JP3777777B2 - 平版印刷版の処理方法、印刷方法及び処理装置 - Google Patents

平版印刷版の処理方法、印刷方法及び処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版の処理方法、印刷方法及び処理装置に関する。特に新規なレーザー露光に対応したドライプロセスを用いた平版印刷版の処理方法及び処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高解像度の平版印刷版(PS版)を得る為に、画像情報に基づいたレーザー光によるデジタル露光を行う工程を設けることが検討されている。その1例を挙げると、通信回線により伝送される画像信号、電子製版システムや画像処理システムからの出力信号で光源を変調し、感光材料に直接走査露光をして印刷版を形成するシステムが挙げられる。しかしながら、このようなレーザーを用いた露光に対し従来型のジアゾ樹脂を含有する平版印刷版用材料では、分光増感及び高感度化が困難であるという問題を有しており、光重合系を用いた平版印刷版の検討が多数なされている。これらの光重合系の平版印刷版は、親水性を有する支持体上にエチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤を含有する光重合性感光性層、更に酸素による重合阻害を防止する目的で酸素遮断層を有している。これらの光重合系の感光性平版印刷版は、画像露光により露光部を硬化させ、非画像部分をアルカリ現像液で除去することにより画像形成し、その後水洗・フィニッシャー処理を行うことで得られるものであり、画像部がインクを受容し、非画像部が水を保持する印刷版として用いられる。
【0003】
又一方、最近では従来のような液体処理プロセスの保守/管理の繁雑さ、廃液処理の手間等の面からドライ現像型平版印刷版に注目が集まっている。この様なドライ現像型平版印刷版については各社から様々な方法/方式が提案、開示されている。例えば、特開平4−176688号公報には、非親油性表面を有する支持体上に熱転写層、剥離支持体を設けた感光性の印刷版を像様に加熱した後、剥離支持体を剥離することで印加部分も同時に剥離され、一方残留の非印加部分が画像部を形成するという印刷版の形成方法が、又特開平6−55723号公報には、親油性表面の支持体上に光熱変換記録層/疎油性表面層を有する材料にレーザー露光し、摩擦現像により印刷版が形成される方法が、特開昭62−280038号公報には、親水性版材にサーマルヘッドでインクシート転写により印刷版を形成する方法が、特開昭54−53009号公報には、親水性多孔性の表面に親油性の画像を昇華により形成する方法が記載される等多くの方法が挙げられる。
【0004】
この様な方法は、製版・印刷工程のデジタル化の流れの中で非常に好ましい方向である。しかしながらこれらの平版印刷版を、通常のPS版と同じようなハンドリングで扱うと印刷の行程で指紋汚れ等の汚れを生じやすく、又画像形成後の置き版適性が悪いことが問題となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、その第一の課題は、ドライプロセスでの平版印刷版の指紋汚れ、解像度の改善をすることにある。第二の課題は、新規なドライのフィニッシャー処理方法(具体的にはガム処理)を採用することにより、画像形成後の傷による置き版適性を改善することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0010】
1.露光後、液体現像処理を伴わない方法で処理して画像形成された平版印刷版上に、支持体上に親水性層を有するシートを貼合した後、前記支持体を剥離することにより、親水化処理する工程を設けることを特徴とする平版印刷版の処理方法。
【0011】
.前記支持体上に親水性層を有するシートが、フィニッシャー処理液を含有することを特徴とする前記.記載の平版印刷版の処理方法。
【0012】
.前記フィニッシャー処理液が保護ガム液を含有することを特徴とする前記.記載の平版印刷版の処理方法。
【0013】
.上記1、2又は3記載の親水化処理工程を経た後、得られた平版印刷版上に湿し水を供給する工程を付与して印刷を行うことを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
【0015】
.少なくとも画像露光を行う工程、現像処理を行う工程、及び親水化処理を行う工程を、感光性平版印刷版を順次搬送しながら行う平版印刷版の処理装置において、前記親水化処理工程が、支持体上に親水性層を有するシートを前記平版印刷版に貼合した後、前記支持体を剥離することにより行われることを特徴とする平版印刷版の処理装置。
【0016】
即ち本発明者らは、従来の液体現像処理工程を除いた、ドライ現像型平版印刷版の処理で問題となった指紋汚れ/置き版適性について鋭意検討を重ねた結果、ドライ処理により画像形成された平版印刷版上に親水化処理を行うことにより改善できること、又フィニッシャー処理を施さないものに比べ解像性が格段に向上することを見い出し本発明に至ったものである。
【0017】
特に親水化処理をスプレーコーティングすることにより、処理プロセス全体のドライ化がより容易に実現できるようになる。又一方、平版印刷版のフィニッシャー処理工程、具体的にはガム処理工程を、支持体上に保護ガム液を含有する親水性層を設けたシートを平版印刷版に貼合するという方法を採用することにより、従来の液体現像処理(ウエット処理)で行ってきたガム処理工程のドライ化が可能となるばかりか、置き版の際に問題となる重ね放置時の傷についても防止できるという効果を奏する。更に上記の技術をドライの画像形成方法と併せて利用することにより完全ドライの平版印刷版処理プロセスを実現でき、これを露光装置内で一貫処理することは、本発明のより好ましい実施形態である。
