JP3778814B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチスロ機、スロットマシン、パチンコ機、アミューズメントゲーム機等といった遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、遊技機としては、例えばパチスロ機やパチンコ機に代表されるように、メダルやパチンコ玉等といった遊技媒体の投入を条件に、遊技者に遊技を行わせ、その遊技の結果に応じて遊技媒体の払い戻しを行うものが広く知られている。例えば、パチスロ機であれば、遊技の結果が所定役に入賞すると、遊技媒体であるメダルを遊技者に対して払い戻す。
【0003】
このような遊技機において、遊技の結果は、その遊技機の遊技制御基板による制御下で決定される。遊技制御基板は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といった電子部品を搭載したもので、予めROM内に設定されている遊技入賞率に基づいて、遊技者による遊技機の操作内容を考慮しつつ、遊技の結果が入賞であるか否かを決定する。つまり、遊技者が遊技媒体のどの程度払い戻しを得るか否かは、主に、予め設定されている遊技入賞率の下で決まる。そのため、例えば遊技場の1日の営業時間内での総体的な遊技媒体の払い戻し率は、遊技者の技量に極端に左右されることなく、略一定に維持されることになる。
【0004】
このことから、遊技制御基板に対する不正行為(不正なROM交換等)については、これを防止する必要がある。遊技制御基板上のROM等を交換すると、予めの設定とは異なる遊技入賞率下での遊技が実現可能となってしまうからである。そのために、遊技制御基板は、通常、前面パネル部とこれを開閉自在に支持するキャビネット部とからなる遊技機の、前面パネル部を開けた状態からみてキャビネット部内の奥側に取り付けられている。しかも、遊技制御基板は、基板ケースに収容されてキャビネット部内に取り付けられるとともに、その基板ケースの封印紙による封印または特定部位のカシメ等により容易には取り出しできない状態とされる。
【0005】
ところで、遊技機は、上述したように予め設定された遊技入賞率に基づいて遊技の結果を決定するが、より一層遊技者の遊技に対する興趣を高めるべく、複数の遊技入賞率に選択的に対応可能であるものが殆どである。すなわち、遊技制御基板では、予め設定された複数の遊技入賞率(例えば6段階)の中から選択されたいずれか一つの遊技入賞率に基づいて、遊技者が行う遊技の結果の入賞有無を決定するようになっている。これにより、例えば遊技場に設置された複数の遊技機のうち、ある遊技機では他の遊技機より遊技者が多くの遊技媒体の払い戻しを得られるようにするといったことが可能となり、遊技者が遊技に対して高い興趣を抱くようになる。
【0006】
遊技入賞率の選択は、通常、遊技機の管理者(例えば遊技場の店員)によって行われる。そのために、遊技機では、前面パネル部を開けたキャビネット部内に、一つの遊技入賞率を選択するための操作手段として、段階設定キースイッチおよび段階設定ボタンスイッチを備えている。これらの段階設定キースイッチおよび段階設定ボタンスイッチは、管理者の操作容易性を考慮して、前面パネル部近傍で容易に管理者の手が届く位置に設けられている。そして、段階設定キースイッチおよび段階設定ボタンスイッチでの操作内容、すなわち遊技入賞率の選択結果を遊技制御基板へ通知すべく、これらの間がケーブルによって接続されている。
【0007】
このような段階設定キースイッチおよび段階設定ボタンスイッチを用いて遊技制御基板が基にする遊技入賞率を変更する際には、遊技機の管理者が、遊技機の前面パネル部を開けた状態で、段階設定キースイッチに所定のキーを挿入して操作しつつ、段階設定ボタンスイッチを操作する。つまり、管理者が段階設定キースイッチおよび段階設定ボタンスイッチを同時に操作すると、遊技入賞率の選択の変更が可能となる。いずれか一方のみを操作しても、遊技入賞率の選択を変更することはできない。同時操作を必要とするのは、遊技媒体の払い戻しに直接影響を与える遊技入賞率についてのものなので、変更可能となる条件を厳しく要求することによって、不正な操作を極力排除するためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の遊技機では、段階設定キースイッチおよび段階設定ボタンスイッチと遊技制御基板との間がケーブルによって接続されているので、そのケーブルへの細工により、遊技入賞率の選択が不正に変更されてしまうおそれがある。例えば、ケーブルを針金等の金属部材で不正にショートさせた場合には、遊技制御基板に誤って信号が通知されて、遊技入賞率の選択が変更されてしまう可能性がある。また、例えば、ケーブルの途中に無線機等を介在させ、その無線機等を用いて遠隔操作で遊技制御基板に不正な信号を送り、遊技入賞率の選択を不正に変更させたと行った事例も確認されている。
