pri)は表1の如く求められるものである。
【0111】
【数12】
Prx=K×P6x
【0112】
次に、ステップ11では、前述した流体圧Pとパッキン材23a〜23i毎の側面圧Prx(Pra,Prb,…,Pri)とを比較し、下記の数13式によるシール度Jx (比較結果)が1.0以上であるか否かにより各パッキン材23a〜23i毎の漏洩判定を行う。
【0113】
【数13】
Jx =Prx/P
【0114】
そして、これらのシール度Jx (Ja ,Jb ,Jc ,…,Ji )は、表1に示す如く全て1.0以上となっているので、流体圧Pの漏洩を全てのパッキン材23a〜23iで防止できると判定し得る。
【0115】
しかし、この場合のグランドパッキン23は、パッキン材23a〜23iを一括締めしているため、流体圧Pが作用する前の段階での面圧値、即ち軸方向面圧P4xを応力残留率β(例えば、β=0.8)で割った面圧値Pmx(例えば、Pmx=P4x/0.8)が、各パッキン材23a〜23iの成形面圧Pms(例えば、Pms=30N/mm )以上であるか否かが問題となる。
【0116】
また、履歴最高面圧(この場合は、合計面圧P6x)が、前記成形面圧Pmsよりも大きいか否かが問題となる。しかし、成形面圧Pmsが、Pms=30N/mmの場合には、前述した面圧値Pmx(Pmx=P4x/0.8)と履歴最高面圧(合計面圧P6x)が、成形面圧Pmsよりも小さくなっている。このため、弁軸22とパッキン材23a〜23iとの間には微小隙間が生じている可能性がある。
【0117】
そこで、この場合には、パッキン締付具24を用いてグランドパッキン23の各パッキン材23a〜23iに対する締付力を増大させ、各パッキン材23a〜23iの撓み量(圧縮変形量)を大きくすべきことを、例えば図5に示す表示器44、報知装置46等を用いてメンテナンス作業者に知らせるものである。
【0118】
【表1】
Figure 0003779658
【0119】
かくして、本実施の形態によれば、弁箱3内に流体を流す前の無負荷状態で弁軸22を駆動したときに軸力センサ25から出力される検出信号により、グランドパッキン23と弁軸22との間に働く無負荷状態での実摺動抵抗値Fを取出すことができ、この実摺動抵抗値Fを用いて前述した数1〜12式の如く各パッキン材23a〜23iの側面圧Prx(弁軸22に対する締め代)を、各パッキン材23a〜23i毎に演算して求めることができる。
【0120】
そして、このようにして求めたグランドパッキン23(各パッキン材23a〜23i)の側面圧Prxを、弁箱3内を流れる流体圧P(設計上の最高圧)と比較することにより、各パッキン材23a〜23i毎の締め代が適正であるか否か、即ち締め代が大き過ぎないか、小さ過ぎないか等をシール性能として判別することができる。
【0121】
特に、弁箱3内に給水等の流体を流す前の段階で、軸力センサ25による検出信号からグランドパッキン23と弁軸22との間の実摺動抵抗値Fを求めることにより、この実摺動抵抗値Fに従って各パッキン材23a〜23i毎の軸方向面圧P4xを算定することができる。
【0122】
また、弁箱3内を流れる流体圧P(設計上の最高圧)を取込むことにより、この流体圧Pに基づいたパッキン材23a〜23i毎の軸方向面圧P5xも算定することができ、これらの2つの軸方向面圧P4x,P5xを加算して軸方向の合計面圧P6xを算定できる。
【0123】
そして、グランドパッキン23のパッキン材23a〜23iは、軸方向の面圧に対する径方向面圧の関係が、例えば側面圧係数K(例えば、K=0.8)として予め決められているので、前記合計面圧P6xと側面圧係数Kを掛け算(乗算)することにより、各パッキン材23a〜23i毎の側面圧Prx(締め代)を算出することができる。
【0124】
これにより、弁軸22の軸方向に互いに重合わせて配置された複数個のパッキン材23a〜23iのうち、いずれのパッキン材がどの程度の側面圧(締め代)を有しているかを個別に知ることができ、これらのパッキン材23a〜23i毎に流体の漏洩が有るか否かを判別することができる。
【0125】
また、このような各パッキン材23a〜23iのシール性能を個別に診断、判別することにより、パッキン締付具24を用いたグランドパッキン23に対する締付方法、例えば前述した一括締めまたは複数回にわたる分割締め等を適宜に選択したり、軸方向の締付力を可変に調整したりすることができる。
【0126】
