JP3776915B2 - 殺菌装置および殺菌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、器具の殺菌装置に関し、特に、医療器具を高温オイルで殺菌する殺菌装置に関する。
安藤満美氏によって1994年9月20日付けで公開された特開平6−261918号公報には、歯科医療用ハンドピースの滅菌装置が記載されている。滅菌装置は、滅菌流体としてシリコーン・オイルを収容する滅菌流体加熱容器と、冷却流体容器とを有する。加熱容器内にはハンドピース保持筒が設けられている。滅菌流体は所定の温度に加熱される。保持筒内の検出板がハンドピースの存在を検出して、タイマーを作動させ、所定時間の経過をブザー音で知らせる。冷却流体容器は、溶液を収容し、殺菌済みの高温のハンドピースをその溶液によって冷却する。
特開平6−261918号公報
しかし、特開平6−261918号公報に記載された滅菌装置は、グリップまたは柄のような医療器具の他端部をシリコーン・オイルに浸すことができないので器具全体を殺菌することができず、また、殺菌済みの高温の器具を手で取り出して冷却用の槽内に入れるので手を火傷する危険性がある。
沼田誠一氏によって1996年7月9日付けで公開された特開平8−173462号公報には、歯科治療器具用殺菌装置が記載されている。この殺菌装置は、シリコーン・オイルを収容するオイル槽を有する。使用者は、器具を入れたバスケットを、手でオイル槽内のシリコーン・オイルに浸漬し、所定時間後、器具の入ったバスケットを取り出してトレー上に置いて自然放熱によって冷えるのを待つ。この殺菌装置のオイル槽は廃油用の注ぎ口が設けられており、温度センサーがオイル槽内に設けられており、蓋が設けられている。
特開平8−173462号公報
しかし、特開平8−173462号公報に記載された殺菌装置は、殺菌済みの器具の入った高温のバスケットを手で取り出すので手を火傷する危険性があり、そのバスケットはトレー上に置かれて殺菌済みの器具が周囲の空気に晒されるので衛生上好ましくない。
現在、株式会社セキムラによって高温オイルを用いて例えば歯科治療用のエアータービン・ハンドピースのような医療器具を消毒するための殺菌装置が市販されている。この殺菌装置は、消毒槽と冷却槽とを具えており、消毒槽に注ぎ込まれたオイルを高温の120°Cに加熱する。使用者は、医療器具をその先端がオイルに浸るようにその高温の消毒槽に入れ、消毒槽に設けられたバネの弾性力に抗して医療器具の他端を手で押し下げることによって、消毒槽を低位置でロック(係止)する。殺菌装置は、その消毒槽が低位置でロックされると、4分間高温状態を維持してその医療器具を殺菌する。4分後、殺菌装置が消毒槽のロックを解除すると、消毒槽は急激に元の高い位置に戻る。使用者は、殺菌済みの器具を冷却槽内に置いてそれが自然放熱によって冷えるのを待つ。水等の流体への浸漬冷却は禁じられている。
しかし、上述の殺菌装置は、グリップまたは柄のような医療器具の他端部をオイルに浸すことができないので器具全体を消毒することができず、また、器具を手で押し下げるので手が高温のオイルに触れて手を火傷する危険性があり、消毒槽が急激に元の位置に戻ったときに高温のオイルが周囲に飛び散って不衛生でありかつ危険であり、さらに、殺菌済みの高温の器具を手で取り出して冷却槽内に入れるので手を火傷する危険性がある。
上述の従来技術の殺菌装置は、器具全体の殺菌が不完全であり、使用者が安全に器具を取り扱うことができない。
発明者は、器具全体を殺菌でき、器具の取り扱いが安全に行え、殺菌済みの器具を短時間で冷却できる殺菌装置に対するニーズがあると認識した。
本発明の目的は、器具全体を殺菌できかつ器具の取り扱いが安全に行える殺菌装置を実現することである。
本発明の別の目的は、器具の取り扱いが安全に行うことができかつ殺菌済みの器具を短時間で冷却できる殺菌装置を実現することである。
本発明のさらに別の目的は、人体により安全な殺菌用の液体を用いて器具を殺菌することである。
本発明の1つの特徴によれば、器具を殺菌する殺菌装置は、複数の開孔を有しその器具を収容するための有孔容器と、凹所を有する殺菌槽と、その殺菌槽を加熱する加熱手段と、その殺菌槽より上に設けられていてその有孔容器を収容可能であり且つその有孔容器の外周側面との間に隙間を形成する空間を、包囲するとともに、該空間内の空気を外部に排出する開口を有する蓋及びカバーと、その空間のうちその開口とは反対側に設けられてその有孔容器の外側面と外底面のいずれかに向けて空気を直に当てる冷却ファンと、その空間からその凹所へおよびその凹所からその空間へその容器を垂直方向に移動させる移動手段と、を具えている。
