JP3776017B2 - 複合アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリアクチュエータによる揺動と、ピストンシリンダ装置による直動とを、出力軸において複合して出力するようにした複合アクチュエータの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロータリアクチュエータによる揺動と、ピストンシリンダ装置による直動とを、出力軸において複合して出力するようにした複合アクチュエータは、従来から知られている。
しかしながら、上記複合アクチュエータにおいては、ピストンシリンダ装置におけるピストン自体に、ロータリアクチュエータによる回動を与えるようにしているので、ピストンあるいはそのピストンロッドをシールするシール材の摩擦力に抗してロータリアクチュエータを駆動することになり、回動出力がそれによって浪費されるばかりでなく、シール材の摩耗も必要以上に進行することになる。
【0003】
半導体製造等における特殊環境下では、設備機器の専有スペースが大きくなると設備費が著しく増大し、製造コストが高くなるため、機器の小型化及び高出力化が要求されており、そのため、複合アクチュエータにおいては、上記シール材による摩擦抵抗をなくし、あるいは軽減させることが必須条件となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上述した複合アクチュエータにおけるロータリアクチュエータの揺動出力を、ピストンシリンダ装置におけるピストンあるいはピストンロッドをシールするシール材の摩擦とは無関係に出力軸に伝達できるようにし、それによって上記揺動出力を効率的に出力できるようにした複合アクチュエータを提供することにある。
【0005】
また、本発明の更に具体的な課題は、出力軸をその周囲全体に流体圧が作用しない大気圧中に配設して、ロータリアクチュエータの揺動出力をピストンシリンダ装置とは無関係に出力軸に伝達できるようにし、結果的に、ロータリアクチュエータの揺動出力を有効に利用できるようにした複合アクチュエータを提供することにある。
本発明の他の課題は、出力軸の揺動方向のバックラッシュを無くすことができると共に、出力軸の揺動方向の停止位置を調節することができる複合アクチュエータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の複合アクチュエータは、ロータリアクチュエータの揺動軸と、ピストンシリンダ装置におけるピストンと、直進往復動自在かつ揺動自在の出力軸とを同軸に配設し、上記ロータリアクチュエータによる揺動と上記ピストンシリンダ装置による直動とを上記出力軸から複合して出力する圧力流体駆動の複合アクチュエータであって、端部が互いに嵌り合う該揺動軸と該出力軸との一方に設けた揺動伝達ピンを他方に設けた軸方向の長溝に沿って移動自在に嵌入し、上記ピストンシリンダ装置は、中心部が中空円筒状であって該出力軸が直動および遥動自在に収容され、該中心部の周囲の円環状のシリンダ室に、円環状のピストンをその軸線方向に駆動可能に嵌挿することにより形成され、該ピストンと該出力軸との一方に設けた直動伝達ピンを他方に設けた周方向溝に嵌入したことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の好ましい実施形態においては、ロータリアクチュエータの揺動軸に設けた揺動伝達ピンを、出力軸に設けた軸方向の長溝に嵌入し、ピストンシリンダ装置におけるピストンに設けた直動伝達ピンを、上記出力軸に設けた周方向溝に嵌入するように構成される
。
【0008】
また、本発明の別の好ましい実施形態においては、上記出力軸の一端に停止ピンを固着し、該停止ピンの回転揺動を規制するストッパ機構を回り止めの機能が付与されている上記ピストンの一端に設けるのが適しており、上記ストッパ機構が上記停止ピンが回転揺動により当接する一対のアジャストボルトを有し、該一対のアジャストボルトが上記ストッパ機構に進退可能に取り付けられ、上記出力軸の回転揺動の停止及び停止位置の調節を行うのが好ましい。
また、本発明の別の好ましい実施形態においては、上記ストッパ機構が回り止めのためのガイドピンを有し、該ガイドピンが上記ピストンシリンダ装置の外側シリンダチューブに設けた軸方向のガイドピン穴に摺動自在に挿入されているのが適している。
【0009】
上記構成を有する複合アクチュエータにおいては、出力軸をその周囲全体に流体圧が作用しない大気圧中に配設して、ロータリアクチュエータの揺動出力をピストンシリンダ装置とは無関係に出力軸に伝達できるため、ロータリアクチュエータの揺動出力がピストンシリンダ装置におけるピストンあるいはピストンロッドをシールするシール材の摩擦に影響を与えることがないから、上記揺動出力を効率的に出力することが可能になる。