【0009】
そこで、本発明は、予め設定された複数の遊技入賞率の中からいずれか一つの遊技入賞率を選択可能に構成された遊技機であっても、その選択変更に関する不正行為を防止することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、遊技者が行う遊技の結果の入賞有無を決定するとともに、当該決定を予め設定された複数の遊技入賞率の中から選択された遊技入賞率に基づいて行う機能を有した遊技制御基板と、前記遊技制御基板を容易に取り出しできない状態で収容する基板ケースと、前記複数の遊技入賞率の中からいずれか一つの遊技入賞率を選択するために操作される複数の操作手段とを備え、前記複数の操作手段が全て同時に操作されると前記遊技制御基板の遊技入賞率の選択の変更が可能となるように構成された遊技機において、前記複数の操作手段のうちのいずれか一つは、前記基板ケースに装着され、前記複数の操作手段のうちのいずれか一つは、前記遊技制御基板が有する機能の動作状態を初期状態に戻すリセットスイッチと兼用したものであることを特徴とする。
【0011】
上記構成の遊技機によれば、遊技入賞率選択のために操作される複数の操作手段のうちのいずれか一つが基板ケースに装着されているので、そのいずれか一つの操作手段と遊技制御基板との間の接続は、基板ケースの外部に露出するケーブルによってなされることがない。そのため、そのいずれか一つの操作手段については、ケーブルへの不正な細工によって誤った信号を遊技制御基板へ送ってしまうことがない。つまり、操作手段の全てが同時に不正に操作されることがないので、遊技制御基板が基にする遊技入賞率の選択が不正に変更されることもない。しかも、いずれか一つの操作手段を基板ケースに装着すればよいので、他の操作手段を操作し易い箇所に配置することで、遊技入賞率の選択を変更する際の操作性悪化を極力抑えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る遊技機について説明する。ただし、ここでは、本発明をパチスロ機に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0013】
〔概略構成の説明〕
先ず、パチスロ機の構成について説明する。図1は、パチスロ機の一例の外観構成を示す正面図である。図例のように、パチスロ機1は、前面パネル部2と、これを開閉自在に支持する箱型のキャビネット部3とから構成される。
【0014】
前面パネル部2には、各リールの図柄を3コマ分ずつ表示可能な図柄表示窓21と、この図柄表示窓21の左側に位置するランプ部22a(1枚賭けランプ、2枚賭けランプ、3枚賭けランプ等)と、図柄表示窓21の右側に位置するランプ部22b(インサートメダルランプ、ウィンランプ、ボーナスゲームランプ、ビッグボーナスゲームランプ、ゲームオーバーランプ、リプレイランプ等)と、図柄表示窓21の下側に位置する表示部23(クレジット表示部、ペイアウト表示部、ボーナスゲーム回数表示部等)と、図柄表示窓21の上方に位置し各種画像表示により遊技の演出効果を高める液晶パネル部24と、遊技媒体であるメダルを投入するためのメダル投入口25と、遊技者が操作する操作ボタン(1枚ベットボタン26a、2枚ベットボタン26b、MAXベットボタン26c、スタートレバー27a、リール毎に設けられたストップボタン27b)と、メダルを排出するためのメダル払い出し口28aと、そのメダルが排出されるメダル受け皿28bと、が設けられている。また、前面パネル部2の裏側には、メダル投入口25に接続され、投入されたメダルの真偽や枚数を判別するメダル判別装置(ただし不図示)が設けられている。なお、図柄表示窓21の上方には、液晶パネル部24に代わって、例えばメカ機構の動作によって遊技の演出効果を高める、いわゆる役物装置が設けられていてもよい。
【0015】
図2は、パチスロ機の一例の内部構成を示す概略図である。キャビネット部3の内部には、外周面上に複数の図柄がプリントされた3個のリール31a〜31cと、多数枚(例えば200枚)のメダルを貯留可能なホッパ32を持つメダル払い出し装置33と、各種効果音を出力するスピーカ34と、各部への電源供給を行う電源ボックス35と、が組み込まれている。このうち、メダル払い出し装置33は、図示しないメダル払出モータおよびメダルブロッカーソレノイドの動作によって、ホッパ32内に貯留されたメダルを、1枚ずつ指示された枚数分だけ、メダル払い出し口28aに払い出すように構成されている。
【0016】
