JP3774287B2 - 消臭塗料 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は建物や施設等の天井面、内壁面或いは床面等に塗着させて、該建物や施設内の美感の創出とともに、その内部で発生し或いは滞留する各種の臭気を分解消去することの可能な消臭塗料に関する。
【0002】
【従来技術】
建物や施設内の天井面や壁面或いは床面等には、通常美装を施すこと並びに建物や施設躯体の表面を保護するために、適宜に着色された塗料を塗着し若しくは予め塗料が塗着された内装材等を張設したり敷設させている。
ところでこれら建物や施設は躯体が鉄筋コンクリートやプレキャストコンクリート等の構造に加えて、アルミサッシや新建材等の使用とも相俟ってその内部空間の密閉性が極めて高く、これがためかかる密閉空間内においては細菌類や黴菌類等が繁殖し易く、従って該菌類の繁殖に伴う分泌物による臭気の発生はもとより食品類や有機物等の変敗、腐敗或いは分解等による悪臭の発生も招来され、且これら臭気や悪臭が滞留する結果ともなる。
【0003】
従来においてはこれら臭気或いは悪臭の消去手段としては、臭気或いは悪臭より強い芳香性を有する芳香性ガスによりマスキングする方法や、活性炭やゼオライト等吸着性の大きな吸着材に吸着させる方法等が一般的に用いられているものの、マスキングによる方法は芳香性ガスの好き嫌いに加え臭気や悪臭の性質如何によっては却って芳香ガスとの合成により悪臭を増長させる危険があり、且芳香ガスを揮散させるため度々芳香剤の補給の必要もある。
更に吸着材に吸着させる方法も、広い密閉空間内に拡散した臭気や悪臭の消去には、これら臭気や悪臭を集気させながら吸着材に送気吸着させる特別の装置が必要となり、且吸着材の吸着量には自づと限度があるから度々吸着材の交換も強いられる等の問題を抱えている。
【0004】
かかる問題に鑑み発明者等は研究を重ねた結果、臭気や悪臭成分の分子は一重項酸素を初めヒドロキシラジカル、スーパーオキシド或いは過酸化水素等の反応性が高く且酸化力の強い活性酸素により容易に分解消去されること、水分子を有効に共振且励起せしめることにより活性酸素が創出されること、水分子はその波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線領域の放射電磁波並びにその波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の放射電磁波を効率良く放射されることにより有効に共振且励起されること、及び広い密閉空間に拡散した臭気や悪臭に対しては、該密閉空間の内表面の広い範囲より活性酸素を創出させてやることにより効果的に分解消去しえることを究明し本発明に至った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち本発明は建物や施設等の密閉空間を形成する天井面や内壁面或いは床面等に塗着させて、その外表面から活性酸素を創出せしめて密閉空間内の臭気や悪臭を酸化分解し消去することの可能な消臭塗料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、建物や施設等の密閉空間を形成する天井面や内壁面或いは床面等に強固な接着と強靭な塗膜を形成させるうえから、塗料基材は塗膜形成素材にアクリル樹脂やウレタン樹脂若しくはエステル樹脂が用いられ、且塗膜形成に際しては水分の蒸散により塗膜形成を図るエマルジョン溶液によるもの若しくは、適宜の有機溶剤に希釈させて該有機溶剤の揮散により塗膜形成を図る溶剤溶液のものを用い、しかも美装のための適宜の着色剤も所要の割合に配合されてなる構成からなるものである。
【0007】
加えて該塗料基材には、水分子を有効に共振且励起させるためにその放射波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線電磁波及び放射波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線電磁波がより強く且効率良く放射させるため、その粒径が1μm以下で且酸化珪素30乃至60%重量、酸化アルミニウム20乃至40%重量、酸化亜鉛7乃至15%重量及び酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル若しくは酸化クロムから選ばれる遷移元素酸化物が7乃至15%重量で組成され、而も組成成分相互の粒界が損われぬよう焼成させてなるセラミックス基材の外表面に、該セラミックス基材に対し0、1乃至1、0%重量割合のプラチナがその表面に担持された酸化チタンが該セラミックス基材に対し2乃至8%重量割合で、且その粒界が損われぬよう而も全体の粒径が10μm以下に焼成させたセラミックス粉体が、塗料基材に対し0、5乃至5、0%重量割合で配合させてなる消臭塗料に存する。
