JP3776483B2 - 集光性フィルタ−およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明電極間に液晶を夾持してなる液晶表示素子を構成する場合のフィルタ−およびその製造法に関し、更に詳しくは、液晶表示素子の光利用効率を向上させた集光性フィルタ−およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、固体撮像装置の感度を改善するために、オンチップ方式においては、固体撮像素子の全面にレンズを直接形成して取り付け、その受光部の集光性を上げてその効率の改善を図っている。
すなわち、固体撮像素子の受光部に対応して、樹脂による凸状レンズを形成するもので、空気(屈折率約1.0)とこれら樹脂層(屈折率1.5ないし1.6)との間に比較的に大きい屈折率が得られるため、空気層からレンズ層へ入光した場合、大きい集光効果が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、モノクロ液晶表示素子、またはカラ−フィルタ−層を有するカラ−液晶表示素子においては、液晶が接する基板面、あるいはカラ−フィルタ−層面にレンズを設けた場合、液晶の屈折率が1.5ないし1.6であるため、液晶中にレンズを形成すると、レンズとの屈折率の差が小さすぎ、また、液晶表示素子の外側にレンズを設ける場合は、レンズと各液晶の画素間の距離が基板を介することとなるので、非常に大きな曲率のレンズが必要になり、かかるレンズの作成が困難になるという問題点を生じて好ましくないものである。
そこで本発明は、上記の従来の問題点を解決し、集光性に優れ、液晶表示素子に適用し得る集光性フィルタ−およびその製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、モノクロ液晶表示素子またはカラ−液晶表示素子において、基板上に相互に接する屈折率の異なる少なくとも二つの樹脂層を有し、これら樹脂層の相互に接する界面が対向基板の各開口部に入射光を集光するように曲面に構成されている集光性素子を見出し、これを集光性フィルタ−とすることによって、上記の問題点を解決することができたものである。
【0005】
その場合、モノクロ液晶表示素子、またはカラ−液晶表示素子において、前記集光性素子が、基板の上の各画素間の境界部、または基板上のカラ−フィルタ−層を構成する各色の境界部に相当する位置に凸部状になるように凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層を設け、更に該凹凸状の樹脂層表面に平坦状の比較的高屈折率の、ポリイミド系樹脂からなる樹脂層を設けたものであり、且つ、前記集光性素子のポリイミド系樹脂からなる樹脂層を、液晶層のカラーフィルター層側の配向膜として兼用し、液晶層を介してTFT基板と貼り併せたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる集光性フィルタ−の製造法について説明すると、その製造法としては、第1に、基板の上、またはカラ−フィルタ−層を有する基板の該カラ−フィルタ−層の上に、比較的低屈折率であって、かつ感光性を有する樹脂を主体とする感光性樹脂組成物による塗布膜を形成し、次いで各画素間の境界部またはカラ−フィルタ−層を構成する各色の境界部に相当する位置に凸部状になるように、上記の感光性樹脂組成物による塗布膜をパタ−ン露光、現像して凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層を形成し、次に該凹凸状の樹脂層面に比較的高屈折率の硬化性樹脂を主体とする樹脂組成物による平坦状の比較的高屈折率の樹脂層を形成して集光性素子を構成することからなる集光性フィルタ−を製造する方法である。
上記の製造法において、凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層を形成後、基板を加熱して該凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層を構成する樹脂を軟化させて、その凸部状の形状を調整することが好ましい。