また、電源ボックス35には、詳細を後述するように、複数の遊技入賞率の中からいずれか一つの遊技入賞率を選択するための操作手段として、段階設定キースイッチ35aが装着されている。ただし、操作手段としては段階設定キースイッチ35aの他に段階設定ボタンスイッチが存在するが、電源ボックス35には段階設定キースイッチ35aのみが設けられている点で従来のもの(従来はいずれも電源ボックスに設けられている)とは異なる。なお、段階設定ボタンスイッチの設置位置については後述する。
【0017】
さらに、キャビネット部3内の上方側で、かつ、前面パネル部2を開けた状態からみてキャビネット部3内の奥側には、各リール31a〜31cの回転制御をはじめとした各種遊技制御を行うための遊技制御基板を収容する基板ケース4が取り付けられている。
【0018】
基板ケース4は、収容する遊技制御基板が外部から視認可能となるように、例えば透明樹脂材によって形成されたものである。そして、基板ケース4は、収容する遊技制御基板、特にその遊技制御基板上に搭載されたROMへの不正行為を防止するために、特定部位のカシメ等により遊技制御基板を容易には取り出しできない状態で、さらに詳しくは特定部位のカシメ等の破壊を伴わない限りその封止を解除し得ず、しかも封止を解除すると必ずその痕跡(カシメ部分の破壊痕)が残る状態で、その遊技制御基板を収容するようになっている。ただし、基板ケース4は、遊技制御基板を容易に取り出しできない状態で収容するものであれば、特定部位のカシメ等によるものではなく、封印紙の貼付に代表される他の封止方法によるものであっても構わない。
【0019】
また、基板ケース4には、複数の遊技入賞率の中からいずれか一つの遊技入賞率を選択するための操作手段として、段階設定ボタンスイッチ41が装着されている。装着位置は、前面パネル部2を開けた状態で操作する必要があるため、基板ケース4の前面パネル部2側の面上が考えられる。
【0020】
続いて、このような基板ケース4に収容される遊技制御基板について説明する。図3は、基板ケースに収容される遊技制御基板のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図例のように、遊技制御基板5上には、パチスロ機1全体の動作制御を行うためのCPU51と、そのCPU51が実行する所定プログラムを格納したROM52と、CPU51が所定プログラムを実行する際のワークエリアとして用いられるRAM53と、CPU51の動作に必要な基準クロック信号を生成するクロック発生回路54と、が配設されている。
【0021】
このうち、CPU51は、入力ポート55を介して、メダル投入口25へのメダル投入の有無や投入枚数等を検知するメダル投入センサ36aと、メダル払い出し装置33によるメダル払い出しの有無やその枚数等を検知するメダル払い出しセンサ36bと、ホッパ32へのメダル貯留状態(例えば満杯であるか、あるいは空であるか等)を検知するメダル満杯センサ36cと、各リール31a〜31cのインデックスセンサとして機能するリール位置検出センサ36dと接続しており、これらによってパチスロ機1の動作が正常であるか否か、すなわちエラー発生の有無を認識するようになっている。
【0022】
さらに、CPU51は、入力ポート55を介して、電源ボックス35に装着された段階設定キースイッチ35aおよび基板ケース4に装着された段階設定ボタンスイッチ41とも接続している。そして、これら段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41が、遊技場の店員等により同時に操作されると、CPU51は、後述するように遊技入賞率の選択の変更を行うようになっている。なお、段階設定ボタンスイッチ41は、CPU51の動作状態を初期状態に戻すリセットスイッチと兼用したものであってもよい。
【0023】
入力ポート55と段階設定キースイッチ35aとの間は、遊技制御基板5を収容する基板ケース4と電源ボックス35とが離れて設置されているため、従来と略同様にケーブルを介して接続される。一方、入力ポート55と段階設定ボタンスイッチ41との間の接続は、その段階設定ボタンスイッチ41が遊技制御基板5を収容する基板ケース4に装着されているため、基板ケース4の外部に露出するケーブルによってなされることがない。
【0024】
また、CPU51は、出力ポート56を介して、キャビネット部3内の各リール31a〜31cの駆動源となるリール駆動モータ(ステッピングモータ)37aと、メダル払い出し装置33の駆動源となるメダル払出モータ37bおよびメダルブロッカーソレノイド37cと接続しているとともに、前面パネル部2のランプ部22a,22bおよび表示部23とも接続している。これにより、CPU51は、各リール31a〜31c、メダル払い出し装置33、各ランプ部22a,22b等に対して動作指示を与えることができる。
【0025】