また、パッキン材23a〜23iの種類を必要に応じて、例えば後述する第2の実施の形態の如く変更することも可能であり、前述した一括締めまたは分割締め等と適宜に組合わせることにより、各パッキン23a〜23i毎の側面圧Prxを、適正な締め代となるように容易に調節することができる。
【0127】
従って、本実施の形態によれば、軸力センサ25を用いて弁軸22とグランドパッキン23との間に発生する実摺動抵抗値F、各パッキン材23a〜23i毎の締め代となる側面圧Prxを求めることにより、各パッキン材23a〜23i毎の締め代が適正であるか否か等のシール性能を迅速に判別することができ、グランドパッキン23に対する締付力の調整作業等を容易に行うことができる。
【0128】
次に、図8は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0129】
しかし、本実施の形態の特徴は、グランドパッキン51を、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に互いに重合わせて装着された合計9個のパッキン材51a,51b,51c,51d,51e,51f,51g,51h,51iを用いて構成し、これらのパッキン材51a〜51iのうち、上側から2個のパッキン材51a,51bと下側から2個のパッキン材51h,51iを、残余のパッキン材51c〜51gとは異なる種類のパッキン材により構成している。
【0130】
ここで、パッキン材51a,51b,51h,51iは、下記の表2に示すように第1種類のパッキン材が用いられ、例えば面圧伝達係数α1 は、α1 =0.95となり、側面圧係数K1 は、K1 =0.8となっている。そして、応力残留率β12,β13,β14は、下記の値にそれぞれ設定されているものである。
【0131】
また、残余のパッキン材51c〜51gは、下記の表2に示すように第2種類のパッキン材が用いられ、例えば面圧伝達係数α2 は、α2 =0.9となり、側面圧係数K2 は、K2 =0.8となっている。そして、応力残留率β22,β23,β24は、下記の値にそれぞれ設定されているものである。
【0132】
【表2】
Figure 0003779658
【0133】
また、本実施の形態で採用したグランドパッキン51は、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に互いに重合わせて装着されるときに分割締めが施され、パッキン材51a〜51iのうち上側の3個のパッキン材51a,51b,51cは、締付け回数が2回(応力残留率2回に相当)となっている。
【0134】
そして、その下側の3個のパッキン材51d,51e,51fは、締付け回数が3回(応力残留率3回に相当)となり、さらに下側の3個のパッキン材51g,51h,51iは、締付け回数が4回(応力残留率4回に相当)となっているものである。
【0135】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様に、図7に例示したグランドパッキンの性能診断処理を実行することにより、実摺動抵抗値Fと流体圧Pとを反映したパッキン材51a〜51i毎の側面圧Pra〜Pri(締め代)を、下記の如く演算して求めることができる。
【0136】
この場合、パッキン材51a〜51iに作用する軸方向面圧を求めるため、軸方向の初期面圧P1x(x=a,b,…,i)を下記の数14の式により算定する(図7中のステップ1に相当)。
【0137】
【数14】
P1a=1
P1b=P1a×α1
P1c=P1b×α2
P1d=P1c×α2
P1e=P1d×α2
P1f=P1e×α2
P1g=P1f×α2
P1h=P1g×α1
P1i=P1h×α1
【0138】
即ち、前述した摺動抵抗値Fによって図8に示す一番上側のパッキン材51aに、仮にP1a=1なる軸方向の初期面圧P1aが作用した場合、上から二番目のパッキン材51bには、P1b=1×α1 として面圧伝達係数α1 (α1 =0.95)分だけ減少した軸方向の初期面圧P1bが作用する。
【0139】
また、上から三番目のパッキン材51cは第2種類であるため、このパッキン材51cには、P1c=P1b×α2 として面圧伝達係数α2 (α2 =0.9)分だけ減少した軸方向の初期面圧P1cが作用する。そして、次なるパッキン材51d,51e,51f,51gも第2種類であるため、前記数14の式に示す如くそれぞれ面圧伝達係数α2 分だけ漸次減少した軸方向の初期面圧P1d,P1e,P1f,P1gが作用する。
