JP3776720B2 - 印刷版の再生方法及び印刷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷版の再生方法、及び印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷法は、印刷版の製作工程が簡便である理由によって、現在の主要な印刷手段となっている。この印刷技術は、印刷したい画像情報に応じて、版面(印刷版の表面)を親水的な領域と疎水的な領域に作り分け、親水的な領域に湿し水が、疎水的な領域にインキが保持される機構とし、このインキが保持された版面を印刷される面と直接、あるいはブランケットと称する中間体を介して間接的に接触させることで、インキが印刷される面(一般には紙面)に転写されて印刷が行われる。
【0003】
現在実用化されているオフセット印刷機においては、印刷版は新品の状態から1度だけ印刷画像を書き込んで使用し、印刷が終了した段階で、廃棄される。資源の節約、廃棄物処理の環境への影響などを考慮すると、繰返し使用できる印刷版及びそれに適合する印刷機の開発は、印刷にかかるコスト削減という事業者が享受する直接的なメリットに加え、省資源、環境問題という間接的なメリットもあるため、これまでに多くの試みが提案されてきた。
【0004】
従来から提案されてきた、繰返し使用できる印刷版及び印刷機の方式は、大きく分けて2種類ある。ここでは各々を「方式A」、「方式B」と称して、以下に詳細に説明する。
なお、ここでいう「繰返し使用できる」方式とは、印刷機に印刷版をセットしたまま、印刷画像を書き込む、あるいはそれまでの印刷画像を消去して新たな印刷画像を書き込むことができる、といった形態の印刷機に関する方式をいい、印刷版を印刷機から取り外して、印刷機とは異なる装置で印刷画像を書き込む、あるいはそれまでの印刷画像を消去して新たな印刷画像を書き込むことができる、といった形態の印刷機に関する方式は対象外とする。後者の方式においては、製版機等で作成した印刷版を印刷機に装着し、印刷後、印刷版を取り外して、繰返し使用できるようにする工程を経た後、再び印刷機に装着しなければならず、その労力と作業時間を勘案すると、印刷版を繰返し使用することで享受できる低コストのメリットが実質的には失われているためである。
【0005】
まず、方式Aについて説明する。
この方式Aは、親水性の性質を示す材質で印刷版を作製し、その版面に疎水性の性質を示す液体を塗布し、この疎水性の液体を選択的に削除する、あるいはその表面物性を変質させて親水的な表面に変換し、疎水性部分と親水性部分とを現出させることで画像を書き込むものである。このように、印刷版の下地として親水性の性質を示す材質としては、例えば、一般的な製品名称でPS版(Presensitized Plate)と呼ばれる、酸化アルミニウムを用いたものが挙げられる。
【0006】
方式Aの一例として、例えば米国特許第4718340号公報に開示されているように、酸化アルミニウムを含む材質で印刷版を作製し、その版面に疎水性の性質を示す液体を塗布し、この疎水性の液体をレーザー等によって選択的に削除して、所望の印刷画像を形成する方式(方法)である。この方法の欠点は、疎水性領域の耐久性が低いことである。
その欠点を克服する改良方法が、米国特許第5129321号公報に開示されている。この方法では、親水性の版面に疎水性物質を塗布する方法に関し、疎水性物質のコーティングを版面に融着させて疎水性物質の耐久性を増大させている。さらに、印刷終了後に版面をクリーニングし、再び版面に疎水性物質を塗布することで、印刷版を再生し、繰返し使用できるようにしている。ここで、クリーニングとは、版面に残留している疎水性物質のコーティングを除去することを意味する。この方法の欠点は、版面のクリーニングにおいて、古い疎水化物質のコーティングを完全に除去することが非常に困難であることである。クリーニングの後で除去できなかった疎水化物質が僅かでも残ると、版面を機能不全にするためである。
【0007】
クリーニング後に、疎水化物質の残留を許容するような方法を用いることで、前述の欠点を克服する試みは、特開平9−99535号公報で開示されている。この発明においては、オフセット印刷版は表面の特性のみが重要である点に着目し、新たに塗布する疎水化物質の表面層が汚染されないようにしさえすればよいと主張している。すなわち、クリーニング後に、PS版等の印刷版の下地に疎水性物質の痕跡を全く残らないようにするのではなく、疎水化物質が残ることは許容し、残ってしまった疎水化物質の上に、スプレー法などで新たな疎水化物質を塗布する。次に、印刷画像の書込みにおいては、前述の米国特許第4718340号が、アブレーション法、すなわち物理的に疎水化物質を除去して印刷画像の形状を表現したのに対し、同発明は、レーザー光を疎水化物質に照射し、加熱することで、疎水化物質の表面物性を変質させて親水的な表面に変換している。この場合、レーザー照射された疎水化物質は除去されず、その表面物性のみが親水性に変換されている。このような方法は一般にサーマル法、サーマルモードと呼ばれる。