なお、遊技制御基板5上には、上述したCPU51等の他にも、CPU51が遊技結果決定の基になる内部抽選を行うために必要となる乱数を発生させる乱数発生回路57と、液晶パネル部24での画像表示等を制御する液晶サウンド基板6に必要に応じて各種情報を送出するデータ送出回路58と、そのデータ送出回路58による情報送出のタイミングを管理する送出タイミング制御回路59と、が配設されている。
【0026】
〔遊技の概要の説明〕
次に、以上のように構成されたパチスロ機1を使用した遊技の手順およびその際のパチスロ機1での動作の概要について説明する。なお、以下に説明する処理動作は、主に、CPU51がROM52内の所定プログラムを実行することによって実現される。
【0027】
パチスロ機1を使用して遊技する場合、遊技者は、先ず、メダル投入口25にメダルを投入する。このとき、前面パネル部2では、遊技者にメダル投入を促すべく、ランプ部22bのインサートメダルランプが点灯している。
【0028】
メダルの投入があると、メダル投入口25に接続するメダル判別装置は、投入されたメダルが有効なものであるか否かを判別する。そして、メダル判別装置で所定の条件に照らし合格と判別されたメダルは、有効なメダルとしてカウントされ、ホッパ32へと送られる。一方、不合格のメダルは、カウントされずにメダル払い出し口28aから返却される。
【0029】
有効なメダルがカウントされると、そのことを認識したCPU51は、メダルのカウント枚数に応じて、前面パネル部2のランプ部22aを点灯させる。例えば、カウント枚数が1枚であれば、1枚賭けランプを点灯させ、賭数が1枚に設定されたことを遊技者に報知する。カウント枚数が2枚であれば、1枚賭けランプおよび2枚賭けランプを点灯させ、賭数が2枚に設定されたことを遊技者に報知する。カウント枚数が3枚であれば、1枚賭けランプ、2枚賭けランプおよび3枚賭けランプを全て点灯させ、賭数が3枚に設定されたことを遊技者に報知する。このように、ランプ部22aは、3個のリール31a〜31c上における有効ラインを表示する役割も兼ねている。
【0030】
また、カウント枚数が4枚以上であれば、CPU51は、3枚を超えた枚数分を前面パネル部2の表示部23のうちのクレジット表示部にデジタル表示させる。クレジット表示部による表示(クレジット表示)は、メダルの投入毎に1ずつ加算更新される。なお、クレジット数が予め設定された制限数(例えば50)に達した等の理由によって、インサートメダルランプが消灯しているときにメダル投入があると、そのメダルはカウントされずにメダル払い出し口28aから返却される。
【0031】
ところで、クレジット表示部の表示が既に1以上となっている場合には、遊技者は、新たにメダルを投入しなくても、ベットボタン26a〜26cを押下することによって、パチスロ機1を使用して遊技することが可能である。すなわち、クレジット表示部25aの表示が1以上となっている場合に、1枚ベットボタン26aの押下があると、CPU51は、クレジット表示を1減算更新させるとともに、1枚賭けランプを点灯させる。さらに、減算更新後のクレジット表示が0でなければ、1枚ベットボタン26aの押下の度に、2枚賭けランプおよび3枚賭けランプを順次点灯させる。また、クレジット表示部の表示が2以上となっている場合に、2枚ベットボタン26bが1回押下されると、CPU51は、クレジット表示を2減算更新させるとともに、2枚賭けランプを点灯させる。また、クレジット表示部の表示が3以上であれば、MAXベットボタン26cの押下に応じて、CPU51は、ランプ部22aを全て点灯させ、賭数を3枚に設定する。このように、賭数の設定は、メダル投入のみならず、ベットボタン26a〜26cの押下によって行うことも可能である。
【0032】
なお、メダル投入口25へのメダル投入、または、1枚ベットボタン26a、2枚ベットボタン26b若しくはMAXベットボタン26cの押下があると、スピーカ34からは、そのメダル投入毎またはボタン押下毎に、効果音が出力される。
【0033】
メダル投入毎またはボタン押下による賭数の設定後、遊技者が遊技開始を要求するためスタートレバー27aを操作すると、CPU41は、リール駆動モータ37aに動作指示を与えて3個のリール31a〜31cを回転させ、図柄の可変表示を開始する。このときも、スピーカ34からはスタートレバー27aの操作に対応して効果音が出力される。
【0034】
また、スタートレバー27aの操作があると、CPU51は、遊技結果決定の基になる内部抽選を行う。内部抽選とは、遊技の結果をどうするか、すなわち遊技の当選役をどの当選役にするかを、その遊技が終了するのに先立って、パチスロ機1の内部で抽選することをいう。
【0035】