その殺菌装置において、その移動手段が、その有孔容器を実質的に一定の速さで垂直方向に移動させてもよい。
その殺菌装置において、さらに、その加熱手段とその移動手段を制御する制御手段を有していてもよい。
その殺菌装置において、その空間はその殺菌層の上から水平方向に広がる空間を有し、その移動手段は、その殺菌層の上とその水平方向に広がる空間との間でその有孔容器を移動する機構を有し、その冷却ファンとその開口はその水平方向に広がる空間における下と上にそれぞれ配置されていてもよい。
その殺菌装置において、その凹所は、流動パラフィンを含む液体を貯める領域であってもよい
その殺菌装置において、その凹所内のその液体の存在を検出する油面センサを有していてもよい。
また、その殺菌装置において、その殺菌槽には温度センサが取り付けられていてもよい
また、その殺菌装置において、その有孔容器の底部に少なくとも1つの開孔を有していてもよい。
本発明によれば、器具全体を殺菌でき、器具の取り扱いが安全に行える。
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
図1は、本発明の実施形態による殺菌装置10の斜視図を示している。図において、殺菌装置10は、下側に配置されており医療器具を殺菌するための主要殺菌部100と、主要殺菌部100の上側に配置されており医療器具を有孔容器142に出し入れするための器具装填部150とを具えている。
図2および3は、図1の殺菌装置10の内部構造および動作を説明するためのもので、殺菌装置10の概略的な垂直断面図と、それに関連する回路とを示している。
図1〜3を参照すると、主要殺菌部100は、正面に設けられた表示および操作部120およびスピーカ122と、左側面の上部に設けられた開閉可能な蓋で覆われたオイル供給口108と、左側面の下部に設けられたバルブ付きオイル排出口124と、を具えている。その蓋はオイル貯留凹所を有する。主要殺菌部100は、さらに、内部に、凹所または空洞を有するオイル加熱槽またはオイル加熱容器132と、回転ギア146と、電気回路構成390と、を含んでいる。電気回路構成390は、表示および操作部120およびスピーカ122と、回転ギア146を回転させるモータ148と、電源部160と、制御部200と、を含んでいる。
オイル加熱槽132の外側壁にはヒータ136が設けられている。加熱槽132とヒータ136は、その周囲および底部が、断熱材138で囲まれている。加熱槽132は、加熱槽132の上に配置された開口および通路104を通してオイル供給口108に連通し、加熱槽132の底部に形成された開口134とこの開口134に連通するチューブ106を通してオイル排出口124に連通する。加熱槽132は、底部に温度センサ110と、内壁の異なる高さに油面センサ112、113、114および116とを含んでいる。
殺菌装置10の内部には、さらに、主要殺菌部100と器具装填部150の間を垂直方向に移動可能な有孔容器142と、垂直方向のスライド・ギア144とが設けられている。スライド・ギア144は、回転ギア146に係合して、垂直方向に移動可能である。有孔容器142は、スライド・ギア144から左向きに突出した腕状部材15に係止または載置可能で、側面および底面に複数の開孔を有し、底部に少なくとも1つの開孔を含んでいる。腕状部材15は、図示したよりも左方向に長くかつ有孔容器142の底面の幅以上の長さを持っていてもよい。
主要殺菌部100と器具装填部150の間には、その両者のそれぞれの内部空間を概ね熱的に分離する上下に回転可能な1対のフラップ・ドアまたはプレート140が設けられている。
器具装填部150は、有孔容器142を収容するのに充分な空間を有しており、透明ガラスおよび蓋166を有し高位置の有孔容器142を概ね包囲する保護カバー162と、垂直方向に延びるスライド・ギア144を垂直方向にスライド可能な形態で保持する垂直方向に延びるスライド・ギア保持部164と、保護カバー162の左側面に設けられた冷却ファン168と、を含んでいる。スライド・ギア保持部164には、水平断面(図示せず)がスライド・ギア保持部164から遠い側が拡がる形態の逆楔形状のレール165が固着されている。レール165は、レール165の陰(ネガティブ)の形状を有するスライド・ギア144のスリット状凹部に垂直方向に挿入される。
有孔容器142は、図2に示されているように最も高い位置を取ったとき加熱槽132から離れてその真上に配置され、図3に示されているように最も低い位置を取ったとき加熱槽132内に収容される。図3において、有孔容器142および加熱槽132は、有孔容器142が最も低い位置を取ったとき、有孔容器142内の器具14全体が器具殺菌用オイル12中に完全に浸されるように配置されている。回転ギア146は、スライド・ギア144に係合してスライド・ギア144を垂直方向に移動させることによって有孔容器142を垂直方向に移動させる。スライド・ギア144、回転ギア146、スライド・ギア保持部164およびレール165は、有孔容器142を垂直に移動させるための容器移動機構を構成する。