なお、同発明においては、クリーニングの方法として、ブランケットワッシャー等を用いた方法を示している。これは、インキ及び疎水化物質を溶解する能力を備えた溶剤をしみ込ませた拭い材で版面をこすりとる方法である。
【0008】
同発明の問題点は、疎水化物質の印刷版の下地への密着性にむらが生じることである。印刷版の当初の下地は親水性の表面であるのに対し、クリーニングで除去しきれなかった疎水化物質で被覆された個所は、当然ながら疎水性の表面である。よって、スプレーなどで疎水化物質を塗布し、適度な加熱によって下地に密着させるという同発明の塗布法は、疎水化物質の下地との密着性に関し、塗布前に残留していた疎水化物質の痕跡を履歴に持ってしまう欠点がある。つまり、疎水化物質の密着性が版面全体で均質ではなく、むらを生じることを意味し、疎水化物質の印刷に対する耐久性が版面全体で均質でなくなる。
【0009】
このような問題が生じるのは、クリーニングにおいてインキと疎水化物質の完全なる除去を放棄し、残留物を許容して、再び疎水化物質を塗布する工程に進むという印刷システムを採用していることが根源であると考えられる。
【0010】
次に、方式Bについて説明する。
この方式Bは、酸化チタン等の光触媒を含む膜(光触媒膜)を印刷版の表面に用いる方式であり、次世代の印刷方法として期待が寄せられている。この方式Bに関しては、詳細に関しては異なるものの、特開平10−250027号公報、特開2000−131827号公報、特開平11−249287号公報、特開平11−305422号公報、特開2000−62335号公報等において記載されている。
【0011】
この方式Bの特徴は、光触媒にバンドギャップエネルギーよりも高い光子エネルギーの光を照射すると光触媒の表面の濡れ性が変化して、親水性表面になるという発見に基づき、オフセット印刷版における非画像領域として応用する点である。画像領域を形成するには、疎水的な表面状態にする必要があり、その方法に関しては、特開2000−62335号公報や特開2000−203144号公報等に記載されているように、疎水基を有する有機物質を光触媒の表面に結合、あるいは吸着させて疎水的な表面を実現するという技術が一般的である。このように疎水的な表面を実現するために使用する有機物質のことを、以降は疎水化物質と呼ぶことにする。
【0012】
この方式Bに共通する課題は、印刷終了後に版面に残留しているインキ、湿し水、及び疎水化物質の除去方法である。インキ等の除去を行うクリーニング方法としては、クリーニング装置等でインキを除去するのが一般的であるが、具体的な手段としては、主にインキ溶剤を何らかの方法で版面に接触させて溶剤にインキを溶かしこむ、さらには、溶剤で湿らせた布などで、版面を拭い取る、擦り取るという方法である。疎水化物質の除去に対しても、疎水化物質を溶解させる能力を有する溶剤を用いて、疎水化物質を溶解させて除去する方法をとっている。
【0013】
しかし、これら溶剤を用いた方法は、対象物の除去をほぼ完全といえるまで遂行しようとすると、大変に労力、費用がかかり、溶剤の廃液処理の問題も生じてくる。つまり、見た目に清浄な程度までインキ等を除去するのであればよいが、インキ等をほぼ完全に除去する、すなわち分子レベルでの除去を行おうとすると、実際上困難である。これは、特開平9−99535で指摘されているとおり、溶剤でインキを除去する行為は、逆に言えば溶剤をインキで汚染させているとも言え,インキが溶解している溶剤で版面を洗浄し、溶剤が乾いた後には、非常に薄い不揮発性物質の層が汚れとして版面に残留してしまう。この事態を避けるには、新しく清浄な溶剤に変えて洗浄し直すという手順を必要なサイクルだけ繰り返さなくてはならない。
【0014】
この方式Bにおいて、インキ等の除去が不完全な場合の弊害については、例えば、特開2000−131827号公報の従来技術に関する説明個所に記載されている。ここでは、印刷が終了した印刷版に、インキ除去等の再生処理を施して新しい印刷画像を書き込んで印刷を実施すると、印刷紙面のインキ汚れの程度が新品の印刷版に比較して高くなるとし、この理由として、インキの洗浄が不完全であることを挙げている。すなわち、光触媒表面に光を照射させることで親水化した部分を、非画線部として利用するのであるが、インキ等の残留汚れがある場合には、インキが高分子であるために容易には分解されず、その結果、版面の親水化を妨げる働きをする。よって、印刷画像では本来、非画線部であった領域が十分に親水化されず、一部が疎水的な表面のままとなり、その疎水面にインキが受容されて、印刷紙面のインキ汚れを発生させている。
【0015】