CPU51では、このような内部抽選を、乱数発生回路57が発生する乱数を利用して行う。つまり、CPU51は、スタートレバー27aの操作(遊技の開始)があると、乱数発生回路57が発生する乱数と、予め乱数値と当選役の数値範囲との対応関係が記述された当選判定テーブルに基づいて、発生した乱数がどの数値範囲に属するかを判断する。このようにして、CPU51は、発生した当選判定用乱数から導かれる当選役の特定を行う。
【0036】
このとき、当選役決定の基になる当選判定テーブルには、複数の当選役それぞれについての数値範囲が規定されているが、その数値範囲の大きさが当選役毎に異なっており、これにより各当選役に対する当選確率に差が生じている。例えば、詳細を後述する当選役の1つである「ビッグボーナス」に関する数値範囲は小さいのでその当選確率が低いが、「はずれ」に関する数値範囲は大きいのでその当選確率が高い、といった具合である。
【0037】
また、当選役決定の基になる当選判定テーブルは、「ビッグボーナス」を始めとする「当たり」に関する数値範囲と「はずれ」に関する数値範囲との割合が異なるもの、すなわち遊技入賞率の異なるものが複数(例えば6段階)存在している。例えば、遊技入賞率の高い当選判定テーブルでは、数値範囲の全体のうち、「当たり」に関する数値範囲が大きいのに対し、遊技入賞率の低い当選判定テーブルでは、数値範囲の全体のうちで「はずれ」に関する数値範囲が大きい、といった具合である。
【0038】
これら遊技入賞率の異なる複数の当選判定テーブルについては、そのうちのいずれか1つが、段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41の同時操作により選択されている。そして、CPU51は、その選択された当選判定テーブルを用いて、内部抽選を行うことになる。したがって、遊技入賞率の高い当選判定テーブルが選択されていれば、内部抽選の結果が「当たり」にヒットする確率が比較的高くなるが、遊技入賞率の低い当選判定テーブルが選択されていると、内部抽選の結果が「当たり」にヒットする確率が比較的低くなる。
【0039】
その後、遊技者がストップボタン27bを押下すると、CPU41は、各ストップボタン27bに対応するリール31a〜31cをそれぞれ個別に停止させる。ただし、遊技者がストップボタン27bを押下しない場合には、所定時間の経過後に各リール31a〜31cを自動的に停止させる。なお、これに合わせて、スピーカ34からは、リール31a〜31cの回転開始時と同様に、効果音が出力される。
【0040】
このとき、CPU41は、各リール31a〜31cを停止させるのにあたって、各リール31a〜31cの引き込み制御を行う。引き込み制御とは、内部抽選の結果に沿うように、各リール31a〜31cの停止タイミングを制御することをいう。
【0041】
例えば、ストップボタン27bの押下に応じて各リール31a〜31cを停止させる場合であれば、CPU51は、そのストップボタン27bの押下から所定時間(例えば190msec)以内に各リール31a〜31cを停止させるが、その停止までの時間が必ずしも一律ではなく、所定時間の範囲内で内部抽選の結果に沿うように停止図柄を調整する。これにより、例えば最大で4コマ分だけ各リール31a〜31cの停止位置を調整できるので、内部抽選の結果が「はずれ」であれば、遊技者が「当たり」を発生させるタイミングでストップボタン27bを押下しても、入賞判定ライン上に図柄が揃わないようにする。一方、内部抽選の結果が「当たり」であれば、入賞判定ライン上に該当する図柄が揃うように各リール31a〜31cを停止させる。
【0042】
このような各リール31a〜31cの引き込み制御は、各リール31a〜31cを駆動するリール駆動モータ37aが、ステッピングモータからなるので実現可能となる。つまり、CPU41は、リール駆動モータ37aに対するパルス制御およびリール位置検出センサ36dによる検知結果を通じて、各リール31a〜31cの入賞判定ライン上における表示図柄を常に把握することができるので、上述したような引き込み制御を行うことができる。
【0043】
全てのリール31a〜31cが止まると、CPU51は、一遊技を終了するとともに、そのときの図柄表示窓21の有効ライン(入賞判定ライン)上に揃った図柄の組み合わせを予め定められた「当選役」と比較し、遊技の結果、すなわち入賞の有無を判定する。このとき、賭数が1枚であれば、図柄表示窓21に表示される中段の横1列が入賞判定ラインとなる。また、賭数が2枚であれば、図柄表示窓21に表示される上段、中段、下段の横3列が入賞判定ラインとなる。また、賭数が3枚であれば、図柄表示窓21に表示される横3列と斜め対角線上2列の合計5列が入賞判定ラインとなる。
【0044】
遊技結果には、大別すると、「当たり」と「はずれ」と「再遊技」がある。また、「当たり」の例としては、「小当たり(小役入賞)」と「中当たり(レギュラーボーナス入賞)」と「大当たり(ビッグボーナス入賞)」がある。
【0045】