【0140】
一方、一番下から二番目のパッキン材51hは第一種類であるため、このパッキン材51hには、P1h=P1g×α1 として面圧伝達係数α1 分だけ減少した軸方向の初期面圧P1hが作用し、一番下側(上から九番目)のパッキン材51iには、P1i=P1h×α1 として面圧伝達係数α1 分だけ減少した軸方向の初期面圧P1iが作用する。これらの初期面圧P1x(P1a,P1b,…P1i)は、下記の表3に示す通りである。
【0141】
次に、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に上側から挿入されたグランドパッキン51のパッキン材51a〜51iは、パッキン締付具24を用いて締付けた後に時間の経過と共に応力緩和を起こす。そして、この応力緩和P2xは、パッキン材51a〜51i毎の種類によって異なり、それぞれの締付け回数によっても異なる。
【0142】
そこで、下記の数15式によりパッキン材51a〜51i毎の応力緩和P2xを求める(図7中のステップ2に相当)。この場合、パッキン材51a〜51iのうち上側から2個のパッキン材51a,51bと下側から2個のパッキン材51h,51iは、第1種類を用い、残余のパッキン材51c〜51gは第2種類のパッキン材により構成している。
【0143】
そして、パッキン材51a〜51iのうち上側の3個のパッキン材51a,51b,51cは、締付け回数が2回(応力残留率2回)となり、その下側の3個のパッキン材51d,51e,51fは、締付け回数が3回(応力残留率3回)となり、さらに下側の3個のパッキン材51g,51h,51iは、締付け回数が4回(応力残留率4回)となっている。
【0144】
このため、パッキン材51a,51bは、上記表2に示す如く応力残留率β12となり、パッキン材51cは応力残留率β22となり、パッキン材51d〜51fは応力残留率β23となる。また、パッキン材51gは応力残留率β24となり、パッキン材51h,51iは応力残留率β14となる。
【0145】
これにより、これらのパッキン材51a〜51iの応力緩和P2x(P2a,P2b,…P2i)は、数15式により求められ、それぞれ下記の表3に示す如く算定されるものである。
【0146】
【数15】
P2a=P1a×β12
P2b=P1b×β12
P2c=P1c×β22
P2d=P1d×β23
P2e=P1e×β23
P2f=P1f×β23
P2g=P1g×β24
P2h=P1h×β14
P2i=P1i×β14
【0147】
次に、一番上側のパッキン材51aによる応力緩和P2aに対するパッキン材51a〜51i毎の応力緩和P2xの比率を求めることにより、下記の数16式の如くパッキン材51a〜51i毎の軸方向における面圧係数P3x(P3a,P3b,…P3i)を算定する(図7中のステップ3に相当)。これにより、グランドパッキン51全体の中で、パッキン材51a〜51i毎の軸方向における面圧比率が、面圧係数P3xとして下記の表3の如く算出されるものである。
【0148】
【数16】
P3a=P2a/P2a=1
P3b=P2b/P2a
P3c=P2c/P2a
P3d=P2d/P2a
P3e=P2e/P2a
P3f=P2f/P2a
P3g=P2g/P2a
P3h=P2h/P2a
P3i=P2i/P2a
【0149】
次に、パッキン材51a〜51i毎の軸方向における面圧係数P3xをベースとした各パッキン材51a〜51i毎の仮想摺動抵抗値F1xを、下記の数17式により求める(図7中のステップ4)。
【0150】
この場合、パッキン材51a〜51iのうちパッキン材51a,51b,51h,51iは、上記の表2に示すように第1種類のパッキン材が用いられ、側面圧係数K1 となっている。そして、残りのパッキン材51c〜51gは、第2種類のパッキン材が用いられ、側面圧係数K2 となっている。
【0151】
【数17】
F1a=μ×K1 ×P3a×S
F1b=μ×K1 ×P3b×S
F1c=μ×K2 ×P3c×S
F1d=μ×K2 ×P3d×S
F1e=μ×K2 ×P3e×S
F1f=μ×K2 ×P3f×S
F1g=μ×K2 ×P3g×S
F1h=μ×K1 ×P3h×S
F1i=μ×K1 ×P3i×S
【0152】