【0018】
以下に本発明を詳述する。
【0019】
(1)平版印刷版の処理方法
本発明の平版印刷版の処理方法は、露光後、液体現像処理を伴わない方法で処理して画像形成された平版印刷版上に、親水化処理する工程を設けることを特徴とする。
【0020】
本発明に適用できる液体現像を伴わない処理方法としては、従来公知の画像形成方法が好適に利用できる。このようなものとしては、例えば、a)溶融熱転写方式、b)昇華熱転写方式、c)アブレーション転写方式、d)穿孔方式、f)光変性方式などが挙げられる。
【0021】
a)溶融熱転写方式としては、例えば親水性の支持体上に設けられた親油性で熱溶融性の転写層を、熱/光エネルギーを熱に変換して溶融させることにより転写する方法、親油性の支持体上に設けられた親水性で熱溶融性の転写層を、熱/光エネルギーを熱に変換して溶融させることで転写する方法が挙げられる。具体的には、特開昭56−13168号記載の原版表面と熱転写シート表面を密着させてレーザー露光を行う転写方法、特開昭62−280038号記載の親水性版材にサーマルヘッドでインクシートのインクを転写する方法、特開平4−94937号記載の熱転写層に光硬化成分を含有し、後加熱を行い画像形成する方法、特開平4−94938号記載の熱転写層に熱硬化成分を含有し、後加熱を行い画像形成をする方法等を挙げることができる。
【0022】
b)昇華熱転写方式としては、例えば親水性の支持体上に設けられた親油性で熱昇華性の物質を、熱/光エネルギーを熱に変換して昇華させることで転写する方法、親油性の支持体上に設けられた親水性で熱昇華性の物質を、熱/光エネルギーを熱に変換して昇華させることで転写する方法が挙げられる。具体的には、特開昭54−53009号記載の親水性で多孔性の支持体表面に、親油性の像を昇華により転写する方法等を挙げることができる。
【0023】
c)アブレーション転写方式としては、例えば親水性の支持体上に設けられた親油性の物質を高強度の光エネルギーを熱に変換し、アブレーションさせることで転写する方法、親油性の支持体上に設けられた親水性の物質を高強度の光エネルギーを熱に変換し、アブレーションさせることで転写する方法が挙げられる。
【0024】
d)穿孔方式としては、例えば支持体/親油性層/疎油性(親水性)層の構成を有する材料の疎油性層を高強度の光エネルギーを熱に変換し、アブレーションさせることで分解/除去する方法、支持体/疎油性(親水性)層/親油性層の構を有する材料の親油性層を高強度の光エネルギーを熱に変換し、アブレーションさせることで分解/除去する方法が挙げられる。具体的には、特開昭55−105560号記載の、支持体上に親油性層と親水性層を設けた材料にレーザービームで記録する方法等が挙げられる。
【0026】
f)光変性方式としては、従来公知の方式が特に制限なく使用される。このようなものであれば、特にネガ型/ポジ型の区別なく好適に使用され、例えば特開平7−1849号には、3次元架橋された親水性バインダー、熱により画像部に転換するマイクロカプセル化された親油成分とを有し、該親油成分が親水成分と反応しうる基を有する平版印刷版が開示されており、画像露光により露光部の親油性が向上し、露光のみにより画像形成を終了する現像レス方法である。又、特願平9−275188号には、親水性樹脂、架橋剤よりなる平版印刷版が開示されており、画像露光により露光部の親油性が向上し、露光のみにより画像形成を終了する現像レス方法が開示されている。又、ポジ型には、ポリフタルアルデヒドの如き解重合・T−BOCなどの保護基を酸/熱などにより解離させる保護基脱離反応などを利用した画像形成方法などを挙げることができる。
【0027】
これらの方法は、モノシートの感材であり露光機の設計・廃材の低減など好ましい方法であるといえる。これらは、いずれも好適に使用できる。
【0028】
本発明においては、上記液体現像を伴わない処理方法にて画像形成された後、後述する親水化処理工程を行って得られた平版印刷版に、湿し水を用いた印刷法を採用することにより、指紋汚れ、解像度改善効果により高い効果が得られる。
【0029】
又本発明のもう一つの目的である液体現像を伴わない新規なドライのフィニッシャー処理方法、具体的にはガム処理を採用することにより得られる、画像形成後の傷による置き版適性の改善効果については、いずれの画像形成方法においても認められる。特に従来の湿し水を不要とする平版印刷版においては、画像形成前の版面保護は行うものの、画像形成後の版面が傷つきやすく問題となっていたことが解決でき、ダイレクト製版システムの昼夜運転等の無人連続作業にも対応できるものである。
【0030】
本発明は、液体現像を伴わない処理方法にて画像形成された平版印刷版上に、親水化処理する工程を設けることを特徴とする。このような親水化処理工程は通常フィニッシャー液と呼ばれる処理液を用いて行うことが好ましい。該フィニッシャー液は、界面活性剤を含有するリンス液や水溶性樹脂を含有する保護ガム液などから構成される。
【0031】