このように、方式Bにおいては、インキ、疎水化物質等といった有機物の除去に際し、ほぼ完全なる除去、すなわち分子レベルでの除去を行う必要がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、方式Aと方式Bは、全く異なる技術的思想に基づく印刷版の再利用方法であるが、インキ等の有機物を印刷版上からほぼ完全に除去することが非常に困難であるという、共通の課題を有しているといえる。すなわち、方式Bにおける課題は上記の通りであるが、方式Aにおいても、インキ等の有機物のほぼ完全なる除去が可能であれば、残留物の存在を許容する必要はなく、上記課題を解決できると考えられる。
しかし上記のように、クリーニング装置等で溶剤を用いてインキ等の有機物を除去するという、これまでの方法のみでは、有機物を分子レベルまで除去することは実際上困難であり、溶剤が乾いた後には、非常に薄い不揮発性物質の層が、汚れとして印刷版表面に残留してしまう。
本発明者らは鋭意検討の結果、この薄い汚れの層をほぼ完全に除去することができる方法を見出し、本発明をするに至った。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、印刷版の表面に残留する有機物を、分子レベルでほぼ完全に分解除去し、印刷版の信頼性、耐久性を高めるとともに、印刷障害を有効に防止しうる印刷版の再生方法、及びこうした再生方法を好適に実施しうる印刷機を提供すること、を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、表面が親水性を示す印刷版の、前記表面のうちの少なくとも一部に有機物が付着して、疎水性を示す部分が存在している印刷版を再生させる方法であって、前記表面に大気プラズマを照射して、該表面の有機物を分解除去する大気プラズマ照射工程と、前記大気プラズマ照射工程の前に、前記有機物を払拭除去する有機物払拭工程とを有することを特徴とする。
【0020】
更に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷版の再生方法であって、前記印刷版は、酸化アルミニウムを含む材料により構成されていることを特徴とする。
【0021】
更に、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の印刷版の再生方法であって、前記印刷版は、光が照射されることで表面が親水性を示す光触媒膜を含むことを特徴とする。
【0022】
このように、大気プラズマを照射して有機物を分解除去するようにしているので、印刷版の表面上に残留するインキ等の有機物を高効率で分解し、分子レベルまでほぼ完全に分解除去することができる。
また、こうした大気プラズマを照射する前に予め有機物を払拭除去しておけば、大部分の有機物を除去しておいてから、肉眼で認識できない程度に付着している有機物に大気プラズマの照射を行って分解除去することができる。
そして、大気プラズマによって有機物を分解除去するため、印刷版の材質に拘わらず、好適に有機物を分子レベルまで分解除去することができる。すなわち、酸化アルミニウムを含む材料で構成されている従来からのPS版にも、酸化チタン等の光触媒膜を含む印刷版にも、適用させることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、表面が親水性を示す印刷版の、前記表面のうちの少なくとも一部に有機物が付着して、疎水性を示す部分が存在している印刷版を再生させる印刷機であって、前記表面の有機物を払拭除去する有機物払拭装置と、前記表面に大気プラズマを照射して、該表面の有機物を分解除去する大気プラズマ照射装置とを備えていることを特徴とする。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の印刷機であって、前記表面の有機物を払拭除去する有機物払拭装置を備えていることを特徴とする。
【0025】
印刷機の構成をこのようにしたことで、請求項1又は請求項2に記載の印刷版の再生方法を、印刷機上において好適に実施することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る印刷版の再生方法及び印刷機の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
この印刷版の再生方法においては、従来例において示した印刷版のクリーニングを実施した後、印刷版の表面に大気プラズマを照射する大気プラズマ照射工程が加わる。この大気プラズマ照射を実施することによって、溶剤による洗浄の後に、印刷版の表面に薄く残留する汚れの層を、分子レベルで分解除去し、ほぼ完全なるクリーニングを行うことができるものである。
【0027】
まず、大気プラズマについて説明する。