なお、弁軸22と各パッキン材51a〜51iとの接触面積Sは、各パッキン材51a〜51iの内径を、例えば40mm、軸方向の厚さ寸法を10mmとしたときに、S≒1257mm となり、μ×K1 =0.01、μ×K2 =0.02とした場合に、パッキン材51a〜51i毎の軸方向における仮想摺動抵抗値F1x(F1a,F1b,F1c,…,F1i)は、それぞれ下記の表3に示す如く算定されるものである。
【0153】
次に、パッキン材51a〜51iの仮想摺動抵抗値F1xを合計した合計値Ft を、下記の数18式により求める(図7中のステップ5)。この場合、下記の表3に示す如く合計値Ft は、例えばFt =595.16として算定されるものである。
【0154】
【数18】
Ft =ΣF1x=F1a+F1b+F1c+…+F1i
【0155】
次に、実摺動抵抗値Fを仮想摺動抵抗値F1xに従って、各パッキン材51a〜51i毎の摺動抵抗値として振分けるため、下記の数19式による実摺動抵抗値Fの振分け値F2xを求める(図7中のステップ6)。これにより、実摺動抵抗値Fを、例えばF=2000N(ニュートン)とした場合に、各パッキン材51a〜51i毎の振分け値F2x(F2a,F2b,F2c,…,F2i)は、下記の表3の如く算定される。
【0156】
【数19】
F2x=(F/Ft )×F1x
但し、x=a,b,c,…,i
【0157】
次に、実摺動抵抗値Fの振分け値F2xに従って、各パッキン材51a〜51i毎の軸方向面圧P4xを、前記数17の式で示した摩擦力の関係から下記の数20式により求める(図7中のステップ7)。これにより、各パッキン材51a〜51i毎の軸方向面圧P4x(P4a,P4b,P4c,…,P4i)は、表3の如く算定される。
【0158】
【数20】
P4a=F2a/(μ×K1 ×S)
P4b=F2b/(μ×K1 ×S)
P4c=F2c/(μ×K2 ×S)
P4d=F2d/(μ×K2 ×S)
P4e=F2e/(μ×K2 ×S)
P4f=F2f/(μ×K2 ×S)
P4g=F2g/(μ×K2 ×S)
P4h=F2h/(μ×K1 ×S)
P4i=F2i/(μ×K1 ×S)
【0159】
次に、図8に示す如く支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に装着されたパッキン材51a〜51iに対し流体圧P(設計上の最高圧)による流体力が、一番下側のパッキン材51iから順次上側に向けてパッキン材51g,51f,51e,…51aへと作用する場合の流体圧Pによる軸方向面圧P5xを、下記の数21式により求める(図7中のステップ8)。
【0160】
【数21】
P5a=P×α1×α2
P5b=P×α1×α2
P5c=P×α1×α2
P5d=P×α1×α2
P5e=P×α1×α2
P5f=P×α1×α2
P5g=P×α1×α2
P5h=P×α1
P5i=P×α1
【0161】
即ち、図8に示す一番下側のパッキン材51iには、流体圧P(例えば、P=10MPa )が面圧伝達係数α1 (α1 =0.95)分だけ減少した軸方向面圧P5iが作用し、下から二番目のパッキン材51hには、P5h=P×αとして面圧伝達係数α1(α1=0.903)分だけ減少した軸方向面圧P5hが作用する。
【0162】
そして、次なるパッキン材51g,51f,51e,…には、それぞれ前記数21の式に示す如く面圧伝達係数α2 (α2 =0.9)分だけ漸次減少した軸方向面圧P5g,P5f,P5e,…が作用し、一番上側(下から九番目)のパッキン材51aには、P5a=P×α1×α2として面圧伝達係数(α1×α2)分だけ減少した軸方向面圧P5aが作用する。これらの流体圧Pによる軸方向面圧P5x(P5a,P5b,…P5i)は、下記の表3に示す通りである。
【0163】
次に、流体圧Pによる軸方向面圧P5xと実摺動抵抗値Fによる軸方向面圧P4xとを合計した軸方向の合計面圧P6xを、下記の数22式により算定する(図7中のステップ9)。
【0164】
【数22】
P6x=P4x+P5x
【0165】
この場合に、実摺動抵抗値Fによる軸方向面圧P4xの圧力単位(N/mm )と流体圧Pによる軸方向面圧P5xの圧力単位(MPa )とは互いに等しい単位であり、1MPa =1N/mm なる関係にあるので、軸方向の合計面圧P6x(P6a,P6b,…,P6i)は、それぞれ表3の如く求められる。
【0166】
次に、前述した側面圧係数K1 ,K2 を合計面圧P6xに乗算することにより、K=(径方向の側面圧)/(軸方向の面圧)なる関係からパッキン材51a〜51i毎の締め代となる径方向の側面圧Prxを下記の数23式により算定する。そして、これらの側面圧Prx(Pra,Prb,…,Pri)は表3の如く求められるものである(図7中のステップ10)。