フィニッシャー液に使用される緩衝剤としては水溶性塩及び酸のいずれか又は両方が用いられる。緩衝剤の詳細は、例えば「化学便覧基礎編II」日本化学会編、昭和47年2月20日第5刷、丸善株式会社発行、1312〜1320頁に記載されており、これらはそのまま適用することができる。好適なものは、モリブデン酸、硼酸、硝酸、硫酸、燐酸、ポリ燐酸などの無機酸、酢酸、グリコール酸、蓚酸、酒石酸、安息香酸、こはく酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸などの水溶性有機酸等の酸とその塩が挙げられる。より好適な塩は水溶性アルカリ金属塩及びアンモニウム塩で、特に好適にはモルブデン酸アンモニウム等のモルブデン酸塩、燐酸ナトリウム等の燐酸塩、テトラポリ燐酸カリウム、トリメタ燐酸ナトリウム等のポリ燐酸塩、蓚酸ナトリウム等の蓚酸塩、酒石酸塩、こはく酸ナトリウムなどのこはく酸塩、クエン酸アンモニウム等のクエン酸塩である。このような酸と水溶性塩はそれぞれ単独又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0032】
フィニッシャー液に含有させる酸と塩の添加量は特に限定されないが、液の総重量に対し、酸と塩の総量で約10重量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.01〜6重量%の範囲で使用される。
【0033】
フィニッシャー液が界面活性剤を含有するリンス液である場合、緩衝剤としての酸と塩の他に有機溶剤、親油性物質、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、染料、消泡剤及び少量の水溶性樹脂を含有させておくことが好ましい。
【0034】
リンス液の主成分である界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホこはく酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホこはく酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脚油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルりん酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルりん酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。以上に挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤も又包含され、以下の説明においても同様である。
【0035】
上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができ、水溶液中に約0.001重量%から約10重量%、より好ましくは0.01重量%から5重量%の範囲で使用される。
【0036】
リンス液には更にソルビン酸、p−オキシ安息香酸エチル、フェノール、ホルマリン、デヒドロ酢酸塩、4−イソチアゾリン3−オン化合物などの防腐剤、防黴剤、没食子酸プロピル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどの酸化防止剤を含有させておくことができる。これらの保存料としての防腐剤、防黴剤、酸化防止剤は少量添加することにより、該水溶液の保存による変質等を防止することができるが、好ましい添加量は0.001〜5重量%である。
【0037】
リンス液には、親油性物質を含有させておくことが好ましい。これにより、平版印刷版の画像部がより高い感脂性を示すようになり、現像インキ盛り(現像後、画像を見易くするためと、画像の感脂性を高めに保持するためにエマルジョン型のインキ(通常黒色)を画像上にのせること)が容易になるばかりでなく、該水溶液による処理の後、版面保護剤処理を行う場合は、画像部の感脂性の低下を強く抑えることができる。
【0038】
好ましい親油性物質には、例えばオレイン酸、ラウリン酸、吉草酸、ノニル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などのような炭素数が5〜25の有機カルボン酸、ひまし油などが含まれる。これらの親油性物質は単独もしくは2以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
リンス液中に含ませる親油性物質は、その総重量に対して0.005重量%から約10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%の範囲である。更にリンス液には有機シラン化合物等の消泡剤を含有させておくことが好ましい。
【0040】
一方フィニッシャー液が水溶性樹脂を含有する保護ガム液である場合、緩衝剤としての酸と塩の他に、界面活性剤、親油性物質、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、消泡剤などを含有させておくことが好ましい。
【0041】
保護ガム液の主成分である水溶性樹脂としては、水溶性の天然高分子、半天然物(半合成物)、合成高分子のいづれもが用いられる。
【0042】
天然高分子には、かんしょデンプン、ばれいしょデンプン、タピオカデンプン、小麦デンプン及びコーンスターチ等のデンプン類、カラジーナン、ラミナラン、海ソウマンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天及びアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、トロロアオイ、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガカントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、アラビアガム、キャロブガム及びベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン及びレバンなどのホモ多糖並びにサクシノグルカン及びザンタンガムなどのヘテロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼイン及びコラーゲン等のタンパク質などが挙げられる。
