以下、本発明の実施の形態による制御弁の作動制御装置を添付図面の図1ないし図11に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した制御弁で、この制御弁1は、後述の弁ハウジング2、弁体7、弁開閉機構8、弁軸22およびグランドパッキン23等により構成されている。
そして、制御弁1は、所謂逆作動弁として構成され、後述の弁体7がスプリング9により常時閉弁方向に付勢されている。このため、逆作動弁である制御弁1は、外部から給排する圧縮空気(後述の圧力室14)を大気圧のレベルまで低下させたときに、弁体7はスプリング9により全閉状態に保持されるものである。
2は制御弁1の外殻を構成する弁ハウジングで、該弁ハウジング2は、制御対象となる流体の流路途中に配設される弁箱3と、後述の弁体ガイド4および支持フレーム5とから大略構成され、弁箱3内には制御対象の流体として高温の給水等が流通するものである。
そして、弁箱3は、前記給水の流入口3Aおよび流出口3Bと、該流入口3Aと流出口3Bとの間に位置し後述の弁体ガイド4が嵌合される貫通穴3Cが穿設された仕切壁部3Dと、該仕切壁部3Dの貫通穴3Cと上,下で対向し貫通穴3Cよりも大径に形成された筒状開口部3Eとを有している。
4は弁箱3内に設けられた筒状の弁体ガイドで、該弁体ガイド4は、筒状開口部3E側から弁箱3内に挿入される。そして、弁体ガイド4は、その一端側が貫通穴3Cに嵌合され、他端側が後述の蓋部5Aに嵌合することにより弁箱3内に位置決めされている。また、弁体ガイド4の内周面は後述する弁体7用の摺動面4Aとなり、該摺動面4Aの下端側には弁体7が離着座する環状の弁座4Bが一体形成されている。
また、弁体ガイド4には、弁座4Bよりも僅かに上側となる位置に径方向の流通穴4C,4Cが穿設されている。そして、これらの流通穴4Cは弁体7により開,閉され、これによって弁箱3は流入口3Aと流出口3Bとの間が連通,遮断されるものである。
5は弁箱3の上側に設けられ、弁ハウジング2の一部を構成する支持フレームで、該支持フレーム5の一端側は、筒状開口部3Eを上側から閉塞する蓋部5Aとなり、該蓋部5Aの中心側には後述の弁軸22が挿通される軸挿通穴5Bが穿設されている。そして、該軸挿通穴5Bは、支持フレーム5の蓋部5A内を軸方向(上,下方向)に貫通して延び、その一端(下端)側は弁体ガイド4内と連通している。
また、支持フレーム5の蓋部5Aには、軸挿通穴5Bの上部側部位を拡径することにより段付穴として形成されたパッキン取付穴5Cが設けられ、該パッキン取付穴5Cは、その上端が蓋部5Aの上面に開口している。そして、このパッキン取付穴5C内には後述のグランドパッキン23が側面圧(締め代)をもって取付けられるものである。
6は支持フレーム5の上端(他端)側に設けられ、支持フレーム5の一部となる支持板で、該支持板6は、支持フレーム5の上端側に複数のガイド部6A,6A,…等を介して取付けられ、後述のダイヤフラム13を下側から支持するものである。そして、支持板6の各ガイド部6Aは、後述の可動シェル12を矢示A,B方向に移動可能(上,下動可能)にガイドするものである。
7は弁体ガイド4内に摺動可能に挿嵌された弁体で、該弁体7は、図2に示すように有蓋筒状体として形成され、その一端側は前記弁座4Bに離着座することにより弁体ガイド4の各流通穴4Cを介して弁箱3の流入口3Aと流出口3Bとの間を連通,遮断するものである。
また、弁体7には圧力逃がし穴7A,7A,…が穿設されている。そして、これらの圧力逃がし穴7Aは、弁体ガイド4と弁体7との間で圧力差が発生するのを防止し、弁体7が弁体ガイド4の摺動面4Aに沿って滑らかに開,閉弁動作するのを補償するものである。
8は弁体7から離間して支持フレーム5の他端側に設けられた弁開閉機構で、該弁開閉機構8は、後述のばね受18と支持板6との間に配設され、弁体7を常時閉弁方向に付勢したスプリング9と、後述する空気圧作動式のアクチュエータ10と、図3に示す後述のポジショナ27等とにより構成されている。
10は弁体7をスプリング9に抗して開弁方向に駆動する空気圧(気体圧)作動式のアクチュエータで、該アクチュエータ10は、上,下の可動シェル11,12と、外周側が該可動シェル11,12間に挟持して設けられた可動隔壁としてのダイヤフラム13とからなり、該ダイヤフラム13は上側の可動シェル11との間に圧力室14を画成している。そして、アクチュエータ10は、弁体7を開弁方向に駆動する後述の弁体駆動力Fkxを、圧力室14内の空気圧(圧力)に従って発生させるものである。
ここで、可動シェル11,12は、支持フレーム5上の支持板6をダイヤフラム13と共に上,下方向から取囲むように配設されている。そして、ダイヤフラム13は、その中央部側が支持板6に固着され、該支持板6によって背面側から補強(バックアップ)されている。また、上側の可動シェル11とダイヤフラム13は、図1に示す如く圧力室14内で受圧面積Sdaをもって空気圧を受圧するものである。
また、下側の可動シェル12には、支持板6の各ガイド部6Aが挿通される複数の挿通穴12A,12A,…が設けられ、これらの挿通穴12Aにより可動シェル12は、支持フレーム5に対し各ガイド部6Aに沿って上,下動可能に取付けられている。そして、可動シェル12は、その内周側端部が後述する可動ヨーク16の外周側に固着され、この可動ヨーク16と一体に矢示A,B方向に移動(上,下動)するものである。
15は上側の可動シェル11に設けられた気体圧の給排口で、該給排口15には後述の操作空気圧配管38が接続され、これによってアクチュエータ10の圧力室14内には圧縮気体としての圧縮空気が給排される。そして、圧力室14内の空気圧が最小の圧力になっている間は、スプリング9により可動シェル11,12および可動ヨーク16等が矢示A方向に付勢され、これによって弁体7は図1に示す如く閉弁状態に保持される。