図1において、表示および操作部120は、開始スイッチおよび表示器123、電源スイッチおよび表示器125、オイル量表示器126、温度表示器128、温度調整ボタン129および殺菌完了表示器130を含んでいる。
図2において、制御部200は、表示および操作部120、温度センサ110、油面センサ112〜116、ヒータ136、モータ148、電源160およびファン168に接続されている。
図4は、制御部200の詳細な内部構成を示している。制御部200の諸機能は、例えば、メモリに格納された制御プログラムに従って動作するマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ上で実装される。代替構成として、そのマイクロプロセッサによって実行される制御プログラムの諸機能を、専用の集積回路の形態で実装してもよい。
制御部200は、表示および操作部120に接続されており、内部バス201に接続された、タイマ202と、温度センサ110およびヒータ136に接続されたヒータ・リレー制御部204と、油面センサ112〜116に接続された油面検出部206と、モータ148に接続されたモータ駆動部208および過電流検出部210と、冷却ファン168に接続されたファン駆動部212と、電源部160に接続された電源制御器230と、音声データが格納されたメモリ218を含む音声合成部216と、を含んでいる。
有孔容器142およびオイル加熱槽132を図2および3に向かって手前から奥の方向に横長にその高さを低く構成し、有孔容器142内に長手の器具14を手前から奥の方向に横向きに置くようにすれば、それによって殺菌装置10の高さおよび幅を小さくすることができ、有孔容器142の垂直移動の距離範囲を短くすることができる。
制御部200は、使用者によって操作された表示および操作部120の指示に従って、タイマ202、ヒータ・リレー制御部204、モータ駆動部208、ファン駆動部212、音声合成部216および電源制御器230を制御し、タイマ202、温度センサ110、油面センサ112〜116、および過電流検出部210および電源制御器230の現在の状態を表示する。
殺菌用オイル12は、シリコーン・オイルでもよいが、流動性パラフィンを主成分(例えば、99%以上、99.99995%)として含みかつ混合トコフェロールを僅かに(例えば、1%未満、0.0005%)含むオイルであることが好ましい。流動性パラフィンは食品添加物として用いられるものなので、殺菌後の器具に多少残留しても実質的に人体に無害である。従来において、このようなオイルが殺菌用に用いられたことはないであろう。流動性パラフィンは、比較的低粘度のパラフィン系脱蝋油を高度に精製したもので、典型的には沸点が330〜390°Cである。
次に、殺菌装置10の動作を説明する。使用者は、表示および操作部120の電源スイッチおよび表示部125を押すと電源スイッチおよび表示部125が電源オン状態を表示し、制御部200が起動する。使用者は、殺菌用オイル12を供給口122から加熱オイル槽132に油面センサ116の高さになるまで注ぎ入れて溜める。殺菌用オイル12の油面が最高位の油面センサ116の高さに達すると、油面検出部206はそれを検出して、その検出信号を音声合成部216に供給する。音声合成部216は、その検出信号の受信に応答して、殺菌用オイル12が満杯であることを表す音声メッセージを発生する。同様に、殺菌用オイル12の油面が油面センサ116の高さまで下がると、音声合成部216は、殺菌用オイル12が所要の高さより低いことを表す音声メッセージを発生する。殺菌用オイル12の油面が油面センサ113の高さまで下がると、音声合成部216は、殺菌用オイル12がほぼ空であることを表す音声メッセージを発生する。
油面センサ112、113、114および116は電極であり、油面検出部206は油面センサ112の電極と油面センサ113、114および116の電極の間の抵抗を測定することによって、殺菌用オイル12の高さを計測する。油面センサ112と113は同じ高さで互いに離して配置すればよい。