【0167】
【数23】
Pra=K1 ×P6a
Prb=K1 ×P6b
Prc=K2 ×P6c
Prd=K2 ×P6d
Pre=K2 ×P6e
Prf=K2 ×P6f
Prg=K2 ×P6g
Prh=K1 ×P6h
Pri=K1 ×P6i
【0168】
次に、前述した流体圧Pとパッキン材51a〜51i毎の側面圧Prx(Pra,Prb,…,Pri)とを比較し、下記の数24式によるシール度Jx (比較結果)が1.0以上であるか否かにより各パッキン材51a〜51i毎の漏洩判定を行う(図7中のステップ11)。
【0169】
【数24】
Jx =Prx/P
【0170】
そして、パッキン材51a〜51iのシール度Jx (Ja ,Jb ,Jc ,…,Ji )のうちパッキン材51a,51bのシール度Ja ,Jb は、表3に示す如く1.0より小さくなっている。しかし、パッキン材51c,51d,…,51iのシール度Jc ,Jd ,…,Ji は、表3に示す如く全て1.0以上となっているので、流体圧Pの漏洩をパッキン材51c〜51iにより防止できると判定し得る。
【0171】
また、パッキン材51a,51bについても、シール度Ja ,Jb を1.0以上とする場合には、パッキン締付具24を用いてグランドパッキン51の各パッキン材51a,51b(パッキン材51c〜51iを含む)に対する締付力を増大させ、各パッキン材51a〜51iの撓み量(圧縮変形量)を大きくすべきことを、例えば図5に示す表示器44、報知装置46等を用いてメンテナンス作業者に知らせることができる。
【0172】
【表3】
Figure 0003779658
【0173】
なお、前記実施の形態では、図7に示すステップ1〜10が、本発明の特徴事項である側面圧演算手段の具体例であり、図7に示すステップ11が性能判別手段の具体例を示すものである。
【0174】
また、前記実施の形態では、グランドパッキン23(51)を合計9個のパッキン材23a〜23i(51a〜51i)により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば8個以下または10個以上のパッキン材を用いてグランドパッキンを構成してもよい。
【0175】
また、第1の実施の形態では、グランドパッキン23のパッキン材23a〜23iを一括締めする場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第2の実施の形態で述べたように、パッキン材を分割締めする構成としてもよい。一方、第2の実施の形態で述べたパッキン材51a〜51iについても、分割締めに限らず、一括締めする構成としてもよいものである。
【0176】
また、前記実施の形態では、原子力発電所等で用いる制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば石油化学コンビナート、化学プラントまたは精油所で用いる制御弁等、種々の流体の流れを制御する制御弁に対しても適用でき、グランドパッキンのシール性能等の診断を早期に行うことができるものである。
【0177】
一方、前記実施の形態では、スプリング9により弁体7を閉弁方向に付勢する形式の制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば空気圧等の気体圧を用いて弁体を閉弁方向に駆動し、弁体を開弁させるときには気体圧を下げてスプリングにより弁体を開弁方向に付勢する形式の制御弁に適用してもよい。
【0178】
また、前記実施の形態では、弁箱3の流入口3Aから流出口3Bに向けて矢示C方向へと給水が流れる制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図2に示す矢示C方向とは逆向きに流体が流れる構成としてもよいものである。
【0179】
さらに、前記実施の形態では、ばね受18および緩止めナット19等を用いてスプリング9の付勢力を可変に調節するものとして述べたが、必ずしもスプリングの付勢力を調節可能な構成とする必要はないものである。