一方、アクチュエータ10は、給排口15から圧力室14内に操作空気圧が供給されると、この空気圧が増加するに応じて圧力室14内の容積を増大させる。そして、この圧力室14内の空気圧により、可動シェル11,12は可動ヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示B方向に押動され、これによって弁体7は図2に示す如く開度(弁開度)が増大されるものである。
16は支持フレーム5内に上,下動可能に設けられた可動枠体としての可動ヨークを示し、該可動ヨーク16は有底の枠状体として形成され、スプリング9を径方向外側から覆う構成となっている。また、可動ヨーク16の底部16A側には、後述の弁軸22が固定して取付けられ、可動ヨーク16は弁軸22と共に駆動力伝達手段を構成するものである。
17は可動ヨーク16の底部16Aに設けられた固定ボルト、18は該固定ボルト17に緩止めナット19と一緒に螺合して設けられたばね受を示している。そして、該ばね受18は、固定ボルト17に対する緩止めナット19の螺合位置を変えることにより、スプリング9の付勢力を可変に調節するものである。
20,21は支持フレーム5,可動ヨーク16に設けられた工具挿入穴で、該工具挿入穴20,21には、固定ボルト17に対するばね受18および緩止めナット19の螺合位置を変えるときに、例えばスパナ、レンチ等の工具が挿入されるものである。
22は可動ヨーク16と共に駆動力伝達手段を構成する弁軸で、該弁軸22は、図2に示すように支持フレーム5(蓋部5A)の軸挿通穴5B内に軸方向に摺動可能(上,下動可能)に挿嵌され、その下端側は弁体ガイド4内で弁体7に連結されている。また、弁軸22の上端側は、可動ヨーク16の底部16Aに固定(連結)されている。そして、弁軸22は、可動ヨーク16の動きを弁体7に伝達し、弁体7を上,下に開,閉弁させるものである。
23は支持フレーム5の蓋部5Aと弁軸22との間をシールするグランドパッキンで、該グランドパッキン23は、複数(例えば、9個)のパッキン材を支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に互いに重合わせて装着することにより構成されている。そして、グランドパッキン23は、それぞれのパッキン材が弁軸22の外周面に締め代をもって摺接するものである。
これにより、グランドパッキン23は、支持フレーム5の軸挿通穴5Bと弁軸22との間をシールしている。このため、例えば弁箱3内を流れる高圧の給水等の流体は、支持フレーム5の軸挿通穴5Bを介して外部に漏洩するのをグランドパッキン23によって防止される。
24は支持フレーム5の蓋部5A上に設けられたパッキン締付具で、該パッキン締付具24は、支持フレーム5のパッキン取付穴5C内に上側の開口端側から挿入され、その下面がグランドパッキン23に当接する押え環24Aと、パッキン取付穴5Cを該押え環24Aと共に上側から覆うように蓋部5Aの上面側に複数の締結ボルト24B,24B,…を介して着脱可能に配設された押え板24Cとにより構成されている。
そして、パッキン締付具24の押え板24Cは、パッキン取付穴5Cから突出する押え環24Aの突出端側に当接し、グランドパッキン23をパッキン取付穴5C内に抜止め状態に保持すると共に、グランドパッキン23の各パッキン材に上側から付与する軸方向の締付力を締結ボルト24Bの締込み量等によって調整するものである。
25は弁ハウジング2の支持フレーム5に設けられた荷重検出手段としての軸力センサ(以下、簡易軸力センサ25という)で、該簡易軸力センサ25は、例えば歪みゲージ等を用いて構成され、図1に示すように支持板6のガイド部6Aと蓋部5Aとの間に位置して支持フレーム5の外側面に取付けられている。
そして、簡易軸力センサ25は、弁体7の開,閉弁動作等に応じて支持フレーム5が僅かに歪み変形するのを、支持フレーム5に付加される軸方向の荷重(例えば、引張り荷重または圧縮荷重)として検出し、このときの荷重検出信号を、後述の表3に示す出力値のように出力する。
ここで、簡易軸力センサ25から出力される荷重検出信号(出力値)は、後述の図8に示すように校正処理が施される。これにより、簡易軸力センサ25の出力値は、弁体7の開,閉弁動作等に応じて弁ハウジング2(支持フレーム5)に付加されるスラスト荷重(例えば、軸方向の引張り荷重と圧縮荷重)として、例えば図10に示す特性線47の如く取り出されるものである。
26は弁体7の変位量を開度として検出する変位検出手段としての開度センサで、該開度センサ26は、例えば光学式変位センサ等を用いて構成され、弁体7と一体に変位する可動ヨーク16または可動シェル11,12の動きを、支持フレーム5または支持板6(ダイヤフラム13)に対する相対変位量として検出するものである。
なお、本実施の形態では、図1に示すように開度センサ26を可動シェル11に設けた場合を例に挙げて示している。しかし、これに替えて、例えば開度センサ(変位検出手段)を、弁ハウジング2の支持フレーム5と可動ヨーク16との間等に設ける構成としてもよいものである。
27は弁開閉機構8の一部を構成する給排制御手段としてのポジショナで、該ポジショナ27は、図3に示すように弁ハウジング2(支持フレーム5)の外側に設けられ、例えばパイロット配管28、入力側の空気圧配管29および出力側の空気圧配管30が接続されている。そして、ポジショナ27は、例えば空気圧縮機、空気タンク等の圧気源31から減圧弁32、入力側の空気圧配管29を介して供給される圧縮空気の空気量を、パイロット配管28からのパイロット圧に対応して増減させるように制御し、制御した空気圧を出力側の空気圧配管30側に供給する。