【0007】
また、第2の製造法としては、基板の上、またはカラ−フィルタ−層を有する基板の該カラ−フィルタ−層の上に、感光性樹脂を主体とする感光性樹脂組成物による塗布膜を形成し、次いで上記の感光性樹脂組成物による塗布膜をパタ−ン露光、現像して、各画素間の境界部またはカラ−フィルタ−層を構成する各色の境界部に相当する位置に凸部状素子を形成し、次に該凸部状素子を含む全面に、比較的低屈折率の樹脂を含む樹脂組成物を塗布、乾燥して凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層を形成し、しかる後上記の凹凸状の樹脂層を含む全面に比較的高屈折率の硬化性樹脂を主体とする樹脂組成物による平坦状の比較的高屈折率の樹脂層を形成して集光性素子を構成することからなる集光性フィルタ−を製造する方法である。
【0008】
更に、第3の製造法としては、予め遮光層を形成した基板の上、またはカラ−フィルタ−層を有する予め遮光層を形成した基板の該カラ−フィルタ−層の上に、ポジ型感光性樹脂を主体とする感光性樹脂組成物による塗布膜を形成し、次いで上記の感光性樹脂組成物による塗布膜に上記の遮光層を有する側から全面露光、現像して、各画素間の境界部またはカラ−フィルタ−層を構成する各色の境界部に相当する位置に凸部状素子を形成し、次に該凸部状素子を含む全面に、比較的低屈折率の樹脂を含む樹脂組成物を塗布、乾燥して凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層を形成し、しかる後上記の凹凸状の樹脂層を含む全面に比較的高屈折率の硬化性樹脂を主体とする樹脂組成物による平坦状の比較的高屈折率の樹脂層を形成して集光性素子を構成することからなる集光性フィルタ−を製造する方法である。
【0009】
上記のような製造法で得られる集光性フィルタ−は、基板上に相互に接する屈折率の異なる少なくとも二つの樹脂層の相互に接する界面が、対向基板、例えば、TFT基板の各開口部に入射光を集光するように曲面になっているので、液晶表示素子において、集光効果が得られ、その光利用効率を向上させることができる。
また、上記の第1の製造法においては、感光性を有する樹脂の選択露光、硬化によりその表面に所要の曲面を形成しているものである。
また、上記の第2および第3の製造法においては、まず、凸部状素子を形成し、その上に樹脂組成物を塗布して、その塗布条件等を選択することにより、その表面が上記の凸部状素子により凹凸状となり所要の凸面状を形成しているものである。
而して、本発明においては、上記で得られる集光性フィルタ−は、モノクロ液晶表示素子およびカラ−液晶表示素子に用いられるものであり、2種以上の屈折率の異なる材質を用いて、基板の上、またはカラ−フィルタ−層を有する基板の該カラ−フィルタ−層の上に屈折率の異なる材質の界面をレンズ形状に形成し、集光効果を得ようとするものである。
【0010】
次に、本発明にかかる集光性フィルタ−について液晶表示素子に用いる例について説明すると、まず、図9は、従来の液晶表示素子の概略の構成を示す断面図であり、而して、図9に示すように、カラ−フィルタ−層58を有する基板59と、対向基板であるTFT基板57よりなる液晶表示素子を構成し、入射光55は、カラ−フィルタ−層58の各画素53を透過して液晶61を介してTFT基板57の開口部51を通過する。
その際に、光の利用率は、TFT基板57の開口部51の開口面積率により制限を受け、従来、代表的なTFT基板では、この開口面積率は、約30%位であり、光の利用率が劣るものである。
【0011】
これに対し、図1は、本発明にかかる集光性フィルタ−を利用した液晶表示素子の概略の構成を示す断面図であり、而して、図1に示すように、本発明にかかる集光性フィルタ−を利用した液晶表示素子は、開口部2を有するTFT基板1と、カラ−フィルタ−層4を有するガラス等の基板3とが対向して配置され、その間に液晶層6を夾持し、更に該カラ−フィルタ−層4を有する基板3の該カラ−フィルタ−層4の上に樹脂層A、および樹脂層Bが積層された集光性素子から構成されるものである。