【0008】
【作 用】
上述の如き技術的手段を用いた本発明は以下のような作用を有する。即ち塗料基材にはアクリル樹脂やウレタン樹脂或いはエステル樹脂からなる塗膜形成素材を用い且エマルジョン溶液或いは溶剤溶液からなるため、建物や施設の密閉空間を形成する天井面や内壁面或いは床面の素地との間に強固な塗膜が形成されるとともに、該形成される塗膜にはその粒径が1μm以下で且酸化珪素30乃至60%重量、酸化アルミニウム20乃至40%重量、酸化亜鉛7乃至15%重量及び酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル若しくは酸化クロムから選ばれる遷移元素酸化物が7乃至15%重量の組成割合で且組成成分相互の粒界が損われぬよう焼成してセラミックス基材となしたるうえ、該セラミックス基材の外表面に更にセラミックス基材に対し0、1乃至1、0%重量割合のプラチナがその表面に担持された酸化チタンを該セラミックス基材に対し2乃至8%重量割合で且その粒界が損われぬよう而も全体の粒径が10μm以下に焼成させてなるセラミックス粉体が0、5乃至5、0%重量割合で配合されてなるから、塗着形成された塗膜面からはその波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線領域の電磁波並びにその波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波が高い放射率で放射される。
【0009】
そしてセラミックス基材の外表面には、更にその表面にプラチナが担持された酸化チタンが焼成されてなるため、セラミックス基材が外部エネルギーを吸収し電磁波を再放射する際の電子移動反応が著るしく促進され放射電磁波が一段と強められる。ばかりかセラミックス粉体を形成するそれぞれの組成成分の粒径は1μm以下で、且焼成に際しても組成成分のそれぞれの粒界が損われぬよう而も全体の粒径も10μm以下の微粒に形成されるため、電磁波放射のための放射表面積率が極めて大きくなることから臭気や悪臭の分子が拡散混在された空気中の水分の水分子が有効に共振且励起されて、反応性が高く且強化力の強い活性酸素が創出され臭気や悪臭の分子が分解され消去される。
【0010】
【実施例】
以下に本発明の実施例を詳細に説明すれば、塗料基材としては建物や施設等の天井面や内壁面或いは床面等と強固な接着とともに長期に亘って耐久使用できる強靭な塗膜を形成させるうえから、塗膜形成素材所謂ビヒクルとしてはアクリル樹脂を初めウレタン樹脂或いはエステル樹脂が用いられ、且塗膜の形成に際しては水分の蒸散により固化形成を図るエマルジョン溶液のものでも、或いは塗膜形成素材を適宜の有機溶剤に所要の割合で希釈溶解させ、有機溶剤の揮散により固化形成を図る溶剤溶液のものでも特段に制約はない。
【0011】
そして天井面や内壁面或いは床面に塗着させて形成される塗膜は、天井面や内壁面或いは床面等の素地に所望の機能を付与させる目的の他に美装の目的も有するものであるから、塗料基材には更に所要の着色剤所謂顔料も所要の割合で配合されてなるものである。
【0012】
而して本発明では形成される塗膜面から水分子を有効に共振且励起させるための電磁波放射材としてのセラミックス粉体が、該塗料基材に配合される。
即ちセラミックス素材が外部エネルギー(温度エネルギー)を吸収して遠赤外線領域の電磁波放射に優れた放射特性を有することが古くから知られており、既に主成分にアルミナやチタニア或いはジルコニア等を用いて、工業用の乾燥機や保温衣料等が上市されている。
【0013】
然るにセラミックス素材が電磁波放射のために吸収する外部エナルギーは僅かなものであるから放射される電磁波エネルギーも僅かなものであり、而も水分子を有効に共振且励起させるためには、その波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線領域の電磁波とその波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波を、高い放射率で且強い電磁波エネルギーを以って放射させることが要請される。