これにより、ポジショナ27は、弁体7の開度を後述する指令装置34からの指令信号(パイロット配管28からのパイロット圧)に従って図5に示す特性線33の如く、例えば比例制御するものである。即ち、制御弁1の弁体7は、ポジショナ27による空気圧の制御により図5に示す特性線33のように指令信号にほぼ比例して弁開度が可変に制御されるものである。
34は弁体7の開度を指令する指令信号を出力する指令手段としての指令装置で、該指令装置34は、例えば4〜20mA(ミリアンペア)程度の範囲で電流値が可変に設定される指令信号を後述の電空変換器35およびコントロールユニット43等に出力するものである。
35は指令装置34からの指令信号をパイロット圧に変換する電空変換器を示し、該電空変換器35は、圧気源31から減圧弁36を介して供給される低圧の空気圧をパイロット配管28側にパイロット圧として供給し、このときのパイロット圧を指令信号の電流値等に比例して可変に調整するものである。なお、減圧弁36の設定圧は、減圧弁32によりも十分に低い圧力(例えば、1/10以下の圧力)に設定されている。
37は空気圧配管30からの空気圧を増倍して操作空気圧配管38側に供給するブースタリレーで、該ブースタリレー37は、空気圧配管30からの空気圧を増倍するために分岐配管39に接続され、該分岐配管39は空気圧配管29からの空気圧をブースタリレー37に補給するものである。
そして、制御弁1の弁開閉機構8は、操作空気圧配管38、給排口15を介してブースタリレー37側からの増倍された操作空気圧が、図1に示す圧力室14内へと供給され、圧力室14が拡縮されることにより可動ヨーク16、弁軸22および弁体7を矢示A,B方向に駆動するものである。
40,41,42はそれぞれ圧力センサを示し、該圧力センサ40〜42のうち圧力センサ40は操作空気圧配管38内の圧力を検出し、圧力センサ41は空気圧配管30内の圧力を検出し、圧力センサ42はパイロット配管28内のパイロット圧を検出するものである。
43はマイクロコンピュータ等により構成されたコントロールユニットで、該コントロールユニット43は、図4に示す如く入力側に簡易軸力センサ25、開度センサ26、圧力センサ40,41,42および指令装置34等が接続され、出力側には、ディスプレイ等の表示器44、印字機としてのプリンタ45および報知装置46等が接続されている。
ここで、コントロールユニット43は、指令装置34から出力される指令信号と、開度センサ26から出力される弁体7の開度信号(変位量)と、圧力センサ40,41,42から出力される圧力信号と、簡易軸力センサ25から出力される軸力信号とを表示器44の画面上に表示させると共に、これらを必要に応じてプリンタ45により印字させる。
また、コントロールユニット43は、図4に示すようにROM、RAM等からなる記憶部43Aを有し、この記憶部43A内には、制御弁1の故障診断処理プログラムと共に、例えば図8に示す簡易軸力センサ25の出力値に対する校正処理用のプログラム等が格納されている。
そして、コントロールユニット43は、制御弁1の故障診断処理プログラム等に従って、例えば簡易軸力センサ25、開度センサ26および圧力センサ40,41,42からの検出信号により制御弁1の作動状態が正常であるか、異常であるかを判定(故障診断)し、異常と判定したときには、これを報知装置46(例えば、警報ランプ、警報ブザーまたは音声合成装置等を含む)を用いて報知するものである。
さらに、コントロールユニット43は、図8に示すように簡易軸力センサ25の出力値に対する校正処理を、例えば開度センサ26、圧力センサ40および簡易軸力センサ25からの検出信号等に基づいて行う。そして、これらの校正処理等の結果は、表示器44の画面上で適宜に表示されるものである。
本実施の形態による制御弁1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、指令装置34から出力される指令信号が、図5に示す信号値Ea 以下のときには、図3に示す電空変換器35からパイロット配管28に出力されるパイロット圧は、例えば大気圧程度の低圧状態におかれる。
そして、制御弁1のポジショナ27は、このときのパイロット圧に対応して空気圧配管30内を大気圧に近い低い圧力状態に設定し、ブースタリレー37を介した操作空気圧配管38内の圧力もほぼ大気圧状態に設定される。これにより、弁開閉機構8のアクチュエータ10は、圧力室14内の空気圧が大気圧に近い最小の圧力状態に保持される。
このため、弁開閉機構8はスプリング9により可動シェル11,12および可動ヨーク16等が矢示A方向に付勢され、このときの付勢力が弁軸22を介して弁体7へと伝達されることにより、弁体7は図1に示す如く弁体ガイド4の弁座4Bに着座して閉弁状態に保持される。
次に、指令装置34から出力される指令信号が、図5に示す信号値Ea より大きくなると、図3に示す電空変換器35からパイロット配管28に出力されるパイロット圧は、指令信号に従って比例的に増大し、例えば大気圧よりも高い圧力状態に設定される。
そして、制御弁1のポジショナ27は、このときのパイロット圧に対応して空気圧配管30内を大気圧よりも高い圧力状態に設定し、ブースタリレー37は空気圧配管30内の圧力に基づいて空気量を増倍させつつ、倍増した操作空気圧を操作空気圧配管38、給排口15を介してアクチュエータ10の圧力室14内に供給する。
この結果、アクチュエータ10は、給排口15から供給される空気圧に応じて圧力室14内の容積を増大させ、この圧力室14内の空気圧により、可動シェル11,12を可動ヨーク16等と共にスプリング9の付勢力に抗して矢示B方向に押動する。そして、この矢示B方向の駆動力(押動力)は弁軸22を介して弁体7へと伝達される。
