JP3776065B2 - ヒートパイプ式冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートパイプ式冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子機器の小型高性能化が急速に進む中、それに伴う機能素子からの発熱が深刻な問題となっており、効率良く外部に放熱するために、熱伝導性の優れたヒートパイプを用いることが検討されている。
ヒートパイプは、内表面に金網や細かい溝等で構成されるウイック層を有する両端を閉じた中空円筒体から成り、内部には凝縮性液体(作動液)が封入されている。ヒートパイプは、その作動液の液相と気相の変化に伴う潜熱を仲介として流れによって大量の熱を運ぶことにより周囲を冷却しようとする伝熱素子であり、構造が簡単で、単位面積当たりの伝熱量が大きく、作動液を変えることにより広い温度範囲で使用できるという特徴を有する。
【0003】
以下、このようなヒートパイプを用いた冷却装置の幾つかの例を簡単に説明する。
特開昭63-254754 号公報は、棒状のヒートパイプの一端を、金属ブロックに埋め込み、露出しているヒートパイプ他端を、所定間隔空けて平行に配置した多数の円板状のフィンを貫通するように取付けた冷却装置を開示している。
【0004】
特開平2-93270 号公報は、棒状のヒートパイプの一端を、発熱体に埋め込み、露出しているヒートパイプ他端を、所定間隔空けて平行に配置した多数の矩形板状のフィンを貫通するように設けた冷却装置から成り、該冷却装置を風洞内に多数配置する構造を開示している。
特開平3-134453号公報は、棒状のヒートパイプの一端を、ベースに埋め込み、ヒートパイプ他端を、ボビン状の放熱体の中央に装着したような冷却装置を開示している。
【0005】
特開平3-96261 号公報は、棒状のヒートパイプをU字形に折り曲げ、一方の棒状部を、受熱板に埋め込み、他方の棒状部を、所定間隔空けて平行に配置した多数の矩形状のフィンを貫通するように設けた冷却装置を開示している。
特開平7-45759 号公報は、棒状のヒートパイプの一端を、受熱プレートに埋め込み、露出しているヒートパイプ他端を、所定間隔を空けて平行に配置した多数の矩形板状のフィンを貫通するように設けた冷却装置を開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構造においては、棒状のヒートパイプの一端を受熱体に埋め込む深さを或る程度大きくとる必要があり、受熱体が厚くなり、従って冷却装置の高さが高くなる、すなわちコンパクトにできない、といった不都合がある。
そこで、本発明は、ヒートパイプを巧みに利用し、装置の高さを低く抑えてコンパクトに構成でき、放熱効率が非常に優れた合理的・経済的なヒートパイプ式冷却装置を提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るヒートパイプ式冷却装置は、一方の表面が冷却すべき発熱体に接触せしめられるのに適した矩形状の受熱体と、略U形又は略V形を呈する少なくとも1つのヒートパイプとを含み、ヒートパイプは、その中間部分が受熱体の発熱体が取りつけられる側とは反対側に固定され、ヒートパイプの両端部分は、前記矩形状の受熱体に対して立っており、さらに、ヒートパイプの端部分に固定され、前記受熱体と略同形状を有する複数の相互に平行な放熱板を具備することを特徴とする。
好ましくは、ヒートパイプの両端部分は、前記放熱板を貫通している。また、好ましくは、前記放熱板は、波形を有する。好ましくは、前記受熱体は、放熱用の凹凸部を有する。好ましくは、冷却されるべき対象物に前記受熱体を取付けるための締結体を更に含む。好ましくは、装置連結用の締結構造を更に含む。
【0008】
本発明においては、受熱板からの熱を放熱板に非常に効率良く熱伝導でき、装置の冷却性能を飛躍的に向上できる。また、装置全体をコンパクトに構成でき、特に、装置高さを相当低くすることができ、非常に実用的・現実的である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施態様を図面を参照して説明する。尚、各実施態様に共通する(ないし共通し得る)部品・部分については、同一の参照符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
先ず、本発明に係るヒートパイプ式冷却装置の第1の実施態様を示す図1〜4を参照する。図示ヒートパイプ式冷却装置1は、図示しない冷却されるべき要素(発熱要素を含む)に固定され得る、例えば矩形状の受熱板3と、全体が略U形を呈し、その湾曲した略中間部分が受熱板3の中央に固定されたヒートパイプH、とを含む。尚、図5に示すように、ヒートパイプHが、(中間部分が尖っておらずに、丸く湾曲している)略V形を呈するようなヒートパイプ式冷却装置1’を構成することができる。
【0010】
ヒートパイプ両端側部分は、相互平行に上方に真っすぐ延びている。このヒートパイプ部分は、所定間隔空けて相互平行に上下一列に配置した、受熱板3と略同形状の複数(図では6枚)の放熱板5を貫通している。