上記において、樹脂層Aは、カラ−フィルタ−層4の上であって、該カラ−フィルタ−層4を構成する各色の境界部5に相当する位置の上部(図では下であるが製造過程では上になる。)に凸部状になるように、凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層からなるものであり、更に該樹脂層Aは、凹凸形状のものであってカラ−フィルタ−層4を構成する各色の中央部に向かって所定の傾きを持つレンズ状部Cを形成するものである。
すなわち、樹脂層Aは、カラ−フィルタ−層4の各色の境界部5に整列して厚みが最大になっており、カラ−フィルタ−層4の中央部では最小の厚みになっている(図面では零の厚みで表示している)。
従って、各色の境界部5上に、樹脂層Aの凸形状のものであって各色の中央部に向かって所定の傾きを持つレンズ状部Cが形成され凹凸形状を形成していることになる。
而して、樹脂層Aは、比較的低屈折率のものであって、かつ感光性を有する樹脂を主体とする感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して該組成物による塗布膜を形成し、該塗布膜にパタ−ン露光、現像等を行うことにより形成することができる。本発明では、上記の樹脂層Aの上に、該樹脂層Aの凹凸形状を埋めるように、上記の樹脂層Aを構成する樹脂と比較して、これよりも高屈折率を有する硬化性樹脂を主体として含む組成物を塗布、乾燥して平坦状の比較的高屈折率の樹脂層Bを形成する。
【0012】
次に上記で製造した本発明にかかる集光性フィルタ−を利用した液晶表示素子の集光性効果について説明すると、次のようになる。
ガラス等の基板3から入射した光7は、樹脂層Aと樹脂層Bの界面の法線に対する入射角をθ1 とすると、屈折率の差より、屈折角θ2 は、
より、θ2 となる。
上記の(1)式より明らかであるが、樹脂層A、樹脂層Bの屈折率差がnA <nB の場合、θ2 <θ1 となり、入射光は開口部2の方向へ集光する。
この時、樹脂層Bを通過する光路長d1 と樹脂層Bと液晶層6の界面への入射角θ2 (θ2 =θ1 −θ2 )とにより集光領域が決定される。
次に、樹脂層Bと液晶層6との界面において上記と同様な原理で、次の(2)式より、入射角θ3 は、液晶層6(屈折率をnC とする)では、θ4 となる。
上記の(2)式より、樹脂層B、液晶層6の屈折率差は、nC <nB の場合、θ4 >θ3 となる。
この場合の集光領域は、液晶層6の厚さd2 と屈折角θ4 により決定される。
従って、ト−タルの集光領域は、一辺に対して、
Δa=d1 ・tanθ3 +d2 ・tanθ4 ・・・(3)
となり、2次元エリアでの集光効率は、図2の平面図から明らかなように、
となる(図2の点線で囲まれた領域に入射する光が開口部2に集光することになる。なお、y1 −y2 断面の集光領域は、x1 −x2 断面での原理と同様にして、一辺に対しΔb領域分の増加となる。)。
以上の原理より、集光領域を拡大するための条件として、以下の事項をあげることができる。
・樹脂層Aの屈折率に対して、樹脂層Bの屈折率がより大きいこと。
・樹脂層Aと樹脂層Bの界面の角度が、対向基板1の開口部2へより効率的に集光される適性角度を有すること(この適性角度は、樹脂層Aと樹脂層Bの屈折率差、樹脂層Bの膜厚(光路長)、樹脂層Bと液晶層6の屈折率差、液晶層6の厚さ、開口部2の受光エリアによって決定される)。
・樹脂層Bと液晶層6の界面は、屈折角の点でより平滑化すること。
以上の原理は、ガラス等の基板3の上に設けたカラ−フィルタ−層4の上に、樹脂層Aおよび樹脂層Bを設けた例で説明したが、ガラス等の基板3の上に樹脂層Aおよび樹脂層Bを設けても同様に集光効果を得ることができる。
なお、本発明においては、上記の例は、カラ−液晶表示素子の例について述べたが、モノクロ液晶表示素子にも適用することができ、同様な原理で集光効果を得ることができる。
【0013】