【0043】
半天然物(半合成品)にはアルギン酸プロピレングリコールエステルの他に、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の繊維素誘導体並びに加工でんぷん等が挙げられる。加工でんぷんには白色デキストリン、黄色デキストリン及びブリティシュガムなどの焙焼でんぷん、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリンなどの酵素変性デキストリン、可溶化でんぷんのような酸分解でんぷん、ジアルデヒドスターチのような酸化でんぷん、変性アルファー化でんぷん及び無変性アルファー化でんぷん等のアルファー化でんぷん、りん酸でんぷん、脂肪酸でんぷん、硫酸でんぷん、硝酸でんぷん、キサントゲン酸でんぷん及びカルバミン酸でんぷんなどのエステル化でんぷん、カルボキシアルキルでんぷん、ヒドロキシアルキルでんぷん、スルフォアルキルでんぷん、シアノエチルでんぷん、アリルでんぷん、ベンジルでんぷん、カルバミルエチルでんぷん及びジアルキルアミノでんぷんなどのエーテル化でんぷん、メチロール架橋でんぷん、ヒドロキシアルキル架橋でんぷん、りん酸架橋でんぷん及びジカルボン酸架橋でんぷんなどの架橋でんぷん、でんぷんポリアクリルアミド共重合体、でんぷんポリアクリル酸共重合体、でんぷんポリ酢酸ビニル共重合体、でんぷんポリアクリルニトリル共重合体、カチオン性でんぷんポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性でんぷんビニルポリマー共重合体、でんぷんポリスチレンマレイン酸共重合体及びでんぷんポリエチレンオキサイド共重合体などのでんぷんグラフト共重合体などが挙げられる。
【0044】
合成品にはポリビニルアルコールの他部分アセタールポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル及びポリビニルイソブチルエーテルなどの変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリアクリル酸エステル共重合体部分けん化物、ポリメタアクリル酸塩及びポリアクリルアミドなどのポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテートの共重合物、カルボキシビニルポリマー、スチロールマレイン酸共重合物、スチロールクロトン酸共重合物などが挙げられる。
【0045】
これらの内、藻類から得られるもの、植物性粘質物、繊維素誘導体、加工デンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル及び合成品は印刷版上の皮膜形成性が良好なため好ましく用いられる。
【0046】
これらの水溶性樹脂は保護ガム水溶液中に一種又は二種以上の組み合わせで添加せしめられ、その合計の添加量は1〜40重量%であることが好ましく、更に好ましくは3〜20重量%である。添加量が1重量%未満では、平版印刷版に形成される乾燥後の厚みが小さく保護ガムとしての役目を果たさない。40重量%を越える場合にはガム液の粘度が高くなり、循環使用に支障をきたすばかりでなく、印刷開始時のインキ着肉性を劣化させ又経済的にもコストアップになり、好ましくない。
【0047】
保護ガム液に用いられる親油性物質としては、高沸点有機溶剤、脂肪酸、脂肪油、一価アルコール、ワックスの他に平版印刷版用インクのベヒクルとして使用される親油性樹脂がある。好ましい親油性樹脂としてはフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、フェノールとキシレンとをホルムアルデヒドで縮合させたキシレン樹脂、フェノールとメシチレンとをホルムアルデヒドで縮合させた樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ブロム化ポリヒドロキシスチレン、カシュー樹脂、スチレンと無水マレイン酸の共重合体の部分エステル化物、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、水添ロジン及びロジンエステルなどの変性ロジン、ギルソナイトなどの石油樹脂を挙げることができる。
【0048】
好ましい高沸点有機溶剤には例えばジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸ジエステル類、例えばジオクチルアゼレート、ジオクチルアジペート、ジブチルグリコールアジペート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルセバケートなどの脂肪二塩基酸エステル類、例えばエポキシ化大豆油などのエポキシ化トリグリセライド類、例えばトリクレジルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリスクロルエチルフォスフェートなどの燐酸エステル類、例えば安息香酸ベンジルなどの安息香酸エステル類が含まれる。好ましい脂肪酸には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、イソ吉草酸等の飽和脂肪酸とアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビル酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸ステアロール酸、イワシ酸、タリリン酸、リカン酸等の不飽和脂肪酸がある。一価アルコールは、脂肪族飽和一価アルコール、脂肪族不飽和一価アルコール、芳香族アルコール、脂環式アルコール、複素環式アルコール等に分類される。又一価アルコールは置換基を有していてもよく、該置換基としては、クロル、ブロムの如きハロゲン原子、メトキシ、プロポキシの如きアルコキシ基、フェノキシの如きアリールオキシ基等が挙げられる。