受熱板3及び放熱板5は、熱伝導性の良い金属、例えば、アルミニウムによって形成される。受熱板3は、強度的に許せる限度まで薄くでき、例えば、本実施態様では0.5mm の厚さを想定している。受熱板3に対するヒートパイプHの固定は、接着剤、ロウ付け、あるいは、カシメ等によって行われる。
【0011】
以上の構成を有する第1実施態様にあっては、冷却装置1は、図4に示すように、発熱要素の一例であるLSIの上に載せられ、バネ性を有する例えば、ステンレス製のC形状のクリップCによってLSI上面に密着・固定される。尚、冷却装置1とは別体であるこのようなクリップCを用いる構成に代えて、図示しないが、例えば、受熱板自体あるいは放熱板自体が、クリップと同様の機能を奏する部分を一体具備するように構成することもできる。
【0012】
LSIから発生する熱は、受熱板3に伝達され、そこからヒートパイプHによって非常に効率良く放熱板5に熱伝導され、そして、放熱板5から外部に効果的に放熱・発散される。尚、LSI上面と受熱板3下面との間には、熱が伝わり易いように熱伝導性部材、例えば、(図示しない)可撓性を有するシリコーンゴム製のシート材あるいはサーマルグリースの層を介在させることができる。この場合に、熱導電性部材は、受熱板3及びLSIの熱膨張率が異なることに起因して生じ得る応力を緩和する緩衝作用を奏することができる。
【0013】
ところで、図6に示すように、放熱面積を増大させて放熱を促進するために、受熱板3’が凹凸部を具えるように構成することができる。
また、図7に示すように、放熱面積を増大させて放熱効率を高めるために、放熱板5’が波板状を有するように構成することができる。
図8に示すように、上下に延びる2つのヒートパイプ部分の一方が貫通する或る1つの放熱板5(5a)と、それと同じ高さにおいて他方のヒートパイプ部分が貫通する1つの放熱板5(5b)とが相互に別体であるように構成できる。すなわち、一方のヒートパイプ部分の放熱板群5aと、他方のヒートパイプ部分の放熱板群5bとが、相互に独立しているように構成できる。尚、図示しないが、両放熱板群が相互に傾いているように構成することもできる。
【0014】
更に、以上のような様々の冷却装置を1つの冷却ユニット(単位)として取り扱い、同じような冷却ユニットを複数接続して大規模な冷却システムを構成することができる。その一例を図9に示す。
図9の冷却ユニット1”は、基本的に上記第1実施態様の冷却装置1と同じである。冷却ユニット1”の各々は、受熱板3”の一端に雄状の突起部7、反対端に、相補的な雌状の突起引っ掛け部9を具えている。従って、1つの冷却ユニット1”の受熱板3”の突起引っ掛け部9に別の冷却ユニット1”の受熱板3”の突起部7を嵌合することによって装置連結でき、これを繰り返すことにより、複数の冷却ユニット1”を次々直列に連結できる。従って、所望の規模の冷却システムを簡単に構築でき、実用的である。
【0015】
次に、第2の実施態様を描いた図10及び11を参照する。図示冷却装置21は、1つの受熱板23に複数(図では3つ)の略U形のヒートパイプHを固定した構成を有する。図11から理解されるように、ヒートパイプHは相互平行に配置されている。
各ヒートパイプHの両端部分は、上記第1実施態様と同様に複数(図では6枚)の放熱板25を一体的に具備している。放熱板25は、所定間隔空けて相互平行に上下方向に配置されて成り、各ヒートパイプHの両端部分は、前記放熱板25を貫通している。
【0016】
図11を参照するに、例えば、同図で右手側から放熱板を通って左手側に至る空気の流れがあると仮定した場合、各ヒートパイプHが空気の流れに平行に配置されている構造上、下流側のヒートパイプ部分には、空気が衝突しにくい。そこで、図12に示すように、受熱板23(あるいは放熱板25)に対して各ヒートパイプHが斜めに位置するように配置することが考えられる。これによれば、下流側のヒートパイプ部分にも空気が衝突するようになり、これらのヒートパイプ部分からの放熱が促進できる。
【0017】
次に、第3の実施態様を描いた図13を参照する。図示冷却装置51は、1つの受熱板53に2つの略U形のヒートパイプHを固定した構成を有する。各ヒートパイプHの両端部分は、相互平行な9枚の放熱板55を貫通している。放熱板55全体は、給気口(右側)及び排気口(左側)を具備した角筒状のダクトDで囲まれている。ダクトDの給気口には、送風用のファンFが設けられる。また、変更例の冷却装置51’を描いた図14に示すように、ヒートパイプHの間に小型ファンF’を設けて、全体を非常にコンパクトに構成することもできる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、優れた冷却性能を有しながら、冷却装置全体をコンパクトに構成でき、特に、装置高さを相当低くすることができ、非常に実用的・現実的である冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヒートパイプ式冷却装置の第1の実施態様の正面図である。