ところで、上記の集光性フィルタ−の製造法について説明すると、これは、第1の製造法にかかるものであり、ガラス等の基板3の上に、常法によってカラ−フィルタ−層4を形成し、その上に、比較的低屈折率であって、感光性を有する樹脂を主成分として含む感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して該組成物による塗布膜を形成し、次に該塗布膜面に、上記のカラ−フィルタ−層4の各色の境界部5に相当する位置が凸部状となるように、パタ−ン露光、現像して凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層Aを形成する。
すなわち、カラ−フィルタ−層4の各色の境界部5に相当する位置が凸部状となってレンズ状部Cを形成する。
次に、本発明においては、上記の凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層Aの上に、比較的高屈折率を有する硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物を塗布、乾燥して平坦状の比較的高屈折率の樹脂層Bを形成して集光性素子を構成する。
上記の方法において、レンズ状部Cのエッジの傾きは、例えば、光硬化後に樹脂の軟化点まで加熱して調整することもできる。
また、上記の製造法において、樹脂層Aを構成する樹脂としては、例えば、比較的低屈折率であって、感光性を有し、かつ透明性を有するもの、具体的には、ゼラチン、ガゼイン、またはポリビニルアルコ−ルと重クロム酸アンモニウム系感光材、あるいは通常のアクリル系樹脂を主体とする感光性樹脂組成物等を使用することができる。
また、上記において、樹脂層Bを構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、シリコ−ン系樹脂等の材料を使用することができる。
特に、本発明においては、樹脂層Bを構成する材料としては、ポリイミド系樹脂を使用すると、液晶表示素子としての配向膜塗布工程が不要となり工程が短縮されるという利点があり、好ましい材料である。
次に、上記の第1の製造法の実施例をあげる。
【0014】
【実施例】
実施例1
図3の(a)の断面図に示すように、透明なガラス基板3の上に、ゼラチン/重クロム酸アンモニウム水溶液からなる感光液を塗布し、マスク露光、現像によりパタ−ニングし、レッド染色後、固着処理を行い、レッド画素9を作成した。
同様のプロセスを繰り返し、グリ−ン染色、ブル−染色して、グリ−ン画素10、ブル−画素11を形成した。
その上にゼラチン感光液を塗布後、プロキシミティ−露光、現像により、5μm段差形状の樹脂層Aを形成した。
レンズ状部Cの電子顕微鏡による観察形状によると、図3の(a)の領域Sのθ1 の角度は約60°であった。
次に、上記の樹脂層Aの上に、ポリイミド樹脂を含む樹脂組成物を塗布、乾燥硬化させて図3の(b)の断面図に示すように、表面を平坦化した樹脂層Bを形成して集光性素子を構成した。
次に、上記で形成した集光性素子からなる集光性フィルタ−を切断加工後、TFT基板1と液晶層6を介して貼り合わせて液晶表示素子を製造した。
上記において、樹脂層A、樹脂層Bおよび液晶層6の屈折率は、アッペ屈折計にて測定した結果、それぞれ、1.56、1.70、1.50であった。
上記で製造した液晶表示素子の平面図を図4の(a)に示し、その断面図を図4の(b)に示す。
結果として、図4に数値を記入した通り、TFT基板1の開口部2の600μm2 に対し、実質入射光エリア(平面図の点線内)は、約2倍の1575μm2 となり、明るさも2倍となった。
【0015】
参考実施例1
図5の(a)に示す断面図のように、厚さ0.5mmの透明ガラス基板3の上に、カゼイン/重クロム酸アンモニウムからなる感光液を塗布して樹脂層Aを形成し、該樹脂層A面にプロキシミティ−露光、現像により図5の(b)に示す断面図のように、ストライプ状の樹脂層Aを形成し、その中心はレンズ状部Cとなるようにした。
この樹脂層Aは、屈折率が1.55であった。次に、図5の(c)に示す断面図のように、シリコ−ン系樹脂(屈折率 1.68)を含む組成物を塗布、乾燥硬化して表面が平坦である樹脂層Cを形成してモノクロフィルタ−を製造した。
次に、図5の(d)に示す断面図および図5の(e)に示す平面図のように、上記で製造したモノクロフィルタ−をTFT基板1と液晶層6を介して貼り合わせてモノクロ液晶表示素子を製造した。