【0180】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1に記載の発明によれば、グランドパッキンの性能診断装置は、荷重検出手段、側面圧演算手段および性能判別手段を備える構成としているので、例えば弁体の開度を可変に制御している間に、弁軸に付加される軸方向の荷重を荷重検出手段により検出でき、このときの検出信号からグランドパッキンと弁軸との間に働く摺動抵抗値を求めることができる。そして、側面圧演算手段は、この摺動抵抗値から弁軸に対するグランドパッキンの締め代を側面圧として演算でき、性能判別手段は、演算により求めたグランドパッキンの側面圧からグランドパッキンの締め代が適正であるか否か等をシール性能として判別することができる。そして、グランドパッキンの締め代が適正でない場合には、グランドパッキンに対する締付力の調整作業等を容易に行うことができる。
【0181】
また、請求項2に記載の発明によると、側面圧演算手段は、流体の流体圧により弁軸の軸方向でグランドパッキンに付加される軸方向面圧と摺動抵抗値による前記グランドパッキンの軸方向面圧とを加算して軸方向の合計面圧を演算し、この合計面圧から前記グランドパッキンの径方向面圧を側面圧として演算により求める構成としているので、弁ハウジングの流入口、流出口間に流体を流す前の段階で、荷重検出手段による荷重検出信号からグランドパッキンと弁軸との間の摺動抵抗値を求めることにより、この摺動抵抗値に従ってグランドパッキンの軸方向に働く軸方向面圧を算定することができる。
【0182】
また、例えば弁ハウジング内を流れる流体の圧力を予め設計値として取込むことにより、この流体圧に従ってグランドパッキンの軸方向に働く軸方向面圧も算定することができ、これらの2つの軸方向面圧を加算して軸方向の合計面圧を算定できる。そして、グランドパッキンは軸方向の面圧に対する径方向面圧の関係が、例えば側面圧係数として求められているので、前記合計面圧と側面圧係数を掛け算(乗算)することにより、グランドパッキンの径方向面圧を側面圧(締め代)として算出することができる。
【0183】
また、請求項3に記載の発明によると、性能判別手段は、弁ハウジング内を流れる流体の流体圧とグランドパッキンの側面圧とを比較し、この比較結果により流体の漏洩の有無を判別する構成としているので、性能判別手段は流体の流体圧とグランドパッキンの側面圧とを比較し、例えば側面圧の方が流体圧よりも大きいときには、グランドパッキンによって流体の漏洩を阻止できると判別でき、逆に側面圧が流体圧より小さいときには漏洩の可能性があると判別することができる。
【0184】
また、請求項4に記載の発明によると、グランドパッキンは、弁ハウジングと弁軸との間で該弁軸の軸方向に互いに重合わせて配置される複数個のパッキン材からなり、側面圧演算手段は該各パッキン材毎に側面圧を演算し、性能判別手段は前記各パッキン材毎に前記側面圧と流体圧とを比較して流体の漏洩の有無を判別する構成としているので、複数個のパッキン材のうちいずれのパッキン材がどの程度の側面圧(締め代)を有しているかを個別に知ることができ、性能判別手段はこれらのパッキン材毎に流体の漏洩が有るか否かを容易に判別することができる。
【0185】
さらに、請求項5に記載の発明によると、弁ハウジングには、軸挿通穴、パッキン取付穴およびパッキン締付具を設け、該パッキン締付具は、性能判別手段によるグランドパッキンの性能判別結果に応じて締付力を可変に調整する構成としているので、性能判別手段によるグランドパッキンの性能判別結果に従ってグランドパッキンに対する軸方向の締付力をパッキン締付具により可変に調整でき、これによってグランドパッキンの側面圧を適正な締め代となるように容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるグランドパッキンの性能診断装置が設けられた制御弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の制御弁を開弁した状態で示す部分拡大断面図である。
【図3】図1の弁軸とグランドパッキンとを拡大して示す要部断面図である。
【図4】図1に示す制御弁の制御回路図である。
【図5】図1中の制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置を示す制御ブロック図である。
【図6】指令信号と制御弁の弁開度との関係を示す特性線図である。
【図7】グランドパッキンの性能診断処理を示す流れ図である。
【図8】第2の実施の形態によるグランドパッキンを弁軸等と共に拡大して示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 制御弁