殺菌用オイル12の油面が油面センサ114の高さ以上であるとき、ヒータ・リレー制御部204は、ヒータ136にリレー制御で給電して殺菌用オイル12を設定された温度、例えば140°Cになるよう制御する。温度センサ110によって検出される温度がその設定温度に達すると、ヒータ・リレー制御部206は、それを温度表示器128に表示し、音声合成部216に、現在の温度が設定温度に達したことを表す音声メッセージを発生させる。次に、使用者は、蓋166を開いて、歯科治療用のハンドピースおよびメスのような使用済みの医療器具14を、高い位置にある有孔容器142内に入れて蓋166を閉じる。有孔容器142は、そのような医療器具14全体を収容するのに充分な横方向の長さおよび容積を有する。
次いで、使用者は、殺菌開始スイッチ123を押す。そのスイッチ123のターンオンに応答して、モータ駆動部208はモータ148を制御して、器具14の入った有孔容器142を、徐々にほぼ一定の速さで下降させて最低の高さまで移動させて加熱槽132内の殺菌用オイル12に浸す。有孔容器142が器具装填部150内の位置から加熱槽132内の位置まで下降する間にフラップ板140の位置を通過するとき、フラップ板140は、有孔容器142の底部によって押されて下向きに回転して開き、通過した後、バネの力で水平位置に戻る。
一方、殺菌開始スイッチ123が押されると、タイマ202は、所定時間、例えば4分を設定する。その間、ヒータ・リレー制御部206は、温度センサ110によって検出された温度に応じて殺菌用オイル12が設定温度になるようヒータ136をオン/オフ制御する。
その所定時間が経過すると、タイマ202は音声合成部216にその殺菌の終了を表す音声メッセージを発生させる。それと同時に、駆動部208は、モータ148を制御して、器具14の入った有孔容器142を加熱槽132から元の最高の高さまで徐々にほぼ一定の速さで上昇させて停止させる。有孔容器142が加熱槽132の位置から器具装填部150の位置まで上昇する間にフラップ板140の位置を通過するとき、フラップ板140は、有孔容器142の頂部によって押されて上向きに回転して開き、通過した後、バネの力で水平位置に戻る。
そのとき、有孔容器142内の器具は高温約140°Cであり、手で触るのは非常に危険である。有孔容器142は徐々に上昇するので、高温の殺菌用オイルを周囲にはね飛ばすことはない。有孔容器142から滴り落ちた殺菌用オイルの大部分は最終的には加熱槽132内に戻る。また、保護カバー162および蓋166があるので、使用者が誤って高温の有孔容器142および殺菌済みの器具14に触れる事故が防止できる。
有孔容器142が最高の高さまで移動したとき、タイマ202によって所定時間、例えば5分経過するまで、ファン駆動部212がファン168を動作させて、有孔容器142を側部から強制的に冷却する。ファン168の外側にはフィルタ312が設けられていて塵埃を除去して清浄な空気を送風する。空気は、保護カバー162に設けられた右側の開口から排出される。その所定時間が経過した後、ファン駆動部212は、タイマ202からの時間経過を表す信号に従ってファン168を停止させて、音声合成部216に器具14の殺菌が完了したことを表すメッセージを発生させる。このときの器具14の温度は40°C以下になっていることが好ましい。その後、使用者は蓋166を開けてその器具14を取り出せばよい。このような強制冷却によって、殺菌済みの器具14が短時間で使用できる状態になる。
その後、使用者は電源スイッチ125をターンオフする。殺菌用オイル12が汚れてきたときは、使用者は排出口124のバルブを開いて、その殺菌用オイルを別の容器に排出すればよい。
図5は、本発明の別の実施形態による殺菌装置30の概略的な垂直断面図を示している。図において、この殺菌装置30の説明に必要でない図1と共通の構成は、図面を簡明にするために示されていない。殺菌装置30は、主要殺菌部300と、器具装填部320とを含んでいる。主要殺菌部300は、内部右側に、有孔容器142に収容された医療器具14を殺菌するためのオイル加熱槽332と、その左側に外部から空気を取り入れるための空間310とを有する。
器具装填部320は、上蓋368を有する左側の保護カバー362によって覆われた器具装填空間340と、上蓋366を有する右側の保護カバー363によって覆われ有孔容器移動空間350と、を含んでいる。空間340と空間350は、有孔容器142を通すための開口を有する区画壁364によって区画されている。有孔容器142は、図5に向かって奥側に位置する区画壁364の開口を通って水平に回転して空間340と空間350の間を移動する。
主要殺菌部300の内部の中央の正面側の低位置にステップ・モータ370が設けられている。このモータ370は、容器移動機構345に係合されている。主要殺菌部300内の左側には、空気取り入れ空間310と外部の間の境界付近にフィルタ312と、空気取り入れ空間310と器具装填空間340の間の境界付近に冷却ファン168と、が設けられている。主要殺菌部300の底部には、図2および3と同様の電気回路構成390が設けられている。
