JP3779498B2 - 乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法 - Google Patents
乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エスカレータ等の乗客コンベアにおけるハンドレール用ドライブチェーンの交換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗客コンベアには、スプロケットに係合されてハンドレールを駆動するドライブチェーンが組み込まれている。このようなチェーンが経年劣化した場合、新規のものと交換しなければならないが、無端状のチェーンをスプロケットに対して係合解除する作業は容易ではないので、従来、特開平10−315151号公報に記載されているようなチェーン交換治具を使用することにより、交換作業の効率化を図るという技術が提案されている。
【0003】
かかるチェーン交換治具は、可撓性を有する矩形状の治具本体と、この治具本体の下面に設けられた歯ガイド部と、治具本体の上面に設けられたチェーンガイド部とを備えて構成される。そして、歯ガイド部により、スプロケットの歯部に沿って治具本体を移動させることができるとともに、チェーンガイド部により、スプロケットに係合しているチェーンに沿って治具本体を移動させることができるので、該交換治具を操作しながらチェーンをスプロケットから外すことが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平10−315151号公報記載のチェーン交換治具は、歯ガイド部をスプロケットの歯部に沿わせながら治具本体を移動させる作業に熟練を要するという難点があるため、不慣れな作業者が行うと極めて作業効率が悪く、それゆえ作業時間も長引きやすかった。
【0005】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、ドライブチェーンの交換作業が熟練者でなくとも簡単かつ短時間に行える、乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明は、駆動ローラと従動ローラとに挟圧されたハンドレールを駆動するためのドライブチェーンが、前記駆動ローラと同軸回転するスプロケットに係合されているとともに、取付位置が変更可能な張力調整用のアイドラスプロケットに係合されている乗客コンベアで、既設の前記ドライブチェーンを新規のものと取り替えるハンドレール用ドライブチェーンの交換方法において、既設ドライブチェーンの張力を除去する第1の作業を行った後、この既設ドライブチェーンを継手部で切断して該切断部位へ新規のドライブチェーンを連結する第2の作業を行い、次いで、ハンドレールを一方向へ移動させることにより駆動ローラを介してドライブチェーンを移動させる第3の作業を行い、しかる後、既設ドライブチェーンを取り外して新規のドライブチェーンを無端状に連結する第4の作業を行うようにした。
【0007】
このようにしてハンドレール用ドライブチェーンを交換すれば、既設ドライブチェーンを専用の治具を用いてスプロケットから外す等の煩雑な作業が必要なくなるので、熟練した作業者でなくとも容易にドライブチェーンの交換作業が行える。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるドライブチェーン交換方法の一実施形態例を図1および図2に基づいて説明する。ただし、図1は本実施形態例の作業工程を示すフローチャート、図2は本実施形態例に係るエスカレータのハンドレール駆動機構を示す概略構成図である。
【0009】
図2に示すエスカレータのハンドレール11は、スプロケット1Aを有する複数個の駆動ローラ1と、各駆動ローラ1に対向配置された回動自在な従動ローラ2とに挟圧されていて、各駆動ローラ1と同軸回転する各スプロケット1Aに無端状のドライブチェーン5が係合させてある。このドライブチェーン5は、駆動ローラ1群の下方で、張力調整用のアイドラスプロケット3と、ダブルスプロケット4の大径部4Aとに巻き掛けられている。アイドラスプロケット3を軸支している取付板3Aは、その長孔に挿通したボルト3Bの締結により固定されているので、取付板3Aの固定位置は上下方向に変更可能であり、それに伴いアイドラスプロケット3の取付位置も変更可能である。また、回動自在に支持されたカウンターシャフト6Aを回転軸とするスプロケット6の小径部6Bと、前記ダブルスプロケット4の小径部4Bとに、テンションチェーン7が巻き掛けられている。さらに、ターミナルギア8に係合して回転駆動力を伝達するメインチェーン10が、前記スプロケット6の大径部6Cやアイドラスプロケット9に巻き掛けられている。
【0010】
すなわち、図2において、ターミナルギア8が時計回りもしくは反時計回りに回転駆動されると、その動力がメインチェーン10やテンションチェーン7を介してドライブチェーン5に伝達されるので、各スプロケット1Aを介して各駆動ローラ1に駆動されるハンドレール11が左方向もしくは右方向に送られることとなり、所定方向へのハンドレール11の移動が可能となる。
【0011】
次に、上述したハンドレール駆動機構において、既設のドライブチェーン5を新規のものと交換する際の作業手順を、図1のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0012】
まず、ステップS1の事前作業として、作業スペースの確保や安全装置の動作確認などを行った後、本実施形態例ではステップS2〜S4で示す第1の作業を行う。この第1の作業では、ステップS2として、ボルト3Bの締結を解除し、アイドラスプロケット3の取付板3Aを前記長孔に沿って上方へ最大限移動した後、ボルト3Bを仮締めする。これにより、アイドラスプロケット3の近傍に既設ドライブチェーン5の緩み部が生じるので、ステップS3として、この緩み部を徐々に移動させていくことにより、ドライブチェーン5の継手部(図示せず)をダブルスプロケット4の近傍に位置させ、さらにステップS4として、ダブルスプロケット4の大径部4Aに巻き掛けられている既設ドライブチェーン5を取り外す。なお、ステップS4では張力が除去された状態のドライブチェーン5を大径部4Aから外せばよいので、その作業は容易である。
【0013】
この後、本実施形態例ではステップS5およびS6で示す第2の作業を行う。この第2の作業では、ステップS5として、既設ドライブチェーン5を前記継手部で切断して、その継手部を取り外し、次いでステップS6として、切断により生じた既設ドライブチェーン5の端部と、図示せぬ新規のドライブチェーンの端部とを、図示せぬ継手部にて連結する。