遊技結果が「当たり」であると、CPU51は、いずれの場合も、所定枚数分だけ、クレジット表示の加算またはメダル払い出し口28aからのメダル払い出しを行うように、表示部23、メダル払出モータ37b、メダルブロッカーソレノイド37c等に動作指示を与える。また、メダル払い出し口28aからのメダル返却に合わせて、スピーカ34からは、効果音が出力される。
【0046】
さらに詳しくは、遊技結果が「当たり」のうちの「小役入賞」であれば、入賞判定ライン上に揃った小役図柄に応じて予め定められた枚数(例えば2枚〜15枚)分だけ、クレジット加算またはメダル返却が行われる。この場合、遊技者には、前面パネル部2におけるランプ部22bのウィンランプの点灯によって、遊技結果が小役入賞であることが報知される。さらには、表示部23のうちのペイアウト表示部によるデジタル表示によって、メダルの払い出し枚数が報知される。
【0047】
また、レギュラーボーナス図柄(例えば「BAR」の図柄)が入賞判定ライン上に揃った場合であれば、遊技結果は、「当たり」の中の「レギュラーボーナス入賞」となり、所定枚数(例えば15枚)のメダル払い出しに加えて、次以降の遊技を「レギュラーボーナスゲーム」と呼ばれる遊技として行うことが可能となる。この場合、遊技者には、前面パネル部2におけるランプ部22bのボーナスゲームランプの点灯によって、遊技結果がレギュラーボーナス入賞であることが報知される。
【0048】
レギュラーボーナスゲーム時には、遊技者にとって有利な遊技状態が、レギュラーボーナス入賞の次遊技から後述する終了条件が満了するまで続く。レギュラーボーナスゲームでは、遊技毎の賭数が1枚しか認められないが、入賞判定ライン上に所定図柄(例えば「JAC」の図柄)を揃えることにより(以下、これを「JAC入賞」という)、所定枚数(例えば15枚)のメダル払い出しが得られる。
【0049】
そして、レギュラーボーナスゲームは、所定遊技数(例えば最大12回)が終了するか、またはJAC入賞が所定回数(例えば8回)発生すると、終了条件が満了したとして、通常の遊技状態に戻る。なお、このレギュラーボーナスゲーム期間中は、前面パネル部2の表示部23のうちのボーナスゲーム回数表示部によるデジタル表示によって、JAC入賞の獲得可能回数が報知される。この報知は、JAC入賞の獲得可能回数であることから、JAC入賞が発生する度に、そのデジタル表示が減算される。
【0050】
また、ビッグボーナス図柄(例えば「7」の図柄)が入賞判定ライン上に揃った場合であれば、遊技結果は、「当たり」の中の「ビッグボーナス入賞」となり、所定枚数(例えば15枚)のメダル払い出しに加えて、次以降の遊技を「ビッグボーナスゲーム」と呼ばれる遊技として行うことが可能となる。この場合、遊技者には、前面パネル部2におけるランプ部22bのビッグボーナスゲームランプの点灯によって、遊技結果がビッグボーナス入賞であることが報知される。
【0051】
ビッグボーナスゲーム時には、遊技者にとってレギュラーボーナスゲーム時よりも一層有利な遊技状態が、ビッグボーナス入賞の次遊技から後述する終了条件が満了するまで続く。ビッグボーナスゲームでは、通常の遊技の場合と同様に小役入賞またはレギュラーボーナス入賞の発生によってメダル払い出しが得られるが、その入賞確率が通常よりも高くなる。
【0052】
そして、所定遊技数(例えば最大30回)が終了するか、またはレギュラーボーナス入賞が所定回数(例えば3回)発生すると、終了条件が満了したとして、ビッグボーナスゲームは終了し、通常の遊技状態に戻る。なお、このビッグボーナスゲーム期間中(ビッグボーナスゲーム期間中におけるレギュラーボーナスゲーム時を除く)にも、表示部23のうちのボーナスゲーム回数表示部によるデジタル表示によって、残り遊技回数が報知される。この報知は、ビッグボーナスゲームの残り遊技回数であることから、そのビッグボーナスゲーム期間中の各遊技が終了する度に、そのデジタル表示が減算される。
【0053】
以上に説明した「当たり」の場合とは異なり、入賞判定ライン上に当選図柄が全く揃わなかった場合には、CPU51は、遊技結果が「はずれ」であると判定し、遊技者に対して何らの遊技上の特典も与えない。
【0054】
また、入賞判定ライン上に揃った図柄が再遊技図柄であると、CPU51は、遊技結果がいわゆる引き分けに相当する「再遊技」であると判定し、メダルの払い出しは行わないが、遊技者が新たなメダルの投入またはベット操作を行わずに再び遊技を行うことを可能にする。この場合、遊技結果が再遊技である旨は、前面パネル部2におけるランプ部22bのリプレイランプの点灯によって遊技者に報知される。
【0055】
このようにして、一遊技が終了し、遊技結果が決定し、その遊技結果が報知されると、遊技者は、報知された遊技結果に対応しつつ、引き続き次の遊技を行うことになる。ただし、遊技結果の報知等は、必ずしも上述した態様に限られるものではなく、ランプ部22bの点滅やスピーカ34からの効果音の出力等と組み合わせて行うようにしてもよいことはいうまでもない。