一般に、物品の表面清浄化の一手法として、プラズマ処理が知られている。これは、処理対象の物品を真空容器内に設置し、減圧環境にして、所定の反応ガスの流通下で電極に高周波を印加してプラズマを立たせ、このプラズマにより誘起された各種ラジカルで、対象物品表面に付着した汚れ物質を分解し、表面を清浄化する技術である。このとき、ラジカル以外に、プラズマ自体が有する熱エネルギー(数万℃〜数10万℃)で、汚れ物質を燃焼させる効果もあるとされている。
【0028】
プラズマにさらされた物品の表面は、汚れ物質が除去されて、表面エネルギーが高い状態となる。表面エネルギーが高い状態の表面は、水に対する濡れ性が良好となり、親水的な表面となる。これまで、実質上は減圧環境に限定されてきたプラズマ処理であるが、条件次第では、大気圧環境下においてもプラズマ処理を実現することができる。このような、大気圧環境下におけるプラズマを、「大気プラズマ」と称している。
【0029】
こうした大気プラズマは、例えば、2枚の電極間に高周波を印加し、電極材として熱電子を放出しやすい素材を選択することで、これら2枚の電極の間の空間に発生させることができる。この方法は、一般にRFプラズマ法と呼ばれている。そして、大気プラズマの存在領域は、電極同士の間の空間だけに限定されず、何らかの送風機構を組み合わせることで、空気の流れを電極間に形成し、大気プラズマを電極間よりも外側に送り出すことができる。
このように、電極の外側に送り出された大気プラズマは、電極の干渉なく、対象物品の表面に到達し、その表面の清浄化に寄与できる。
なお、大気プラズマを発生させる方法としては、RFプラズマ法の他にも、マイクロ波発生装置から発生したマイクロ波を利用してプラズマを発生させるマイクロ波励起プラズマ法などがある。
【0030】
本実施形態に係る印刷機について、図1及び図2を用いて説明する。
この印刷機Aには、版胴1と、版胴1に装着される印刷版2と、印刷版2の版表面(表面)2aに大気プラズマPを照射する大気プラズマ照射装置3と、版材表面2a上に付着しているインキ等の有機物を払拭除去するクリーニングローラ(有機物払拭装置)8と、が備えられている。
なお、図示は省略するが、インキ供給機構、湿し水供給機構、あるいはブランケット胴といった、従来からの印刷機、特にオフセット印刷機に備えられている構成要素も、備えられている。
【0031】
版胴1には、印刷版2が装着されている。この印刷版2は、例えば、従来のPS版と呼ばれる実用版の酸化アルミニウムの下地であってもよく、あるいは、光触媒を利用した印刷版であってもよい。
版胴1及び印刷版2は、図示しないアクチュエータによって図中矢印a方向に回転され、印刷及び印刷版の再生が行えるようになっている。
【0032】
印刷版2表面には、図2に示すように、従来のクリーニング工程を経た後に残留している汚れ物質(有機物)9が存在している。これら「汚れ物質」とは、インキ、疎水化物質あるいは塵埃等といった、印刷版2表面に付着してその親水化(親水的な表面の形成)を阻害する有機物をいうものとする。なお実際には、これらの汚れ物質9は、肉眼では認識できない程度の汚れ具合であり、図2においては、模式的に表現したに過ぎない。
【0033】
大気プラズマ照射装置3は、図1に示すように、大気プラズマ照射ヘッド(ヘッド)4と、ヘッド4を制御する大気プラズマ照射コントローラー(コントローラー)5と、これらヘッド4とコントローラー5とに接続されるケーブル6と、から解略構成されている。
ヘッド4は、例えば移動ステージやワイヤ等で構成される図示しない機械要素によって、印刷版2の回転軸線方向(矢印b方向)に走査される。
【0034】
ヘッド4には、大気プラズマPを発生させるための機構が組み込まれており、コントローラー5には、ヘッド4に供給する電気信号を発生させるための電源、電源の制御機構、及び、室内空気を吸入するためのファンが組み込まれている。ケーブル5は、コントローラー5からヘッド4に向けて、プラズマ発生のための電気信号を送信するとともに、コントローラー5で吸入した空気を伝送できる機構となっている。
なお、コントローラー5で空気を吸入する方法の他に、工場などに設置済みのガス供給ライン、あるいは、ガスボンベを利用して、ヘッド4にガスを供給する方法であってもよい。この場合のガスは、取扱性やコストの点からは、乾燥窒素、あるいは空気、乾燥空気等を使用するのが好ましい。これらの他にも、アルゴン、ヘリウム等の希ガス、あるいは酸素、水素などの支燃性、可燃性ガスも使用可能である。
【0035】
ヘッド4は、図2に示すように、2枚の電極10a、10b間に高周波を印加させてプラズマを発生させることで、RFプラズマ法によって大気プラズマPを発生させるようになっている。そして、コントローラー5から大気プラズマ発生領域に空気を送り込むことで、大気プラズマPの存在領域を空気の流れ方向に伸ばすことができる。このような機構により、ヘッド4の外部に放出された大気プラズマPを、印刷版2の表面に照射することができる。