【0014】
ところで水分子を共振且励起させる一方の電磁波領域である波長5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波を高い放射率を以って放射させるうえからは、その放射波長において略6、0乃至20μmに亘る遠赤外線領域の電磁波を安定して且高い放射率で放射しえる酸化珪素を主成分として用いるもので、組成割合としては30乃至60%重量割合が望まれる。しかしながら該酸化珪素による放射電磁波では、水分子を共振且励起させるための波長5、0μmまでの短波長側の放射率に難点がある。
そこで該酸化珪素に更に酸化アルミニウムを20乃至40%重量割合及び酸化亜鉛を5乃至15%重量割合で組成させることにより、波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波を高い放射率で放射させることが可能となる。かかる場合において高い放射率とは、黒体の放射率を1、0とした場合に少なくとも0、8以上の放射率を以って放射されることを意味する。
そして酸化アルミニウムや酸化亜鉛の組成割合がこれより少なくなると、放射される遠赤外線電磁波領域のうち短波長側の放射率の低下が招来され、且組成割合がこれより多くなっても特段の効果は認められないことに留意すべきである。
【0015】
水分子を共振且励起させる他方の電磁波領域である波長2、5乃至3、2μmの近赤外線電磁波を高い放射率を以って放射させるためには遷移元素酸化物を組成成分として用いることが提案されるもので、遷移元素酸化物は多種のものが存在するが、コスト面や供給の安定性並びに放射特性等を考慮すると酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル或いは酸化クロム等が選択されるもので、とりわけ酸化マンガンや酸化鉄或いは酸化コバルトが望ましく、且この遷移元素酸化物を7乃至15%重量の組成割合で用いることが好適であって、かかる組成割合が少なくなると近赤外線領域の電磁波の放射率の低下を招く結果となり、反面これ以上に組成割合を多くしても放射率には特段の向上も認められない。
【0016】
そして該遷移元素酸化物の組成において、選択された遷移元素酸化物を一種のみ使用した場合には、特定波長の放射率が強く放射される傾向が表れやすくなるため、望ましくは2乃至3種の遷移元素酸化物を適宜割合を以って組成させることにより、極めて安定した高い放射率が期待できることになる。
【0017】
而して水分子を共振且励起させる放射電磁波エネルギーは放射体の外部エネルギーの吸収に伴う再放射であるから、水分子を有効に共振且励起させるためには放射体の外部エネルギー吸収のための面積を大きく形成するとともに放射面積も大きく形成することに他ならず、従って放射体の表面積率を大きく形成させることにある。
してみれば組成成分のそれぞれはその粒径が1μm以下のものが用いられるものであって、かかる組成成分の如く微粒状になると組成成分相互間に凝集力が強く働くことから、組成成分相互を焼成してセラミックス基材を形成する場合には組成成分各個の粒界が損われぬよう焼成させることにより、形成されるセラミックス基材の表面積率は著るしく増大し、放射効率の著るしく高いセラミックス基材が形成される。しかしながら該セラミックス基材もその放射電磁波エネルギーの強さは外部エネルギーの吸収による再放射で決定されるものであるから、水分子を有効に共振且励起させて活性酸素を創出させるには不安が残る。
【0018】
そこでセラミックス基材に外部エネルギーを吸収し強い電磁波放射をなさしめるために、該セラミックス基材の外表面に更に該セラミックス基材に対し0、1乃至1、0%重量のプラチナがその表面に担持された酸化チタンを該セラミックス基材に対し2乃至8%重量割合で、且その粒界が損われぬよう而も全体の粒径が10μm以下に焼成させてセラミックス粉体を形成する。
即ちかかる技術的手段を施すことによって、プラチナがセラミックス基材の外部エネルギーの吸収に伴いその電子移動反応を著るしく促進させる触媒として働き、放射電磁波を一段と強力に放射させ而もこの放射電磁波により酸化チタン自体からも活性酸素が創出されることとなる。
【0019】
かかる如くして形成されるセラミックス粉体を、塗料基材に対し0、5乃至5、0%重量割合に配合させることにより本発明消臭塗料が形成される。かかる場合において塗料基材に対するセラミックス粉体の配合割合が0、5%より少なくなると、臭気や悪臭の種類によっては分解消去できない危険がある。