上記で製造したモノクロ液晶表示素子について、光利用効率を測定した結果、約1.5倍の光利用効率の上昇が可能と
なった。
【0016】
以上が、本発明の集光性フィルタ−の第1の製造法であるが、この製造法によると、レンズ状部Cの形成が重要である。
樹脂層Aによりレンズ状部Cを形成するために、感光性を有する樹脂を使用し、露光方式、光の照射量等を制御してレンズ状部Cの凸部状のエッジの傾きをつけたり、または、光硬化した樹脂を軟化点まで加熱して、このエッジ部の傾きをつけるが、エッジの形状を安定的に制御して集光性フィルタ−を製造するのは容易ではない。
また、この方法でレンズ状部Cを形成する場合には、光硬化後のエッジ形状、および、熱軟化特性等のため、樹脂層Aを構成する樹脂の材料に制約があり、また、適性な屈折率や、透過率等の条件を含めると、材料の選択範囲が限定されるものである。
【0017】
上記のような第1の製造法の問題点を克服し、レンズ状部Cを安定的に製造することができる製造法として、本発明にかかる集光性フィルタ−の第2の製造法がある。
上記の第2の製造法につて説明すると、図6は、本発明にかかる集光性フィルタ−を使用した液晶表示素子を示す断面図であり、而して、図6に示すように、まず、ガラス等の基板3の上に、前述と同様にカラ−フィルタ−層4を形成し、次に該カラ−フィルタ−層4の上に、まず、感光性樹脂を主体とする感光性樹脂組成物を塗布して、該組成物による塗布膜を形成し、次いで該塗布膜面にパタ−ン露光、現像して、カラ−フィルタ−層4を構成する各色の境界部5に相当する位置に凸部状素子からなる樹脂層Dを形成し、しかる後該樹脂層Dを含む面に、比較的低屈折率の樹脂を含む樹脂組成物を塗布、乾燥して凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層Aを形成する。
而して、図6に示すように、本発明にかかる集光性フィルタ−を利用した液晶表示素子は、開口部2を有するTFT基板1と、上記で製造したカラ−フィルタ−層4を有するガラス等の基板3とが対向して配置され、その間に液晶層6を夾持し、更に該カラ−フィルタ−層4を有する基板3の該カラ−フィルタ−層4の上に樹脂層D、樹脂層A、および樹脂層Bが積層された集光性素子から構成されるものである。
上記において、レンズ状部Cは、樹脂層Dの膜厚、および樹脂層Aを構成する樹脂組成物の粘度、塗布条件等によって制御可能である。
また、樹脂層Dは、一般的にパタ−ニングに用いられる感光性樹脂を主体とする感光性樹脂組成物を使用して構成することができ、また、樹脂層Aは、必要な光学特性を満足する一般的な光または熱硬化性樹脂等を主体とする樹脂組成物を使用して構成することができる。
上記の製造法においてレンズ状部Cの形成について更に詳しく説明すると、まず、カラ−フィルタ−層4の上に、ゼラチン、カゼイン、またはポリビニルアルコ−ルに感光性を持たせた樹脂、あるいは各種市販されている感光性レジストを用いて、まず、これを塗布し、該塗布膜面にパタ−ン露光、現像して凸部状素子からなる樹脂層Dを形成する。
この場合、露光方式および露光条件等は、各感光性樹脂に対して通常パタ−ニングする適性条件でよく、特に、エッジ部等の傾きを制御する必要性はない。
次に、上記で形成した樹脂層Dの上に、比較的低屈折率の樹脂を主体とする樹脂組成物を塗布、乾燥硬化させて樹脂層Aを形成して、目的とするレンズ状部Cのエッジ部の傾きを出すことになる。
この場合、樹脂層Dの膜厚と、樹脂層Aを構成する樹脂組成物の粘度、塗布回転数等がレンズ状部Cのエッジ部の傾きを決定する重要な因子となる。
而して、樹脂層Aを構成する樹脂としては、光または熱硬化される条件を満足すれば、屈折率および透過率特性等を主体にしてその素材を選択することができる。
具体的には、上記の樹脂としては、樹脂層Bを構成する樹脂との屈折率差が大きければ、より集光効果がある、例えば、屈折率1.5付近の樹脂として、アクリル系、ウレタン系、アクリル−スチレン系、エポキシ系等の各種の樹脂を幅広く挙げることができる。
なお、樹脂層Bを形成する方法は、前述の第1の製造法と同じである。