【0036】
ヘッド4の内部の先端部分には、2枚の電極10a、10bが対向し、電気ケーブル11によって電気信号が電極10a、10bに印加されている。コントローラー5から伝送された空気は、符号fで示す空気流となり、対向する電極10aと10b間の空間領域に発生した大気プラズマPを、ヘッド4の外側領域に押し出すようにする。
【0037】
電極10a、10bの素材としては、熱電子を放出し易い素材が適しており、例えばタングステン等が好適である。
また、電極10aと電極10b間の距離、すなわち電極間距離は、印加電圧との関係で定まる。一般に、大気圧の空気の絶縁破壊の電界強度は、数10kV/cmであるが、純粋な気体と異なり、実際の空気は、窒素、酸素の他に、二酸化炭素など多数のガスで構成され、さらに水蒸気も含まれるので、気象条件により水蒸気量は大きく変動する。さらに、空気中には微小な埃も浮遊しているので、絶縁破壊の電界強度を一意に定めることは、実際には困難である。ここでは、20kV/cmを、絶縁破壊の電界強度レベルとして定める。
【0038】
実用上望ましい電極間距離の値としては、1mm〜10mm、さらに望ましくは5mm〜10mmである。これは、以下に述べる2つの理由による。
第1に、電極間距離を印加電圧の観点から考慮した場合には、1mm〜20mmが好適であるということになる。この電極間距離では、対応する印加電圧は2kVから40kVとなる。電極間距離を1mmよりも狭くすると、プラズマ発生領域が狭くなり、その結果プラズマ照射領域が狭くなるため、好ましくない。逆に、電極間距離を20mmよりも広くすると、必要な印加電圧が高くなる弊害があり、電源等の設備が大型化し、コストが高くなるという弊害がある。
【0039】
第2に、大気プラズマ発生領域の観点から考慮した場合には、10mm以下が好適であるということになる。空気流fで電極10a、10bの外側領域にプラズマを押し出すのに際し、大気圧下ではプラズマの寿命が短いため、プラズマの存在領域は、電極から外側に向かって数cm程度、より具体的には、例えば10〜20mmである。したがって、電極10a、10bから対象物(ここでは印刷版2)までの距離、すなわちワークディスタンスは、プラズマが存在する領域で決まり、ワークディスタンスの上限は数cmとなる。印刷版2の支持体は、版胴1に巻きつける必要があるので、多くの場合は金属、具体的には、PS版の場合はアルミニウムである。ここで、電極間距離とワークディスタンスが同程度の距離になると、印刷版2が接地電極の役目を果たし、プラズマ発生状況が設計と異なる状況になる不具合がある。したがってこの場合、電極間距離の上限は、実質的には10mm程度となる。
以上の事情を考慮すると、実用上、望ましい電極間距離は1mm〜10mm、さらに望ましくは5mm〜10mmとなる。
【0040】
クリーニングローラ8は、印刷版2表面に対して当接離間可能に設けられているローラであり、印刷版2表面に付着した有機物を、溶剤等を用いて払拭除去するためのものである。すなわち、印刷機Aが印刷を行っている間は、印刷版2から離間させておき、印刷が終了し印刷版2のクリーニングを行う場合に、印刷版2表面に当接させて有機物の払拭除去を行う。
【0041】
この印刷機Aを用いた印刷方法について説明する。
まず、印刷開始前に画線部領域を形成する。この画線部領域の形成を行う工程は、印刷版2の材質によって異なる工程となる。
印刷版2にPS版を用いた場合(従来例における方式Aに相当する)には、親水性の下地の表面に、新たにスプレー法等で画線部となる疎水化物質を塗布する「疎水化物質塗布工程」を経た後、レーザー光を疎水化物質に照射・加熱し、疎水化物質の表面物性を変質させて親水的な表面に変換し、画線部領域を形成する、つまり印刷画像を形成する「画像形成工程」へと続く。
また、印刷版2に光触媒膜を用いた場合(従来例における方式Bに相当する)には、疎水基を有し疎水化物として作用する有機物を、光触媒の表面に結合、あるいは吸着させて疎水的な表面を実現する「有機物塗布工程」を経た後、光を印刷版2表面に照射して、照射部のみ親水化することにより画線部領域を形成する、つまり印刷画像を形成する「画像形成工程」へと続く。
【0042】
こうして画線部領域が形成された印刷版2表面に、インキ、湿し水等を塗布して、印刷を行う。
【0043】
次に、この印刷機Aを用いた、印刷版2の再生方法について説明する。この再生方法は、印刷版2の種類によらず同一であり、「有機物払拭工程」と「大気プラズマ照射工程」とからなる。この「再生」とは、印刷終了後に印刷版2表面をクリーニングした後、新たな画線部領域の形成を可能とするまでをいう。
【0044】
