JP3778121B2 - 感熱記録紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用し、熱により記録像を得るようにした感熱記録紙はよく知られている。このような感熱記録紙は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトでかつその保守も容易なため、ファクシミリや各種計算機等のアウトプット、科学計測機器のプリンター等の記録媒体としてだけでなくPOSラベル、ATM、CAD、ハンディーターミナル、各種チケット用紙などの各種プリンターの記録媒体として広範囲に使用されている。
【0003】
感熱記録紙の用途拡大に伴ない、古紙パルプを含有する紙支持体を用いた感熱記録紙の要望が強まっているが、古紙パルプを含有する紙支持体を用いると、例えば印刷された古紙から脱墨処理などして古紙パルプを製造する際に使用されるノニオン系などの界面活性剤の影響により、記録部の濃度が経時的に低下する問題がある。
【0004】
ところで、国際特許公報WO00/14058号公報および国際特許公報WO00/35679号公報には記録部の耐薬品性に優れた呈色剤として、それぞれに4,4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、またはN−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアなどのウレタン系化合物を用いた感熱記録体が記載され、また古紙パルプを含有する紙支持体を用いた感熱記録紙が特開平4-12892号公報、特開平4-78572号公報に記載されている。
【0005】
しかし、4,4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンまたはN−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアと、他の呈色剤とを併用すると経時的に地肌カブリが発生し、また、古紙パルプを含有する紙支持体を使用すると記録部の濃度が経時的に低下する問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐地肌カブリ性に優れ、しかも記録部の保存性に優れた感熱記録紙を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
古紙パルプを含有する紙支持体上に、ロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録紙において、上記課題を解決するための一つの手段として、感熱記録層中に4,4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンを含有させ、呈色剤としてN−p−トルエンスルホニル−N ' −3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアが含有させるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
古紙パルプを含有する紙支持体上に、ロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録紙において、感熱記録層中に4,4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン(以下、特定の化合物と称する)を含有させることにより、古紙パルプを製造する際に使用されるノニオン系界面活性剤による記録部の濃度低下が少なく、かつ耐地肌カブリ性に優れた格別の効果が得られる。
【0009】
感熱記録層中に含有される特定の化合物の使用比率としては特に限定されないが、好ましくは感熱記録層に対して2〜30重量%程度、より好ましくは3〜20重量%程度である。
【0010】
紙支持体中の古紙パルプの含有比率としては、紙支持体に対して20〜95重量%程度が好ましい。古紙の含有比率が20重量%未満になると記録後の耐巻癖カール性(巻癖カールの少ない特性)が著しく低下し、95重量%を越えると紙支持体の引裂強さが低下して感熱記録紙を紙幅40〜70mm程度の小巻取状に加工され難い恐れがあり、40〜80重量%程度がより好ましい。
【0011】
古紙パルプの原料としては、例えば雑誌、チラシ、新聞紙、ノーカーボン紙、複写紙などの印刷された古紙を主体とし、さらに紙製造中に発生する上質紙、コート紙などの損紙が含まれていてもよい。
【0012】
古紙パルプは、一般には古紙、および損紙を低濃度パルパーまたは高濃度パルパーによる離解工程、スクリーンまたはクリーナーによる粗選工程と精選工程、浮選法または水洗法による脱墨工程、塩素漂白、二酸化塩素漂白、次亜塩素酸ソーダ漂白、酸素漂白などによる漂白工程などを適宜、組み合せることにより得られる。
【0013】
紙支持体は、古紙パルプ、および必要により木材パルプを主体として非木材パルプ、合成パルプ、無機繊維等の抄紙用パルプ繊維が用いられ、例えば叩解度がカナディアン・スタンダード・フリーネス(以下CSFとする)で150〜500ml程度のパルプスラリーを抄紙することにより得られる。
【0014】
特に、古紙パルプ製造時における脱墨工程中に使用されるノニオン系界面活性剤が、感熱記録紙に対して1.0×10−3〜1.0×10−1重量%含有されることにより、耐地肌カブリ性と記録部の経時的保存性により優れた効果が得られる。
【0015】
更に、紙支持体中には、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、アルミノ珪酸塩、シリカ、ベントナイト等の無機系填料やポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、および熱膨張性微小中空微粒子やその他有機填料が適宜含有される。
【0016】
パルプスラリー中には、ロジン系、石油樹脂系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系および無水ステアリン酸系などのサイズ剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、または両性のポリアクリルアミド重合体、ポリエチレンイミンおよびその誘導体、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミンおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、植物ガム、ポリビニルアルコール、カチオン系ラテックス、カチオン系尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂等の有機系化合物、さらに染料、pH調整剤、ピッチコントロール剤、消泡剤等を必要に応じて適宜添加することができる。
【0017】