【0020】
以下に本発明による消臭試験の結果を報告すれば、消臭試験に用いた本発明はアクリル樹脂38%重量のエマルジョン溶液に、顔料としてシャイニングリーン0、3%重量、及び酸化珪素45%重量、酸化アルミニウム35%重量、酸化亜鉛8%重量に遷移元素酸化物として酸化マンガン8%重量並びに酸化鉄4%重量の組成で焼成したセラミックス基材の外表面に、プラチナを0、2%重量担持させた酸化チタンを5%重量割合で焼成させたセラミックス粉体が2、5%重量配合させてなるものを用いた。
【0021】
消臭試験には木製ベニヤ板材で内容積が1m3の密閉箱を作成し、その内側全面に本発明を塗着し厚さ60μmの塗膜を形成させたうえ、一方側に開閉式の送気管を、他方側に開閉式の排気管を設けたものを用いた。尚対照試験には同様の密閉箱を作成しその内面が未塗着のものを用いた。
試験方法は密閉箱内に所要濃度の各種臭気ガスを送気封入し、経過時間毎に排気管より残留ガス濃度を測定して臭気ガスの分解消去状態を判定したもので、試験結果は表1の通りである。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明は上述の如く建物や施設等の天井面や内壁面或いは床面に塗着させることにより、これら素地面の保護はもとより美装もなされ而も外部エネルギーの吸収によりその内部空間に拡散する臭気や悪臭と混在する空気中の水分の水分子が有効に共振且励起される結果、反応性が高く酸化力の強い活性酸素が創出され、更には塗膜に内在するセラミックス粉体の酸化チタンからも活性酸素が創出されることとも相俟って、臭気や悪臭の分子が速かに且確実に分解消去されるとともに、活性酸素を用いるため密閉空間内での使用でも極めて安全性が高く、而も外部エネルギーが存在する限り長期に亘って消臭作用が維持される等、極めて多くの特長を具備する消臭塗料である。
【産業上の利用分野】
本発明は建物や施設等の天井面、内壁面或いは床面等に塗着させて、該建物や施設内の美感の創出とともに、その内部で発生し或いは滞留する各種の臭気を分解消去することの可能な消臭塗料に関する。
【0002】
【従来技術】
建物や施設内の天井面や壁面或いは床面等には、通常美装を施すこと並びに建物や施設躯体の表面を保護するために、適宜に着色された塗料を塗着し若しくは予め塗料が塗着された内装材等を張設したり敷設させている。
ところでこれら建物や施設は躯体が鉄筋コンクリートやプレキャストコンクリート等の構造に加えて、アルミサッシや新建材等の使用とも相俟ってその内部空間の密閉性が極めて高く、これがためかかる密閉空間内においては細菌類や黴菌類等が繁殖し易く、従って該菌類の繁殖に伴う分泌物による臭気の発生はもとより食品類や有機物等の変敗、腐敗或いは分解等による悪臭の発生も招来され、且これら臭気や悪臭が滞留する結果ともなる。
【0003】
従来においてはこれら臭気或いは悪臭の消去手段としては、臭気或いは悪臭より強い芳香性を有する芳香性ガスによりマスキングする方法や、活性炭やゼオライト等吸着性の大きな吸着材に吸着させる方法等が一般的に用いられているものの、マスキングによる方法は芳香性ガスの好き嫌いに加え臭気や悪臭の性質如何によっては却って芳香ガスとの合成により悪臭を増長させる危険があり、且芳香ガスを揮散させるため度々芳香剤の補給の必要もある。
更に吸着材に吸着させる方法も、広い密閉空間内に拡散した臭気や悪臭の消去には、これら臭気や悪臭を集気させながら吸着材に送気吸着させる特別の装置が必要となり、且吸着材の吸着量には自づと限度があるから度々吸着材の交換も強いられる等の問題を抱えている。
【0004】
かかる問題に鑑み発明者等は研究を重ねた結果、臭気や悪臭成分の分子は一重項酸素を初めヒドロキシラジカル、スーパーオキシド或いは過酸化水素等の反応性が高く且酸化力の強い活性酸素により容易に分解消去されること、水分子を有効に共振且励起せしめることにより活性酸素が創出されること、水分子はその波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線領域の放射電磁波並びにその波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の放射電磁波を効率良く放射されることにより有効に共振且励起されること、及び広い密閉空間に拡散した臭気や悪臭に対しては、該密閉空間の内表面の広い範囲より活性酸素を創出させてやることにより効果的に分解消去しえることを究明し本発明に至った