また、複合アクチュエータは、出力軸の一端に停止ピンを固着し、該停止ピンの回転揺動を規制するストッパ機構をピストンの一端に設けると、出力軸の揺動方向のバックラッシュを無くすことができると共に、出力軸の揺動方向の停止位置を調節することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は、本発明の複合アクチュエータの一実施例を示すものであり、図1は該複合アクチュエータ1の要部縦断正面図、図2はその平面図、図3はその部分拡大図、図4は図3のA−A線断面図である。
該複合アクチュエータ1は、図1に示すように、ロータリアクチュエータ2による揺動とピストンシリンダ装置3による直動とを出力軸4から複合して出力する複合アクチュエータであって、上記ロータリアクチュエータ2の揺動軸11は上記出力軸4と同軸に配設されると共に、上記出力軸4の下方部分に設けた軸方向の長孔13に摺動自在に挿入されており、図4に示すように、該揺動軸11の先端に設けた小孔11aには揺動伝達ピン12がその両端が径方向に突出するように圧入されており、該揺動伝達ピン12の両端は出力軸4の長孔13の周壁に設けた2つの軸方向の長溝15にそれぞれ嵌入している。
【0011】
上記ロータリアクチュエータ2は、図面には明示していないが、そのボディ内に平行配置した一対のシリンダ内を摺動する一対のピストンにそれぞれラックを設け、該ラックにピニオンを噛合させてダブルラック・ピニオン機構を構成し、該ピニオンに上記揺動軸11が連結され、該揺動軸11はロータリアクチュエータ2のボディの上面から突出していると共に、該ボディに軸封手段及び軸受け手段を介して回転揺動自在に支持されている。
そして、上記一対のピストンにおける逆方向端に圧力流体を同期して供給・排出することにより、上記一対のピストンを同期して互いに逆方向に駆動し、該一対のピストンの直線運動を上記ラックを介して上記ピニオンの回転揺動運動に変換することにより、上記揺動軸11を回転揺動させている。
【0012】
上記ピストンシリンダ装置3は、図1に示すように、上記出力軸4の周囲に位置する円環状のシリンダ室25に、円環状のピストン21をその軸線方向に駆動可能に嵌挿することにより形成している。
更に詳述すると、上記ピストンシリンダ装置3は、出力軸4の周囲に位置する円筒状の内側シリンダチューブ23と該内側シリンダチューブ23の周囲に位置する円筒状の外側シリンダチューブ24とを有し、該内側シリンダチューブ23の外周面と外側シリンダチューブ24の内周面との間に上記円環状のシリンダ室25が形成され、上記ピストン21はピストン自身がロッドを兼用しシリンダ室25の上壁を貫通してその軸線方向に上下動できるピストンであり、ピストン21の一部はシリンダ室25内に摺動自在に嵌挿され、残りはシリンダ室25の上壁を貫通して突出している。
【0013】
また、上記ピストン21はピストンパッキン27が装着された拡径部分を有し、上記シリンダ室25は該拡径部分によって2つの室に仕切られ、該2つの室に圧力流体をそれぞれ供給・排出することにより、上記ピストン21を上下動させている。
また、上記内側シリンダチューブ23及び外側シリンダチューブ24は、その外周面及び内周面に設けた環状溝に環状のシール材28,29がそれぞれ装着されており、該環状のシール材28,29により上記ピストン21を大気圧に対して軸封している。
【0014】
上記ピストン21は上記出力軸4と同軸に配設され、上記出力軸4は周方向溝14を有し、該周方向溝14にはピストン21の上端部に設けた直動伝達ピン22が嵌入され、該直動伝達ピン22を介して出力軸4は上記ピストン21に回動自在に支持されている。
また、上記出力軸4は上記内側シリンダチューブ23内に上下動自在に収納されると共に、その下方部分に設けた軸方向の長孔13に上記ロータリアクチュエータ2のボディの上面から突出した揺動軸11が摺動自在に挿入されている。
そして、上記ピストンシリンダ装置3は、上記ロータリアクチュエータ2のボディの上面にタイロッドにより着脱自在に固着されている。
したがって、上記出力軸4はピストン21を駆動する流体圧やロータリアクチュエータ2を駆動する流体圧が作用しない構造となっており、出力軸4の周囲全体は大気圧中に配設されている。
【0015】
上記複合アクチュエータ1は、ロータリアクチュエータ2の揺動軸11が回転揺動すると、揺動軸11の先端の揺動伝達ピン12が出力軸4の長溝15に嵌入しているために出力軸4も回転揺動する。
また、上記ピストンシリンダ装置3のピストン21が上下動すると、該ピストン21に設けた直動伝達ピン22が上記出力軸4に設けた周方向溝14に嵌入されているため、上記出力軸4も上下動する。
【0016】