【0049】
これらの親油性物質の添加量は保護ガム液に対して0.01〜10重量%であり、更に好ましい範囲は0.1〜5重量%である。添加量がこの範囲よりも少ないと期待されるインキ着肉性の向上が見られず、又、この範囲より多い添加量では、親油性物質を可溶化又は乳化して安定な保護ガム液とするための界面活性剤が多量に必要であるばかりでなく、非画像部に対する不感脂化力を劣化させる傾向にある。
【0050】
保護ガム液に含有させる界面活性剤としては、前述のリンス液で示した界面活性剤が好適に用いられる。
【0051】
保護ガム液は、含有させる界面活性剤、親油性物質等を適宜選択することによってエマルジョン型ガム液、サスペンション型ガム液、非エマルジョン型非サスペンション型ガム液等、いかようにも製造可能であるが、エマルジョン型ガム液及びサスペンション型ガム液は平版印刷版の画像部の感脂性の低下を防止する性能が高いため好ましく用いられる。更にエマルジョン型ガム液は本発明による製造方法において、懸濁物の発生が強く抑えられ、不溶物の発生が少ないので好ましい。
【0052】
このようなフィニッシャー液での処理(コーティング)方法としては、従来公知の方法が好適に利用できる。例えば、現像済みの印刷版をフィニッシャー液に浸漬塗布する方法、フィニッシャー液をロールで塗布する方法、フィニッシャー液をブレードで塗布する方法、フィニッシャー液をフェルトで塗布する方法、フィニッシャー液をスポンジで塗布する方法、フィニッシャー液を多数のノズルを有するシャワーパイプで供給塗布する方法、フィニッシャー液をスプレー供給により塗布する方法などが挙げられる。中でもより好ましくは、フィニッシャー液をスプレー供給により塗布する方法である。フィニッシャー液をスプレーで供給する場合、フィニッシャー液の固形分は5〜60重量%の範囲で使用することが好ましく、10〜50重量%の範囲で使用することがより好ましい。スプレーされるフィニッシャー液にはそれ自体は感光層の表面に付着しない他の充填剤を含んでいても良い。このような充填剤としては例えば、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ガラス粒子、アルミナ、有機重合体粒子などを挙げることができる。
【0053】
スプレー供給方法については、従来公知の方法がいずれも好適に使用でき、例えば、エアースプレー方式、エアーレススプレー方式、静電エアースプレー方式、静電霧化静電塗装方式などを挙げることができる。このような方式で吹きつけられる液滴の粒径としては30〜500μm以下であることが好ましく、より好ましくは50〜300μmの範囲である。
【0054】
又本発明では、平版印刷版の親水化処理工程を、あらかじめ支持体上に親水性層を有するシートを現像後の平版印刷版に貼合し、その後支持体を剥離して親水性を付与するという方法を用いてもよい。
【0055】
このようなシートに用いられる支持体としては特に制限はなく、使用目的等に応じて種々の材質、層構成及びサイズのものを適宜に選定して使用することができる。例えば、紙、コート紙、及び合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、それらを紙と貼り合せた複合材料)等の各種紙類、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリル樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリパラバン酸、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、弗素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系等の単層又はそれらを2層以上に積層した各種プラスチックフィルム乃至シート、各種の金属で形成されたフィルム乃至シート、各種のセラミックス類で形成されたフィルム乃至シート、又は前記のものの中から適当に組み合わせ積層した複合材料等を挙げることができる。又この様な支持体に、貼合性/剥離性を改善するために適時クッション層/剥離層などの機能層を別途設けてもよい。
【0056】
これらのフィルム乃至シートの膜厚としては3〜200μmの範囲が好ましく、10〜100μmの範囲がより好ましい。支持体上に形成される親水性層の好ましい膜厚としては0.05〜50μmの範囲が好ましく、0.1〜30μmの範囲がより好ましい。
【0057】
上記シートの貼合方法としては、従来公知の方法が際限なく好適に使用できるが、処理装置に組み込みが容易なニップロールを用いたラミネート型貼合方法が好ましい。この様なラミネート型貼合方法は、通常ラミネート装置により行なわれ熱ローラー及び/又は圧力ローラー間でラミネート材料と被転写材を重ねて貼着される。ラミネート装置として加熱ローラーと圧力ローラーが兼用された装置でも、分離され加熱後に加圧する装置でもいずれも良好に使用できる。加熱ローラーの表面温度は10〜250℃が好ましく、圧力は0.1〜30kg/cmが好ましく、ローラーに使用されるゴムの硬度は40〜90度(JIS―6301A型)が好ましく、この範囲内の好ましい条件を材料ごとに設定し用いればよい。
【0058】