まず、印刷終了後、有機物払拭工程として、クリーニングローラ8を印刷版2表面に当接させて、溶剤を用いて印刷版2表面に付着したインキ、疎水化物質等の有機物を払拭除去する。この払拭除去は、肉眼では有機物の残留が認識できない程度まで行う。すなわち、この有機物払拭工程は、従来例において示したクリーニング方法とほぼ同一の工程である。
なおこのとき、インキを印刷版2に供給する機構、あるいは湿し水を印刷版に供給する機構は、印刷版2とは非接触とし、いわゆる「刷り動作オフモード」の状態としている。これは、次工程である「大気プラズマ照射工程」においても同様である。
有機物の払拭除去が終了した後、クリーニングローラ8を印刷版2表面から離間させておく。
【0045】
次に、大気プラズマ照射工程として、大気プラズマ照射装置3を用いて、印刷版2表面に大気プラズマPを照射する。すなわち、大気プラズマPをヘッド4から外部に放出させ、印刷版2表面に到達させて、汚れ物質9を含む印刷版2表面全体を清浄化させる。
このとき、大気プラズマPの存在領域は数cm程度であるので、印刷版2の横幅全体に大気プラズマPを照射するために、機械要素によってヘッド4を矢印bの方向に走査する。このとき、版胴1は矢印aの方向に回転しているので、大気プラズマPの照射による印刷版2の汚れ物質9除去の効率、印刷版2の回転速度から、あらかじめ適切な矢印bの方向への走査速度を割り出しておけば、ヘッド4を1回だけ矢印bの方向に走査するだけで、印刷版2表面の全ての領域に対して、大気プラズマPを照射することができる。
【0046】
大気プラズマ照射が終了した後、ヘッド4に供給している電気信号、空気の伝送を止めて、大気プラズマ照射装置3の動作を停止させる。そして、以後の印刷のための工程、例えば、疎水化物質の塗布工程、印刷画像の書き込み工程あるいはインキ塗布工程等を行うための機械要素と干渉しないよう、ヘッド4を適宜移動させる。
【0047】
大気プラズマPに晒された印刷版2表面は、汚れ物質9が除去されて、表面エネルギーが高い状態となる。表面エネルギーが高い状態の表面は、水に対する濡れ性が良好となる。この状態は親水的な表面であり、印刷版2においては非画線部として機能する。
印刷版2表面全体が親水的な表面となることにより、印刷版2は印刷前の状態に戻り、再生が完了する。以後は、印刷のための工程を経て、再び印刷を行うことができる。
【0048】
このように、大気プラズマPの照射によって表面が洗浄化される作用は、プラズマにより誘起された各種ラジカルで汚れ物質を分解除去する作用と、プラズマ自体が有する熱エネルギー(数万℃〜数10万℃)で、汚れ物質を燃焼させて除去する作用と、が複合化された状況であると想定される。
【0049】
表面清浄化の程度を表すパラメーターとして、本発明では、水との接触角を利用した。この接触角の測定は、JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に基づいて行った。
【0050】
材質に依らず、表面が清浄化された表面は表面エネルギーが高い状態にあり、そのような表面に対して水は良く濡れる、すなわち水との接触角が0度に近くなる。一般に、非常に濡れのよい状態の目安は、接触角が10度以下であるが、そのような表面は、注意深く念入りに洗浄した物品の洗浄直後にしか実現しない。例えば、大気中に放置した物品は、その表面が次第に汚染されて接触角10度以上になるのが通常である。
【0051】
大気プラズマ照射による表面の清浄化の効果を確認するため、以下に示す実験を実施した。これらの実験を、第1〜第5の実施例として説明する。
【0052】
まず、これら実施例で用いた大気プラズマの発生手段としては、大気プラズマの照射条件の再現性等を考慮し、追試が可能となるように、市販の大気プラズマ発生装置(ST−7000 株式会社キーエンス)を用いた。この大気プラズマ発生装置は、図1及び図2において示した大気プラズマ照射装置3と略同一の構成であるので、各構成要素の名称及び符号は、同一のものを用いる。
この大気プラズマ発生装置3においては、電極10a、10bの素材にタングステンを用い、電極間距離を約5mm、印加電圧を交流約20kHzで10kV、電流は約100mA、電極と照射対象物との距離、すなわちワークディスタンスを約6mmに設定した。そして、電極10a、10bへの交流電圧の印加は、電極部の加熱防止を考慮して、約8msec毎に電圧印加オンとオフを繰り返した。電極10a、10b間に発生した大気プラズマPを対象物に吹き付けるために、空気流fを利用するが、これは、コントローラー5で吸引した室内空気をケーブル6を経由して、ヘッド4に送り込んでいる。
発生した大気プラズマPを対象物の表面に所定の時間だけ照射し、照射の前後における対象物の水との接触角を計測した。さらに、照射前後の表面汚れの様子を光学顕微鏡で観察した。観察の倍率は50倍から1000倍である。
【0053】
第1実施例においては、照射対象物として、一般に市販されているスライドガラスを用いた。