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち本発明は建物や施設等の密閉空間を形成する天井面や内壁面或いは床面等に塗着させて、その外表面から活性酸素を創出せしめて密閉空間内の臭気や悪臭を酸化分解し消去することの可能な消臭塗料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、建物や施設等の密閉空間を形成する天井面や内壁面或いは床面等に強固な接着と強靭な塗膜を形成させるうえから、塗料基材は塗膜形成素材にアクリル樹脂やウレタン樹脂若しくはエステル樹脂が用いられ、且塗膜形成に際しては水分の蒸散により塗膜形成を図るエマルジョン溶液によるもの若しくは、適宜の有機溶剤に希釈させて該有機溶剤の揮散により塗膜形成を図る溶剤溶液のものを用い、しかも美装のための適宜の着色剤も所要の割合に配合されてなる構成からなるものである。
【0007】
加えて該塗料基材には、水分子を有効に共振且励起させるためにその放射波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線電磁波及び放射波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線電磁波がより強く且効率良く放射させるため、その粒径が1μm以下で且酸化珪素30乃至60%重量、酸化アルミニウム20乃至40%重量、酸化亜鉛7乃至15%重量及び酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル若しくは酸化クロムから選ばれる遷移元素酸化物が7乃至15%重量で組成され、而も組成成分相互の粒界が損われぬよう焼成させてなるセラミックス基材の外表面に、該セラミックス基材に対し0、1乃至1、0%重量割合のプラチナがその表面に担持された酸化チタンが該セラミックス基材に対し2乃至8%重量割合で、且その粒界が損われぬよう而も全体の粒径が10μm以下に焼成させたセラミックス粉体が、塗料基材に対し0、5乃至5、0%重量割合で配合させてなる消臭塗料に存する。
【0008】
【作 用】
上述の如き技術的手段を用いた本発明は以下のような作用を有する。即ち塗料基材にはアクリル樹脂やウレタン樹脂或いはエステル樹脂からなる塗膜形成素材を用い且エマルジョン溶液或いは溶剤溶液からなるため、建物や施設の密閉空間を形成する天井面や内壁面或いは床面の素地との間に強固な塗膜が形成されるとともに、該形成される塗膜にはその粒径が1μm以下で且酸化珪素30乃至60%重量、酸化アルミニウム20乃至40%重量、酸化亜鉛7乃至15%重量及び酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル若しくは酸化クロムから選ばれる遷移元素酸化物が7乃至15%重量の組成割合で且組成成分相互の粒界が損われぬよう焼成してセラミックス基材となしたるうえ、該セラミックス基材の外表面に更にセラミックス基材に対し0、1乃至1、0%重量割合のプラチナがその表面に担持された酸化チタンを該セラミックス基材に対し2乃至8%重量割合で且その粒界が損われぬよう而も全体の粒径が10μm以下に焼成させてなるセラミックス粉体が0、5乃至5、0%重量割合で配合されてなるから、塗着形成された塗膜面からはその波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線領域の電磁波並びにその波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波が高い放射率で放射される。
【0009】
そしてセラミックス基材の外表面には、更にその表面にプラチナが担持された酸化チタンが焼成されてなるため、セラミックス基材が外部エネルギーを吸収し電磁波を再放射する際の電子移動反応が著るしく促進され放射電磁波が一段と強められる。ばかりかセラミックス粉体を形成するそれぞれの組成成分の粒径は1μm以下で、且焼成に際しても組成成分のそれぞれの粒界が損われぬよう而も全体の粒径も10μm以下の微粒に形成されるため、電磁波放射のための放射表面積率が極めて大きくなることから臭気や悪臭の分子が拡散混在された空気中の水分の水分子が有効に共振且励起されて、反応性が高く且強化力の強い活性酸素が創出され臭気や悪臭の分子が分解され消去される。
【0010】
【実施例】