これによって、弁体7は図2に示す如く弁体ガイド4の弁座4Bから離座して開度が増大される。そして、弁体7が開弁した状態では、弁箱3の流入口3Aから流出口3Bに向けて矢示C方向へと給水が流れ、弁体7の開度に応じて給水の流量が制御される。
また、弁体7の開度は、図5に示す特性線33に沿って増減するように制御され、指令信号の信号値がEm まで増大したときには、弁体7が全開状態におかれて最大流量となるものである。
この場合、制御弁1には開度センサ26が設けられ、該開度センサ26により弁体7の開度が、指令装置34からの指令信号にほぼ比例して制御されているか否かを判別することができる。
また、パイロット配管28内のパイロット圧が指令信号にほぼ比例して制御されているか否かについても、パイロット配管28の途中に設けた圧力センサ42により検出することができる。
さらに、空気圧配管30内の圧力についても圧力センサ41により検出でき、操作空気圧配管38内の圧力についても同様に圧力センサ40により検出できるので、空気圧配管30、操作空気圧配管38内の圧力が前記指令信号およびパイロット圧に対応して制御されているか否かを判別することができる。
次に、本実施の形態の特徴であるコントロールユニット43を用いた簡易軸力センサ25の出力値に対する校正処理について、図1ないし図10を参照して説明する。
まず、簡易軸力センサ25の出力値を校正するために、弁ハウジング2の支持フレーム5に設けた簡易軸力センサ25にどのような力が作用しているのかを、図6、図7を参照して解析する。なお、図6、図7中では、図1に示した弁ハウジング2の支持フレーム5、支持板6、弁体7、スプリング9、可動ヨーク16および弁軸22等を簡略化して図示している。
ここで、図6に示すように弁体7を全閉位置としたときには、支持フレーム5に対しスプリング9のばね荷重Fsi(プリセット荷重)が上向きに作用し、支持板6等を含めた支持フレーム5の自重Wf (簡易軸力センサ25の取付位置よりも上側部分の自重Wf )が下向き作用する。
このため、簡易軸力センサ25の出力値Asxは、スプリング9のばね荷重Fsiと支持フレーム5の自重Wf とに対して、下記の数1式の関係にある。そして、弁体7の全閉時には、支持フレーム5(簡易軸力センサ25の取付位置)に軸方向のスラスト荷重(Fsi−Wf )が作用しているものである。
そこで、この数1式において、スプリング9のばね荷重Fsiを求めることができれば、弁体7の全閉時における簡易軸力センサ25の出力値Asxを、支持フレーム5に付加される軸方向のスラスト荷重(Fsi−Wf )との関係で適正化することができる。なお、この場合の比例定数C1 は、一定の値として求めることができる。また、支持フレーム5の自重Wf についても、例えば380N(ニュートン)となる既知の値として求めることができる。
そして、スプリング9のばね荷重Fsiは、フックの法則から下記の数2式に示すように、スプリング9のばね定数Kと初期撓み量Lsiとにより導かれる。この場合の初期撓み量Lsiとは、弁体7を閉弁状態に保持するためにスプリング9を予め撓み変形(圧縮変形)させた初期締込量に該当するものである。
そして、弁体7が全閉位置にあるときのスプリング9のばね荷重Fsiを求めるためには、ばね定数Kと初期撓み量Lsiとを、適用対象の各制御弁1毎に固有な特性として演算により求める必要がある。
このため、後述の図8に示す校正処理では、ステップ6,11およびステップ12の処理によってばね定数Kを算定すると共に、初期撓み量Lsiを算定し、その後のステップ13で全閉時におけるばね荷重Fsiを算定するものである。
一方、弁体7が図7に示すように全閉位置と全開位置との間の中間位置(中間開度の位置)にあるときには、弁体7を開弁方向に駆動する弁体駆動力Fkx(支持板6に対して下向きに作用する空気圧による駆動力Fkx)と、支持板6に対して上向きに作用する前記スプリング9のばね荷重Fsxとが釣り合い、下記の数3式を満たす関係となる。
このため、簡易軸力センサ25の取付位置には、この取付位置よりも上側部分となる前述の自重Wf (支持板6を含めた支持フレーム5の自重Wf )のみが下向き作用し、簡易軸力センサ25の出力値Asxは、支持フレーム5の自重Wf に対して、下記の数4式の関係となる。
従って、弁体7が図7に示す如く中間開度にあるときには、簡易軸力センサ25の出力値Asxを、支持フレーム5の自重Wf (例えば、380N)に対応した検出値として取出すことができる。なお、この場合の比例定数C2 も、既知として求められる。そして、この比例定数C2 は、後述の図10に示す特性線47に従って、前記数1式の比例定数C1 と等しい値となるものである。
しかし、前述した数4式の関係を満たす状態とは、弁体7が中間開度の位置で静止した釣り合い状態にあるときである。このため、後述の図8に示す校正処理では、下記の表3に示すように弁体7を開弁方向と閉弁方向の双方に変位させつつ、簡易軸力センサ25の出力値Asxを順次サンプリングして、その平均値をステップ14で中間荷重として算定することにより、簡易軸力センサ25の出力値Asxを適正化するようにしている。
即ち、図8に示す簡易軸力センサ25の出力値に対する校正処理を、スタートすると、ステップ1で弁体7が全閉位置にあるか否かを判定し、「YES」と判定するまでは、ステップ1の処理を続行する。そして、ステップ1で「YES」と判定したときには、ステップ2に移って、弁体7を全閉位置から徐々に開弁方向に駆動する。
即ち、ステップ2の処理では、図1に示すアクチュエータ10の圧力室14内に供給する圧縮空気の圧力を徐々に昇圧して、可動ヨーク16を図1中の矢示B方向に駆動し、これによって、弁体7をスプリング9に抗して徐々に上向きに変位させる。そして、この間に後述する第1のサンプリング工程を実行するものである。