次に、上記の第2の製造法について具体例を挙げる。
【0018】
実施例2
まず、図7の(a)の断面図に示すように、厚さ0.5mmのガラス基板3野上に、常法によって、レッド9、ブル−11、グリ−ン10等からなるモザイク状のカラ−フィルタ−層4を染色にて形成した。
次に、上記で形成したカラ−フィルタ−層4の上で、その各色の境界部に相当する位置に、FVR(フジ薬品株式会社製、商品名)レジストを使用して、通常のパタ−ン露光、現像により、膜厚5μmの樹脂層Dを形成した。
次に、図7の(b)の断面図に示すように、上記で形成した樹脂層Dを含む全面に、アクリル−ウレタン系樹脂(屈折率 1.55)を主体とする樹脂組成物を3000rpmでスピン塗布し、150℃、1時間の加熱硬化をすることにより、凸状のレンズ状部Cを含む樹脂層Aを形成した。
上記のレンズ状部Cについて電子顕微鏡による観察形状によると、そのエッジ部の傾き(図7の(b)の領域S)θ1 は、約60°であった。
次に、図7の(c)の断面図に示すように、上記の樹脂層Aを含む全面に、屈折率1.70のポリイミド樹脂を含む組成物を800rpmでスピン塗布し、表面を平坦化して樹脂層Bを形成した。
上記で製造した基板3を、TFT基板1と屈折率1.50の液晶層6を介して貼り合わせて、本発明にかかるカラ−液晶表示素子を製造した。
上記で製造した液晶表示素子の光利用効率は、従来のものに比べて約2倍のものであった。
【0019】
実施例3
まず、図8の(a)の断面図に示すように、厚さ1.5mmの透明なガラス基板3の上に、ゼラチン/重クロム酸アンモニウム感光液を塗布して塗布膜D′を形成し、更に図8の(b)の断面図に示すように、上記の塗布膜Dの面に、ステッパ−露光、現像により、凸部状4.5μmの樹脂層Dを形成した。次に上記の樹脂層Dを含む面にウレタン系樹脂(屈折率1.56)を含む組成物をスピンコ−ト後、150℃で30分間熱硬化して、レンズ状部Cを有する凹凸状の樹脂層Aを形成した。上記の樹脂層Aの表面凹凸は、4μmであった。
次に、図8の(c)の断面図に示すように、上記の樹脂層Aを含む全面に、ポリイミド樹脂を含む組成物をスピン塗布し、180℃で3時間熱硬化し、モノクロ用集光性フィルタ−を製造した次に、図8の(d)の断面図に示すように、上記で製造したモノクロ用集光性フィルタ−を使用し、上記の基板3とTFT基板1とを、液晶層6を介してはりあわせて、モノクロ用液晶表示素子を製造した。上記の液晶表示素子の光利用効率は、図8の(e)の平面図に示すように、従来のものと比較して約1.5倍となり集光効果を確認することができた。
【0020】
参考実施例2
厚さ1.5mmの透明なガラス基板3の裏面に、クロムによる遮光層を形成し、他方、上記の基板の表面に、ノボラック系のポジ型感光性樹脂からなる感光液を塗布して塗布膜D′を形成した。
次に、上記の基板3の裏面から全面露光し、しかる後塗布膜D′を現像して、凸部状4.5μmの樹脂層Dを形成した。以下、上記の実施例4に記載した方法と同様に行って、同様なモノクロ用液晶表示素子を製造し、同様な効果を得た。
以上、本発明について、二三の実施例を挙げたが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明にかかる液晶表示素子の集光性素子は、TFT基板と貼り合わせて、カラ−液晶表示素子またはモノクロ液晶表示素子等を構成することができるものである。
而して、その特徴とするところは、透明基板上に相互に接する屈折率の異なる少なくとも二つの樹脂層を設け、これら樹脂層の相互に接する界面をTFT基板の各開口部に入射光を集光するように曲面に形成しているので、相互の屈折率差を比較的大きくすること、曲面形状を制御すること、および液晶層の屈折率をフィルタ−の屈折率より小さくすることにより、集光効果を上げることができるものである。
また、その製造法においては、集光性フィルタ−を容易に製造することができ、特に、第2の製造法においては、レンズ形状を安定的に制御でき、また、使用する素材の自由度を大きくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる集光性フィルタ−を利用した液晶表示素子の概略の構成を示す断面図である。