以下に本発明の実施例を詳細に説明すれば、塗料基材としては建物や施設等の天井面や内壁面或いは床面等と強固な接着とともに長期に亘って耐久使用できる強靭な塗膜を形成させるうえから、塗膜形成素材所謂ビヒクルとしてはアクリル樹脂を初めウレタン樹脂或いはエステル樹脂が用いられ、且塗膜の形成に際しては水分の蒸散により固化形成を図るエマルジョン溶液のものでも、或いは塗膜形成素材を適宜の有機溶剤に所要の割合で希釈溶解させ、有機溶剤の揮散により固化形成を図る溶剤溶液のものでも特段に制約はない。
【0011】
そして天井面や内壁面或いは床面に塗着させて形成される塗膜は、天井面や内壁面或いは床面等の素地に所望の機能を付与させる目的の他に美装の目的も有するものであるから、塗料基材には更に所要の着色剤所謂顔料も所要の割合で配合されてなるものである。
【0012】
而して本発明では形成される塗膜面から水分子を有効に共振且励起させるための電磁波放射材としてのセラミックス粉体が、該塗料基材に配合される。
即ちセラミックス素材が外部エネルギー(温度エネルギー)を吸収して遠赤外線領域の電磁波放射に優れた放射特性を有することが古くから知られており、既に主成分にアルミナやチタニア或いはジルコニア等を用いて、工業用の乾燥機や保温衣料等が上市されている。
【0013】
然るにセラミックス素材が電磁波放射のために吸収する外部エナルギーは僅かなものであるから放射される電磁波エネルギーも僅かなものであり、而も水分子を有効に共振且励起させるためには、その波長が2、5乃至3、2μmの近赤外線領域の電磁波とその波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波を、高い放射率で且強い電磁波エネルギーを以って放射させることが要請される。
【0014】
ところで水分子を共振且励起させる一方の電磁波領域である波長5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波を高い放射率を以って放射させるうえからは、その放射波長において略6、0乃至20μmに亘る遠赤外線領域の電磁波を安定して且高い放射率で放射しえる酸化珪素を主成分として用いるもので、組成割合としては30乃至60%重量割合が望まれる。しかしながら該酸化珪素による放射電磁波では、水分子を共振且励起させるための波長5、0μmまでの短波長側の放射率に難点がある。
そこで該酸化珪素に更に酸化アルミニウムを20乃至40%重量割合及び酸化亜鉛を5乃至15%重量割合で組成させることにより、波長が5、0乃至7、4μmの遠赤外線領域の電磁波を高い放射率で放射させることが可能となる。かかる場合において高い放射率とは、黒体の放射率を1、0とした場合に少なくとも0、8以上の放射率を以って放射されることを意味する。
そして酸化アルミニウムや酸化亜鉛の組成割合がこれより少なくなると、放射される遠赤外線電磁波領域のうち短波長側の放射率の低下が招来され、且組成割合がこれより多くなっても特段の効果は認められないことに留意すべきである。
【0015】
水分子を共振且励起させる他方の電磁波領域である波長2、5乃至3、2μmの近赤外線電磁波を高い放射率を以って放射させるためには遷移元素酸化物を組成成分として用いることが提案されるもので、遷移元素酸化物は多種のものが存在するが、コスト面や供給の安定性並びに放射特性等を考慮すると酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル或いは酸化クロム等が選択されるもので、とりわけ酸化マンガンや酸化鉄或いは酸化コバルトが望ましく、且この遷移元素酸化物を7乃至15%重量の組成割合で用いることが好適であって、かかる組成割合が少なくなると近赤外線領域の電磁波の放射率の低下を招く結果となり、反面これ以上に組成割合を多くしても放射率には特段の向上も認められない。
【0016】
そして該遷移元素酸化物の組成において、選択された遷移元素酸化物を一種のみ使用した場合には、特定波長の放射率が強く放射される傾向が表れやすくなるため、望ましくは2乃至3種の遷移元素酸化物を適宜割合を以って組成させることにより、極めて安定した高い放射率が期待できることになる。
【0017】
而して水分子を共振且励起させる放射電磁波エネルギーは放射体の外部エネルギーの吸収に伴う再放射であるから、水分子を有効に共振且励起させるためには放射体の外部エネルギー吸収のための面積を大きく形成するとともに放射面積も大きく形成することに他ならず、従って放射体の表面積率を大きく形成させることにある。