【図2】図1の冷却装置の上面図である。
【図3】図1の冷却装置の側面図である。
【図4】LSI上に固定した図示の冷却装置の側面図である。
【図5】略V形を呈するヒートパイプを具えた冷却装置の側面図である。
【図6】受熱板が凹凸部を具えている冷却装置の正面図である。
【図7】放熱板が波板状を有する冷却装置の正面図である。
【図8】2つのヒートパイプ部分の放熱板が相互に分離している冷却装置の正面図である。
【図9】冷却装置を装置接続して成る冷却システムを示す図である。
【図10】第2の実施態様の正面図である。
【図11】図10の冷却装置の上面図である。
【図12】図11の冷却装置の変更例の上面図である。
【図13】第3の実施態様の正面断面図である。
【図14】図13の冷却装置の変更例の正面断面図である。
【符号の説明】
1、1’、1”、21、51、51’…ヒートパイプ式冷却装置
3、3’、3”、23、53…受熱板
5、5’、5a、5b、25、55…放熱板
7…突起部
9…突起引っ掛け部
C…クリップ
D…ダクト
F、F’…ファン
H…ヒートパイプ

Claims (8)

  1. 一方の表面が冷却すべき発熱体に接触せしめられるのに適した矩形状の受熱体と、
    V形を呈する少なくとも1つのヒートパイプ、とを含み、
    ヒートパイプは、その中間部分が受熱体の発熱体が取りつけられる側とは反対側に固定され、ヒートパイプの両端部分は前記矩形状の受熱体に対して立っており、
    さらに、前記ヒートパイプの端部分に固定され、前記受熱板と略同形状を有する複数の相互に平行な放熱板を具備し、該放熱板と前記ヒートパイプ両端部との結合部の間隔は、前記複数の放熱板のうち受熱体から離れた放熱板ほど、大きくなっていることを特徴とするヒートパイプ式冷却装置。
  2. 前記相互平行な放熱板は、前記ヒートパイプを固定した前記受熱体の面にほぼ平行に延びることを特徴とする請求項1記載のヒートパイプ式冷却装置。
  3. 一方の表面が冷却すべき発熱体に接触せしめられるのに適した受熱体と、
    前記受熱板の発熱体が固定される側とは反対側の表面に固定され、前記受熱体に対して立っている略V形を呈するヒートパイプと、
    ヒートパイプに沿って該ヒートパイプの端部に向かう位置で順にヒートパイプに固定され、前記受熱体とほぼ平行に且つ互いに平行に配置された複数の放熱板と、
    前記受熱体と該受熱体に最も近い放熱板との間の距離が隣り合う2つの放熱板の間の距離より大きいこと、更に該放熱板と前記ヒートパイプ両端部との結合部の間隔は、前記複数の放熱板のうち受熱体から離れた放熱板ほど、大きくなっていること、
    給気口及び排気口を有し、前記複数の放熱板を囲んで前記複数の放熱板の間の間隔を通る空気通路を形成するダクトと、
    該ダクトを通る空気の流れを生成するためのファンとを、
    具備することを特徴とするヒートパイプ式冷却装置。
  4. V形を呈するヒートパイプの両端部分は、前記放熱板を貫通していることを特徴とする請求項3記載のヒートパイプ式冷却装置。
  5. 前記放熱板は、波形を有することを特徴とする請求項1または3記載のヒートパイプ式冷却装置。
  6. 一方の表面が冷却すべき発熱体に接触せしめられるのに適した矩形状の受熱体と、
    略U径又は略V形を呈する少なくとも1つのヒートパイプ、とを含み、
    ヒートパイプは、その中間部分が受熱体の発熱体が取りつけられる側とは反対側に固定され、ヒートパイプの両端部分は前記矩形状の受熱体に対して立っており、
    さらに、前記ヒートパイプの両端部分に固定され、前記受熱体と略同形状を有する複数の相互に平行な放熱板を具備し、該放熱板と対向する前記受熱体の面に放熱用の凹凸部を有することを特徴とするヒートパイプ式冷却装置。
  7. 冷却されるべき対象物に前記受熱体を取付けるための締結体を更に含むことを特徴とする請求項1または3記載のヒートパイプ式冷却装置。
  8. 一方の表面が冷却すべき発熱体に接触せしめられるのに適した受熱体と、
    前記受熱板の発熱体が固定される側とは反対側の表面にその中間部分で固定され、前記受熱体に対して立っている略U径又は略V形を呈する少なくとも1つのヒートパイプと、
    ヒートパイプに沿って該ヒートパイプの両端部に向かう位置で順にヒートパイプに固定され、前記受熱体とほぼ平行に且つ互いに平行に配置された複数の放熱板と、
    前記受熱体と該受熱体に最も近い放熱板との間の距離が隣り合う2つの放熱板の間の距離より大きいこと、
    給気口及び排気口を有し、前記複数の放熱板を囲んで前記複数の放熱板の間の間隔を通る空気通路を形成するダクトと、
    該ダクトを通る空気の流れを生成するためのファンとを、
    具備し、前記略U形又は略V形のヒートパイプは、ダクト内を通る空気の流れ方向に対し斜めに配置されていることを特徴とするヒートパイプ式冷却装置。
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