抄紙方法は、酸性抄紙または中性抄紙により、長網、円網、各種のツインワイヤー等通常の抄紙機で抄紙される。乾燥工程にはシリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、エアドライヤー等の方法が使用できる。また、その表面上にサイズプレス等の方法で、表面サイズ剤、表面紙力剤、帯電防止剤、染料等を適宜塗布したものであってもよく、またキャレンダー掛けにより表面の平滑度を上げてから支持体として使用してもよい。
【0018】
ロイコ染料および呈色剤としては、各種公知のものが使用でき、ロイコ染料の具体例としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン等の青発色性染料、
【0019】
3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン等の緑発色性染料、
【0020】
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、ローダミン(o−クロロアニリノ)ラクタム、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン等の赤発色性染料、
【0021】
3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等の黒発色性染料、
【0022】
3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等の近赤外領域に吸収波長を有する染料などが挙げられる。
【0023】
勿論、これらに限定されるものではなく、また二種以上を併用することもできる。また、ロイコ染料の使用量は、使用する呈色剤により異なるため限定できないが、0.1g/m〜1.0g/m程度である。
【0024】
呈色剤の具体例としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンなどのフェノール性化合物、N−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルルボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内にウレア結合を有する化合物、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩化合物等が挙げられる。
【0025】
なかでも、N−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアと特定の化合物を併用することにより、記録感度、耐地肌カブリ性および耐薬品性に優れた効果が得られる。
【0026】
特に、特定の化合物に対してN−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアが100〜500重量%程度使用するのが好ましい。
【0027】
ロイコ染料と呈色剤との使用比率は、用いるロイコ染料や呈色剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、特に限定するものではないが、一般にロイコ染料1重量部に対して1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部程度の呈色剤が使用される。
【0028】
感熱記録層には、記録像の保存安定性を高めるために特定の化合物が含有されるが、更に他の保存性改良剤、および記録感度を高めるために増感剤を含有させることもできる。
【0029】
他の保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0030】
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
【0031】
他の保存性改良剤および増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に呈色剤1重量部に対してそれぞれ0.1〜4重量部程度で調節するのが望ましい。
【0032】
感熱記録層は、一般に水を分散媒体とし、ロイコ染料、呈色剤、特定の化合物必要により増感剤などを共に、或いは別々にボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機により平均粒子径が2μm以下となるように微粉砕した後、接着剤を添加して調製された感熱記録層用塗液を紙支持体の一方の面に乾燥後の塗布量が3〜10g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。
【0033】
感熱記録層用塗液に添加される接着剤の具体例としては、例えばメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性接着剤、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス等の水分散性接着剤が挙げられる。
【0034】
接着剤の使用量としては感熱記録層用塗液の全固形量に対して5〜50重量%程度、好ましくは5〜30重量%である。
【0035】
また、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができる。例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステル・ナトリウム塩、脂肪酸金属塩等の界面活性剤類、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム等の顔料類、グリオキザール、ホルマリン、グリシン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ジメチロール尿素、ケテンダイマー、ジアルデヒド澱粉、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ケトン−アルデヒド樹脂、ホウ砂、ホウ酸、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポアミドアミン・エピクロヒドリン樹脂等の耐水化剤類、その他消泡剤、蛍光染料、着色染料等が挙げられる。
【0036】
なかでも、顔料として体積平均粒子径が0.5〜3μm程度の水酸化アルミニウムを感熱記録層中に含有させることにより、80〜100℃における耐熱地肌カブリ性をより高める効果が得られる。水酸化アルミニウムの使用比率としては感熱記録層に対して3〜30重量%程度が好ましい。
【0037】
感熱記録層上には、記録部の耐薬品性、耐水性を高めたり、或いは記録走行性を高めるために、保護層を設けることもできる。かかる保護層は、例えば成膜性を有する接着剤を含有する保護層用塗液を感熱記録層上に乾燥後の塗布量が1〜5g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。