したがって、上記複合アクチュエータ1は、ロータリアクチュエータ2による揺動とピストンシリンダ装置3による直動とを出力軸4において複合して出力することができる複合アクチュエータであるにもかかわらず、揺動軸11の先端の揺動伝達ピン12が出力軸4の長溝15に嵌入して出力軸4に回転揺動を伝達し、ピストン21に設けた直動伝達ピン22が上記出力軸4に設けた周方向溝14に嵌入して出力軸4に直動を伝達しているため、出力軸4をその周囲全体に流体圧が作用しない大気圧中に配設することができ、ロータリアクチュエータ2の揺動出力をピストンシリンダ装置3とは無関係に出力軸4に伝達できる。
したがって、ロータリアクチュエータ2の揺動出力が、ピストンシリンダ装置3におけるピストン21をシールするシール材28,29やピストンパッキン27の摩擦に影響を与えることはないから、上記揺動出力を効率的に出力することが可能になる。
【0017】
図5〜図9は、本発明の複合アクチュエータの別の実施例を示すものであり、図5は該複合アクチュエータ1の正面図、図6はその平面図、図7はその要部縦断正面図、図8はその一部破断側面図、図9は図7のB−B線断面図である。
図5〜図9に示す実施例の複合アクチュエータ1は、後述する点を除き、図1〜図4に示す実施例の複合アクチュエータ1と基本的に同じ構成をしているので、相違する点だけを説明し共通する点は説明を省略する。
【0018】
図5〜図9に示す実施例の複合アクチュエータ1は、図1〜図4に示す実施例の複合アクチュエータ1に、出力軸4の揺動方向のバックラッシュを無くすことができる手段や出力軸4の揺動方向の停止位置を調節することができる手段を付加している。
すなわち、図8に示すように、上記出力軸4の長溝15と反対側の一端に停止ピン41を固着し、該停止ピン41の回転揺動を規制するストッパ機構30を上記ピストン21の大気側の一端に固着している。
図8、図9に示すように、上記停止ピン41は扇形板状をしており、上記出力軸4の一端に設けた拡径部分16の下面に出力軸4と同心になるようにボルト42により固着されており、半径方向の2つの側面がアジャストボルト33が当接する停止面41a,41bとなる。
【0019】
上記ストッパ機構30は、図8、図9に示すように、段付き矩形板状のストッパ本体31と、該ストッパ本体31に固着した2つのガイドピン32と、該ストッパ本体31に螺合され該ストッパ本体31の側面から進退可能に突出する一対のアジャストボルト33とを有している。
上記ガイドピン32は上記ピストンシリンダ装置3の外側シリンダチューブ24に設けた軸方向のガイドピン穴26に摺動自在に挿入されており、したがって該ガイドピン32は回り止めとして機能する。
上記出力軸4は上記ピストン21と一緒に上下動し、上記停止ピン41及び上記ストッパ機構30は上記出力軸4及び上記ピストン21にそれぞれ固着されているから、上記出力軸4が直線方向のどの位置に上下動していても、上記停止ピン41の停止面41a,41bは上記ストッパ機構30に設けた一対のアジャストボルト33と同じ平面上にある。
【0020】
そして、上記出力軸4の回転揺動により停止ピン41が回転揺動すると、該停止ピン41の停止面41a,41bが上記一対のアジャストボルト33にそれぞれ当接するから、上記出力軸4の回転揺動は強制的に停止させられる。
したがって、図5〜図9に示す実施例の複合アクチュエータ1は、出力軸4の揺動方向のバックラッシュ(すなわち、長溝15と該長溝15に嵌入された揺動伝達ピン12との僅かなクリアランスにより発生するバックラッシュ)を無くすことができる。また、上記出力軸の揺動方向の停止位置は、ストッパ本体31の側面から突出する一対のアジャストボルト33の突出量を変えることにより調整することができる。
【0021】
なお、図1に示す実施例では、内側シリンダチューブ23及び外側シリンダチューブ24に設けた環状のシール材28,29により上記ピストン21を大気圧に対して軸封しているが、図7に示す実施例では、内側シリンダチューブ23に環状のシール材28を設ける代わりにピストン21の内周面にピストンパッキン45を設け、該ピストンパッキン45と外側シリンダチューブ24の内周面に設けた環状のシール材29によりピストン21を大気圧に対して軸封している。
【0022】
上記実施例では、上記ロータリアクチュエータ2の揺動軸11の先端に揺動伝達ピン12が設けられ、該揺動伝達ピン12が出力軸4の長溝15に嵌入しているが、本発明の複合アクチュエータは必ずしもこの実施例に限定されるものではなく、揺動軸11に長溝を設けて該長溝に嵌入される揺動伝達ピンを出力軸4に設けることもできる。
また、上記実施例では、ピストン21に設けた直動伝達ピン22を出力軸4に設けた周方向溝14に嵌入しているが、出力軸4に設けた直動伝達ピン22をピストン21に設けた周方向溝に嵌入してもよい。