動作を説明すると、使用者は、蓋368を開いて器具14を空間340内の位置33にある有孔容器142内に入れ、図1に示されているのと同様の殺菌開始スイッチ(123)を押す。そのスイッチ(123)のターンオンに応答して、駆動部208は、モータ370を制御して、器具14の入った有孔容器142をゆっくりと徐々に水平回転させて空間350内の位置35に移動させ、さらに有孔容器142を徐々にほぼ一定の速さで加熱槽332内の位置37まで移動させる。その後、図1〜3に関して説明したのと同様の形態で器具14が殺菌される。
器具14が殺菌された後、駆動部208は、モータ370を制御して、器具の入った有孔容器142を加熱槽132から位置35まで徐々にほぼ一定の速さで上昇させて加熱槽332の上でいったん停止させ、有孔容器142から大部分の殺菌用オイルが滴り落ちてしまうのを待ち、次いで、有孔容器142をゆっくりと徐々に水平回転させて空間340内の元の位置33に移動させる。
その後、タイマ202によって所定時間が経過するまで、ファン駆動部208がファン168を動作させて、有孔容器142を底部から強制的に冷却する。空気は、破線矢印によって示されているように内部を流れて保護カバーの間の隙間から外へ排出される。所定時間経過後、タイマ202は、ファン駆動部212にファン168を停止させて、音声合成部216に器具の殺菌が完了したことを表すメッセージを発生させる。その後、使用者は蓋368を開けてその器具を取り出す。
図6Aおよび6Bは、容器移動機構345の概略的構造およびその水平移動を示している。図6Aは、図6Bの容器移動機構345の線6A−6Aに沿った垂直断面図である。図6Bは、図6Aの容器移動機構345の線6B−6Bに沿った水平断面図である。容器移動機構345は、半円周に沿って形成された水平溝512およびその水平溝512に連続する垂直方向の溝514を含む外側の円筒状カム502と、螺旋型の溝505を有する内側の円柱状カム504と、を含んでいる。有孔容器142は、内側に係合突部508を有する円筒状の係合部材506と、連結部507とを含んでいる。
有孔容器142は、最初、図5における空間340中の位置33に対応する図6Aおよび6Bの位置Aに位置する。モータ370、従ってカム504が図6Bにおいて右回転すると、連結部507が円筒状カム502の水平溝512に沿って回転移動して、有孔容器142が図5の位置35に対応する図6Aおよび6Bの位置Bに到達する。この期間において、係合突部508は円柱状カム504の溝505の最高位の部分に係合している。
図7Aおよび7Bは、容器移動機構345の概略的構造およびその垂直移動を示している。図7Aは、図7Bの容器移動機構345の線7A−7Aに沿った垂直断面図である。図7Bは、図7Aの容器移動機構345の線7B−7Bに沿った水平断面図である。その後、モータ370、従ってカム504がさらに右回転すると、連結部507がカム502の垂直溝514に沿って下向き垂直方向Cに下降して、有孔容器142が図5の位置37に対応する位置に到達する。この期間において、係合突部508は円柱状カム504の溝505に沿って下降する。
その後、モータ370、従ってカム504が逆方向に回転すると、連結部507がカム502の垂直溝514に沿って図7Aの上向き垂直方向Dに上昇して、図6Aおよび6Bの位置Bの位置まで上昇する。この期間において、係合突部508は円柱状カム504の溝505に沿って上昇する。
その後、モータ370、従ってカム504がさらに逆方向に回転すると、連結部507がカム502の水平溝512に沿って回転移動して、有孔容器142が図5の位置35に対応する図6Aおよび6Bの最初の位置Aに戻る。
図8Aおよび8Bは、外側の円筒状カム502の右側面斜視図および上面図それぞれを示している。その構造は上述の説明で明らかなので、さらに説明する必要はない。
図5の容器移動機構345は、図1〜3の殺菌装置10において、スライド・ギア144、回転ギア146、スライド・ギア保持部164およびレール165によって構成された容器垂直移動機構の代わりに用いることができる。その場合、例えば、腕状部材15を有する垂直なスライド部材144の上端部を連結部507に連結させ、有孔容器142を腕状部材15に係止または載置すればよい。
本発明による殺菌装置を用いた医療器具の殺菌の実験結果を、以下に示す。
(1)エアータービン・ハンドピースをガス滅菌し、エアータービン・ハンドピースを用いて歯を切削した。
(2)そのハンドピースに付着している菌をBHI培地(ブレイン・ハート・インフュージョン・ブイヨン培地)2mlに接種し、細菌の種類を同定した。