(2)平版印刷版の処理装置
本発明の平版印刷版の処理装置は、少なくとも画像露光を行う工程、現像処理を行う工程、及び親水化処理を行う工程を、感光性平版印刷版を順次搬送しながら処理するにあたり、前記親水化処理工程がa)スプレーコーティングにより行われるか、又はb)支持体上に親水性層を付与されたシートを前記平版印刷版に貼合した後、前記支持体を剥離することにより行われることを特徴とする。
【0059】
スプレーコーティング、親水性層を付与されたシートを平版印刷版に貼合する方法については、前述の通りである。
【0060】
以下に処理装置の概略図をもとにして、本発明の平版印刷版の処理装置を説明する。
【0061】
図1は本発明の1つである、親水性層を有するシートを貼合する、シート貼合型親水化処理付与機構を有する平版印刷版の処理装置の1例を示す概略図である。
【0062】
親水化処理を行うに当たって、平版印刷版の原版(アクセプターともいう)と、感光性組成物が別途支持体上に付与された感光材料(ドナーともいう)とを用いて画像形成を行うという2シートタイプの場合には、平版印刷版の原版収納カセット1(アクセプターシート収納カセットともいう)にアクセプターのカットシートを収納させ、又感光材料装填部7(ドナーシート供給ロールともいう)にロール状のドナーを備え付ける。光変性型感光材料のようなモノシートタイプを用いる場合には、アクセプターシート収納カセットのみを用いる。
【0063】
露光を開始するに当たりアクセプターを内面円筒型露光ドラム3まで搬送する。アクセプターシート収納カセット1からアクセプターシートピックアップユニット12により前記アクセプターシートが1枚取り出され、アクセプターシート搬入経路2(ニップロール)を通じて前記露光ドラム3のドラム面に前記アクセプターシートの受容面が上になるよう導入される。従来公知の方法により位置合わせを行い減圧密着等の方法で固定化される。その後、ドナーシート供給ロール7のロール状ドナーシートがドナーシート供給経路9(ニップロール)を通じて前記ドラム3面上に固定化されたアクセプターシート上に導入される。この際、ドナーシートは感光性組成物塗工面をアクセプターシートの受容面と対面するように導入される。又アクセプターシートより一回り以上大きくカットされた状態で導入されることが好ましく、そのようになるようにカッター8で切断される。更にドナーシートはこの一回り大きな領域で固定化のための減圧密着溝を有することが好ましい。又アクセプター密着用減圧ポンプとドナー密着用減圧ポンプ(いずれも図示せず)を別々に有し、それぞれ各シートのみの固定化に寄与させるように設計することは本発明において非常に好ましい。又アクセプターとドナーの密着性を確保するためにスキージロール(図示せず)の様な機能を付与させることも同様に非常に好ましい。
【0064】
このようにして固定化された後、データ変調された露光ビーム(レーザー光)11で画像露光を行い画像を形成した後、まずドナーシートがドナーシート排出経路10(ニップロール)を通じてドナーシート排出口20から排出される。次にアクセプターシートが、アクセプターシート搬出経路6(ニップロール)通過時に親水化処理され、その経路を通じてアクセプターシート搬出口21から排出されることになる。
【0065】
親水化処理は、具体的には、親水性層を有する貼合シート供給ロールの装填部14にロール状にした親水性層を有する貼合シートを装填し、アクセプターの搬送と同時期に親水性層を有する面とアクセプターの画像形成面とが対面する様に導入される。この目的のために搬送系にセンサー(図示せず)を導入する。所定の場所でアクセプターを停止させ、前記貼合シートと位置合わせした後、搬送を開始する等の方法を用いることは非常に好ましい。前記貼合シートの大きさは任意であるが、少なくとも画像形成部分を全てカバーすることが必須である。更に少なくとも1辺の貼合シートの端部がアクセプター端部より外側にある様に設計することは、剥離が容易になり好ましい。前記のように設計されるカッター15を用いて切断される。
【0066】
この様にして2シートが対面するように導入された後ラミネートロール16で貼合される。このラミネートロール16は、加熱・加圧可能であることが好ましく、加熱範囲としては20〜150℃、より好ましくは30〜120℃の範囲で行うことが特に好ましい。又加圧範囲としては、0.05kg/cm〜5kg/cmの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは0.1kg/cm〜4kg/cmの範囲である。
【0067】
次に図2について説明する。図2は本発明の1つである、スプレーコーティング型親水化処理付与機構を有する平版印刷版の処理装置の1例を示す概略図である。
【0068】
上記と同様に画像形成した後、アクセプターシート搬出経路6を通じてアクセプターシートが排出される。この際に親水化処理剤供給スプレーノズル17からスプレーコーティング液が噴射される。その後乾燥行程(ドライヤー)18により風乾させるのが好ましいが、乾燥行程18を経ることなく排出されても良い。この場合のドライヤーとしては65℃以下の温度が好ましく、より好ましくは50℃以下での使用である。更にこの様に処理されたアクセプターシートは、モルトンロール19を通過しアクセプターシート搬出口21から排出される。これによりウェット感を与えない仕上がりを提供できる。
【0069】
尚、図3は従来公知の平版印刷版の処理装置の1例を示す概略図である。
【0070】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。便宜上2シート型(ドナー、アクセプター)を用いたアブレーション転写型ドライ製版システムを例に実施する。