次に、ステップ3では、開度センサ26による弁体7の開度(%)と変位量を下記の表1に示すように読込み、圧力センサ40から圧力室14内の圧力P(空気圧)を読込む。なお、下記の表1に示す具体例では、弁体7の変位量が例えば64.6mmに達したときに、弁体7が全開位置となって、その開度は100%として求められる。また、ステップ3では、簡易軸力センサ25からの荷重検出信号により、その出力値Asxを下記の表3に示すように読込む。
そして、ステップ4では、弁体7を開弁方向に駆動する弁体駆動力Fkx(支持板6に対して下向きに作用する空気圧による駆動力Fkx)を、圧力室14内の圧力Pと図1に示すダイヤフラム13の受圧面積Sdaとにより、下記の数5式に示すように算出する。
ここで、弁体7の開弁時にスプリング9に働く外力F(ばね荷重Fsxに対応する)は、弁体7の開,閉弁時における可動部分の質量Wを、前述した空気圧による弁体駆動力Fkxから引き算することにより、下記の数6式に示す如く求められる。なお、可動部分の質量Wは、例えば3980N(ニュートン)となる値であり、可動シェル11,12等の重量から既知の値として求められるものである。
また、ステップ4では、下記の数7式によりスプリング9のばね定数K1xを仮演算する。即ち、スプリング9のばね荷重(付勢力)と撓み量の関係は、フックの法則により図9に示す特性線で表され、スプリング9の初期撓み量Lsiに対して、このときの初期荷重(プリセット荷重)は、ばね荷重Fsiとなる。
そして、スプリング9が初期撓み量Lsiの位置から寸法a分だけ撓み変形して撓み量Lsaとなったときには、スプリング9の付勢力がばね荷重(Fka−W)となり、寸法b分だけ撓み変形して撓み量Lsbとなったときには、スプリング9の付勢力がばね荷重(Fkb−W)となる。
これにより、スプリング9のばね定数K1xを数7の式により仮演算することができる。そして、図9中に示す寸法a,bは、弁体7が全閉位置(初期撓み量Lsiの位置)から開弁方向に変位したときの変位量にそれぞれ相当するので、前記数7の式に表1中の変位量を代入することにより、ばね定数K1xを仮演算するものである。
次に、ステップ5では弁体7が全開位置まで駆動されたか否かを判定し、「NO」と判定する間は、ステップ2以降の処理を繰り返す。そして、表1に示すように弁体7の開度が、例えば99%となって実質的に全開したときには、ステップ6に移って第1のばね定数K1 を下記のように算定する。
ここで、前述したステップ2〜5にわたる処理は、本発明の構成要件である第1のサンプリング手段(第1のサンプリング工程)の具体例を示し、ステップ6が第1のばね定数算定手段を構成するものである。そして、ステップ6では、表1に示すように仮演算されたばね定数K1xを合計して、その平均値を第1のばね定数K1 (例えば、385.8N/mm)として算定する。
また、次なるステップ7では、弁体7を全開位置から徐々に閉弁方向に駆動する。即ち、図1に示すアクチュエータ10の圧力室14内に供給した圧縮空気の圧力を徐々に低下させることにより、スプリング9の付勢力によって可動ヨーク16を図1中の矢示A方向に移動させ、弁体7を閉弁方向に徐々に変位させる。
次に、ステップ8では、開度センサ26による弁体7の開度(%)と変位量を上記の表2に示すように読込み、圧力センサ40から圧力室14内の圧力P(空気圧)を読込む。また、ステップ8では、簡易軸力センサ25からの荷重検出信号により、その出力値Asxを下記の表3に示すように読込む。
そして、ステップ9では、弁体7を閉弁方向に駆動するときの弁体駆動力Fkx(支持板6に対して下向きに作用する空気圧による駆動力Fkx)と弁体7の開弁時にスプリング9に働く外力F(ばね荷重Fsxに対応する)とを、上記の数5,6式と同様に算出する。また、ステップ9では、弁体7を閉弁方向に変位させる途中でのスプリング9のばね定数K2xを、上記の数7式と同様に仮演算する。
次に、ステップ10では弁体7が全閉位置まで変位したか否かを判定し、「NO」と判定する間は、ステップ7以降の処理を繰り返す。そして、表2に示すように弁体7の開度が、例えば20%以下となって実質的に全閉したときには、ステップ11に移って第2のばね定数K2 を下記のように算定する。
ここで、前述したステップ7〜10にわたる処理は、本発明の構成要件である第2のサンプリング手段(第2のサンプリング工程)の具体例を示し、ステップ11が第2のばね定数算定手段を構成するものである。そして、ステップ11では、表2に示すように仮演算されたばね定数K2xを合計して、その平均値を第2のばね定数K2 (例えば、371.9N/mm)として算定する。
次に、ステップ12では、前述した弁体7を開弁方向に駆動している工程(第1のサンプリング工程)でのばね定数K1 と、弁体7を閉弁方向に駆動している工程(第2のサンプリング工程)でのばね定数K2 とを下記の数2式により平均演算し、第1のばね定数K1 と第2のばね定数K2 とのばらつきを吸収(相殺)した正規のばね定数Kを、例えば378.8(N/mm)として算定する。
また、ステップ12では、このばね定数Kに基づいてスプリング9の初期撓み量Lsiを、図9中に示す特性線から下記の数9式として求める。なお、可動部分の質量Wは、例えば3980N(ニュートン)となる既知の値である。
そして、数9式中の駆動力Fkaは、表1中に示す駆動力の数値をそれぞれ代入することにより求められ、寸法aは表1中に示す変位量の数値を代入することにより求められる。しかし、この場合の初期撓み量Lsiは、グランドパッキン23による動摩擦力Pfdの影響を受けた値(撓み量±Pfd分)として、表1に示すように算出される。
即ち、表1に示す第1のサンプリング工程では、弁体7を開弁方向に徐々に駆動している途中で駆動力、変位量等をサンプリングしているため、このときのサンプリング値を数9式に代入することにより求めた初期撓み量Lsiの算出値(撓み量±Pfd分)は、弁体7を開弁方向に駆動しているときのグランドパッキン23による動摩擦力Pfdの影響を受けた値となる。