(3)50%エチルアルコールに浸漬させたウェットティッシュでそのエアータービン・ハンドピースを清拭し、空回しでタービン内の水分を放散させた後、本発明による殺菌装置を用いて、流動性パラフィン(99.99995%)と混合トコフェロール(0.0005%)を含むオイル中でそのハンドピースを100°Cで4分間殺菌した。
その結果、殺菌前は、Viridans streptococci(口腔内レンサ球菌)が多数、Staphylococcus epidermidis(黄色ブドウ球菌)が少数、Staphylococcus aureus(表皮ブドウ球菌)が僅か、Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)が僅か、Streptococcus faecalis(糞便レンサ球菌)が僅かに検出された。しかし、本発明による装置での殺菌後は、これらの菌は全く検出されなかった。
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
図1は、本発明の実施形態による殺菌装置の斜視図を示している。 図2は、図1の殺菌装置の内部構造および動作を説明するためのもので、殺菌装置10の概略的な垂直断面図と、それに関連する回路とを示している。 図2は、図1の殺菌装置の内部構造および動作を説明するための別の図で、殺菌装置の概略的な垂直断面図と、それに関連する回路とを示している。 図4は、制御部の詳細な内部構成を示している。 図5は、本発明の別の実施形態による殺菌装置の概略的な垂直断面図を示している。 図6Aおよび6Bは、容器移動機構の概略的構造およびその水平移動を示している。 図7Aおよび7Bは、容器移動機構の概略的構造およびその垂直移動を示している。 図8Aおよび8Bは、外側の円筒状カムの右側面斜視図および上面図それぞれを示している。
符号の説明
10 殺菌装置
14 医療用器具
100 主要殺菌部
150 器具装填部
132 オイル加熱槽
136 ヒータ
142 有孔容器
144 スライド・ギア
146 回転ギア
148 モータ
162 保護カバー
166 蓋
390 電気回路構成

Claims (8)

  1. 器具を殺菌する殺菌装置であって、
    複数の開孔を有し前記器具を収容する有孔容器と、
    凹所を有する殺菌槽と、
    前記殺菌槽を加熱する加熱手段と、
    前記殺菌槽より上に設けられていて前記有孔容器を収容可能であり且つ前記有孔容器の外周側面との間に隙間を形成する空間を、包囲するとともに、該空間内の空気を外部に排出する開口を有する蓋及びカバーと
    前記空間のうち前記開口とは反対側に設けられて前記有孔容器の外側面と外底面のいずれかに向けて空気を直に当てる冷却ファンと、
    前記空間から前記凹所へおよび前記凹所から前記空間へ前記容器を垂直方向に移動させる移動手段と、
    を備えることを特徴とする殺菌装置。
  2. 前記移動手段が、前記有孔容器を実質的に一定の速さで垂直方向に移動させることを特徴とする、請求項1に記載の殺菌装置。
  3. さらに、前記加熱手段と前記移動手段を制御する制御手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の殺菌装置。
  4. 前記空間は前記殺菌層の上から水平方向に広がる空間を有し、
    前記移動手段は、前記殺菌層の上と前記水平方向に広がる空間との間で前記有孔容器を移動する機構を有し、
    前記冷却ファンと前記開口は、前記水平方向に広がる空間における下と上にそれぞれ配置されている、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の殺菌装置。
  5. 前記凹所は、流動パラフィンを含む液体を貯める領域であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の殺菌装置。
  6. 前記液体の存在を検出する油面センサを前記凹所内に有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の殺菌装置。
  7. 前記殺菌槽には温度センサが取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の殺菌装置。
  8. 前記有孔容器の底部に少なくとも1つの開孔を有していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の殺菌装置。
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