してみれば組成成分のそれぞれはその粒径が1μm以下のものが用いられるものであって、かかる組成成分の如く微粒状になると組成成分相互間に凝集力が強く働くことから、組成成分相互を焼成してセラミックス基材を形成する場合には組成成分各個の粒界が損われぬよう焼成させることにより、形成されるセラミックス基材の表面積率は著るしく増大し、放射効率の著るしく高いセラミックス基材が形成される。しかしながら該セラミックス基材もその放射電磁波エネルギーの強さは外部エネルギーの吸収による再放射で決定されるものであるから、水分子を有効に共振且励起させて活性酸素を創出させるには不安が残る。
【0018】
そこでセラミックス基材に外部エネルギーを吸収し強い電磁波放射をなさしめるために、該セラミックス基材の外表面に更に該セラミックス基材に対し0、1乃至1、0%重量のプラチナがその表面に担持された酸化チタンを該セラミックス基材に対し2乃至8%重量割合で、且その粒界が損われぬよう而も全体の粒径が10μm以下に焼成させてセラミックス粉体を形成する。
即ちかかる技術的手段を施すことによって、プラチナがセラミックス基材の外部エネルギーの吸収に伴いその電子移動反応を著るしく促進させる触媒として働き、放射電磁波を一段と強力に放射させ而もこの放射電磁波により酸化チタン自体からも活性酸素が創出されることとなる。
【0019】
かかる如くして形成されるセラミックス粉体を、塗料基材に対し0、5乃至5、0%重量割合に配合させることにより本発明消臭塗料が形成される。かかる場合において塗料基材に対するセラミックス粉体の配合割合が0、5%より少なくなると、臭気や悪臭の種類によっては分解消去できない危険がある。
【0020】
以下に本発明による消臭試験の結果を報告すれば、消臭試験に用いた本発明はアクリル樹脂38%重量のエマルジョン溶液に、顔料としてシャイニングリーン0、3%重量、及び酸化珪素45%重量、酸化アルミニウム35%重量、酸化亜鉛8%重量に遷移元素酸化物として酸化マンガン8%重量並びに酸化鉄4%重量の組成で焼成したセラミックス基材の外表面に、プラチナを0、2%重量担持させた酸化チタンを5%重量割合で焼成させたセラミックス粉体が2、5%重量配合させてなるものを用いた。
【0021】
消臭試験には木製ベニヤ板材で内容積が1m3の密閉箱を作成し、その内側全面に本発明を塗着し厚さ60μmの塗膜を形成させたうえ、一方側に開閉式の送気管を、他方側に開閉式の排気管を設けたものを用いた。尚対照試験には同様の密閉箱を作成しその内面が未塗着のものを用いた。
試験方法は密閉箱内に所要濃度の各種臭気ガスを送気封入し、経過時間毎に排気管より残留ガス濃度を測定して臭気ガスの分解消去状態を判定したもので、試験結果は表1の通りである。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
本発明は上述の如く建物や施設等の天井面や内壁面或いは床面に塗着させることにより、これら素地面の保護はもとより美装もなされ而も外部エネルギーの吸収によりその内部空間に拡散する臭気や悪臭と混在する空気中の水分の水分子が有効に共振且励起される結果、反応性が高く酸化力の強い活性酸素が創出され、更には塗膜に内在するセラミックス粉体の酸化チタンからも活性酸素が創出されることとも相俟って、臭気や悪臭の分子が速かに且確実に分解消去されるとともに、活性酸素を用いるため密閉空間内での使用でも極めて安全性が高く、而も外部エネルギーが存在する限り長期に亘って消臭作用が維持される等、極めて多くの特長を具備する消臭塗料である。
Claims (1)
- アクリル樹脂、ウレタン樹脂若しくはエステル樹脂素材からなるエマルジョン溶液或いは溶剤溶液に所要の着色剤が配合されてなる塗料基材に、その粒径が1μm以下で且酸化珪素30乃至60%重量、酸化アルミニウム20乃至40%重量、酸化亜鉛7乃至15%重量及び酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル若しくは酸化クロムから選ばれる遷移元素酸化物が7乃至15%重量割合で組成され、而も組成成分相互の粒界が損われぬよう焼成されたセラミックス基材の外表面に、該セラミックス基材に対し0、1乃至1、0%重量割合のプラチナがその表面に担持された酸化チタンが該セラミックス基材に対して2乃至8%重量割合で、且その粒界が損われぬように而も全体の粒径が10μm以下に焼成させたセラミックス粉体が、0、5乃至5、0%重量割合で配合されてなることを特徴とする消臭塗料。
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