スライドガラスの表面に付着している埃などを、中性洗剤を用いて洗浄した後の状態を初期状態とする。このとき、接触角は20度〜30度であり、通常の分類で言えば、濡れのよい状態である。このスライドガラスに前述の大気プラズマを3秒間照射したところ、接触角は約5度となり、非常に濡れのよい表面を実現できた。光学顕微鏡の観察では、表面汚れは認められなかった。
【0054】
また、第2実施例においては、照射対象物として、一般に市販されているスライドガラスを用いた。上記第1実施例とは、初期状態が異なっている。
スライドガラスの表面に付着している埃などを、中性洗剤を用いて洗浄した後、インキの溶剤であるダイクリーンを染みこませた布にインキを少量付着させ、その布でスライドガラス表面を拭い、インキ汚れを模擬したサンプルを用意した。この状態を初期状態とした。インキの付着厚さは未計測であるが、肉眼の観察で、インキの着色が容易に認められる程度のインキ厚さであった。この状態は、図3で示した従来技術における溶剤を用いたクリーニングの仕上りよりも、明らかにインキの付着量が多い状態、すなわち過負荷状態となっている。使用したインキは東洋インキ株式会社製 ハイエコー藍である。初期状態の接触角は約40度であった。
【0055】
このインキが付着したスライドガラスに前述の大気プラズマを40秒間照射したところ、接触角は約15度となり、濡れのよい表面を実現できた。光学顕微鏡の観察では、付着インキの大部分が除去されており、一部、インキの残留が認められた。さらに、大気プラズマを照射することで、完全にインキを除去できることは言うまでもない。本結果から、大気プラズマ照射でインキ除去が可能であり、表面は親水化することが示せた。初期状態のインキ付着量、すなわち除去対象物の負荷に合わせて、大気プラズマ照射時間をあらかじめ求めておけば、適切なインキ除去が実施できる。
【0056】
更に、第3実施例においては、照射対象物として酸化アルミニウム、すなわちPS版の下地を用いた。このPS版の仕様は、市販のFUJI PS−PLATE VSである。
PS版の感光層を除去し、下地である酸化アルミニウムを露出させたサンプルを用意し、数週間放置した状態を初期状態とした。初期状態の接触角は約30度であった。このPS版に前述の大気プラズマを3秒間照射したところ、接触角は約8度となり、非常に濡れのよい表面を実現できた。光学顕微鏡の観察では、表面汚れは認められなかった。
【0057】
更に、第4実施例においては、上記第3実施例におけると同一仕様のPS版の下地を、照射対象物として用いた。上記第3実施例とは、初期状態が異なっている。
PS版の感光層を除去し、下地である酸化アルミニウムを露出させたサンプルを用意した。PS版の仕様は、市販のFUJI PS−PLATE VSである。このときの、水との接触角は約30度であった。次に、インキの溶剤であるダイクリーンを染みこませた布にインキを少量付着させ、その布でPS版表面を拭い、インキ汚れを模擬したサンプルを用意した。この状態を初期状態とした。インキの付着厚さは未計測であるが、肉眼の観察で、インキの着色が容易に認められる程度のインキ厚さであった。この状態は、従来技術における溶剤を用いたクリーニングの仕上りよりも、明らかにインキの付着量が多い状態、すなわち過負荷状態となっている。使用したインキは東洋インキ株式会社製 ハイエコー藍である。初期状態の接触角は約100度であった。
【0058】
このインキが付着したPS版に、前述の大気プラズマを40秒間照射したところ、接触角は約12度となり、濡れのよい表面を実現できた。光学顕微鏡の観察では、付着インキの大部分が除去されており、一部、インキの残留が認められた。さらに、大気プラズマを照射することで、完全にインキを除去できることは言うまでもない。本結果から、大気プラズマ照射でインキ除去が可能であり、PS版の下地である酸化アルミニウム表面を親水化できることが示せた。初期状態のインキ付着量、すなわち除去対象物の負荷に合わせて、大気プラズマ照射時間をあらかじめ求めておけば、適切なインキ除去が実施できる。
【0059】
更に、第5実施例においては、照射対象物として、酸化チタン(TiO2)光触媒膜を用いた。この光触媒膜は、三菱重工業製のものである。
この光触媒膜は、紫外線を照射することで接触角10度以下まで親水化することを確認済のサンプルであり、暗所で数ヶ月放置した状態を初期状態とした。初期状態の接触角は、約80度と疎水的な表面状態であった。この光触媒膜に、前述の大気プラズマを3秒間照射したところ、接触角は約8度となり、非常に濡れのよい表面を実現できた。光学顕微鏡の観察では、表面汚れは認められなかった。
【0060】
照射対象物が光触媒の場合、プラズマ照射による効果は、プラズマによるラジカル反応、燃焼反応に加え、プラズマが放出する光による光触媒効果が含まれる。したがって、光触媒に対する大気プラズマ照射は、他の素材よりも、さらに効果的である。