【図2】図1で表す液晶表示素子の概略を示す平面図である。
【図3の(a)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図3の(b)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図4の(a)】図3の(a)および図3の(b)で表す集光性フィルタ−を使用してなる液晶表示素子の構成を示す平面図である。
【図4の(b)】図4の(a)で表す集光性フィルタ−を使用してなる液晶表示素子の構成を示す断面図である。
【図5の(a)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図5の(b)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図5の(c)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図5の(d)】図5の(a)、図5の(b)および図5の(c)で表す集光性フィルタ−を使用してなる液晶表示素子の構成を示す断面図である。
【図5の(e)】図5の(d)で表す集光性フィルタ−を使用してなる液晶表示素子の構成を示す平面図である。
【図6】本発明にかかる集光性フィルタ−を利用した液晶表示素子の概略の構成を示す断面図である。
【図7の(a)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図7の(b)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図7の(c)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図8の(a)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図8の(b)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図8の(c)】集光性フィルタ−を製造する工程の構成を示す断面図である。
【図8の(d)】図8の(a)、図8の(b)および図8の(c)で表す集光性フィルタ−を使用してなる液晶表示素子の構成を示す断面図である。
【図8の(e)】図8の(d)で表す集光性フィルタ−を使用してなる液晶表示素子の構成を示す平面図である。
【図9】従来の液晶表示素子の概略の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 TFT基板
2 開口部
3 ガラス等の基板
4 カラ−フィルタ−層
5 カラ−フィルタ−層の各色の境界部
6 液晶層
A 凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層
B 平坦状の比較的高屈折率の樹脂層
C レンズ状部
D 凸部状素子からなる樹脂層
Claims (1)
- 透明電極間に液晶を夾持してなる液晶表示素子において、基板の上、またはカラ−フィルタ−層を有する基板の該カラ−フィルタ−層の上に、相互に接する屈折率の異なる少なくとも二つの樹脂層を有し、かつこれらの樹脂層の相互に接する界面が対向基板の各開口部に入射光を集光するように曲面に構成されている集光性素子を設けたもので、前記集光性素子が、基板の上の各画素間の境界部、または基板上のカラ−フィルタ−層を構成する各色の境界部に相当する位置に凸部状になるように凹凸状の比較的低屈折率の樹脂層を設け、更に該凹凸状の樹脂層表面に平坦状の比較的高屈折率の、ポリイミド系樹脂からなる樹脂層を設けたものであり、且つ、前記集光性素子のポリイミド系樹脂からなる樹脂層を、液晶層のカラーフィルター層側の配向膜として兼用し、液晶層を介してTFT基板と貼り合せたことを特徴とする液晶表示素子。
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-
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