【0056】
〔遊技入賞率の変更処理の説明〕
ところで、パチスロ機1では、以上のような一連の処理によって遊技者に遊技を行わせるが、その遊技者がどの程度メダルの払い戻しを得るかは、CPU51が基にする当選判定テーブルにおける遊技入賞率によって決まる。そして、その当選判定テーブルは、予め設定された遊技入賞率の異なる複数の当選判定テーブルの中からいずれか一つを選択することが可能である。したがって、パチスロ機1では、例えば遊技場の店員が必要に応じて当選判定テーブルの選択を適宜変更し、遊技者の遊技に対する趣向を高めるといったことが行われる。
【0057】
当選判定テーブルの選択の変更は、段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41を用いて行われる。すなわち、パチスロ機1の前面パネル部2が開いた状態で、段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41が、遊技場の店員等により同時に操作されると、CPU51は、当選判定テーブルの選択の変更処理を行う。
【0058】
具体的には、例えば段階設定キースイッチ35aに所定のキーが挿入されて操作(例えばキーの回動操作)された状態で、電源ボックス35での電源投入があると、CPU51は、当選判定テーブルの選択変更を可能にする。そして、段階設定キースイッチ35aが操作されたまま、段階設定ボタンスイッチ41が操作(例えばボタンの押下操作)されると、CPU51は、当選判定テーブルの選択を変更する。例えば、No.1〜No.6の計6段階の当選判定テーブルが設定されている場合であれば、CPU51は、段階設定ボタンスイッチ41が操作される度に、当選判定テーブルをNo.1からNo.6まで順に変更する。そして、No.6の次は再びNo.1に戻る。このとき、選択された状態にある当選判定テーブルのナンバーは、例えば前面パネル部2の表示部23に表示される。したがって、遊技場の店員等は、段階設定キースイッチ35aと段階設定ボタンスイッチ41との同時操作によって、予め設定された6段階の中から所望する当選判定テーブルを選択することが可能となる。その後、遊技場の店員等により、当選判定テーブルの変更可能状態を脱出するための所定操作(例えば、スタートレバー27aの操作)があると、CPU51は、その時点で選択された状態にある当選判定テーブルを基に、それ以降の一連の遊技処理を行うことになる。なお、CPU51による各当選判定テーブルの管理については、フラグ管理に代表される周知技術を用いて行えばよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0059】
このように、遊技入賞率の異なる各当選判定テーブルの選択の変更は、段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41が同時に操作された場合に限り、行うことが可能である。ただし、これら段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41のうち、段階設定ボタンスイッチ41は基板ケース4に装着されている。つまり、段階設定ボタンスイッチ41と遊技制御基板5との間の接続は、基板ケース4の外部に露出するケーブルによってなされることがない。
【0060】
したがって、段階設定ボタンスイッチ41と遊技制御基板5との間については、不正行為を目的とするケーブルへの細工等が非常に困難になる。また、仮にケーブルへの細工(無線機の介在等)があっても、基板ケース4が透明樹脂材によって形成されているので、そのことが外部から容易に視認可能となる。これらのことから、段階設定ボタンスイッチ41については、ケーブル細工等の不正行為によって、遊技制御基板5に対して誤った信号を送ってしまうことを、有効に防止することができるといえる。
【0061】
段階設定ボタンスイッチ41についての不正行為を防止できれば、当選判定テーブルの選択を変更するための操作手段となる段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41の全てが同時に不正に操作されることもない。これは、段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41が同時に操作された場合に限り、すなわち双方からの信号の論理積(AND)を条件に、CPU51が当選判定テーブルの選択の変更を行うからである。
【0062】