【0061】
本実施形態に係る印刷版の再生方法においては、印刷版2表面に大気プラズマPを照射して、残留する有機物を分解除去する大気プラズマ照射工程を有するようにしている。そのため、従来のクリーニングでは除去しきれなかった、印刷版2表面上に残留する有機物を、高効率で分解し、分子レベルまでほぼ完全に分解除去することができ、印刷版の信頼性、耐久性を高めることができる。そして、有機物の除去が不完全であることに起因する印刷障害の発生を、有効に防止することができる。
【0062】
また、こうした大気プラズマ照射工程の前に、有機物を払拭除去する有機物払拭工程を有するようにしているので、大部分の有機物を予め除去しておいてから、肉眼で認識できない程度に付着している汚れ物質9に大気プラズマPの照射を行って分解除去することができる。そのため、分解除去に要する大気プラズマPの照射量や照射時間を短縮し、省エネルギー化を図ることができ、分解除去の効率を飛躍的に向上させることができる。
【0063】
更に、大気プラズマPによって有機物を分解除去するため、印刷版2の材質に拘わらず、好適に有機物を分子レベルまで分解除去することができる。すなわち、酸化アルミニウムを含む材料で構成されている従来からのPS版にも、酸化チタン等の光触媒膜を含む印刷版にも、適用させることができ、実質的にほぼ全てのオフセット印刷法に適用させることができ、高い汎用性を確保できる。
【0064】
また、本実施形態に係る印刷機Aにおいては、大気プラズマ照射装置3及びクリーニングローラ8を備えるようにしているので、上記の印刷版の再生方法を、印刷機上で好適に実施することができ、迅速な印刷及び再生を行って、ランニングコストを低減することができる。
【0065】
なお、上記実施形態においては、溶剤を用いて印刷版に付着したインキ等を除去する工程、すなわち有機物払拭工程を有することとしたが、例えば印刷版へのインキの残留が非常に僅かである場合等には、この有機物払拭工程を省略して、大気プラズマ照射工程のみとしても、差し支えない。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る印刷版の再生方法及び印刷機によれば、大気プラズマを印刷版の表面に照射するように構成しているので、印刷版の表面に残留する有機物を分子レベルでほぼ完全に分解除去し、印刷版の信頼性、耐久性を高めるとともに、印刷障害を有効に防止しうる印刷版の再生方法、及びこうした再生方法を好適に実施しうる印刷機を提供することができる。
また、本発明により、殆ど支障無く印刷版を繰返し使用できるようになるため、印刷版の使用量、廃棄量の減量化が達成され、事業者はランニングコスト低減という利益を享受することができ、また社会的には、廃棄物処理量の低減による環境負荷軽減の一助とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る印刷版の再生装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 図1におけるプラズマ照射装置の一部を拡大して示す部分断面図である。
【符号の説明】
A 印刷機
1 版胴
2 印刷版
3 大気プラズマ照射装置
4 ヘッド(大気プラズマ照射ヘッド)
5 コントローラー(大気プラズマ照射コントローラー)
6 ケーブル
8 クリーニングローラ(有機物払拭装置)
9 汚れ物質(有機物)
10a、10b 電極
P 大気プラズマ
Claims (4)
- 表面が親水性を示す印刷版の、前記表面のうちの少なくとも一部に有機物が付着して、疎水性を示す部分が存在している印刷版を再生させる方法であって、
前記表面に大気プラズマを照射して、該表面の有機物を分解除去する大気プラズマ照射工程と、前記大気プラズマ照射工程の前に、前記有機物を払拭除去する有機物払拭工程とを有することを特徴とする印刷版の再生方法。 - 前記印刷版は、酸化アルミニウムを含む材料により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷版の再生方法。
- 前記印刷版は、光が照射されることで表面が親水性を示す光触媒膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷版の再生方法。
- 表面が親水性を示す印刷版の、前記表面のうちの少なくとも一部に有機物が付着して、疎水性を示す部分が存在している印刷版を再生させる印刷機であって、
前記表面の有機物を払拭除去する有機物払拭装置と、前記表面に大気プラズマを照射して、該表面の有機物を分解除去する大気プラズマ照射装置とを備えていることを特徴とする印刷機。
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