【0038】
保護層用塗液中に含有される接着剤としては、例えば上記の感熱記録層用塗液中に含有されるものが使用される。更に、保護層用塗液中には必要により感熱記録層用塗液中に含有し得る各種助剤が使用される。
【0039】
紙支持体と感熱記録層との間には、記録感度を高めるために下塗り層を形成することが好ましい。下塗り層は、水を媒体とし、例えば顔料と接着剤を主成分する下塗り層用塗液を乾燥後の塗布量が3〜15g/m程度となるように紙支持体の表面に塗布乾燥して形成される。
【0040】
顔料としては特に限定されないが、JIS−K−5101による吸油量が70〜200ml/100gである吸油性顔料、または有機中空粒子が特に記録感度に優れ好ましい。かかる顔料の平均粒子径としては0.5〜20μm程度、好ましくは0.5〜5μm程度である。
【0041】
吸油性顔料としては、例えば焼成カオリン、炭酸マグネシウム、無定型シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、尿素−ホルリン樹脂フィラー等が挙げられる。
【0042】
有機中空粒子としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等の単量体を主成分とする樹脂またはこれらの単量体を主成分とする共重合樹脂等を殻とする粒子が挙げられる。有機中空粒子の中空度(粒子の全体積に対する粒子内空隙部の体積の比率)としては、50〜98%程度が好ましい。
【0043】
下塗り層に含有される接着剤としては、上記の感熱記録層に含有されるものが使用される。更に、下塗り層には上記の感熱記録層に含有される助剤を使用することもできる。
【0044】
下塗り層、感熱記録層および保護層の形成方法については特に限定されず、例えばエアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等の公知の適当な塗布方法により形成される。
【0045】
なお、本発明の感熱記録紙においては、各層の塗布後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施したり、磁気記録層、粘着剤層などの他の層を設けたりすこともできる。
【0046】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、もちろん本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。各実施例および比較例中、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0047】
実施例1
・古紙パルプの作製
新聞古紙2部、印刷された上質紙古紙3部、苛性ソーダの1%水溶液1部および水95部からなる組成物をパルパーにて離解した後、スクリーンとクリーナーにより除塵処理、脱水処理(パルプ濃度25%)、過酸化水素とノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)による漂白、脱墨処理する。処理後の古紙パルプ濃度が1%となるように希釈した後、フローテーションおよび水性処理してハンター白色度75%の古紙パルプを得た。
【0048】
・紙支持体の作製
上記の古紙パルプ濃度1%のスラリー(カナダ標準フリーネス210ml)80部とパルプ濃度1%のLBKPスラリー(カナダ標準フリーネス480ml)20部の比率で混合した後、紙支持体に対してアルキルケテンダイマーが0.3%、カチオン変性デンプン(商品名:ケートF、王子ナショナル社製)が0.5%、硫酸バンドが0.2%、軽質炭酸カルシウムが7%となるよう内添されたパルプスラリーを長編抄紙機にて抄紙し、下記のサイズプレス液を乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるようにプレスし、マシンキカレンダー処理して坪量50g/m、両面共にベック平滑度60秒の紙支持体を得た。紙支持体中のノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)の含有比率は紙支持体に対して5.1×10−3重量%であった。
【0049】
・下塗り層用塗液の調製
焼成カオリン〔商品名:アンシレックス93、吸油量90ml/100g、EC社製〕80部、有機顔料〔商品名:グロスデール104S、固形分46%〕40部、部分ケン化ポリビニルアルコールの10%水溶液70部、固形分濃度48%のスチレン−ブタシエン系ラテックス15部、ポリアクリル酸ナトリウムの20%水溶液2部および水200部からなる組成物を混合攪拌して下塗り層用の塗液を得た。
【0050】
・A液調製
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部、スルホン酸変性ポリビニルアルコールの20%水溶液20部および水40部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径1.0μm以下になるまで粉砕してA液を得た。
【0051】
・B液調製
4、4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレア〕ジフェニルスルホン40部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液20部および水40部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μm以下になるまで粉砕してB液を得た。
【0052】
・C液調製
N−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア40部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液20部および水40部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μm以下になるまで粉砕してC液を得た。
【0053】
・D液調製
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン40部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液20部および水40部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.5μm以下になるまで粉砕してD液を得た。
【0054】
・感熱記録層用塗液の調製