また、表2に示す第2のサンプリング工程でも、弁体7を閉弁方向に徐々に駆動している途中で駆動力、変位量等をサンプリングしているため、このときのサンプリング値を数9式に代入することにより求めた初期撓み量Lsiの算出値(撓み量±Pfd分)も、弁体7を開弁方向に駆動しているときのグランドパッキン23による動摩擦力Pfdの影響を受けた値となる。
そこで、ステップ12の演算処理では、表1に示す第1のサンプリング工程での値(撓み量±Pfd分)を合計して、その平均値を第1の撓み量Ls1(例えば、67.5mm)として算定する。また、表2に示す第2のサンプリング工程での値(撓み量±Pfd分)を合計して、その平均値を第2の撓み量Ls2(例えば、56.7mm)として算定する。
そして、第1のサンプリング工程での撓み量Ls1と第2のサンプリング工程での撓み量Ls2とを下記の数10式により平均演算し、グランドパッキン23による動摩擦力Pfdの影響等を相殺したスプリング9の初期撓み量Lsiを、例えば62.1mmとして算定する。
また、グランドパッキン23による動摩擦力Pfdについては、第1のサンプリング工程での撓み量Ls1、第2のサンプリング工程での撓み量Ls2と、上記の数8式で求めたばね定数Kとを用いて下記の数11式により、例えば2045.52N(ニュートン)として算出することができる。
次に、ステップ13では、前述の如く算定したばね定数K(例えば、378.8N/mm)と初期撓み量Lsi(62.1mm)とにより、上記の数2式を用いて全閉時におけるばね荷重Fsiを、例えば23523N(即ち、Fsi ≒23523N)として算定するものである。
一方、次なるステップ14では、下記の表3に示すように弁体7を開弁方向に順次駆動する第1のサンプリング工程で、それぞれの開度(%)毎に簡易軸力センサ25の出力値Asxを順次サンプリングし、弁体7を閉弁方向に順次駆動する第2のサンプリング工程でも、それぞれの開度(%)毎に簡易軸力センサ25の出力値Asxを順次サンプリングする。
そして、第1,第2のサンプリング工程でサンプリングした簡易軸力センサ25の出力値Asxを、互いに開度(%)が近似した出力値毎にそれぞれ平均演算して両工程での中央値を求める(表3参照)。さらに、これらの中央値を合計して、その平均値である中間荷重を、例えば13.04として算定する。
これにより、弁体7が図7に例示したように中間開度にあるときには、簡易軸力センサ25の出力値Asxを、支持フレーム5の自重Wf (例えば、380Nとなる既知の値)に対応した検出値、例えば、13.04として取出すことができるものである。
また、このときの出力値Asx(中間荷重)は、弁体7を開弁方向と閉弁方向の双方に変位させつつ、簡易軸力センサ25の出力値Asxを順次サンプリングし、その平均値を中間荷重として算定している。これにより、例えばグランドパッキン23による動摩擦力の影響等をなくし、適正化した状態での信頼性の高い出力値Asx(例えば、13.04)として取出すことができる。
なお、表3における簡易軸力センサ25の出力値Asxは、弁体7が全閉位置にあるときに零(Asx=0)として出力されるものである。
次に、ステップ15では、簡易軸力センサ25の出力値Asxが零(Asx=0)となる弁体7の全閉位置と、簡易軸力センサ25の出力値Asxが中間荷重(例えば、13.04)として出力される弁体7の中間開度の位置とに基づき、弁ハウジング2の支持フレーム5に付加されるスラスト荷重の特性を、図10に示す特性線47の如く算定する。
ここで、弁体7が全閉位置にあるときに支持フレーム5には、上記の数1式によりスラスト荷重(Fsi−Wf )が作用し、このスラスト荷重(Fsi−Wf )は下記の数12式の如く求められる。
即ち、全閉時におけるばね荷重Fsiは、例えば23523Nとして前記ステップ13の処理により算定され、支持フレーム5の自重Wf は、例えば380Nとなる既知の値である。これにより、弁体7の全閉時におけるスラスト荷重(Fsi−Wf )は、例えば23143Nとして求められる。
但し、スラスト荷重(Fsi−Wf )は、図6に示すように簡易軸力センサ25の取付位置に対して上向きに作用する力(引張り荷重)であるから、圧縮方向の荷重に対してはプラス(+)の符号を付し、引張り方向の荷重に対してはマイナス(−)の符号を付すと、スラスト荷重(Fsi−Wf )は、−23143Nとなる。そして、簡易軸力センサ25の出力値Asxは、弁体7の全閉位置において零(Asx=0)となるので、このときの座標M1 (0,−23143)は、図10中に示すように表される。
一方、弁体7が図7に例示したように中間開度にあるときには、支持フレーム5の自重Wf (例えば、380N)のみが簡易軸力センサ25の取付位置に対して下向きに圧縮荷重となって作用するので、このときのスラスト荷重は自重Wf (Wf =+380N)である。
そして、簡易軸力センサ25の出力値Asxは、弁体7の中間開度位置において前述の検出値(例えば、Asx=13.04)となるので、このときの座標M2 (13.04,380)は、図10中に示すように表される。
この結果、弁ハウジング2の支持フレーム5に付加されるスラスト荷重の特性を、座標M1 と座標M2 とを結ぶ特性線47として図10に示す如く補正演算により算定することができる。そして、このようにステップ15でスラスト荷重の特性を算出した後には、ステップ16に移ってメインの処理動作(例えば、コントロールユニット43による前述した故障診断処理等)にリターンするものである。