これにより、段階設定キースイッチ35aと遊技制御基板5との間の接続が基板ケース4の外部に露出するケーブルによってなされ、そのケーブルに対して不正行為を目的とする細工等が可能であっても、当選判定テーブルの選択、すなわち遊技制御基板5が基にする遊技入賞率の選択が、不正に変更されてしまうことがない。しかも、段階設定ボタンスイッチ41のみを基板ケース4に装着すればよいので、段階設定キースイッチ35aについては例えば段階設定キースイッチ35aといったキャビネット部3内の操作し易い箇所に配置することができ、遊技入賞率の選択を変更する際の操作性悪化を極力抑えられる。
【0063】
以上のように、本実施形態で説明したパチスロ機1によれば、予め設定された複数の遊技入賞率の中からいずれか一つの遊技入賞率を選択可能に構成されていても、その選択を行うために同時に操作される複数の操作手段のうちの一つである段階設定ボタンスイッチ41が、遊技制御基板5を収容する基板ケース4に装着されているので、その選択変更に関する不正行為を有効に防止することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、段階設定ボタンスイッチ41が基板ケース4に装着されている場合を例に挙げて説明したが、段階設定ボタンスイッチ41ではなく、段階設定キースイッチ35aが基板ケース4に装着されていてもよいことは勿論である。また、段階設定キースイッチ35aおよび段階設定ボタンスイッチ41の双方がいずれも基板ケース4に装着されていても構わない。つまり、遊技入賞率の選択を行うために同時に操作される複数の操作手段(三つ以上の場合も考えられる)のうち、少なくとも一つが基板ケース4に装着されていればよい。
【0065】
また、不正な操作を極力排除する観点からは好ましくないが、一つのみの操作手段で遊技入賞率の選択の変更が可能となるように構成された場合には、その操作手段を基板ケース4に装着して、不正行為の排除を図るようにすることが考えられる。
【0066】
さらに、本実施形態では、本発明をパチスロ機に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技入賞率の選択を反抗可能なものであれば、スロットマシン、パチンコ機、アミューズメントゲーム機等といった他の遊技機であっても、全く同様に適用することが可能である。
【0067】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る遊技機では、予め設定された複数の遊技入賞率の中からいずれか一つの遊技入賞率を選択可能に構成されていても、その選択を行うために同時に操作される複数の操作手段のうちのいずれか一つが基板ケースに装着されている。そのため、その一つの操作手段と基板ケースに収容される遊技制御基板との間がケース外に露出するケーブルによってなされることがなく、操作手段の全てが同時に不正に操作されることがなくなり、遊技入賞率の選択変更に関する不正行為を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遊技機の一例の外観構成を示す正面図である。
【図2】本発明に係る遊技機の一例の内部構成を示す概略図である。
【図3】本発明に係る遊技機における遊技制御基板のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…パチスロ機、4…遊技機用基板ケース、5…遊技制御基板、35a…段階設定キースイッチ、41…段階設定ボタンスイッチ、51…CPU、52…ROM
Claims (2)
- 遊技者が行う遊技の結果の入賞有無を決定するとともに、当該決定を予め設定された複数の遊技入賞率の中から選択された遊技入賞率に基づいて行う機能を有した遊技制御基板と、
前記遊技制御基板を容易に取り出しできない状態で収容する基板ケースと、
前記複数の遊技入賞率の中からいずれか一つの遊技入賞率を選択するために操作される複数の操作手段とを備え、
前記複数の操作手段が全て同時に操作されると前記遊技制御基板の遊技入賞率の選択の変更が可能となるように構成された遊技機において、
前記複数の操作手段のうちのいずれか一つは、前記基板ケースに装着され、
前記複数の操作手段のうちのいずれか一つは、前記遊技制御基板が有する機能の動作状態を初期状態に戻すリセットスイッチと兼用したものである
ことを特徴とする遊技機。 - 前記複数の操作手段には、段階設定キースイッチおよび段階設定ボタンスイッチを含み、
前記段階設定キースイッチは、前記基板ケースと離れて設置されている電源ボックスに装着され、
前記段階設定ボタンスイッチが、前記基板ケースに装着され、かつ、前記リセットスイッチと兼用したものである
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
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