A液25部、B液10部、C液50部、D液50部、完全ケン化ポリビニルアルコールの10%水溶液80部、体積平均粒子径1μmの水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42、昭和軽金属工業(株)製)15部、無定形シリカ5部、炭酸カルシウム5部、およびステアリン酸亜鉛の36%分散液10部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
【0055】
・保護層用塗液の調製
水酸化アルミニウム(ハイジライトH−42、昭和軽金属工業(株)製)50部、ポリアクリル酸ソーダ(分散剤)の10%水溶液5部、ステアリン酸亜鉛の21%水性分散液(Z−7、中京油脂(株)製)50部、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの10%水溶液400部、ポアミドアミン・エピクロヒドリン樹脂の20%水溶液10部および水100部からなる組成物を混合攪拌して、保護層用塗液を調製した。
【0056】
・感熱記録紙の作製
紙支持体の片面に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液および保護層用塗液を乾燥後の塗布量がそれぞれ8g/m、4g/m、2g/mとなるように順次塗布乾燥して下塗り層、感熱記録層、保護層を形成して感熱記録紙を得た。なお、各層を形成した後、それぞれスーパーカレンダー処理し、保護層面側のベツク平滑度は1200秒であった。感熱記録紙中のノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)の含有比率は感熱記録紙に対して3.5×10−3重量%であった。
【0057】
実施例2
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、B液10部およびC液50部の代わりにB液30部およびC液30部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
【0058】
実施例3
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、B液10部およびC液50部の代わりにB液5部およびC液55部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
【0059】
比較
実施例1のC液調製において、N−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの代わりに4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
【0060】
比較
実施例1のC液調製において、N−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの代わりに4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
【0061】
実施例
実施例1の古紙パルプの作製において、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)の使用量を調整し、ノニオン系界面活性剤の含有比率が感熱記録紙に対して6.1×10−2重量%の感熱記録紙を、実施例1と同様にして得た。
【0063】
比較例1
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、B液10部の代わりにC液10部を用いた以外は、の実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
【0064】
参考例
実施例1の紙支持体の作製において、古紙パルプ濃度1%のスラリー(カナダ標準フリーネス210ml)80部の代わりにパルプ濃度1%のLBKPスラリー(カナダ標準フリーネス210ml)80部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。なお、感熱記録紙中のノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)の含有量は1.0×10−3未満であった。
【0065】
〔評価〕
かくして得られたの感熱記録紙についての以下の評価を行い、その結果を〔表1〕に記載した。
【0066】
(記録感度)
感熱評価機(商品名:TH−PMD、大倉電気社製)を用い0.5mJ/dotで各感熱記録紙を発色させ、記録部の発色濃度、および未記録部をマクベス濃度計〔RD−914、マクベス社製〕のビジュアルモードで測定した。
【0067】
(耐熱地肌カブリ性)
発色性の評価条件で発色させた各感熱記録紙を80℃で24時間放置、100℃で1時間放置後の未記録部をマクベス濃度計のビジュアルモードで測定した。
【0068】
(耐可塑剤性)
ポリカーボネイトパイプ(40mmΦ)上にラップフィルム(商品名:ハイラップKMA−W、三井化学(株)製)を3重に巻き付け、その上に発色性の評価条件で発色された感熱記録紙の感熱記録層面を上にして載せ、さらにその上にラップフィルムを3重に巻き付けて40℃で24時間放置した後に記録部を下記評価基準にて目視評価した。
【0069】
◎:記録部分がはっきり読み取れる
○:記録部分が読み取れる。
△:消色しているものの記録部分が読み取れる。
×:記録部分が読み取れない。
【0070】
【表1】
Figure 0003778121
【0071】
【発明の効果】
表1に示されているように、本発明の感熱記録紙は、記録感度および記録部の保存性に優れ、しかも耐地肌カブリの少ない効果を有するものである。

Claims (4)

  1. 古紙パルプを含有する紙支持体上に、ロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録紙において、感熱記録層中に4,4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンが含有され、呈色剤としてN−p−トルエンスルホニル−N ' −3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアが含有されたことを特徴とする感熱記録紙。
  2. 4,4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホンに対してN−p−トルエンスルホニル−N'−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアが100〜500重量%である請求項記載の感熱記録紙。
  3. 感熱記録紙中に、ノニオン系界面活性剤が感熱記録紙に対して1.0×10−3〜1.0×10−1重量%含有される請求項1または2記載の感熱記録紙。
  4. 感熱記録層中に、水酸化アルミニウムが含有された請求項1〜のいずれか一項に記載の感熱記録紙。
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