2 弁ハウジング
3 弁箱
3A 流入口
3B 流出口
4 弁体ガイド
4A 摺動面
4B 弁座
5 支持フレーム
5B 軸挿通穴
5C パッキン取付穴
6 支持板
7 弁体
8 駆動機構(弁駆動手段)
9 スプリング
10 アクチュエータ
11,12 可動シェル
13 ダイヤフラム
14 圧力室
16 ヨーク(駆動力伝達手段)
22 弁軸
23,51 グランドパッキン
23a〜23i,51a〜51i パッキン材
24 パッキン締付具
25 軸力センサ(荷重検出手段)
26 開度センサ(開度検出手段)
27 ポジショナ
28 パイロット配管
29,30 空気圧配管
31 圧気源
32,36 減圧弁
34 指令装置(指令手段)
35 電空変換器
37 ブースタリレー
38 操作空気圧配管
40,41,42 圧力センサ
43 コントロールユニット
44 表示器
46 報知装置

Claims (5)

  1. 流体の流入口と流出口を有し該流入口と流出口との間に弁座が設けられた弁ハウジングと、該弁ハウジング内に変位可能に設けられ前記弁座に離,着座することにより前記流入口と流出口との間を連通,遮断する弁体と、該弁体から離間して前記弁ハウジングに設けられ該弁体を開,閉弁方向に駆動する弁駆動手段と、該弁駆動手段と弁体との間に設けられ該弁駆動手段による駆動力を前記弁体に伝達する弁軸を有した駆動力伝達手段と、該駆動力伝達手段の弁軸と前記弁ハウジングとの間に設けられ該弁ハウジングと弁軸との間をシールするグランドパッキンとを備えた制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置であって、
    前記駆動力伝達手段に設けられ前記弁軸の軸方向に付加される荷重を検出する荷重検出手段と、
    該荷重検出手段から出力される検出信号により前記グランドパッキンと弁軸との間に働く摺動抵抗値を求め、少なくともこの摺動抵抗値から前記弁軸に対するグランドパッキンの側面圧を演算する側面圧演算手段と、
    該側面圧演算手段で演算した前記グランドパッキンの側面圧に基づいて該グランドパッキンのシール性能を判別する性能判別手段とを備えたことを特徴とする制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置。
  2. 前記側面圧演算手段は、前記弁ハウジング内を流れる流体の流体圧により前記弁軸の軸方向でグランドパッキンに付加される軸方向面圧と、前記摺動抵抗値による前記グランドパッキンの軸方向面圧とを加算することによって軸方向の合計面圧を演算し、この合計面圧から前記グランドパッキンの径方向面圧を前記側面圧として演算により求める構成としてなる請求項1に記載の制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置。
  3. 前記性能判別手段は、前記弁ハウジング内を流れる流体の流体圧と前記グランドパッキンの前記側面圧とを比較し、この比較結果により流体の漏洩の有無を判別する構成としてなる請求項1または2に記載の制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置。
  4. 前記グランドパッキンは、前記弁ハウジングと弁軸との間で該弁軸の軸方向に互いに重合わせて配置される複数個のパッキン材からなり、前記側面圧演算手段は該各パッキン材毎に前記側面圧を演算し、前記性能判別手段は前記各パッキン材毎に前記側面圧と前記流体圧とを比較して流体の漏洩の有無を判別する構成としてなる請求項3に記載の制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置。
  5. 前記弁ハウジングには、前記弁軸が挿通される軸挿通穴と、前記グランドパッキンを取付けるため該軸挿通穴を部分的に拡径することにより形成され該軸挿通穴の軸方向に延びたパッキン取付穴と、該パッキン取付穴内に前記グランドパッキンを取付けた状態で該グランドパッキンに軸方向の締付力を付与するパッキン締付具とを設け、該パッキン締付具は、前記性能判別手段によるグランドパッキンの性能判別結果に応じて前記締付力を可変に調整する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の制御弁に用いるグランドパッキンの性能診断装置。
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