【0071】
(平版印刷版用支持体の作製:アクセプター)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間脱脂処理を行なった後水洗した。この脱脂したアルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後水洗した。次いで、このアルミニウム板を0.3重量%の硝酸水溶液において、温度25℃、電流密度100A/dm2の条件で交流電流により60秒間電解粗面化を行なった後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行なった。デスマット処理を行なった粗面化アルミニウム板を15%硫酸溶液中で、温度25℃、電流密度10Amp/dm2、電圧15Vの条件で1分間陽極酸化処理を行ない、更に3%硅酸ソーダ、温度90℃で封孔処理を行なって支持体を作製した。
【0072】
(バインダーの合成1)
窒素気流下の三ツ口フラスコにメタアクリル酸3部、メタアクリル酸メチル30部、アクリロニトリル25部、ヒドロキシエチルメタクリレート35部、アクリル酸ラウリル5部、エチルメタクリレート2部、エタノール500部、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させ目的の化合物を得た。これを合成バインダー1とする。
【0073】
実施例1
(感光材料の作製:ドナーシート)
以下の感光液組成物を乳酸メチル/プロピレングリコールモノエチルエーテル=8/2で固形分7%になるように調液した。
【0074】
感光液組成物
アクリル系共重合体(合成バインダー1)分子量Mw=13万
65.0部
赤外線吸収色素(CY−10:日本化薬株式会社製) 8.0部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 17.0部
ジアゾ樹脂 8.0部
TAZ−110(みどり化学株式会社製) 2.5部
フッ素系界面活性剤(FC−431;住友スリーエム(株)製)0.3部
こうして得られた感光液組成物を厚さ100μmのPET上に乾燥膜厚1.0μmになるよう黄色安全光下で塗布し、80℃、2分間乾燥し感光材料を作製した。
【0075】
(画像露光、画像形成工程)
この様にして作製した平版印刷版用支持体と、感光材料の感光液塗布面とが接触するようにして露光装置に設置し、真空吸引により密着させて、以下の条件で感光材料のPET面側からレーザー光で露光を行った。半導体レーザー(波長830nm、出力150mW)で感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で6μmであった。又、解像度は走査方向、副走査方向とも4000dpiとした。画像露光後、感光材料を剥離することにより露光部がアブレーション転写され、良好な転写像を形成していた。
【0076】
この印刷版に、親水化処理としてフィニッシャー液(ガム液、SGW−3(コニカ(株)製)の2倍希釈)をシャワー塗布した後、乾燥して平版印刷版とした。
【0077】
実施例2
画像形成後、親水化処理として100μmのPETフィルム支持体上に下記組成の親水性層を有するシートを貼合した後、PETフィルムを剥離して親水化処理を行った以外は実施例1と同様にして平版印刷版を作製した。尚、親水性層は乾燥膜厚が0.5μmとなるように塗布し、70℃で1分間乾燥した。PETフィルムを剥離するのは、後述する印刷機に設置し終えてから行った。
【0078】
(親水性層塗布液)
フィニッシャー液(ガム液、SGW−3(コニカ(株)製)の2倍希釈液)
実施例3
親水性層を有するシートのPETフィルム支持体を、100μmのPET/30μmのEVA(エバフレックスP−1407:三井デュポンポリケミカル(株)製)/0.7μmのPEの複合材料に変更した以外は実施例2と同様にして平版印刷版を作製した。
【0079】
実施例4
貼合シートのPETフィルムを剥離するのを露光装置内で行った以外は実施例2と同様にして平版印刷版を得た。
【0080】
実施例5(モノシートタイプを採用)
下記の平版印刷版用支持体に下記感熱層組成物を塗布して平版印刷版材料を作製した。
【0081】
(平版印刷版用支持体の作製:アクセプター)
175μmのPETフイルム上に15W/(m2・min)のエネルギーでコロナ放電処理し平版印刷版用支持体とした。
【0082】
感熱層組成物
ゼラチンバインダー 55.0部
ホルムアルデヒド 5.0部
赤外線吸収色素(CY−17:日本化薬株式会社製) 10.0部
ワックスエマルジョン(A101:岐阜セラック製造所製) 10.0部
シリカ 20.0部
これら感熱層組成物を純水で固形分8%になるように調液した。
【0083】
こうして作製した感熱層組成物塗布液を上記平版印刷版用支持体上に乾燥膜厚3.0μmになるよう塗布し、50℃で3分乾燥し、更に55℃、3時間全面加熱処理して平版印刷版材料とした。この様にして作製した平版印刷版材料に半導体レーザー(波長830nm、出力150mW)で感熱層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で6μmであった。又、解像度は走査方向、副走査方向とも4000dpiとした。
【0084】
画像露光後、親水化処理としてフィニッシャー液(ガム液、SGW−3(コニカ(株)製)の2倍希釈)をシャワー塗布、乾燥して平版印刷版とした。
【0085】
実施例6(比較例)
親水化処理をしないで平版印刷版を作製した他は実施例1と同様にして画像形成を行った。
【0086】
実施例7(比較例)
親水化処理をしないで平版印刷版を作製した他は実施例5と同様にして画像形成を行った。