【0014】
次いで、本実施形態例ではステップS7で示す第3の作業を行う。この第3の作業では、連結したドライブチェーンを所定の経路に沿って移動させて、既設ドライブチェーン5を外しながら新規のドライブチェーンを各駆動ローラ1やアイドラスプロケット3に巻き掛けていく。かかるドライブチェーンの移動作業は、作業者がハンドレール11を一方向へ移動させることにより行える。すなわち、ハンドレール11を移動させると各駆動ローラ1が駆動されて回転するので、各スプロケット1Aに巻き掛けられているドライブチェーンも移動していき、その移動に伴いハンドレール駆動機構において既設ドライブチェーン5が次第に新規のドライブチェーンに入れ替わっていく。そして、所定の全経路にわたって新規のドライブチェーンに入れ替わった時点で、ハンドレール11を移動させる作業を停止する。
【0015】
しかる後、本実施形態例ではステップS8で示す第4の作業を行う。この第4の作業では、既設ドライブチェーン5の前記端部を新規のドライブチェーンから切り離し、継手部を介して新規のドライブチェーンを無端状に接続する。
【0016】
こうして第1〜第4の作業が終了したなら、ステップS9として、新規のドライブチェーンの緩み部をダブルスプロケット4の大径部4Aに巻き掛けて係合させる。そして、ステップS10として、この緩み部をアイドラスプロケット3の近傍まで移動させてから、ボルト3Bの仮締めを解除してアイドラスプロケット3の取付板3Aを前記長孔に沿って下方へ適宜移動させることにより、新規のドライブチェーンの緩みをなくして張力を調整する。最後に、ステップS11の確認作業として、前記事前作業(ステップS1)において外したり移動させてあった各部材を所定の位置へ復帰させるとともに、エスカレータを運転させて動作の点検を行い、正常に動作することを確認して全作業が終了する。
【0017】
このように本実施形態例は、既設ドライブチェーン5の張力を除去した後、新旧のドライブチェーンを連結してからハンドレール11を移動させることにより両ドライブチェーンの入れ替えを行うので、専用の治具を用いて既設ドライブチェーン5を各スプロケット1Aから外すという煩雑で熟練を要する作業が省略できる。そのため、ドライブチェーンの交換作業が容易になり、作業時間も大幅に短縮できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明による乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0019】
既設ドライブチェーンの張力を除去する第1の作業を行った後、この既設ドライブチェーンを継手部で切断して該切断部位へ新規のドライブチェーンを連結する第2の作業を行い、次いで、ハンドレールを一方向へ移動させることにより駆動ローラを介してドライブチェーンを移動させる第3の作業を行い、しかる後、既設ドライブチェーンを取り外して新規のドライブチェーンを無端状に連結する第4の作業を行うので、既設ドライブチェーンを専用の治具を用いてスプロケットから外す等の煩雑な作業が不要となる。それゆえ、熟練した作業者でなくとも簡単かつ短時間にドライブチェーンの交換作業が行える。また、前記第3の作業では、ハンドレールを一方向へ移動させることにより駆動ローラを介してドライブチェーンを移動させるので、良好な作業性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例の作業工程を示すフローチャートである。
【図2】本実施形態例に係るエスカレータのハンドレール駆動機構を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 駆動ローラ
1A スプロケット
2 従動ローラ
3 アイドラスプロケット
3A 取付板
3B ボルト
4 ダブルスプロケット
5 ドライブチェーン
7 テンションチェーン
8 ターミナルギア
10 メインチェーン
11 ハンドレール
Claims (1)
- 駆動ローラと従動ローラとに挟圧されたハンドレールを駆動するためのドライブチェーンが、前記駆動ローラと同軸回転するスプロケットに係合されているとともに、取付位置が変更可能な張力調整用のアイドラスプロケットに係合されている乗客コンベアで、既設の前記ドライブチェーンを新規のものと取り替えるハンドレール用ドライブチェーンの交換方法において、
既設ドライブチェーンの張力を除去する第1の作業を行った後、
この既設ドライブチェーンを継手部で切断して該切断部位へ新規のドライブチェーンを連結する第2の作業を行い、
次いで、ハンドレールを一方向へ移動させることにより前記駆動ローラを介してドライブチェーンを移動させる第3の作業を行い、
しかる後、既設ドライブチェーンを取り外して新規のドライブチェーンを無端状に連結する第4の作業を行うことを特徴とする乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法。
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JP19498799A JP3779498B2 (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP19498799A JP3779498B2 (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法 |
Publications (2)
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ID=16333667
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP19498799A Expired - Lifetime JP3779498B2 (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 乗客コンベアのハンドレール用ドライブチェーンの交換方法 |
Country Status (1)
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JP5342851B2 (ja) * | 2008-11-04 | 2013-11-13 | 四国化工機株式会社 | 搬送装置 |
-
1999
- 1999-07-08 JP JP19498799A patent/JP3779498B2/ja not_active Expired - Lifetime
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