かくして、本実施の形態によれば、弁ハウジング2の支持フレーム5に設けた簡易軸力センサ25に対し、実際にどのようなスラスト荷重(引張り荷重または圧縮荷重)が作用しているのかを、弁体7の全閉位置と中間開度の位置とでそれぞれ解析し、これに基づいて簡易軸力センサ25の出力値Asxに対する校正処理を図8に示すように行う構成としたものである。
これにより、簡易軸力センサ25の取付位置で支持フレーム5に働くスラスト荷重と簡易軸力センサ25の出力値Asxとの関係を、図10に示す特性線47のように補正演算により算定することができ、簡易軸力センサ25の出力値Asxを実際のスラスト荷重に関連付けた信頼性の高い検出値として校正することができる。
そして、このように校正処理を施した簡易軸力センサ25の出力値Asxを用いて、制御弁1を実際に稼働した状態でのグランドパッキン23の摺動抵抗値等を診断してみた。この結果、例えば弁軸22に軸力センサ(従来技術で用いた軸力センサ)を設けた場合に比較して、ほぼ同等に高い信頼性をもった診断結果が得られることが確認された。
次に、弁軸22に作用するスラスト荷重について検討する。この場合、図6に示すように弁体7を全閉位置としたときには、弁軸22に対してスプリング9のばね荷重Fsi(プリセット荷重)が下向きに作用し、弁軸22よりも上側に位置する可動部分の自重Wm (なお、この自重Wm は既知の値として求めることができる)が下向き作用する。一方、弁軸22には、弁体7の全閉位置においてグランドパッキン23の動摩擦力Pfdが上向きに作用していることが知られている。
ここで、前述したスプリング9のばね荷重Fsiは、図8中のステップ13の処理により求めることができる。そして、グランドパッキン23の動摩擦力Pfdについても、上記の数11式により求めることができ、可動部分の自重Wm は既知の値である。
このため、弁軸22に作用するスラスト荷重についても、前述したスプリング9のばね荷重Fsi、グランドパッキン23の動摩擦力Pfd、可動部分の自重Wm と、簡易軸力センサ25の出力値Asxとを用いて高い精度で検出することが可能となる。
従って、本実施の形態によれば、弁ハウジング2の支持フレーム5に簡易軸力センサ25を取付けることにより、支持フレーム5に働くスラスト荷重を高い信頼性をもって検出することができ、弁軸22に働くスラスト荷重についても支持フレーム5のスラスト荷重と同様な荷重として取出すことができる。
これにより、弁ハウジング2の支持フレーム5に設けた簡易軸力センサ25の検出値(荷重検出信号)から弁軸22に働くスラスト荷重を取出すことができ、例えば制御弁1の運転途中でもグランドパッキン23の摺動抵抗値によるシール性能等を判別することができる。そして、グランドパッキン23の締め代が適正であるか否かを判別することができ、グランドパッキン23に対する締付力の調整作業等を容易に行うことができる。
しかも、簡易軸力センサ25は、図1中に例示したように支持フレーム5の外側面に歪みゲージ等を貼付けることにより、弁ハウジング2に取付けることができるため、取付け時の作業性を大幅に向上することができる。そして、弁ハウジング2(弁箱3)の流入口3Aから流出口3Bへと流れる作動流体の熱影響等が簡易軸力センサ25に及ぶのを良好に抑えることができ、温度補償等の補正処理を簡略化することができる。
また、弁体7が全閉位置にあるときにスプリング9に付加されたばね荷重Fsiと、弁体7が中間開度にあるときの中間荷重(例えば、自重Wf )に対応した簡易軸力センサ25の出力値Asxとに基づいて、弁ハウジング2の支持フレーム5に付加されるスラスト荷重の特性を、図10中に示す特性線47のようにリニアな特性(比例関係をなす特性)として算定でき、支持フレーム5、弁軸22等に付加されるスラスト荷重を高い信頼性をもって取出すことができる。
さらに、弁体7を開弁方向に順次駆動する第1のサンプリング工程で弁体7の変位量、圧力室14内の圧力P、スプリング9に働く外力(弁体駆動力Fkx)および簡易軸力センサ25の出力値Asxを順次サンプリングし、弁体7を閉弁方向に順次駆動する第2のサンプリング工程でも、それぞれの検出値を順次サンプリングしている。
このため、適用対象の各制御弁1毎にバラツキ等が生じ易いスプリング9のばね定数Kと初期撓み量Lsiとを、それぞれの制御弁1毎に固有な特性をもった値として演算により求めることができる。そして、グランドパッキン23による動摩擦力Pfdの影響等を相殺した状態でのスプリング9の初期撓み量Lsiを算定することができ、この初期撓み量Lsiをばね定数Kに掛け算することにより、弁体7が全閉位置にあるときのスプリング9のばね荷重Fsiをより正確な荷重として求めることができる。
次に、図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、適用対象の制御弁を常開の正作動弁によって構成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は本実施の形態で採用した制御弁で、該制御弁51は、第1の実施の形態で述べた制御弁1とほぼ同様に構成されている。しかし、制御弁51は、常開の正作動弁として構成され、弁体7が後述のスプリング57により常時開弁方向に付勢されている。このため、正作動弁である制御弁51は、外部から給排する圧縮空気(圧力室14)を大気圧のレベルまで低下させたときに、弁体7はスプリング57により全開状態に保持されるものである。
52は制御弁1の外殻を構成する弁ハウジングで、該弁ハウジング52は、第1の実施の形態で述べた弁ハウジング2とほぼ同様に、弁箱3、弁体ガイド4および支持フレーム53により大略構成されている。また、支持フレーム53についても、第1の実施の形態で述べた支持フレーム5とほぼ同様に構成され、蓋部53A、軸挿通穴53Bおよびパッキン取付穴53C等が設けられている。