【0087】
実施例1〜7にて得られた平版印刷版について、以下の評価を行った。
【0088】
(指紋汚れ)
バターを均一に付着した指で平版印刷版の非画像部分に押しつけて汚した後、印刷機(ハイデルGTO)でコート紙、印刷インキ(東洋インキ製造(株)社製:ハイプラスM紅)及び湿し水(コニカ(株)社製:SEU−3 2.5%水溶液)を用いて印刷を行った。そしてその部分について以下の基準により評価した。
【0089】
◎・・・紙、ブラシ共に汚れなし
○・・・紙は汚れなし、ブラシは一部汚れ有り
△・・・紙も一部汚れ有り
×・・・紙に明瞭な汚れが散在している。
【0090】
(レーザー感度)
レーザー光強度はガウス分布していると考えて、ドラムの回転数を変化して、レーザー光強度の1/e2に相当するところの線幅と形成された画像の線幅が等しくなるところの回転数を求めそこから照射時間に換算し、版面光強度(μW/cm2)を求め、照射時間との積からエネルギー値を求めた。
【0091】
(解像度)
上記のような露光条件でレーザー露光を行ない感度となるエネルギーを算出し、最適露光量にて175線の小点1,2,3,5,50,97,98,99%の画像を作製し平版印刷版上の小点を50倍のルーペで目視観察し、均一に再現している領域を確認した。更に、同一条件での印刷物について、同様の目視評価を行った。
【0092】
(耐傷性)
画像形成後の平版印刷版のベタ画像部のスクラッチ強度を以下のようにして測定して耐傷性の評価とした。
【0093】
先端径0.5mmのサファイヤ針を印刷版の画像面に垂直に押し当て、前記サファイヤ針に0〜200gの荷重を連続的に変化させてかけ、画像面に傷が付き始めるときの荷重を測定した。
【0094】
◎・・・200gの荷重で傷なし
○・・・150g〜200g未満の荷重で傷なし
△・・・100g〜150g未満の荷重で傷なし
×・・・50g〜100g未満の荷重で傷なし
××・・50g未満の荷重で傷なし。
【0095】
(インク着肉性)
印刷機(ハイデルGTO)でコート紙、印刷インキ(東洋インキ製造(株)社製:ハイプラスM紅)及び湿し水(コニカ(株)社製:SEU−3 2.5%水溶液)を用いて印刷を行い、印刷機の刷り出し枚数の損紙の数を評価した。
【0096】
◎・・・0〜5枚
○・・・6〜10枚
△・・・11〜15枚
×・・・15枚以上
得られた結果を以下の表1に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0003777777
【0098】
表1から明らかなように、本発明の処理方法によれば2シートタイプ、モノシートタイプに関係なく指紋汚れが改善され、レーザー感度、解像度に優れ、しかも耐傷性の改善が十分に達成されていることが分かる。特に解像度は製版時のみか印刷物でも変わらず良好であり、又インク着肉性が優れていることからも製版で得られた平版印刷版が相当優れていることが分かる。
【0099】
しかしながら得られた平版印刷版に親水化処理を行わないものは指紋汚れの防止、耐傷性の改善がなされてないのみならず、得られた印刷物の解像度が良好とはいえない。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、ドライプロセスでの平版印刷版の指紋汚れ、解像度の改善が達成されるという顕著に優れた効果を奏する。又、新規なドライのフィニッシャー処理方法を用いることにより、画像形成後の傷による置き版適性が改善されるという顕著に優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】親水性層を有するシートを貼合する、シート貼合型親水化処理付与機構を有する平版印刷版の処理装置の1例を示す概略図である。
【図2】スプレーコーティング型親水化処理付与機構を有する平版印刷版の処理装置の1例を示す概略図である。
【図3】従来公知の平版印刷版の処理装置の1例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 平版印刷版の原版収納カセット
2 アクセプターシート搬入経路
3 内面円筒型露光ドラム
4 露光装置エンジンユニット
5 露光光学系ユニット
7 ドナーシート供給ロール
12 アクセプターシートピックアップユニット
13 露光装置全体

Claims (5)

  1. 露光後、液体現像処理を伴わない方法で処理して画像形成された平版印刷版上に、支持体上に親水性層を有するシートを貼合した後、前記支持体を剥離することにより、親水化処理する工程を設けることを特徴とする平版印刷版の処理方法。
  2. 前記支持体上に親水性層を有するシートが、フィニッシャー処理液を含有することを特徴とする請求項1記載の平版印刷版の処理方法。
  3. 前記フィニッシャー処理液が保護ガム液を含有することを特徴とする請求項2記載の平版印刷版の処理方法。
  4. 請求項1、2又は3記載の平版印刷版の処理方法を用いて、親水化処理する工程を経た後、得られた平版印刷版上に湿し水を供給する工程を付与して印刷を行うことを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
  5. 少なくとも画像露光を行う工程、現像処理を行う工程、及び親水化処理を行う工程を、感光性平版印刷版を順次搬送しながら行う平版印刷版の処理装置において、前記親水化処理工程が、支持体上に親水性層を有するシートを前記平版印刷版に貼合した後、前記支持体を剥離することにより行われることを特徴とする平版印刷版の処理装置。
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