また、上記実施例では、ピストン21がピストンロッドも兼ねているが、ピストンと別にピストンロッドを設けてピストンロッドに直動伝達ピン22を設けてもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明の複合アクチュエータは、ロータリアクチュエータの揺動出力を、ピストンシリンダ装置におけるピストンあるいはピストンロッドをシールするシール材の摩擦とは無関係に出力軸に伝達できるため、上記揺動出力を効率的に出力できる複合アクチュエータを提供することが可能になる。
また、本発明の複合アクチュエータは、出力軸の一端に停止ピンを固着し、該停止ピンの回転揺動を規制するストッパ機構をピストンの一端に設けているため、出力軸の揺動方向のバックラッシュを無くすことができると共に、出力軸の揺動方向の停止位置を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合アクチュエータの一実施例を示す要部縦断正面図である。
【図2】同、平面図である。
【図3】同、部分拡大図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の複合アクチュエータの別の実施例を示す正面図である。
【図6】同、平面図である。
【図7】同、要部縦断正面図である。
【図8】同、一部破断側面図である。
【図9】図7のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 複合アクチュエータ
2 ロータリアクチュエータ
3 ピストンシリンダ装置
4 出力軸
11 揺動軸
12 揺動伝達ピン
13 長溝
14 周方向溝
22 直動伝達ピン
Claims (5)
- ロータリアクチュエータの揺動軸と、ピストンシリンダ装置におけるピストンと、直進往復動自在かつ揺動自在の出力軸とを同軸に配設し、上記ロータリアクチュエータによる揺動と上記ピストンシリンダ装置による直動とを上記出力軸から複合して出力する圧力流体駆動の複合アクチュエータであって、
端部が互いに嵌り合う該揺動軸と該出力軸との一方に設けた揺動伝達ピンを他方に設けた軸方向の長溝に沿って移動自在に嵌入し、
上記ピストンシリンダ装置は、中心部が中空円筒状であって該出力軸が直動および遥動自在に収容され、該中心部の周囲の円環状のシリンダ室に、円環状のピストンをその軸線方向に駆動可能に嵌挿することにより形成され、
該ピストンと該出力軸との一方に設けた直動伝達ピンを他方に設けた周方向溝に嵌入した、
ことを特徴とする複合アクチュエータ。 - ロータリアクチュエータの揺動軸に設けた揺動伝達ピンを、出力軸に設けた軸方向の長溝に嵌入し、ピストンシリンダ装置におけるピストンに設けた直動伝達ピンを、上記出力軸に設けた周方向溝に嵌入した、
ことを特徴とする請求項1に記載の複合アクチュエータ。 - 上記出力軸の一端に停止ピンを固着し、該停止ピンの回転揺動を規制するストッパ機構を回り止めの機能が付与されている上記ピストンの一端に設けた、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合アクチュエータ。 - 上記ストッパ機構は上記停止ピンが回転揺動により当接する一対のアジャストボルトを有し、
該一対のアジャストボルトは上記ストッパ機構に進退可能に取り付けられ、上記出力軸の回転揺動の停止及び停止位置の調節を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の複合アクチュエータ。 - 上記ストッパ機構は回り止めのためのガイドピンを有し、該ガイドピンは上記ピストンシリンダ装置の外側シリンダチューブに設けた軸方向のガイドピン穴に摺動自在に挿入されている、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の複合アクチュエータ。
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Family Applications (1)
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JP2001281810A Expired - Lifetime JP3776017B2 (ja) | 2001-09-17 | 2001-09-17 | 複合アクチュエータ |
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2001
- 2001-09-17 JP JP2001281810A patent/JP3776017B2/ja not_active Expired - Lifetime
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