しかし、この支持フレーム53は、その上端側が後述の固定シェル60に固着され、支持板6は、支持フレーム53に対して後述の可動ヨーク61と共に上,下に相対移動する構成となっている。また、支持フレーム53内には、ねじ座54が固定して設けられ、該ねじ座54のねじ部54Aには、ばね受55が位置調整可能に螺合して設けられている。
56は弁体7から離間して支持フレーム53の他端側に設けられた弁開閉機構で、この弁開閉機構56は、第1の実施の形態で述べた弁開閉機構8とほぼ同様に、支持板6とばね受55との間に配設されたスプリング57と、後述する空気圧作動式のアクチュエータ58と、図3に例示したポジショナ27等とにより構成されている。しかし、この場合のスプリング57は、弁体7を常時開弁方向に付勢している点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
58は弁体7をスプリング57に抗して閉弁方向に駆動する空気圧(気体圧)作動式のアクチュエータで、該アクチュエータ58は、第1の実施の形態で述べたアクチュエータ10とほぼ同様に構成されている。しかし、このアクチュエータ58は、支持フレーム53の上端側に固定して設けられた上,下の固定シェル59,60を有している点で異なるものである。
そして、該固定シェル59,60間には、可動隔壁としてのダイヤフラム13が挟持して設けられ、上側の固定シェル59とダイヤフラム13との間には、圧力室14が画成されている。また、固定シェル59,60は、後述する可動ヨーク61上の支持板6をダイヤフラム13と共に上,下方向から取囲むように配設されている。
ここで、アクチュエータ58は、圧力室14内の空気圧が最小の圧力になっているときに、スプリング57により支持板6がダイヤフラム13と共に矢示B方向に付勢されるのを許し、これによって弁体7は図11に示す如く全開状態に保持される。
一方、アクチュエータ58は、給排口15から圧力室14内に操作空気圧が供給され、圧力室14内の容積を増大させたときに、この圧力室14内の空気圧により、支持板6、ダイヤフラム13を可動ヨーク61と共にスプリング57の付勢力に抗して矢示A方向に押動し、これによって弁体7を閉弁方向に駆動するものである。
61は支持フレーム53内に上,下動可能に設けられた可動枠体としての可動ヨークを示し、該可動ヨーク61は、第1の実施の形態で述べた可動ヨーク16とほぼ同様に有底の枠状体として形成され、スプリング57を径方向外側から覆う構成となっている。
しかし、可動ヨーク61には、底部61Aと反対側に位置する上端側に複数のガイド部61B,61B,…が設けられ、これらのガイド部61Bにより支持板6の下面側に固定されている。そして、これらのガイド部61Bは、支持フレーム53内で可動ヨーク61が矢示A,B方向に移動(上,下動)するのを固定シェル60を介してガイドするものである。
62,63は支持フレーム53,可動ヨーク61に設けられた工具挿入穴で、該工具挿入穴62,63には、ねじ座54のねじ部54Aに対するばね受55の螺合位置を変えるときに、例えばスパナ、レンチ等の工具が挿入されるものである。そして、ばね受55は、ねじ座54のねじ部54Aに対する螺合位置を変えることにより、スプリング57の付勢力を可変に調節するものである。
64は弁ハウジング52の支持フレーム53に設けられた荷重検出手段としての軸力センサ(以下、簡易軸力センサ64という)で、この簡易軸力センサ64は、第1の実施の形態で述べた簡易軸力センサ25と同様に構成され、支持フレーム53に付加されるスラスト荷重(例えば、引張り荷重または圧縮荷重)を検出するものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様に、簡易軸力センサ64から出力される荷重検出信号(出力値)を校正処理することにより、支持フレーム53、弁軸22等に付加されるスラスト荷重を高い信頼性をもって取出すことができる。
そして、正作動弁としての制御弁51にあっても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様に校正処理を行うことにより、簡易軸力センサ64の出力値Asxを、弁体7の開,閉弁動作等に応じて弁ハウジング52(支持フレーム53)に付加されるスラスト荷重(例えば、軸方向の引張り荷重と圧縮荷重)の特性として取出すことができる。
なお、前記実施の形態では、図8に示すステップ4の処理が、本発明の特徴事項である駆動力算出手段の具体例であり、ステップ2〜5にわたる処理が第1のサンプリング手段の具体例を示すものである。また、図8中のステップ7〜10にわたる処理が第2のサンプリング手段の具体例を示し、ステップ6,ステップ11〜15にわたる処理が補正演算手段の具体例を示すものである。
また、図8中のステップ6が第1のばね定数算定手段の具体例であり、ステップ11の処理が第2のばね定数算定手段の具体例であり、ステップ12,13の処理がばね荷重算定手段の具体例を示すものである。また、ステップ14の処理が中間荷重算定手段の具体例であり、ステップ15の処理が特性算出手段の具体例である。
また、前記実施の形態では、原子力発電所等で用いる制御弁1,51を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば石油化学コンビナート、化学プラントまたは精油所で用いる制御弁等、種々の流体の流れを制御する制御弁に対しても適用でき、グランドパッキンのシール性能等の診断を早期に行うことができるものである。
また、前記実施の形態では、弁箱3の流入口3Aから流出口3Bに向けて図2中の矢示C方向に給水が流れる制御弁1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図2に示す矢示C方向とは逆向きに流体が流れる構成としてもよいものである。